(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097810
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】コイル部品、回路基板および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20230703BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F41/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214134
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FG11
5E070AA01
5E070AB01
5E070DB02
5E070EA02
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】コイル部品の大型化においても、安定した実装性を得る。
【解決手段】一態様に係るコイル部品は、磁性基体と、上記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられた導体と、上記導体と電気的に接続され、任意の一平面に置いたとき当該平面と接する第1の突出点と第2の突出点を有し、上記第1の突出点と上記第2の突出点とを含む上記平面を基本面としたときに、上記第1の突出点および上記第2の突出点をそれぞれの起点として上記基本面に対して上記基本面から離れる方向に傾いているそれぞれの傾斜面を有する一対の外部電極と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基体と、
前記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられた導体と、
前記導体と電気的に接続され、任意の一平面に置いたとき当該平面と接する第1の突出点と第2の突出点を有し、前記第1の突出点と前記第2の突出点とを含む前記平面を基本面としたときに、前記第1の突出点および前記第2の突出点をそれぞれの起点として前記基本面に対して前記基本面から離れる方向に傾いているそれぞれの傾斜面を有する一対の外部電極と、
を備えたことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記一対の外部電極は、互いに対向するように設けられ、前記傾斜面が、当該外部電極同士の対向する方向に対して外側に向かうと当該対向する方向に対して垂直な方向で前記磁性基体側に寄る方向に傾いている傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記一対の外部電極は、前記傾斜面よりも当該外部電極同士の内側にR付け面を有することを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記一対の外部電極は、互いに対向するように設けられ、前記傾斜面が、当該外部電極同士の対向する方向に対して内側に向かうと当該対向する方向に対して垂直な方向で前記磁性基体側に寄る方向に傾いている傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記一対の外部電極は、前記傾斜面よりも当該外部電極同士の外側にR付け面を有することを特徴とする請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記一対の外部電極は、前記傾斜面が前記基本面に対して1度以上に傾いていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記一対の外部電極は、前記傾斜面が前記基本面に対して5度以下で傾いていることを特徴とする請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記外部電極は、2mm3以上の体積を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品と、
前記コイル部品が前記外部電極を介したはんだ接合で実装された基板と、
を備えたことを特徴とする回路基板。
【請求項10】
前記コイル部品が、前記一対の外部電極を複数対備え、
前記複数対のうち第1の対の外部電極と第2の対の外部電極が同一のランドにはんだ接合されたことを特徴とする請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
前記基体がはんだとは非接触であることを特徴とする請求項9または10に記載の回路基板。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の回路基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品を製造する製造方法であって、
導体材料の板を折り曲げて前記導体と前記外部電極を形成する第1工程と、
前記第1工程の前あるいは後に前記基体を形成する第2工程と、
を経ることを特徴とするコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品、回路基板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化は、半導体の性能の進歩と共に進み、これに伴い受動部品と言われるコンデンサ、コイル部品も高性能化が進んでいる。一例として、電子機器の高性能化に対応するために部品サイズの大型化が進んでいる。これは、例えば、コンデンサで言えば大容量化、コイル部品で言えば大電流化のように、大きなエネルギーの用途に対応するためには、求められるエネルギーの大きさに応じて部品としての体積確保が必要となるためである。
【0003】
大型化が進むコイル部品の代表的なものにパワーインダクタがある。パワーインダクタは、大きな直流電流を通電する用途のものであり、電流の大きさとしては、10A以上、用途によっては100A以上の場合も増えてきている。この場合、部品サイズは、外形の長辺寸法が5mm以上、または10mm以上の大きさとなる。
例えば、特許文献1には、コイル部品の大型化に対応して実装強度の確保のため、大型のダミー電極を設けた構造が提案されている。
【0004】
大きな直流電流の通電に対応するため、外部電極も大型化しており、ダミー電極を設けずに外部電極のはんだ付けのみで実装強度を確保することの要望もある。この結果、パワーインダクタの外部電極におけるはんだ付けの面積は、従前の10倍以上におよぶ場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、外部電極における面積の増加は、実装時のはんだ付けにおいて、はんだ中に含まれるフラックスの熱による分解を悪化させる原因となっている。更に、外部電極の面積の増加が進んだ場合、フラックスの一部がはんだ中に残ってしまい、最終的にフラックスの残滓などによりはんだ中に気泡が生じる虞がある。
【0007】
これは、基板上に部品サイズが異なる複数の部品が実装される場合に、それぞれの部品の熱容量(吸熱性)が異なるため、リフロー炉などにおける温度設定に対する部品の実際の温度のずれが大きくなり、この結果、はんだ融解の状態の差が生じることが原因と考えられる。また、コイル部品の場合は、部品サイズ以外に、外部電極の体積および導体の太さによっても設定温度と実際の温度とのずれを生むことになり、はんだ付の状態に影響を及ぼすことになる。
そこで、本発明は、コイル部品の大型化においても、安定した実装性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコイル部品は、磁性基体と、上記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられた導体と、上記導体と電気的に接続され、任意の一平面に置いたとき当該平面と接する第1の突出点と第2の突出点を有し、上記第1の突出点と上記第2の突出点とを含む上記平面を基本面としたときに、上記第1の突出点および上記第2の突出点をそれぞれの起点として上記基本面に対して上記基本面から離れる方向に傾いているそれぞれの傾斜面を有する一対の外部電極と、を備える。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、互いに対向するように設けられ、上記傾斜面が、当該外部電極同士の対向する方向に対して外側に向かうと当該対向する方向に対して垂直な方向で上記磁性基体側に寄る方向に傾いている傾斜面である。
【0009】
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、上記傾斜面よりも当該外部電極同士の内側にR付け面を有する。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、互いに対向するように設けられ、上記傾斜面が、当該外部電極同士の対向する方向に対して内側に向かうと当該対向する方向に対して垂直な方向で上記磁性基体側に寄る方向に傾いている傾斜面である。
【0010】
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、上記傾斜面よりも当該外部電極同士の外側にR付け面を有する。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、上記傾斜面が上記基本面に対して1度以上に傾いている。
【0011】
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記一対の外部電極は、上記傾斜面が上記基本面に対して5度以下で傾いている。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記外部電極は、2mm3以上の体積を有する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る回路基板によれば、上記いずれかのコイル部品と、上記コイル部品が上記外部電極を介したはんだ接合で実装された基板とを備える。
また、本発明の一態様に係る回路基板によれば、上記コイル部品が、上記一対の外部電極を複数対備え、上記複数対のうち第1の対の外部電極と第2の対の外部電極が同一のランドにはんだ接合される。
【0013】
また、本発明の一態様に係る回路基板によれば、上記基体がはんだとは非接触である。
また、本発明の一態様に係る電子機器によれば、上記いずれかの回路基板を備える。
【0014】
また、本発明の一態様に係るコイル部品の製造方法によれば、上記いずれかのコイル部品を製造する製造方法であって、導体材料の板を折り曲げて上記導体と上記外部電極を形成する第1工程と、上記第1工程の前あるいは後に上記基体を形成する第2工程と、を経る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コイル部品の大型化においても、安定した実装性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態におけるコイル部品の断面図である。
【
図6】第2実施形態におけるコイル部品の底面図である。
【
図7】第2実施形態における回路基板の断面図である。
【
図8】第3実施形態におけるコイル部品を示す図である。
【
図9】第4実施形態におけるコイル部品を示す図である。
【
図10】第5実施形態におけるコイル部品を示す図である。
【
図11】第6実施形態におけるコイル部品を示す第1の断面図である。
【
図12】第6実施形態におけるコイル部品を示す底面図である。
【
図13】第6実施形態におけるコイル部品を示す第2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。
【0018】
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。先に説明した図面に示された構成要素については、後の図面の説明で適宜に参照する場合がある。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態のコイル部品を示す斜視図である。
コイル部品1は、基板2aに実装されている。基板2aには、2つのランド部3が設けられている。コイル部品1は、2つの外部電極12のそれぞれと基板2aの対応するランド部3とがはんだで接合されることで基板2aに実装される。本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装された基板2aと、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に備えられる。回路基板2を備えた電子機器としては、自動車の電装品、サーバ、ボードコンピュータおよびこれら以外の様々な電子機器が想定される。
【0020】
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトルおよびこれら以外の様々なコイル部品であってもよい。コイル部品1は、カップルドインダクタ、チョークコイルおよびこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品であってもよい。コイル部品1は、例えば、DC/DCコンバータに用いられるインダクタであってもよい。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものには限定されない。
【0021】
本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、方向の説明は、
図1の「L軸」方向、「W軸」方向および「T軸」方向を基準に用い、それぞれ、「長さ」方向、「幅」方向および「高さ」方向と称する。
【0022】
コイル部品1は、基体11と外部電極12を有する。基体11は、直方体形状の外形を有する。即ち基体11は、長さ方向の両端に第1の端面11aおよび第2の端面11bを有し、高さ方向の両端に第1の主面11c(上面11c)および第2の主面11d(底面11d)を有し、幅方向の両端に前面11eおよび後面11fを有する。
【0023】
基体11の第1の端面11a、第2の端面11b、上面11c、底面11d、前面11eおよび後面11fはいずれも、平坦な平面であってもよいし湾曲した湾曲面であってもよい。また、基体11の8つの角部および12の稜線部は、丸みを有していてもよい。
【0024】
本明細書においては、基体11の第1の端面11a、第2の端面11b、上面11c、底面11d、前面11eおよび後面11fの一部が湾曲している場合や、基体11の角部や稜線部が丸みを有している場合にも、かかる形状を「直方体形状」と称することがある。つまり、本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」を意味するものではない。
【0025】
図2は、コイル部品1の断面図であり、
図3は、コイル部品1の底面図であり、
図4は、回路基板2の断面図である。
図2および
図4には、
図1に示すA-A線に沿った断面が示されている。
【0026】
コイル部品1は、基体11と外部電極12を有し、更に基体11内部に導体13を有する。外部電極12は、少なくても基体11の底面11dに形成されており、基板2aに対向して実装される傾斜面12aを有する。第1実施形態のコイル部品1は、外部電極12を1対だけ有した2端子型のコイル部品である。
【0027】
ここで、コイル部品1の基体11の底面11d側を任意の一平面に置いたとき、外部電極12の傾斜面12aはこの平面と接する突出点12cを有する。この外部電極12の傾斜面12aの突出点12cは、各々の傾斜面12aにおける基体11から最も遠い点となる。複数の傾斜面12aそれぞれの突出点12cのうちいくつかの突出点12cはこの平面と接する。この平面に接した突出点12cを含む平面を基本面Pと呼ぶ。言い換えるならば、コイル部品1の基体11の各面のうち、外部電極12が設けられた底面11d側に沿って広がり、各外部電極12の各突出点12cを通る平面を基本面Pとする。
【0028】
基本面Pは、必ずしも各突出点12cの全てを通る必要はないが、各突出点12cの基体11からの距離を比べて、最も遠い順に2つの突出点12cを通る。すなわち少なくとも、基体11から最も遠い突出点12cと、基体11から2番目に遠い突出点12cは通るものとする。通常の部品設計において、基板実装時のコイル部品1の傾きを防止するために一対の外部電極12は対称に設計されるので、一対の傾斜面12aそれぞれにおける突出点12cの基体11からの距離は等しく設計される。このため、最も遠い順の2つの突出点12cとは、複数の基体11からの距離が最も遠い突出点12cとなり、基本面Pはこれらの突出点12cを通る面であってよい。また、基本面Pは、直方体形状のコイル部品1であれば例えば底面11dに平行な面であってよく、他の形状のコイル部品1であれば、例えば、外部電極12が設けられた側の外面を平均化した仮想的な底面に平行な面であってよい。
【0029】
突出点12cは、コイル部品1の実装時にコイル部品1の姿勢を決める点である。基本面Pは、突出点12cによって決められるコイル部品1の理想的な姿勢における基板実装面に相当する。
【0030】
第1実施形態のコイル部品1は、外部電極12を1対だけ有した2端子型のコイル部品であるから、2つある外部電極12の傾斜面12aのそれぞれの突出点12cを結ぶ直線を含み基体11の底面11dに平行な面が基本面Pとなる。
各外部電極12の傾斜面12aは基本面Pに対して傾いている。傾斜面12aの傾きθの詳細については後述する。
【0031】
基体11は、磁性材料から成る。基体11用の磁性材料としては、例えば、フェライトおよび軟磁性合金材を用いることができる。フェライトとしては、Ni-Zn系、Mn-Zn系、またはこれらにCuを含むものが挙げられる。基体11用の磁性材料は、各種の結晶質もしくは非晶質の合金磁性材料、または結晶質の材料と非晶質の材料とを組合せた材料であってもよい。
【0032】
基体11用の磁性材料として用いられ得る結晶質の合金磁性材料は、例えば、Feを主成分とし、Si、Al、Cr、Ni、Ti、およびZrから成る群より選択される1以上の元素を含む結晶質の合金材料である。基体11用の磁性材料として用いられ得る非晶質の合金磁性材料は、例えば、Si、Al、Cr、Ni、Ti、Zrのいずれかに加えてB又はCの少なくてもいずれか一方を含む非晶質の合金材料である。
【0033】
基体11用の磁性材料としては、Feおよび不可避不純物から成る純鉄を用いることができる。基体11用の磁性材料としては、Feおよび不可避不純物から成る純鉄と各種の結晶質もしくは非晶質の合金磁性材料とを組み合わせた材料を用いることもできる。
【0034】
基体11は、複数の金属磁性粒子およびこの金属磁性粒子の間の間隙に設けられた樹脂部を含んでもよい。金属磁性粒子としては、FeまたはNiを主成分とする、FeSiCr、FeSiAl、FeSiCrB、Fe―Ni、Feなどが用いられ得る。あるいは、金属磁性粒子としてこれらの組み合わせが用いられてもよいし、金属磁性粒子は、例えば、Si、Biなどを含んでもよい。
【0035】
金属磁性粒子の形状は特に限定されないが、球形または球形に近く、粒子の大きさとしては平均粒子径で1~20μmであるものが好ましい。金属磁性粒子は、絶縁処理が施されたものでもよい。
【0036】
基体11は、複数の金属磁性粒子およびバインダー樹脂を含む複合磁性材料から作成されてもよい。バインダー樹脂は、複数の金属磁性粒子同士を結着させる。バインダー樹脂は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂である。基体11は、バインダー樹脂を介さずに金属磁性粒子同士が結合している圧粉体であってもよい。基体11の材料は、本明細書で明示されるものに限られず、基体の材料として公知の任意の材料を用いることができる。
【0037】
導体13は、導電性に優れた金属材料から成る。導体13用の金属材料としては、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、もしくはAg(銀)のうちの1以上の金属、又はこれらの金属のいずれかを含む合金が用いられ得る。導体13は金属材料の一部として酸化物を含んでもよく、導体13の表面には絶縁被膜やめっき層が設けられてもよい。導体13は、基体11の表面または内部に設けられる。導体13は、
図2~
図4に示すように1つの基体11に対して1つ設けられてもよいし、あるいは後述するように、導体13は、1つの基体11に対して複数設けられてもよい。
【0038】
外部電極12は、導体13と同様に、導電性に優れた金属材料から成る。外部電極12用の金属材料としては、導体13用の金属材料と同じ金属材料が用いられ得る。外部電極12は、
図2などに示すように基体11から突き出して設けられてもよく、あるいは基体11の表面と同面となるように設けられてもよい。外部電極12は、表面にNi、Snの層がめっきなどにより重ねて設けられていてもよい。
【0039】
導体13と外部電極12は、例えば、金属材料の板材が用いられた切削、曲げ、研磨、打ち抜きなどの工程によって所望の形状に加工され、導体13と外部電極12が一体につながった部材として形成され得る。外部電極12は傾斜面12aとなる面を有し、コイル部品1となった時にこの傾斜面12aが基本面Pに対して所定の傾きθを持つように部材が加工され得る。ここで傾斜面12aの傾きθとは、突出点12cで基本面Pと接して突出点12cから広がる傾斜面12aと基本面Pとの成す角度(突出点12cを頂点とする角度)のうち小さい方の正の角度を言う。
傾斜面12aの傾きの方向は、コイル部品のL軸側に傾くように作成されても、W軸側に傾くように作成されても、これ以外の方向に傾くように作成されてもよい。基本面Pは、かならず2つの突出点12Cを含むから、傾斜面12と基本面Pとの傾きとしては、この2つの突出点12Cを結ぶ線分と傾斜面12との角度を所定の傾きθとすることも出来る。
【0040】
突出点12cを挟んだ両側に傾斜面12aが広がる場合には、突出点12cを境とした各傾斜面12aのうち広い方の傾斜面12aが所定の傾きθに形成されてよい。外部電極12の一部のみがはんだ4に濡れる場合には、はんだ4に濡れる範囲の傾斜面12aが所定の傾きθに形成されてよい。また、突出点12cを始点として傾斜面12aの長さの半分以上で所定の傾きθとなるように傾斜面12aが形成されてよい。
傾斜面12aが面の途中で角度変化する場合、平均の傾きが所定の傾きθとなるように傾斜面12aが形成されてもよい。角度変化によっては平均の傾きが算出しにくい場合がある。この場合は、突出点12cを起点として傾きの方向にはんだ4の濡れる範囲の長さの1/4,1/2、3/4の3点を各々通る面の角度の平均値を傾斜面12aの平均的な傾きとする。
【0041】
図2、
図4に示す例では、当該部材の両端が外部電極12となっており、導体13の形状は巻き数0.5回の形状となっている。図示以外の例として導体13と外部電極12は、導体13の両端に外部電極12と接続するための接続部分が設けられ、当該接続部分に外部電極12がつなげられてもよい。導体13は銅線などの線材で形成されてもよい。この場合でも、外部電極12は傾斜面12aとなる面を有し、コイル部品1となった時に傾斜面12aが基本面Pに対して所定の傾きθとなるような形状で導体13の両端の接続部分に外部電極12がつなげられ得る。
【0042】
基体11は、例えば、上述した金属磁性粒子が用いられたプレス成形等により形成される。金属磁性粒子が用いられたプレス成形では、金属磁性粒子が樹脂等と混錬されて顆粒状となった磁性材料が準備され、その磁性材料が金型内に導入され、加圧成形されることによって前駆体(圧粉体)が得られる。そして、得られた前駆体が600~850°Cで熱処理されて金属磁性粒子が酸化されることで基体11が形成される。熱処理による酸化で得られる酸化物により、基体11の絶縁と強度が確保される。
【0043】
基体11は、例えば、上述した金属磁性粒子および熱硬化性樹脂が用いられたプレス成形等によっても成形され得る。金属磁性粒子および熱硬化性樹脂が用いられたプレス成形では、金属磁性粒子が熱硬化性樹脂等と混錬されて、顆粒状、またはスラリー状となった複合磁性材料が準備され、その複合磁性材料が金型内に導入され、加圧成形されることによって前駆体が得られる。そして、得られた前駆体が100~200°Cで熱処理されて、熱硬化樹脂が硬化されることで基体11が形成される。この熱硬化樹脂により、磁性基体の絶縁と強度が確保される。
【0044】
基体11は、1つの部材で構成されてもよく、あるいは複数の部材が組み合わされて構成されてもよい。基体11が複数の部材からなる場合、各々の部材は同一形状であってもよいし、互いに異なった形状であってもよい。
【0045】
基体11と導体13および外部電極12とは、例えば各々の形成後、互いに組み合わされる。あるいは、例えば上述した前駆体の作成時に導体13および外部電極12が磁性材料中に埋め込まれ、その後に、導体13および外部電極12を傷めない温度で熱処理が行われてもよい。
【0046】
基体11が複数の部材からなる場合は、例えば、上記特許文献1に記載されているように、導体13を挟み込むようにして複数の部材が貼り合わせられ、基体11およびコイル部品1として組み上げられる。部材の貼り合わせには、エポキシ系接着剤などが用いられ、部材同士のギャップ制御のため、球状ガラスなどが含まれていてもよい。接着剤は部材の間以外に存在していてもよく、例えば導体13と基体11の間に存在していてもよい。
基体11が1つの部材からなる場合、導体13が基体11に設けられた導入部よりはめ込まれ、コイル部品1として組み上げられる。
【0047】
コイル部品1は、積層により基体11、導体13が一体で形成されてもよい。積層による形成では、上述した複合磁性材料からなる磁性シートが複数用意され、磁性シートの表面に、導体13を形成するための平面状の導体パターンが例えば印刷などで作成される。導体パターンの形成には、めっきや、蒸着、ペーストの転写など印刷以外の手法が用いられてもよい。
【0048】
また、各導体パターンを接続する引き出し導体の形成のため、磁性シートには穴が開けられ、その穴に導体材料が充填される。引き出し導体は、例えば印刷、充填によって作られる。引き出し導体の印刷は導体パターンの印刷と同時に行われてもよく個別に行われてもよい。引き出し導体の形成にも、めっきや、蒸着、ペーストの転写など印刷以外の手法が用いられてもよい。
【0049】
その後、磁性シートと、導体パターンや引き出し導体が施された磁性シートとが重ねられ、圧着されて積層体が得られる。そして、得られた積層体が個片化され、熱処理が行われて、導体13を内蔵した基体11が得られる。積層体の熱処理では、600~850℃の熱処理で樹脂を熱分解で除去するとともに金属磁性粒子を酸化させてもよい。
【0050】
その後、導体13の両端の接続部分に外部電極12がつながるように形成される。外部電極12は基本面Pに対して所定の傾きθを有するように形成される。外部電極12はどのような形成方法であってもよいが、例えば、印刷やペーストのディップ、ペーストの転写、スパッタや蒸着などの方法を用い、外部電極12の一部分を重ねて厚く成形する、複数回成形するなどにより、外部電極12の厚みを変化させることで、所定の傾きを持った外部電極12は形成され得る。
他の製法として、内部導体に銅線などの線材を用いてこれを折り曲げ成型し、もしくは、内部導体をめっきなどにより所定の形状に形成したものを、複数の磁性シートにより内部導体を挟み込む方法でも作成し得る。
【0051】
ここで、コイル部品1は、使用時に高い電流値が生じる用途(例えばサーバ用)に使われるものであり、外部電極12もその用途に見合ったものである。
【0052】
例えばサーバ用の場合、コイル部品1は、高い電流値に対応するため500mm3以上の大きな体積を有し、チップタイプのコイル部品と比較すると例えば250倍という大きさとなる。また、高い電流値に対応するためにサーバ用のコイル部品1は低抵抗化も合わせて必要となり、導体13は大きな断面積が確保される。ここで言う断面積は電流が流れる方向に対して垂直な面の面積を言う。これに伴って外部電極12は、導体13の断面積に対し、80%以上の断面積となるように設けられる。より好ましくは、外部電極12は導体13の断面積以上の断面積となるように設けられる。ここで言う外部電極12の断面積とは、外部電極12の端部から、外部電極12内を導体13に向かって電流が流れるとした場合の電流の方向に対して垂直な面の面積を言う。
【0053】
また、外部電極12は、コイル部品1の大きさに合わせ、実装強度を得るため、大きな実装面積が必要とされる。500mm3以上の体積を有したコイル部品1の場合、外部電極12における実装面となる傾斜面12aの面積は5mm2以上が目安となる。また、外部電極12の体積としては、2mm3以上が目安となる。
【0054】
チップタイプのコイル部品との比較では、外部電極12の面積は例えば10倍となり、このような大きな面積の外部電極12では、実装時にはんだ4中のフラックスの熱分解による抜けを良くすることが求められる。
【0055】
本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、複数の外部電極12における傾斜面12aが互いに傾斜しており、基本面Pに対して所定の傾きθを有しているので、コイル部品1が基板2aに実装された場合、傾斜面12aが基板2aおよびランド部3の表面に対して傾斜する。傾斜面12aが傾斜することで、実装時にはんだ4中のフラックスが熱分解により抜けやすくなり、はんだ4中の気泡を抑制することができる。この結果、コイル部品1の実装性が向上する。また。このコイル部品1は基板2aとより強固に実装されることで、振動に強い回路基板2や電子機器とすることができる。
【0056】
傾斜面12aと基板2a等との傾斜角度は、大きい方がフラックスの熱分解による抜けを良くする。具体的には、1度以上の傾斜角度が生じると実装性が向上する。ここで基板2aに対してコイル部品1が実装される場合、基体11の底面11dは基板2aと平行に実装されるため、基体11の底面11dと平行な面である基本面Pは基板2aとも平行になっている。従って、基本面Pに対して傾斜面12aは1度以上の角度を有すると実装性が向上する。傾斜面12a同士は互いに2度以上傾くことが望ましい。
【0057】
一方で、傾斜面12aと基板2a等との傾斜角度が大きすぎると、基板2aと外部電極12とを繋ぐはんだ4の面積が小さくなってしまい実装性も低下するので、傾斜角度は5度以下が望ましい。従って、基本面Pに対して傾斜面12aは5度以下の角度を有することが望ましいことになる。傾斜面12a同士は互いに10度以下で傾くことが望ましい。
【0058】
第1実施形態では
図2に示すように、傾斜面12aの傾斜方向は、外部電極12同士の外側(即ち基体11の底面11dの長さL方向における端部側)に向かうと基体11側(即ち基体11の高さT方向における上面11c側)に寄る方向となっている。傾斜方向がこの向きの場合は、各外部電極12においてはんだ4から気泡の抜ける方向が互いの離れる方向(即ち外向き)となる。従って、外部電極12同士の距離が近い場合であっても、外部電極12の相互間でのショートが抑制される。逆に言えば、外部電極12同士の距離を近づけた構成が可能となる。また、外部電極12同士の距離を近づけた構成は、コイル部品1の大きさを小型化することにもなり、コイル部品1を実装した回路基板2の面積を削減し、電子機器を小型化することができる。
【0059】
また、第1実施形態では
図2に示すように、傾斜面12aよりも外部電極12同士の内側にR付け面12bが設けられている。R付け面12bが存在することにより、R付け面12bに沿ってはんだ4が濡れあがる。従ってはんだ4の水平方向への濡れがR付け面12bによって制限され、R付け面12bの存在による基板2aとの隙間にはんだ付けによるフィレットが安定して形成される。R付け面12bの存在により、外部電極12同士の距離を更に近づけた構成が可能となる。
【0060】
第1実施形態では
図4に示すように、はんだ4の高さが基体11に達しておらず、基体11がはんだ4とは非接触である。このため、はんだ付けの際にはんだ4の熱が基体11に奪われにくいので実装性が安定する。
【0061】
ここで、第1実施形態における実装性の評価について説明する。表2には、実装性の評価結果が示されている
【0062】
【表1】
実装性の評価では、基本面Pに対する傾斜面12aの傾斜角度が1度のもの(傾斜面12a同士の傾きが2度のもの)と、傾斜角度が0度のもの(傾斜面12a同士の傾きがないもの)とを比較した。各傾斜角度の試料を10個ずつ用意し、実装の状態を確認した結果、傾斜角度が1度のものは、10個中の10個全て(10/10)が安定した状態で実装されていることを確認した。これに対し、傾斜角度が0度のものは、浮いた状態が10個中の7個(7/10)で、傾いた状態が10個中の3個(3/10)であった。
【0063】
また、実装されたはんだの部分について光学顕微鏡により断面観察した結果、傾斜角度が1度のものでは気泡が存在せず、傾斜角度が0度のものでは気泡が存在していた。これにより、傾斜面12aの傾斜によって気泡の影響が緩和される効果が確認できた。
【0064】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。以下では、先に説明した実施形態の構成要素と同様の構成要素については重複説明を省略する場合がある。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態におけるコイル部品の断面図であり、
図6は、第2実施形態におけるコイル部品の底面図であり、
図7は、第2実施形態における回路基板の断面図である。
図5および
図7には、
図6に示すB-B線に沿った断面が示されている。
【0065】
第2実施形態のコイル部品100は、基体11と、第1の導体13_1と、第2の導体13_2と、第1の外部電極12_1と、第2の外部電極12_2を有する。第2実施形態のコイル部品100における基体11、第1の導体13_1および第1の外部電極12_1は、第1実施形態のコイル部品1における基体11、導体13および外部電極12と同様の構成要素である。
【0066】
第2実施形態のコイル部品100において、第2の導体13_2は、第1の導体13_1の内側に沿って設けられており、第2の外部電極12_2は、第1の外部電極12_1の内側に設けられている。第2実施形態のコイル部品100では2つの導体13_1、13_2が設けられているが、導体13_1、13_2同士は絶縁されておらず、第2実施形態のコイル部品100は2端子型のコイル部品である。
【0067】
第1の外部電極12_1の傾斜面12a_1が互いに傾き基本面Pに対して所定の傾きθを有しているのに対し、第2の外部電極12_2の傾斜面12a_2は、基本面Pに対して傾いていない。つまり、複数の傾斜面12a_1、12a_2は全てが傾いている必要はなく、少なくともいずれか2つが相互に傾いていればよく、あるいは少なくともいずれか1つが基本面Pに対して傾いていればよい。
【0068】
第1の外部電極12_1と第2の外部電極12_2は、基板2a上の同一のランド部3にはんだ4で実装される。第2の外部電極12_2は第1の外部電極12_1よりも面積が小さく、はんだ4中のフラックスは、第1の外部電極12_1における傾斜面12a_1の傾きによりはんだ4から効率よく抜ける。このため、第2の外部電極12_2の傾斜面12a_2同士が傾いていなくてもコイル部品100の実装性は高い。
【0069】
第2実施形態の、他の一形態としては、第1の外部電極12_1の傾斜面12a_1が基本面Pに対して傾いており、傾斜面12a_1同士が互いに傾いているのに加えて、さらに第2の外部電極12_2の傾斜面12a_2も基本面Pに対して傾いており、傾斜面12a_2同士で傾いていてもよい。この場合、傾斜面12a_1、12a_2は全てが基本面Pに対して傾いているので、はんだ4中のフラックスは熱分解時に、より効率よく抜けるため、コイル部品100の実装性をさらに高くすることができる。
第2実施形態では、1つのランド部3に対して複数の外部電極12_1、12_2が実装されるので、コイル部品100の実装強度は第1実施形態よりも高い。
【0070】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態におけるコイル部品を示す図である。
第3実施形態のコイル部品200は、第2実施形態のコイル部品100と同様に、基体11と、第1の導体13_1と、第2の導体13_2と、第1の外部電極12_1と、第2の外部電極12_2を有する。第2実施形態とは異なり、第3実施形態のコイル部品200は、第1の導体13_1と第2の導体13_2とが絶縁層14によって互いに絶縁された4端子型のコイル部品である。絶縁層14は例えば樹脂、ガラス等であってもよい。絶縁層14として空洞部を設け空気を絶縁層14とすることも出来る。絶縁層14は導体13の表面の絶縁膜や絶縁被覆であってもよい。
第1の外部電極12_1と、第2の外部電極12_2は、互いに異なるランド部3に実装される。また、
図8では外部電極12_1、12_2にR付け面が設けられていないが、R付け面を設けることで、はんだ4の水平方向への濡れを抑制し、外部電極間距離を少なくすることも出来る。
【0071】
隣り合って位置する第1の外部電極12_1と第2の外部電極12_2では、傾斜面12a_1、12a_2同士が傾いているとともに基本面Pに対して傾いており、傾きの方向は、外部電極12_1、12_2同士の外側(即ち基体11の底面11dの長さL方向における端部側)に向かうと基体11側(即ち基体11の高さT方向における上面11c側)に寄る方向となっている。この結果、第1の外部電極12_1と第2の外部電極12_2が近接して設けられていてもはんだ4によるショートは抑制される。これに加えて、外部電極12_1、12_2にR付け面が設けられていると、はんだ4の水平方向への濡れを抑制し、外部電極間距離を少なくすることも出来る。また、はんだ4によるショートを抑制することができる。
【0072】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態におけるコイル部品を示す図である。
第4実施形態のコイル部品300は、基体11と、導体13と、外部電極12とを有する。第4実施形態では、外部電極12の傾斜面12a同士の傾斜方向が、外部電極12同士の内側(即ち基体11の底面11dの長さL方向における中央側)に向かうと基体11側(即ち基体11の高さT方向における上面11c側)に寄る方向となっている。
【0073】
傾斜方向がこの向きの場合は、各外部電極12においてはんだ4から気泡の抜ける方向が互いの内側方向となる。従って、コイル部品300の外部電極12が他の電子部品の外部電極に近い場合であってもショートが抑制される。逆に言えば、コイル部品300と他の部品との実装間隔の小さい構成が可能となる。
【0074】
また、第4実施形態のコイル部品300では、傾斜面12aよりも外部電極12同士の外側にR付け面12bが設けられている。R付け面12bの存在により、はんだ4の濡れが制限され、はんだ付けによるフィレットが安定して形成されるので、コイル部品300と他の部品との実装間隔を更に小さくした構成が可能となる。
【0075】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態におけるコイル部品を示す図である。
第5実施形態のコイル部品400は、基体11と、導体13と、外部電極12とを有する。導体13が周回した形状(例えば巻き数1.5回や2.5回など)である点を除き、第5実施形態のコイル部品400は、導体13が周回していない第1実施形態のコイル部品1と同様である。導体13の巻き数は、求められる仕様に応じてさらに増減されてもよい。
【0076】
<第6実施形態>
図11~
図13は、第6実施形態におけるコイル部品を示す図である。
図11には、
図12に示すC-C線に沿った断面が示され、
図12にはコイル部品の底面図が示され、
図13には、
図11に示すD-D線に沿った断面が示されている。
【0077】
第6実施形態のコイル部品500は、基体11と、導体13と、外部電極12とを有する。第6実施形態では、板状の導体13が、基体11の前面11eと後面11fに沿って広がっている。導体13は2枚の導体材料の板が重なって形成されており、外部電極12は、導体13の2枚の板から基体11の前面11e側と後面11f側とのそれぞれに向かって広がっている。従ってコイル部品500には、合計4つの外部電極12が設けられている。
【0078】
第6実施形態では、4つの外部電極12のうち、基体11の前後方向に隣り合った外部電極12の傾斜面12a同士が相互に傾いている。傾斜面12aの傾斜方向は、傾斜面12a同士の外側(即ち基体11の底面11dの幅W方向における端部側)へ向かうと基体11側(即ち基体11の高さT方向における上面11c側)に寄る方向である。つまり、第6実施形態のコイル部品500が例えば
図4などに示す基板2aに実装された場合、はんだ4中のフラックスは、コイル部品500の前面11e側および後面11f側へと抜けることになる。従って、第6実施形態のコイル部品500も実装性が高い。
【符号の説明】
【0079】
1,100,200,300,400,500 コイル部品
2 回路基板
2a 基板
3 ランド部
11 基体
12,12_1,12_2 外部電極
12a,12_1a,12_2a 傾斜面
13,13_1,13_2 導体