(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097670
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】動作制御装置及び物理療法用装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213909
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】重野 貴
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ15
(57)【要約】
【課題】各個人の操作のし易さや好みに応じて保持部材を選択して使用することができ、利便性の向上した動作制御装置及び物理療法用装置を提供する。
【解決手段】操作スイッチ装置(動作制御装置)21は、手に嵌めるスイッチ保持部材14と、スイッチ保持部材14に分離可能に取り付けられ、物理療法用装置の動作を制御する操作スイッチ(動作制御手段)5と、を備える。操作スイッチ装置21を用いた物理療法用装置であって、治療者又は被治療者がスイッチ保持部材14を手に嵌めて操作スイッチ5を操作し、物理療法用装置の動作を制御する。足、手の指、足の指や上腕等に装着するスイッチ保持部材を用いてもよい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の一部位に装着される保持部材と、
前記保持部材に分離可能に取り付けられ、物理療法用装置の動作を制御する動作制御手段と、を備える、
ことを特徴とする動作制御装置。
【請求項2】
前記保持部材は手又は手の指に嵌めるものであり、前記保持部材は把持されていなくても手又は手の指に嵌めた状態が維持されるよう構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記保持部材は一方向に延びる第1部位と、
前記第1部位の一端部から前記一方向とは異なる方向に延びてから前記第1部位に向けて延びる第2部位とを有し、
前記第2部位の前記第1部位と繋がる部分の近傍に前記動作制御手段を取り付ける取付部を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記保持部材は指に嵌めるリングの形状を有し、前記リングの周面に前記動作制御手段を取り付ける取付部を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動作制御装置。
【請求項5】
前記保持部材は柔軟性及び/又は伸縮性及び/又は弾力性を有する材料によって構成された、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の動作制御装置。
【請求項6】
前記動作制御手段は有線又は無線を介して前記物理療法用装置につながっている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の動作制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の動作制御装置を用いた物理療法用装置であって、前記保持部材は治療者又は被治療者の身体の一部位に装着され、前記動作制御手段の操作によって前記物理療法用装置の動作が制御される、
ことを特徴とする物理療法用装置。
【請求項8】
前記物理療法用装置は電気刺激装置であり、前記動作制御手段の操作によって被治療者に与える電気刺激を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の物理療法用装置。
【請求項9】
被治療者の皮膚表面に貼る電極と、治療者の手の指に装着する電極とを備えることを特徴とする請求項8に記載の物理療法用装置。
【請求項10】
前記物理療法用装置は牽引治療装置であり、前記動作制御手段の操作によって被治療者に対する牽引動作を停止させる、ことを特徴とする請求項7に記載の物理療法用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作制御装置及び物理療法に用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状のケースの端部に設けられた第一のスイッチと、ケース内に収容された第二のスイッチとを有し、第二のスイッチのボタン部がケースの周面に設けられた開口部から露出した動作制御器具であって、手に装着するためのフックを有することが記載されている。特許文献2には、電気刺激の制御入力装置であって、麻痺患者の手に巻き付ける伸縮ベルトと、伸縮ベルトの外側面に固定された操作スイッチとを備え、操作スイッチが、人差し指と親指との間に来るように伸縮ベルトが使用されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5915612号公報
【特許文献2】特許第2891087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の動作制御器具では第一及び第二のスイッチはケースに固定されており、特許文献2に記載の制御入力装置では操作スイッチが伸縮ベルトに固定されている。このように、手に装着する保持部材(特許文献1に記載のフック付きケース、特許文献2に記載の伸縮ベルト)に対してスイッチが固定されており、各保持部材に対してそれぞれスイッチを固定する必要があった。また、各個人の操作のし易さや好みに応じて手又は指に装着する複数種類の保持部材を使用したい場合、スイッチ付きの各種類の保持部材を用意する必要があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、各個人の操作のし易さや好みに応じて保持部材を選択して使用することができ、利便性の向上した動作制御装置及び物理療法用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明の動作制御装置は、身体の一部位に装着される保持部材と、前記保持部材に分離可能に取り付けられ、物理療法用装置の動作を制御する動作制御手段と、を備える、ことを特徴とする。この構成により、各個人の操作のし易さや好みに応じて保持部材を選択して使用することができ、複数の保持部材に対して1つの動作制御手段を用意すればよいので、利便性が向上する。
【0007】
請求項2に係る動作制御装置は、前記保持部材は手又は手の指に嵌めるものであり、前記保持部材は把持されていなくても手又は手の指に嵌めた状態が維持されるよう構成された、ことを特徴とする。この構成により、保持部材を把持していなくても動作制御手段を操作することができる。
【0008】
請求項3に係る動作制御装置は、前記保持部材は一方向に延びる第1部位と、前記第1部位の一端部から前記一方向とは異なる方向に延びてから前記第1部位に向けて延びる第2部位とを有し、前記第2部位の前記第1部位と繋がる部分の近傍に前記動作制御手段を取り付ける取付部を備える、ことを特徴とする。この構成により、保持部材を手に嵌めて動作制御手段を操作することができる。
【0009】
請求項4に係る動作制御装置は、前記保持部材は指に嵌めるリングの形状を有し、前記リングの周面に前記動作制御手段を取り付ける取付部を備える、ことを特徴とする。この構成により、保持部材を手の指又は足の指に嵌めて動作制御手段を操作することができる。
【0010】
請求項5に係る動作制御装置は、前記保持部材は柔軟性及び/又は伸縮性及び/又は弾力性を有する材料によって構成されたことを特徴とする。この構成により、保持部材が各個人の手の厚み、大きさや指の太さの違いに対応して変形することができる。
【0011】
請求項6に係る動作制御装置は、前記動作制御手段は有線又は無線を介して前記物理療法用装置につながっていることを特徴とする。この構成により、動作制御手段が有線(スイッチコード)を介して物理療法用装置とつながっている場合には、動作制御手段によって物理療法装置の動作を制御することができる。無線の場合には、動作制御手段を物理療法用装置につなぐスイッチコードが不要のため、有線の場合におけるスイッチコードの断線リスクがなくなり、動作制御手段の操作がしやすく物理療法用装置の動作を制御することができる。
【0012】
請求項7に係る物理療法用装置は、上記いずれかの動作制御装置を用いた物理療法用装置であって、前記保持部材は治療者又は被治療者の身体の一部位に装着され、前記動作制御手段の操作によって前記物理療法用装置の動作が制御される、ことを特徴とする。この構成により、治療者又は被治療者は各個人の操作のし易さや好みに応じて保持部材を選択して使用することができ、動作制御手段の操作によって物理療法用装置の制御を行うことができる。
【0013】
請求項8に係る物理療法用装置は、前記物理療法用装置は電気刺激装置であり、前記動作制御手段の操作によって被治療者に与える電気刺激を制御する、ことを特徴とする。この構成により、治療者が保持部材を身体の一部位に装着して動作制御手段を操作する際、保持部材は身体の一部位から離れることはないため、治療者は両手を自由に使うことができる。このため、電気刺激を受ける被治療者が不意に転倒するのを治療者が補助して被治療者を転倒しないようにすることが容易となる。
【0014】
請求項9に係る物理療法用装置は、被治療者の皮膚表面に貼る電極と、治療者の手の指に装着する電極とを備えることを特徴とする。この構成により、治療者の意図した部位、タイミングで被治療者に電気刺激を与えることができる。
【0015】
請求項10に係る物理療法用装置は、前記物理療法用装置は牽引治療装置であり、前記動作制御手段の操作によって被治療者に対する牽引動作を停止させる、ことを特徴とする。この構成により、被治療者が保持部材を身体の一部位に装着して動作制御手段を操作する際、保持部材は身体の一部位から離れることはないため、被治療者が保持部材を把持していなくても動作制御手段を操作して牽引動作を停止させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各個人の操作のし易さや好みに応じて保持部材を選択して使用することができ、利便性の向上した動作制御装置及び物理療法用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1による電気刺激装置の概略構成を示す図である。
【
図2】電気刺激装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3A】本発明の実施の形態1による操作スイッチの斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1による第1スイッチ保持部材の斜視図である。
【
図5】
図4のB-B線における部分断面矢視図であって第1スイッチ保持部材に操作スイッチを取り付けた部分の拡大図である。
【
図6】第1スイッチ保持部材及び操作スイッチの使用状態を示す図である。
【
図7A】本発明の実施の形態2による第2スイッチ保持部材の斜視図である。
【
図8】第2スイッチ保持部材及び操作スイッチの使用状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態3による電気刺激装置の概略構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態3による指装着バンドと電極を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態3による第2スイッチ保持部材、操作スイッチ、指装着バンド及び電極の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る動作制御装置の一例である操作スイッチ装置、及び物理療法用装置の一例である電気刺激装置について図面を参照して説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態1による電気刺激装置1は、電気刺激を出力するための電気回路が内部に設けられた装置本体2、被治療者の皮膚表面に貼られて電気刺激の印加を行う電気刺激用の電極3a、3b、電極3a、3bを装置本体2に接続する電極コード4、電気刺激装置1の動作を制御する動作制御手段である操作スイッチ5、及び、操作スイッチ5を装置本体2に接続するスイッチコード6a、6bを有している。スイッチコード6aはスイッチコード6bに着脱可能に接続され、スイッチコード6bは装置本体2の上側面に着脱可能に接続される。電気刺激装置1はさらに、
図1には示していないが、後述する第1スイッチ保持部材14を有している。
【0020】
電極3a、3bはホック式のゲル電極によって構成されており、電極3a、3bの裏面は被治療者の皮膚表面に貼り付けられる貼付面である。電極3a、3bの各ホックは中途位置で二本に分岐した電極コード4の各先端側に係着され、電極コード4の基端側は装置本体2の上側面に着脱可能に接続される。
【0021】
装置本体2は、回転可能なダイヤル7、ダイヤル7の中央に配置された押し込み可能な決定ボタン8、及び、表示部9を備えている。治療条件の設定はダイヤル7と決定ボタン8を用いて行う。表示部9はタッチパネルになっており、このタッチパネルにも決定ボタン8の機能が備えられている。表示部9は、装置本体2の長手方向に占める割合が大きく見やすくなっており、表示部9には治療条件や治療結果等が表示される。
【0022】
図2に示すように、装置本体2はさらに、電気刺激を生成して電極3a、3bに出力する出力部10と、マイクロコントローラ(マイコン)により構成された制御部11を有しており、制御部11は表示部9と出力部10を制御する。制御部11はダイヤル7、決定ボタン8、タッチパネル(表示部9)からの信号を受けて治療条件の設定等を行い、設定された治療条件や治療結果のデータは例えば制御部11の内部メモリに記憶される。制御部11は、設定された治療条件に基づき電気刺激を生成するよう出力部10を制御するとともに、操作スイッチ5からの信号に基づき電極3a、3bに出力する電気刺激の出力又は停止をするよう出力部10を制御する。なお、装置本体2は治療条件や治療結果のデータを記憶するメモリを備えてもよい。
【0023】
図3A、3Bに示すように、操作スイッチ5は筐体12に押しボタン13が嵌められて構成されたタクタイルスイッチであり、スイッチコード6aが接続されている。押しボタン13の上面は筐体12の上面よりも上方に位置している。筐体12の上側部分(筐体上部)12aを上方から見たときの外形は、円周の一か所に凸片12a1が設けられた形状になっている。筐体の下側部分(筐体下部)12bは略円柱形状の下側に円錐台が配置された形状になっている。筐体上部12aと筐体下部12bとの間の部分(筐体中間部)12cは、筐体下部12bの円柱部分よりも周囲が内側に凹んだ形状になっており、凹部12dが形成されている。なお、操作スイッチ5としてトグルスイッチ、ロッカースイッチ等を用いることができる。操作スイッチ5のON/OFF状態に応じて点灯/非点灯となるLED等の光源を操作スイッチ5に設け、操作スイッチ5のON/OFF状態を視覚的に認識できるようにしてもよい。操作スイッチ5の機能として、出力のON/OFFだけでなく、出力強度を調整できるようにしてもよい。また、動作制御手段として操作スイッチ5の代わりに例えば感圧センサを用いることができる。
【0024】
図4に、操作スイッチ5が分離可能に取り付けられる第1スイッチ保持部材14を示している。保持部材の一例である第1スイッチ保持部材14は、一方向(矢印Aで示す方向)に延びる第1部位14aと、第1部位14aの一端部14a1から一方向とは異なる方向である水平状に延びてから屈曲し、一方向に対して傾斜した方向であって第1部位14aに近づく方向に延びる第2部位14bとを有している。第2部位14bの第1部位14aと繋がる部分の近傍に操作スイッチ5を取り付けるスイッチ取付部15を設けており、スイッチ取付部15は操作スイッチ5が嵌まる嵌合部になっている。スイッチ取付部15は、操作スイッチ5の筐体上部12aとスイッチコード6aが挿入される凹部15aと、操作スイッチ5の筐体中間部12c及び筐体下部12bが挿入される穴部15bを有している。
【0025】
図5は、
図4のB-B線における部分断面矢視図であって第1スイッチ保持部材14に操作スイッチ5を取り付けた部分の拡大図である。操作スイッチ5及び第1スイッチ保持部材14は実施の形態1における操作スイッチ装置21を構成する。操作スイッチ5の凹部12d(
図3B参照)に、穴部15bの内側方向に突出した凸部15cが嵌まることで、操作スイッチ5が第1スイッチ保持部材14に取り付けられる。操作スイッチ5は第1スイッチ保持部材14に分離可能に取り付けられ、操作スイッチ5の筐体下部12b(
図3B参照)が円錐台の形状を有しているとともに、第1スイッチ保持部材14の凸部15cの断面形状が略半円になっていることで、スイッチ取付部15に操作スイッチ5を取り付けやすくなっている。穴部15bは上方から下方に突き抜けた構造になっているが、突き抜けていない(下方に底のある)穴部であってもよい。第1スイッチ保持部材14をシリコーンのような柔軟性及び/又は伸縮性及び/又は弾力性のある材料で構成することにより、第1スイッチ保持部材14が各個人の手の厚みや大きさの違いに対応して変形することができる。手の厚みや大きさに個人差があっても同じ大きさ、形状の第1スイッチ保持部材14を使用することができるので、少なくとも1種類の第1スイッチ保持部材14を用意すればよい。第1スイッチ保持部材14はウレタン等のようにシリコーン以外の材料への置き換えが可能である。
【0026】
次に、第1スイッチ保持部材14の使用方法について説明する。
図6に示すように、治療者が第1スイッチ保持部材14の第1部位14aと第2部位14bとの間に手(例えば、
図6では右手)を入れて第1部位14aを握る、あるいは、治療者の手を挟むように第1スイッチ保持部材14を嵌め治療者が第1部位14aを握るとともに、スイッチコード6a、6bによって装置本体2に接続された操作スイッチ5を、第1スイッチ保持部材14のスイッチ取付部15に取り付ける。このとき、治療者の手の平側に第1スイッチ保持部材14の第1部位14aが配置され、手の甲側に第2部位14bが配置されるようにする。電極3a、3bを被治療者の皮膚表面に貼り付け、装置本体2のダイヤル7、決定ボタン8やタッチパネル(表示部9)を用いて治療条件を設定する。その後、治療者が右手の親指で操作スイッチ5を操作する(押しボタン13を押す)ことにより、被治療者に電気刺激を与えることができ、例えば鎮痛や筋委縮改善を目的としたリハビリテーションを行うことができる。なお、動作制御手段として操作スイッチ5の代わりに感圧センサを用いた場合には、感圧センサを被治療者に押し付けることによって操作することも可能である。
【0027】
図4に示すように、第1スイッチ保持部材14の第2部位14bの端部14b1は、第1部位14aの他端部14a2に近接しており、
図6に示すように第1スイッチ保持部材14を手に装着したとき、第1部位14aと第2部位14bはそれぞれ手の平と手の甲に押し付けられた状態になるので、第1部位14aを把持していなく手を開いた状態でも第1スイッチ保持部材14が手から離れることはなく、第1スイッチ保持部材14が手に装着された状態が維持される。このため、治療者は第1スイッチ保持部材14を手に嵌めた状態で両手を自由に使うことができるので、治療者が操作スイッチ5を操作して被治療者に電気刺激を与える際、被治療者が不意に転倒するのを両手で補助して転倒しないようにすることが容易となる。また、第1スイッチ保持部材14の第1部位14aは平板状であり、第2部位14bは第1部位14aの一端部14a1から水平状に延びてから屈曲し、第1部位14aに近づく方向に延びる形状であるため、治療者が被治療者を介助しながら電気刺激を与える際に第1スイッチ保持部材14が邪魔にならない。
【0028】
(実施の形態2)
実施の形態2では、スイッチ保持部材が第1スイッチ保持部材14の代わりに第2スイッチ保持部材16である点で実施の形態1と異なり、他の構成は同じである。
図7A~7Cに、操作スイッチ5が分離可能に取り付けられる第2スイッチ保持部材16を示しており、操作スイッチ5及び第2スイッチ保持部材16は実施の形態2における操作スイッチ装置22(
図8参照)を構成する。第2スイッチ保持部材16は保持部材の一例である。第2スイッチ保持部材16は手の指に嵌めるリングの形状を有しており、略円形のリング16aの周面にスイッチ取付部16bを備えた構成である。スイッチ取付部16bは操作スイッチ5が嵌まる嵌合部になっており、操作スイッチ5の筐体中間部12c及び筐体下部12bが挿入される円形の穴部17が設けられている。穴部17は突き抜けていない(下方に底のある)構造になっている。第2スイッチ保持部材16の上面部分に穴部17の内側方向に突出した凸部16cが設けられている(
図7C参照)。この凸部16cが操作スイッチ5の凹部12d(
図3B参照)に嵌まることで、操作スイッチ5が第2スイッチ保持部材16に取り付けられる。操作スイッチ5は第2スイッチ保持部材16に分離可能に取り付けられ、操作スイッチ5の筐体下部12b(
図3B参照)が円錐台の形状を有しているとともに、第2スイッチ保持部材16の凸部16cの断面形状が略半円になっていることで、スイッチ取付部16bに操作スイッチ5を取り付けやすくなっている。第2スイッチ保持部材16をシリコーンのような柔軟性及び/又は伸縮性及び/又は弾力性のある材料で構成することにより、第2スイッチ保持部材16が各個人の指の太さの違いに対応して変形することができる。指の太さに個人差があっても同じ大きさ、形状の第2スイッチ保持部材16を使用することができるので、少なくとも1種類の第2スイッチ保持部材16を用意すればよい。第2スイッチ保持部材16はウレタン等のようにシリコーン以外の材料への置き換えが可能である。
【0029】
次に、実施の形態2による電気刺激装置1の使用方法について説明する。
図8に示すように、治療者の指(例えば、
図8では左手の中指)に第2スイッチ保持部材16を嵌めるとともに、スイッチコード6a、6bによって装置本体2に接続された操作スイッチ5を第2スイッチ保持部材16に取り付ける。電極3a、3bを被治療者の皮膚表面に貼り付け、装置本体2のダイヤル7、決定ボタン8やタッチパネル(表示部9)を用いて治療条件を設定する。その後、治療者が左手の親指で操作スイッチ5を操作する(押しボタン13を押す)ことにより、被治療者に電気刺激を与えることができる。治療者の手が開いた状態でも指に嵌めた第2スイッチ保持部材16は指から離れることはなく、第2スイッチ保持部材16を指に嵌めた状態が維持されるので、治療者は第2スイッチ保持部材16を指に嵌めた状態で両手を自由に使うことができる。このため、治療者が操作スイッチ5を操作して被治療者に電気刺激を与える際、被治療者が不意に転倒するのを両手で補助して転倒しないようにすることが容易となる。
【0030】
(実施の形態3)
実施の形態3では、電極3a、3bの代わりに二極電極及び指に装着する電極を用いる点で実施の形態2と異なり、他の構成は同じである。
図9に示すように、実施の形態3による電気刺激装置1aは、装置本体2、操作スイッチ5、スイッチコード6a、6b、二極電極23、二極電極23を装置本体2に接続する二極電極コード24、及び、電極コード25を有している。さらに電気刺激装置1aは、
図9には示していないが、実施の形態2で説明した第2スイッチ保持部材16及び後述する指装着バンド26、電極27(
図10参照)を有している。
【0031】
図10に示すように、指装着バンド26は接続部26a、電極取付部26b及び複数の穴26cを有しており、接続部26aと電極取付部26bとは指装着バンド26の内部で電気的につながっている。指装着バンド26は、シリコーンのような柔軟性及び/又は伸縮性及び/又は弾力性のある材料で構成されている。電極取付部26bが外側になるように指装着バンド26を手の指に巻き付け、接続部26aを複数の穴26cの1つに嵌めて使用するものである。電極27は、略半球形状の電極部27aに凸部27bが形成されたものであり、凸部27bが指装着バンド26の電極取付部26bに嵌まることで、電極27が指装着バンド26に取り付けられる。電極27は、電気刺激を与える部位に応じてサイズの異なるものが適宜使用される。なお、指装着バンド26はウレタン等のようにシリコーン以外の材料への置き換えが可能である。
【0032】
次に、実施の形態3による電気刺激装置1aの使用方法について説明する。
図11に示すように、電極27が取り付けられた指装着バンド26を治療者の指(例えば、
図11では左手の人差し指)に巻き付け、電極コード25の端部の取付部25aを指装着バンド26の接続部26aに接続する。電極27は電極コード25を介して装置本体2に電気的に接続される。治療者の中指に第2スイッチ保持部材16を嵌めるとともに、操作スイッチ5を第2スイッチ保持部材16に取り付ける。操作スイッチ5は、
図9に示すようにスイッチコード6a、6bによって装置本体2に接続されている。二極電極23を被治療者の皮膚表面に貼り付け、治療者が被治療者の皮膚表面に電極27を接触させ、左手の親指で操作スイッチ5を操作する(押しボタン13を押す)ことで、電極27と二極電極23の全体との間で電気刺激が出力される。これにより、治療者の意図した部位、タイミングで被治療者に電気刺激を与えることができ、例えば鎮痛や筋委縮改善を目的としたリハビリテーションを行うことができる。なお、二極電極でなくてもよく、二極電極23の代わりに例えば単一極の電極を用いてもよい。また、指装着バンド26に電極コード25を接続する構成にしているが、指装着バンド26と電極コード25とを一体にした構成にしてもよい。
【0033】
前述のように、第1スイッチ保持部材14と第2スイッチ保持部材16には操作スイッチ5が分離可能に取り付けられている。このため、例えば転倒しかけた被治療者を両手で支える際にスイッチコード6a、6bが引っ張られた場合、操作スイッチ5が第1スイッチ保持部材14又は第2スイッチ保持部材16から分離することで、スイッチコード6a、6bが強く引っ張られて断線するリスクを低減することができる。
【0034】
スイッチ保持部材として第1スイッチ保持部材14及び第2スイッチ保持部材16を用意することにより、各個人の操作のし易さや好みに応じて第1スイッチ保持部材14又は第2スイッチ保持部材16を選択して使用することができる。また、第1スイッチ保持部材14及び第2スイッチ保持部材16と操作スイッチ5とは分離可能であるので、複数の第1スイッチ保持部材14及び/又は第2スイッチ保持部材16に対して1つの操作スイッチ5を用意すればよい。このため、電気刺激装置1、1aを使用する際の利便性が向上する。
【0035】
実施の形態1~3では、第1スイッチ保持部材14の凸部15c又は第2スイッチ保持部材16の凸部16cが操作スイッチ5の凹部12dに嵌まる構成であったが、操作スイッチ5に凸部を設け、その凸部が嵌まる凹部を第1スイッチ保持部材14又は第2スイッチ保持部材16に設けた構成にしてもよい。また、操作スイッチ5を第1スイッチ保持部材14又は第2スイッチ保持部材16に分離可能に取り付ける手段として、フックのような引っ掛け部材、面ファスナー、粘着テープ、ボタン等を用いることができる。
【0036】
第1スイッチ保持部材14に板バネを設け、第1部位14aの他端部14a2と第2部位14bの端部14b1とが遠ざかる方向に力を受けると、板バネの金属弾性によって、それらを近づける方向に力が働くようにしてもよい。第1スイッチ保持部材14では、第1部位14aの他端部14a2と第2部位14bの端部14b1とが近接した形状であるが、それら(他端部14a2と端部14b1)がつながれ、手を入れる空間が第1部位14aと第2部位14bとで取り囲まれた形状であり、前記空間に入れた手の中央付近(手の平側と手の甲側の各中央付近)に第1部位14aと第2部位14bの一部分が押し付けられた状態になる形状の第1スイッチ保持部材であってもよい。また、スイッチ取付部を備えたバンドによって第1スイッチ保持部材を構成し、バンドを手に巻いて面ファスナー等でバンドの端部同士を留めるようにしてもよい。
【0037】
第2スイッチ保持部材として第2スイッチ保持部材16のリング16aの一部分に隙間がある形状、すなわちリング16aの部分がC型のリング形状であってもよい。リング16aの部分がC型のリング形状の第2スイッチ保持部材を金属製にして、金属の塑性変形を利用して手の指又は足の指に第2スイッチ保持部材を嵌めるようにしてもよい。また、スイッチ取付部を備えたバンドによって第2スイッチ保持部材を構成し、バンドを指に巻いて面ファスナー等でバンドの端部同士を留めるようにしてもよい。
【0038】
スイッチ保持部材としてスイッチ取付部を備えたバンドによって構成した場合、例えば操作スイッチを取り付けたスイッチ保持部材を被治療者の上腕部に装着し、治療者が被治療者の上半身をマッサージしながら操作スイッチを操作できるようにしてもよい。また、スイッチ保持部材を足又は足の指に嵌めるよう構成してもよい。このように、スイッチ保持部材は身体の一部位に装着して使用することができる。
【0039】
実施の形態1~3では、操作スイッチ5はスイッチコード6a、6b(有線)を介して電気刺激装置1、1aにつながっていたが、操作スイッチ5は赤外線方式や高周波方式等による無線を介して電気刺激装置1、1aにつながっていてもよい。無線の場合、操作スイッチ5を電気刺激装置1、1aにつなぐスイッチコード6a、6bが不要のため、有線の場合に比べて被治療者に電気刺激を与える作業がしやすい。
【0040】
実施の形態1~3では、操作スイッチ装置21、22が電気刺激装置1、1aに使用される例について説明したが、例えば頸椎や腰椎を牽引して治療を行う牽引治療装置において、牽引治療中に被治療者が気分を悪くしたときなど牽引治療を中止したいときに、被治療者が操作して被治療者に対する牽引動作を停止させるための操作スイッチに、本発明の操作スイッチ装置を使用することができる。被治療者がスイッチ保持部材を例えば手や手の指に嵌めて操作スイッチを操作する際、スイッチ保持部材は手や手の指から離れることはないため、被治療者がスイッチ保持部材を把持していなくても操作スイッチを操作して牽引動作を停止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
被治療者に与える電気刺激の出力を制御するための操作スイッチを備えた電気刺激装置や、被治療者が牽引動作を停止させるための操作スイッチを備えた牽引治療装置等の物理療法用装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1、1a 電気刺激装置
5 操作スイッチ
14 第1スイッチ保持部材
14a 第1部位
14a1 第1部位の一端部
14a2 第1部位の他端部
14b 第2部位
14b1 第2部位の端部
15 スイッチ取付部
15a 凹部
15b 穴部
15c 凸部
16 第2スイッチ保持部材
16a リング
16b スイッチ取付部
16c 凸部
17 穴部
21、22 操作スイッチ装置
23 二極電極
26 指装着バンド
27 電極