(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097855
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ドリル研磨具
(51)【国際特許分類】
B24B 3/24 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B24B3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214206
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】522001231
【氏名又は名称】西 富忠
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】西 富忠
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA04
3C158AA14
3C158AA16
3C158AA18
3C158AB04
3C158CA01
3C158CB04
3C158DB08
(57)【要約】
【課題】穴あけ工具に装着されるドリルを簡便に研磨することを可能とするドリル研磨装置を提供することである。
【解決手段】ドリル研磨具10は、ドリル30の先端部32の一対の切れ刃40を研磨するための器具であって、ドリル30の先端部32を挿入するための挿入口を有するケーシング部12と、ケーシング部12に設けられ、ドリル30の回転を規制するための規制部16と、ケーシング部12に設けられ、ドリル30の先端部32について予め定められた先端角と一致する角度をなし、一対の切れ刃40に当接しつつ、回転工具の回転に従動して夫々回転する一対の砥石部30a,30bと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルの先端部の一対の切れ刃を研磨するためのドリル研磨具であって、
前記ドリルの先端部を挿入するための挿入口を有するケーシング部と、
前記ケーシング部に設けられ、前記ドリルの回転を規制するための規制部と、
前記ケーシング部に設けられ、前記ドリルの先端部について予め定められた先端角と一致する角度をなし、前記一対の切れ刃に当接しつつ、回転工具の回転に従動して夫々回転する一対の砥石部と、
を備えることを特徴とするドリル研磨具。
【請求項2】
請求項1に記載のドリル研磨具において、
前記ケーシング部は、
前記一対の切れ刃を磨くために前記ドリルの位置を第1の位置に固定するための切り刃位置固定部と、
前記一対の切れ刃に対応する一対の逃げ面を磨くために前記ドリルの位置を第2の位置に固定するための逃げ面位置固定部と、
を備えることを特徴とするドリル研磨具。
【請求項3】
請求項2に記載のドリル研磨具において、
前記ケーシング部は、筒状の第1本体部と、前記挿入口を有し前記第1本体部と嵌合状態のまま当接可能な筒状の第2本体部とを有しており、
前記第2本体部を前記第1本体部から嵌合状態のまま離間させて前記ドリルの先端部の基準位置を決定するための基準位置決定部を備え、
前記切り刃位置固定部は、前記基準位置決定部により前記基準位置が決定された状態で前記第2本体部を周方向に沿った第1の方向に移動させたときに前記第1の位置に前記ドリルを固定し、
前記逃げ面位置固定部は、前記基準位置決定部により前記基準位置が決定された状態で前記第2本体部を前記第1の方向と反対方向の第2の方向に移動させたときに前記第2の位置に前記ドリルを固定することを特徴とするドリル研磨具。
【請求項4】
請求項3に記載のドリル研磨具において、
前記第1本体部と前記第2本体部とを当接させるように付勢する引張バネ部を有することを特徴とするドリル研磨具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル研磨具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場などにおいて、穴あけ作業を行う際に、ドリルが装着された穴あけ工具が用いられている。穴あけ工具を長期間使用していると、ドリルが摩耗してしまう。摩耗したドリルを再生するために、ドリル研磨装置が開発されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、基台上に設置される回転砥石と、前記回転砥石に対して、ドリルの先端部分を所定角度で当接可能とする刃先研磨機構とシンニング形成機構とを備えるドリル研磨装置であって、前記シンニング形成機構は、前記基台に立設される支持台と、前記ドリルを一定の向きに維持した状態で保持する保持部と、前記支持台に対して砥石軸方向に可動可能な前記保持部を固定する固定手段と、を備えることを特徴とするドリル研磨装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来開発されたドリル研磨装置は、大がかりな装置であり、工場等の屋内等において、作業を行う必要がある。穴あけ工具を使用する職人(ユーザ)が各建設現場において、必要に応じて手軽にドリルを研磨できることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、穴あけ工具に装着されるドリルを簡便に研磨することを可能とするドリル研磨装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドリル研磨具は、ドリルの先端部の一対の切れ刃を研磨するためのドリル研磨具であって、前記ドリルの先端部を挿入するための挿入口を有するケーシング部と、 前記ケーシング部に設けられ、前記ドリルの回転を規制するための規制部と、前記ケーシング部に設けられ、前記ドリルの先端部について予め定められた先端角と一致する角度をなし、前記一対の切れ刃に当接しつつ、回転工具の回転に従動して夫々回転する一対の砥石部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るドリル研磨具において、前記ケーシング部は、前記一対の切れ刃を磨くために前記ドリルの位置を第1の位置に固定するための切り刃位置固定部と、前記一対の切れ刃に対応する一対の逃げ面を磨くために前記ドリルの位置を第2の位置に固定するための逃げ面位置固定部と、を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るドリル研磨具において、前記ケーシング部は、筒状の第1本体部と、前記挿入口を有し前記第1本体部と嵌合状態のまま当接可能な筒状の第2本体部とを有しており、前記第2本体部を前記第1本体部から嵌合状態のまま離間させて前記ドリルの先端部の基準位置を決定するための基準位置決定部を備え、前記切り刃位置固定部は、前記基準位置決定部により前記基準位置が決定された状態で前記第2本体部を周方向に沿った第1の方向に移動させたときに前記第1の位置に前記ドリルを固定し、前記逃げ面位置固定部は、前記基準位置決定部により前記基準位置が決定された状態で前記第2本体部を前記第1の方向と反対方向の第2の方向に移動させたときに前記第2の位置に前記ドリルを固定することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るドリル研磨具において、前記第1本体部と前記第2本体部とを当接させるように付勢する引張バネ部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、穴あけ工具に装着されるドリルを簡便に研磨することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具を示す図である。
【
図2】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具の分解図である。
【
図3】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具によって研磨するドリルである。
【
図4】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具において、第2本体部を基準位置決定部に合わせた状態を示す図である。
【
図5】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具において、第2本体部を基準位置決定部に合わせた後、ドリルを挿入して、ドリルの基準位置を決定している様子を示す図である。
【
図6】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具において、第2本体部を基準位置決定部に合わせてドリルの基準位置を決定した後、ドリルの回転を規制している様子を示す図である。
【
図7】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具において、第2本体部を切り刃決定部に合わせている様子を示す図である。
【
図8】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具において、第2本体部を切り刃決定部に合わせている様子を示す図である。
【
図9】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具の一対の砥石部の拡大図である。
【
図10】本発明に係る実施の形態のドリル研磨具の一対の砥石部にドリルを当接させている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10を示す図である。
図2は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10の分解図である。
図3は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10によって研磨するドリル30である。
【0015】
図4は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10において、第2本体部24を基準位置決定部18に合わせた状態を示す図である。
図5は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10において、第2本体部24を基準位置決定部18に合わせた後、ドリル30を挿入して、ドリル30の基準位置を決定している様子を示す図である。
【0016】
図6は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10において、第2本体部24を基準位置決定部18に合わせてドリル30の基準位置を決定した後、ドリル30の回転を規制している様子を示す図である。
【0017】
図7は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10において、第2本体部24を切り刃位置固定部20に合わせている様子を示す図である。
図8は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10において、第2本体部24を逃げ面位置固定部19に合わせている様子を示す図である。
【0018】
図9は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10の一対の砥石部30a,30bの拡大図である。
図10は、本発明に係る実施の形態のドリル研磨具10の一対の砥石部30a,30bにドリル30を当接させている様子を示す図である。
【0019】
ドリル研磨具10は、ドリル30を研磨し、摩耗したドリル30を再生させるための器具であり、ドリル30の先端部32の一対の切れ刃40を研磨する。ドリル研磨具10は、ケーシング部12と、規制部16と、一対の位置決め部25と、一対の砥石部30a,30bとを備えている。
【0020】
ドリル研磨具10は、略円柱形状を有しており、直径部分が約6~7cmであり、高さが約7cmに設定されたコンパクトなサイズであり、
図5,6に示されるように職人(ユーザ)の両手に収まって作業が行えるようなサイズである。
【0021】
最初に、ドリル研磨具10によって研磨する対象物であるドリル30について説明した後、ドリル研磨具10について詳説する。
【0022】
ドリル30は、穴あけ工具に装着され、建設現場などにおいて、穴あけ作業の際に使用される部材である。ドリル30の材質は、超硬やハイスなどがあるが、ここではハイス製ツイストドリルであるものとして説明する。ドリル30は、先端部32と、リード部34と、シャンク部36と、タング部38とを備える。
【0023】
最初に、リード部34について説明する。リード部34の切刃の溝は2つの螺旋状の溝になっている。この螺旋状の溝は、切りくず排出のための役割を担っている。
【0024】
リード部34の溝の軸方向に対するドリル30の溝の傾きをねじれ角θ2と呼び、一般に、ねじれ角θ2は約30°である。切りくずの排出は、ねじれ角θ2の小さい方が排出されやすいが、ねじれ角θ2が大きいと切削抵抗は低くなる。
【0025】
次に、先端部32について説明する。ドリル30の先端部32は、一対の砥石部30a,30bに食い込みをはじめる部位で、その形状は切削抵抗や穴内面の粗さ、形状精度など加工に大きな影響を与える。
【0026】
先端部32の先端の角度を先端角θ1と呼び、ハイス製ツイストドリルの場合、118°が採用されている。この角度は一般の鋼材に対し寿命が長く、安定した切削が行われることで採用されている。なお、先端角θ1は、118°以外にも、例えば、90°、120°、130°、140°などに設定することもある。
【0027】
工作物材質により先端角θ1を変えて加工が行われることがあるが、その際にはドリル刃先断面形状も変わり、刃先にかかる切削抵抗も変化する。切りくずを形成しながら加工を行う主要な切れ刃40にすくい面がある。
【0028】
すくい面のすくい角は切れ刃40の位置により変化するが、ドリル30の外周部ではねじれ角がすくい角と一致する。また、加工面との接触を避ける面として逃げ面42がある。逃げ面42にはドリルの切り込みに支障をきたさないように逃げ角を形成する。
【0029】
この逃げ角が不十分だとドリル30の逃げ面42が工作物に接触し、スラスト力が大きくなるので注意を要する。また、切れ刃40に沿って堤状の面をランドと呼び、ランドの逃げ角につながった部位に、穴が曲がって加工されないように案内の役割を担うマージン部があり、その幅をマージン幅と呼ぶ。
【0030】
最後に、シャンク部36及びタング部38について説明する。シャンク部36にはストレートシャンクとモールステーパシャンクがある。ストレートシャンクは直径の小さい方に、モールステーパシャンクは直径の大きい方に付けられ、タング部38が付いており、ドリル交換が容易に行えるようになっている。
【0031】
次に、ドリル研磨具10について説明する。ケーシング部12は、ドリル30の先端部32を挿入するための挿入口14を有する。ケーシング部12は、筒状の第1本体部22と、挿入口14を有し第1本体部22と嵌合状態のまま当接可能な筒状の第2本体部24とを有している。ケーシング部12は、適度な強度を有する材質、例えば、樹脂などで構成することが出来る。
【0032】
図1には、第1本体部22と第2本体部24とを連結して組立てられたドリル研磨具10が示されている。これに対し、
図2には、第1本体部22と第2本体部24とが分離されて分解されたドリル研磨具10が示されている。一対の引張バネ部28は、
図2に示されるように、第1本体部22と第2本体部24とを当接させるように付勢する。
【0033】
第2本体部24の外側面の中央部には、
図1及び
図2に示されるようにドリル30を挿入するための貫通孔である挿入口14が形成されている。この挿入口14からドリル30を挿入することが出来る。
【0034】
ケーシング部12は、基準位置決定部18と、切り刃位置固定部20と、逃げ面位置固定部19とを備えている。ケーシング部12の側面には、基準位置決定部18を作動させるための目印(数字の1)と、切り刃位置固定部20を作動させるための目印(数字の2)と、逃げ面位置固定部19を作動させるための目印(数字の3)が記されている。
【0035】
基準位置決定部18は、第2本体部24を第1本体部22から嵌合状態のまま離間させてドリル30の先端部32の基準位置を決定する機能を有する。
【0036】
具体的には、基準位置決定部18は、第2本体部24を
図4に示されるように第1本体部22から離間させ、
図5に示されるようにケーシング部12内部に進退可能な一対の位置決め部25を押しつけた状態のまま、挿入口14から挿入されたドリル30を周方向に回転させて、この回転が規制された位置を基準位置として決定する。
【0037】
一対の位置決め部25の先端部は、ケーシング部12内に位置しており、ドリル30が挿入された際にドリル30の先端部32を側面側から拘束するように接触する。一対の位置決め部25の先端部は、ドリル30の先端部32が基準位置を向いた際に嵌合するように予め形成された凹み部を有している。
【0038】
規制部16は、ケーシング部12に設けられ、挿入口14から挿入されたドリル30の回転を規制する。規制部16は、基準位置決定部18により、ドリル30の位置が基準位置に定まった後、
図6に示されるように、規制部16の螺子部を閉めることにより、ドリル30の回転を規制するように力を加える。
【0039】
切り刃位置固定部20は、一対の切れ刃40を磨くためにドリル30の位置を第1の位置に固定する。切り刃位置固定部20は、基準位置決定部18により基準位置が決定された状態で第2本体部24を周方向に沿った第1の方向に移動させたときに第1の位置にドリル30を固定する。
【0040】
具体的には、第2本体部24が第1本体部22から離間されて、基準位置決定部18により基準位置が決定された状態で第2本体部24を周方向に沿った第1の方向に移動させたときに、引張バネ部28の付勢力により第2本体部24が第1本体部22に引き寄せられ、
図7に示されるように第1の位置に固定される。このとき、一対の切れ刃40が一対の砥石部30a,30bに接触する。
【0041】
逃げ面位置固定部19は、一対の切れ刃40に対応する一対の逃げ面42を磨くためにドリル30の位置を第2の位置に固定する。逃げ面位置固定部19は、基準位置決定部18から第2本体部24を第1の方向と反対方向の第2の方向に移動させたときに第2の位置にドリルを固定する。
【0042】
具体的には、
図7に示されるように第1の位置に固定された後、再び、第2本体部24を第1本体部22から離間させるように引張バネ部28の付勢力に抗して力を与え、第2本体部24を周方向に沿った第1の方向の反対方向の第2の方向に移動させたときに、引張バネ部28の付勢力により第2本体部24が第1本体部22に引き寄せられ、
図8に示されるように第2の位置に固定される。このとき、一対の逃げ面42が一対の砥石部30a,30bに接触する。
【0043】
一対の砥石部30a,30bは、ケーシング部12内に設けられ、
図9に示されるように、ドリル30の先端部32について予め定められた先端角と一致する角度をなして設けられている。
【0044】
一対の砥石部30a,30bは、
図10に示されるように一対の切れ刃40に当接しつつ、図示しない回転工具の回転に従動して夫々回転する。一対の砥石部30a,30bは、ダイヤモンド砥石で構成される。回転工具は、例えば、電動インパクトレンチなどを用いることが出来る。
【0045】
第1本体部22において、第2本体部24の挿入口14の反対側の外面側には、一方端が一対の砥石部30a,30bに連結され、他方端が回転工具に連結可能される回転軸部材23が設けられている。回転工具を回転軸部材23に連結し、作動させると一対の砥石部30a,30bが回転する。
【0046】
続いて、上記構成のドリル研磨具10の作用について説明する。建設現場などにおいて、鋼材などに穴をあけるために、穴あけ工具が用いられている。この穴あけ工具には、ドリルが装着されており、このドリルが回転することにより穴が形成される。しかしながら、穴あけ工具を長期間使用するとドリルが摩耗する。
【0047】
このため、従来、ドリルを新しいものに交換するか、あるいは、ドリルを再生するために製造された大型の研磨装置が設けられた工場などに持ち込んで研磨する必要があった。このような課題に対して、本発明に係る実施形態のドリル研磨具10は、顕著な効果を発揮する。
【0048】
図4~
図10は、ドリル研磨具10の試作品が写った写真で構成される図面であるが、ドリル研磨具10は、両手で持つことが出来る程度のコンパクトなサイズである。このため、ドリル30が摩耗したときに、各職人(ユーザ)は現場でドリル30を再生することが出来る。
【0049】
最初に、ユーザは第2本体部24と第1本体部22とを掴み、第2本体部24と第1本体部22とを引き離すように力を加える。
図4に示されるように、第2本体部24を第1本体部22に嵌合させた状態のまま最大限離間させると、この離間状態が固定される。
【0050】
そして、
図5に示されるように、ドリル30を挿入口14から挿入し、一対の位置決め部25を押圧しながら回転させると、ドリル30の回転が規制される位置で回転が止まる。この位置がドリル30の基準位置となる。
【0051】
ドリル30を基準位置とした状態で、
図6に示されるように、規制部16の螺子を回してドリル30の回転を規制するように押圧する。基準位置となったドリル30の回転が規制された状態にした後、第2本体部24を掴んで第1の方向に第2本体部24を回転させると、第1の位置で固定され、引張バネ部28の付勢力により、第2本体部24が第1本体部22に接触する。このとき、ケーシング部12の内部では、
図10に示されるように、ドリル30の切れ刃40が一対の砥石部30a,30bに接触した状態となる。
【0052】
この状態のまま、回転軸部材23の他方端に回転工具を連結し、回転軸部材23を回転させると、一対の砥石部30a,30bが回転することにより、ドリル30の切れ刃40が研磨される。
【0053】
この後、ユーザは第2本体部24と第1本体部22とを掴み、第2本体部24と第1本体部22とを引き離すように力を加えて、第2の方向に第2本体部24を回転させると、第2の位置で固定され、引張バネ部28の付勢力により、第2本体部24が第1本体部22に接触する。
【0054】
このとき、ケーシング部12の内部では、ドリル30の逃げ面42が一対の砥石部30a,30bに接触した状態となる。この状態のまま、回転軸部材23を回転させると、一対の砥石部30a,30bが回転することにより、ドリル30の逃げ面42が研磨される。
【0055】
以上のように、ドリル研磨具10は、コンパクトなサイズであるため、ユーザ(職人)は、ドリル30が摩耗したと感じたときに、現場において、手軽にドリル30を研磨することができるという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0056】
10 ドリル研磨具、12 ケーシング部、14 挿入口、16 規制部、18 基準位置決定部、19 逃げ面位置固定部、20 切り刃位置固定部、22 第1本体部、23 回転軸部材、24 第2本体部、25 位置決め部、28 引張バネ部、30 ドリル、30a,30b 砥石部、32 先端部、34 リード部、36 シャンク部、38 タング部、40 切れ刃、42 逃げ面。