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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097744
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】保持盤
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/66 20060101AFI20230703BHJP
   B65D 85/671 20060101ALI20230703BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B65D85/66
B65D85/671
G06K19/077 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213999
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 充史
【テーマコード(参考)】
3E037
【Fターム(参考)】
3E037AA02
3E037AA03
3E037AA04
3E037BA07
3E037BA10
3E037BB20
(57)【要約】
【課題】非接触で通信できる無線通信機器を取り付けることができ、取り付けた状態での無線通信機器の脱落あるいは破損の可能性が少なく、無線通信機器と読み取りの外部機器との通信性も良好な保持盤を提供すること。
【解決手段】本開示技術に係る保持盤1は、円柱状の保持対象物を保持する樹脂製のものであって、片面が保持対象物側に位置する保持面の少なくとも一部を構成する主板部と、主板部における保持面の裏面である外側面から突出して設けられた壁部9と、外側面から突出して、壁部9より内側の領域に設けられた補強リブ10と、主板部と垂直な方向から見てその板面の範囲内に設けられ無線通信機器を収納する通信機器収納部20とを有している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の保持対象物を保持する樹脂製の保持盤であって、
片面が保持対象物側に位置する保持面の少なくとも一部を構成する主板部と、
前記主板部における前記保持面の裏面である外側面から突出して設けられた壁部と、
前記外側面から突出して、前記壁部より内側の領域に設けられた補強リブと、
前記主板部と垂直な方向から見てその板面の範囲内に設けられ無線通信機器を収納する通信機器収納部とを有する保持盤。
【請求項2】
請求項1に記載の保持盤であって、前記通信機器収納部は、
前記壁部または前記補強リブの前記外側面からの最大突出高さの範囲内に設けられている保持盤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の保持盤であって、前記通信機器収納部は、
無線通信機器を収納した状態で、収納している無線通信機器に面する操作空間が形成される形状である保持盤。
【請求項4】
請求項3に記載の保持盤であって、
前記通信機器収納部は、前記補強リブにより構成されており、
前記通信機器収納部を構成する前記補強リブとして、
収納している無線通信機器の第1面に対面する第1補強リブと、
収納している無線通信機器の第2面に部分的に対面する第2補強リブとを有し、
前記操作空間は、収納している無線通信機器における前記第2補強リブ側の空間である保持盤。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の保持盤であって、
前記主板部と垂直な方向から見てその板面の範囲内に、前記操作空間と繋がる奥行き空間が設けられている保持盤。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の保持盤であって、
前記通信機器収納部の少なくとも一部が、前記主板部の中心に対して前記主板部の縁辺における前記主板部の中心からの最小距離を半径とする仮想円の外側に位置している保持盤。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の保持盤であって、
前記主板部は多角形状であり、
前記通信機器収納部は、前記主板部のいずれかの辺を設置面に接地させて保持対象物を保持している状態にて、無線通信機器を、設置面と設置面に垂直な面とのいずれに対しても交差する傾斜状に保持する形状である保持盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、保持盤に関する。さらに詳細には、円柱状の保持対象物をその両底面から保持するのに用いられる保持盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の保持盤として、特許文献1に記載されているものが挙げられる。同文献で「フランジ部材」と呼んでいるものが保持盤に相当する。同文献では、印刷版材料をロール状に巻回したものを主たる保持対象物として想定している。同文献では、フランジ部材にRFタグ(非接触通信メモリ)を取り付けることを開示している。同文献では、非接触通信メモリの取り付け場所として、フランジ部材の外側、あるいは、印刷版材料の巻き取り芯の中空部を挙げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-74829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように非接触通信メモリを取り付けると、次のような問題があった。フランジ部材の外側に取り付けた場合には、取り付けられた非接触通信メモリは外部に対して剥き出しに近い状態である。このため脱落あるいは破損のおそれがある。巻き取り芯の内部に取り付けた場合には、読み取り機器による非接触通信メモリの読み取りが困難な場合がある。読み取り機器を非接触通信メモリにあまり近づけることができないからである。特に、保持対象物が大型のものである場合には、読み取り機器と非接触通信メモリとの間の距離が概して長く、通信の障害となり得る。
【0005】
本開示技術の課題とするところは、非接触で通信できる無線通信機器を取り付けることができ、取り付けた状態での無線通信機器の脱落あるいは破損の可能性が少なく、無線通信機器と読み取りの外部機器との通信性も良好な保持盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様における保持盤は、円柱状の保持対象物を保持する樹脂製のものであって、片面が保持対象物側に位置する保持面の少なくとも一部を構成する主板部と、主板部における保持面の裏面である外側面から突出して設けられた壁部と、外側面から突出して、壁部より内側の領域に設けられた補強リブと、主板部と垂直な方向から見てその板面の範囲内に設けられ無線通信機器を収納する通信機器収納部とを有している。
【0007】
上記態様における保持盤では、主板部における保持対象物の反対側の面である外側面に、壁部および補強リブが設けられている。この保持盤の通信機器収納部に収納された無線通信機器は、主板部の板面の範囲内に位置する。このため無線通信機器は外部に剥き出しにはならないので、脱落・破損のリスクが小さい。無線通信機器と外部機器との通信性が保持対象物により妨げられることもない。
【0008】
上記態様の保持盤では、通信機器収納部が、壁部または補強リブまたは壁部および補強リブの外側面からの最大突出高さの範囲内に設けられていることが望ましい。このようになっていると、無線通信機器は、少なくとも主板部の板面方向について壁部または補強リブに囲まれている範囲内に保持されるので、外部に剥き出しになることはない。
【0009】
上記のいずれかの態様の保持盤ではまた、通信機器収納部が、無線通信機器を収納した状態で、収納している無線通信機器に面する操作空間が形成される形状であることが望ましい。このようになっていると、収納している無線通信機器の取り出しが容易である。
【0010】
操作空間が形成されている態様の保持盤ではさらに、通信機器収納部が、補強リブにより構成されており、通信機器収納部を構成する補強リブとして、収納している無線通信機器の第1面に対面する第1補強リブと、収納している無線通信機器の第2面に部分的に対面する第2補強リブとを有し、操作空間は、収納している無線通信機器における第2補強リブ側の空間であることが望ましい。このようになっていると、収納している無線通信機器の第1面が第1補強リブにより支持される。収納している無線通信機器の取り出し操作は操作空間から第2面に対して行うことができる。
【0011】
操作空間が形成されている態様の保持盤ではさらに、主板部と垂直な方向から見てその板面の範囲内に、前記操作空間と繋がる奥行き空間が設けられていることが望ましい。このようになっていると、収納している無線通信機器より奥まで指先を差し込むことができるので、無線通信機器の取り出し操作がさらに容易である。
【0012】
この場合にさらに、保持面における保持対象物を保持している状態で保持対象物より外側となる範囲内から突出して、主板部の縁辺に離散的に沿って形成された支柱部を有し、通信機器収納部は、少なくとも一部が支柱部と重なる領域内に設けられており、奥行き空間は支柱部の内部に位置することが望ましい。このようになっていると、通信機器収納部が主板部に対して保持対象物の反対側、かつ保持盤の縁辺寄りに位置するので、無線通信機器に対する外部機器による通信、無線通信機器の出し入れがいずれもしやすい。
【0013】
上記のいずれかの態様の保持盤では、通信機器収納部の少なくとも一部が、主板部の中心に対して主板部の縁辺における主板部の中心からの最小距離を半径とする仮想円の外側に位置していることが望ましい。このようになっていると、保持対象物の材質に関わらず、無線通信機器と外部機器との通信性が保持対象物により邪魔されることがない。
【0014】
上記のいずれかの態様の保持盤ではさらに、主板部が多角形状であり、通信機器収納部は、主板部のいずれかの辺を設置面に接地させて保持対象物を保持している状態にて、無線通信機器を、設置面と設置面に垂直な面とのいずれに対しても交差する傾斜状に保持する形状であることが望ましい。このようになっていると、保持対象物を保持している状態にて、収納されている無線通信機器に対する外部機器による通信がしやすい。無線通信機器に対して外部機器を接近させるのに適した方向が、縦横の2方向存在するからである。
【0015】
上記の態様の保持盤では、通信機器収納部は、主板部を設置面と平行にした状態にて、無線通信機器を、設置面と設置面に垂直な面とのいずれに対しても交差する傾斜状に保持する形状であることとすることもできる。このようになっていると、平置きした状態の保持盤に収納されている無線通信機器に対しても、外部機器による通信がしやすい。
【0016】
通信機器収納部が壁部および補強リブの最大突出高さの範囲内に設けられている態様の保持盤ではさらに、壁部が、主板部の縁辺に形成されており、通信機器収納部は、壁部の内側に配置されており、壁部に、通信機器収納部と外部とを繋げる開口部が形成されていることが望ましい。このようになっていると、開口部を通して、無線通信機器を通信機器収納部に収納することができ、取り出すことができる。
【0017】
上記のいずれかの態様の保持盤ではさらに、壁部および補強リブの突出量が一定である平置き接地領域と、平置き接地領域以外の領域であって補強リブの突出量が平置き接地領域における突出量より小さい凹み領域と、保持面から突出して凹み領域と重なる領域内に設けられた凹凸規制部とを有し、通信機器収納部は、主板部よりも壁部および補強リブの突出側の外側面寄りの厚み方向位置に、少なくとも一部が凹凸規制部と重なる領域内に配置されていることが望ましい。このようになっていると、保持対象物を保持していない状態での複数枚の保持盤同士の段積み状態が安定する。また、通信機器収納部が保持盤の縁辺寄りに位置するので、外部機器による通信がしやすい。
【発明の効果】
【0018】
本構成によれば、非接触で通信できる無線通信機器を取り付けることができ、取り付けた状態での無線通信機器の脱落あるいは破損の可能性が少なく、無線通信機器と読み取りの外部機器との通信性も良好な保持盤が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係る保持盤により保持対象物を保持している状況を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る保持盤を保持面側から見た斜視図である。
図3】実施の形態に係る保持盤を外側面側から見た斜視図である。
図4】支柱部の付近を保持面側から見た斜視図である。
図5】支柱部の付近を外側面側から見た斜視図(その1)である。
図6】支柱部の付近を外側面側から見た背面図(その1)である。
図7】無線タグを収納した状態で支柱部の付近を外側面側から見た背面図である。
図8】無線タグを収納した状態で支柱部の付近を外側面側から見た斜視図である。
図9】実施の形態に係る保持盤を外側面側から見た背面図である。
図10】実施の形態におけるタグホルダーを示す斜視図である。
図11】タグホルダーに装着した無線タグを収納した状態での支柱部の付近を示す切断斜視図である。
図12】タグホルダーに装着した無線タグを収納した状態での支柱部より内側の箇所を示す切断斜視図である。
図13】複数枚の保持盤を段積みにした状態を示す斜視図である。
図14】支柱部の付近を外側面側から見た斜視図(その2)である。
図15】支柱部の付近を外側面側から見た背面図(その2)である。
図16】段積み状態での支柱部の付近を示す断面図(その1)である。
図17】段積み状態での支柱部の付近を示す断面図(その2)である。
図18】第1の変形形態に係る保持盤を保持面側から見た斜視図である。
図19】第1の変形形態に係る保持盤を外側面側から見た背面図である。
図20】第2の変形形態に係る保持盤を外側面側から見た斜視図(その1)である。
図21】第2の変形形態に係る保持盤を外側面側から見た斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、図1に示すように、保持対象物2を保持する保持盤1として本開示技術を具体化したものである。図1に示されるように、2枚の保持盤1を使用して1つの保持対象物2を保持するのが基本である。保持対象物2の両側に保持盤1が配置されており、保持対象物2は2枚の保持盤1により挟まれて保持されている。ただし、1枚の保持盤1で保持対象物2を保持することもできる。その場合には、1枚の保持盤1を保持対象物2の片側のみに取り付け、保持対象物2が上向きになるようにして保持盤1を下に置く。
【0021】
保持対象物2は、円柱形状のものである。これは実際には、長尺の帯状のものを円柱形状に巻き取ったものである。巻き取られる帯状のものは、樹脂シート、金属箔、紙類等、特に限定はない。円柱形状の保持対象物2の中心には、巻き取り芯があってもよいし、巻き取り芯がなくてもよい。巻き取り芯がある場合、その全長は保持対象物2の全長と同じかまたはそれより短い。巻き取り芯の全長が保持対象物2の全長と同じである場合、巻き取り芯の少なくとも両端付近は中空である。巻き取り芯の全長が保持対象物2の全長より短い場合、巻き取り芯は中実のものであってもよい。また、巻き取り芯の全長が保持対象物2の全長より長くてもよい。
【0022】
保持盤1は、樹脂製のものであり、図2図3に示すように、全体としてはほぼ正方形の板状で、ある程度の厚みがあるものである。ただし保持盤1の四隅は角が落とされた形状になっている。保持盤1における図2に見えている側には、中央と四隅の計5箇所に突起状の部位が形成されている。中央の突起は、円筒形状の支持凸部3である。支持凸部3は、保持対象物2の円柱形状の底面の中央の穴部に差し込まれる部位である。支持凸部3の内部は貫通孔4となっている。貫通孔4は図3の裏面側にも繋がっている。四隅の4箇所の突起は、支柱部5である。支柱部5は、保持対象物2を保持している状態で保持対象物2より外側となる範囲内に形成されている。
【0023】
保持盤1のうち支持凸部3、支柱部5以外の平板状の部分を主板部6という。主板部6における保持対象物2と対面する面、つまり図2に見えている面を保持面7という。保持面7は、保持対象物2と接触するか、または近接して対向する面である。保持対象物2における円柱形状の底面に相当する部位が保持面7と接触するか、または近接して対向する。支柱部5は、主板部6の縁辺に離散的に沿って形成されている。
【0024】
主板部6における保持面7の裏面に相当する面を外側面8という。図3に示すように外側面8には、突出して形成された形状の多数のリブが設けられている。外側面8の外周に設けられているリブを壁部9という。壁部9より内側の領域にも多数のリブが形成されており、それを補強リブ10という。前述のように支持凸部3の貫通孔4は裏面にも現れている。裏面における貫通孔4の周囲には、中央壁部11が形成されている。中央壁部11は、支持凸部3よりやや大径の円筒状をなしている。
【0025】
本形態の保持盤1は、図2に示す無線タグ12を内部に取り付けることができるように構成されている。保持盤1では、無線タグ12を内部に取り付けるための構造を、支柱部5を利用して設けている。図2中には、無線タグ12を取り付けるための取付穴である開口部13が見えている。無線タグ12は、無線通信により外部機器との間で情報をやりとりする機能と、情報を記憶する機能とを有する無線通信機器である。無線タグ12に記憶される情報は、基本的に保持対象物2に関する情報である。例えば、製品品種、製造年月日、製造地、有効期限、仕向先等が挙げられる。
【0026】
図4に示す開口部13の中には空間が形成されている。この空間は、前述の主板部6における外側面8側の空間である。また、保持盤1をその板面と垂直な方向から見て支柱部5と重なる領域内の空間である。この空間に、開口部13に差し込まれた無線タグ12が収納される。前述の補強リブ10は、図5に示すように、支柱部5の内部および支柱部5と重なる領域内にも及んで形成されている。この補強リブ10により支柱部5の内部空間は仕切られている。開口部13に差し込まれた無線タグ12は、補強リブ10により仕切られた空間に収納される。開口部13は、壁部9に形成されている。
【0027】
図6に示すように、保持盤1の裏面側には多数の補強リブ10が形成されている。図6では、壁部9のうち隅の斜辺部分14およびその隣接部分15と、補強リブ10のうち支柱リブ16により囲まれる範囲が、支柱部5と重なる領域である。
【0028】
支柱部5と重なる領域内には、2つの斜め方向の補強リブ10が形成されている。そのうち一方を第1補強リブ17といい、もう一方を補助リブ18という。第1補強リブ17は、斜辺部分14の内面に繋がっており、斜辺部分14と垂直である。第1補強リブ17は、支柱部5と重なる領域を越えてさらに内側にまで達して設けられている。補助リブ18は、第1補強リブ17と平行であり、壁部9から支柱リブ16までの範囲内に設けられている。第1補強リブ17のうち支柱部5と重なる領域より内側の部分と平行に、第2補強リブ19が設けられている。
【0029】
開口部13に差し込まれた無線タグ12は、図6中で第1補強リブ17と補助リブ18と第2補強リブ19とにより囲まれた領域に収納される。この領域を通信機器収納部20という。通信機器収納部20は、図6中で見て、保持盤1の板面の範囲内、つまり主板部6の板面の範囲内に設けられている。通信機器収納部20は、保持盤1の厚み方向に対しては、主板部6の外側面8側にある。このため、通信機器収納部20に収納された無線タグ12は、外部に剥き出しになってはいない。無線タグ12が保持対象物2とじかに接触することもない。したがって無線タグ12が脱落したり破損したりするリスクが小さい。通信機器収納部20は、図4に示した開口部13により外部の空間と繋がっている。
【0030】
無線タグ12と外部機器との間での通信が妨げられる要因も特にない。保持盤1は前述のように樹脂製であり、電磁波の透過を許容するからである。保持対象物2が金属製のものであったとしても、保持対象物2が通信を妨げることもない。無線タグ12が保持対象物2と反対側に保持されるので、外部機器を無線タグ12に対して、保持対象物2とは反対側から近づけることができるからである。
【0031】
通信機器収納部20は、図6中で見て、その大部分が支柱部5と重なる領域内にある。このことも、通信機器収納部20に収納された無線タグ12の通信性の良さに貢献している。支柱部5は前述のように保持盤1の板面の四隅にあるので、様々な方向から外部機器を無線タグ12に近づけることができるからである。
【0032】
通信機器収納部20への無線タグ12の収納は、無線タグ12を開口部13に押し込むことで簡単にできる。実際に通信機器収納部20に無線タグ12を収納した状態では、図7に示すように、第1補強リブ17が、収納されている無線タグ12の片面の大部分に対面している。これに対して無線タグ12のもう片面の方には、第2補強リブ19が部分的に対面しているのみである。
【0033】
このため図8に示すように、収納されている無線タグ12の一方の面は、壁部9および補強リブ10に囲まれている範囲内で露出している。また、保持盤1における壁部9および補強リブ10の先端は閉鎖されていない。このためユーザーは、壁部9および補強リブ10の先端側から通信機器収納部20に指先を挿入して無線タグ12に触れることができる。これによりユーザーは、収納されている無線タグ12を開口部13側に送り出して取り出すことができる。
【0034】
通信機器収納部20に収納されている無線タグ12は、外側面8よりも壁部9および補強リブ10の突出側に位置している。このため無線タグ12が収納されている位置は、壁部9および補強リブ10の先端側からそれほど深くない位置である。このためユーザーは、無線タグ12の取り出しのために通信機器収納部20に深く指先を挿入する必要はない。通信機器収納部20の空間のうち、無線タグ12に占められていない部分の空間は、収納している無線タグ12に対する操作空間21である。第1補強リブ17、補助リブ18、および第2補強リブ19の上記形状は、通信機器収納部20に操作空間21を形成する形状である。
【0035】
上記において補助リブ18は、図7および図8に示すように、収納されている無線タグ12に対して間隔を置いて配置されている。このため、無線タグ12の取り出し時に操作空間21に挿入したユーザーの指先に対して補助リブ18が障害となることがなく、取り出し操作をしやすい。操作空間21は、無線タグ12がある部分より深い領域の空間に繋がっている。この「深い領域の空間」は、主板部6よりも支柱部5側の空間、つまり支柱部5の内部空間である。この空間を奥行き空間22(図11参照)という。取り出し時のユーザーの指先は、奥行き空間22にまで入り込むことができる。無線タグ12よりさらに奥まで指先を差し込むことができるので、無線タグ12の取り出し操作をさらに容易に行うことができる。
【0036】
通信機器収納部20に上記のように収納された無線タグ12は、差し込み方向の両端の部位が保持盤1にしっかりと固定されている状態にある。内端が第1補強リブ17と第2補強リブ19とにより両面から挟み付けられ、外端は開口部13の開口寸法により動きが規制されている状態にあるからである。このため、収納している無線タグ12が通信機器収納部20の中で飛び跳ねるようなことはない。
【0037】
通信機器収納部20は支柱部5と重なる領域内に設けられており、支柱部5は保持盤1の板面形状の隅の箇所にある。このため、図1の保持状態で、無線タグ12が保持盤1における上側の隅部に位置するようにすることができる。保持状態では、保持盤1の主板部6のいずれかの辺を設置面に接地させているからである。設置面とは床面または地面のことである。その状態では無線タグ12は、設置面と、設置面に垂直な面とのいずれに対しても交差する傾斜状に保持されている。このため、外部機器を無線タグ12に対して、保持盤1の上方から接近させても側方から接近させても通信性が良好である。
【0038】
本形態の保持盤1では図9に示すように、4箇所の支柱部5のうち対角線上の2箇所に対して通信機器収納部20を設けている。このため、保持盤1のどの辺を接地させて図1のようにおいても、必ず1つの通信機器収納部20が上向きとなる。上向きとなっている通信機器収納部20に無線タグ12を収納すればよい。図1中の2つの保持盤1の両方に無線タグ12を収納してもよいし、いずれか一方の保持盤1にのみ無線タグ12を収納してもよい。通信機器収納部20は、主板部6と垂直な方向から見てその板面の範囲内に設けられている。言い替えると、保持盤1を図9のように見たときに通信機器収納部20は、保持盤1(主板部6)の縁辺の壁部9に囲まれている範囲内にある。
【0039】
図9では、保持盤1の背面に仮想円42を重ねて描いている。仮想円42は、保持盤1の板面の最大内接円である。仮想円42の中心は、保持盤1の板面の中心である。板面の中心とは、図9中における保持盤1の左右方向と上下方向とのいずれも中央に相当する位置である。仮想円42の半径は、板面の中心から保持盤1の縁辺までの最短距離である。図9中の保持盤1はほぼ正方形状に見えるが、わずかに上下長より左右長が長い。このため、仮想円42は、保持盤1の上下の辺に接しているが、左右の辺に対してはわずかながら間隔がある。仮想円42の半径は、保持盤1で保持することを想定している保持対象物2の最大半径である。
【0040】
支柱部5は、仮想円42の内側に入り込まないように形成されている。ただし、実際の保持盤1に仮想円42が書いてある必要はない。通信機器収納部20は、少なくともその一部が仮想円42の外側に位置している。このことも、外部機器と無線タグ12との通信性の良さに貢献している。保持対象物2が仮に、通信の障害となり得る材質を含むものであったとしても、外部機器と無線タグ12との間で電磁波が通過する経路中に保持対象物2が存在することがないからである。
【0041】
本形態では、通信機器収納部20に収納する無線タグ12について、あらかじめ図10に示すタグホルダー23に装着しておくこととしている。図10の左側に示すのがタグホルダー23の正面側であり右側に示すのが裏面側である。タグホルダー23は、ベース部24と、枠部25と、タブ部26と、格子部27、ツメ部28とを有している。タブ部26は正面側にあり格子部27は裏面側にある。タグホルダー23に装着された無線タグ12は、枠部25の範囲内に収まり、表裏からタブ部26と格子部27とで挟まれた状態となる。ツメ部28は、通信機器収納部20に挿入されたタグホルダー23がひとりでに脱落しないようにするための形状である。
【0042】
タグホルダー23に装着された状態の無線タグ12を通信機器収納部20に収納する際には、タブ部26側の面が第1補強リブ17に対面する向きにして、ベース部24を手で持って先端を開口部13に押し込む。このようにすると図11に示すように、通信機器収納部20内では、格子部27の面が操作空間21に面する。この状態では、無線タグ12の取り出し時に、指先に格子部27が引っ掛かる。このため、無線タグ12自体は平坦面で構成されており滑りやすいものであったとしても、取り出しが容易である。図11は、タグホルダー23に装着した無線タグ12を収納した状態での保持盤1を、支柱部5を斜めに横切る切断面で切断した状態で示している。
【0043】
図11に示した状態でタグホルダー23の先端付近は、図12に示すように、第1補強リブ17と第2補強リブ19とにより挟まれている。図12は、タグホルダー23に装着した無線タグ12を収納した状態での保持盤1を、図11における切断面よりも内側寄りの切断面で切断した状態で示している。
【0044】
本開示技術の保持盤1において、タグホルダー23を使用することは必須事項ではない。無線タグ12のサイズと通信機器収納部20のサイズとの関係によっては、タグホルダー23に装着されない裸のままの無線タグ12を通信機器収納部20に収納することも可能である。タグホルダー23を使用する場合でも、その具体的な形状は任意である。本明細書の説明のうちタグホルダー23についての言及部分以外の部分では、無線タグ12とそれを装着したタグホルダー23とを合わせた全体のことを無線タグ12と称している。
【0045】
保持盤1についてさらに説明する。図2に示すように、支柱部5の頂面の一部がさらに突出した形状に形成されている。この突出した部分を凹凸規制部29という。凹凸規制部29は、複数枚の保持盤1同士を、保持対象物2を保持していない状態で図13に示すように段積みにしたときのための形状である。凹凸規制部29は具体的には、段積み状態にされている保持盤1同士での水平移動を規制するための形状である。
【0046】
保持盤1の裏面側には凹凸規制部29に対応して、補強リブ10の突出量が小さい領域が設けられている。ここでの突出量は、外側面8のレベルからの突出高さをいう。図14に示すように、支柱部5と重なる領域内にある第1補強リブ17および補助リブ18の突出量は、他の部分の補強リブ10および壁部9の突出量より小さい。このことにより保持盤1の裏面には、凹凸規制部29に対応する凹部が形成されている。これが凹み領域30(図15参照)である。図15中には、凹凸規制部29の裏面形状も見えている。図15中における凹凸規制部29の範囲は、凹み領域30に包含されている。つまり凹凸規制部29は、凹み領域30と重なる領域内に設けられている。
【0047】
段積み状態での保持盤1では図16に示すように、上段の支柱部5の内部で、第1補強リブ17および補助リブ18の先端が、下段の凹凸規制部29に接している。これは図15の凹み領域30の内側に相当する。また、第1補強リブ17および補助リブ18以外の補強リブ10の先端が、下段の支柱部5の頂面のうち凹凸規制部29以外の箇所に接している。これは図15の凹み領域30の外側に相当する。図16は、段積みされている2枚の保持盤1を、図11における切断面と同じ切断面で切断した状態で、支柱部5の方から支持凸部3の方を見て描いたものである。
【0048】
この状態で上下の保持盤1が水平方向に相互に動くと、上段の第1補強リブ17および補助リブ18以外の補強リブ10が下段の凹凸規制部29の壁面に当たることとなる。これにより上下の保持盤1のそれ以上の水平方向の動きが規制される。このため保持盤1の段積み状態は安定している。段積み状態では、下段の保持盤1の支持凸部3は、上段の保持盤1の中央壁部11の中に進入した状態である。
【0049】
図14に示すように保持盤1の裏面側には、支柱部5と重なる領域以外にも、補強リブ10の突出量が小さい領域34がある。領域34は、ラベル類を貼付するための領域である。領域34の中に貼付されたラベル類は、保持盤1の裏面を接地させた状態でも接地しない。保持盤1の裏面のうち凹み領域30でも領域34でもない部分が、壁部9および補強リブ10の突出量が一定である平置き接地領域である。
【0050】
保持盤1は、無線タグ12を収納している状態でも収納していない状態でも段積み状態とすることができる。無線タグ12を収納している状態での段積み状態では、図17に示すように、収納されている無線タグ12は、主板部6の外側面8に寄った位置にある。このため、段積み状態の最下段の保持盤1に無線タグ12が残っていても、その無線タグ12が設置面に接してしまうことはない。
【0051】
保持盤1の変形例を示す。図18および図19に示す第1の変形例に係る保持盤31は、前述の保持盤1に対して次の各変更を施したものである。
・支柱部5の頂面に窓32を形成したこと。
・主板部6に窓33を形成したこと。
・支持凸部3の径および突出長を変更したこと。
【0052】
支柱部5の窓32はいずれも、凹凸規制部29の範囲内に形成されている。通信機器収納部20が形成されている支柱部5(図18中で左上と右下)と、通信機器収納部20が形成されていない支柱部5(図18中で右上と左下)とでは、窓32の形状が異なっている。図19から分かるように、窓32および窓33はいずれも、補強リブ10を避けて形成されている。
【0053】
保持盤31における支持凸部3は、保持盤1における支持凸部3よりも小径で、突出長の長いものである。ただし、支持凸部3自体は必須事項ではない。支持凸部3がなくても、巻き取り芯を有する保持対象物2であれば、貫通孔4により保持することができる。貫通孔4の代わりに、保持面7側から見て凹んでいる有底穴であってもよい。また、貫通孔4を、保持盤1の外形の1つの辺に対して繋がっているU字凹部として設けてもよい。この場合、図1のような保持状態とするときにはU字凹部を上向きとする。
【0054】
図20および図21に示す第2の変形例に係る保持盤41は、前述の保持盤1に対して、無線タグ12を保持する角度を変更したものである。このため、通信機器収納部20における開口部13が斜めに形成されている。この変形例では、保持盤41を平置きした状態でも、無線タグ12が、設置面と設置面に垂直な面とのいずれに対しても交差する傾斜状に保持される。保持盤41の通信機器収納部20では、収納している無線タグ12を補強リブ10により支持しない構造となっている。このため、収納されている無線タグ12の周囲全体が広く操作空間21となっている。つまり、本開示技術において、収納している無線タグ12を補強リブ10により支持する構造であることは必須事項ではない。
【0055】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば、保持盤1、31、41において、主板部6の板面の範囲内に通信機器収納部20を設け、無線タグ12を保持できるようにしている。このため、保持している無線タグ12は外部に対して剥き出しとはなっていない。また、無線タグ12と外部機器との通信が保持対象物2などにより妨害されることもない。かくして、無線タグ12の脱落あるいは破損の可能性が少なく、外部機器との通信性も良好な保持盤1、31、41が実現されている。
【0056】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、保持盤1、31、41の全体形状は正方形状でなくてもよい。長方形状でもよいし、六角形など他の多角形でもよい。その隅の箇所は、角落とし形状以外にラウンド状であってもよい。そのラウンド状の隅部に開口部13が形成されていてもよい。
【0057】
支柱部5の頂面に凹凸規制部29が凸状に形成されていなくてもよい。その場合には、支柱部5の頂面全体が凹凸規制部29であると見なすことができる。通信機器収納部20は、4箇所の支柱部5のうち1つのみに対して形成されていてもよいし、逆に、すべての支柱部5に対して通信機器収納部20が形成されていてもよい。開口部13が形成されていない構成も可能である。その場合の無線タグ12の挿入および取り出しは、背面側の補強リブ10と壁部9との間の隙間、あるいは補強リブ10同士の隙間から行うようにすることができる。開口部13を設ける場合でも、その位置は斜辺部分14には限定されない。開口部13の位置は、支柱部5の頂面あるいは凹凸規制部29であってもよい。
【0058】
収納する無線タグ12のサイズによっては、通信機器収納部20の全体が支柱部5と重なる領域内に収まっていてもよい。逆に通信機器収納部20が、支柱部5と重ならない領域内に形成されていてもよい。その場合には、支柱部5と重なる領域以外の箇所における、補強リブ10と補強リブ10とで囲まれた領域、あるいは補強リブ10と壁部9とで囲まれた領域に通信機器収納部20を配置する。通信機器収納部20を囲む補強リブ10あるいは壁部9に、無線タグ12もしくはタグホルダー23(例えばそのツメ部28)と引っ掛かる係止形状を設けてもよい。
【0059】
通信機器収納部20は、支柱部5の内部、すなわち主板部6よりもその保持面7側に設けられていてもよい。通信機器収納部20はまた、支柱部5の内部と壁部9および補強リブ10(17、18、19)の突出高さの範囲内との両方にわたって設けられていてもよい。外側面8から壁部9および補強リブ10(17、18、19)の突出高さまでの範囲内に設けられていてもよい。これらのいずれの場合でも、図9図19の視線で見たときに通信機器収納部20が壁部9に囲まれている範囲内にあればよい。
【0060】
保持盤1、31、41では、厚み方向に対する主板部6の位置が場所により違っていてもよい。例えば、補強リブ10により格子状により仕切られる各マスに、表面側と裏面側とに交互に、主板部6が存在する構成であってもよい。つまり主板部6は、保持対象物2に面する保持面7の一部分を構成するものであってもよい。その場合、表面側と裏面側とのいずれにも保持対象物2の保持が可能なものであってもよい。保持盤1、31、41は、支柱部5を有しない、保持面7が平坦である構成であってもよい。1つの保持盤に対して支持凸部3もしくは貫通孔4が複数あり、複数の保持対象物2を保持できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 保持盤 10 補強リブ 22 奥行き空間
2 保持対象物 12 無線タグ 29 凹凸規制部
5 支柱部 13 開口部 30 凹み領域
6 主板部 17 第1補強リブ 31 保持盤
7 保持面 19 第2補強リブ 41 保持盤
8 外側面 20 通信機器収納部 42 仮想円
9 壁部 21 操作空間
図1
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