IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイリスオーヤマ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-断熱箱体 図1
  • 特開-断熱箱体 図2
  • 特開-断熱箱体 図3
  • 特開-断熱箱体 図4
  • 特開-断熱箱体 図5
  • 特開-断熱箱体 図6
  • 特開-断熱箱体 図7
  • 特開-断熱箱体 図8
  • 特開-断熱箱体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097654
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】断熱箱体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20230703BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20230703BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B65D81/38 B
F25D23/02 304E
F25D23/02 304B
F25D23/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213883
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(72)【発明者】
【氏名】平升 悠太
【テーマコード(参考)】
3E067
3L102
【Fターム(参考)】
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC06A
3E067CA18
3E067EA13
3E067EB22
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA14
3L102JA08
3L102KA03
3L102KB09
3L102KB22
3L102KC02
3L102KD11
3L102LE03
3L102MA01
3L102MB17
3L102MB22
(57)【要約】
【課題】 容器本体および蓋体をそれぞれ2つの部材の組合せで構成した場合でも、内部に充填された発泡ウレタンが漏れ出ることがなく、断熱機能を十分に発揮しうる断熱箱体を提供する。
【解決手段】 箱状の容器本体3と容器本体3の開口を塞ぐ蓋体2とを備え、蓋体2は蓋体外側部材21と蓋体内側部材22とを備え、容器本体3は本体内側部材30と本体外側部材32とを備え、蓋体外側部材21および蓋体内側部材22は、蓋体係止具24と蓋体係止受け具25とのいずれか一方をそれぞれ周方向に複数備え、本体内側部材30および本体外側部材32は、本体係止具34と本体係止受け具35とのいずれか一方をそれぞれ周方向に複数備え、蓋体2および容器本体3は、それぞれ部材間の発泡ウレタン充填部6内に蓋体真空断熱材23と本体真空断熱材33を備え、発泡ウレタン充填部6に発泡ウレタンが充填されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面が開口された箱状の容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを備える断熱箱体であって、
前記蓋体は、断熱箱体の天面を構成する蓋体外側部材と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体内側部材とを備え、
前記容器本体は、天面が開口されて収容物を収容可能な空間を有する本体内側部材と、天面が開口されて本体内側部材を収容する空間を有する本体外側部材とを備え、
前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材は、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とを係合させる蓋体係止具と当該蓋体係止具に係合する蓋体係止受け具とのいずれか一方をそれぞれ周方向に所定の間隔で複数備え、
前記本体内側部材および前記本体外側部材は、前記本体内側部材と前記本体外側部材とを係合させる本体係止具と当該本体係止具に係合する本体係止受け具とのいずれか一方をそれぞれ周方向に所定の間隔で複数備え、
前記蓋体は、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とで挟まれた空間に断熱材である発泡ウレタンが充填され、
前記容器本体は、前記本体内側部材と前記本体外側部材とで挟まれた空間に断熱材である発泡ウレタンが充填されている
ことを特徴とする断熱箱体。
【請求項2】
前記蓋体は、さらに、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とで挟まれた空間に板状の断熱パネルである真空断熱材を備え、
前記容器本体は、さらに、前記本体内側部材と前記本体外側部材とで挟まれた空間に板状の断熱パネルである真空断熱材を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
【請求項3】
前記断熱箱体は、
閉じられた蓋体を前記容器本体に固定し密閉するバックル部を備え、
前記バックル部は、前記蓋体から側方へ突出した蓋体凸部と、前記容器本体から側方へ突出した本体凸部とに引っ掛けられ、
前記蓋体凸部は、前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材が係合され、前記蓋体内側部材の下方から前記蓋体内側部材を貫通して前記蓋体外側部材に至る長さを有する蓋体凸部固定具が螺合されることで形成され、
前記本体凸部は、前記本体内側部材および前記本体外側部材が係合され、前記本体外側部材の下方から前記本体外側部材を貫通して前記本体内側部材に至る長さを有する本体凸部固定具が螺合されることで形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱箱体。
【請求項4】
前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材は、前記蓋体外側部材の端部と前記蓋体内側部材の端部とが重なって係合され、蓋体外側部材の先端は蓋体内側部材の端部と接した部分から厚みが薄くなるように構成され、
前記本体内側部材および前記本体外側部材は、前記本体内側部材の端部と前記本体外側部材の端部とが重なって係合され、本体外側部材の先端は本体内側部材の端部と接した部分から厚みが薄くなるように構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項5】
前記断熱箱体は、
前記蓋体を開閉可能な状態で前記蓋体と前記容器本体とを連結するヒンジ部を備え、
前記ヒンジ部は、
前記蓋体外側部材を貫通して蓋体内側部材に至る長さを有する蓋体ヒンジ取付具により前記蓋体に螺合され、
前記本体外側部材を貫通して本体内側部材に至る長さを有する本体ヒンジ取付具により前記容器本体に螺合される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の断熱箱体。
【請求項6】
前記本体内側部材は、その上縁に、全周にわたって側方向へ突き出て形成されたフランジ部と、前記フランジ部の裏側に前記ヒンジ部を取り付けるためのヒンジ取付部と、前記ヒンジ取付部の長手方向の左右両端に前記ヒンジ取付部と一体的に形成される鉤型状のL字状リブとを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の断熱箱体。
【請求項7】
前記本体内側部材は、前記フランジ部の裏側で前記本体内側部材の側面に沿って下方へ向かって突き出た断熱材保持リブを備え、
前記本体内側部材の側面に真空断熱材が取り付けられており、前記断熱材保持リブが本体内側部材の側面に取り付けられた真空断熱材の剥離を防止する
ことを特徴とする請求項6に記載の断熱箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラーボックス等の断熱機能を有する断熱箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
クーラーボックス等の断熱機能を有する断熱箱体においては、断熱効果を高めるために種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、ベース外側シェル構造体及びベース内側壁部構造体によってベース断熱構造体が構成され、蓋外側シェル構造体及び蓋内側壁部構造体によって囲まれた蓋断熱構造体が構成され、それらを組み合わせたクーラーボックスが開示されている。このようにクーラーボックスの容器本体および蓋体をそれぞれ2つの部材の組合せで構成し、それぞれの内部に断熱材として発泡ウレタンを充填することで断熱効果を高めることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-519537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のクーラーボックスでは、2部材を接着や溶着等することにより容器本体および蓋体が構成されるところ、その後で内部にウレタンを注入して発泡させると、その圧力で2部材の接着部や溶着部からウレタンが漏れ出る、または、接着部や溶着部に隙間を生じさせてしまうことがあり、クーラーボックスとしての断熱機能を十分発揮できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、容器本体および蓋体をそれぞれ2つの部材の組合せで構成した場合でも、内部に充填された発泡ウレタンが漏れ出ることがなく、断熱機能を十分に発揮しうる断熱箱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る断熱箱体は、天面が開口された箱状の容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを備える断熱箱体であって、前記蓋体は、断熱箱体の天面を構成する蓋体外側部材と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体内側部材とを備え、前記容器本体は、天面が開口されて収容物を収容可能な空間を有する本体内側部材と、天面が開口されて本体内側部材を収容する空間を有する本体外側部材とを備え、前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材は、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とを係合させる蓋体係止具と当該蓋体係止具に係合する蓋体係止受け具とのいずれか一方をそれぞれ周方向に所定の間隔で複数備え、前記本体内側部材および前記本体外側部材は、前記本体内側部材と前記本体外側部材とを係合させる本体係止具と当該本体係止具に係合する本体係止受け具とのいずれか一方をそれぞれ周方向に所定の間隔で複数備え、前記蓋体は、さらに、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とで挟まれた空間に断熱材である発泡ウレタンが充填され、前記容器本体は、前記本体内側部材と前記本体外側部材とで挟まれた空間に断熱材である発泡ウレタンが充填されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記蓋体は、さらに、前記蓋体外側部材と前記蓋体内側部材とで挟まれた空間に板状の断熱パネルである真空断熱材を備え、前記容器本体は、さらに、前記本体内側部材と前記本体外側部材とで挟まれた空間に板状の断熱パネルである真空断熱材を備えるのが好ましい。
【0008】
また、前記断熱箱体は、閉じられた蓋体を前記容器本体に固定し密閉するバックル部を備え、前記バックル部は、前記蓋体から側方へ突出した蓋体凸部と、前記容器本体から側方へ突出した本体凸部とに引っ掛けられ、前記蓋体凸部は、前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材が係合され、前記蓋体内側部材の下方から前記蓋体内側部材を貫通して前記蓋体外側部材に至る長さを有する蓋体凸部固定具が螺合されることで形成され、前記本体凸部は、前記本体内側部材および前記本体外側部材が係合され、前記本体外側部材の下方から前記本体外側部材を貫通して前記本体内側部材に至る長さを有する本体凸部固定具が螺合されることで形成されるのが好ましい。
【0009】
また、前記蓋体外側部材および前記蓋体内側部材は、前記蓋体外側部材の端部と前記蓋体内側部材の端部とが重なって係合され、蓋体外側部材の先端は蓋体内側部材の端部と接した部分から厚みが薄くなるように構成され、前記本体内側部材および前記本体外側部材は、前記本体内側部材の端部と前記本体外側部材の端部とが重なって係合され、本体外側部材の先端は本体内側部材の端部と接した部分から厚みが薄くなるように構成されているのが好ましい。
【0010】
さらに、前記断熱箱体は、前記蓋体を開閉可能な状態で前記蓋体と前記容器本体とを連結するヒンジ部を備え、前記ヒンジ部は、前記蓋体外側部材を貫通して蓋体内側部材に至る長さを有する蓋体ヒンジ取付具により前記蓋体に螺合され、前記本体外側部材を貫通して本体内側部材に至る長さを有する本体ヒンジ取付具により前記容器本体に螺合されるのが好ましい。
【0011】
そして、前記本体内側部材は、その上縁に、全周にわたって側方向へ突き出て形成されたフランジ部と、前記フランジ部の裏側に前記ヒンジ部を取り付けるためのヒンジ取付部と、前記ヒンジ取付部の長手方向の左右両端に前記ヒンジ取付部と一体的に形成される鉤型状のL字状リブとを備えるのが好ましい。
【0012】
さらに、前記本体内側部材は、前記フランジ部の裏側で前記本体内側部材の側面に沿って下方へ向かって突き出た断熱材保持リブを備え、前記本体内側部材の側面に前記真空断熱材が取り付けられており、前記断熱材保持リブが本体内側部材の側面に取り付けられた真空断熱材の剥離を防止するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る断熱箱体によれば、蓋と容器本体部分とを構成する内側部材と外側部材とを係止具と係止受け具との嵌合によって全周にわたって固定保持するので、内側部材および外側部材の係合が強固となり、両部材の係合部分から内部に充填された発泡ウレタンが漏れ出ることが防がれ、断熱機能を十分に発揮することが可能なクーラーボックスが実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るクーラーボックスの斜視図と一部を破断して示す図である。
図2】クーラーボックスの背面側の斜視図である。
図3】クーラーボックスの蓋体を分解して示す図である。
図4】クーラーボックスの容器本体を分解して示す図である。
図5】ヒンジ部の構成を示す断面図である。
図6】バックル部の構成を示す断面斜視図である。
図7】各内側部材と各外側部材の端面図である。
図8】容器本体の内側部材におけるヒンジ取付部を示す図である。
図9】蓋体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る断熱箱体について、実施形態としてクーラーボックスを例に挙げて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るクーラーボックスの斜視図と一部を破断して示す図である。図2はクーラーボックスの背面側の斜視図である。
【0017】
本実施の形態のクーラーボックス1は、収容物を断熱した状態で内部に収容可能な空間を有する断熱箱体であり、蓋体2と容器本体3とヒンジ部4とバックル部5とを備えている。
【0018】
蓋体2は、天面が開口された箱状の容器本体3の開口部を塞いでクーラーボックス1の蓋となる部材であり、容器本体3はクーラーボックス1の本体部分となる箱体である。蓋体2と容器本体3とは、ヒンジ部4で枢着されており、バックル部5で密閉されるように構成されている。
【0019】
図1に示すように、蓋体2および容器本体3は、それぞれ外側部材と内側部材との2つの部材で構成されており、これら2つの部材で挟まれた空間にウレタンフォーム等の断熱パネルが敷設されるとともに、断熱材として発泡ウレタンが充填されている。断熱パネルは断熱性が高いため、これを設けることが望ましいが、用途に応じて発泡ウレタンの充填のみとすることも可能である。以下、これらの点について詳述する。
【0020】
図3は、クーラーボックス1の蓋体2を分解して示す図である。
【0021】
蓋体2は、蓋体2の外側に位置してクーラーボックス1の天面を構成する蓋体外側部材21と、蓋体2の内側に位置して容器本体3の開口部を塞ぐ蓋体内側部材22との2部材で構成されている。
【0022】
蓋体外側部材21の周壁の内側に、周方向へ所定の間隔で全周にわたって設けられた爪である蓋体係止具24と、蓋体内側部材22の外周に沿って蓋体係止具24と対応する位置に設けられ、蓋体係止具24と係合する爪受け部である蓋体係止受け具25とを嵌合させることにより、蓋体2は構成される。なお、蓋体係止受け具25として孔の爪受け部を示しているが、孔ではなく凹部の爪受け部としてもよい。
【0023】
蓋体内側部材22の上面には、板状の断熱パネルである蓋体真空断熱材23が敷設されている。この蓋体真空断熱材23により、容器本体3の内部に収容されている収容物に対する上方からの断熱が図られている。
【0024】
蓋体外側部材21と蓋体内側部材22との間に生じる空間は発泡ウレタン充填部6であり、この空間に蓋体真空断熱材23が配置されるとともに断熱材である発泡ウレタンが充填される。発泡ウレタン充填部6にウレタンを充填して発泡させたときでも、蓋体外側部材21と蓋体内側部材22とは、蓋体係止具24と蓋体係止受け具25との嵌合によって全周にわたって固定保持されているので、蓋体外側部材21と蓋体内側部材22との係合部分にすき間が生じることがなくウレタンが漏れ出ることがない。
【0025】
また、蓋体内側部材22の長手方向の一辺にはヒンジ部4を取り付けるための蓋体ヒンジ取付部26が設けられており、その対向する一辺にはバックル部5を取り付けるための蓋体バックル凸部27bが設けられている。なお、蓋体外側部材21にも蓋体バックル凸部27aが設けられており、蓋体外側部材21の蓋体バックル凸部27aと蓋体内側部材22の蓋体バックル凸部27bとが組み合わされることでバックル部5の引っ掛け部を構成するようになっている。蓋体バックル凸部27aと蓋体バックル凸部27bとについては後にも詳述する。
【0026】
図4は、クーラーボックス1の容器本体3を分解して示す図である。
【0027】
容器本体3は、容器本体3の内側に位置し、天面が開口されて収容物を収容可能な空間を有する本体内側部材30と、容器本体3の外側に位置し、天面が開口されて本体内側部材30を収容する空間を有する本体外側部材32との2部材で構成されている。
【0028】
本体内側部材30は、その上縁に、側方向へ突き出た部分であるフランジ部31が全周にわたって形成されており、このフランジ部31の周壁の内側に、周方向へ所定の間隔で全周にわたって設けられた爪である本体係止具34を複数個備えている。
【0029】
本体外側部材32は、その上縁であって本体係止具34と対応する位置に、本体係止具34と係合する爪受け部である本体係止受け具35を備えている。
【0030】
この本体係止具34と本体係止受け具35とを嵌合させることにより、本体内側部材30と本体外側部材32とは組み合わされ、容器本体3が構成されることになる。
【0031】
また、本体内側部材30の全側面および底面には、板状の断熱パネルである本体真空断熱材33が敷設されている。天面を除く全周にわたって本体真空断熱材33が貼り付けられていることで、上記の蓋体内側部材22の蓋体真空断熱材23と相俟って容器本体3の内部に収容されている収容物に対し全方向の断熱が図られている。
【0032】
本体内側部材30と本体外側部材32との間に生じる空間も発泡ウレタン充填部6となる。上記の蓋体2と同様に、この空間に本体真空断熱材33が配置されるとともに断熱材である発泡ウレタンが充填される。そして、上記の蓋体2と同様に、本体内側部材30と本体外側部材32とは、本体係止具34と本体係止受け具35との嵌合によって全周にわたって固定保持されているので、本体内側部材30と本体外側部材32との係合部分から発泡ウレタン充填部6内のウレタンが漏れ出ることはない。
【0033】
また、本体内側部材30の長手方向の一辺にはヒンジ部4を取り付けるための本体ヒンジ取付部36が設けられており、その対向する一辺にはバックル部5を取り付けるための本体バックル凸部37aが設けられている。なお、本体外側部材32にも本体バックル凸部37bが設けられており、本体外側部材32の本体バックル凸部37bと本体内側部材30の本体バックル凸部37aとが組み合わされることでバックル部5の引っ掛け部を構成するようになっている。本体バックル凸部37aと本体バックル凸部37bとについては後にも詳述する。
【0034】
本体内側部材30の上縁に形成されたフランジ部31の裏側で、本体内側部材30の側面に沿って下方へ向かって突き出た断熱材保持リブ38が設けられている。この断熱材保持リブ38は、本体内側部材30の側面に取り付けられた本体真空断熱材33を保持するためのリブ、すなわち、本体内側部材30の側面から本体真空断熱材33が剥離することを防止するリブである。本体真空断熱材33は、本体内側部材30の側面にホットメルト等の接着剤で固定されているが、本体内側部材30の側面と本体真空断熱材33との間には僅かながらもすき間が生じる。発泡ウレタン充填部6にウレタンが充填され発泡させたときに、このすき間にウレタンが入り込んで本体真空断熱材33を本体内側部材30の側面から剥がしてしまうおそれがある。剥すには至らないまでも、本体真空断熱材33をあるべき正規の位置からずらしてしまい、本来の断熱機能を発揮できなくしてしまうおそれがある。また、ウレタンを容器本体の底部から充填して発泡させたとき、本体内側部材30の側面とフランジ部31とで形成される角部に最も圧力がかかる部分となるので、当該部分において本体真空断熱材33が本体内側部材30の側面から剥がれてしまう可能性が高くなる。そのため、フランジ部31の裏側で、本体内側部材30の側面とフランジ部31とで形成される角部の近傍に断熱材保持リブ38を複数設けることにより、本体真空断熱材33が本体内側部材30の側面から浮いて剥がれることを防止している。
【0035】
このように、蓋体2は蓋体外側部材21と蓋体内側部材22とを蓋体係止具24と蓋体係止受け具25との嵌合によって全周にわたって固定保持されており、また、容器本体3は本体内側部材30と本体外側部材32とを本体係止具34と本体係止受け具35との嵌合によって全周にわたって固定保持されているので、それぞれ2部材の係合部分から発泡ウレタン充填部6内のウレタンが漏れ出ることがないよう構成されている。
【0036】
蓋体係止具24と蓋体係止受け具25との嵌合、および、本体係止具34と本体係止受け具35との嵌合は、2部材間の発泡ウレタン充填部6にウレタンを充填する前の仮止めとしての意味合いもあり、充填したウレタンを発泡させたときには、蓋体係止具24と本体係止具34がそれぞれ蓋体係止受け具25および本体係止受け具35の方向へ動いて2部材の係合をより強固なものとなるように作用する。
【0037】
このほか、本実施の形態のクーラーボックス1では、それぞれ2部材の係合をさらに強固にし、ウレタンの漏出をより確実に防止するために、下記のような構成を備えている。
【0038】
図5は、ヒンジ部4の構成を示す断面図である。
【0039】
ヒンジ部4は、蓋体2を開閉可能な状態で蓋体2と容器本体3とを連結するヒンジであり、蓋体2と容器本体3とにそれぞれネジで取り付けられ固定される。まず、ヒンジ部4は、蓋体2の蓋体外側部材21を貫通して蓋体内側部材22の蓋体ヒンジ取付部26に至る長さを有するネジであるヒンジ取付具41により蓋体2に螺合される。また、ヒンジ部4は、容器本体3の本体外側部材32を貫通して本体内側部材30の本体ヒンジ取付部36に至る長さを有するネジであるヒンジ取付具42により容器本体3に螺合される。
【0040】
このように、ヒンジ部4を蓋体2および容器本体3をそれぞれ構成する2部材と一緒に固定することで、それぞれの2部材の嵌合部分が補強されるので、発泡ウレタン充填部6にウレタンを充填し発泡させたときに2部材の係合部からのウレタンの漏出やクーラーボックス1の歪みの発生を防止することができる。
【0041】
なお、ヒンジ取付具41を受けるリブである蓋体ヒンジ取付部26は、蓋体内側部材22の根元側に蓋体ヒンジ取付部土台26aを備えている。また、ヒンジ取付具42を受けるリブである本体ヒンジ取付部36は、本体内側部材30の根元側に本体ヒンジ取付部土台36bを備えている。これらの蓋体ヒンジ取付部土台26aおよび本体ヒンジ取付部土台36bは、ヒンジ部4の高さを稼ぐために設けられた土台である。蓋体ヒンジ取付部土台26aおよび本体ヒンジ取付部土台36bは、金型の抜き方向に対して肉抜きされている。ヒンジ部4の高さを稼ぐために蓋体ヒンジ取付部26および本体ヒンジ取付部36の全高を確保すれば足り、構成する樹脂の無駄な使用を避けるためである。
【0042】
図6は、バックル部5の構成を示す断面斜視図である。
【0043】
バックル部5は、閉じられた蓋体2を容器本体3に固定し密閉するための留め具である。蓋体外側部材21の蓋体バックル凸部27aと蓋体内側部材22の蓋体バックル凸部27bとが組み合わされることで蓋体2側におけるバックル部5の引っ掛け部が形成され、本体内側部材30の本体バックル凸部37aと本体外側部材32の本体バックル凸部37bとが組み合わされることで容器本体3側におけるバックル部5の引っ掛け部が形成される。
【0044】
このとき、蓋体バックル凸部27bの下方から蓋体バックル凸部27bを貫通して蓋体バックル凸部27aに至る長さを有するネジであるバックル凸部固定具51で蓋体バックル凸部27aと蓋体バックル凸部27bとが螺合されることにより、蓋体2側におけるバックル部5の引っ掛け部は形成される。また、本体バックル凸部37bの下方から本体バックル凸部37bを貫通して本体バックル凸部37aに至る長さを有するネジであるバックル凸部固定具52で本体バックル凸部37aと本体バックル凸部37bとが螺合されることにより、容器本体3側におけるバックル部5の引っ掛け部は形成される。
【0045】
このように、蓋体2および容器本体3をそれぞれ構成する2部材から水平方向に突出して形成した凸部をバックル部5の引っ掛け部とし、これらの凸部を垂直方向に固定するので、それぞれの2部材の係合はより強固なものとなり、2部材の係合部からウレタンが漏れ出たり、歪みが生じたりすることのないクーラーボックス1が得られる。
【0046】
図7は、各内側部材と各外側部材の端面図である。
【0047】
図7に示すように、蓋体外側部材21と蓋体内側部材22とはそれぞれの端部が一部重なるように構成されており、本体内側部材30と本体外側部材32ともそれぞれの端部が一部重なるように構成されている。
【0048】
そして、蓋体外側部材21の先端は、蓋体内側部材22の端部である蓋体内側部材端部28と接した部分から厚みが薄くなるように構成され、本体外側部材32の先端は、本体内側部材30の端部である本体内側部材端部39と接した部分から厚みが薄くなるように構成されている。このように内側部材側の端部で外側部材が接するように外側部材の端部の角度を変更すると、ウレタン発泡時に外側部材の端部が外側へ膨らんだときに、外側部材と内側部材端部との接触面のクリアランスを限りなく0にするので、2部材の係合部からウレタンが漏れ出ることを防ぐことができる。
【0049】
図8は、容器本体3の本体内側部材30における本体ヒンジ取付部36を示す図である。
【0050】
本体内側部材30のフランジ部31の裏側には、ヒンジ部4を取り付けるための本体ヒンジ取付部36が設けられている。この本体ヒンジ取付部36の長手方向の左右両端には本体ヒンジ取付部36から延出した鉤型状のL字状リブ36aが設けられている。このL字状リブ36aは、本体ヒンジ取付部36と一体的に形成され、本体ヒンジ取付部36と連続した壁部を構成している。
【0051】
本体内側部材30と本体外側部材32とを組み合わせると、本体ヒンジ取付部36の近傍に本体内側部材30と本体外側部材32との間に空隙が生じる箇所がある。ウレタンを充填して発泡させたときに、この僅かな空隙からウレタンが漏れ出ることがある。そのため、L字状リブ36aによって空隙をカバーし、ウレタンの圧力が空隙に向かって掛からないようにすることで、ウレタンの漏出を防止することができる。
【0052】
図9は、蓋体2の底面図である。
【0053】
蓋体2の底面、すなわち、容器本体3の開口部側の面には、ゴム紐29aと、ゴム紐29aが引っ掛けられるフック29bと、紐留め29cおよび紐留め29dとで構成される網状の保持部が形成されている。この保持部には、保冷剤を配置することができ、容器本体3の内部にある収容物の保冷を図ることが可能になっている。なお、蓋体2の底面に設けられる保冷剤を保持するための保持部は網状に限られるものではなく、例えば、保冷剤を挿抜することができるポケット状のものであってもよい。
【0054】
このように、本実施の形態に係るクーラーボックスは、蓋と容器本体部分とをそれぞれ内側部材と外側部材の2部材を係合させ、内側部材と外側部材との間の空間に発泡ウレタンを充填して構成するものである。そして、蓋および容器本体部分を構成するそれぞれの内側部材および外側部材を係止具と係止受け具との嵌合によって全周にわたって固定保持しているので、内側部材および外側部材の係合が強固となり、両部材の係合部分から内部に充填された発泡ウレタンが漏れ出ることがなく、断熱機能を十分に発揮することが可能なクーラーボックスが実現される。
【0055】
以上、本発明に係る断熱箱体について実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0056】
例えば、上記実施の形態では、内側部材および外側部材の係止具と係止受け具として、爪と爪受け部を例示したが、その他の係止具と係止受け具とで構成してもよい。なお、その他の構成とする場合でも、係止具と係止受け具とが強固に係合し、かつ、容易に係合可能なものがよいので、ハトメ等のように嵌合によるものが好ましいといえる。また、内側部材に係止受け具を設け、外側部材に係止具を設けるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る断熱箱体は、断熱機能を有するクーラーボックス等に適している。
【符号の説明】
【0058】
1 断熱箱体
2 蓋体
3 容器本体
4 ヒンジ部
5 バックル部
6 発泡ウレタン充填部
21 蓋体外側部材
22 蓋体内側部材
23 蓋体真空断熱材
24 蓋体係止具
25 蓋体係止受け具
26 蓋体ヒンジ取付部
26a 蓋体ヒンジ取付部土台
27a,27b 蓋体バックル凸部
28 蓋体内側部材端部
29a ゴム紐
29b フック
29c,29d 紐留め
30 本体内側部材
31 フランジ部
32 本体外側部材
33 本体真空断熱材
34 本体係止具
35 本体係止受け具
36 本体ヒンジ取付部
36a L字状リブ
36b 本体ヒンジ取付部土台
37a,37b 本体バックル凸部
38 断熱材保持リブ
39 本体外側部材端部
41,42 ヒンジ取付具
51,52 バックル凸部固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9