(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097729
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】バスキュラーアクセスマッピングシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213978
(22)【出願日】2021-12-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業、大学発新産業創出プログラム、社会還元加速プログラム(SCORE)大学推進型(拠点都市環境整備型)「東北地域 大学発ベンチャー共創プラットフォーム」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】大塚 忠司
(72)【発明者】
【氏名】成田 一衛
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 友基
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD14
4C601DE04
4C601EE11
4C601GA18
4C601JB34
4C601JC06
4C601JC20
4C601KK33
4C601KK38
4C601KK42
4C601KK49
4C601LL14
4C601LL21
(57)【要約】
【課題】医療機関に容易に導入でき、バスキュラーアクセス(VA)マップの情報共有を図ることができるVAマッピングシステムを提供する。
【解決手段】VAマッピングシステム1は、超音波検査装置3、医療用端末5、及び、レポートサーバ6を備える。医療用端末5は、撮影画像情報、超音波画像情報、血管評価情報、血管マップ情報及び位置情報を含むVA情報Dvを生成する。医療用端末5は、撮影画像に重ねて表される血管マップ情報及び位置情報と、血管評価情報とが記された画像であるVAマップを示すレポート情報Drを生成する。医療用端末5は、VAマップにおける位置情報の表示位置に対して指定入力が行われると、位置情報に対応する超音波画像情報Guが示す超音波画像をポップアップで表示する。レポートサーバ6は、レポート情報Drを医療用端末5から受信して記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関で使用され、バスキュラーアクセスが設けられた被検体の部位に対して超音波検査を行って得られる超音波画像を示す超音波画像情報を生成する超音波検査装置と、
前記医療機関で使用される情報端末である医療用端末と、
前記医療機関に専用のネットワークを介して前記医療用端末と通信を行うレポートサーバと、を備え、
前記医療用端末は、
前記部位を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で前記部位を撮影して得られる撮影画像を示す撮影画像情報、前記超音波画像情報、及び、前記部位の血管の機能評価及び形態評価の少なくともいずれかを示す血管評価情報を取得する情報取得手段と、
前記撮影画像を表示可能な表示手段と、
前記撮影画像に重ねて描かれる前記血管の形状を示す血管マップ情報、及び、前記部位に対して前記超音波検査を行った箇所に相当する前記撮影画像における位置を示す位置情報を入力するための入力手段と、
前記情報取得手段が取得した前記撮影画像情報、前記超音波画像情報及び前記血管評価情報と、前記入力手段から入力された前記血管マップ情報及び前記位置情報とを含む情報であって、前記位置情報と前記超音波画像情報とが対応付けられたバスキュラーアクセス情報を生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、前記バスキュラーアクセス情報に基づき、前記撮影画像に重ねて表される前記血管マップ情報及び前記位置情報と、前記血管評価情報とが記された画像であるバスキュラーアクセスマップを示すレポート情報をさらに生成し、
前記表示手段は、前記バスキュラーアクセスマップを表示可能であり、前記バスキュラーアクセスマップにおける前記位置情報の表示位置に対して前記入力手段を用いた指定入力が行われると、前記位置情報に対応する前記超音波画像情報が示す前記超音波画像をポップアップで表示し、
前記レポートサーバは、前記レポート情報を前記医療用端末から受信して記憶する、
バスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項2】
前記超音波検査装置は、前記血管の機能検査画像を示す機能検査画像情報をさらに生成し、
前記情報取得手段は、前記機能検査画像情報を取得し、
前記生成手段が生成する前記バスキュラーアクセス情報は、前記血管評価情報と対応付けられた前記機能検査画像情報を含み、
前記表示手段は、前記バスキュラーアクセスマップにおける前記血管評価情報の表示位置に対して前記入力手段を用いた指定入力が行われると、前記血管評価情報に対応する前記機能検査画像情報が示す前記機能検査画像をポップアップで表示する、
請求項1に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項3】
前記被検体又は前記被検体の関係者が携帯する情報端末である被検体用端末をさらに備え、
前記情報取得手段は、前記部位の経過を示す経過情報を取得し、
前記生成手段が生成する前記バスキュラーアクセス情報は、前記経過情報を含み、
前記バスキュラーアクセス情報のうち、少なくとも前記血管評価情報及び前記経過情報は、前記被検体用端末に提供可能な補助情報であり、
前記レポートサーバは、前記補助情報を前記医療用端末から受信して記憶し、
前記被検体用端末は、
前記医療用端末又は前記レポートサーバから所定の通信経路を介して前記補助情報を受信し、
受信した前記補助情報に基づいて前記血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像を表示可能である、
請求項1又は2に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項4】
前記レポートサーバは、前記補助情報と対応付けられた前記被検体の識別情報を前記医療用端末から受信して記憶し、
前記レポートサーバから前記補助情報及び前記被検体の識別情報を単方向通信によって受信して記憶する情報提供用サーバをさらに備え、
前記被検体用端末は、前記被検体の識別情報を記憶しており、
前記情報提供用サーバは、
前記被検体用端末から前記補助情報の提供要求があり、且つ、前記補助情報と対応付けられた前記被検体の識別情報と前記被検体用端末に記憶されている前記被検体の識別情報とが一致した場合に、前記被検体用端末に前記補助情報を送信し、
予め定められた前記補助情報の消去条件が成立すると、記憶している前記補助情報及び前記被検体の識別情報を消去し、
前記消去条件は、前記被検体用端末への前記補助情報の送信が完了したことを含む、
請求項3に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項5】
前記医療用端末は、前記情報提供用サーバへのアクセスを許可するための二次元コードを生成し、
前記被検体用端末は、前記医療用端末によって生成された前記二次元コードを読み込んだことに応じて、前記情報提供用サーバへの前記提供要求を行い、
前記消去条件は、前記二次元コードが生成されてから予め定めた期間が経過したことを含む、
請求項4に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記バスキュラーアクセス情報のうち、少なくとも前記血管評価情報及び前記経過情報に基づいて前記血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像を示す補助レポート情報を生成し、
前記表示手段は、前記補助レポート情報が示す補助レポート画像を表示可能である、
請求項3~5のいずれか1項に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【請求項7】
前記医療用端末は、タブレット端末であり、
前記表示手段及び前記入力手段は、前記タブレット端末のタッチパネルにより実現される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のバスキュラーアクセスマッピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスキュラーアクセスマッピングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析において患者等の被検体と透析装置との間で血液循環を可能とするために、被検体の腕等の部位には、シャント等のバスキュラーアクセスが設けられる。バスキュラーアクセスの管理は、バスキュラーアクセスが設けられた部位の超音波画像、当該部位の血管の形状などのバスキュラーアクセスに関する情報をまとめたバスキュラーアクセスマップと呼ばれる資料により行われることがある。現状では、バスキュラーアクセスマップは、医師等の医療者による任意の様式で作成され、規定のフォーマットがない。このため、バスキュラーアクセスマップの情報共有が効率的に行われているとは言い難い。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンピュータの制御で移動機構を介して超音波プローブを検査対象の部位上で移動させる超音波診断システムが記載されている。このシステムは、バスキュラーアクセスマップを表示させるために必要な血管マップデータを、超音波プローブが取得した超音波画像データと超音波プローブの移動量とに基づき自動的に生成する。
【0004】
また、特許文献2には、超音波プローブによる超音波画像をタブレット端末で閲覧可能とする超音波診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-63119号公報
【特許文献2】特開2021-6139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシステムは、前提として超音波プローブを移動させる移動機構が必須であり、様々な医療機関への導入が容易ではない。また、特許文献1は、バスキュラーアクセスマップの効率的な運用手法を提示していない。特許文献2は、タブレット端末を超音波画像のモニターとして使用する技術を開示するに留まっている。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、医療機関に容易に導入でき、バスキュラーアクセスマップの情報共有を図ることができるバスキュラーアクセスマッピングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るバスキュラーアクセスマッピングシステムは、
医療機関で使用され、バスキュラーアクセスが設けられた被検体の部位に対して超音波検査を行って得られる超音波画像を示す超音波画像情報を生成する超音波検査装置と、
前記医療機関で使用される情報端末である医療用端末と、
前記医療機関に専用のネットワークを介して前記医療用端末と通信を行うレポートサーバと、を備え、
前記医療用端末は、
前記部位を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で前記部位を撮影して得られる撮影画像を示す撮影画像情報、前記超音波画像情報、及び、前記部位の血管の機能評価及び形態評価の少なくともいずれかを示す血管評価情報を取得する情報取得手段と、
前記撮影画像を表示可能な表示手段と、
前記撮影画像に重ねて描かれる前記血管の形状を示す血管マップ情報、及び、前記部位に対して前記超音波検査を行った箇所に相当する前記撮影画像における位置を示す位置情報を入力するための入力手段と、
前記情報取得手段が取得した前記撮影画像情報、前記超音波画像情報及び前記血管評価情報と、前記入力手段から入力された前記血管マップ情報及び前記位置情報とを含む情報であって、前記位置情報と前記超音波画像情報とが対応付けられたバスキュラーアクセス情報を生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、前記バスキュラーアクセス情報に基づき、前記撮影画像に重ねて表される前記血管マップ情報及び前記位置情報と、前記血管評価情報とが記された画像であるバスキュラーアクセスマップを示すレポート情報をさらに生成し、
前記表示手段は、前記バスキュラーアクセスマップを表示可能であり、前記バスキュラーアクセスマップにおける前記位置情報の表示位置に対して前記入力手段を用いた指定入力が行われると、前記位置情報に対応する前記超音波画像情報が示す前記超音波画像をポップアップで表示し、
前記レポートサーバは、前記レポート情報を前記医療用端末から受信して記憶する。
【0009】
前記超音波検査装置は、前記血管の機能検査画像を示す機能検査画像情報をさらに生成し、
前記情報取得手段は、前記機能検査画像情報を取得し、
前記生成手段が生成する前記バスキュラーアクセス情報は、前記血管評価情報と対応付けられた前記機能検査画像情報を含み、
前記表示手段は、前記バスキュラーアクセスマップにおける前記血管評価情報の表示位置に対して前記入力手段を用いた指定入力が行われると、前記血管評価情報に対応する前記機能検査画像情報が示す前記機能検査画像をポップアップで表示する、ようにしてもよい。
【0010】
前記バスキュラーアクセスマッピングシステムは、前記被検体又は前記被検体の関係者が携帯する情報端末である被検体用端末をさらに備え、
前記情報取得手段は、前記部位の経過を示す経過情報を取得し、
前記生成手段が生成する前記バスキュラーアクセス情報は、前記経過情報を含み、
前記バスキュラーアクセス情報のうち、少なくとも前記血管評価情報及び前記経過情報は、前記被検体用端末に提供可能な補助情報であり、
前記レポートサーバは、前記補助情報を前記医療用端末から受信して記憶し、
前記被検体用端末は、
前記医療用端末又は前記レポートサーバから所定の通信経路を介して前記補助情報を受信し、
受信した前記補助情報に基づいて前記血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像を表示可能である、ようにしてもよい。
【0011】
前記レポートサーバは、前記補助情報と対応付けられた前記被検体の識別情報を前記医療用端末から受信して記憶し、
前記バスキュラーアクセスマッピングシステムは、前記レポートサーバから前記補助情報及び前記被検体の識別情報を単方向通信によって受信して記憶する情報提供用サーバをさらに備え、
前記被検体用端末は、前記被検体の識別情報を記憶しており、
前記情報提供用サーバは、
前記被検体用端末から前記補助情報の提供要求があり、且つ、前記補助情報と対応付けられた前記被検体の識別情報と前記被検体用端末に記憶されている前記被検体の識別情報とが一致した場合に、前記被検体用端末に前記補助情報を送信し、
予め定められた前記補助情報の消去条件が成立すると、記憶している前記補助情報及び前記被検体の識別情報を消去し、
前記消去条件は、前記被検体用端末への前記補助情報の送信が完了したことを含む、ようにしてもよい。
【0012】
前記医療用端末は、前記情報提供用サーバへのアクセスを許可するための二次元コードを生成し、
前記被検体用端末は、前記医療用端末によって生成された前記二次元コードを読み込んだことに応じて、前記情報提供用サーバへの前記提供要求を行い、
前記消去条件は、前記二次元コードが生成されてから予め定めた期間が経過したことを含む、ようにしてもよい。
【0013】
前記生成手段は、前記バスキュラーアクセス情報のうち、少なくとも前記血管評価情報及び前記経過情報に基づいて前記血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像を示す補助レポート情報を生成し、
前記表示手段は、前記補助レポート情報が示す補助レポート画像を表示可能である、ようにしてもよい。
【0014】
前記医療用端末は、タブレット端末であり、
前記表示手段及び前記入力手段は、前記タブレット端末のタッチパネルにより実現される、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、医療機関に容易に導入でき、バスキュラーアクセスマップの情報共有を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバスキュラーアクセスマッピングシステムの構成を示す図。
【
図2】同上実施形態に係る医療用端末の構成を示す図。
【
図3】同上実施形態に係るバスキュラーアクセスマップの一例を示す図。
【
図4】(a)~(c)は、同上実施形態に係る医療用端末が表示する画像の遷移例を示す図。
【
図5】同上実施形態に係る被検体用端末が読み取る二次元コードの表示例を示す図。
【
図6】同上実施形態に係る被検体用端末の構成を示す図。
【
図7】同上実施形態に係る情報提供用サーバが実行する補助情報提供処理のフローチャート。
【
図8】同上実施形態に係る被検体用端末が実行する補助レポート情報生成処理のフローチャート。
【
図9】同上実施形態に係る補助レポート画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すバスキュラーアクセスマッピングシステム1は、病院、医院などの医療機関2に設けられ、被検体のバスキュラーアクセスマップの効率的な情報共有を可能とする。この実施形態の被検体は患者である。以下では、バスキュラーアクセス(Vascular Access)を「VA」とも略する。
【0019】
VAマッピングシステム1は、超音波検査装置3と、画像サーバ4と、医療用端末5、レポートサーバ6と、プリンタ7と、被検体用端末8と、情報提供用サーバ9と、を備える。
【0020】
超音波検査装置3、画像サーバ4、医療用端末5、レポートサーバ6及びプリンタ7は、医療機関2に専用のローカルネットワークである専用ネットワークN1を介して互いに通信可能である。これらの各構成は、専用ネットワークN1と通信接続可能な通信モジュールを備えるものとする。専用ネットワークN1は、例えば、HIS(Hospital Information System)ネットワークである。
図1では、専用ネットワークN1を示す枠線で囲まれた構成が、当該ネットワークに接続可能であることを表している。
【0021】
被検体用端末8と情報提供用サーバ9は、医療機関2内(以下、院内とも言う)に設けられた公衆ネットワークN2を介して互いに通信可能である。被検体用端末8及び情報提供用サーバ9は、公衆ネットワークN2と通信接続可能な通信モジュールを備えるものとする。公衆ネットワークN2は、例えば、図示せぬ無線アクセスポイントを備える公衆無線LAN(Local Area Network)であり、患者用に公開されている。
図1では、公衆ネットワークN2を示す枠線で囲まれた構成が、当該ネットワークに接続可能であることを表している。
【0022】
(超音波検査装置3)
超音波検査装置3は、プローブ30と、本体部31とを備える。プローブ30は、患者のVAが設けられた腕等の部位に対して超音波を送信し、当該部位で反射した反射波を受信する複数の探触子を有する。臨床工学技士等の医療者は、プローブ30を操作して当該部位に対して超音波検査を行う。
【0023】
超音波検査装置3の本体部31は、コンピュータから構成される制御装置、表示装置及び入力装置を有する。制御装置は、プローブ30が受信した反射波に基づき、超音波検査を行った部位の超音波画像U(
図4(b)参照)を示す超音波画像情報Guを生成する。また、制御装置は、当該部位の血管の機能検査画像F(
図4(c)参照)を示す機能検査画像情報Gfを生成する。表示装置は、超音波画像U及び機能検査画像Fを表示する。入力装置は、キーボード、マウス、タッチパッド等からなり、医療者による入力操作を受け付ける。
【0024】
機能検査画像Fは、(i)シャント血流量(FV:Flow Volume)、血管抵抗指数(RI:Resistance Index)等の血管の機能評価を行うためのパルスモード画像、(ii)血管径、皮膚表面からの血管の深さ等の血管の形態評価を行うためのカラードプラモード画像などである。
【0025】
超音波検査装置3を操作する医療者は、入力装置を用いて、被検体(患者)のIDである識別情報Di、後述の血管評価情報B1を制御装置に入力可能である。なお、血管評価情報B1は、超音波検査に基づき制御装置が生成するものであってもよい。超音波検査装置3の制御装置は、生成した超音波画像情報Gu及び機能検査画像情報Gfを識別情報Diに紐付け、超音波検査を行った日時を示すタイムスタンプを付与した状態で、画像サーバ4に伝送する。
【0026】
(画像サーバ4)
画像サーバ4は、例えばDICOMサーバ等から構成されるファイルサーバ(ストレージサーバ)である。画像サーバ4は、超音波検査装置3から受信した、識別情報Diに紐付けられ、タイムスタンプが付与された超音波画像情報Gu及び機能検査画像情報Gfを格納する。
【0027】
(医療用端末5)
医療用端末5は、医療機関2の医師等の医療者が使用する情報端末であり、この実施形態ではタブレット端末から構成される。医療用端末5は、
図2に示すように、制御部50と、記憶部51と、撮影部52と、入力部53と、表示部54とを備える。
【0028】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコントローラである。制御部50において、CPUがROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、RAMをワークメモリとして用いながら、医療用端末5の全体の動作を制御する。
【0029】
記憶部51は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリである。記憶部51は、アプリケーションプログラムを含む、制御部50が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを必要に応じて記憶する。また、記憶部51は、制御部50が各種処理を行うことにより生成又は取得したデータを記憶する。本実施形態で記憶部51が記憶する各種情報については後述する。
【0030】
撮影部52は、医療用端末5に内蔵されたデジタルカメラである。この実施形態では、撮影部52は、VAが設けられた患者の部位(例えば腕)を撮影し、当該部位が写った撮影画像P(
図3参照)を示す撮影画像情報Gpを生成する。
【0031】
入力部53は、例えば静電容量方式のタッチパッドから構成され、医療者による入力操作を受け付ける。当該タッチパッドは透光性を有し、表示部54の前面に配置される。医療者は、入力部53に対するタッチ操作により、制御部50に対する入力操作を行う。当該タッチ操作は、医療者の指、スタイラスペン等により行われる。
【0032】
表示部54は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、制御部50の制御の下で画像を表示する。本実施形態の表示部54及び入力部53により、タブレット端末のタッチパネル5Tが構成される。
【0033】
制御部50は、主な機能部として、情報取得部50aと、VA情報生成部50bと、表示制御部50cとを備える。
【0034】
情報取得部50aは、撮影部52から撮影画像情報Gpを取得する。また、情報取得部50aは、画像サーバ4に問い合わせを行い、タイムスタンプ及び識別情報Diの少なくともいずれかをキーとして、超音波画像情報Gu及び機能検査画像情報Gfを取得する。当該キーは、入力部53から入力されればよい。なお、医療用端末5を超音波検査装置3と直接、有線又は無線通信で接続することで、情報取得部50aは、超音波検査装置3から直接、超音波画像情報Gu及び機能検査画像情報Gfを取得してもよい。識別情報Diは、超音波検査装置3から送信され、情報取得部50aによって取得されてもよいし、医療用端末5の入力部53から入力されるものであってもよい。
【0035】
また、情報取得部50aは、後述の血管評価情報B1、経過情報B2及びVA詳細情報B3の少なくともいずれかを取得可能である。血管評価情報B1、経過情報B2及びVA詳細情報B3は、入力部53を用いた医療者による操作によって入力された後、情報取得部50aによって取得されてもよい。また、血管評価情報B1、経過情報B2及びVA詳細情報B3は、専用ネットワークN1との接続が許可される医療機関2で使用される端末(図示の医療用端末5とは別の端末)から送信され、情報取得部50aによって取得されてもよい。血管評価情報B1については、超音波検査装置3から超音波画像情報Gu等と共に、画像サーバ4を介して医療用端末5に送信された後、情報取得部50aによって取得されてもよい。情報取得部50aは、取得した上記の各種情報を記憶部51に格納する。
【0036】
ここで、本実施形態で記憶部51に記憶される情報について説明する。記憶部51は、被検体(患者)のVAに関するデータセットであるVA情報Dvと、VAマップR(
図3参照)を示すレポート情報Drと、VA情報Dv及びレポート情報Drと対応付けられた当該被検体を識別するための識別情報Diと、を記憶する。VA情報Dv及びレポート情報Drは、VA情報生成部50bによって生成される。
【0037】
VA情報Dvは、撮影画像情報Gp、超音波画像情報Gu、機能検査画像情報Gf、血管マップ情報A1、位置情報A2、血管評価情報B1、経過情報B2及びVA詳細情報B3を含む。これらの情報のうち、少なくとも血管マップ情報A1及び位置情報A2は、医療者により入力部53を用いて入力され、記憶部51に記憶される。
【0038】
血管マップ情報A1は、
図3に示すように、撮影画像Pに重ねて描かれる血管の形状を示す。例えば、血管マップ情報A1は、撮影画像Pに写された患者の腕などに対する、動脈及び静脈の形状、幅、位置などを模式的に示したものであればよい。血管マップ情報A1は、撮影画像Pが表示されたタッチパネル5Tの入力部53に対し、医師等の医療者がスタイラスペン又は指によって描くことにより入力される。
【0039】
位置情報A2は、患者の腕などの部位に対し、超音波検査装置3により超音波検査を行った箇所に相当する撮影画像Pにおける位置である。
図3では、星型のアイコンが位置情報A2に相当する。
【0040】
血管評価情報B1は、超音波検査が行われた部位の血管の機能評価及び形態評価の少なくともいずれかを示す。機能評価は、シャント血流量(FV:Flow Volume)、血管抵抗指数(RI:Resistance Index)等である。形態評価は、(i)血管径、(ii)皮膚表面からの血管の深さ、(iii)血管の硬さ、詰まり等を示す血管の性状、などである。
【0041】
経過情報B2は、VAが設けられた部位の経過を示す情報であり、超音波検査を行った検査日時、治療内容、治療日、閉塞日などを含む。つまり、経過情報B2は、VAが設けられた患者の治療歴とも言える。検査日時は、超音波検査装置3から画像サーバ4等を介して取得されてもよい。治療内容は、VAに関する治療内容であり、例えば、VA狭窄の治療法である、PTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)に代表されるVAIVT(Vascular Access Intervention Therapy)等である。治療日は、VAに関する治療を行った日である。閉塞日は、VA(例えばシャント)の狭窄又は閉塞が認められた日である。
【0042】
VA詳細情報B3は、VA種類、VA位置などを示す情報である。VA種類は、自己静脈内シャント、人工血管内シャント、動脈表在化、透析用カテーテルなどである。VA位置は、患者の身体においてVAが設けられた位置であり、右前腕、右上腕、左前腕、左上腕、右下肢、左下肢などである。
【0043】
この実施形態では、VA情報Dvが含む情報のうち、血管評価情報B1、経過情報B2及びVA詳細情報B3は、被検体用端末8に提供可能な補助情報Bを構成する。
【0044】
制御部50の説明に戻り、VA情報生成部50bは、入力部53及び情報取得部50aの少なくともいずれかを介して取得した各種情報から、VA情報Dvを生成する。具体的に、VA情報生成部50bは、位置情報A2と超音波画像情報Guとを対応付けるとともに、血管評価情報B1と機能検査画像情報Gfとを対応付けて、VA情報Dvを生成する。なお、対応付けられた位置情報A2及び超音波画像情報Guのセットが複数あってもよいことは勿論である。同様に、対応付けられた血管評価情報B1及び機能検査画像情報Gfのセットも複数あってもよい。
【0045】
また、VA情報生成部50bは、VA情報Dvに基づき、撮影画像Pに重ねて表される血管マップ情報A1及び位置情報A2と、血管評価情報B1とが記された画像であるVAマップRを示すレポート情報Drを生成する。
【0046】
図3にVAマップRの一例を示す。このVAマップRでは、撮影画像Pに写った患者の腕(被検体の部位)とは重ならない位置に、血管の機能評価を示す血管評価情報B1が記されている(テキストで表示されている)。VAマップRにおいて、血管評価情報B1の表示位置の上部には検査日時が記されている。
【0047】
なお、記憶部51は、医療機関2の患者毎にVA情報Dv、識別情報Di、レポート情報Drを記憶する。また、1の患者につき、複数のVA情報Dv及びレポート情報Drがある場合は、これら情報が当該患者の履歴データとして蓄積される。
【0048】
表示制御部50cは、VA情報Dv及びレポート情報Drに基づき表示部54の表示動作を制御して、VAに関する情報を表示部54に画像を表示させる。表示制御部50cの制御により、表示部54は、以下のように動作する。
【0049】
表示部54は、
図4(a)に示すように、VAマップRを表示可能である。表示部54は、VAマップRにおける位置情報A2の表示位置に対して入力部53を用いた指定入力が行われると、位置情報A2に対応する超音波画像情報Guが示す超音波画像Uを、
図4(b)に示すようにポップアップで表示する。表示部54は、VAマップRにおける血管評価情報B1の表示位置に対して入力部53を用いた指定入力が行われると、血管評価情報B1に対応する機能検査画像情報Gfが示す機能検査画像Fを、
図4(c)に示すようにポップアップで表示する。上記の指定入力は、入力部53へのタッチ操作(例えばタップ)で行われる。なお、超音波画像U又は機能検査画像Fは、表示部54の画像表示可能領域のうち、任意の領域にポップアップで表示されればよい。
【0050】
制御部50は、上記機能の他、入力部53を用いた指示入力に応じて、被検体用端末8に情報提供用サーバ9へのアクセスを許可するための二次元コードを生成し、
図5に示すように、表示部54に表示させることが可能である。
【0051】
また、制御部50は、VA情報生成部50bにおいて生成したVA情報Dv及びレポート情報Drを識別情報Diと紐付けて、専用ネットワークN1によりレポートサーバ6へ伝送する。
【0052】
(レポートサーバ6)
レポートサーバ6は、医療用端末5から受信した、識別情報Diと紐付けられたVA情報Dv及びレポート情報Drを格納するファイルサーバ(ストレージサーバ)である。医療機関2内の医療者が使用する他の端末(図示の医療用端末5とは別の端末)からも専用ネットワークN1を介して、レポートサーバ6にアクセスすることができる。したがって、VA情報Dv及びレポート情報Drは、医療機関2において共有される。なお、レポートサーバ6は、医療機関2に既設の電子カルテサーバ、検査システムサーバ等であってもよい。また、レポートサーバ6は、医療用端末5から他のサーバを介してVA情報Dv及びレポート情報Drを受信してもよい。
【0053】
(プリンタ7)
プリンタ7は、専用ネットワークN1を介して医療用端末5からレポート情報Drを受信し、
図3に例示するレポート画像Rを出力する(紙に印刷する)。プリンタ7は、医療用端末5の入力部53を用いた指示入力に応じて、レポート画像Rを出力する。なお、プリンタ7は、レポートサーバ6からレポート情報Drを受信し、レポート画像Rを出力してもよい。
【0054】
(被検体用端末8)
被検体用端末8は、被検体である患者が携帯する情報端末であり、例えばスマートフォンから構成される。なお、被検体用端末8は、患者の家族、保護者、後見人など、被検体の関係者が携帯するものであってもよい。
【0055】
被検体用端末8は、
図6に示すように、制御部80と、記憶部81と、撮影部82と、入力部83と、表示部84とを備える。これらの各種構成は医療用端末5と同様であるため、以下では医療用端末5と異なる機能について主に説明する。
【0056】
被検体用端末8の制御部80は、二次元コードを読み取って情報提供用サーバ9にアクセスする処理、後述の補助レポート情報生成処理を、記憶部81に格納されているアプリケーションプログラム(以下、専用アプリと言う。)に従って実行する。専用アプリは、例えば、医療機関2から示されるURL(Uniform Resource Locator)によってダウンロード可能であればよい。専用アプリを実行する制御部80は、主な機能部として、基準値算出部80aと、状態評価部80bと、補助レポート生成部80cとを備える。これら機能部については、後述の補助レポート情報生成処理とともに説明する。
【0057】
記憶部81には、医療機関2における被検体(患者)のIDである識別情報Tiが格納される。例えば、当該識別情報Tiは、専用アプリをダウンロードする際に、被検体用端末8の入力部83を用いた操作によって入力され、記憶部81に記憶される。また、記憶部81には、後述の補助情報提供処理の実行に応じて、被検体用端末8が補助情報Bを取得した場合には、取得した補助情報Bが記憶される。また、記憶部81には、後述の補助レポート情報生成処理の実行により生成される補助レポート情報Tsが記憶される。
【0058】
撮影部82は、スマートフォンに内蔵されたデジタルカメラであり、
図5に示すように、医療用端末5に表示された二次元コードを読み取るために用いられる。入力部83及び表示部84は、スマートフォンのタッチパネル8Tを構成する。
【0059】
(情報提供用サーバ9)
情報提供用サーバ9は、レポートサーバ6から補助情報B及び識別情報Diを単方向通信によって受信して記憶する。具体的に、情報提供用サーバ9は、単方向通信ケーブル9aによってレポートサーバ6と接続されている。単方向通信は、単向通信(simplex)とも呼ばれる。単方向通信ケーブル9aは、レポートサーバ6から情報提供用サーバ9への一方向にのみデータを伝送する。単方向通信ケーブル9aは、例えば、RS-232C方式のケーブル、FT232Hを使用した高速通信対応のUSB(Universal Serial Bus)-シリアル変換モジュールが組み込まれたケーブル等であればよい。
【0060】
情報提供用サーバ9は、CPU、ROM、RAM等を備える制御部と、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、を備える。情報提供用サーバ9の制御部において、CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、RAMをワークメモリとして用いて、
図7に示す補助情報提供処理を実行可能である。情報提供用サーバ9は、補助情報提供処理を実行することで被検体用端末8に補助情報Bを提供可能である。補助情報提供処理の実行前には、情報提供用サーバ9は、レポートサーバ6から補助情報Bを受信し、情報提供用サーバ9の記憶装置に補助情報Bが記憶されているものとする。
【0061】
(補助情報提供処理)
まず、情報提供用サーバ9(CPU)は、被検体用端末8から補助情報Bの提供要求があったか否かを判別する(ステップS901)。被検体用端末8による提供要求は以下のように行われる。
【0062】
医療者による入力部53を用いた指示入力に応じて、医療用端末5は、
図5に示すように、タッチパネル5T(表示部54)に二次元コードを表示する。医療用端末5の制御部50によって生成される二次元コードは、例えば、ワンタイムパスワードと、被検体用端末8に提供を許可する補助情報Bのデータ固有のIDと、被検体(患者)の識別情報Diと、二次元コードの生成時刻を示すタイムスタンプを含む暗号化データを示す。被検体用端末8は、前述の専用アプリに従って撮影部82で、医療用端末5に表示された二次元コードを読み込むと、情報提供用サーバ9に補助情報Bの提供要求を行う。
【0063】
図7に戻って、被検体用端末から提供要求があった場合(ステップS901;Yes)、情報提供用サーバ9は、補助情報Bに対応する識別情報Diと、被検体用端末8の識別情報Tiが一致しているか否かを判別する(ステップS902)。例えば、情報提供用サーバ9は、被検体用端末8からの提供要求と共に識別情報Tiを受信し、受信した識別情報Tiが識別情報Diと一致しているか否かを判別する。あるいは、情報提供用サーバ9は、認証済を示す信号を被検体用端末8から取得した際に、識別情報Tiと識別情報Diとが一致していると判別してもよい。この場合、被検体用端末8は、二次元バーコードの読み込みに応じて取得した識別情報Diが識別情報Tiと一致する際に、認証済を示す信号を提供要求とともに情報提供用サーバ9に送信する。
【0064】
識別情報Diと識別情報Tiが一致した場合(ステップS902;Yes)、情報提供用サーバ9は、被検体用端末8へ補助情報Bを送信する(ステップS903)。
【0065】
識別情報Diと識別情報Tiが一致しない場合(ステップS902;No)、情報提供用サーバ9は、被検体用端末8へエラーを示すエラー信号を送信することで、エラー報知を実行する(ステップS904)。エラー信号の受信に応じて、被検体用端末8の表示部84には、「IDが一致しません」、「データ送信が許可されません」等のエラーメッセージが表示される。
【0066】
ステップS903の実行後、ステップS904の実行後、又はステップS901でNoの場合、情報提供用サーバ9は、補助情報Bの消去条件が成立したか否かを判別する(ステップS905)。当該消去条件は、被検体用端末8への補助情報Bの送信が完了したこと、及び、二次元コードが生成されてから予め定めた期間が経過したことを含む。例えば、情報提供用サーバ9は、被検体用端末8から補助情報Bのダウンロードが完了した旨の信号を受信すると、消去条件が成立したと判別する。また、情報提供用サーバ9は、二次元コードの生成時刻を示すタイムスタンプを取得した被検体用端末8から、タイムアウトを示す信号を受信すると、消去条件が成立したと判別する。二次元コードの生成時刻からタイムアウトまでの期間は任意に設定可能であるが、情報セキュリティの観点から、例えば2分、5分といった比較的短い期間であればよい。
【0067】
補助情報Bの消去条件が成立していない場合(ステップS905;No)、情報提供用サーバ9は、ステップS901に戻って処理を実行する。一方、補助情報Bの消去条件が成立した場合(ステップS905;Yes)、情報提供用サーバ9は、レポートサーバ6から受信し、記憶している補助情報Bを消去する(ステップS906)。例えば、ステップS906で、情報提供用サーバ9のCPUは、情報提供用サーバ9の記憶装置に記憶されている補助情報Bを直ちに消去する。また、当該CPUは、情報提供用サーバ9のRAMに一時的に記憶された補助情報Bに関連するデータを併せて消去してもよい。
【0068】
上記のように、二次元コードが生成されてから予め定めた期間が経過した場合にも、情報提供用サーバ9から補助情報Bが消去される。この場合、医療用端末5は、医療者による指示入力に応じて新たに二次元コードを生成したことを契機に、レポートサーバ6から情報提供用サーバ9に補助情報Bを新たに送信させればよい。
【0069】
ステップS906に続いて、情報提供用サーバ9は、記憶装置に補助情報Bの残存がないか否かを判別する(ステップS907)。残存が認められる場合(ステップS907;No)、情報提供用サーバ9は、補助情報Bの残存がなくなる(ステップS907;Yes)まで、ステップS906の実行を繰り返し行う。そして、情報提供用サーバ9は、補助情報Bの残存がなくなると(ステップS907;Yes)、補助情報提供処理を終了する。
【0070】
補助情報提供処理を実行する際の一連の操作は、迅速に行われ、医療者と同じ診療室内にいる被検体(患者)に対し、医療者の目の前で行われるようにデザインされている。仮にデータ破損、送受信エラーがあった場合には、その場で医療者が不成功を確認でき、再度、医療用端末5を操作することで、二次元コードを提示することができる。以上が補助情報提供処理である。
【0071】
続いて、被検体用端末8が受信した補助情報Bに基づき、補助レポート画像S(
図9参照)を示す補助レポート情報Tsを生成する補助レポート情報生成処理について、
図8を参照して説明する。補助レポート画像Sは、被検体(患者)に対し、VAに関する治療経過、治療計画への理解を補助するために被検体用端末8に表示される。
【0072】
被検体用端末8の制御部80は、前述の専用アプリに従って、補助レポート情報生成処理を実行する。補助レポート情報生成処理は、例えば、被検体用端末8が情報提供用サーバ9から補助情報Bを受信し、記憶部81に格納したことに応じて開始される。
【0073】
(補助レポート情報生成処理)
制御部80は、補助レポート情報生成処理を開始すると、基準値算出部80aの機能で、補助情報Bに含まれるVA詳細情報B3に基づき、血流基準値を算出する(ステップS801)。血流基準値は、例えば、正常と認められるFVの範囲を示す。記憶部81には、VA詳細情報B3が示すVA種類及びVA位置に応じて血流基準値を算出するための、図示せぬ基準値算出用データが予め格納されている。基準値算出部80aは、VA種類及びVA位置と、基準値算出用データとに基づき血流基準値を算出する。例えば、基準値算出用データは、(i)VA種類及びVA位置と、算出すべき血流基準値とが対応付けられて構成されたテーブルデータ、(ii)VA種類及びVA位置の入力に応じて血流基準値を出力するアルゴリズム等で構成されていればよい。なお、血流基準値は、正常と認められるRIの範囲であってもよい。また、基準値算出部80aは、正常と認められるFVの範囲及びRIの範囲の双方を算出してもよい。以下では、血流基準値がFVの範囲を示すものとして説明を進める。
【0074】
続いて、制御部80は、状態評価部80bの機能で、補助情報Bに含まれる血管評価情報B1及び経過情報B2に基づき、評価対象情報を生成する(ステップS802)。評価対象情報は、血管の状態評価を行うためのデータであるとともに、例えば、超音波検査日、治療日の時系列情報を可視化するためのデータである。後述のように表示される補助レポート画像S(
図9参照)においては、検査日毎のFV値を示す折れ線グラフと、治療日を示すアイコン(図示例ではPTAと記された箇所)等が評価対象情報に基づき示される。また、状態評価部80bは、前回検査時のFVと今回検査時のFVの変化量も算出する。さらに、状態評価部80bは、前回の治療日から現在までの経過期間も算出する。算出したFVの変化量及び経過期間も、評価対象情報に含まれる、
【0075】
続いて、状態評価部80bは、ステップS801で基準値算出部80aが算出した血流基準値と、ステップS802で生成した判定対象情報とに基づき、対象患者の血管の状態を判定する(ステップS803)。例えば、状態評価部80bは、血流基準値(例えば基準となるFVの範囲)の中央値に対する今回のFV値に応じて、「異常なし」、「軽度閉塞リスク」、「中等度閉塞リスク」、「高度閉塞リスク」等に段階的に血管の状態を評価する。このような段階評価は、血流基準値の中央値から今回のFV値が下回れば下回る程、高いリスクがあると状態評価部80bが評価するように設定されている。
【0076】
また、状態評価部80bは、前回の治療日からの経過期間に基づき、これから行う治療が保険治療適応に該当するかの評価を行うことも可能である。例えば、状態評価部80bは、前回の治療日からの経過期間に基づき、これから行う治療の保険治療適応につき、「適応なし」、「適応可能性が高い」、「適応あり」等に段階的に評価可能である。例えば、状態評価部80bは、保険治療の適応可能性について、(i)現時点で前回の治療日から3ヶ月以上経過している場合は「適応あり」と評価し、(ii)現時点で前回の治療日から3ヶ月以上経過していないが、血流の条件が追加診療の条件を満たしている場合は「適応可能性が高い」と評価し、(iii)現時点で前回の治療日から3ヶ月以上経過しておらず、且つ、前記追加診療の条件を満たしていない場合は「適応なし」と評価する。保険治療適応の可能性について評価するためのアルゴリズムは、補助レポート情報生成処理を実行するためのプログラムに組み込まれ、記憶部81に記憶されていればよい。なお、保険治療適応基準が変更された場合、補助レポート情報生成処理を実行するためのプログラムのアップデートにより、保険治療適応の可能性について評価するためのアルゴリズムは、変更後の保険治療適応基準を考慮したアルゴリズムに修正されればよい。
【0077】
続いて、制御部80は、補助レポート生成部80cの機能で、血管の状態の評価結果、保険治療適応の評価結果、検査日毎のFV値、治療日などを可視化した、
図9に示すような補助レポート画像Sを示す補助レポート情報Tsを生成し(ステップS804)、記憶部81に記憶させる。そして、制御部80は、補助レポート画像Sを表示部84に表示させる。なお、状態評価部80bは、RIに基づき血管の状態を評価してもよいし、FV及びRIの双方を用いて血管の状態を評価してもよい。以上が補助レポート情報生成処理である。
【0078】
なお、専用ネットワークN1内には、医療機関2に専用のNTP(Network Time Protocol)サーバ(図示せず)が設けられており、画像サーバ4、医療用端末5、レポートサーバ6等は当該専用のNTPサーバによりタイムスタンプが同期される。当該タイムスタンプを用い、画像サーバ4から医療用端末5へのデータ伝送、レポートサーバ6を介した医療用端末5から情報提供用サーバ9へのデータ伝送等が行われる。一方、公衆ネットワークN2はインターネットに接続され、公衆ネットワークN2内に設けられた情報提供用サーバ9には、インターネット上で現在時刻を送信するNTPサーバによりタイムスタンプが同期される。これにより、医療用端末5から、レポートサーバ6及び情報提供用サーバ9を介して、被検体用端末8へ補助情報Bを安全に伝送することができる。
【0079】
本発明は以上の実施形態、変形例及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態に適宜の変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0080】
(変形例)
以上では被検体が患者である例を示したが、被検体は患畜であってもよい。つまり、VAマッピングシステム1は、医療機関2としての動物病院で用いられてもよい。また、VAが設けられる被検体の部位は、腕に限られず、脚など任意である。
【0081】
医療用端末5は、タブレット端末に限られず、診療室で用いられるノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC等であってもよい。これらのPCは、タッチパネル5Tを備えていてもよいし、入力部53と表示部54とが別体に構成されたものであってもよい。この場合、入力部53は、マウス、タッチパッド等のポインティングデバイスであればよい。また、撮影部52は、PCに内蔵されるものに限らず、PCと接続されたデジタルカメラであってもよい。また、被検体用端末8は、被検体又は被検体の関係者に携帯されるものであればよく、タブレット端末であってもよい。
【0082】
以上では被検体用端末8が補助レポート情報Tsを生成し、補助レポート画像Sを表示する例を示したが、医療用端末5が補助レポート画像Sを表示可能であってもよい。つまり、医療用端末5の制御部50が、基準値算出部80a、状態評価部80b及び補助レポート生成部80cの機能をさらに備え、上記と同様の手順により、補助レポート情報Tsを生成してもよい。そして、医療用端末5の表示部54に補助レポート画像Sが表示可能であってもよい。そして、診療室において医療用端末5に表示された補助レポート画像Sを患者等に提示することにより、VAに関する治療経過、治療計画への理解を助けるようにしてもよい。また、医療用端末5で生成した補助レポート情報Tsをレポートサーバ6に格納し、前述の補助情報提供処理と同様の手順で、補助レポート情報Tsを被検体用端末8に提供してもよい。
【0083】
被検体用端末8に提供する補助情報Bは、少なくとも、血管評価情報B1及び経過情報B2を含んでいればよい。例えば、ステップS801で、被検体用端末8の基準値算出部80aは、VA詳細情報B3を用いずに、予め定められた標準的な血流基準値を算出してもよい。また、被検体用端末8に提供する補助情報Bは、血管評価情報B1及び経過情報B2を含む限りにおいては、VA情報Dvの少なくとも一部の情報であればよい。例えば、補助情報Bは、超音波画像情報Gu、機能検査画像情報Gf等を含んでいてもよい。さらに、被検体用端末8に提供する補助情報Bは、レポート情報Drを含んでいてもよい。そして、被検体用端末8においてもVAマップRを閲覧可能としてもよい。さらに、補助情報Bは、VA情報Dvの全部であってもよい。
【0084】
以上では、医療機関2内に、画像サーバ4とレポートサーバ6を別個に設けた例を示したが、レポートサーバ6が画像サーバ4の機能を有していてもよい。つまり、レポートサーバ6は、超音波検査装置3からの各種データを直接受信してもよい。また、VAマッピングシステム1の各構成が複数設けられても良いことは勿論である。例えば、専用ネットワークN1を介して互いに通信可能な超音波検査装置3及び医療用端末5の一方と他方との対応関係は、1対複数であってもよいし、複数対複数であってもよい。
【0085】
以上では、被検体用端末8が、医療用端末5、レポートサーバ6、単方向通信ケーブル9a、情報提供用サーバ9の順の通信経路を介して補助情報Bを受信する例を示した。しかしながら、セキュリティを担保できる限りにおいては、被検体用端末8がどのような通信経路を介して補助情報Bを受信するかは任意に設計可能である。以下、当該通信経路の変形例を説明する。
【0086】
例えば、レポートサーバ6からクラウドによる外部ストレージに補助情報Bを一定期間だけ保存し、情報提供用サーバ9は、当該外部ストレージから補助情報Bを受信してもよい。
【0087】
例えば、医療用端末5又はレポートサーバ6からクラウドによる外部ストレージに補助情報Bを一定期間だけ保存し、被検体用端末8は、当該外部ストレージから補助情報Bを受信してもよい。この場合、例えば、医療用端末5に外部ストレージへのアクセスを許可するための二次元コードを表示し、被検体用端末8に当該二次元コードを読み取らせることで、当該外部ストレージから補助情報Bをダウンロードさせることができる。
【0088】
補助レポート画像Sは、
図9に例示するようにグラフを用いた態様に限られず、テキストデータを用いた表により構成されてもよい。また、医療用端末5又はプリンタ7から出力した画像に表示した二次元コードを、被検体用端末8で読み取ることにより、VA情報Dvの少なくとも一部、レポート情報Drの少なくとも一部、補助レポート情報Tsの少なくとも一部などが、被検体用端末8に表示されてもよい。
【0089】
医療用端末5又はレポートサーバ6は、クラウドを介して、VAマッピングシステム1を利用している他の医療機関に、VAマップRを示すレポート情報Dr、VA情報Dv等を提供可能であってもよい。
【0090】
状態評価部80bは、機械学習が施された学習モデルを用いたものであってもよい。例えば、FV、RI、FVの変化量、RIの変化量などを説明変数とし、血管の状態を示す段階をラベルとして、ニューラルネットワークなど公知の数理モデルを用いた機械学習を施し、前記の学習モデルを構築することもできる。こうすれば、血管の状態評価の精度を向上させることができる。
【0091】
以上に説明した各処理を実行するプログラムは、着脱自在の記録媒体により配布・提供されてもよい。また、プログラムは、その実行対象の機器と接続された他の機器からダウンロードされるものであってもよい。また、プログラムの実行対象の機器は、他の機器と電気通信ネットワークなどを介して各種データの交換を行うことによりプログラムに従う各処理を実行してもよい。
【0092】
(効果)
以上に説明したVAマッピングシステム1が奏する効果を以下に説明する。
【0093】
(1)VAマッピングシステム1は、超音波検査装置3、医療用端末5、及び専用ネットワークN1を介して医療用端末5と通信を行うレポートサーバ6を備える。
医療用端末5は、撮影部52(撮影手段の一例)、情報取得部50a(情報取得手段の一例)、表示部54(表示手段の一例)、入力部53(入力手段の一例)及びVA情報生成部50b(生成手段の一例)を備える。VA情報生成部50bは、情報取得部50aが取得した撮影画像情報Gp、超音波画像情報Gf及び血管評価情報B1と、入力部53から入力された血管マップ情報A1及び位置情報A2とを含む情報であって、位置情報A2と超音波画像情報Guとが対応付けられたVA情報Dvを生成する。VA情報生成部50bは、VA情報Dvに基づき、撮影画像Pに重ねて表される血管マップ情報A1及び位置情報A2と、血管評価情報B1とが記された画像であるVAマップRを示すレポート情報Drをさらに生成する。表示部54は、VAマップRを表示可能であり、VAマップRにおける位置情報A2の表示位置に対して入力部53を用いた指定入力が行われると、位置情報A2に対応する超音波画像情報Guが示す超音波画像Uをポップアップで表示する。
レポートサーバ6は、レポート情報Drを医療用端末5から受信して記憶する。
【0094】
上記(1)の構成によれば、医療用端末5の操作により簡易にVAマップRを作成することができる。また、医療用端末5にプログラムを実装すればよいため、医療機関2に容易に導入できる。さらに、医療機関2の専用ネットワークN1と接続可能な院内端末からレポートサーバ6にアクセスすることで、フォーマット化されたVAマップRを医療者が閲覧可能であるため、VAマップの情報共有を図ることができる。さらに、以下の効果も期待される。
・簡便で簡潔明瞭なシステムによりVAマップRの作成時間の短縮化を図ることができ、医療者の人的資源の損失を低減することができる。
・病変の早期発見、早期治療によりVAの閉塞を防げる。
・保険診療費請求に際し、客観的証拠(証拠となる検査画像)を残せるため、保険診療の不正請求を防止できる。
【0095】
(2)VA情報生成部50bが生成するVA情報Dvは、血管評価情報B1と対応付けられた機能検査画像情報Gfを含み、表示部54は、VAマップRにおける血管評価情報B1の表示位置に対して入力部53を用いた指定入力が行われると、血管評価情報B1に対応する機能検査画像情報Gfが示す機能検査画像Fをポップアップで表示してもよい。
【0096】
上記(2)の構成によれば、医療用端末5に表示されたVAマップRから、超音波画像Uだけでなく、機能検査画像Fも容易に閲覧することができる。
【0097】
(3)VAマッピングシステム1は、被検体用端末8をさらに備えていてもよい。この場合、VA情報生成部50bが生成するVA情報Dvは、経過情報B2を含み、VA情報Dvのうち、少なくとも血管評価情報B1及び経過情報B2は、被検体用端末8に提供可能な補助情報Bである。レポートサーバ6は、前記補助情報Bを医療用端末5から受信して記憶する。
被検体用端末8は、医療用端末5又はレポートサーバ6から所定の通信経路を介して補助情報Bを受信し、受信した補助情報B1に基づいて血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像Sを表示可能である。
【0098】
上記(3)の構成によれば、患者との情報共有が図れるとともに、患者教育も図ることができる。
【0099】
(4)レポートサーバ6は、補助情報Bと対応付けられた被検体の識別情報Diを医療用端末5から受信して記憶し、VAマッピングシステム1は、レポートサーバ6から補助情報B及び被検体の識別情報Diを単方向通信によって受信して記憶する情報提供用サーバ9をさらに備えていてもよい。この場合、被検体用端末8は、被検体の識別情報Tiを記憶している。
情報提供用サーバ9は、被検体用端末8から補助情報Bの提供要求があり、且つ、補助情報Bと対応付けられた被検体の識別情報Diと被検体用端末8に記憶されている被検体の識別情報Tiとが一致した場合に、被検体用端末8に補助情報Bを送信する。また、情報提供用サーバ9は、予め定められた補助情報Bの消去条件が成立すると、記憶している補助情報B及び被検体の識別情報Diを消去し、消去条件は、被検体用端末8への補助情報Bの送信が完了したことを含む。
【0100】
上記(4)の構成によれば、医療機関2に情報提供用サーバ9を設けるだけで、個人情報の院外漏洩を防ぎつつも、被検体用端末8に補助情報Bを提供することができる。また、被検体用端末8に補助情報Bを提供すると、直ちに情報提供用サーバ9から補助情報B及び被検体の識別情報Diが消去されるため、個人情報の院外漏洩をより効果的に防ぐことができる。
【0101】
(5)医療用端末5は、情報提供用サーバ9へのアクセスを許可するための二次元コードを生成してもよい。この場合、被検体用端末8は、医療用端末5によって生成された二次元コードを読み込んだことに応じて、情報提供用サーバ9への提供要求を行い、消去条件は、二次元コードが生成されてから予め定めた期間が経過したことを含む。
【0102】
上記(5)の構成によれば、被検体用端末8を携帯する患者等に対し、簡易な操作により情報提供用サーバ9へアクセスさせることができ、且つ、個人情報の院外漏洩をより効果的に防ぐことができる。
【0103】
(6)VA情報生成部50bは、VA情報Dvのうち、少なくとも血管評価情報B1及び経過情報B2に基づいて血管の状態を評価し、当該評価結果が表された補助レポート画像Sを示す補助レポート情報Tsを生成してもよい。この場合、表示部54は、補助レポート情報Tsが示す補助レポート画像Sを表示可能である。
【0104】
上記(6)の構成によれば、診療室において医療用端末5に表示された補助レポート画像Sを患者等に提示することにより、VAに関する治療経過、治療計画への理解を助けることができる。
【0105】
(7)医療用端末5は、タブレット端末であり、表示部54及び入力部53は、タブレット端末のタッチパネル5Tにより実現されてもよい。
【0106】
上記(7)の構成によれば、医療者による持ち運びが容易であり、血管マップ情報A1、位置情報A2等の入力操作も容易である。
【0107】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0108】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0109】
1…バスキュラーアクセス(VA)マッピングシステム、2…医療機関
3…超音波検査装置
4…画像サーバ
5…医療用端末、5T…タッチパネル
50…制御部、50a…情報取得部、50b…VA情報生成部、50c…表示制御部
51…記憶部、52…撮影部、53…入力部、54…表示部
6…レポートサーバ
7…プリンタ
8…被検体用端末、8T…タッチパネル
80…制御部、80a…基準値算出部、80b…状態評価部、80c…補助レポート生成部
81…記憶部、82…撮影部、83…入力部、84…表示部
9…情報提供用サーバ、9a…単方向通信ケーブル
N1…専用ネットワーク、N2…公衆ネットワーク
Dv…VA情報、Di…識別情報
Dr…レポート情報、R…VAマップ
Gp…撮影画像情報、P…撮影画像
Gu…超音波画像情報、U…超音波画像
Gf…機能検査画像情報、F…機能検査画像
A1…血管マップ情報、A2…位置情報
B…補助情報、B1…血管評価情報、B2…経過情報、B3…VA詳細情報
Ti…識別情報
Ts…補助レポート情報、S…補助レポート画像