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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097792
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】圧電振動子
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H03H9/02 N
H03H9/02 A
H03H9/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214102
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信孝
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA04
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC11
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108GG03
5J108GG16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】感温素子が計測する温度を圧電素子の温度に近づける設計が容易化される圧電振動子を提供する。
【解決手段】圧電振動子1は、感温素子5と、1対の第1パッド13Aと、1対の第2パッド13Bと、を有する。感温素子5は、1対の第2パッド13Bと第1面11aとに重なる膜状部を有する。1対の第1パッド13Aは、平面視において、基板部11の中心よりも第1短辺1側で、第1短辺に沿って並んでいる。1対の第2パッド13Bは、1対の第1パッド13Aに対して第2短辺側に位置している。1対の第1端子9Aは、平面視において、基板部11の中心よりも第1短辺の側で、第1短辺に沿って並んでいる。1対の第2端子9Bは、平面視において、基板部11の中心よりも第2短辺の側で、第2短辺に沿って並んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
感温素子と、
前記圧電素子及び前記感温素子を保持しているパッケージと、
を有しており、
前記パッケージは、
第1面と、当該第1面の背面の第2面とを有しているとともに、前記第1面の平面視において、互いに対向している1対の長辺と、当該1対の長辺の対向方向に直交する方向において互いに対向している第1短辺及び第2短辺とを有している、絶縁性の基板部と、
前記第1面に重なっており、前記圧電素子が接合されている1対の第1パッドと、
前記第1面に重なっており、前記感温素子が接合されている1対の電極と、
前記第2面に重なっている1対の第1端子と、
前記第2面に重なっている1対の第2端子と、
前記1対の第1パッドと前記1対の第1端子とを接続している1対の第1配線と、
前記1対の電極と前記1対の第2端子とを接続している1対の第2配線と、を有しており、
前記感温素子は、前記1対の電極と前記第1面とに重なる膜状部を有しており、
前記1対の第1パッドは、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第1短辺の側で、前記第1短辺に沿って並んでおり、
前記1対の電極は、前記1対の第1パッドに対して前記第2短辺の側に位置しており、
前記1対の第1端子は、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第1短辺の側で、前記第1短辺に沿って並んでおり、
前記1対の第2端子は、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第2短辺の側で、前記第2短辺に沿って並んでいる
圧電振動子。
【請求項2】
前記1対の電極は、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第2短辺の側で、前記第2短辺に沿って並んでいる1対の第2パッドを有している
請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項3】
前記1対の第1パッドと前記1対の電極とは、前記第1面のうちの互いに同じ高さの領域に重なっている
請求項1又は2に記載の圧電振動子。
【請求項4】
前記1対の第1配線は、前記第1面から前記第2面まで前記基板部を貫通している1対の第1ビア導体を有しており、
前記1対の第2配線は、前記第1面から前記第2面まで前記基板部を貫通している1対の第2ビア導体を有している
請求項3に記載の圧電振動子。
【請求項5】
前記1対の第1ビア導体は、平面透視において前記1対の第1端子に対して重複しており、
前記1対の第2ビア導体は、平面透視において前記1対の第2端子に対して重複している
請求項4に記載の圧電振動子。
【請求項6】
前記1対の第1ビア導体は、平面透視において前記1対の第1パッドに対して重複又は隣接しており、
前記1対の第2ビア導体は、平面透視において前記1対の電極に対して重複又は隣接している
請求項5に記載の圧電振動子。
【請求項7】
前記圧電素子と前記感温素子とは平面透視において少なくとも一部同士が重複している
請求項1~6のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項8】
前記1対の第1配線の合計長さと、前記1対の第2配線の合計長さとの差は、前記1対の第1パッドと前記1対の電極との前記1対の長辺に平行な方向における距離の1/2以下である
請求項1~7のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項9】
前記1対の第1配線の合計長さと、前記1対の第2配線の合計長さとの差は、前記1対の第1配線及び前記1対の第2配線の4本の配線それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/5以下である
請求項1~8のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項10】
前記1対の第1配線の合計長さと、前記1対の第2配線の合計長さとが等しい
請求項1~9のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項11】
前記1対の第1配線及び前記1対の第2配線の4本の配線それぞれの長さを互いに比較したときの最大の差は、前記1対の第1パッドと前記1対の電極との前記1対の長辺に平行な方向における距離の1/4以下である
請求項1~10のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項12】
前記1対の第1配線及び前記1対の第2配線の4本の配線それぞれの長さを互いに比較したときの最大の差は、前記4本の配線それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/10以下である
請求項1~11のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項13】
前記1対の第1配線及び前記1対の第2配線の4本の配線の長さが互いに等しい
請求項1~12のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水晶振動子等の圧電振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
感温素子付きの水晶振動子が知られている。このような水晶振動子は、水晶素子と、感温素子と、これらを保持しているパッケージとを有している。水晶素子は、例えば、パッケージが有する1対の外部端子を介して交流電圧が印加されることによって振動する。この振動は、例えば、発振信号の生成に利用される。感温素子は、パッケージが有する他の1対の外部端子を介して温度に応じた信号を出力する。この信号は、例えば、温度変化に対する水晶素子の特性変化を補償することに利用される。
【0003】
感温素子付き水晶振動子の構成(例えばパッケージの構造)として、種々のものが提案されている。例えば、下記特許文献1及び2では、以下のとおりである。
【0004】
特許文献1では、パッケージは、基板部と、当該基板部の上面に重なって基板部の上面を底面とする凹部を構成する枠部と、当該枠部を塞ぐ蓋部とを有している。水晶素子とサーミスタとは、枠部の内側にて基板部の上面に実装されている(凹部に収容されている。)。ただし、サーミスタは、基板部の上面のうち、水晶素子が実装されている領域に対して低くなっている領域に実装されている。水晶素子に電気的に接続されている1対の外部端子は、基板部の下面において、パッケージの長手方向の一端側に位置している。サーミスタに電気的に接続されている1対の外部端子は、基板部の下面において、パッケージの長手方向の他端側に位置している。
【0005】
特許文献2では、パッケージは、基板部と、基板部の上面に被せられるキャップとを有している。水晶素子は、基板部の上面に実装されている(キャップに覆われている。)。サーミスタは、基板部の上面に印刷された薄膜によって構成されている。水晶素子に電気的に接続されている1対の外部端子は、基板部の矩形状の下面において、1対の対角に位置している。サーミスタに電気的に接続されている1対の外部端子は、基板部の矩形状の下面において、1対の対角に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-205938号公報
【特許文献2】特開2017-92934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、感温素子が計測する温度を圧電素子の温度に近づける設計が容易化される圧電振動子が提供されることが待たれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る圧電振動子は、圧電素子と、感温素子と、前記圧電素子及び前記感温素子を保持しているパッケージと、を有しており、前記パッケージは、第1面と、当該第1面の背面の第2面とを有しているとともに、前記第1面の平面視において、互いに対向している1対の長辺と、当該1対の長辺の対向方向に直交する方向において互いに対向している第1短辺及び第2短辺とを有している、絶縁性の基板部と、前記第1面に重なっており、前記圧電素子が接合されている1対の第1パッドと、前記第1面に重なっており、前記感温素子が接合されている1対の電極と、前記第2面に重なっている1対の第1端子と、前記第2面に重なっている1対の第2端子と、前記1対の第1パッドと前記1対の第1端子とを接続している1対の第1配線と、前記1対の電極と前記1対の第2端子とを接続している1対の第2配線と、を有しており、前記感温素子は、前記1対の電極と前記第1面とに重なる膜状部を有しており、前記1対の第1パッドは、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第1短辺の側で、前記第1短辺に沿って並んでおり、前記1対の電極は、前記1対の第1パッドに対して前記第2短辺の側に位置しており、前記1対の第1端子は、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第1短辺の側で、前記第1短辺に沿って並んでおり、前記1対の第2端子は、平面視において、前記基板部の中心よりも前記第2短辺の側で、前記第2短辺に沿って並んでいる。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、例えば、感温素子が計測する温度を圧電素子の温度に近づける設計が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る水晶振動子の分解斜視図。
図2図1の水晶振動子の断面図。
図3図1の水晶振動子が有する基板部の平面図。
図4図3の一部の拡大図。
図5】第2実施形態に係る水晶振動子の断面図。
図6】第3実施形態に係る水晶振動子の断面図。
図7】変形例に係る水晶振動子の分解断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る感温素子付き圧電振動子について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同様に、図面相互の寸法比率等についても必ずしも一致していない。
【0012】
図面には、便宜上、直交座標系D1-D2-D3を付すことがある。圧電振動子は、いずれの方向が上下方向又は水平方向とされてもよいが、便宜上、+D3側を上方とした表現をすることがある。また、平面視又は平面透視は、特に断りが無い限り、D3方向に平行に見ることを指す。
【0013】
矩形又は矩形状というとき、特に断りが無い限り、角部が面取りされているなど、厳密に正方形又は狭義の長方形でなくてもよいものとする。矩形以外の多角形についても同様である。
【0014】
第1実施形態以外の実施形態の説明においては、基本的に、先に説明された態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明された態様と同様とされたり、先に説明された態様から類推されたりしてよい。
【0015】
<第1実施形態>
(水晶振動子の概要)
図1は、第1実施形態に係る水晶振動子1(以下、「水晶」の語を省略することがある。)の構成を示す分解斜視図である。図2は、振動子1の断面図であり、後述する図3のII-II線に対応する断面図である。
【0016】
振動子1は、例えば、表面実装されるチップ型の電子部品である。具体的には、振動子1の形状は、全体として、概略、薄型(D3方向の寸法がD1方向の寸法及びD2方向の寸法よりも小さい形状)の直方体状とされている。そして、直方体の下面には、4隅に層状の4つの端子9(具体的には1対の第1端子9A及び1対の第2端子9B)が設けられている。4つの端子9と、不図示の実装基体(例えば回路基板)のパッドとが導電性の接合材(例えばはんだ)によって接合されることによって、振動子1は、上記実装基体に固定されるとともに電気的に接続される(すなわち、実装される。)。
【0017】
振動子1は、水晶素子3と、感温素子5と、これらの素子(3及び5)を保持するパッケージ7とを有している。水晶素子3は、例えば、パッケージ7が有する1対の第1端子9Aを介して交流電圧が印加されることによって振動する。この振動は、例えば、信号の強度(例えば電圧又は電流)が一定の周波数で振動する発振信号の生成に利用される。発振信号の周波数は任意である。感温素子5は、パッケージ7が有する1対の第2端子9Bを介して温度に応じた信号を出力する。この信号は、例えば、温度変化に対する水晶素子3の特性変化を補償することに利用される。
【0018】
パッケージ7は、絶縁性の基板部11を有している。水晶素子3は、基板部11の第1面11aに位置している1対の第1パッド13A(「パッド13」ということがある。)に接合されている。1対の第1パッド13Aは、図2に示す1対の第1配線15A(「配線15」ということがある。)によって1対の第1端子9Aと電気的に接続されている。これにより、水晶素子3は、1対の第1端子9Aと電気的に接続されている。
【0019】
感温素子5は、第1面11aに位置している1対の第2パッド13B(「パッド13」ということがある。)に接合されている。別の観点では、感温素子5は、1対の第2パッド13B及び第1面11aに重なる薄膜状に形成されている(薄膜部を有している。)。1対の第2パッド13Bは、図2に示す1対の第2配線15B(「配線15」ということがある。)によって1対の第2端子9Bと電気的に接続されている。これにより、感温素子5は、1対の第2端子9Bと電気的に接続されている。
【0020】
なお、1対の第1パッド13Aは、水晶素子3に電圧を印加する1対の電極として捉えることができる。同様に、1対の第2パッド13Bは、感温素子5に電圧を印加する1対の電極として捉えることができる。
【0021】
1対の第1パッド13Aは、基板部11の中心よりも-D1側(基板部11の長手方向の一方側)に位置している。1対の第2パッド13Bは、1対の第1パッド13Aよりも+D1側(長手方向の他方側)に位置している。1対の第1端子9Aは、基板部11の中心よりも-D1側に位置している。1対の第2端子9Bは、基板部11の中心よりも+D1側に位置している。すなわち、同一の素子(3又は5)に接続される1対のパッド13及び1対の端子9は、D1方向において互いに同じ側に位置している。
【0022】
上記のようなパッド13及び端子9の配置によれば、例えば、感温素子が計測する温度を圧電素子の温度に近づける設計が容易化される。より具体的には、以下のとおりである。
【0023】
比較例としては、4つのパッド13の配置は本実施形態と同様で、1対の第1端子9Aが基板部11の1対の対角に位置し、1対の第2端子9Bが基板部11の他の1対の対角に位置する態様が挙げられる。このような態様においては、例えば、1対の第1配線15Aの一方は、第1パッド13Aが位置する側(-D1側)にて第1端子9Aに延びればよい一方で、1対の第1配線15Aの他方は、第1パッド13Aが位置する側(-D1側)から第2パッド13Bが位置する側(+D1側)へ延びなければならない。1対の第2配線15Bについても、+D1側及び-D1側を逆にして、同様のことがいえる。さらに、第1パッド13Aから第2パッド13B側へ延びる第1配線15Aと、第2パッド13Bから第1パッド13A側へ延びる第2配線15Bとは、互いの根元側に向かって延びるから、互いに短絡しないように、その経路が工夫されなければならない。換言すれば、配線15の設計の自由度が低い、又は配線15の経路が複雑化しやすい。
【0024】
以上のような事情から、例えば、1対の第1配線15A及び1対の第2配線15Bを含む4本の配線15の長さが互いに異なりやすい。及び/又は、1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとが互いに異なりやすい。このように配線15の長さが互いに異なると、例えば、外部の温度が1対の第1配線15Aの温度に及ぼす影響と、外部の温度が1対の第2配線15Bの温度に及ぼす影響とが相違する。ひいては、外部の温度が1対の第1配線15Aを介して水晶素子3の温度に及ぼす影響と、外部の温度が1対の第2配線15Bを介して感温素子5の温度に及ぼす影響とが相違する。その結果、例えば、感温素子5の検出温度が水晶素子3の温度から乖離する状況が生じる蓋然性が高くなる。
【0025】
一方、上述した本実施形態におけるパッド13及び端子9の配置によれは、上記の比較例に関して述べた不都合を解消することができる。すなわち、4本の配線15の長さを互いに近づけたり、1対の第1配線15Aの合計長さと1対の第2配線15Bの合計長さとを互いに近づけたりすることが容易である。ひいては、感温素子5の検出温度が水晶素子3の温度から乖離する蓋然性を低減することが容易である。また、別の観点では、4本の配線の経路を簡素化することが容易である。
【0026】
また、別の比較例として、例えば、水晶素子3が実装されている領域よりも低い領域(第1面11aを更に掘り下げた凹所)に感温素子5を実装する態様が挙げられる。このような態様は、例えば、感温素子5自体の厚みによって、及び/又は感温素子5の厚みと水晶素子3の厚みとが重複することによって、振動子1が厚くなってしまう蓋然性を低減することができる。その一方で、1対の第1パッド13Aと、1対の第2パッド13Bとが異なる高さに位置するから、1対の第1配線15Aの構成と、1対の第2配線15Bの構成とが異なるものとなる蓋然性が高くなる。その結果、例えば、先の比較例と同様に、4本の配線15の長さが互いに異なりやすい、及び/又は1対の第1配線15Aの合計長さと1対の第2配線15Bの合計長さとが互いに異なりやすい。また、この比較例は、別の観点では、凹所の存在、配置高さが互いに異なる導体の存在、及び/又はD3方向の長さが互いに異なる導体の存在によって、パッケージ7の構成が複雑化されている。このような複雑化は、水晶振動子を製造する過程において工程数の増加を招く可能性がある。
【0027】
一方、上述した本実施形態におけるパッド13及び端子9の配置によれは、上記の比較例に関して述べた不都合を解消することができる。例えば、感温素子5が薄膜によって構成されていることから、振動子1が厚くなってしまう蓋然性が低減される。その結果、例えば、水晶素子3が実装される領域よりも感温素子5が実装される領域を低くする(第1面11aを掘り下げる)必要性が低減される。これにより、4本の配線15の長さを互いに近づけたり、1対の第1配線15Aの合計長さと1対の第2配線15Bの合計長さとを互いに近づけたりすることが容易化される。ひいては、感温素子5の検出温度が水晶素子3の温度から乖離する状況が生じる蓋然性を低減することが容易化される。また、別の観点では、本実施形態では、パッケージ7の構成を簡素化しやすい。
【0028】
以上が第1実施形態に係る振動子1の概要である。以下では、概略、下記の順で振動子1について説明する。下記において、接合材17(図2)は、水晶素子3と第1パッド13Aとを接合しているものである。
1.水晶素子3(図1及び図2
2.感温素子5(図1及び図2
3.パッケージ7(図1図4
4.接合材17(図2
5.変形例(図7
6.第1実施形態のまとめ
【0029】
(1.水晶素子)
水晶素子3は、例えば、水晶ブランク19(換言すれば圧電体)と、水晶ブランク19の表面に位置している2以上(図示の例では1対)の導体パターン21とを有している。1対の導体パターン21は、1対の接合材17によって1対の第1パッド13Aに接合されている。1対の導体パターン21によって水晶ブランク19に電圧が印加されることによって水晶ブランク19が振動する。これにより、水晶素子3は、既述の機能を発揮する。水晶素子3の具体的な構成は、種々のものとされてよい。例えば、水晶素子3の構成は、公知の種々のものとされてよい。
【0030】
図示の例では、水晶素子3は、いわゆるATカット型の水晶素子とされている。ATカット型の水晶素子3において、水晶ブランク19は、概略、板状の形状を有している。また、1対の導体パターン21は、板状の水晶ブランク19の両方の主面(板形状の最も広い面。板形状の表裏。)に重なる1対の励振電極23と、1対の励振電極23から引き出されている1対の引出電極25とを有している。
【0031】
1対の励振電極23は、水晶ブランク19に電圧を印加することに寄与する。ATカット型においては、水晶ブランク19に交流電圧が印加されることによって、いわゆる厚み滑り振動が生じる。1対の引出電極25は、水晶素子3の実装に寄与する。より詳細には、図示の例では、1対の引出電極25と1対の第1パッド13Aとが1対の接合材17によって接合されることによって、水晶素子3は、片持ち梁状に支持される。
【0032】
図示の例以外の水晶素子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。屈曲振動を利用する音叉型の素子。輪郭すべり振動を利用するCTカット若しくはDTカットの素子。厚み滑り振動を利用する、ATカット以外のカット角(例えばBTカット)の素子。SAW(surface acoustic wave)を利用する素子。なお、このような素子も、例えば、圧電体(例えば水晶)と、圧電体を励振する2以上の励振電極と、2以上の第1パッド13Aに接合される2以上の引出電極と、を有している。SAWを利用する素子においては、圧電体の層は、他の材料からなる層と重なっていてもよい。
【0033】
なお、本実施形態の説明では、便宜上、特に断り無く、水晶素子3がATカット型のものであることを前提とした表現をすることがある。
【0034】
図示の例のように、板状の水晶ブランク19と、水晶ブランク19の両方の主面に重なる1対の励振電極23と、1対の励振電極23から引き出される1対の引出電極25とを有する水晶素子3(ATカット型とは限らない。)において、水晶ブランク19、励振電極23及び引出電極25のより具体的な構成(平面形状等)は適宜に設定されてよい。
【0035】
例えば、水晶ブランク19、励振電極23及び引出電極25の形状は、水晶素子3の両面のいずれが実装側(-D3側)とされてもよいように、D1方向(図示の例では水晶素子3の長手方向)に延びる不図示の中心線に対して概略180°回転対称の形状に形成されてよい。別の観点では、各引出電極25は、第1パッド13Aに接合されるパッド状部分(配線状部分のD2方向の長さよりもD2方向の長さが大きい部分)を両主面(+D3側の面及び-D3側の面)に有してよい。ただし、図示の例とは異なり、水晶ブランク19、励振電極23及び引出電極25の形状は、回転対称の形状でなくてもよい。例えば、各引出電極25はパッド状部分を-D3側の面のみに有していてもよい。
【0036】
また、例えば、水晶ブランク19の平面形状は、矩形状(図示の例)、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形とされてよい。また、水晶ブランク19の平面形状は、多角形の任意の数の辺(例えば矩形状の1辺、2辺、3辺又は4辺)を外側に曲線状に膨らませた形状とされてもよい。また、水晶ブランク19の平面形状は、一部に突起又は切欠きを有する形状であってもよい。また、例えば、水晶ブランク19の平面形状は、D1方向を長手方向とする形状(D1方向の最大長さがD2方向の最大長さよりも長い形状)であってもよいし、そのような区別ができない形状であってもよい。なお、前者の場合における、長手方向の長さと短手方向の長さとの比率は任意である。例えば、長手方向の長さ(例えば最大長さ)は、短手方向の長さ(例えば最大長さ)に対して、1.1倍以上、1.3倍以上又は1.5倍以上とされてよく、3倍以下、2.5倍以下又は2倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意の者同士が組み合わされてよい。
【0037】
また、例えば、水晶ブランク19の厚さは、一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。後者の例としては、特に図示しないが、以下のものを挙げることができる。1対の励振電極23と重なって励振される中央の領域(メサ部)が、その外周の領域よりも厚い、いわゆるメサ型。上記とは逆に、1対の励振電極23と重なって励振される中央の領域(逆メサ部)が外周の領域よりも薄い、いわゆる逆メサ型。1対の励振電極23と重なって励振される振動部と、当該振動部の縁部の一部(例えば1辺、2辺又は3辺)に隣接し、振動部よりも厚く、1対の引出電極25が位置する固定部と、を有するもの。外周部において外周縁に近づくほど薄くなるベベル型。
【0038】
また、例えば、励振電極23の平面形状は、水晶ブランク19の平面形状(又は上述したメサ部、逆メサ部若しくは振動部の平面形状。本段落において、以下、同様。)に対して、類似する形状であってもよいし(図示の例)、そのような形状でなくてもよい。前者としては、例えば、水晶ブランク19の平面形状-励振電極23の平面形状が、矩形状-矩形状、円形状-円形状、又は楕円形状‐楕円形状である態様を挙げることができる。後者としては、例えば、水晶ブランク19の平面形状-励振電極23の平面形状が、矩形状-円形状、矩形状-楕円形状、又は楕円形状-矩形状である態様を挙げることができる。励振電極23の平面形状が水晶ブランク19の平面形状に類似するか否かに関わらず、水晶ブランク19の平面形状についての既述の説明は、矛盾等が生じない限り、励振電極23の平面形状に援用されてよい。
【0039】
また、例えば、1対の引出電極25は、励振電極23から水晶ブランク19の一端側へ引き出されている。より詳細には、例えば、既に触れたように、特に符号を付さないが、各引出電極25は、励振電極23から延びる配線部と、配線部を介して励振電極23と接続されているパッド状の端子部とを有している。端子部は、第1パッド13Aに接合される部分である。1つの引出電極25は、既述のように、水晶素子3の両面のいずれが実装側となってもよいように、水晶ブランク19の両面に位置している2つの端子部を有している。この2つの端子部は、例えば、水晶ブランク19の端面(-D1側の面)、水晶ブランク19の側面(+D2側の面又は‐D2側の面)、水晶ブランク19に形成された不図示の貫通穴の少なくとも1つを介して、互いに接続されてよい。
【0040】
厚み滑り振動を利用する水晶素子3においては、水晶ブランク19の厚さ(本段落においては、特に断りがない限り、励振電極23が重なっている部分における厚さ。)は、発振信号の周波数を決定する因子となっている。例えば、公知のように、ATカットの水晶素子においては、基本的には、f=1.67×n/tの関係が成り立つ。ここで、fは周波数(MHz)、nは利用される振動の次数、t(mm)は厚さである。水晶素子3は、基本波モードを利用するものであってもよいし、オーバートーンモードを利用するものであってもよい。既述のように、発振信号の周波数は任意であり、ひいては、水晶ブランク19の厚さも任意である。例えば、水晶ブランク19の厚さは、5μm以上、10μm以上、30μm以上又は50μm以上とされてよく、また、200μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意の者同士が組み合わされてよい。
【0041】
ATカット型の水晶ブランク19の最大厚さは、既述の説明から理解されるように、上記の周波数を規定する厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。いずれにせよ、水晶ブランク19の最大厚さは任意である。ATカット型又は他の型の水晶ブランク(若しくは水晶素子)の最大厚さは、例えば、30μm以上、50μm以上又は100μm以上とされてよく、また、300μm以下、200μm以下、100μm以下又は50μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意の者同士が組み合わされてよい。
【0042】
導体パターン21の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)若しくは銀(Ag)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。導体パターン21は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。導体パターン21は、例えば、その面積全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0043】
(2.感温素子)
感温素子5は、既述のように、薄膜によって構成されている(膜状部を有している。)。また、感温素子5の種類(別の観点では温度の検出原理)は任意であり、例えば、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対又はダイオードであってよい。各種の温度センサの具体的な構成も任意である。
【0044】
特に図示しないが、感温素子5がサーミスタである態様を例に取り、その具体的な構成が種々のものとされてよいことについて述べる。
【0045】
サーミスタは、例えば、基本的な構成要素として、温度により抵抗値が変化する抵抗膜を有している。抵抗膜の材料は、例えば、酸化物(例えば複合酸化物)又は窒化物(例えば複合窒化物)とされてよい。酸化物又は窒化物は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びクロム(Cr)の1つ以上を含んでよい。抵抗膜は、例えば、単一の材料からなる1層の膜のみを有していてもよいし、互いに異なる材料からなる2層以上の膜を有していてもよい。また、抵抗膜は、平面視において、その全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0046】
上記の抵抗膜は、直接的に、又は他の層を介して1対の第2パッド13Bに重なっていてもよいし、1対の第2パッド13Bの少なくとも一方に重なっていなくてもよい。後者の例としては、サーミスタが、1つ又は2つの中継導体膜(電極を含んでよい。)を有しており、各中継導体膜の一部が第2パッド13Bに重なり、各中継導体膜の他の一部が抵抗膜に重なる態様が挙げられる。各中継導体膜と抵抗膜とは、いずれが上方とされてもよい。2つの中継導体膜は、双方が抵抗膜に対して下方又は上方に位置してもよいし、抵抗膜を上下に挟み込んでもよい。
【0047】
各中継導体膜の平面形状は任意である。例えば、各中継導体膜の平面形状は、第2パッド13Bから抵抗膜に亘る単純な形状(例えば矩形状)であってよい。また、例えば、1対の第2パッド13Bに接続される1対の中継導体膜は、抵抗膜に重なり、互いに噛み合う1対の櫛歯電極を有してもよい。中継導体膜の材料も任意である。例えば、中継導体膜の材料は、金属を主成分としてよく、その金属の種類も任意である。中継導体膜は、単一の材料からなる1層の膜のみを有していてもよいし、互いに異なる材料からなる2層以上の膜を有していてもよい。また、中継導体膜は、平面視において、その全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0048】
抵抗膜は、基板部11の第1面11aに直接的に重なっていてもよいし、絶縁膜を介して重なっていてもよい。また、抵抗膜は、パッケージ7によって構成される空間(別の観点では後述する凹部R1の内部)に露出していてもよいし、絶縁膜によって覆われていてもよい。これらの絶縁膜の平面形状、寸法及び材料は任意である。
【0049】
以上のサーミスタの例の説明から理解されるように、図1及び図2において、感温素子5は、模式的に示されている。また、図示されている感温素子5の平面形状及び寸法は、感温素子5及び第2パッド13Bの双方が図面に現れやすいように設定されており、現実のものとは必ずしも一致していない。ただし、感温素子5及び/又は第2パッド13Bは、図示された形状及び寸法を実際に有していても構わない。
【0050】
感温素子5の形状及び寸法は任意である。ここでいう感温素子5の形状及び寸法は、上記のサーミスタの例から理解されるように、感温素子5が本体部分(抵抗膜)のみからなる態様では本体部分の形状及び寸法であり、また、感温素子5が他の部分(中継導体膜及び/又は絶縁膜)を含む態様では、本体部分及び他の部分の全体の形状及び寸法である。ただし、以下に述べる形状及び寸法の説明は、矛盾等が生じない限り、感温素子5が本体部分以外の他の部分を含む態様において、本体部分、本体部分及びその直上の他の部分の組みわせ、又は1対の第2パッド13Bの間に位置する部分の形状及び寸法に援用されてよい。
【0051】
感温素子5の平面形状は、例えば、矩形状(図示の例)、矩形以外の多角形状、円形状又は楕円状とされてよい。これらの形状は、数学でいう凸集合の境界線のような形状ということができる。また、感温素子5の平面形状は、多角形の任意の数の辺(例えば矩形状の1辺、2辺、3辺又は4辺)を外側及び/又は内側に湾曲させた曲線状にした形状とされてもよい。さらに、感温素子5の平面形状は、L字状又はU字状(凸集合の境界線からは逸脱した形状)であってもよい。
【0052】
感温素子5のD1方向(基板部11の長手方向)の長さ(例えば最大長さ)は、少なくとも1つの第2パッド13BのD1方向の長さ(例えば最大長さ)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、大きくてもよい。また、感温素子5は、少なくとも1つの第2パッド13BのD1方向の長さ(例えば最大長さ)の範囲に対して、その全体が収まっていてもよいし(図示の例)、一部のみが収まっていてもよい。後者の例としては、図示の例の感温素子5の位置及び形状において、感温素子5のD1方向の長さを図示の例よりも大きくした態様が挙げられる。また、感温素子5が、1対の第2パッド13Bに重なる2つの部分と、当該2つの部分に対して-D1側に位置する部分とを有する態様(平面視でU字形状の態様。別の観点では感温素子5が1対の第2パッド13Bの間に位置する部分を有さない態様)が挙げられる。
【0053】
感温素子5のD2方向(基板部11の短手方向)の長さ(例えば最大長さ)、又は1対の第2パッド13Bの間隔は、少なくとも1つの第2パッド13BのD2方向の長さ(例えば最大長さ)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい(図示の例)。また、感温素子5は、D2方向において、1対の第2パッド13B及び両者の間の領域を含む範囲に対して、その全体が収まっていてもよいし(図示の例)、一部のみが収まっていてもよい。後者の例としては、図示の例の感温素子5の位置及び形状において、感温素子5のD2方向の長さを図示の例よりも大きくし、感温素子5を1対の第2パッド13Bよりも外側に食み出させた態様が挙げられる。これまでに述べた感温素子5のD1方向及びD2方向における大きさの説明から理解されるように、感温素子5は、各第2パッド13Bに対して、その全体に重なっていてもよいし、一部に重なっていてもよい(図示の例)。
【0054】
感温素子5は、その領域全体に亘って概ね一定の厚さを有していてもよいし、互いに厚さが異なる複数の領域を有していてもよい。感温素子5の上面は、例えば、平面状であってもよいし(図示の例)、曲面状であってもよいし、凹凸を有する形状であってもよい。凹凸を有する形状としては、高さが互いに異なる複数の平面を有する形状が挙げられる。このような形状としては、例えば、抵抗膜及び/又は中継導体膜の有無がこれらを覆う絶縁膜の上面に現れた形状が挙げられる。感温素子5の上面が最も高くなる領域は、第2パッド13Bに重なる領域であってもよいし、第2パッド13Bに重ならない領域(例えば1対の第2パッド13Bの間の領域)であってもよい。
【0055】
感温素子5及び水晶素子3は、例えば、平面透視において、少なくとも一部同士が重複している。これにより、例えば、感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に近づけたり、平面視における振動子1の小型化を図ったりすることができる。ただし、図示の例とは異なり、両者は重複していなくてもよい。
【0056】
感温素子5及び水晶素子3は、例えば、上記のように重複しつつも、互いに非接触とされている。すなわち、感温素子5及び水晶素子3が重複する領域において、感温素子5の厚さは、基板部11の第1面11aと水晶素子3との間隔よりも小さくされている。なお、上記において、感温素子5の厚さは、例えば、上記重複する領域における最大厚さであってよく、別の観点では、上記重複する領域における、第1面11aからの感温素子5の上面の最大高さであってよい(特に断りが無い限り、本段落及び次段落において、以下同様。)。また、上記における第1面11aと水晶素子3との間隔は、例えば、上記の重複する領域における最小間隔であってよい。より詳細には、例えば、感温素子5の厚さは、水晶素子3と第1面11aとの間隔に対して、9/10以下、2/3以下、1/2以下又は1/3以下とされてよい。下限は特に限定されないが、例えば、前者は、後者に対して、1/100以上、1/50以上、1/10以上、1/5以上、1/3以上、1/2以上とされてよい。上記の上限と下限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。
【0057】
第1面11aと水晶素子3との間隔は、水晶素子3のパッケージ7に対する実装状態によってばらつくから、水晶素子3の厚み(例えば感温素子5と重複する領域における最大厚み)を基準に、感温素子5の厚さが所定の厚さに収まっているかに着目してもよい。例えば、上記の上限及び/又は下限は、水晶素子3の厚さに対する感温素子5の厚さの上限及び/又は下限であってもよい。また、感温素子5及び水晶素子3が重複していない領域において、感温素子5の厚さは、これまでに述べた重複する領域における厚さと同等であってもよいし、異なっていてもよい(例えば厚くてもよい。)。
【0058】
水晶素子3と感温素子5(又はそのうちの温度検出に直接に寄与する本体部分。以下、本段落において同様。)との重複面積及び重複位置は任意である。例えば、感温素子5と水晶素子3との重複面積は、感温素子5(又は本体部分)の面積に対して、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、1倍以下、2/3以下、1/2以下又は1/3以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、感温素子5と水晶素子3との重複面積は、水晶素子3の面積に対して、1/20以上、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、9/10以下、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、感温素子5と水晶素子3とが重複するD1方向の長さ(例えば最大長さ)は、水晶素子3のD1方向の長さ(例えば最大長さ)面積に対して、1/20以上、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、9/10以下、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、上記の、感温素子5の面積を基準とした下限及び/又は上限と、水晶素子3の面積を基準とした下限及び/又は上限と、水晶素子3のD1方向の長さを基準とした下限及び/又は上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0059】
図示の例では、感温素子5は、水晶素子3のうち1対の第2パッド13B側(+D1側。別の観点では水晶素子3の自由端側)の領域に重なっている。このような態様において、感温素子5は、平面透視において、水晶素子3の+D1側の縁部(短辺)に重複していてもよいし(図示の例)、その全体が+D1側の縁部よりも水晶素子3の中央側に位置していてもよい。また、感温素子5は、水晶素子3の-D2側の縁部(長辺)及び/又は+D2側の縁部(長辺)に重なっていてもよいし、少なくとも一方の縁部に対して水晶素子3の中央側に位置していてもよい。上記の説明から理解されるように、感温素子5は、一部のみが水晶素子3に重複してもよいし、その全体が水晶素子3に重複してもよい。
【0060】
感温素子5は、励振電極23(又は、既述のメサ部、逆メサ部若しくは振動部。本段落において、以下、同様)と一部同士が重複していてもよいし(図示の例)、重複していなくてもよい。これまでに、水晶素子3と感温素子5との重複について、重複面積(例えばその上限及び下限)、重複長さ(D1方向)及び重複位置(例えば縁部に重なるか否か)について説明した。この説明は、矛盾等が生じない限り、水晶素子3の語を励振電極23の語に置換して、励振電極23と感温素子5との重複に援用されてよい。
【0061】
(3.パッケージ)
パッケージ7は、例えば、凹部R1を有するパッケージ本体27と、凹部R1を塞ぐ蓋体29とを有している。凹部R1は、水晶素子3及び感温素子5を収容する。凹部R1が蓋体29によって塞がれることによって密閉空間が構成され、水晶素子3及び感温素子5が封止される。密閉空間は、真空状態とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入されている。
【0062】
パッケージ本体27は、例えば、絶縁性の基体35と、基体35に位置している種々の導体とを有している。種々の導体は、例えば、いずれも既述の端子9、パッド13及び配線15を含んでいる。基体35は、既述の基板部11と、基板部11に重なる枠部37とを有している。凹部R1は、基板部11の第1面11aと、枠部37の内側面とで構成されている。
【0063】
パッケージ7(振動子1)の寸法は任意である。振動子1が比較的小さいものである場合の例を挙げると、平面視における長手方向又は短手方向(D1方向又はD2方向)の長さは、0.6mm以上2.0mm以下である。厚さ(D3方向の長さ)は、0.2mm以上1.5mm以下である。
【0064】
以下におけるパッケージ7の説明は、概略、下記の順で行う。
3.1.基体35
3.2.端子9
3.3.パッド13
3.4.配線15
3.5.蓋体29
3.6.パッケージ本体27と蓋体29との接合
【0065】
図3は、基板部11の第1面11aを示す平面図である。この図では、枠部37の内周面(凹部R1)及び端子9も点線で示されている。以下の説明では、図1及び図2に加えて、図3も適宜に参照されたい。
【0066】
(3.1.基体)
基体35の形状、寸法及び材料は任意である。図示の例では、基体35の外形(凹部R1を無視した形状)は、概略直方体状である。そして、凹部R1は、基体35の上面(+D3側の面)に開口している。特に図示しないが、平面視において、基体35の角部は、平面又は曲面によって面取りされていたり、凹部(キャスタレーション)を有していたりしてもよい。
【0067】
基体35は、例えば、既述のように、基板部11と枠部37とを有している。なお、基体35は、基板部11と枠部37とを積層して作製されてもよいし、そのような製造方法とは異なる製造方法によって作製されてもよい。前者としては、例えば、枠部37となる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートに凹部R1となる開口を形成し、開口が形成された上記セラミックグリーンシートと、基板部11となる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートとを積層して焼成する方法が挙げられる。後者としては、例えば、1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートにプレスによって凹部R1を形成して焼成する方法が挙げられる。後者の製造方法から理解されるように、基板部11及び枠部37(別の観点では互いに異なる絶縁層)は、基体35の形状及び/又は基体35内の導体層に基づいて概念される便宜上のものであってよい。
【0068】
基板部11の平面形状は、例えば、基体35の外形が直方体状であることに対応して矩形状である。すなわち、基板部11は、図3に符号を付すように、平面視において、互いに対向する1対の長辺11cと、互いに対向する1対の短辺11d(第1短辺11da及び第2短辺11db)とを有している。なお、既述のように、長辺11cと短辺11dとが交差する角部には面取り面又は凹部が位置していてもよい。長辺11cと短辺11dとの長さの比は任意である。
【0069】
基板部11において、第1面11a(凹部R1の底面)及び第2面11bは、例えば、互いに平行な平面状である。別の観点では、基板部11の厚さは一定である。さらに別の観点では、第1面11a及び第2面11bそれぞれは、いずれの領域の高さ(D3方向の位置)も同じである。従って、4つのパッド13は、互いに同一の高さの領域に重なっている。換言すれば、1対の第1パッド13A及び1対の第2パッド13Bは、同一平面上に位置している。同様に、4つの端子9は、互いに同一の高さの領域に重なっている。換言すれば、1対の第1端子9A及び1対の第2端子9Bは、同一平面上に位置している。ただし、図示の例とは異なり、第1面11a又は第2面11bは、一部(例えばパッド13及び/又は端子9の非配置領域)に凹部又は凸部を有していてもよい。
【0070】
基板部11の側面(外周面)は、例えば、D3方向に概ね平行である。基板部11の厚さは、その強度等を考慮して適宜に設定されてよい。基板部11の厚さは、例えば、枠部37の厚さ(凹部R1の深さ)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
【0071】
枠部37の平面視における外縁の形状は、例えば、基板部11の外縁と概ね一致する形状である。枠部37の内縁の形状(凹部R1の平面形状)は、例えば、枠部37の外縁の4辺と概ね平行な4辺を有する矩形状である。枠部37は、例えば、一定の厚さを有している。枠部37の外周面及び内周面は、例えば、D3方向に概ね平行である。ただし、図示の例とは異なり、例えば、枠部37の内周面は、上方(+D3側)ほど凹部R1の径が大きくなるように傾斜していてもよい。枠部37の厚さ(凹部R1の深さ)は、例えば、水晶素子3及び感温素子5の厚さ等に応じて適宜に設定されてよい。枠部37の幅(内縁から外縁までの距離)も任意である。
【0072】
基体35(基板部11及び枠部37)の材料は、既に触れたように、例えば、セラミックとされてよい。セラミックの具体的な種類は任意であり、例として、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)、窒化アルミニウム(AlN)、及びLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)を挙げることができる。もちろん、基体35の材料は、セラミック以外の材料であってもよいし、複数種類の材料を含む複合材料であってもよい。
【0073】
(3.2.端子)
既述のように、振動子1は、4つの端子9を有している。各端子9は、例えば、基板部11の第2面11bに重なる層状(パッド状)の導体によって構成されている。そして、既述のように、1対の第1端子9Aは、基板部11の中心よりも-D1側に位置している。1対の第2端子9Bは、基板部11の中心よりも+D1側に位置している。なお、基板部11の中心は、例えば、平面視における基板部11の幾何中心(図心)であってよい。幾何中心は、その点を通る任意の軸に対する断面一次モーメントが0になる点である。
【0074】
より詳細には、図示の例では、4つの端子9は、矩形状の第2面11bの4隅に位置している。換言すれば、1対の第1端子9Aは、基板部11の-D1側の縁部(第1短辺11da)に隣接しているとともに、第1短辺11daに沿って(例えば第1短辺11daに平行に)並んでいる。また、1対の第2端子9Bは、基板部11の+D1側の縁部(第2短辺11db)に隣接しているとともに、第2短辺11dbに沿って(例えば第2短辺11dbに平行に)並んでいる。さらに、各端子9は、いずれかの長辺11cにも隣接している。
【0075】
なお、平面視において端子9が基板部11の辺(長辺11c又は短辺11d)に隣接する態様(別の観点では端子9が基板部11の4隅に位置する態様)は、端子9(例えばその縁部)が基板部11の辺に重なっている態様だけでなく、端子9が基板部11の辺から比較的短い距離で離れている態様も含んでよい。従って、端子9が基板部11の辺に隣接しているか否かは、基板部11の寸法、端子9の寸法、基板部11の縁部と端子9の縁部との距離等に基づいて合理的に判断されてよい。例えば、端子9の1辺と基板部11の1辺との距離(互いに概ね平行な2辺の距離)が、当該2辺の対向方向における端子9の最大長さの1/3以下、1/4以下又は1/5以下の場合、当該2辺は互いに隣接していると判断されてよい。
【0076】
4つの端子9の構成(例えば形状、寸法及び材料)は、例えば、概略同じ(平面視における線対称及び/又は回転対称を含む。)である。ただし、ここでの説明とは異なり、4つの端子9の構成は、互いに異なっていてもよい。また、4つの端子9のうちの1つは、振動子1の向きを示すための目印となる形状を有していてもよい。このような形状は、例えば、面取り、切欠き又は凸部であってよい。なお、実施形態の説明では、そのような目印の有無は基本的に無視する。
【0077】
端子9の平面形状は任意である。例えば、各端子9は、基板部11の長辺11c及び短辺11dに隣接するとともに概ね平行な2辺を有する形状とされてよい。このような形状としては、例えば、矩形状(図示の例)、矩形状から基板部11の中心側の一部が切り欠かれた形状が挙げられる。また、端子9において、D1方向の長さ(例えば最大長さ)とD2方向の長さ(例えば最大長さ)とは同等であってもよいし、一方が他方よりも長くてもよい。後者の場合において、D1方向の長さとD2方向の長さとのいずれが他方よりも長くてもよい。
【0078】
端子9の寸法も任意である。例えば、各端子9のD1方向における長さ(例えば目印を除く最大長さ)は、基板部11のD1方向における長さの1/3に対して、短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。また、例えば、各端子9のD2方向における長さ(例えば目印を除く最大長さ)は、基板部11のD2方向における長さの1/3に対して、短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。端子9の厚さも任意である。
【0079】
4つの端子9は、例えば、平面視において、位置、形状(目印を除く)及び寸法の全てについて、互いに線対称及び/又は回転対称の関係であってよい。例えば、1対の第1端子9Aの位置、形状及び寸法は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。同様に、1対の第2端子9Bの位置、形状及び寸法は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。1対の第1端子9Aの位置、形状及び寸法と、1対の第2端子9Bの位置、形状及び寸法とは、基板部11の中心を通りD2方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。
【0080】
端子9は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。導体層の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)若しくはプラチナ(Pt)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。
【0081】
(3.3.パッド)
既述のように、振動子1は、4つ(別の観点では端子9と同数)のパッド13を有している。各パッド13は、例えば、基板部11の第1面11aに重なる層状(パッド状)の導体によって構成されている。そして、既述のように、1対の第1パッド13Aは、基板部11の中心よりも-D1側に位置している。1対の第2パッド13Bは、1対の第1パッド13Aよりも+D1側に位置している。
【0082】
1対の第2パッド13Bは、基板部11の中心に対してではなく、1対の第1パッド13Aに対して+D1側に位置していればよい。従って、例えば、少なくとも1つの第2パッド13BのD1方向の範囲は、基板部11の中心のD1方向の位置と重複していてもよい。ただし、図示の例では、1対の第2パッド13Bは、1対の第1パッド13Aに対してだけでなく、基板部11の中心に対しても+D1側に位置している。
【0083】
より詳細には、図示の例では、4つの端子9は、凹部R1の矩形状の底面の4隅に位置している。凹部R1の底面は、別の観点では、第1面11aのうち枠部37によって囲まれている領域であり、さらに別の観点では、第1面11aのうち水晶素子3及び感温素子5を実装可能な領域である。1対の第1パッド13Aは、凹部R1の底面の-D1側の短辺(符号省略)に隣接しているとともに、上記短辺(又は第1短辺11da)に沿って(例えば平行に)並んでいる。また、1対の第2パッド13Bは、凹部R1の底面の+D1側の短辺(符号省略)に隣接しているとともに、上記短辺(又は第2短辺11db)に沿って(例えば平行に)並んでいる。さらに、各パッド13は、凹部R1の底面の+D2又は-D2の長辺にも隣接している。
【0084】
なお、端子9の基板部11の辺(縁部)に対する隣接と同様に、パッド13の凹部R1の底面の辺(縁部)に対する隣接は、パッド13が辺に重なっている態様だけでなく、パッド13が辺から比較的短い距離で離れている態様も含んでよい。従って、パッド13が凹部R1の底面の辺に隣接しているか否かは、当該底面の寸法、パッド13の寸法、底面の縁部とパッド13の縁部との距離等に基づいて合理的に判断されてよい。例えば、パッド13の1辺と凹部R1の底面の1辺との距離(互いに概ね平行な2辺の距離)が、当該2辺の対向方向におけるパッド13の最大長さの1/3以下、1/4以下又は1/5以下の場合、当該2辺は互いに隣接していると判断されてよい。パッド13が凹部R1の底面の辺に重なっている態様においては、パッド13の一部が枠部37に重複していてもよい。このときの重複量は任意である。
【0085】
1対の第1パッド13Aの構成(例えば平面形状及び寸法)は、例えば、概略同じ(平面視における線対称を含む。)である。同様に、1対の第2パッド13Bの構成は、例えば、概略同じ(平面視における線対称を含む。)である。また、1対の第1パッド13Aの構成と、1対の第2パッド13Bの構成とは、例えば、平面形状を除いて、概略同じである。ただし、ここでの説明とは異なり、4つのパッド13の構成は、その平面形状も含めて互いに同じであってもよい。逆に、1対の第1パッド13Aの構成が互いに異なっていたり、1対の第2パッド13Bの構成が互いに異なっていたり、1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13Bとが平面形状以外の構成(例えば材料及び/又は厚さ)に関して互いに異なっていたりしてもよい。
【0086】
パッド13の平面形状は任意である。例えば、各パッド13は、基板部11の長辺11c又は短辺11dに概ね平行な4辺を有する矩形状とされてよい。また、パッド13において、D1方向の長さ(例えば最大長さ)とD2方向の長さ(例えば最大長さ)とは同等であってもよいし、一方が他方よりも長くてもよい。後者の場合において、D1方向の長さとD2方向の長さとのいずれが他方よりも長くてもよい。図示の例では、第1パッド13Aは、D2方向の長さがD1方向の長さよりも長くなっている。また、逆に、第2パッド13Bは、D1方向の長さがD2方向の長さよりも長くなっている。既述の説明から理解されるように、これは一例に過ぎない。すなわち、各パッドの長手方向は、図示の例とは逆であってもよいし、第1パッド13Aと第2パッド13Bとで長手方向が同一方向であってもよい。
【0087】
パッド13の寸法も任意である。例えば、各パッド13のD1方向における長さ(例えば最大長さ)は、凹部R1の底面のD1方向における長さの1/3又は1/4に対して、短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。また、例えば、各パッド13のD2方向における長さ(例えば最大長さ)は、凹部R1の底面のD2方向における長さの1/3に対して、短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。パッド13の厚さも任意である。
【0088】
第1パッド13Aは、その一部の領域において+D3側に突出する突起部39を有していてもよい。この突起部39は、例えば、接合材17の必要量を減じたり、水晶素子3の基板部11の第1面11aからの高さを確保したりすることに寄与する。突起部39は、例えば、第1パッド13Aの大部分を構成する少なくとも1層の導体層の下面、内部又は上面に位置する導体(絶縁体とすることも可能である。)が位置することによって構成されている。なお、突起部39は、第1パッド13Aとは別個の部位として捉えられてもよい。また、図示の例とは異なり、突起部39は設けられなくてもよい。
【0089】
突起部39の位置、形状及び寸法等は任意である。例えば、突起部39の上面(例えば最も高い位置。以下、本段落において同様。)は、感温素子5の上面(例えば、その領域全体又は水晶素子3と重なる領域において、最も高い位置。以下、本段落において同様。)に対して、低くてもよいし、同等でもよいし、高くてもよい。突起部39の上面が感温素子5の上面よりも高い(+D3側に位置する)場合、例えば、水晶素子3が感温素子5に接触する蓋然性が低減される。
【0090】
既述のように、感温素子5の本体部分(例えばサーミスタの抵抗膜)は、直接に第2パッド13Bに重なってよい。この態様において、1対の第2パッド13Bを含む電極(図示の例では第2パッド13Bによって電極全体が構成されている。)は、1対の櫛歯電極を含んでいてもよい。すなわち、第2パッド13Bを含む電極(又は第2パッド13B)の平面形状は、一般的なパッドの平面形状に限定されない。
【0091】
1対の櫛歯電極は、より詳細には、互いに対向する1対のバスバーと、各バスバーから延びる複数の電極指(複数の歯)とを有している。1対の第2パッド13Bを含む電極が1対の櫛歯電極を含んでいる場合において、1対のバスバーは、1対の第2パッド13Bとして捉えられてもよい。1対のバスバーとは別に、1対のバスバーに接続される1対の第2パッド13Bが存在してもよい。
【0092】
ただし、第2パッド13B(又は第2パッド13Bを含む電極)は、感温素子5が接合される領域から感温素子5から離れるように(及び/又は離れた領域で)延びる配線状かつ層状の導体(図示の例ではそのような配線状の導体は存在しない。)は含まない。そのような導体は、配線15に含まれるものとして捉える。ここでの配線状は、例えば、第2パッド13B(例えば感温素子5又はその本体部分が接合される領域)の幅よりも狭い幅で第2パッド13Bから突出する形状を指してよい。
【0093】
1対の第1パッド13Aは、例えば、平面視において、位置、形状及び寸法の全てについて、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して、互いに線対称であってよい。同様に、1対の第2パッド13Bは、例えば、平面視において、位置、形状及び寸法の全てについて、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して、互いに線対称であってよい。
【0094】
パッド13は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。パッド13の材料の少なくとも一部は、端子9の材料の少なくとも一部と同じであってもよいし、全く異なっていてもよい。いずれにせよ、端子9の材料として例示した金属は、パッド13に利用されてよい。
【0095】
(3.4.配線)
パッド13と端子9とを接続する配線15は、適宜な構成とされてよい。例えば、配線15は、基板部11を貫通するビア導体を含んでいてもよいし、及び/又は基板部11の表面(上面、下面及び/又は側面)に重なる層状導体(層状配線)を含んでいてもよい。図示の例では、以下のとおりである。
【0096】
各第1配線15Aは、第1パッド13Aに接続されている接続導体膜43(図3)と、接続導体膜43と第1端子9Aとを接続している第1ビア導体41A(図2及び図3参照。以下、「ビア導体41」ということがある。)と、を有している。同様に、各第2配線15Bは、第2パッド13Bに接続されている接続導体膜43と、接続導体膜43と第2端子9Bとを接続している第2ビア導体41B(以下、「ビア導体41」ということがある。)と、を有している。
【0097】
接続導体膜43は、基板部11の第1面11aに重なる層状導体であり、第1面11a上においてパッド13とつながっている。ビア導体41は、基板部11を貫通する軸状導体である。ビア導体41の上端は、接続導体膜43に接続されている。ビア導体41の下端は、端子9に接続されている。換言すれば、平面透視において、ビア導体41は、接続導体膜43及び端子9に重複している。このような構成によって、パッド13と端子9とは電気的に接続されている。
【0098】
ビア導体41と導体層(ここでは端子9又は接続導体膜43)との接続部において、材料等の観点から見たときに、導体層の上面又は下面とビア導体41の下端面又は上端面とが接合されていてもよいし、ビア導体41が導体層を貫通していてもよいし、そのような区別が不可能であってもよい。以下では、便宜上、いずれの態様であっても、ビア導体41が導体層の上面又は下面に接合されているという捉え方を前提とした表現をすることがある。
【0099】
以下における配線15の説明は、概略、下記の順でなされる。
3.4.1.配線15の長さ
3.4.2.接続導体膜43
3.4.3.ビア導体41
【0100】
(3.4.1.配線の長さ)
接続導体膜43の平面形状は、例えば、一般的な配線とは異なり、パッド13から細長く延び出ていない。別の観点では、接続導体膜43は、平面視においてパッド13から十分に離れた任意の領域にビア導体41を位置させることを目的とした形状を有していない。従って、パッド13とビア導体41とは、重複又は隣接している。ひいては、配線15の長さは、ビア導体41の長さ(D3方向)と同等又は略同等である。
【0101】
既述のように、4つのパッド13は、基板部11の第1面11aの互いに同じ高さの領域に重なっている。また、4つの端子9は、基板部11の第2面11bの互いに同じ高さの領域に重なっている。従って、4つのビア導体41の長さは互いに同じであり、ひいては、4つの配線15の長さは互いに同じ(又は略同じ)である。別の観点では、1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとは、互いに同じ(又は略同じ)である。
【0102】
配線15の具体的な長さ(ここではビア導体41の具体的な長さ)は、基板部11の厚さの説明から理解されるように任意である。振動子1が比較的小型である態様を例に取ると、配線15の長さ(及び/又は基板部11の厚さ)は、例えば、0.5mm以下又は0.3mm以下である。
【0103】
図示の例とは異なり、パッド13とビア導体41とは、第1面11aに重なる平面視で細長い導体膜(一般的な形状の配線)を介して接続されていてもよい。また、そのような態様において、4つの配線15それぞれの長さは、互いに同一であってもよいし、少なくとも1つが他と異なっていてもよい。また、1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0104】
種々の構成(例えばビア導体41及び/又は細長い導体膜の有無等が相違する構成)の配線15に関して、1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとの差は、適宜な大きさとされてよい。例えば、当該差は、1対の第1パッド13A(その最も+D1側の位置)と1対の第2パッド13B(その最も-D1側の位置)との1対の長辺11cに平行な方向(D1方向)における距離(D1方向に平行な長さ)に対して、1/2以下、1/5以下又は1/10以下であってよい。また、当該差は、4本の配線15それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/5以下又は1/10以下とされてよい。
【0105】
また、種々の構成の配線15に関して、4本の配線15の長さを互いに比較したときの最大の差(最も長い配線15と最も短い配線15との差)も、適宜な大きさとされてよい。例えば、当該差は、1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13Bとの1対の長辺11cに平行な方向(D1方向)における距離に対して、1/4以下、1/10以下又は1/20以下であってよい。また、当該差は、4本の配線15それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/10以下又は1/20以下とされてよい。
【0106】
なお、配線15の位置によって配線15の長さが相違する場合は、合理的に配線15の長さが計測されてよい。例えば、配線15が細長い導体膜からなる部分を含み、当該部分が平面視において湾曲している場合、その内側と外側とで長さが異なる。このような場合は、その中心線の長さが上記部分の長さとされてよい。
【0107】
図4は、1組のパッド13、接続導体膜43及びビア導体41を示す平面図である。この図を参照して、上記のパッド13とビア導体41との重複又は隣接について、補足説明を行う。
【0108】
パッド13は、矩形状であることから、図4において点線で示すように、パッド13と接続導体膜43との接続部においても、パッド13の境界線(矩形の角部)を見出すことが可能である。なお、図示の例では、上記接続部において接続導体膜43の境界線を見出すことも可能であり、両者の配置領域は互いに重複している。図示の例では、矩形状のパッド13は、接続導体膜43に接続されている角部(点線で示されている角部)がビア導体41と重複している。すなわち、図示の例は、パッド13とビア導体41とが重複している態様であるといえる。この態様において、配線15の長さは、ビア導体41の長さと同じと捉えられてよい。
【0109】
上記から理解されるように、パッド13とビア導体41とが重複(又は隣接)しているか否かの判断において、パッド13の範囲は合理的に判断されてよい。一般には、パッド13の形状は単純な形状であり、上記のようにパッド13と接続導体膜43との接続部においてもパッド13の範囲を確定できる。そうでない場合は、例えば、縁部の2つの屈曲点(図示の例ではパッド13の矩形の2辺と接続導体膜43の円周との2つの交点)を結ぶ線によってパッド13の範囲を確定してよい。以下の説明においても同様である。
【0110】
なお、特に図示しないが、接続導体膜43が設けられずに、パッド13とビア導体41とが重複していてもよい。この場合において、図示の例とは異なり、ビア導体41の全体がパッド13に重複していてもよい。また、図示の例では、ビア導体41の全体が端子9に重なっている(図3)。特に図示しないが、パッド13と同様に、端子9に接続される接続導体膜が設けられ、この接続導体膜にビア導体41が接続されていてもよい。
【0111】
上記の説明とは異なり、パッド13とビア導体41とは重複せずに、互いに隣接していてもよい。両者が隣接しているか否かは、合理的に判断されてよい。
【0112】
例えば、パッド13とビア導体41との距離(最短距離)がビア導体41の径の2倍以下、1倍以下又は0.5倍以下の場合、両者は隣接していると捉えられてよい。また、例えば、パッド13とビア導体41とに直接に接続される接続導体膜43の平面形状(及び寸法)が一般的な配線として捉えられない形状(例えばビア導体41の上端との接続の機能のみを有する形状)を有している場合、パッド13とビア導体41とは隣接していると捉えられてよい。
【0113】
上記のように接続導体膜43の平面形状が、パッド13とビア導体41とを隣接させるものである場合、接続導体膜43は、例えば、下記の少なくとも1つの要件を備えていてよい。接続導体膜43の面積は、パッド13の面積よりも小さい。接続導体膜43の中心にビア導体41が位置している。接続導体膜43の、パッド13から延びる長さは、接続導体膜43の幅(例えば接続導体膜43が延びる方向に直交する方向の最大長さ又は平均長さ)に対して、2倍以下、1.5倍以下又は1倍以下である。
【0114】
(3.4.2.接続導体膜)
4つの接続導体膜43の構成は、互いに異なっていてもよいし(例えば第1配線15Aと第2配線15Bとで異なっていてもよいし)、互いに同じであってもよい。本実施形態の説明では、特に断り無く、4つの接続導体膜43の構成が互いに同じであることを前提とした表現をすることがある。
【0115】
接続導体膜43の平面形状、寸法及び材料は任意である。平面形状及び寸法に関して、先の説明でパッド13とビア導体41とが隣接しているといえる要件を例示したが、そのような要件は必ずしも満たされなくてもよい。図示の例では、接続導体膜43は、ビア導体41が中心に位置する円形状とされている。なお、中心に位置するといっても、公差が存在してもよいことは当然である。接続導体膜43は、その一部又は全部が枠部37に重なっていてもよいし、全部が枠部37に重なっていなくてもよい。
【0116】
平面視において、接続導体膜43の径(円でない場合は例えば最大長さ又は円相当径)は、例えば、ビア導体41の上端の径(円でない場合は例えば最大長さ又は円相当径)よりも大きい。例えば、前者は、後者に対して、1.1倍以上、1.5倍以上又は2倍以上とされてよく、5倍以下、3倍以下又は2倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。
【0117】
4つの接続導体膜43は、例えば、平面視において、位置、形状(目印を除く)及び寸法の全てについて、互いに線対称及び/又は回転対称の関係であってよい。例えば、1対の第1配線15Aが含む1対の接続導体膜43の位置、形状及び寸法は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。同様に、1対の第2配線15Bが含む1対の接続導体膜43の位置、形状及び寸法は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。1対の第1配線15Aが含む1対の接続導体膜43の位置、形状及び寸法と、1対の第2配線15Bが含む1対の接続導体膜43の位置、形状及び寸法とは、基板部11の中心を通りD2方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。
【0118】
接続導体膜43の材料及び厚さは、例えば、パッド13の材料及び厚さと同じとされてよい。別の観点では、接続導体膜43は、パッド13と一体的であってよい。換言すれば、両者は、1つの導体パターンの互いに異なる領域であってよい。ただし、接続導体膜43とパッド13とで材料及び/又は厚さが異なっていてもよい。いずれにせよ、パッド13における材料に関する説明は、接続導体膜43に援用されてよい。
【0119】
(3.4.3.ビア導体41)
4つのビア導体41の構成は、互いに異なっていてもよいし(例えば第1配線15Aと第2配線15Bとで異なっていてもよいし)、互いに同じであってもよい。本実施形態の説明では、特に断り無く、4つのビア導体41の構成が互いに同じであることを前提とした表現をすることがある。ビア導体41の具体的な構成は、種々の構成とされてよく、例えば、公知の構成とされて構わない。
【0120】
例えば、ビア導体41は、図示の例のように柱状(内部に空洞がない態様)であってもよいし、図示の例とは異なり、筒状(内部に空洞がある態様)であってもよい。後者の場合において、筒状の内部は、真空状態若しくは気体が存在する状態であってもよいし、絶縁体が充填されていてもよい。また、柱状のビア導体41は、その全体が同じ材料によって構成されていてもよいし、内部と外周面とが異なる材料によって構成されていてもよい。
【0121】
また、例えば、ビア導体41は、その横断面(D1-D2平面に平行な断面)の形状が長さ方向(D3方向)において一定であってもよいし、一定でなくてもよい。後者の例としては、第1面11a側ほど又は第2面11b側ほど径が小さくなるテーパ状が挙げられる。また、2以上のテーパ形状をD3方向に重ねた形状、又は径が互いに異なる2以上の形状をD3方向に重ねた形状が挙げられる。また、例えば、ビア導体41は、長さ方向(D3方向)の中途にフランジ状部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。そのようなフランジ状部分は、ビア導体41とは別個の部分として捉えられてもよい。
【0122】
ビア導体41の横断面(D1-D2平面に平行な断面)の形状は任意である。図示の例では、また、一般には、当該横断面の形状は円形である。ビア導体41の具体的な長さ(基板部11の厚さ)については既に述べた。ビア導体41の径(最大長さ又は円相当径)は、十分な導通面積が確保されるように適宜に設定されてよい。例えば、ビア導体41の横断面(D1-D2平面に平行な断面)の面積の最小値は、引出電極25の横断面の最小値(図示の例では励振電極23に接続されている配線状部分のD2-D3平面に平行な断面における面積)よりも大きくなるように設定されてよい。
【0123】
ビア導体41の位置は、既述のように、例えば、パッド13に重複又は隣接するとともに、端子9に重複する位置である。この要件を満たす具体的な位置は任意である。例えば、ビア導体41は、パッド13若しくはその中心に対して、及び/又は端子9の中心に対して、D1方向において、及び/又はD2方向において、基板の中央側及び基板の外側のいずれに位置してもよい。また、ビア導体41は、平面透視において、その一部又は全部が枠部37に重なっていてもよいし、全部が枠部37に重なっていなくてもよい。
【0124】
平面視において、4つのビア導体41の位置(例えば、その中心。別の観点では、位置、形状及び寸法の全て。本段落において、以下、同様。)は、例えば、平面視において、互いに線対称及び/又は回転対称の関係であってよい。例えば、1対の第1ビア導体41Aの位置は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。同様に、1対の第2ビア導体41Bの位置は、基板部11の中心を通りD1方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。1対の第1ビア導体41Aの位置と、1対の第2ビア導体41Bの位置とは、基板部11の中心を通りD2方向に平行な不図示の中心線に対して線対称であってよい。
【0125】
ビア導体41の材料は任意である。例えば、ビア導体41の材料の少なくとも一部は、パッド13、接続導体膜43、及び/又は端子9の材料の少なくとも一部と同じであってもよいし、全く異なっていてもよい。ビア導体41の少なくとも上端と接続導体膜43の少なくとも下面とは、同一の材料によって一体的に構成されていてもよいし、そのように構成されていなくてもよい。同様に、ビア導体41の少なくとも下端と端子9の少なくとも上面とは、同一の材料によって一体的に構成されていてもよいし、そのように構成されていなくてもよい。いずれにせよ、端子9等の材料として例示した材料は、ビア導体41の材料として利用されてよい。
【0126】
(3.5.蓋体)
蓋体29の形状、寸法及び材料は、凹部R1を塞ぐことができる限り、任意である。図示の例では、蓋体29は、概略、平板状の部材である。その平面形状は、枠部37の平面形状と同様であり、すなわち、矩形状である。蓋体29の材料は、導体(例えば金属)、絶縁体又は両者の組み合わせとされてよい。金属は、例えば、鉄、ニッケル若しくはコバルト、又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金とされてよい。
【0127】
(3.6.パッケージ本体と蓋体との接合)
パッケージ本体27(枠部37)と蓋体29との接合は、凹部R1を密閉できる限り、種々のものとされてよい。図示の例では、シーム溶接によって接合される態様が示されている。より具体的には、枠部37の上面には、第1接合用金属層31が重なっている。蓋体29の下面には、第2接合用金属層33が重なっている。第2接合用金属層33の平面形状は、概ね、第1接合用金属層31の平面形状と同じ(すなわち枠状)である。そして、第1接合用金属層31及び第2接合用金属層33に電圧が印加されることによって両者が溶接され、ひいては、パッケージ本体27と蓋体29とが接合される。
【0128】
なお、特に図示しないが、端子9(例えば第2端子9B)の1つは、基準電位が付与されるものであってよい。そして、この基準電位が付与される端子9と、導体を含む(又は導体からなる)蓋体29とが、パッケージ本体27の不図示の接続導体、第1接合用金属層31及び第2接合用金属層33を介して電気的に接続されていてもよい。上記接続導体は、例えば、基板部11及び枠部37を貫通し、下端が端子9に接続され、上端が第1接合用金属層31に接続されるビア導体であってよい。
【0129】
(4.接合材)
水晶素子3と第1パッド13Aとを接合する導電性の接合材17は、例えば、導電性接着剤である。導電性接着剤は、特に図示しないが、絶縁性のバインダーと、当該バインダーに分散されている導電性フィラー(導電性粉末)とを有している。バインダーは、有機材料(例えば樹脂、より詳細には熱硬化性樹脂)であってもよいし、無機材料であってもよい。樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂とされてよい。導電性フィラーの材料は、例えば、金属とされてよい。金属は、例えば、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル若しくは鉄、又はこれらの1つ以上を主成分とする合金とされてよい。
【0130】
(5.変形例)
図7は、変形例に係る水晶振動子1Aを示す分解斜視図である。この図は、図1に対応している。
【0131】
既述のように、感温素子5の形状及び寸法は任意である。図7では、図1において例示された感温素子5の形状及び寸法とは異なる形状及び寸法が例示されている。具体的には、図7の感温素子5A(感温素子5の一例と捉えられてよい。)は、図1に例示された感温素子5よりも基板部11の中央側へ広がっている。
【0132】
さらに詳細には、例えば、感温素子5Aは、凹部R1の底面(第1面11aのうち枠部37に囲まれた領域)のその長手方向(D1方向)の長さを3等分又は5等分したとき、中央の範囲の少なくとも一部(例えば全部)に位置する部分を有してよい。また、例えば、感温素子5Aは、凹部R1の底面の長手方向の中央に位置する部分を有してよい。本段落の説明は、凹部R1の底面の語を水晶素子3の語又は励振電極23の語に置換して、水晶素子3又は励振電極23に対する感温素子5Aの平面透視における相対位置に援用されてもよい。
【0133】
なお、感温素子5と水晶素子3との重複面積及び重複長さの下限及び上限の例については既に述べた。その下限及び上限の例が、矛盾等が生じない限り、感温素子5Aにも適用されてよいことはもちろんである。
【0134】
(6.第1実施形態のまとめ)
以上のとおり、本実施形態では、圧電振動子(水晶振動子1)は、圧電素子(水晶素子3)と、感温素子5と、水晶素子3及び感温素子5を保持しているパッケージ7と、を有している。パッケージ7は、基板部11と、1対の第1パッド13Aと、1対の電極(1対の第2パッド13B)と、1対の第1端子9Aと、1対の第2端子9Bと、1対の第1配線15Aと、1対の第2配線15Bと、を有している。基板部11は、第1面11aと、当該第1面11aの背面の第2面11bとを有している絶縁性の部材である。また、基板部11は、第1面11aの平面視において、互いに対向している1対の長辺11cと、当該1対の長辺11cの対向方向に直交する方向(D1方向)において互いに対向している第1短辺11da及び第2短辺11dbと、を有している。1対の第1パッド13Aは、第1面11aに重なっており、水晶素子3が接合されている。1対の第2パッド13Bは、第1面11aに重なっており、感温素子5が接合されている。1対の第1端子9A及び1対の第2端子9Bは、第2面11bに重なっている。1対の第1配線15Aは、1対の第1パッド13Aと1対の第1端子9Aとを接続している。1対の第2配線15Bは、1対の第2パッド13Bと1対の第2端子9Bとを接続している。
【0135】
また、本実施形態では、感温素子5は、1対の第2パッド13Bと第1面11aとに重なる膜状部を有している。1対の第1パッド13Aは、平面視において、基板部11の中心よりも第1短辺11daの側(-D1側)で、第1短辺11daに沿って並んでいる。1対の第2パッド13Bは、1対の第1パッド13Aに対して第2短辺11dbの側(+D1側)に位置している。1対の第1端子9Aは、平面視において、基板部11の中心よりも第1短辺11daの側で、第1短辺11daに沿って並んでいる。1対の第2端子9Bは、平面視において、基板部11の中心よりも第2短辺11dbの側で、第2短辺11dbに沿って並んでいる。
【0136】
従って、例えば、既述のように、1対の第1配線15Aの合計長さと1対の第2配線15Bの合計長さとを互いに近づけたり、4本の配線15の長さを互いに近づけたりすることが容易である。このような配線15の長さの設定によって、例えば、外部の温度が第1配線15Aを介して水晶素子3に及ぼす影響と、外部の温度が第2配線15Bを介して感温素子5に及ぼす影響とを近づけることが容易化される。ひいては、感温素子5が検出する温度を感温素子5の温度に追従させることが容易化される。
【0137】
感温素子5に接合される1対の電極(第2パッド13B)は、平面視において、基板部11の中心よりも第2短辺11dbの側(+D1側)で、第2短辺11dbに沿って並んでいる1対の第2パッド13Bを有してよい。
【0138】
この場合、例えば、1対の第2パッド13Bが1対の第1パッド13Aと同様に短辺11dに沿って並ぶことによって、1対の第1パッド13Aと1対の第1端子9Aとの位置関係と、1対の第2パッド13Bと1対の第2端子9Bとの位置関係とが近似する。これにより、上述した効果が向上する。例えば、4本の配線15の長さを近づけることが容易化される効果が向上する。
【0139】
1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13Bとは、第1面11aのうちの互いに同じ高さの領域に重なっていてよい。
【0140】
この場合、1対の第1パッド13Aから1対の第1端子9Aまでの基板部11の厚さ方向(D3方向)における距離と、1対の第2パッド13Bから1対の第2端子9BまでのD3方向における距離とが同じになる。従って、例えば、1対の第1配線15Aの長さと1対の第2配線15Bの長さとを近づけやすい。なお、1対の第1パッド13A及び1対の第2パッド13Bの位置について前段落のようにいうとき、第1面11aは、1対の第1パッド13Aの領域から1対の第2パッド13Bの領域に亘って(若しくは第1面11a全体に亘って)平面であってもよいし(図示の例)、両領域の間に凹部(例えば両領域を隔てるような溝)又は凸部を有していてもよい。
【0141】
1対の第1配線15Aは、第1面11aから第2面11bまで基板部11を貫通している1対の第1ビア導体41Aを有してよい。同様に、1対の第2配線15Bは、第1面11aから第2面11bまで基板部11を貫通している1対の第2ビア導体41Bを有してよい。
【0142】
この場合、例えば、第1パッド13Aと第2パッド13B(電極)とが同一の高さに位置しているから、第1ビア導体41Aと第2ビア導体41Bとの長さを同じにすることができる。ビア導体41は、配線15の他の部位(例えば接続導体膜43)に比較して、振動子1が実装される不図示の回路基板等からの熱の影響を受けやすい。従って、ビア導体41の長さが同等になることによって、上述した感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に追従させることが容易化される効果が向上する。
【0143】
1対の第1ビア導体41Aは、平面透視において1対の第1端子9Aに対して重複していてよい。1対の第2ビア導体41Bは、平面透視において1対の第2端子9Bに対して重複していてよい。
【0144】
この場合、例えば、第1ビア導体41A及び第2ビア導体41Bは、共に端子9からの熱の影響を直接的に受ける。その結果、例えば、振動子1が実装される不図示の回路基板等からの熱が第1ビア導体41A及び第2ビア導体41Bに対して同等に伝わりやすい。その結果、例えば、上述した感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に追従させることが容易化される効果が向上する。
【0145】
1対の第1ビア導体41Aは、平面透視において1対の第1パッド13Aに対して重複又は隣接してよい。1対の第2ビア導体41Bは、平面透視において1対の第2パッド13B(電極)に対して重複又は隣接してよい。
【0146】
この場合、例えば、ビア導体41が端子9に重複していることと相俟って、4本の配線15それぞれの長さは、ビア導体41の長さと同じ又は略同じとなる。これにより、4本の配線の長さを近づけることが容易化される効果が向上する。また、例えば、第1面11aに細長く延びる導体膜(一般的な形状の配線)が設けられなくてもよくなるから、配線15の構成が簡素化され、また、振動子1の小型化に有利である。また、例えば、基板部11の厚さによって配線15の長さを調整できる。また、例えば、パッド13と端子9との接続距離が最短となる。その結果、例えば、ノイズが混入する蓋然性が低減される。
【0147】
水晶素子3と感温素子5とは平面透視において少なくとも一部同士が重複していてよい。
【0148】
この場合、例えば、水晶素子3と感温素子5とが重複していない態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、両者の距離を短くしやすいから、感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に追従させることが容易化される。この効果は、図7の例のように、感温素子5(5A)が水晶素子3の中央の直下に位置している部分を有している場合に向上する。また、水晶素子3と感温素子5とが重複していない態様に比較して、平面視における振動子1の小型化に有利である。感温素子5が薄膜部を有する構成であることから、水晶素子3と感温素子5とを重複させても、振動子1の厚みを薄く維持することが容易である。
【0149】
1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとの差は、1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13B(電極)との1対の長辺11cに平行な方向(D1方向)における距離の1/2以下であってよい。
【0150】
この場合、合計長さの差は、比較的小さくされているといえる。例えば、本実施形態とは異なり、1対の第2パッド13Bが基板部11のD1方向の中央においてD2方向に並んでいる別の態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)を考える。なお、1対の第1パッド13A及び4つのビア導体41の位置は実施形態と同じとする。この場合、1対の第2配線15Bは、基板部11の中央に位置する1対の第2パッド13Bから1対の第2ビア導体41Bへ延びる細長い導体膜が追加されることになる。従って、1対の第2配線15Bの合計長さは、1対の第1配線15Aの合計長さに対して、概略、第1パッド13Aと1対の第2パッド13BとのD1方向の距離だけ長くなる。従って、合計長さの差が上記距離の1/2以下であれば、上記の別の態様に比較して、合計長さの差は小さくされているといえる。そして、合計長さの差が小さくされていることによって、既述の効果が奏される。
【0151】
1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとの差は、1対の第1配線15A及び1対の第2配線15Bの4本の配線15それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/5以下であってよい。
【0152】
この場合も、合計長さの差が比較的小さくされているといえる一例である。例えば、最も短い配線15においても、その長さの誤差は最大でも10%程度である。従って、合計長さの差が最も短い配線15の長さの1/5以下であれば、合計長さの差は、最大の誤差以下である。そして、このように合計長さの差が小さいことによって、既述の効果が奏される。
【0153】
1対の第1配線15Aの合計長さと、1対の第2配線15Bの合計長さとは等しくてよい。
【0154】
この場合、例えば、これまでの説明から明らかなように、感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に追従させる効果が向上する。
【0155】
1対の第1配線15A及び1対の第2配線15Bの4本の配線15それぞれの長さを互いに比較したときの最大の差は、1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13Bとの1対の長辺11cに平行な方向(D1方向)における距離の1/4以下であってよい。
【0156】
この場合、4本の配線15それぞれの長さの差は、比較的小さくされているといえる。例えば、1対の第2パッド13Bが基板部11のD1方向の中央においてD2方向に並んでいる別の態様(既述)においては、第2配線15Bは、第1配線15Aに対して、概略、1対の第1パッド13Aと1対の第2パッド13Bとの1対の長辺11cに平行な方向(D1方向)における距離の1/2だけ長くなる。従って、各配線15の長さの差が上記距離の1/4以下であれば、上記の別の態様に比較して、差は小さくされているといえる。4本の配線15の長さの差が小さくされていると、例えば、長い配線15が位置している領域の温度が他の領域に比較して偏って上昇したときに、その温度上昇が水晶素子3又は感温素子5に特異的な影響を及ぼす蓋然性が低減される。すなわち、偏った温度上昇によって感温素子5の検出温度が水晶素子3の温度から乖離する蓋然性を低減できる。
【0157】
1対の第1配線15A及び1対の第2配線15Bの4本の配線15それぞれの長さを互いに比較したときの最大の差は、4本の配線15それぞれの長さのうちの最小の長さに対して1/10以下であってよい。
【0158】
この場合も、4本の配線15それぞれの長さの差が比較的小さくされているといえる一例である。例えば、最も短い配線15においても、その長さの誤差は最大でも10%程度である。従って、4本の配線15それぞれの長さの差が最も短い配線15の長さの1/10以下であれば、当該長さの差は、最大の誤差以下である。そして、このように長さの差が小さいことによって、既述の効果が奏される。
【0159】
1対の第1配線15A及び1対の第2配線15Bの4本の配線15の長さは互いに等しくてよい。
【0160】
この場合、例えば、これまでの説明から明らかなように、感温素子5の検出温度を水晶素子3の温度に追従させる効果が向上する。
【0161】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る水晶振動子201を示す断面図であり、第1実施形態の図2に相当する。
【0162】
振動子201は、パッケージ207の上部構造のみが第1実施形態の振動子1と相違する。具体的には、パッケージ207は、枠部37及び蓋体29に代えて、キャップ229を有している。キャップ229は、下方に凹部R1を有する部材であり、水晶素子3及び感温素子5を収容するように基板部11の第1面11aに被せられる。キャップ229の材料は任意であり、導体(例えば金属)、絶縁体又はこれらの組み合わせとされてよい。キャップ229の第1面11aに対する接合方法も任意である。
【0163】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る水晶振動子301を示す断面図であり、第1実施形態の図2に相当する。
【0164】
振動子301は、パッケージ307の配線の構成のみが第1実施形態の振動子1と相違する。具体的には、パッケージ本体327は、ビア導体41に代えて、層状導体からなる配線315(第1配線315A及び第2配線315B)を有している。図示の例では、配線315は、パッド13から延びて基板部11の側面を経由して端子9に至っている。配線315のうちパッド13から延びる部分は、第1面11aに重なっている。配線315のうち基板部11の側面を経由する部分は、基板部11の角部等に形成されたキャスタレーションの内面に重なっていてもよい。
【0165】
以上の実施形態において、水晶振動子1、201及び301それぞれは圧電振動子の一例である。水晶素子3は圧電素子の一例である。第2パッド13Bは、第2パッドの一例であるとともに、感温素子が接合されている電極の一例である。感温素子5は、感温素子の一例であるとともに、感温素子が有している膜状部の一例である。
【0166】
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0167】
例えば、第2実施形態のキャップ229と、本実施形態の配線315とが組み合わされてもよい。圧電体は、水晶に限定されない。例えば、圧電体は、他の単結晶であってもよいし、多結晶からなるもの(例えばセラミック)であってもよい。なお、水晶に適宜なドーパントが添加されたものは水晶の一種であるものとする。
【0168】
圧電振動子は、圧電素子及び感温素子以外の素子を有していてもよい。圧電振動子は、5つ以上の端子9を有していてもよいし、5つ以上のパッド13を有していてもよい。端子の数とパッドの数とは相違していてもよい。例えば、基準電位が付与される端子が2以上のパッドに接続されていてもよい。圧電振動子を回路基板等に接合するためだけに利用される(導通に利用されない)のダミーの端子が設けられていてもよい。
【0169】
実施形態の説明では、4本の配線の長さが近づく効果、及び1対の第1配線の合計長さと1対の第2配線の合計長さとが近づく効果について記載した。また、これにより、検出温度が圧電素子の温度に近づく効果について記載した。ただし、このような効果は奏されなくてもよい。例えば、そのような効果が奏されずに、配線の簡素化又は薄型化の効果が奏される態様で、本開示に係る技術が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…水晶振動子(圧電振動子)、3…水晶素子(圧電素子)、5…感温素子(膜状部)、7…パッケージ、9A…第1端子、9B…第2端子、11…基板部、11a…第1面、11b…第2面、11c…(基板部の)長辺、11da…(基板部の)第1短辺、11db…(基板部の)第2短辺、13A…第1パッド、13B…第2パッド(電極)、15A…第1配線、15B…第2配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7