(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097737
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法並びに試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230703BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230703BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/543 581A
C07K16/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213989
(22)【出願日】2021-12-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000131474
【氏名又は名称】株式会社シノテスト
(72)【発明者】
【氏名】小野 幸恵
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA60
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA52
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制し、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制した試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬等を提供する。
【解決手段】試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定方法等において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とするものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定方法において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項2】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、請求項1に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項3】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項4】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項1に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項5】
担体が粒子である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項6】
担体がラテックス粒子である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【請求項7】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【化1】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【請求項8】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【化2】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【請求項9】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定試薬において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を含有することを特徴とする、試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項10】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、請求項9に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項11】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項12】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項9に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項13】
担体が粒子である、請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項14】
担体がラテックス粒子である、請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【請求項15】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、請求項9~請求項14のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【化1】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【請求項16】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、請求項9~請求項14のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【化2】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数である。)]
【請求項17】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項18】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、請求項17に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項19】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項17又は請求項18に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項20】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項17に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項21】
担体が粒子である、請求項17~請求項20のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項22】
担体がラテックス粒子である、請求項17~請求項21のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【請求項23】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、請求項17~請求項22のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【化1】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【請求項24】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、請求項17~請求項22のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【化2】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【請求項25】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項26】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、請求項25に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項27】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項25又は請求項26に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項28】
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、請求項25に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項29】
担体が粒子である、請求項25~請求項28のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項30】
担体がラテックス粒子である、請求項25~請求項29のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【請求項31】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、請求項25~請求項30のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【化1】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【請求項32】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、請求項25~請求項30のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【化2】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敗血症等の疾患のマーカーとなりうる試料中のHMGB1(ハイモビリティーグループプロテイン-1;HMG-1)の測定方法及び測定試薬、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法並びに試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法に関するものである。
本発明は、臨床検査、臨床病理学及び医学などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
【背景技術】
【0002】
ハイモビリティーグループプロテイン(High Mobility Group Protein)は、クロマチン構造に含まれる大量の非ヒストンタンパク質として1964年に発見され、すべての高等動植物に普遍的に含まれるタンパク質であり、種族間で一次構造の保存性は極めて高い。
また、核内ばかりではなく、細胞質内にも豊富に存在することが分かっている。
生理作用ははっきりとは分かっていないが、HMGB1はDNAと結合する際に二重螺旋構造を緩めることから、転写反応の際にDNAの高次構造を最適構造に変化させて転写活性を高めるという、極めて広範囲の転写促進因子及びヌクレオソーム弛緩因子として機能すると考えられている。
【0003】
ハイモビリティーグループプロテインには、いくつかの種類が存在する。例えば、ハイモビリティーグループプロテイン-1(HMGB1)、ハイモビリティーグループプロテイン-2(HMGB2)、ハイモビリティーグループプロテイン-3(HMGB3)、ハイモビリティーグループプロテイン-8(HMGB8)、ハイモビリティーグループプロテイン-17(HMGB17)、ハイモビリティーグループプロテイン-I(HMGBI)、ハイモビリティーグループプロテイン-Y(HMGBY)、ハイモビリティーグループプロテイン-I(Y)(HMGBI(Y))、ハイモビリティーグループプロテイン I-C(HMGB I-C)等を挙げることができる。
【0004】
ワングらは1999年に、HMGB1自体を免疫原として調製したポリクローナル抗体を使用したウエスタンブロット法により、初めて血清中(血液中)のHMGB1の定量測定を行った。
その結果、ワングらは、HMGB1が敗血症のマーカーとなりうることを示した。
そして、敗血症の患者において、生き残る患者と、死に至る患者を判別することが、精密に血液中のHMGB1を測定することによって可能であることを示した。
【0005】
即ち、ただ単に血液中でのHMGB1の存在を確認するだけではなく、精密に定量することの有用性が明らかにされた(非特許文献1参照)。
【0006】
なお、先に、HMGB1の測定に用いる抗体、即ちHMGB1に特異的に結合する抗体(抗HMGB1抗体)については、パーキネンらや、レップらによって調製可能なことが示されていた(非特許文献2、非特許文献3参照)。
この抗体を用いてレップらはHMGB1に関して固相酵素免疫測定法(Solid-phase Enzyme Immunoassay)が可能であることを述べている。(なお、この固相酵素免疫測定法は、精製したHMGB1をマイクロプレート(マイクロタイタープレート)のウェルに固相化し、これに酵素標識したHMGB1に結合する抗体を接触させ、作用させて、HMGB1に結合する抗体が精製したHMGB1に結合することを確かめたものである。)
また、ルーヒアイネンらは2000年に、遺伝子工学によって組換えDNAより調製したラットのHMGB1自体を免疫原として調製したポリクローナル抗体と、HMGB1のアミノ酸配列の一部「Lys Phe Lys Asp Pro Asn Ala Pro Lys Arg Pro Pro Ser Ala」よりなるペプチドを免疫原として調製したポリクローナル抗体を各々使用して、ELISA法のサンドイッチ法により、ヒト血液中のHMGB1を測定した(非特許文献4参照)。
【0007】
また、山田らは、HMGB1には結合するがHMGB2には結合しない抗体、並びにこの抗体を用いるHMGB2は測定せずHMGB1のみを測定するHMGB1の測定方法及び測定試薬を開示した(特許文献1)。
【0008】
更に、山田らは、陽イオン及び陰イオンを各々、それぞれのモル濃度にイオンの価数の絶対値を乗じた値が150mM以上となるような濃度で共存させることを特徴とする、試料中に含まれるHMGB1及び/又はHMGB2の測定方法及び測定試薬を開示した(特許文献2)。
この測定方法及び測定試薬により測定の感度を高めることができるものである。
【0009】
更に、山田らは、ヒトHMGB1の次式(I):Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys Ser(I)で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する鳥類由来の抗体よりなる、鳥類由来抗ヒトHMGB1ポリクローナル抗体等を開示した(特許文献3)。
この鳥類由来抗ヒトHMGB1ポリクローナル抗体は、ヒトHMGB1との結合能力が高い高力価の抗体を高い確率で取得し得る、その生産性が高いものである。
【0010】
また、本願発明者らは、抗HMGB1抗体を固定化した担体を用いる試料中のHMGB1の測定方法において、特定のハイブリドーマより産生される2つのモノクローナル抗体を組み合わせて同じ担体に固定化して用いることを特徴とする、試料中のHMGB1の測定方法等を開示した(特許文献4)。
この試料中のHMGB1の測定方法等は、高感度に測定を行えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003-96099号公報
【特許文献2】特開2004-144728号公報
【特許文献3】WO2008/075788号公報
【特許文献4】特開2020-148557号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H.Wangら,SCIENCE,285巻,9号,248~251頁,1999年発行
【非特許文献2】J.Parkkinenら,The Journal of Biological Chemistry,268巻,26号,19726~19738頁,1993年発行
【非特許文献3】W.A.Leppら,Journal of Immunoassay,10巻,4号,449~465頁,1989年発行
【非特許文献4】A.Rouhiainenら,Thromb Haemost,84巻,1087~1094頁,2000年発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明者は、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬において、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的に凝集し、それにより当該凝集が原因である試薬ブランク(試薬盲検)が上昇することを見出した。
【0014】
具体的には、本願発明者は、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の程度を、抗HMGB1抗体を固定化した担体を含む測定試薬の吸光度の二波長比を測定することで評価できることを見出した。
より具体的には、抗HMGB1抗体を固定化した担体を含む測定試薬の570nmにおける吸光度と800nmにおける吸光度をそれぞれ測定し、当該570nmにおける吸光度の値を当該800nmにおける吸光度の値で除した吸光度比の値を求める。
抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的に凝集すると、長波長側の吸光度の値が大きくなるので、前記の当該570nmにおける吸光度の値を当該800nmにおける吸光度の値で除した吸光度比の値は小さくなる。
よって、抗HMGB1抗体を固定化した担体を含む測定試薬の570nmにおける吸光度の値を800nmにおける吸光度の値で除した吸光度比を求めることで、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的な凝集の程度を評価することができる。
【0015】
そして、抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的に凝集することにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体の見た目の粒径が大きくなることで試薬ブランクが上昇する。
また、抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的に凝集することにより、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体の抗HMGB1抗体」との抗原抗体反応に用いられる「抗HMGB1抗体を固定化した担体」の有効数が減るため、試料中のHMGB1の測定時の検量線の傾きが低下してしまう。
前記の試薬ブランクの上昇及び検量線の傾きの低下により、振とうを受けた抗HMGB1抗体を固定化した担体を含む測定試薬における検量線は、振とうを受けていない抗HMGB1抗体を固定化した担体を含む測定試薬における検量線とは、変化してしまう。
【0016】
本発明の課題は、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬において、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制し、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制した試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬を提供することである。
また、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができる、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法を提供することである。
更に、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集が生じることを原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができる、試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明者らは、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的な凝集の抑制、及び当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇の抑制について検討を重ねたところ、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、特定濃度域のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は、以下の発明よりなる。
(1) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定方法において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、試料中のHMGB1の測定方法。
(2) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、前記(1)に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
(3) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(1)又は前記(2)に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
(4) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(1)に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
(5) 担体が粒子である、前記(1)~前記(4)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
(6) 担体がラテックス粒子である、前記(1)~前記(5)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
(7) グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、前記(1)~前記(6)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【0019】
【0020】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0021】
(8) グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、前記(1)~前記(6)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定方法。
【0022】
【0023】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【0024】
(9) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定試薬において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を含有することを特徴とする、試料中のHMGB1の測定試薬。
(10) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、前記(9)に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
(11) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(9)又は前記(10)に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
(12) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(9)に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
(13) 担体が粒子である、前記(9)~前記(12)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
(14) 担体がラテックス粒子である、前記(9)~前記(13)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
(15) グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、前記(9)~前記(14)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【0025】
【0026】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0027】
(16) グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、前記(9)~前記(14)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1の測定試薬。
【0028】
【0029】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数である。)]
【0030】
(17) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(18) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、前記(17)に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(19) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(17)又は前記(18)に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(20) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(17)に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(21) 担体が粒子である、前記(17)~前記(20)のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(22) 担体がラテックス粒子である、前記(17)~前記(20)のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
(23) グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、前記(17)~前記(22)のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【0031】
【0032】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0033】
(24) グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、前記(17)~前記(22)のいずれか1項に記載の抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法。
【0034】
【0035】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【0036】
(25) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とする、試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(26) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)とすることを特徴とする、前記(25)に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(27) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度を、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(25)又は前記(26)に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(28) 試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に共存させるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度を、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)とすることを特徴とする、前記(25)に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(29) 担体が粒子である、前記(25)~前記(28)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(30) 担体がラテックス粒子である、前記(25)~前記(29)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
(31) グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物が、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、前記(25)~前記(30)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【0037】
【0038】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0039】
(32) グリセリン・プロピレンオキシド付加物が、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物である、前記(25)~前記(30)のいずれか1項に記載の試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法。
【0040】
【0041】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【発明の効果】
【0042】
試料中のHMGB1の測定方法及び測定試薬において、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制し、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができるものである。
【0043】
また、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができるものである。
【0044】
更に、抗HMGB1抗体を固定化した担体がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集が生じることを原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】第2試薬として第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0046】
【
図2】第2試薬として第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0047】
【
図3】第2試薬として第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0048】
【
図4】第2試薬として第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0049】
【
図5】第2試薬として第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0050】
【
図6】第2試薬として第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0051】
【
図7】第2試薬として第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)及び第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0052】
【
図8】第2試薬として第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0053】
【
図9】第2試薬として第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0054】
【
図10】第2試薬として第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0055】
【
図11】第2試薬として第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0056】
【
図12】第2試薬として第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0057】
【
図13】第2試薬として第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【0058】
【
図14】第2試薬として第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)及び第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合における試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.抗HMGB1抗体
(1)抗体
本発明における抗HMGB1抗体は、HMGB1に特異的に結合する抗体である。
【0060】
本発明において、抗HMGB1抗体は、HMGB1に特異的に結合することができる抗体であればよく、特に限定はない。
【0061】
この抗HMGB1抗体としては、例えば、HMGB1に結合することができるモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗血清、抗体の断片〔Fab及びF(ab’)2など〕、又は一本鎖抗体(scFv)等を挙げることができる。
【0062】
なお、この抗HMGB1抗体は、遺伝子組み換え技術等により免疫原を免疫する動物とは異なる動物種のアミノ酸配列に変化させた抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト化抗体等)であってもよい。
【0063】
そして、抗HMGB1抗体としては、モノクローナル抗体であることが好ましい。
【0064】
また、本発明においては、2種以上の、抗HMGB1抗体を用いてもよい。
【0065】
(2)免疫原
本発明における抗HMGB1抗体を産生させるための免疫原について、以下説明を行う。
本発明における抗HMGB1抗体を産生させるための免疫原として、HMGB1の全部又は一部を用いることができる。
すなわち、ヒト又はウシ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス若しくはラットなどの哺乳動物又はニワトリなどの鳥類等由来のHMGB1、又は遺伝子組み換え操作により得たHMGB1等のHMGB1の全部又は一部を用いることができる。
【0066】
前記のHMGB1の全部又は一部を免疫原とすることにより、本発明における抗HMGB1抗体を取得することができる。
なお、この抗HMGB1抗体を産生させるための免疫原は、HMGB1のアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1~8個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個、特に好ましくは1~2個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、又は修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等であってもよい。
【0067】
また、抗体は、3個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を認識できるとの報告(F.Hudeczら,J.Immunol.Methods,147巻,201~210頁,1992年発行)がある。
よって、本発明における抗HMGB1抗体の免疫原のアミノ酸配列の最小単位としては、HMGB1のアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1~8個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個、特に好ましくは1~2個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加若しくは修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列の内、連続する3つのアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列を考えることができるので、これらの連続する3つのアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列からなるトリペプチド、又はこれに他のアミノ酸若しくはペプチドが付加したもの等を、本発明における抗HMGB1抗体の免疫原の最小単位として考えることができる。
【0068】
前記の免疫原としての、HMGB1のアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等、又はHMGB1のアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1~8個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個、特に好ましくは1~2個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加若しくは修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等は、ヒト等の体液、細胞、組織もしくは臓器等より、公知の方法等により抽出、精製等して、取得することができる。
【0069】
なお、本発明において、HMGB1のアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を取得する方法としては特に限定はなく、如何なる方法によるものでもよく、例えば、公知の方法により取得することができる。
【0070】
なお、前記の免疫原は、液相法及び固相法等のペプチド合成の方法により合成することができ、更にペプチド自動合成装置を用いてもよく、日本生化学会編「生化学実験講座1 タンパク質の化学IV」,東京化学同人,1975年、泉屋ら「ペプチド合成の基礎と実験」,丸善,1985年、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質の化学 下」,東京化学同人,1987年等に記載された方法に従い合成することができ、前記のアミノ酸配列に、欠失、置換、挿入又は付加を施した変異体を作製することも容易である。
また、非天然型アミノ酸の導入、各アミノ酸残基の化学修飾やシステイン残基を導入することにより分子内を環化させて構造を安定化させる等の修飾を施してもよい。
【0071】
更に、前記の免疫原は、対応する核酸塩基配列を持つDNA又はRNAより遺伝子工学技術を用いて調製してもよく、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法I」,東京化学同人,1986年、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法II」,東京化学同人,1986年、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法III」,東京化学同人,1987年等を参照して調製すればよい。
【0072】
ところで、免疫原が低分子物質の場合には、免疫原に免疫原結合用担体(キャリア)を結合させたものを動物等に免疫するのが一般的ではあるが、アミノ酸数5のペプチドを免疫原としてこれに対する特異抗体を産生させたとの報告(木山ら,「日本薬学会第112回年会講演要旨集3」,122頁,1992年発行)もあるので、免疫原結合用担体(キャリア)を使用することは必須ではない。
【0073】
なお、抗体を産生させる際に免疫原結合用担体(キャリア)を使用する場合の担体(キャリア)としては、スカシガイのヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ニワトリ血清アルブミン、ポリ-L-リシン、ポリアラニルリシン、ジパルミチルリシン、破傷風トキソイド又は多糖類等の免疫原結合用担体(キャリア)として公知なものを用いることができる。
【0074】
免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合法は、グルタルアルデヒド法、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド法、マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシサクシニミドエステル法、ビスジアゾ化ベンジジン法又はN-サクシミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸法等の公知の結合法を用いることができる。
また、ニトロセルロース粒子、ポリビニルピロリドン又はリポソーム等の免疫原結合用担体(キャリア)に免疫原を吸着させたものを免疫原とすることもできる。
【0075】
(3)ポリクローナル抗体である抗HMGB1抗体の調製方法
HMGB1に特異的に結合することができるポリクローナル抗体、すなわち、ポリクローナル抗体である抗HMGB1抗体は、以下の操作により調製することができる。
【0076】
このポリクローナル抗体である抗HMGB1抗体の産生用の免疫原としては、前記の免疫原を用いることができる。
【0077】
前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を、哺乳動物(マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ロバ、若しくはラクダなど)又は鳥類(ニワトリ、アヒル、若しくはダチョウなど)等に免疫する。
【0078】
ところで、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物の免疫量は、免疫原、免疫原結合用担体(キャリア)、免疫動物の種類、免疫注射部位等により決められるものであるが、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg~5mgの前記免疫原、又は前記免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を免疫注射するのが好ましい。
【0079】
なお、この前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物は、アジュバントと添加混合して免疫注射することが好ましい。
アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、化学合成アジュバント又は百日咳菌アジュバント等の公知のものを用いることができる。
免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に行えばよい。
【0080】
初回免疫後、1~2週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を追加免疫注射する。
この追加免疫注射の回数としては、2~6回が一般的である。
この場合も、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したら全採血を行い、血清を分離して抗体を含む抗血清を得る。
【0081】
この抗血清を、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等による塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法又はアフィニティークロマトグラフィー等の方法、あるいはこれらの方法を組み合わせて抗体の精製を行い、ポリクローナル抗体を得る。
【0082】
以上の操作により、HMGB1に結合することができるポリクローナル抗体(ポリクローナル抗体である抗HMGB1抗体)を得ることができる。
【0083】
ところで、免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を用いて動物等に免疫した場合には、得られたポリクローナル抗体中に、この免疫原結合用担体(キャリア)に対する抗体が存在するので、このような免疫原結合用担体(キャリア)に対する抗体の除去処理を行うことが好ましい。
【0084】
この除去処理方法としては、免疫原結合用担体(キャリア)を、得られたポリクローナル抗体の溶液中に添加して生成した凝集物を取り除くか、免疫原結合用担体(キャリア)を不溶化固相に固定化してアフィニティークロマトグラフィーにより除去する方法等を用いることができる。
【0085】
(4)モノクローナル抗体である抗HMGB1抗体の調製方法
HMGB1に特異的に結合することができるモノクローナル抗体、すなわち、モノクローナル抗体である抗HMGB1抗体の取得方法であるが、ケラーらの細胞融合法(G.Koehlerら,Nature,256巻,495~497頁,1975年発行)によるハイブリドーマ、又はエプスタン-バーウイルス等のウイルスによる腫瘍化細胞等の抗体産生細胞により得ることができる。
細胞融合法によるモノクローナル抗体の調製は、以下の操作により行うことができる。
【0086】
まず、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を、哺乳動物(マウス、ヌードマウス、ラットなど、例えば近交系マウスのBALB/c)又は鳥類(ニワトリなど)等に免疫する。この前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物の免疫量は、免疫動物の種類、免疫注射部位等により適宜決められるものであるが、例えば、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg~5mgの前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を免疫注射するのが好ましい。
【0087】
なお、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物は、アジュバントを添加混合して免疫注射することが好ましい。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント又は百日咳菌アジュバント等の公知なものを用いることができる。
免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に行えばよい。
【0088】
初回免疫後、1~2週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を追加免疫注射する。この追加免疫注射の回数としては2~6回が一般的である。この場合も前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
【0089】
初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したら、前記の免疫原、又は前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に溶解したものを静脈内又は腹腔内に注射し、最終免疫とする。この最終免疫の3~5日後に、免疫動物の脾細胞、リンパ節細胞又は末梢リンパ球等の抗体産生能を有する細胞を取得する。
【0090】
この免疫動物より得られた抗体産生能を有する細胞と哺乳動物等(マウス、ヌードマウス、ラットなど)の骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)とを細胞融合させるのであるが、ミエローマ細胞としてはヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)又はチミジンキナーゼ(TK)等の酵素を欠損した細胞株のものが好ましく、例えば、BALB/cマウス由来のHGPRT欠損細胞株である、P3-X63-Ag8株(ATCC TIB9)、P3-X63-Ag8-U1株(癌研究リサーチソースバンク(JCRB)9085)、P3-NS1-1-Ag4-1株(JCRB 0009)、P3-X63-Ag8・653株(JCRB 0028)又はSP2/O-Ag-14株(JCRB 0029)等を用いることができる。
【0091】
細胞融合は、各種分子量のポリエチレングリコール(PEG)、リポソーム若しくはセンダイウイルス(HVJ)等の融合促進剤を用いて行うか、又は電気融合法により行うことができる。
ミエローマ細胞がHGPRT欠損株又はTK欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選別用培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞とミエローマ細胞の融合細胞(ハイブリドーマ)のみを選択的に培養し、増殖させることができる。
【0092】
このようにして得られたハイブリドーマの培養上清を、前記の免疫原、前記の免疫原と免疫原結合用担体(キャリア)の結合物、又はHMGB1を用いてELISA法やウエスタンブロット法等の免疫学的測定法により測定することにより、HMGB1に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択することができる。
【0093】
このハイブリドーマ選択方法と限界希釈法等の公知のクローニングの方法を組み合わせて行うことにより、HMGB1に結合する抗体の産生細胞株を単離して得ることができる。
【0094】
このモノクローナル抗体産生細胞株を適当な培地で培養して、その培養上清からモノクローナル抗体(モノクローナル抗体である抗HMGB1抗体)を得ることができるが、培地としては無血清培地又は低濃度血清培地等を用いてもよく、この場合は抗体の精製が容易となる点で好ましく、DMEM培地、RPMI1640培地又はASF培地103等の培地を用いることができる。
また、モノクローナル抗体産生細胞株を、これに適合性がありプリスタン等であらかじめ刺激した哺乳動物の腹腔内に注入し、一定期間の後、腹腔にたまった腹水よりモノクローナル抗体(モノクローナル抗体である抗HMGB1抗体)を得ることもできる。
【0095】
このようにして得られたモノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム若しくは硫酸ナトリウムなどによる塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法又はアフィニティークロマトグラフィーなどの方法、あるいはこれらの方法を組み合わせること等により、精製されたモノクローナル抗体(モノクローナル抗体である抗HMGB1抗体)を得ることができる。
【0096】
2.担体
「抗HMGB1抗体を固定化した担体」における「担体」は、例えば、ポリスチレン、スチレン-スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、ポリアクロレイン、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、ラテックス、ゼラチン、リポソーム、マイクロカプセル、赤血球、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなる粒子等を使用することができる。
【0097】
本発明において、担体としては、粒子が好ましい。
【0098】
本発明において、担体としては、ラテックス粒子がより好ましい。
【0099】
3.固定化
本発明において、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」は、抗HMGB1抗体と担体とを物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により吸着、結合させることにより、抗HMGB1抗体を担体に「固定化」して調製することができる。
【0100】
物理的吸着法による場合は、公知の方法に従い、抗HMGB1抗体と担体を緩衝液等の溶液中で混合し接触させたり、又は緩衝液等に溶解した抗HMGB1抗体と担体を接触させること等により、抗HMGB1抗体の担体への固定化を行うことができる。
【0101】
また、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ-技術と応用-」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、抗HMGB1抗体と担体をグルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、抗HMGB1抗体と担体のそれぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させること等により、抗HMGB1抗体の担体への固定化を行うことができる。
【0102】
なお、2種類以上の抗HMGB1抗体を、担体に固定化してもよい。
【0103】
また、更に非特異的反応や担体の自然凝集等を抑制するために処理を行う必要があれば、抗HMGB1抗体を固定化させた担体の表面等に、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミンもしくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、担体のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
【0104】
4.試料
本発明における試料としては、血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、汗、涙、腹水もしくは羊水などの体液;大便;血管もしくは肝臓などの臓器;組織;細胞;又は大便、臓器、組織もしくは細胞などの抽出液等、HMGB1が含まれる可能性のある生体試料であれば対象となる。
【0105】
なお、測定に用いる試料の形態は、液体であることが好ましいので、もし試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の処理を既知の方法に従って行い、液体試料としてもよい。
【0106】
また、必要に応じて、試料は濃縮処理を行ってもよい。
【0107】
また、試料は、その測定の前に、希釈液を添加することにより希釈処理を行ってもよい。
例えば、試料を抗HMGB1抗体と接触させ、結合させる前に、試料に希釈液を添加することにより希釈処理を行ってもよい。
この希釈液として、各種水系溶媒を用いることができる。
例えば、水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることができる。
なお、この緩衝液のpHについては、pH5~pH10の範囲にあることが好ましい。
【0108】
5.抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物の測定
本発明における「抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物の測定」は、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」とを接触させ、HMGB1を介して結合した「抗HMGB1抗体を固定化した担体」の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定するものである。
【0109】
すなわち、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」とを接触させ、HMGB1を介して結合した「抗HMGB1抗体を固定化した担体」の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測るものである。つまり、「抗原抗体反応による複合体」の凝集物の生成を測るものである。(凝集反応法)
【0110】
なお、本発明においては、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とするものである。
【0111】
この抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物の測定の方法としては、例えば、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等を挙げることができる。
【0112】
抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物の測定を、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測る測定法により実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液又はグッド緩衝液等を用いることができる。
【0113】
なお、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、担体として用いるラテックス粒子の粒径については、特に制限はないものの、ラテックス粒子が測定対象物質(HMGB1)を介して結合し、凝集物を生成する程度、及びこの生成した凝集物の測定の容易さ等の理由より、ラテックス粒子の粒径は、その平均粒径が、0.04~1μmであることが好ましい。
【0114】
また、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子を含ませる濃度については、試料中のHMGB1の濃度、本発明における抗体のラテックス粒子表面上での分布密度、ラテックス粒子の粒径、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概にいうことはできない。
【0115】
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、ラテックス粒子に固定化された「抗HMGB1抗体」と試料中に含まれていた「HMGB1」との抗原抗体反応が行われる測定反応時に、「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」の濃度が、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」との接触時において0.005~1%(w/v)となるようにするのが一般的であり、この場合、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」との接触時においてこのような濃度になるような濃度の「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」を試料中のHMGB1の測定試薬に含ませる。
【0116】
また、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合、担体として用いる粒子の粒径については、特に制限はないものの、その平均粒子径が0.01~100μmの範囲内にあることが好ましく、0.3~10μmの範囲内にあることがより好ましい。そして、これらの粒子の比重は、1~10の範囲内にあることが好ましく、1~2の範囲内にあることがより好ましい。
【0117】
なお、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合の測定に使用する容器としては、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリメタクリレートなどからなる、試験管、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)又はトレイ等を挙げることができる。これらの容器の溶液収容部分(マイクロプレートのウェル等)の底面は、U型、V型又はUV型等の底面中央から周辺にかけて傾斜を持つ形状であることが好ましい。
【0118】
測定の操作法は公知の方法等により行うことができるが、例えば、光学的方法により測定する場合には、試料と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」を反応させ、エンドポイント法又はレート法により、透過光や散乱光を測定する。
また、目視的に測定する場合には、プレートやマイクロプレート等の前記容器中で、試料と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」を反応させ、凝集の状態を目視的に判定する。なお、この目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダー等の機器を用いて測定を行ってもよい。
【0119】
測定の操作例を以下挙げる。
例えば、まず、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」を含有する測定試薬、及び『「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体(ラテックス粒子)」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を含有する緩衝液(水系溶媒)』を含有する測定試薬等を調製し、準備する。
【0120】
次に、例えば、試料と『「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体(ラテックス粒子)」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を含有する緩衝液(水系溶媒)』を含有する測定試薬を混合し、次にこの混合物と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」を含有する測定試薬とを混合し、これにより、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」とを接触させる。
本発明においては、この「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させる。
【0121】
「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触により、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」の「抗HMGB1抗体」と、試料に含まれていた「HMGB1」との、抗原抗体反応を行わせる。
そして、これより生成した、「HMGB1」を介して結合した「抗HMGB1抗体を固定化した担体」の凝集物(・・・-〔HMGB1〕-〔抗HMGB1抗体を固定化した担体〕-〔HMGB1〕-〔抗HMGB1抗体を固定化した担体〕-〔HMGB1〕-・・・)を測定する。
【0122】
この生成した凝集物の測定は、この凝集物が存在する測定反応時の反応混合液の透過光又は散乱光などの吸光度等の測定を、エンドポイント法又はレート法等により行うことにより、実施する。
【0123】
そして、試料を測定して得た吸光度等の測定値を、標準物質(HMGB1の濃度が既知の試料)を測定して得た吸光度等の測定値と比較して、試料中に含まれていたHMGB1の濃度(定量値)を算出する。
【0124】
なお、透過光又は散乱光などの吸光度等の測定は、透過光を測定しても、又は散乱光を測定してもよく、そして、1波長測定であっても、又は2波長測定(2つの波長による差又は比)であってもよい。
【0125】
なお、測定波長は、340nmから1,000nmの中から選ばれるのが一般的である。
【0126】
なお、本発明におけるHMGB1の測定は、用手法により行ってもよいし、又は測定装置等の装置を用いて行ってもよい。
【0127】
測定装置は、汎用自動分析装置であっても、専用の測定装置(専用機)であってもよい。
【0128】
また、本発明におけるHMGB1の測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
【0129】
なお、以下、ラテックス比濁法を測定原理とする方法により、試料中のHMGB1の測定を行う場合を例にとって、より具体的に説明を行う。
【0130】
〔1〕 まず、HMGB1の測定試薬として、以下のものを調製し、準備する。
第1試薬:
「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体(ラテックス粒子)」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を含有する緩衝液(水系溶媒)
第2試薬:
「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」を含有する緩衝液
【0131】
〔2〕 血清等の試料の一定量と前記の第1試薬の一定量を混合し、一定温度下で一定時間静置する。
なお、試料と第1試薬の混合比率(量比)は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃~30℃)又は微温(30℃~40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
【0132】
〔3〕 一定時間後、前記の試料と第1試薬との混合液に、前記の第2試薬の一定量を添加、混合し、反応混合液として、一定温度下で一定時間静置する。
これにより、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」とを接触させる。
なお、本発明においては、この「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させる。
また、第2試薬の添加量は、適宜選択すればよい。
そして、前記の静置時の温度は、室温(1℃~30℃)又は微温(30℃~40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
更に、前記の静置の時間は、1分以上、かつ10分以下の一定時間であることが好ましく、3分以上、かつ5分以下の一定時間であることがより好ましい。
【0133】
試料と第1試薬との混合液への第2試薬の添加、混合により、「ラテックス粒子に固定化した抗HMGB1抗体」と、「試料に含まれていたHMGB1」との抗原抗体反応を行わせる。
【0134】
そして、この抗原抗体反応により、「・・・-〔HMGB1〕-〔抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子〕-〔HMGB1〕-〔抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子〕-〔HMGB1〕-・・・」等の架橋が形成され、HMGB1を介して結合した「抗HMGB1抗体を固定化したラテックス粒子」同士の凝集物が生成する。
【0135】
〔4〕 そして、分析装置又は分光光度計等において、反応混合液に光を照射して、生成したラテックス粒子同士の凝集物により生じるシグナルである適当な波長の透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加を測定することにより、生成した前記複合体凝集物の量、すなわち、試料に含まれていたHMGB1の量を求める。
【0136】
〔5〕 そして、「試料の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」と、「標準液又は標準血清等の標準物質〔濃度既知のHMGB1を含む試料〕の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」とを比較することにより、測定を行った試料に含まれるHMGB1の量(濃度)の算出を行う。
【0137】
6.グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物
(1)試料中のHMGB1の測定方法、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法、及び試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法
本発明の試料中のHMGB1の測定方法、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法、及び試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させる。
【0138】
すなわち、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を、「試料中のHMGB1」及び「抗HMGB1抗体を固定化した担体」と共存させる。
【0139】
ここで、本発明においては、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物については、特に限定はなく、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物であれば使用することができる。
【0140】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時の濃度は、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)であることが好ましく、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)であることがより好ましい。
【0141】
本発明において、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物は、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物であることが好ましい。
【0142】
【0143】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0144】
本発明において、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは5モル~18モルであり、d+e+fは7モル~21モルであり、g+h+iは25モル~65モルであることが好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0145】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは7モル~16モルであり、d+e+fは10モル~19モルであり、g+h+iは35モル~55モルであることがより好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0146】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは10モル~13モルであり、d+e+fは12モル~17モルであり、g+h+iは40モル~50モルであることが更に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0147】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは11モル~12モルであり、d+e+fは14モル~15モルであり、g+h+iは44モル~45モルであることが特に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0148】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは11.5モルであり、d+e+fは14.3モルであり、g+h+iは44.1モルであることが特別に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
なお、この一般式(1)中、a+b+cが11.5モルであり、d+e+fが14.3モルであり、g+h+iが44.1モルである[(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物としては、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス FA-195」(分子量:3,370、CAS No.9082-00-2)を挙げることができる。
【0149】
(2)試料中のHMGB1の測定試薬
本発明の試料中のHMGB1の測定試薬においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる。
【0150】
すなわち、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を「試料中のHMGB1」及び「抗HMGB1抗体を固定化した担体」と共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる。
【0151】
ここで、本発明においては、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物については、特に限定はなく、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物であれば使用することができる。
【0152】
グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時の濃度は、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)であることが好ましく、0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)であることがより好ましい。
本発明の試料中のHMGB1の測定試薬においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、前記の濃度のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を試料中のHMGB1の測定試薬に含有させる。
【0153】
本発明において、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物は、下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物であることが好ましい。
【0154】
【0155】
[一般式(1)中、a+b+cは3モル~20モルであり、d+e+fは3モル~30モルであり、g+h+iは3モル~90モルである。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]
【0156】
本発明において、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは5モル~18モルであり、d+e+fは7モル~21モルであり、g+h+iは25モル~65モルであることが好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0157】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは7モル~16モルであり、d+e+fは10モル~19モルであり、g+h+iは35モル~55モルであることがより好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0158】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは10モル~13モルであり、d+e+fは12モル~17モルであり、g+h+iは40モル~50モルであることが更に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0159】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは11モル~12モルであり、d+e+fは14モル~15モルであり、g+h+iは44モル~45モルであることが特に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
【0160】
また、前記の効果の面から、一般式(1)中、a+b+cは11.5モルであり、d+e+fは14.3モルであり、g+h+iは44.1モルであることが特別に好ましい。(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。
なお、この一般式(1)中、a+b+cが11.5モルであり、d+e+fが14.3モルであり、g+h+iが44.1モルである[(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物としては、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス FA-195」(分子量:3,370、CAS No.9082-00-2)を挙げることができる。
【0161】
なお、本発明の試料中のHMGB1の測定試薬における、『試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)の、好ましくは0.0016%(w/v)~0.0054%(w/v)の、より好ましくは0.0016%(w/v)~0.0022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる』ことについて、以下説明を行う。
【0162】
試料中のHMGB1の測定試薬が1試薬系の場合、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときのグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の重量をbg(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の容量をcmLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷(cmL+dmL)となる。
この式を変換すると、bg(グラム)×100=a%(w/v)×(cmL+dmL)となる。
この両辺をcmLで除すると、(bg(グラム)×100)÷cmL={a%(w/v)×(cmL+dmL)}÷cmLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をe%(w/v)とすると、e%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷cmLであるので、前記の式より、e%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷cmL={a%(w/v)×(cmL+dmL)}÷cmLとなる。
【0163】
また、試料中のHMGB1の測定試薬が2試薬系の場合であって抗HMGB1抗体を固定化した担体が試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬に含まれているとき、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の重量をb2g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬の容量をc1mLとし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬の容量をc2mLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をe2%(w/v)とすると、b2g(グラム)=(e2%(w/v)×c2mL)÷100となる。
この式のb2g(グラム)を先の式のb2g(グラム)に代入すると、a%(w/v)=(e2%(w/v)×c2mL)÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、e2%(w/v)={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}÷c2mLとなる。
【0164】
そして、試料中のHMGB1の測定試薬が2試薬系の場合であって抗HMGB1抗体を固定化した担体が試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬に含まれているとき、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の重量をb1g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の重量をb2g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬の容量をc1mLとし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬の容量をc2mLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)={(b1g(グラム)+b2g(グラム))×100}÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、(b1g(グラム)+b2g(グラム))×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、b1g(グラム)×100+b2g(グラム)×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、b1g(グラム)×100={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)となる。
この両辺をc1mLで除すると、(b1g(グラム)×100)÷c1mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)〕÷c1mLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をe1%(w/v)とすると、e1%(w/v)=(b1g(グラム)×100)÷c1mLであるので、前記の式より、e1%(w/v)=(b1g(グラム)×100)÷c1mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)〕÷c1mLとなる。
【0165】
また、前記の式b1g(グラム)×100+b2g(グラム)×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)を変換すると、b2g(グラム)×100={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)となる。
この両辺をc2mLで除すると、(b2g(グラム)×100)÷c2mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)〕÷c2mLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の濃度をe2%(w/v)とすると、e2%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷c2mLであるので、前記の式より、e2%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷c2mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)〕÷c2mLとなる。
【0166】
7.グリセリン・プロピレンオキシド付加物
(1)試料中のHMGB1の測定方法、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法、及び試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法
本発明の試料中のHMGB1の測定方法、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法、及び試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させる。
【0167】
すなわち、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を、「試料中のHMGB1」及び「抗HMGB1抗体を固定化した担体」と共存させる。
【0168】
ここで、本発明においては、グリセリン・プロピレンオキシド付加物については、特に限定はなく、グリセリン・プロピレンオキシド付加物であれば使用することができる。
【0169】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物の「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時の濃度は、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)であることが好ましい。
【0170】
本発明において、グリセリン・プロピレンオキシド付加物は、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物であることが好ましい。
【0171】
【0172】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【0173】
本発明において、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは4モル~10モルであることが好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
【0174】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは4.5モル~8モルであることがより好ましい。(モル数は均付加モル数。)
【0175】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは5モル~6モルであることが更に好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
【0176】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは5.6モルであることが特に好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
なお、この一般式(2)中、a+b+cが5.6モルである(モル数は平均付加モル数)グリセリン・プロピレンオキシド付加物としては、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス GP-400」(分子量:420、CAS No.25791-96-2)を挙げることができる。
【0177】
(2)試料中のHMGB1の測定試薬
本発明の試料中のHMGB1の測定試薬においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる。
【0178】
すなわち、「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を「試料中のHMGB1」及び「抗HMGB1抗体を固定化した担体」と共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又はグリセリン・プロピレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる。
【0179】
ここで、本発明においては、グリセリン・プロピレンオキシド付加物については、特に限定はなく、グリセリン・プロピレンオキシド付加物であれば使用することができる。
【0180】
グリセリン・プロピレンオキシド付加物の「試料中のHMGB1」と「抗HMGB1抗体を固定化した担体」との接触時の濃度は、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)であることが好ましい。
本発明の試料中のHMGB1の測定試薬においては、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、前記の濃度のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物を試料中のHMGB1の測定試薬に含有させる。
【0181】
本発明において、グリセリン・プロピレンオキシド付加物は、下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物であることが好ましい。
【0182】
【0183】
[一般式(2)中、a+b+cは3モル~12モルである。(モル数は平均付加モル数。)]
【0184】
本発明において、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」がその輸送時に振とうされることやその他の事由により振とうされることにより「抗HMGB1抗体を固定化した担体」が非特異的な凝集が生じること抑制し、そして当該凝集を原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるという効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは4モル~10モルであることが好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
【0185】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは4.5モル~8モルであることがより好ましい。(モル数は均付加モル数。)
【0186】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは5モル~6モルであることが更に好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
【0187】
また、前記の効果の面から、一般式(2)中、a+b+cは5.6モルであることが特に好ましい。(モル数は平均付加モル数。)
なお、この一般式(2)中、a+b+cが5.6モルである(モル数は平均付加モル数)グリセリン・プロピレンオキシド付加物としては、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス GP-400」(分子量:420、CAS No.25791-96-2)を挙げることができる。
【0188】
なお、本発明の試料中のHMGB1の測定試薬における、『試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)の、好ましくは0.0076%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる濃度の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物を当該「試料中のHMGB1の測定試薬」に含有させる』ことについて、以下説明を行う。
【0189】
試料中のHMGB1の測定試薬が1試薬系の場合、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときのグリセリン・プロピレンオキシド付加物の重量をbg(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の容量をcmLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷(cmL+dmL)となる。
この式を変換すると、bg(グラム)×100=a%(w/v)×(cmL+dmL)となる。
この両辺をcmLで除すると、(bg(グラム)×100)÷cmL={a%(w/v)×(cmL+dmL)}÷cmLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をe%(w/v)とすると、e%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷cmLであるので、前記の式より、e%(w/v)=(bg(グラム)×100)÷cmL={a%(w/v)×(cmL+dmL)}÷cmLとなる。
【0190】
また、試料中のHMGB1の測定試薬が2試薬系の場合であって抗HMGB1抗体を固定化した担体が試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬に含まれているとき、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド付加物の重量をb2g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬の容量をc1mLとし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬の容量をc2mLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をe2%(w/v)とすると、b2g(グラム)=(e2%(w/v)×c2mL)÷100となる。
この式のb2g(グラム)を先の式のb2g(グラム)に代入すると、a%(w/v)=(e2%(w/v)×c2mL)÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、e2%(w/v)={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}÷c2mLとなる。
【0191】
そして、試料中のHMGB1の測定試薬が2試薬系の場合であって抗HMGB1抗体を固定化した担体が試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬に含まれているとき、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時におけるグリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をa%(w/v)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド付加物の重量をb1g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中のグリセリン・プロピレンオキシド付加物の重量をb2g(グラム)とし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬の容量をc1mLとし、そのときの試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬の容量をc2mLとし、そのときの試料の容量をdmLとすると、a%(w/v)={(b1g(グラム)+b2g(グラム))×100}÷(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、(b1g(グラム)+b2g(グラム))×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、b1g(グラム)×100+b2g(グラム)×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)となる。
この式を変換すると、b1g(グラム)×100={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)となる。
この両辺をc1mLで除すると、(b1g(グラム)×100)÷c1mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)〕÷c1mLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第1試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をe1%(w/v)とすると、e1%(w/v)=(b1g(グラム)×100)÷c1mLであるので、前記の式より、e1%(w/v)=(b1g(グラム)×100)÷c1mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b2g(グラム)×100)〕÷c1mLとなる。
【0192】
また、前記の式b1g(グラム)×100+b2g(グラム)×100=a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)を変換すると、b2g(グラム)×100={a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)となる。
この両辺をc2mLで除すると、(b2g(グラム)×100)÷c2mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)〕÷c2mLとなる。
そして、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることができる、試料中のHMGB1の測定試薬の第2試薬中の前記グリセリン・プロピレンオキシド付加物の濃度をe2%(w/v)とすると、e2%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷c2mLであるので、前記の式より、e2%(w/v)=(b2g(グラム)×100)÷c2mL=〔{a%(w/v)×(c1mL+c2mL+dmL)}-(b1g(グラム)×100)〕÷c2mLとなる。
【0193】
8.抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法
本発明の「抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集の抑制方法」は、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とするものである。
【0194】
これにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体の非特異的凝集を抑制することができるものである。
【0195】
なお、「試料」、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」、「HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することによる試料中のHMGB1の濃度の測定」、「グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の共存」及び「グリセリン・プロピレンオキシド付加物の共存」等については、前記のとおりである。
【0196】
9.試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法
本発明の「試料中のHMGB1測定時の試薬ブランクの上昇の抑制方法」は、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体とを接触させ、HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することにより、試料中のHMGB1の濃度を測定する、試料中のHMGB1の測定において、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)~0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物又は0.0054%(w/v)~0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させることを特徴とするものである。
【0197】
これにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体において非特異的な凝集が生じることを原因とする試薬ブランクの上昇を抑制することができるものである。
【0198】
なお、「試料」、「抗HMGB1抗体を固定化した担体」、「HMGB1を介して結合した抗HMGB1抗体を固定化した担体の凝集物を測定することによる試料中のHMGB1の濃度の測定」、「グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物の共存」及び「グリセリン・プロピレンオキシド付加物の共存」等については、前記のとおりである。
【実施例0199】
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0200】
〔実施例1〕(抗体(2H6)の調製)
(1) ウシHMGB1(全体長のもの)を免疫原として用いた。
【0201】
なお、このウシHMGB1(全体長のもの)は、ヒトHMGB1(全体長のもの)とアミノ酸配列の相同性が99.5%であり、ヒトHMGB1の替りに用いても問題ないものである。
【0202】
この免疫原としてのウシHMGB1(全体長のもの)の1容量に対して、化学合成アジュバントとしてのFREUNDアジュバント(DIFCO LABORATORIES社)を1容量の割合で混合した。
【0203】
(2) 次に、マウス(BALB/c)の腹腔内に免疫原として、300~500μg/匹/回の前記のHMGB1溶液とFREUND完全アジュバントとの混合物を注射し、2週間後及び4週間後に、マウスの腹腔内に前記のHMGB1溶液とFREUND不完全アジュバントとの混合物を注射した。
【0204】
(3) 最終免疫より4週間後に、ウシHMGB1(全体長のもの)の原液を300μg/匹によりブースターを行い、その翌日に、免疫したマウスの脾臓の細胞と、ミエローマ細胞(P3U1)を1対1から10対1の割合で混合し、一般的な方法でポリエチレングリコール〔PEG1500;Roche社(スイス国)〕を加えて細胞融合させ、生育したハイブリドーマコロニーを選別した。
【0205】
なお、具体的には、細胞融合は次のように行った。
混合した前記脾臓細胞とミエローマ細胞(P3U1)を遠心して上清を除き、室温でポリエチレングリコール〔PEG1500;Roche社(スイス国)〕1mLに1分間かけて懸濁した後、37℃で1分間撹拌した。
【0206】
血清不含培地1mLを1分間かけて加える作業を2回行い、その後、血清不含培地7mLを2分間かけて加えた。
【0207】
細胞を数回洗浄した後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン含有培地に懸濁して96穴マイクロタイタープレートに分注して、37℃において5%CO2存在下で培養した。
【0208】
生育したモノクローナル抗体産生細胞株(融合細胞株)の選別の方法としては、細胞融合から7~14日後、ウシHMGB1(全体長のもの)を固相化し、融合細胞培養上清を一次抗体としたELISA法の系にて行った。
【0209】
なお、このELISA法は具体的には、次のように行った。
(i) 前記の参考例1で調製したウシHMGB1、及びウシHMGB2(ヒトHMGB2とのアミノ酸配列の相同性100.0%)のそれぞれをリン酸緩衝生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)により1μg/mLの濃度となるように調製したもの、又は対照としてのリン酸緩衝生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)を、各々96穴マイクロタイタープレート〔Thermo Fisher Scientific Inc社(米国・イリノイ州)〕のウェルに100μL注入し、5℃、16~24時間(又は37℃2時間)静置し、前記のHMGB1、及びHMGB2のそれぞれを、前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化し、更に1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水にて5℃で16~24時間(又は37℃2時間)静置し、ブロッキングした。
【0210】
(ii) 次に、前記(i)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水〕で3回洗浄した。
【0211】
(iii) 次に、前記(ii)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートのウェルに、これらの融合細胞培養上清溶液のそれぞれを試料として100μL注入し、37℃で2時間静置し、前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化された前記のHMGB1、及びHMGB2のそれぞれと、前記の各融合細胞培養上清溶液に含まれるモノクローナル抗体とを各々反応させた。
【0212】
(iv) 次に、前記(iii)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
【0213】
(v) 次に、前記(iv)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水によって1000倍希釈したPOD標識抗マウスIgG抗体〔DakoCytomation社(デンマーク国)〕を100μL注入し、37℃で2時間静置し、反応を行わせた。
【0214】
(vi) 次に、前記(v)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
【0215】
(vii) 次に、0.2mMのEDTA・2ナトリウムを含む0.045%の3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン塩酸塩水溶液(pH2.0)よりなる発色液と、5mM過酸化水素、41mMクエン酸、0.2mMのEDTA・2ナトリウムを含む60mMリン酸二ナトリウム水溶液(pH4.3)よりなる基質液とを、1:1で混合して調製した発色基質液の100μLを、前記(vi)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、室温にて30分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0216】
その後、0.7N硫酸よりなる反応停止液を各ウェルに100μL分注し、発色反応を停止させた。
【0217】
(viii) 次に、前記(vii)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、分光光度計を用いて、主波長450nm及び副波長550nmにおける吸光度を測定した。
【0218】
上記の測定により、HMGB1に結合する抗体を産生する融合細胞株を選別し、そして、生育した融合細胞株の中から1つのクローンを確立し、181208 2H6株と命名した。
【0219】
(4) この選別したモノクローナル抗体産生細胞株からIgG(免疫グロブリンG)を次のように精製した。
【0220】
このモノクローナル抗体産生細胞株を、PFHM-II(GIBCO社)を用いてCO2インキュベータ内37℃で培養した。
【0221】
培養後、上清中のIgGをプロテインAカラム〔GE Healthcare Bio-Sciences社(スウェーデン国)〕に結合させた。
【0222】
結合させたIgGを、100mMクエン酸水溶液(pH3.0)で溶出した。
【0223】
溶出液1容量に対して、0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)緩衝液1容量を添加し、精製IgGとして、HMGB1に結合する抗体をモノクローナル抗体産生細胞株(181208 2H6)より取得した。
【0224】
このモノクローナル抗体を「抗体(2H6)」と名付けた。
【0225】
抗体(2H6)のモノクローナル抗体産生細胞株である181208 2H6株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター[NPMD](日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P-02843」として2018年12月20日付けにて寄託されている。
【0226】
〔実施例2〕(抗体(2D4)の調製)
前記実施例1とは別の時に、前記実施例1の(1)~(4)の記載の通りに操作を行い、再度、抗HMGB1モノクローナル抗体の調製を行った。
【0227】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、181212 2D4株と命名した。
【0228】
そして、181212 2D4株のモノクローナル抗体産生細胞株から抗HMGB1モノクローナル抗体を得ることができた。
【0229】
このモノクローナル抗体を「抗体(2D4)」と名付けた。
【0230】
抗体(2D4)のモノクローナル抗体産生細胞株である181212 2D4株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター[NPMD](日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P-02842」として2018年12月20日付けにて寄託されている。
【0231】
〔実施例3〕(抗HMGB1,2モノクローナル抗体の調製)
前記実施例1及び実施例2とは別の時に、前記実施例1の(1)~(4)の記載の通りに操作を行い、HMGB1及びHMGB2に結合するモノクローナル抗体の調製を行った。
【0232】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、181212 5D1株と命名した。
【0233】
そして、181212 5D1株のモノクローナル抗体産生細胞株からHMGB1及びHMGB2に結合するモノクローナル抗体を得ることができた。
【0234】
このモノクローナル抗体を「抗HMGB1,2モノクローナル抗体」と名付けた。
【0235】
抗HMGB1,2モノクローナル抗体のモノクローナル抗体産生細胞株である181212 5D1株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター[NPMD](日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P-02844」として2018年12月20日付けにて寄託されている。
【0236】
〔実施例4〕(グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物共存時の効果の確認)
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させて、試料中のHMGB1を測定し、検量線を作成して、本発明の効果を確認した。
【0237】
〔1〕試料中のHMGB1の測定試薬
1.第1試薬
200mMの緩衝液を含む溶液(pH8.0)を第1試薬とした。
【0238】
2.第2試薬
(1)第2試薬(0.0004%・FA-195)
(a) 前記実施例1で調製した抗体(2H6)と前記実施例2で調製した抗体(2D4)を等量混合して、抗HMGB1モノクローナル抗体の混合物を調製した。これを、「抗HMGB1モノクローナル抗体混合物」と名付けた。
【0239】
(b) 前記(a)の抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を、緩衝液で1~2mg/mLになるよう希釈し、この抗体液1mLとラテックス粒子(藤倉化成社[日本国])1mLを混合して接触させ、2~8℃で16時間静置し、抗HMGB1モノクローナル抗体混合物をラテックス粒子に固定化した。
【0240】
(c) 抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子に、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝液(pH7.4)の6.0mLを添加混合し、ブロッキング処理を行い、ブロッキング処理を行った抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子を得た。
【0241】
(d) 前記実施例3で調製した抗HMGB1,2モノクローナル抗体を、緩衝液で1~2mg/mLになるよう希釈し、この抗体液1mLとラテックス粒子(藤倉化成社[日本国])1mLを混合して接触させ、2~8℃で16時間静置し、抗HMGB1,2モノクローナル抗体をラテックス粒子に固定化した。
【0242】
(e) 抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子に、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝液(pH7.4)の6.0mLを添加混合し、ブロッキング処理を行い、ブロッキング処理を行った抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子を得た。
【0243】
(f) 前記(c)で調製したブロッキング処理を行った抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子と、前記(e)で調製したブロッキング処理を行った抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子とを、それぞれ等量混合して、抗HMGB1モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子の混合物を調製した。これを、「抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物」と名付けた。
【0244】
(g) 下記一般式(1)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物において、この一般式(1)中、a+b+cが11.5モルであり、d+e+fが14.3モルであり、g+h+iが44.1モルである[(モル数はいずれも平均付加モル数。){}内はランダム付加である。]グリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物である、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス FA-195」(分子量:3,370、CAS No.9082-00-2)を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、前記(f)の抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合し、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0004%・FA-195)」と名付けた。
【0245】
【0246】
なお、この第2試薬(0.0004%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0004%・FA-195)中の濃度0.002%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0004%(w/v)となるものである。
【0247】
(2)第2試薬(0.001%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス FA-195」を混合後0.005%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.001%・FA-195)」と名付けた。
【0248】
なお、この第2試薬(0.001%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.001%・FA-195)中の濃度0.005%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.001%(w/v)となるものである。
【0249】
(3)第2試薬(0.0016%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス FA-195」を混合後0.0075%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0016%・FA-195)」と名付けた。
【0250】
なお、この第2試薬(0.0016%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0016%・FA-195)中の濃度0.00754%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0016%(w/v)となるものである。
【0251】
(4)第2試薬(0.0022%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス FA-195」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0022%・FA-195)」と名付けた。
【0252】
なお、この第2試薬(0.0022%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0022%・FA-195)中の濃度0.01%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0022%(w/v)となるものである。
【0253】
(5)第2試薬(0.0054%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス FA-195」を混合後0.025%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0054%・FA-195)」と名付けた。
【0254】
なお、この第2試薬(0.0054%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0054%・FA-195)中の濃度0.025%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0054%(w/v)となるものである。
【0255】
(6)第2試薬(0.01%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス FA-195」を混合後0.05%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.01%・FA-195)」と名付けた。
【0256】
なお、この第2試薬(0.01%・FA-195)に含まれる「サンニックス FA-195」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.01%・FA-195)中の濃度0.05%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.01%(w/v)となるものである。
【0257】
(7)第2試薬(0%・FA-195)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス FA-195」を混合後0.002%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合し、』するところを、『「サンニックス FA-195」を抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合せずに、』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、「サンニックス FA-195」を含有しない第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0%・FA-195)」と名付けた。
【0258】
〔2〕試料
1.試料(HMGB1濃度:0ng/mL)
1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液を、「試料(HMGB1濃度:0ng/mL)」と名付けた。
【0259】
2. 試料(HMGB1濃度:5ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が5ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が5ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:5ng/mL)」と名付けた。
【0260】
3. 試料(HMGB1濃度:10ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が10ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が10ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:10ng/mL)」と名付けた。
【0261】
4. 試料(HMGB1濃度:20ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が20ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が20ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:20ng/mL)」と名付けた。
【0262】
5. 試料(HMGB1濃度:40ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が40ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が40ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:40ng/mL)」と名付けた。
【0263】
6. 試料(HMGB1濃度:80ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が80ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が80ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:80ng/mL)」と名付けた。
【0264】
〔3〕振とう処理
前記〔1〕の2で調製した、第2試薬(0%・FA-195)、第2試薬(0.0004%・FA-195)、第2試薬(0.001%・FA-195)、第2試薬(0.0016%・FA-195)、第2試薬(0.0022%・FA-195)、第2試薬(0.0054%・FA-195)及び第2試薬(0.01%・FA-195)をそれぞれ半量ずつに分け、容器に入れ、密栓した。
【0265】
半量ずつに分けた一方を、冷蔵(2~8℃)にて、100回/分で3日間以上振とう処理を行い、これらの第2試薬を「第2試薬(振とうあり)」とした。
また、半量ずつに分けたもう一方を、冷蔵(2~8℃)にて、3日間以上静置し、これらの第2試薬を「第2試薬(振とうなし)」とした。
【0266】
〔4〕試料中のHMGB1の測定
1.第2試薬(振とうあり)を使用しての測定
試料中のHMGB1測定試薬の第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬を使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬を使用して、前記〔2〕の試料中のHMGB1の測定を行った。
【0267】
測定は、日立7180形自動分析装置(日立ハイテク社[日本国])を使用して行った。
前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合し、その5分後に前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬を添加混合した。
具体的には、前記〔2〕の試料の24μLを使用し、第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬の120μLを使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬の40μLを使用し、2ポイント-エンド法にて吸光度変化量の測定を行った。
なお、反応温度は37℃、反応時間は前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合してから計10分間、測定波長800nmにて前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合してから吸光度変化量の測定を行った。
【0268】
2.第2試薬(振とうなし)を使用しての測定
試料中のHMGB1測定試薬の第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬を使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬を使用して、前記〔2〕の試料中のHMGB1の測定を行った。
【0269】
測定は、日立7180形自動分析装置(日立ハイテク社[日本国])を使用して行った。
前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合し、その5分後に前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬を添加混合した。
具体的には、前記〔2〕の試料の24μLを使用し、第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬の120μLを使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬の40μLを使用し、2ポイント-エンド法にて吸光度変化量の測定を行った。
なお、反応温度は37℃、反応時間は前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合してから計10分間、測定波長800nmにて吸光度変化量の測定を行った。
【0270】
〔5〕測定結果
1.第2試薬として第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0271】
第2試薬として第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図1に示した。
【0272】
この
図1において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図1において、「□」は第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0273】
この
図1より、第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、大きくかい離していることが分かる。
また、第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線は、その傾きが大きく低下していることが分かる。
【0274】
また、この
図1より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0%・FA-195)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.08近辺まで大きくなってしまっているが、第2試薬(0%・FA-195)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0275】
このことより、抗HMGB1抗体を固定化した担体を振とうすることにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体に非特異的な凝集が生じ、それを原因とする試薬ブランクの上昇が生じることが確かめられた。
【0276】
2.第2試薬として第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0277】
第2試薬として第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図2に示した。
【0278】
この
図2において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図2において、「□」は第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0279】
この
図2より、第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、かい離していることが分かる。
【0280】
また、この
図2より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.06近辺まで大きくなってしまっているが、第2試薬(0.0004%・FA-195)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0281】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0004%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができず、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができないことが確かめられた。
【0282】
3.第2試薬として第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0283】
第2試薬として第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図3に示した。
【0284】
この
図3において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図3において、「□」は第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0285】
この
図3より、第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、並行していることが分かる。
【0286】
また、この
図3より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.02近辺と小さいものであることが分かり、第2試薬(0.001%・FA-195)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0287】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.001%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0288】
4.第2試薬として第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0289】
第2試薬として第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図4に示した。
【0290】
この
図4において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図4において、「□」は第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0291】
この
図4より、第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ近接していることが分かる。
【0292】
また、この
図4より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.0016%・FA-195)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0293】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0016%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0294】
5.第2試薬として第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0295】
第2試薬として第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図5に示した。
【0296】
この
図5において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図5において、「□」は第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0297】
この
図5より、第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0298】
また、この
図5より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.0022%・FA-195)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0299】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0300】
6.第2試薬として第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0301】
第2試薬として第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図6に示した。
【0302】
この
図6において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図6において、「□」は第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0303】
この
図6より、第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0304】
また、この
図6より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.0054%・FA-195)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0305】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0306】
7.第2試薬として第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0307】
第2試薬として第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)又は第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図7に示した。
【0308】
この
図7において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図7において、「□」は第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0309】
この
図7より、第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0310】
また、この
図7より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.01%・FA-195)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0311】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド・エチレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0312】
〔実施例5〕(グリセリン・プロピレンオキシド付加物共存時の効果の確認)
試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、グリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させて、試料中のHMGB1を測定し、検量線を作成して、本発明の効果を確認した。
【0313】
〔1〕試料中のHMGB1の測定試薬
1.第1試薬
200mMの緩衝液を含む溶液(pH8.0)を第1試薬とした。
【0314】
2.第2試薬
(1)第2試薬(0.0022%・GP-400)
(a) 前記実施例1で調製した抗体(2H6)と前記実施例2で調製した抗体(2D4)を等量混合して、抗HMGB1モノクローナル抗体の混合物を調製した。これを、「抗HMGB1モノクローナル抗体混合物」と名付けた。
【0315】
(b) 前記(a)の抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を、緩衝液で1~2mg/mLになるよう希釈し、この抗体液1mLとラテックス粒子(藤倉化成社[日本国])1mLを混合して接触させ、2~8℃で16時間静置し、抗HMGB1モノクローナル抗体混合物をラテックス粒子に固定化した。
【0316】
(c) 抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子に、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝液(pH7.4)の6.0mLを添加混合し、ブロッキング処理を行い、ブロッキング処理を行った抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子を得た。
【0317】
(d) 前記実施例3で調製した抗HMGB1,2モノクローナル抗体を、緩衝液で1~2mg/mLになるよう希釈し、この抗体液1mLとラテックス粒子(藤倉化成社[日本国])1mLを混合して接触させ、2~8℃で16時間静置し、抗HMGB1,2モノクローナル抗体をラテックス粒子に固定化した。
【0318】
(e) 抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子に、5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝液(pH7.4)の6.0mLを添加混合し、ブロッキング処理を行い、ブロッキング処理を行った抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子を得た。
【0319】
(f) 前記(c)で調製したブロッキング処理を行った抗HMGB1モノクローナル抗体混合物を固定化したラテックス粒子と、前記(e)で調製したブロッキング処理を行った抗HMGB1,2モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子とを、それぞれ等量混合して、抗HMGB1モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子の混合物を調製した。これを、「抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物」と名付けた。
【0320】
(g) 下記一般式(2)で示されるグリセリン・プロピレンオキシド付加物において、この一般式(2)中、a+b+cが5.6モルである(モル数は平均付加モル数)グリセリン・プロピレンオキシド付加物である、三洋化成工業株式会社から販売されている「サンニックス GP-400」(分子量:420、CAS No.25791-96-2)を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、前記(f)の抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合し、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0022%・GP-400)」と名付けた。
【0321】
【0322】
なお、この第2試薬(0.0022%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0022%・GP-400)中の濃度0.01%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0022%(w/v)となるものである。
【0323】
(2)第2試薬(0.0054%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス GP-400」を混合後0.025%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0054%・GP-400)」と名付けた。
【0324】
なお、この第2試薬(0.0054%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0054%・GP-400)中の濃度0.025%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0054%(w/v)となるものである。
【0325】
(3)第2試薬(0.0076%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス GP-400」を混合後0.035%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.0076%・GP-400)」と名付けた。
【0326】
なお、この第2試薬(0.0076%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.0076%・GP-400)中の濃度0.035%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.0076%(w/v)となるものである。
【0327】
(4)第2試薬(0.01%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス GP-400」を混合後0.05%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.01%・GP-400)」と名付けた。
【0328】
なお、この第2試薬(0.01%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.01%・GP-400)中の濃度0.05%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.01%(w/v)となるものである。
【0329】
(5)第2試薬(0.016%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス GP-400」を混合後0.075%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.016%・GP-400)」と名付けた。
【0330】
なお、この第2試薬(0.016%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.016%・GP-400)中の濃度0.075%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.016%(w/v)となるものである。
【0331】
(6)第2試薬(0.022%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するところを、『「サンニックス GP-400」を混合後0.10%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0.022%・GP-400)」と名付けた。
【0332】
なお、この第2試薬(0.022%・GP-400)に含まれる「サンニックス GP-400」は、後述の試料中のHMGB1の測定における、試料中のHMGB1と抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物との接触時に共存する濃度が、第2試薬(0.022%・GP-400)中の濃度0.10%(w/v)を希釈比率4.6で除した値の0.022%(w/v)となるものである。
【0333】
(7)第2試薬(0%・GP-400)
(a) 前記(1)の(a)~(f)の記載のとおりに行い、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物を調製した。
(b) 前記(1)の(g)において、『「サンニックス GP-400」を混合後0.01%(w/v)の濃度になるように、抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合し、』するところを、『「サンニックス GP-400」を抗HMGB1モノクローナル抗体固定化ラテックス粒子混合物に混合せずに、』するように変更する他は前記(1)の(g)の記載のとおりに行い、「サンニックス GP-400」を含有しない第2試薬を調製した。これを、「第2試薬(0%・GP-400)」と名付けた。
【0334】
〔2〕試料
1.試料(HMGB1濃度:0ng/mL)
1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液を、「試料(HMGB1濃度:0ng/mL)」と名付けた。
【0335】
2. 試料(HMGB1濃度:5ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が5ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が5ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:5ng/mL)」と名付けた。
【0336】
3. 試料(HMGB1濃度:10ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が10ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が10ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:10ng/mL)」と名付けた。
【0337】
4. 試料(HMGB1濃度:20ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が20ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が20ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:20ng/mL)」と名付けた。
【0338】
5. 試料(HMGB1濃度:40ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が40ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が40ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:40ng/mL)」と名付けた。
【0339】
6. 試料(HMGB1濃度:80ng/mL)
精製ブタHMGB1(胸腺由来)[ヒトHMGB1とのアミノ酸配列の相同性99.1%]を、HMGB1濃度が80ng/mLになるように1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液で希釈して、HMGB1濃度が80ng/mLの試料を調製した。
これを、「試料(HMGB1濃度:80ng/mL)」と名付けた。
【0340】
〔3〕振とう処理
前記〔1〕の2で調製した、第2試薬(0%・GP-400)、第2試薬(0.0022%・GP-400)、第2試薬(0.0054%・GP-400)、第2試薬(0.0076%・GP-400)、第2試薬(0.01%・GP-400)、第2試薬(0.016%・GP-400)及び第2試薬(0.022%・GP-400)をそれぞれ半量ずつに分け、容器に入れ、密栓した。
【0341】
半量ずつに分けた一方を、冷蔵(2~8℃)にて、100回/分で3日間以上振とう処理を行い、これらの第2試薬を「第2試薬(振とうあり)」とした。
また、半量ずつに分けたもう一方を、冷蔵(2~8℃)にて、3日間以上静置し、これらの第2試薬を「第2試薬(振とうなし)」とした。
【0342】
〔4〕試料中のHMGB1の測定
1.第2試薬(振とうあり)を使用しての測定
試料中のHMGB1測定試薬の第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬を使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬を使用して、前記〔2〕の試料中のHMGB1の測定を行った。
【0343】
測定は、日立7180形自動分析装置(日立ハイテク社[日本国])を使用して行った。
前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合し、その5分後に前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬を添加混合した。
具体的には、前記〔2〕の試料の24μLを使用し、第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬の120μLを使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうあり)のそれぞれの第2試薬の40μLを使用し、2ポイント-エンド法にて吸光度変化量の測定を行った。
なお、反応温度は37℃、反応時間は前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合してから計10分間、測定波長800nmにて吸光度変化量の測定を行った。
【0344】
2.第2試薬(振とうなし)を使用しての測定
試料中のHMGB1測定試薬の第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬を使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬を使用して、前記〔2〕の試料中のHMGB1の測定を行った。
【0345】
測定は、日立7180形自動分析装置(日立ハイテク社[日本国])を使用して行った。
前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合し、その5分後に前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬を添加混合した。
具体的には、前記〔2〕の試料の24μLを使用し、第1試薬として前記〔1〕の1の第1試薬の120μLを使用し、第2試薬として前記〔3〕の第2試薬(振とうなし)のそれぞれの第2試薬の40μLを使用し、2ポイント-エンド法にて吸光度変化量の測定を行った。
なお、反応温度は37℃、反応時間は前記〔2〕の試料に前記〔1〕の1の第1試薬を添加混合してから計10分間、測定波長800nmにて吸光度変化量の測定を行った。
【0346】
〔5〕測定結果
1.第2試薬として第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0347】
第2試薬として第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図8に示した。
【0348】
この
図8において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図8において、「□」は第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0349】
この
図8より、第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、大きくかい離していることが分かる。
また、第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線は、その傾きが大きく低下していることが分かる。
【0350】
また、この
図8より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0%・GP-400)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.08近辺まで大きくなってしまっているが、第2試薬(0%・GP-400)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0351】
このことより、抗HMGB1抗体を固定化した担体を振とうすることにより、抗HMGB1抗体を固定化した担体に非特異的な凝集が生じ、それを原因とする試薬ブランクの上昇が生じることが確かめられた。
【0352】
2.第2試薬として第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0353】
第2試薬として第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図9に示した。
【0354】
この
図9において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図9において、「□」は第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0355】
この
図9より、第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、かい離していることが分かる。
【0356】
また、この
図9より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.05近辺まで大きくなってしまっているが、第2試薬(0.0022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0357】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができず、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができないことが確かめられた。
【0358】
3.第2試薬として第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0359】
第2試薬として第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図10に示した。
【0360】
この
図10において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図10において、「□」は第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0361】
この
図10より、第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、並行していることが分かる。
【0362】
また、この
図10より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうあり)を使用したときは吸光度変化量が0.015近辺と小さいものであることが分かり、第2試薬(0.0054%・GP-400)(振とうなし)を使用したときは吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0363】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0054%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0364】
4.第2試薬として第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0365】
第2試薬として第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図11に示した。
【0366】
この
図11において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図11において、「□」は第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0367】
この
図11より、第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0368】
また、この
図11より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.0076%・GP-400)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0369】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.0076%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0370】
5.第2試薬として第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0371】
第2試薬として第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図12に示した。
【0372】
この
図12において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図12において、「□」は第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0373】
この
図12より、第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0374】
また、この
図12より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.01%・GP-400)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0375】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.01%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0376】
6.第2試薬として第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0377】
第2試薬として第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図13に示した。
【0378】
この
図13において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図13において、「□」は第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0379】
この
図13より、第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0380】
また、この
図13より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.016%・GP-400)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0381】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.016%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。
【0382】
7.第2試薬として第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定結果
【0383】
第2試薬として第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)又は第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用した場合の測定結果を、試料中のHMGB1を測定したときの検量線のグラフとして
図14に示した。
【0384】
この
図14において、横軸は試料中のHMGB1濃度(単位:ng/mL)を示し、縦軸は測定値である測定波長800nmにおける吸光度変化量(単位:吸光度変化量×10,000)を示す。
そして、この
図14において、「□」は第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示し、「●」は第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)を示す。
【0385】
この
図14より、第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときの検量線と第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときの検量線は、ほぼ重なっていることが分かる。
【0386】
また、この
図14より、試料中のHMGB1濃度が0ng/mLであるときの測定値(測定波長800nmにおける吸光度変化量)である試薬ブランクは、第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうあり)を使用したときも、第2試薬(0.022%・GP-400)(振とうなし)を使用したときも、それぞれ吸光度変化量が0に近いことが分かる。
【0387】
このことより、試料中のHMGB1と抗HMGB1抗体を固定化した担体との接触時に、0.022%(w/v)のグリセリン・プロピレンオキシド付加物を共存させた場合は、抗HMGB1抗体を固定化した担体が振とうされることにより抗HMGB1抗体を固定化した担体が非特異的な凝集を生ずることを抑制することができ、それにより当該凝集が原因である試薬ブランクの上昇を抑制することができることが確かめられた。