(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097769
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B65D41/04 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214052
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰士
(72)【発明者】
【氏名】荻島 敦子
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC04
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA05
3E084JA20
3E084KA20
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】痛みを伴わずに容易に回転させることができ、樹脂量の低減に寄与できる計量キャップを提供する。
【解決手段】蓋部を有する筒状の計量筒部と、計量筒部の外周面から径方向に突出し容器本体に装着可能な装着部と、を有し、計量筒部は、周方向に延びる円筒部と、装着部よりも一端側に位置し円筒部の外周面から径方向の外側に延びる二つの指掛け壁部と、を有し、二つの指掛け壁部は、中心軸方向に見て、円筒部の外周面から径方向の外側に延びる側面と、中心軸方向に見て、周方向に延び側面における径方向の外側の端部同士を繋ぐ外面と、を有し、中心方向に見て、外面における周方向の中心に接する接線と側面との交差角度のうち、大きくない方の角度をθとし、指掛け壁部の周方向の幅をWとし、円筒部の最大直径をAとすると、W/A<0.9であり、0.13≦W/Aのときに、θ≦90°であり、W/A<0.13のときに、θ≦60°である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する容器本体に着脱可能に装着される計量キャップであって、
中心軸に沿った中心軸方向の一端側に蓋部を有する筒状の計量筒部と、
前記計量筒部の外周面から前記中心軸方向と直交する径方向に突出し前記容器本体に装着可能な装着部と、
を有し、
前記計量筒部は、
前記中心軸を中心とする周方向に延びる円筒部と、
前記装着部よりも前記一端側に位置し前記円筒部の外周面から前記径方向の外側に延びる二つの指掛け壁部と、
を有し、
二つの前記指掛け壁部のそれぞれは、
前記中心軸方向に見て、前記円筒部の外周面から前記径方向の外側に延びる側面と、
前記中心軸方向に見て、前記周方向に延び前記側面における前記径方向の外側の端部同士を繋ぐ外面と、
を有し、
前記中心軸方向に見て、前記外面における前記周方向の中心に接する接線と前記側面との交差角度のうち、大きくない方の角度をθとし、
前記指掛け壁部の前記周方向の幅をW(mm)とし、
前記円筒部の最大直径をA(mm)とすると、
W/A<0.9であり、
0.13≦W/Aのときに、θ≦90°であり、
W/A<0.13のときに、θ≦60°であることを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
前記幅Wは、3mm以上、20mm以下であり、
前記最大直径Aは、20mm以上、40mm以下である、
請求項1に記載の計量キャップ。
【請求項3】
前記円筒部は、計量用指標が設けられる指標領域を有し、
前記指標領域は、前記指掛け壁部における前記周方向の中心に対して前記周方向に30°以上離れて配置される、
請求項1または2に記載の計量キャップ。
【請求項4】
前記指標領域は、前記指掛け壁部における前記周方向の中心に対して90°ずれた位置を中心として、前記周方向に70°以内の範囲に配置されている、
請求項3に記載の計量キャップ。
【請求項5】
前記指掛け壁部における前記径方向の外側に位置する端部は、前記装着部の前記径方向の外側の端部よりも前記径方向の内側に位置する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【請求項6】
前記指掛け壁部は、前記中心軸方向の前記一端側から他端側に窪んだ空洞部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【請求項7】
前記指掛け壁部は、
前記周方向の中心を挟んだ両側に互いに離れて配置され前記円筒部の外周面から前記径方向の外側に延び、前記側面を有する一対の第1リブと、
一対の前記第1リブにおける端部同士を繋ぎ、前記外面を有する第2リブと、
を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣料用液体洗剤や漂白剤、柔軟剤等の液体洗浄剤を収容する容器の場合、容器の内容物を適量使用するために、キャップに計量機能を設けた樹脂製の計量キャップが用いられている(例えば、特許文献1参照)。この種の計量キャップにおいては、内容物の注出量を確認するために目盛等の図形、文字等を含む記号が表示された計量表示部が設けられている。
【0003】
特許文献1に記載された計量キャップは、キャップ本体の外周面に形成されたローレット部を把持して周方向に回転させることで、容器本体に対して螺着または螺脱される。特許文献1に記載された計量キャップにおいては、ローレット部を構成する突条の突量が小さいため、手が濡れた状態で把持すると滑りやすいという問題が生じる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献2には、スクリューキャップの開封、若しくは再栓を容易とするために、スクリューキャップの外周側面に、少なくとも、開封時に、開封者の指に係止するに十分な凸状の2本の突条が、スクリューキャップの円中心から対称的に形成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-144280号公報
【特許文献2】特開2013-220819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された計量キャップの外周面に特許文献2に開示された突条を設けた場合、把持して回転させた際の滑りは抑制できるが、強く握った場合に突状が指に食い込むため痛みを感じる可能性がある。痛みを抑制する手段としては、突状の幅を厚くすることや突状の先端に曲面を設けることが考えられる。
【0007】
ところが、突状の幅を厚くした場合には、樹脂材の使用量が増えてコスト増加となる。また、局所的に肉厚になるとヒケと称される成形不良を起こしやすい。
また、突状の先端に曲面を設けた場合には、把持した際の指掛け領域が少なくなり、計量キャップが開閉しづらくなってしまう。
加えて、近年、環境負荷低減の観点から、樹脂材の使用量をより少なくすることが求められている。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、痛みを伴わずに容易に回転させることができ、樹脂量の低減に寄与できる計量キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従えば、内容物を収納する容器本体に着脱可能に装着される計量キャップであって、中心軸に沿った中心軸方向の一端側に蓋部を有する筒状の計量筒部と、前記計量筒部の外周面から前記中心軸方向と直交する径方向に突出し前記容器本体に装着可能な装着部と、を有し、前記計量筒部は、前記中心軸を中心とする周方向に延びる円筒部と、前記装着部よりも前記一端側に位置し前記円筒部の外周面から前記径方向の外側に延びる二つの指掛け壁部と、を有し、二つの前記指掛け壁部のそれぞれは、前記中心軸方向に見て、前記円筒部の外周面から前記径方向の外側に延びる側面と、前記中心軸方向に見て、前記周方向に延び前記側面における前記径方向の外側の端部同士を繋ぐ外面と、を有し、前記中心軸方向に見て、前記外面における前記周方向の中心に接する接線と前記側面との交差角度のうち、大きくない方の角度をθとし、前記指掛け壁部の前記周方向の幅をW(mm)とし、前記円筒部の最大直径をA(mm)とすると、W/A<0.9であり、0.13≦W/Aのときに、θ≦90°であり、W/A<0.13のときに、θ≦60°であることを特徴とする計量キャップが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、痛みを伴わずに容易に回転させることができ、樹脂量の低減に寄与できる計量キャップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る計量キャップ4を有する容器1における正立状態の頂部の縦断面図である。
【
図3】計量キャップ4を中心軸方向における上側から見た平面図である。
【
図4】整列供給機100の概略構成を示す平面図である。
【
図5】第2実施形態に係る計量キャップ4の外観斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る計量キャップ4の平面図である。
【
図7】計量キャップの把持状態のうち、第1パターンを示す図である。
【
図8】計量キャップの把持状態のうち、第2パターンを示す図である。
【
図9】計量キャップの把持状態のうち、第3パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の計量キャップの実施の形態を、
図1から
図9を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0013】
[計量キャップ4の第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る計量キャップ4を有する容器1における正立状態の頂部の縦断面図である。計量キャップ付き容器1は、内容物を収納する容器本体2と、容器本体2における頂部に位置する口部3に同軸で着脱可能に装着される計量キャップ4とを備えている。容器本体2の口部3は、中空の容器本体2における内口部5と、この内口部5に装着されたノズルキャップ6とで構成される。
【0014】
容器本体2は、例えば、ポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂、ポリエチレンテレフタレート等を用いたブロー成形により一体形成されている。容器本体2は、内容物を収容するための収容空間2aを有している。内容物としては、例えば、衣類用洗浄剤(液体または粉末)、液体漂白剤、柔軟剤、食器洗剤、液体洗口剤などが挙げられ、衣類用液体洗浄剤が好ましい。
【0015】
内口部5は、上下方向に沿う円筒状をなし、容器本体2の収容空間2aを前記正立状態の上方に開放させる。この内口部5に概略有底筒状のノズルキャップ6が上方から装着されると共に、このノズルキャップ6に概略有蓋筒状の計量キャップ4が上方から装着される。内口部5、ノズルキャップ6及び計量キャップ20は、前記正立状態の上下方向に沿う中心軸(キャップ軸線)Cを共有する。
【0016】
以下の説明では、中心軸Cに沿った方向を中心軸方向、中心軸Cに直交する方向を径方向、中心軸Cを中心とする軸周り方向を周方向と適宜称する。また、中心軸方向における一端側であって、容器1における計量キャップ4が設けられる側を上側(ボトル上方)、容器本体2が設けられる側を下側(ボトル下方)と適宜称して説明する。
【0017】
ノズルキャップ6は、内口部5の外周に螺合される本体側螺合筒部7と、本体側螺合筒部7のボトル上方側の端部からキャップ径方向内側に延びる環状の本体側フランジ部8と、本体側フランジ部8の内周方でボトル下方に膨出して内口部5内に入り込む有底円筒状の挿入部9と、挿入部9のV字状の底壁部9aの一方の傾斜面からボトル上方に延びるノズル10と、本体側フランジ部8のキャップ径方向中間部からボトル上方に起立する円筒状の外口部11と、本体側フランジ部8のキャップ径方向中間部からボトル下方に垂下する円筒状の本体側シール部12と、を有する。
【0018】
ノズルキャップ6は、例えばポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により一体形成されている。
【0019】
ノズル10は、底壁部9aから上方に延びている。ノズル10は、U字状の断面形状を有する樋状に形成されている。断面U字状をなすノズル10の内部は、底壁部9aに形成された連通部9bによって、容器本体2の収容空間2aと連通している。
【0020】
計量キャップ4は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系の熱可塑性合成樹脂を用いた射出成形により形成されている。ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、成形性・内容物適性にも優れており、透明性のある樹脂を用いて成形できるため、計量性に優れた計量キャップが製造できる。
【0021】
計量キャップ4は、ボトル上方からノズル10を収容するように挿入部9内に入り込む有蓋円筒状の計量筒部41と、計量筒部41のキャップ軸方向中間部の外周方に離間して設けられ、ノズルキャップ6における外口部11と螺合する円筒状の螺着部42と、計量筒部41の中心軸C方向の中途から径方向外側に突出し螺着部42の上端縁部に接続されるフランジ部43と、フランジ部43のキャップ径方向内側からボトル下方に垂下する円筒状のキャップ側シール部25と、を有する。
【0022】
螺着部42の外周面には、全周に亘りローレット部(図示せず)が形成されている。ローレット部は、周方向に一定の間隔で配置され中心軸Cと略平行に延びる複数の突条を有している。
【0023】
フランジ部43および螺着部42は、計量キャップ4において容器本体2に装着可能な装着部を構成する。
【0024】
本体側シール部12は、口部3における内口部5を径方向の内側から液密に封止する。キャップ側シール部25は、ノズルキャップ6における外口部11を径方向の内側から液密に封止する。
【0025】
図2は、計量キャップ4の外観斜視図である。
図3は、計量キャップ4を中心軸方向における上側から見た平面図である。
図2に示されるように、計量筒部41は、円筒部50と指掛け壁部51とを有している。円筒部50は、周方向に延びる断面円形状である。円筒部50は、上端が蓋部44の位置であり下端がフランジ部43よりも下側の位置である。
【0026】
円筒部50は、外周面に計量用指標が設けられる指標領域60を有している。指標領域60は、円筒部50の内周面に設けられる構成や、円筒部50の外周面および内周面の双方に設けられる構成であってもよい。
【0027】
指標領域60は、円筒部50におけるフランジ部43の上側と下側の双方に、同一の周方向位置にそれぞれ設けられている。指標領域60は、指掛け壁部51に対して周方向で離れた位置に配置されている。
【0028】
計量用指標としては、内容物の計量に関する情報を示す記号として、数字等の文字と、線等の図形との少なくとも一方を含んでいる。具体的には、本実施形態の計量用指標は、一例として、内容物の計量筒部41への注入量を示す数字やマーク、注入量に対応する液位を示す線、および液位の線の位置を強調的に示す矢印形状の図形等を指標として有する。
【0029】
計量用指標が数字の場合、例えば、計量筒部41の内部から数字として視認可能に描かれる(外部からは鏡像状態で描かれる)。計量用指標がマークの場合、ハートや音符などシフトJISに登録されている記号などを指す。計量線は、周方向の一部または全周に配置されてもよい。計量用指標としては、例えば、レーザ光の照射による印字、インクジェット方式による印字、計量キャップ4を射出成形する際に用いられる金型に形成した文字、記号、線部等の転写等により形成することができる。
【0030】
指掛け壁部51は、容器本体2に対して計量キャップ4を周方向に回転させて離脱または装着する際に指を掛ける箇所である。指掛け壁部51は、中心軸Cを挟んだ径方向の両側に二つ配置されている。指掛け壁部51のそれぞれは、円筒部50の外周面から径方向の外側に延びる。指掛け壁部51のそれぞれは、フランジ部43から上側に延びている。
【0031】
図1および
図2に示すように、指掛け壁部51における上側の端部は、径方向の外側に向かうに従って、漸次下側に向かう方向に湾曲する曲面を有している。指掛け壁部51における上側で径方向の外側に曲面を有することで、径方向の外側から指掛け壁部51に指を掛ける際に手に痛みを感じることを抑制できる。
【0032】
図3に示すように、指掛け壁部51は、中心軸方向の上側から見て、側面52と外面53とを有している。
側面52は、円筒部50の外周面から径方向の外側に延びる。側面52は、指掛け壁部51における周方向の中心Jを挟んだ両側に設けられている。外面53は、周方向に延び側面52における径方向の外側の端部同士を繋ぐ。中心軸方向の上側から見て、外面53は、円弧形状である。
【0033】
すなわち、指掛け壁部51は、中心軸方向の上側から見て、U字状の外形輪郭を有する。指掛け壁部51の外形輪郭は、U字状の他に半円形状、コ字状とすることも可能である。
【0034】
上記形状の指掛け壁部51を有することで、親指または人差し指などを添えて力をかけることができるため、計量キャップ4の開閉性に優れ、手指に痛みが生じない。また安定した生産が可能になる。また、指掛け壁部51を計量筒部41に設けることで、計量キャップ4を開封後の把持方法を誘導し規制することができる。
【0035】
中心軸方向に見て、外面53における周方向の中心Jにおいて接する接線55と側面52との交差角度のうち、大きくない方の角度をθとする。指掛け壁部51の周方向の幅をW(mm)とする。円筒部50の最大直径をA(mm)とする。
このとき、W/A<0.9である。
また、0.13≦W/Aのときに、θ≦90°である。
W/A<0.13のときに、θ≦60°である。
【0036】
製品生産時において、計量キャップ4は整列供給機により、周方向の向きを整列させた後、搬送シュートを介して、キャッピング機に供給される。
図4は、整列供給機100の概略構成を示す平面図である。
図4に示すように、整列供給機100は、計量キャップ4を連続的に搬送する搬送路101と搬送路101の上方に設けられた一対のガイド102とを有する。
一対のガイド102は、搬送路101に沿って延びており、間隔をあけて配置されている。一対のガイド102の間隔は、円筒部50の最大直径Aよりも僅かに大きく設定されている。計量キャップ4は、円筒部50が一対のガイド102によって径方向に保持された状態で搬送路101に沿って搬送される。
【0037】
計量キャップ4は、周方向の位置が規定されずランダムに一対のガイド102の間に挿入される。そのため、計量キャップ4は、W/Aの値が1.0を超え、指掛け壁部51の周方向の幅Wが円筒部50の最大直径Aよりも大きい場合には、一対のガイド102の間に挿入されず後工程への供給が不能となる。また、W/Aの値が0.9以上の場合には、計量キャップ4が一対のガイド102の間に挿入される可能性が低く、後工程への供給が不安定となり生産効率が低下する。そのため、W/A<0.9とすることで、製品生産時において後工程へ安定した供給が可能となる。
【0038】
0.13≦W/Aのときに、θ≦90°およびW/A<0.13のときに、θ≦60°とすることで、開閉性、痛みのなさ、計量性を含めて計量キャップ4の使用性を向上させることができる。
なお、角度θの下限値は、45°とする。
【0039】
指掛け壁部51の周方向の幅Wとしては、3mm以上、20mm以下であることが好ましく、3mm以上、18mm以下であることがより好ましい。
円筒部50の最大直径Aとしては、20mm以上、40mm以下であることが好ましく、25mm以上、35mm以下であることがより好ましい。
【0040】
上述した指標領域60は、指掛け壁部51における周方向の中心Jに対して周方向に30°以上離れて配置されることが好ましい。すなわち、
図3に示すように、指掛け壁部51における周方向の中心Jから指標領域60の端部までの角度θ2は、30°以上であることが好ましい。
角度θ2を30°以上とすることで、計量時の把持姿勢を計量し易い位置へとスムーズに誘導することができるため、計量時の把持性が優れる。
【0041】
また、指標領域60は、指掛け壁部51における周方向の中心Jに対して90°ずれた位置を中心として、周方向の角度θ3が70°以内の範囲に配置されていることが好ましい。
【0042】
指掛け壁部51における径方向の外側に位置する端部は、フランジ部43における径方向の外側の端部よりも径方向の内側に位置することが好ましい。
指掛け壁部51における径方向の外側に位置する端部をフランジ部43における径方向の外側の端部よりも径方向の内側に位置させることで、容器体積が小さくして輸送効率を向上させることができる。また、成形時に必要な樹脂材の使用量を低減して環境負荷低減に貢献することができる。さらに、計量キャップ4単体、または容器本体2に装着した状態で落下した際、または輸送中の際に、計量キャップ4に割れや傷が生じにくくすることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の計量キャップ4では、痛みを伴わずに容易に回転させることができ、樹脂量の低減に寄与し環境負荷低減に貢献することができる。
【0044】
[計量キャップ4の第2実施形態]
続いて、計量キャップ4の第2実施形態について、
図5および
図6を参照して説明する。
これらの図において、
図1から
図4に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。また、
図5においては、指標領域60の図示を省略している。
【0045】
図5および
図6に示すように、第2実施形態の計量キャップ4における指掛け壁部51は、それぞれ空洞部54を有している。空洞部54は、中心軸方向の上側から下側に窪んで形成されている。また、本実施形態の指掛け壁部51における外面53は、側面52に接する半円形状である。すなわち、指掛け壁部51は、中心軸方向の上側から見て、U字状の外形輪郭を有する。
【0046】
また、本実施形態の指掛け壁部51は、以下の構成を有している。
すなわち、指掛け壁部51は、第1リブ52Aと第2リブ53Aとを有している。
第1リブ52Aは、
図6に示すように、周方向の中心を挟んだ両側に空洞部54を介して互いに離れて配置されている。第1リブ52Aは、フランジ部43から上側に延びている。第1リブ52Aは、円筒部50の外周面から径方向の外側に延びている。第1リブ52Aは、側面52を有している。
【0047】
第2リブ53Aは、フランジ部43から上側に延びている。第2リブ53Aは、一対の第1リブ52Aにおける端部同士を繋ぐ。第2リブ53Aは、中心軸方向の上側から見て、第1リブ52Aに接する半円形状である。第2リブ53Aは、円筒部50に対し空洞部54を介して離れて配置されている。第2リブ53Aは、外面53を有している。 すなわち、指掛け壁部51は、中心軸方向の上側から見て、第1リブ52Aと第2リブ53Aとが繋がるU字状に形成されている。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態の計量キャップ4では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、指掛け壁部51に空洞部54を設けることにより、成形時に必要な樹脂材の使用量を低減でき、環境負荷低減に貢献することができる。また、本実施形態では、樹脂材の使用量を低減することで、射出成形時の冷却時間が短くなることで、成形サイクルが早くなり、単位時間当たりの生産数量を増加させることができる。さらに、本実施形態では、空洞部54が上側に開口しているため、計量キャップ4を成形する金型において、オーバランが生じやすい離型方法を実施する必要がなく、金型コストの低減および生産効率の向上に寄与できる。
【実施例0049】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0050】
(実施例1~4、比較例1~3)
[表1]に示す仕様に従って、計量キャップのサンプルを3Dプリンタを用いて作製した。
表1の形状項目に示すように、
図2および
図3に示した第1実施形態の計量キャップを実施例1のサンプルとした。
実施例1のサンプルに対して、指掛け壁部の幅Wを4mmとした計量キャップを実施例2のサンプルとした。
実施例1のサンプルに対して、指掛け壁部の最小幅Wを3mmとし、角度θを60°とした計量キャップを実施例3のサンプルとした。
図5および
図6に示した第2実施形態の計量キャップを実施例4のサンプルとした。
【0051】
実施例1のサンプルに対して、指掛け壁部の幅Wを3mmとした計量キャップを比較例1のサンプルとした。
径方向外側に延びる幅Wが2mmの一対のリブが指掛け壁部を構成する計量キャップを比較例2のサンプルとした。
特開2014-009026に開示された計量キャップを比較例3のサンプルとした。
【0052】
[評価項目]
実施例1~4、比較例1~3の各サンプルについては、「キャップの開けやすさ」、「開封時の手指への痛みのなさ」、「キャップの閉めやすさ」、「閉栓時の手指への痛みのなさ」、「計量時の把持のし易さ」、「生産効率」、「想定樹脂量」の7つの評価項目でそれぞれ評価した。
【0053】
[評価方法]
実施例1~4、比較例1~3のサンプルを用いて、社内男女9名に使用性の調査を行った。評価の流れは、キャップの開閉動作を行い、7つの評価項目(キャップの開けやすさ・開封時の手指への痛みのなさ・キャップの閉めやすさ・閉栓時の手指への痛みのなさ・計量時の把持のし易さ)について回答してもらった。
【0054】
評価方法は、7段階評価による官能評価である。容器の使用性に不具合が生じない4.0点以上を良好である「○」のOK評価とし、4.0点未満を不良である「×」のNG評価とした(7段階評価の平均値の点数(n=9))。
また、計量時に使用した液体洗浄剤組成物は、ライオン株式会社製、トップスーパーNANOX(衣類用液体洗浄剤)を用いた。
<評価基準>
7点:非常に良い。
6点:良い。
5点:やや良い。
4点:どちらでもない。
3点:やや悪い。
2点:悪い。
1点:非常に悪い。
【0055】
また、生産効率については、出願人の生産拠点にてサンプル品を用いて評価した。
また、各形状における想定樹脂量の算出方法は、形状の体積(CADデータより算出)にポリプロピレンの比重(0.91)を積算した。各形状における想定樹脂量に関しては、10g以下の場合に良好である「○」のOK評価とし、10gを超えた場合に不良である「×」のNG評価とした。
下記に評価結果を示す。なお数値は7段階評価の平均値の点数(n=9)である。また、生産効率に関しては、〇:良好、×:不良頻度が高いとしている。
【0056】
【0057】
表1に示されるように、W/A<0.9であり、0.13≦W/Aのときに、θ≦90°であり、W/A<0.13のときに、θ≦60°である実施例1~4のサンプルでは、「キャップの開けやすさ」、「開封時の手指への痛みのなさ」、「キャップの閉めやすさ」、「閉栓時の手指への痛みのなさ」、「計量時の把持のし易さ」、「生産効率」、「想定樹脂量」の全てにおいて良好な評価が得られた。
【0058】
一方、W/A<0.13のときに、θ≦60°であることを満たさない比較例1~2のサンプルでは、「キャップの開けやすさ」、「開封時の手指への痛みのなさ」、「キャップの閉めやすさ」、「閉栓時の手指への痛みのなさ」について良好な評価が得られなかった。
【0059】
評価者による計量キャップの把持状態を観察したところ、以下の3パターンであった。
パターン1:指先で摘まむ。
パターン1は、
図7に示すように、親指における末節の腹で円筒部および指掛け壁部の一方を把持し、人差し指における末節の腹で円筒部を把持し当該末節の側部を指掛け壁部の他方に掛け、さらに中指における末節の側部を円筒部に添えるパターンである。パターン1では、指先で計量キャップを把持しつつ手首の回転により計量キャップを開閉する。
【0060】
パターン2:パターン1よりも深く摘まむ。
パターン2は、
図8に示すように、親指における末節の腹で円筒部を把持し、中節の腹を指掛け壁部に押し付け、人差し指における中節の腹で円筒部を把持し当該中節の側部を指掛け壁部の他方に掛けるパターンである。パターン2では、パターン1と同様に、指先で計量キャップを把持しつつ手首の回転により計量キャップを開閉する。
【0061】
パターン3:掌で握る。
パターン3は、
図9に示すように、計量キャップの円筒部および指掛け壁部を掌で包むように握るパターンである。パターン3は、比較的手が小さい人や筋力が弱い人が採るパターンである。パターン3では、肘を回転させることによって計量キャップを開閉する。
【0062】
評価者に対するアンケートでは、比較例1のサンプルに対してパターン1、2の把持状態を採る評価者は親指に痛みが生じたと回答し、パターン3の把持状態を採る評価者は、小指に痛みが生じたと回答した。
次に、他のキャップ形状についてパターン1の把持状態を観察すると、比較例1のサンプルよりも実施例1のサンプルや実施例31のサンプルの方が、親指と壁部との接触範囲が広いことを確認できた。同じ力で、キャップを把持した場合、比較例1のサンプルはキャップとの接触範囲が狭く、面積当たりに受けるキャップからの反力が高いため、痛みが生じやすくなる。一方で、実施例2のサンプルや実施例4のサンプルは、接触範囲が広範囲であるため、キャップからの反力が分散され、痛みが生じにくくなったと考えられ、パターン3の把持状態でも同様の事が考えられる。
【0063】
また、W/A<0.9であることを満たさない比較例3のサンプルでは、生産効率に関して良好な評価が得られなかった。また、比較例3のサンプルでは、「想定樹脂量」に関して良好な評価が得られず、環境負荷低減の貢献について満足できる結果が得られなかった。
【0064】
以上の評価から、計量キャップ開閉時において手指に痛みが生じにくくさせる方法として、指掛け壁部と指との接触範囲を広くすることが効果的であることを確認できた。指掛け壁部と指との接触範囲を広範囲にする方法として、W/A<0.9であり、0.13≦W/Aのときに、θ≦90°であり、W/A<0.13のときに、θ≦60°であることが効果的であることを確認できた。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、計量キャップ4が指標領域60を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。指標領域60を有さない計量キャップ4であっても、本発明を適用することで、痛みを伴わずに容易に回転させることができ、樹脂量の低減に寄与することが可能になる。
【0067】
また、上記実施形態では、容器本体2にノズルキャップ6が着脱自在に装着され、ノズルキャップ6に計量キャップ4が着脱自在に装着される構成を例示したが、この構成に限定されない。
例えば、
図10に示すように、ノズルキャップの代わりに、ノズル10および挿入部9を有し、筒状部31が口部3における内口部5に嵌合する中栓16を用いる構成であってもよい。
この構成を採用する場合には、計量キャップ4における螺着部42が内口部5の外周に螺合する。
【0068】
このように、ノズルキャップの代わりに中栓16を用いる構成においても、上述した実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、
図10に示す計量キャップ4においては、指掛け壁部51が円筒部50の内部空間に臨む肉抜き部51aを有している。
指掛け壁部51が肉抜き部51aを有することで、さらに樹脂量を低減して環境負荷低減に貢献することができる。
2…容器本体、 4…計量キャップ、 41…計量筒部、 42…螺着部(装着部)、 43…フランジ部(装着部)、 44…蓋部、 50…円筒部、 51…指掛け壁部、 52…側面、 52A…第1リブ、 53A…第2リブ、 53…外面、 54…空洞部、 55…接線、 60…指標領域、 A…円筒部の最大直径、 C…中心軸(軸)、 W…掛け壁部の周方向の幅、 θ…角度(交差角度)