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  • 特開-巻取装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097673
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/188 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B65H23/188
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213914
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000151667
【氏名又は名称】株式会社東伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 哲
(72)【発明者】
【氏名】栗塚 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 崇
【テーマコード(参考)】
3F105
【Fターム(参考)】
3F105AA01
3F105AA04
3F105AA08
3F105BA01
3F105CA13
3F105CB01
3F105CB10
(57)【要約】
【課題】製品シートを湾曲させることなく、簡単な構成で、巻取り中に製品シートに常に適切な張力を与えることができる巻取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 製品シート5を巻き取る巻取装置1であって、製品シート5を巻き出す巻出部10と、製品シート5を巻き取る巻取部20と、巻出部10と巻取部20の中間に位置し、製品シート5の張力を制御する張力制御部30と、を備え、巻出部10の製品シート5の巻出し部分、巻取部20の製品シート5の巻取り部分及び張力制御部30の製品シート5に対する張力付与部分が、製品シートを側面視した場合に直線上に並んで配置されている巻取装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品シートを巻き取る巻取装置であって、
前記製品シートを巻き出す巻出部と、
前記製品シートを巻き取る巻取り部と、
前記巻出部と前記巻取り部の中間に位置し、製品シートの張力を制御する張力制御部と、
を備え、
前記巻出部の前記製品シートの巻出し部分、前記巻取り部の前記製品シートの巻取り部分、及び、前記張力制御部の前記製品シートに対する張力付与部分が、前記製品シートを側面視した場合に直線上に並んで配置されていることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取装置において、
前記張力制御部は、
走行する製品シートの表面に接する駆動ロールと、
前記駆動ロールに対向して配置され、駆動ロールに製品シートを押し付けるニップロールと、
を備え、
前記駆動ロールを回転駆動させる際のトルクを制御するトルク制御部を備えていることを特徴とする巻取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取装置において、
前記トルク制御部は、
前記駆動ロールのトルク制御を行うエアクラッチを備えていることを特徴とする巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品シートを湾曲させることなく適切な張力制御を行う巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取装置は、紙、フィルム又は金属箔等の連続したシート状の長尺巻物(以下、製品シートと呼ぶ)を巻き戻しながら、きれいに巻き取る装置である。
巻取装置において、製品シートをきれいに巻き取るためには、巻取り中に製品シートがたるまないよう常に張った状態にする、すなわち、巻取り中に常に製品シートの張力を適切な状態に維持する必要がある。
【0003】
製品シートの張力が強すぎると、製品シートが縮んだり切れたりしてしまい、張力が弱いと製品シートにシワが寄ってしまい、製品シートをきれいに巻き取ることができない。そこで、製品シートに一定の張力を付与するために製品シートを巻き取る一方で、巻出しと巻取りのラインの途中で製品シートの送り速度にブレーキを掛け、製品シートを張った状態にして巻き取る巻取装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010ー254425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような装置では、製品シートに張力を与えて、張った状態にするために、複数のローラーをS字型に配置し、製品シートをその複数のローラーに沿うように移動させることで、製品シートに張力を与えている。
【0006】
この場合、複数のローラーのS字型の配置により、製品シートの曲げ曲率が小さくなるほど、製品シートに強い張力を与えることができる。
しかし、製品シートの材質によっては、製品シート自体が湾曲をさせることが許容されないものもあったり、小さな曲率で湾曲させると製品しーとが破損してしまったりするという課題があった。
【0007】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、製品シートを湾曲させることなく、簡単な構成で、巻取り中に製品シートに常に適切な張力を与えることができる巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
[適用例1]
適用例1に記載の巻取装置(1)は、
製品シート(5)を巻き取る巻取装置(1)であって、
前記製品シート(5)を巻き出す巻出部(10)と、
前記製品シート(5)を巻き取る巻取部(20)と、
前記巻出部(10)と前記巻取部(20)の中間に位置し、製品シート(5)の張力を制御する張力制御部(30)と、
を備え、
前記巻出部(10)の前記製品シート(5)の巻出し部分、前記巻取部(20)の前記製品シート(5)の巻取り部分、及び、前記張力制御部(30)の前記製品シート(5)に対する張力付与部分が、前記製品シート(5)を側面視した場合に直線上に並んで配置されていることを要旨とする。
【0010】
このような巻取装置(1)では、製品シート(5)が巻かれた巻出部(10)の製品シート(5)の巻出し部分と、製品シート(5)を巻き取る巻取部(20)の製品シート(5)の巻取り部分と、巻出部(10)と巻取部(20)の中間に位置し製品シート(5)の張力を制御する張力制御部(30)の製品シート(5)に張力を付与する部分が、前記製品シート(5)を側面視した場合に一直線状になるように配置される。
【0011】
これにより、巻取部(20)の前に配置された張力制御部(30)により、製品シート(5)に張力を与え、巻取り中に製品シート(5)を常に張った状態にするため、製品シート(5)をきれいに巻き取ることができる。
【0012】
また、製品シート(5)を小さな曲率をかけて湾曲させる必要もないため、張力の印加部分を曲げることが許容されない製品シートに適切な張力を印加しつつ巻き取ることができる。さらに、曲げによる製品シート(5)の破損を防ぐことができる。
【0013】
[適用例2]
適用例2に記載の巻取装置(1)は、適用例1に記載の巻取装置(1)において、
前記張力制御部(30)は、
走行する製品シート(5)の一面に接する駆動ロール(31)と、
前記駆動ロール(31)に対向して配置され、駆動ロール(31)に製品シート(5)を他面側から押し付けるニップロール(32)と、
を備え、
前記駆動ロール(31)を回転駆動させる際のトルクを制御するトルク制御部(40)を備えていることを要旨とする。
【0014】
このような巻取装置(1)では、製品シート(5)に張力を与えるために、駆動ロール(31)とニップロール(32)で製品シート(5)を適切な圧力で挟持したうえで、駆動ロール(31)の回転駆動させる際のトルクを制御する。
【0015】
これにより、製品シート(5)の搬送に適度な抵抗を付与することができ、製品シート(5)を巻取部(20)で巻き取る前段で、製品シート(5)に適度な張力を付与することができる。
【0016】
[適用例3]
適用例3に記載の巻取装置は、適用例2に記載の巻取装置(1)において、
前記トルク制御部(40)は、
前記駆動ロール(31)のトルク制御を行うエアクラッチを備えていることを要旨とする。
【0017】
このような巻取装置(1)では、駆動ロール(31)の回転駆動時のトルク制御を行うためにエアクラッチを用いることで、巻取装置(1)の構成が簡単なものとなるとともに、ラインスピードが速い場合でも適切なトルク制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における巻取装置の概略の構成を示す図である。
図2】巻取装置の機能的な概略の構成を示すブロック図である。
図3】トルク制御部の概略の構成を示す図である。
図4】第2実施形態における巻取装置の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な形態をとりうる。
【0020】
[第1実施形態]
図1及び図2に基づき、巻取装置1の構成について説明する。図1は、第1実施形態における巻取装置1の概略の構成を示す図であり、図2は、巻取装置1の機能的な概略の構成を示すブロック図である。また、図3は、トルク制御部40の概略の構成を示す図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、巻取装置1は、巻出部10、巻取部20、張力制御部30及びシステム制御部50(図2参照)を備えている。
【0022】
巻出部10は、図示しない回転軸に巻回された製品シート5を巻出す部分であり、製品シート5の回転軸を回転可能に支持している部分である。
【0023】
巻取部20は、製品シート5を図示しない回転軸に巻き取る部分である。巻取部20は、巻取モータ21を備えており、巻取モータ21を一定回転速度で駆動することにより一定速度で製品シート5を巻き取るようになっている。
【0024】
張力制御部30は、製品シート5の移動方向(巻取方向)において、巻出部10と巻取部20のほぼ中間に設置されている。また、張力制御部30の製品シート5に対して張力を印加する部分が、巻出部10の製品シート5の巻出し部分と巻取部20の製品シート5の巻取り部分に対して、巻き取られる製品シート5を側面視した場合に、ほぼ一直線となるような位置に配置されている。
【0025】
張力制御部30は、駆動ロール31、ニップロール32及びトルク制御部40を備えている。
駆動ロール31及びニップロール32は、表面が樹脂や金属の円柱状の部材であり、製品シート5を上下(表裏面側)から挟み込むように、製品シート5の上下(表裏面側)に対向して設置されている。
【0026】
駆動ロール31の半径はrとなっている。また、ニップロール32を、図示しないバネやエアシリンダなどの付勢装置により駆動ロール31に押し付けることにより、製品シート5を駆動ロール31とニップロール32とで挟み込むようになっている。
【0027】
トルク制御部40は、駆動ロール31の回転軸に連結され駆動ロール31の回転トルクを制御する部分である。
ここで、図3に基づき、トルク制御部40の構成について説明する。図3は、トルク制御部40の概略の構成を示す図である。
【0028】
トルク制御部40は、図3に示すように、カップリング41、トルクセンサ42、クラッチ43、減速機44、ロータリージョイント45及びトルクモータ46を備えている。
カップリング41は、駆動ロール31の回転軸とトルク制御部40とを連結する部材である。
【0029】
トルクセンサ42は、カップリング41を介して連結されている駆動ロール31に印加されるトルクを計測するセンサである。
クラッチ43は、トルクモータ46と減速機44で発生させる回転運動を駆動ロール31に伝達する際に滑りを発生させ、駆動ロール31に印加されるトルク値を制御する部分であり、本実施形態ではエアクラッチを用いている。
【0030】
減速機44は、図示しない複数のギアで構成されており、トルクモータ46で発生させた回転運動の回転方向を90°変更するとともにトルクモータ46の回転軸の回転数を低減する部分である。
【0031】
ロータリージョイント45は、エアクラッチであるクラッチ43にエアを供給するためのジョイント部材であり、クラッチ43が回転している状態で外部からエアを供給できるようになっている。
トルクモータ46は、駆動ローラ31を回転駆動する電動モータであり、後述するシステム制御部50により回転数が制御される。
【0032】
システム制御部50は、図2に示すように、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O及び記憶部を備えており、I/Oを介して、巻取部20の巻取モータ21、トルク制御部40のトルクセンサ42、クラッチ43及びトルクモータ46と接続されている。
【0033】
システム制御部50では、ROMや記憶部に記憶されたプログラムにより以下の(ア)~(オ)に記載する制御を行う。
(ア)巻取モータ21を作動させて製品シート5を巻出部10から巻取部20へ巻き取る。
【0034】
(イ)トルクセンサ42から駆動ロール31に印加されているトルクTを計測する。
(ウ)計測したトルクTと駆動ロール31の半径rから、巻き取り中の製品シート5に印加されている張力F=r×Tを算出する。
【0035】
(エ)算出した張力Fが所定の値となるように、クラッチ43(エアクラッチ)に供給するエアの量を制御する。
(オ)(ア)項における製品シート5の巻き取り中に(イ)~(エ)を連続して実行することにより、製品シート5に所定の張力を印加しつつ巻き取る。
【0036】
(巻取装置1の特徴)
このような巻取装置1では、製品シート5は、巻出部10から巻出された後、駆動ロール31とニップロール32によって挟まれつつ巻取部20に巻き取られる。
【0037】
そして、巻出部10から巻出され搬送される製品シート5に対し、製品シート5が適切に張った状態が維持されるように、巻取部20の前段で製品シート5の張力に応じて駆動ロール31の回転駆動力がトルク制御される。したがって、製品シート5の搬送に適切なブレーキがかかり、巻取部20で製品シート5を巻き取るに際し製品シート5に適切な張力が印加される。
【0038】
ここで、製品シート5を側面から見た場合に、製品シート5が一直線上に搬送されるように、巻出部10、駆動ロール31、ニップロール32及び巻取部20が設置される。したがって、製品シート5を湾曲させることなく巻き取ることができ、曲げ許容されない製品シート5を巻き取ったり、曲げに弱い製品シート5でも破損することなく巻き取ったりすることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、図4に基づき、第2実施形態における巻取装置2について説明する。図4は、第2実施形態における巻取装置2の概略の構成を示す図である。なお、第2実施形態における巻取装置2は第1実施形態における巻取装置1と類似しているため同じ構成品には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
第2実施形態における巻取装置2においては、第1実施形態における張力制御部30を2個備えている。つまり、巻出部10と巻取部20との間に2個の張力制御部30を配置している。
【0041】
このような巻取装置2では、2個の張力制御部30によって、巻き取り中の製品シート5に一定の張力を安定して印加することが可能となり、製品シート5をよりきれいに巻き取ることができる。
【0042】
さらに、2個の張力制御部30のそれぞれで印加する張力の差が一定となるように張力を制御すれば、2個の張力制御部30の間で、製品シート5に安定した張力を印加し巻き取ることができる。
【0043】
(その他の実施形態)
(1)上述した実施形態においては、駆動ロール31のトルク制御を行うためのクラッチ43としてエアクラッチを用いているが、パウダクラッチなど他の形式のクラッチを用いてもよい。
(2)また、クラッチ43を用いずに、直接トルクモータ46の回転トルクを制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…巻取装置、5…製品シート、10…巻出部、20…巻取部、21…巻取モータ、30…張力制御部、31…駆動ロール、32…ニップロール、33…第2駆動ロール、40…トルク制御部、41…カップリング、42…トルクセンサ、43…クラッチ、44…減速機、45…ロータリージョイント、46…トルクモータ、50…システム制御部。
図1
図2
図3
図4