(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097736
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】船舶システム、表示装置、及び船舶プログラム
(51)【国際特許分類】
B63B 49/00 20060101AFI20230703BHJP
B63B 79/30 20200101ALI20230703BHJP
B63B 81/00 20200101ALI20230703BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230703BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230703BHJP
【FI】
B63B49/00 Z
B63B79/30
B63B81/00
G06Q10/04
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213988
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】角田 勇人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】船舶の寿命を予測することができる船舶システム、表示装置、及び船舶プログラムを提供する。
【解決手段】情報取得部11は、環境保全に関してランク付けに基づく評価を行うことができる基準値を取得することができる。また、船舶システム100は、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部12を備える。これにより、実績値予測部12は、指標に対して将来的に実績値がどのように推移するかを予測することができる。また、船舶システム100は、基準値、及び実績値予測部12による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する寿命予測部13を備える。従って、寿命予測部13は、過去の実績に基づく実績値予測結果と、ランク付けの基準値とを比較することで、船舶150の寿命を予測することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得部と、
過去の実績に基づいて前記指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部と、
前記基準値、及び実績値予測部による実績値予測結果に基づいて、船舶の寿命を予測する寿命予測部と、を備える、船舶システム。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記基準値の時間的変化に基づく第1のグラフを取得し、
前記実績値予測部は、前記実績値予測結果の時間的変化に基づく第2のグラフを取得し、
前記寿命予測部は、前記第1のグラフと前記第2のグラフとの交点に基づいて、前記寿命を予測する、請求項1に記載の船舶システム。
【請求項3】
前記寿命予測部の寿命予測結果に基づいて、前記船舶の寿命を延ばすための方法を提案する提案部を更に備える、請求項1又は2に記載の船舶システム。
【請求項4】
環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値の時間的変化に基づく第1のグラフと、
過去の実績に基づいて前記指標に対する実績値の予測を行った実績値予測結果の時間的変化に基づく第2のグラフと、
前記第1のグラフと前記第2のグラフとの交点に基づいて予測した船舶の寿命と、を表示する、表示装置。
【請求項5】
環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得ステップと、
過去の実績に基づいて前記指標に対する実績値の予測を行う実績値予測ステップと、
前記基準値、及び実績値予測ステップによる実績値予測結果に基づいて、船舶の寿命を予測する寿命予測ステップと、をコンピュータに実行させる、船舶プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶システム、表示装置、及び船舶プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶システムとして、特許文献1に記載されたものが知られている。この船舶システムは、過去の燃料消費の実績に基づいて、船舶の燃費を予測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、環境保全のための数値的実績に基づいてランク付けがなされた指標が適用される場合がある。例えば、温室効果ガス削減のためにCII(Carbon Intensity Indicator)という規則に係る指標が適用される場合がある。この規則は、計測した船舶のCO2排出量に応じて船の格付けを行うものであるため、当該格付けによって船の優劣が決まり、船のCO2排出量が悪いと、船舶の改善計画(オペレーションの改善や改造や解撤等)の提出を義務付ける等の指標となっている。このように、CIIは、船舶の改善計画(改造や解撤等)の投資判断に影響を与えることが予想されるが、船舶の改善計画の基準となる船舶の寿命が分かりにくく、船舶の将来における投資判断が行いずらいという問題がある。なお、ここでいう寿命とは、船舶の改善計画の基準となる時期、言い換えれば、環境性能の要求強化によって、法的、社会的、経済的に価値を失う時期であるものとする。
【0005】
そこで、本発明は、船舶の寿命を予測することができる船舶システム、表示装置、及び船舶プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る船舶システムは、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得部と、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部と、規準値、及び実績値予測部による実績値予測結果に基づいて、船舶の寿命を予測する寿命予測部と、を備える。
【0007】
船舶システムは、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得部を備える。これにより、情報取得部は、環境保全に関してランク付けに基づく評価を行うことができる基準値を取得することができる。また、船舶システムは、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部を備える。これにより、実績値予測部は、指標に対して将来的に実績値がどのように推移するかを予測することができる。また、船舶システムは、基準値、及び実績値予測部による実績値予測結果に基づいて、船舶の寿命を予測する寿命予測部を備える。従って、寿命予測部は、過去の実績に基づく実績値予測結果と、ランク付けの基準値とを比較することで、船舶の寿命を予測することができる。
【0008】
情報取得部は、ランク情報に対応して、基準値の時間的変化を示す第1のグラフを取得し、実績値予測部によって予測された実績値予測結果の時間的変化を示す第2のグラフを取得し、寿命予測部は、第1のグラフと第2のグラフとの交点に基づいて、寿命を予測してよい。このような構成によれば、寿命予測部は、二つのグラフによって視覚的に分かり易い態様にて、船舶の寿命を予測することができる。
【0009】
船舶システムは、寿命予測部の寿命予測結果に基づいて、船舶の寿命を延ばすための方法を提案する提案部を更に備えてよい。この場合、運転者は、寿命予測結果に基づいて、船舶の寿命を延ばすことが可能になる。
【0010】
本発明に係る表示装置は、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対し、ランク付けがなされた基準値の時間的変化を示す第1のグラフと、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行った実績値予測結果の時間的変化を示す第2のグラフと、第1のグラフと第2のグラフとの交点に基づいて予測した船舶の寿命と、を表示する。
【0011】
表示装置によれば、二つのグラフによって視覚的に分かり易い態様にて、船舶の寿命の予測結果を表示することができる。
【0012】
本発明に係る船舶プログラムは、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対し、ランク付けされた基準値を取得する情報取得ステップと、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測ステップと、指標のランク情報、及び実績値予測ステップによる実績値予測結果に基づいて、船舶の寿命を予測する寿命予測ステップと、を備える。
【0013】
本発明に係る船舶プログラムによれば、上述の船舶システムと同様な作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、船舶の寿命を予測することができる船舶システム、表示装置、及び船舶プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る船舶システムを示すブロック図である。
【
図2】船舶が航海している様子を示す概略図である。
【
図3】CIIのランク付けについて説明するための概念図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る船舶システムの処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る船舶システム100を示すブロック図である。船舶システム100は、船舶150(
図2参照)に搭載されるシステムであり、船舶150の寿命を予測するシステムである。ただし、船舶システム100の一部、及び全部は必ずしも船上に設けられていなくともよく、陸上に設けられても良い。例えば、最低限のデータが船上から陸上に送信され、陸上で演算が行われてもよい。ここで、船舶システム100は、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対し、ランク付けされた基準値を用いて、船舶150の寿命を予測する。このような指標として、温室効果ガス削減のためにCII(Carbon Intensity Indicator)という規則に係る指標が採用される。
【0018】
CIIの指標及びランク付けについて、
図3を参照しながら説明する。まず、各船舶について、CII指標ガイドラインに基づいたCII計算値の算出が行われる。船舶の種類に応じてCII計算値を算出するための計算方法が定められている。例えば、ばら積み貨物船、タンカー、コンテナ船、ガス船、LNG船、一般貨物船、冷凍運搬船、兼用船については、「CO
2排出量/(DWT×航海距離)」によって求められる。なお、DWTは、夏期最大満載喫水を示し、IEE証明書の「Supplement」の値が用いられる。クルーズ船、自動車運搬船、またはRO-PAXフェリーについては、「CO
2排出量/(総トン数×航海距離)」によって求められる。次に、CIIリファレンスライン(CII平均値)が求められる。CIIリファレンスラインは、「CII
ref=a・Capacity
-c」で求められる。なお、係数a及び係数cは、船舶の種類に応じて定められる値である。「Capacity」は、先に挙げたCII算出式中のDWT部分に採用される値である。
【0019】
次に、CII基準値が求められる。CII基準値は、「CII基準値=((100-Z)/100)×CIIref」で求められる。「Z」は、削減率(%)を示しており、船種ごとのCIIリファレンスラインからの削減率を示している。削減率(Z%)は、2023年から適用開始されて、5%だったものが2026年までは毎年2%ずつ加算され、その後も加算されることが、見込まれている。
【0020】
図3に示すように、CIIリファレンスラインからの削減率(Z%)によってCII基準値が定められる。このCII基準値を基準として、A~Eのランク付けがなされる。具体的には、CII基準値に対して各ランクの閾値d
1~d
4が設定され、閾値d
1~d
4に基づいてA~Eランクに分けられる。このようなCII基準値、及び各ランクの閾値d
1~d
4は、船舶の種類に応じて設定される。評価対象に係る船舶150についてのCII計算値を計算し、当該CII計算値と、CII基準値及び閾値d
1~d
4とを比較することで、評価対象に係る船舶150のランク情報を把握することができる。
【0021】
船舶システム100の構成について説明する。船舶システム100は、例えば、船舶に設けられる。ただし、船舶システム100の一部、及び全部は必ずしも船上に設けられていなくともよく、陸上に設けられても良い。
図1に示すように、船舶システム100は、入力装置2と、表示装置3と、演算装置10と、を備える。
【0022】
入力装置2は、使用者が演算装置10に対して各種情報を入力するためのユーザインターフェースである。入力装置2は、キーボード、タッチパネル、マウス、マイクなどの入力器によって構成される。表示装置3は、演算装置10からの信号に基づいて、使用者に各種情報を表示するためのユーザインターフェースである。表示装置3は、モニタなどの出力器によって構成される。
【0023】
演算装置10は、航路評価を行うための各種演算を行う装置である。演算装置10は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェースを統括し、後述する演算装置10の機能を実現する。演算装置10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。演算装置10は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。演算装置10は、情報取得部11と、実績値予測部12と、寿命予測部13と、提案部14と、記憶部16と、を備える。
【0024】
情報取得部11は、環境保全のための数値的実績に基づく指標(上述のCII)に対するランク付けの基準値を取得する。情報取得部11は、船舶150の船種に基づいたCII基準値及び閾値d1~d4を取得する。船舶150の船種は、入力装置2の入力情報から取得されてもよく、記憶部16から取得されてもよい。
【0025】
図4~
図7に示すように、情報取得部11は、基準値の時間的変化に基づく第1のグラフG1を取得する。
図4~
図7は、船舶150の寿命の予測を行う様子を示す図であり、表示装置3の表示内容を示す図である。
図4~
図7の縦軸は燃料消費量指標(前述のCII)を示し、横軸は時間(西暦)を示す。前述のように、削減率(Z%)は年を追うごとに加算されるため、第1のグラフG1は、時間が経過するに従って減少してゆく。
【0026】
実績値予測部12は、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う。実績値予測部12は、過去の船舶150の運航によるCIIの指標に対する実績値を入力装置2の入力情報から取得されてもよく、記憶部16から取得されてもよい。過去の実績値は、過去の所定の西暦における一年分の実績に基づいて計算されたCII計算値である。実績値予測部12は、
図4~
図7に示すように、直近の過去数年分の実績値RVをプロットする。
【0027】
実績値予測部12は、プロットした過去の実績値RVに基づいて、CIIの指標に対する未来の実績値を予測する。具体的には、実績値予測部12は、実績値予測結果の時間的変化に基づく第2のグラフG2を取得する。実績値予測部12は、プロットした過去の実績値RVに対して近似線を設定し、当該近似線を第2のグラフG2として採用してよい。このような近似線の設定方法は特に限定されず、線形補間法などの公知の方法が採用されてよい。
【0028】
寿命予測部13は、CIIの指標に対する基準値、及び実績値予測部12による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する。なお、ここでいう寿命とは、船舶の改善計画の基準となる時期、言い換えれば、環境性能の要求強化によって、法的、社会的、経済的に価値を失う時期であるものとする。
【0029】
具体的に、
図4に示すように、寿命予測部13は、第1のグラフG1と第2のグラフG2との交点CP1に基づいて、寿命を予測する。寿命予測部13は、交点CP1における横軸の値(西暦)を、船舶150の寿命として取得する。なお、
図4には、第1のグラフG1として、DランクのグラフG1D(DランクとEランクの境界を示すグラフ)が示されている。また、
図5にはCランクのグラフG1Cが示され、
図6にはBランクのグラフG1Bが示され、
図7にはAランクのグラフG1Aが示される。第1のグラフG1としてCII基準値よりも高いランクである
図7のAランクのグラフG1Aを採用した場合、第1のグラフG1は
図4に示すものより低い値のグラフとなる。従って、第1のグラフG1と第2のグラフG2の交点CP1は横軸の負側へシフトするため、船舶150の寿命は短くなる。これは、高いランクを基準として寿命を予測した場合には、寿命が短くなることを意味する。
【0030】
船主は、第1のグラフG1として、AランクのグラフG1Aを採用してもよいし、BランクのグラフG1BやCランクのグラフG1Cを採用してもよい。BランクのグラフG1BやCランクのグラフG1Cを採用すれば、船舶の寿命は長くなるので、船主のニーズに合わせた寿命の予測を可視化することができる。また、Aランクの表示画面をBランクの表示画面に切り替えたり、Aランクの表示画面をCランクの表示画面に切り替えることもできるので、船主は船舶の投資時期をより分かりやすく把握することができる。
【0031】
図4~
図7に示すグラフは、表示装置3にて表示される。すなわち、表示装置3は、第1のグラフG1、過去の実績値RV、第2のグラフG2、及び交点CP1を画面上に表示する。
【0032】
提案部14は、寿命予測部13の寿命予測結果に基づいて、船舶150の寿命を延ばすための方法を提案する。提案部14は、例えば、船舶150の寿命を延ばすための方法として、燃料を変更すること、船舶150の速度を低下させること、及び船舶150の帆を変えることなどを提案する。提案部14の提案内容は、表示装置3に表示される。
【0033】
図8及び
図9に示すように、提案部14は、燃料を変更することを提案する場合、変更後の燃料のCIIの指標に対する実績値の時間的変化を示す予想線G3,G4を取得する。予想線G3は、燃料をLNGとした場合の予測結果を示す。予想線G4は、燃料をアンモニアとした場合の予測結果を示す。提案部14は、予想線G3と第1のグラフG1との交点CP2を、燃料をLNGに変更したときの船舶150の寿命であると予測する。提案部14は、予想線G4と第1のグラフG1との交点CP3を、燃料をアンモニアに変更したときの船舶150の寿命であると予測する。表示装置3は、予想線G3,G4及び交点CP2,CP3を表示してよい。なお、
図8及び
図9には、第1のグラフG1としてDランクのグラフG1Dを採用した場合の交点CP2,CP3を示しているが、ランクを変更してもよい。
【0034】
提案部14は、速度を低下させることを提案する場合、低下後のCIIの指標に対する実績値の時間的変化を示す予想線G5を取得する。予想線G5は、船舶150の速度を5%低下させた場合の予測結果を示す。提案部14は、予想線G5と第1のグラフG1との交点CP4を、燃料をLNGに変更したときの船舶150の寿命であると予測する。表示装置3は、予想線G4及び交点CP4を表示してよい。なお、
図8及び
図9には、第1のグラフG1としてDランクのグラフG1Dを採用した場合の交点CP4を示しているが、ランクを変更してもよい。
【0035】
これにより、船主はより視覚的に投資時期と具体的な投資内容を検討することができる。なお、
図8では、5年分の実績から予想線を算出しているが、
図9では、3年分の実績から予想線を算出している。3年目までは、ほとんどCO
2排出量が変わらないので、
図9の予想線の傾きは
図8よりは小さい。
図4~
図7では3年分の実績から予測線を算出しているが、5年分の実績から予測線を算出してよい。ここで、何年分のデータを使うかは、任意に決められてよい。
【0036】
なお、提案部14は表示内容を常に表示装置3に表示してもよいし、船主がマニュアルで表示装置3を表示したいときに表示しても良い。但し、マニュアルで表示装置3の表示を行う(通常提案部14の提案を停止している)場合、昨年のCII実績よりも所定以上CIIが悪くなった場合は、自動的に提案部14を表示装置3に表示してもよい。これによって、船主が、船舶150の寿命を延ばすための確認を忘れたとしても、提案部14が自動的に表示装置3に表示されるので、投資時期を逃すことを抑制できる。
【0037】
記憶部16は、船舶システム100における各種処理を行うための情報を記憶する。例えば、記憶部16は、各船種に対応するCII基準値及び閾値を記憶してよい。また、記憶部16は、船舶150の寿命を予測する船舶プログラムPを記憶している。
【0038】
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る船舶システム、及び船舶プログラムPの内容について説明する。
図10に示す処理内容は、コンピュータに船舶プログラムPを実行させることによって実施される。
図10は、本実施形態に係る船舶システム100の処理内容を示すフローチャートである。
図10に示すように、情報取得部11は、CIIの指標に対するランク付けの基準値を取得する(ステップS10:情報取得ステップ)。次に、実績値予測部12は、過去の実績に基づいてCIIの指標に対する実績値の予測を行う(ステップS20:実績値予測部)。
【0039】
次に、寿命予測部13は、ステップS10で取得した基準値、及びステップS20による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する(ステップS30)。次に、提案部14は、ステップS30での寿命予測結果に基づいて、船舶150の寿命を延ばすための方法を提案する(ステップS40)。以上により、
図10に示す処理が終了する。
【0040】
次に、本実施形態に係る船舶システム100、表示装置3、及び船舶プログラムPの作用・効果について説明する。
【0041】
本実施形態に係る船舶システム100は、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得部11と、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部12と、基準値、及び実績値予測部12による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する寿命予測部13と、を備える。
【0042】
船舶システム100は、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得部11を備える。これにより、情報取得部11は、環境保全に関してランク付けに基づく評価を行うことができる基準値を取得することができる。また、船舶システム100は、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測部12を備える。これにより、実績値予測部12は、指標に対して将来的に実績値がどのように推移するかを予測することができる。また、船舶システム100は、基準値、及び実績値予測部12による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する寿命予測部13を備える。従って、寿命予測部13は、過去の実績に基づく実績値予測結果と、ランク付けの基準値とを比較することで、船舶150の寿命を予測することができる。
【0043】
情報取得部11は、ランク情報に対応して、基準値の時間的変化を示す第1のグラフG1を取得し、実績値予測部12によって予測された実績値予測結果の時間的変化を示す第2のグラフG2を取得し、寿命予測部13は、第1のグラフG1と第2のグラフG2との交点に基づいて、寿命を予測してよい。このような構成によれば、寿命予測部13は、二つのグラフによって視覚的に分かり易い態様にて、船舶150の寿命を予測することができる。
【0044】
船舶システム100は、寿命予測部13の寿命予測結果に基づいて、船舶150の寿命を延ばすための方法を提案する提案部14を更に備えてよい。この場合、運転者は、寿命予測結果に基づいて、船舶150の寿命を延ばすことが可能になる。
【0045】
本実施形態に係る表示装置3は、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値の時間的変化を示す第1のグラフG1と、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行った実績値予測結果の時間的変化を示す第2のグラフG2と、第1のグラフG1と第2のグラフG2との交点に基づいて予測した船舶150の寿命と、を表示する。
【0046】
表示装置3によれば、二つのグラフによって視覚的に分かり易い態様にて、船舶150の寿命の予測結果を表示することができる。
【0047】
本実施形態に係る船舶プログラムPは、環境保全のための数値的実績に基づく指標に対するランク付けの基準値を取得する情報取得ステップS10と、過去の実績に基づいて指標に対する実績値の予測を行う実績値予測ステップS20と、指標のランク情報、及び実績値予測ステップS20による実績値予測結果に基づいて、船舶150の寿命を予測する寿命予測ステップS30と、を備える。
【0048】
本実施形態に係る船舶プログラムPによれば、上述の船舶システム100と同様な作用・効果を得ることができる。
【0049】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0050】
例えば、
図4に示すグラフは一例に過ぎず、適宜変更してもよい。また、表示装置3は、
図4の内容を全て表示してもよいし、一部の情報を表示してもよい。
【符号の説明】
【0051】
11…情報取得部、12…実績値予測部、13…寿命予測部、14…提案部、100…船舶システム、P…船舶プログラム。