(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097859
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】物品回収装置
(51)【国際特許分類】
G07F 7/06 20060101AFI20230703BHJP
B65F 1/14 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G07F7/06
B65F1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214217
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 昇一
【テーマコード(参考)】
3E023
3E044
【Fターム(参考)】
3E023AA14
3E023MA07
3E023MB02
3E044BA09
3E044CC02
3E044DB15
3E044FB01
(57)【要約】
【課題】
空容器回収装置においては、空容器収容手段についてまだ改良の余地があり、特に、より多くのペットボトルを効率よく回収することが求められていることに対処する。
【解決手段】
物品を回収する物品回収装置であって、物品を収容する収容部と、物品が前記収容部内の複数方向に送出されるように、方向付けを与える偏向機構と、を備えることを特徴とする物品回収装置。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を回収する物品回収装置であって、
物品を収容する収容部と、
物品が前記収容部内の複数方向に送出されるように、方向付けを与える偏向機構と、を備える
ことを特徴とする物品回収装置。
【請求項2】
前記収容部は、複数の収容部から成り、
前記偏向機構は、物品を前記複数の収容部のうちの一つに振り分ける
ことを特徴とする請求項1に記載の物品回収装置。
【請求項3】
前記偏向機構は、前記複数の収容部のうちの一つに連続して物品を振り分ける
ことを特徴とする請求項2に記載の物品回収装置。
【請求項4】
前記収容部に収容される空容器の量を検出する検出部を、さらに備え、
前記偏向機構は、前記検出部が検出する物品の量に応じて振り分ける対象となる収容部を選択する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の物品回収装置。
【請求項5】
前記収容部は引出可能とされており、
前記偏向機構は、引き出しの際に前記収容部と干渉しないように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一に記載の物品回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の容器回収装置では、ペットボトル等の空容器を投入口に投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空容器回収装置においては、空容器収容手段についてまだ改良の余地があった。特に、より多くのペットボトルを効率よく回収することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る物品回収装置は、少なくとも以下の構成を具備する。
物品を収容する収容部と、物品が前記収容部内の複数方向に送出されるように、方向付けを与える偏向機構と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物品回収装置(空容器回収装置)の全体概念図であり、(a)は物品回収装置の正面図、(b)は物品回収装置の左側面図、(c)は物品回収装置の上面図である。
【
図2】物品回収装置(空容器回収装置)の斜視図(左斜視図、右斜視図)である。
【
図3】物品回収装置(空容器回収装置)の側断面図であり、
図1(a)のA-A線での断面図である。
【
図4】物品回収装置(空容器回収装置)の前面左扉を開放している状態を示す図であり、(a)は物品回収装置の正面図、(b)は物品回収装置の左側面図、(c)は物品回収装置の上面図である。
【
図5】物品回収装置(空容器回収装置)の前面左扉を開放している状態を示す図であり、物品回収装置(空容器回収装置)の斜視図(左斜視図、右斜視図)である。
【
図7】物品回収装置(空容器回収装置)の前面左扉及び前面右扉を共に開放し、左の袋保持部のみを引出した状態を示す斜視図である。
【
図8】物品回収装置(空容器回収装置)を説明するための図であり、(a)は物品回収装置(空容器回収装置)の電気的な機能ブロック図、(b)は制御部の機能ブロック図である。
【
図9】物品回収装置(空容器回収装置)の容器投入部の概念図である。
【
図10】物品回収装置(空容器回収装置)の検出部などを説明するための図であり、詳細には、(a)は容器投入部の左側斜視図、(b)は容器投入部の右側斜視図、(c)は容器投入部の正面図である。
【
図11】外扉が閉状態で内扉が閉状態の空容器回収装置の一例を示す斜視図である。
【
図12】外扉が閉状態で内扉が閉状態の空容器回収装置の一例を示す側面概念図である。
【
図13】外扉が開状態で内扉が閉状態の空容器回収装置の一例を示す斜視図である。
【
図14】外扉が開状態で内扉が閉状態の空容器回収装置の一例を示す側面概念図である。
【
図15】外扉が閉状態(不図示)で内扉が開状態の物品回収装置(空容器回収装置)の一例を示す正面側からの斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る物品回収装置の清掃モード時に内扉が僅かに開状態の図である。
【
図17】物品回収装置(空容器回収装置)の右側の一部を切り欠いた下側斜視図である。
【
図18】物品回収装置(空容器回収装置)の上部の一部を切り欠いた斜視図であって、(a)は、偏向機構が左前を向いた状態を、(b)は、偏向機構が左後を向いた状態を、それぞれ示す図である。
【
図19】物品回収装置(空容器回収装置)の前面左扉及び前面右扉を共に開放した状態で、上部の一部を切り欠いた斜視図である。
【
図20】偏向機構の折り曲げ加工された円盤が左前方に向かって傾斜している状態を示す図であって、(a)は、
図18(a)をC方向の前方から観た正面図であり、(b)は、
図18(a)をC方向の後方から観た背面図である。
【
図21】偏向機構の折り曲げ加工された円盤が水平となっている状態を示す図であって、(a)は、
図19をD方向の前方から観た正面図であり、(b)は、
図19をD方向の後方から観た背面図である。
【
図22】本発明の別実施形態に係る物品回収装置(空容器回収装置)の斜視図である。
【
図23】本発明の別実施形態に係る物品回収装置(空容器回収装置)の引き出し部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0008】
(物品回収装置の基本構成)
図1は本発明の実施形態に係る物品回収装置として、回収対象の空容器(PETボトル等)を回収する空容器回収装置100の一例を示す図であり、(a)は物品回収装置の正面図、(b)は物品回収装置の左側面図、(c)は物品回収装置の上面図である。
図2は、物品回収装置(空容器回収装置)の斜視図である。
図3は、
図1(a)のA-A断面図である。
【0009】
空容器回収装置100は、待機時、物品投入部の外扉111が閉状態であり、容器投入部110と袋保持部140の間に開閉自在に設けられた内扉112が閉状態である。袋保持部140は、空容器を回収するために用いられる袋(ビニール袋)を保持するものである。物品回収時に、容器投入部110の外扉111が開状態となり、判別部により、容器投入部110の載置部へ載置された物が回収対象物の物品(例えば、PETボトル等の樹脂製の空容器)であるか否かが判別される。回収対象物の物品(空容器)であると判別された場合、外扉111が閉状態となり、容器投入部110と袋保持部140(本実施形態においては、袋保持部140は2つ備えられている。)の間に設けられた内扉112が開状態となり、袋保持部140に保持された袋に容器が回収される。本実施形態では、空容器回収装置が減容機構(減容部120又は容器減容部ともいう)を備え、減容機構(減容部120)により容器を減容することで、規定容量の2つの袋(ビニール袋)によって多量の減容された空容器を回収可能である。また、偏向機構151によって、空容器の送出方向を前後左右の様々な方向に異ならせることができるため、回収効率の良い袋交換が可能である。このことについては、後で、詳しく述べる。
【0010】
なお、物品としては、PETボトル、缶、ビンに限定されず、例えば、牛乳パック、トレー、インクカートリッジ、図書館やレンタル店への返却物(本やDVDなど)、クリーニング品、電池、電球など、回収の対象となる物品であればよい。つまり、空容器回収装置は本発明に係る装置や物品回収装置の一実施例である。
【0011】
詳細には、
図1~3に示したように、本発明の実施形態に係る物品回収装置としての空容器回収装置100は、装置の本体部100Bの上部に容器投入部110が設けられており、容器投入部110の開口部の外側には外扉111が設けられている。装置の本体部100Bは、外扉111よりも上部付近の正面側に、表示操作部3、送受信部4(通信部)、リーダライタ17(カードリーダライタ)が設けられている。また、装置の本体部100Bの正面側には、荷物フック100fが設けられている。
【0012】
また、容器投入部110の下方には、袋保持部140へと導くための空間が設けられており、当該空間へ向けて空容器Pを送出するための内扉112が容器投入部110に設けられている。
【0013】
本実施形態では、空容器回収装置100は、内扉112と、袋保持部140の間に減容部120(減容機構)と偏向機構151が設けられている。減容部120は、内扉112が開状態の場合、容器投入部110からの空容器Pを押し潰して減容し、減容された容器を、偏向機構151の上面に送出する。偏向機構151は、空容器の送出方向を前後左右の様々な方向に異ならせる。
【0014】
空容器回収装置100の本体部100Bは、従来のものに比べてサイズが大きくされている。高さ寸法や奥行き寸法が大きくされたことにより、回収袋の交換1回当りの回収量アップが見込まれる。特に、幅寸法については、2つの袋(ビニール袋)を並べて配置できるように、従来の倍のサイズとなっている。2つの袋への空容器の回収を、例えば、片方の袋が満杯になると、もう片方の袋へ切り替えて回収を行うようにすることで、装置ダウンタイムを殆ど発生させることなく、回収可能となる空容器の数を大幅に増大させることができる。
【0015】
空容器回収装置100の本体部100Bは、2つの袋保持部140を装置内収容位置と袋交換位置とに進退可能に移動させる移動部として機能するスライドレール144(
図1~3においては不図示)を有する。本体部100Bは、2つの袋保持部140のそれぞれに対応して、前面左扉100LDと前面右扉100RDを有する。
【0016】
前面左扉100LDと前面右扉100RDのそれぞれの正面側には、透光部100A(透光窓)が設けられており、外部から袋(ビニール袋)に収容されている空容器を視認可能に構成されている。
【0017】
また、装置の本体部100Bは、正面側にキャップ投入部108を備え、キャップ投入部108に投入されたキャップがキャップ用通路(不図示)を介してキャップ収容部(不図示)に収容されるように構成されている。従来のものでは、空容器収容空間の一部を犠牲にしてキャップ収容部を配置しなければならなかったが、本実施形態では、幅寸法が倍にされたことから、空容器収容空間よりも高い位置に余裕をもって、キャップ収容部を配置することが可能となった。
尚、キャップ用通路(不図示)は、キャップと、キャップよりも小さなものを仕分けする機構を有してもよい。具体的には、キャップ用通路(不図示)が分岐されて、分岐部に網の目状の部材にて、飲み残し吸い殻、雨水等は別経路で排出、蓄積し、キャップのみキャップ収容部(不図示)へ収まるようにしてもよい。
【0018】
図1に示される減容部120は、具体的には、物品回収装置(空容器回収装置100)の側断面図(
図1(a)のA-A線での断面図)である
図3に示されるように、一対の回転軸811、911が回転自在に軸支された構造となっている。回転軸811の一方の端部には歯車が設けられており、回転軸911の一方の端部に設けられた歯車と噛合するように構成されている。この回転軸811、911は、駆動モータ(不図示)により回転駆動される。
図3中の破線で描かれた円Bで囲まれた領域の背面の空間には、一対の回転軸811、911それぞれにおいて、軸方向の両側面に刃面を備えた圧縮ローラ81、91と、当該圧縮ローラ81、91よりも小さい径で当該圧縮ローラ81、91の厚みよりも僅かに厚いスペーサ(不図示)とが軸方向に沿って交互に並設されている(
図17も、併せて参照されたい。)。
【0019】
一方の回転軸811に設けられた圧縮ローラ81の外周部が、他方の回転軸911に設けられた圧縮ローラ91の間に配置されており、当該他方の回転軸911に設けられた当該圧縮ローラ91の間に設けられたスペーサに対して所定の距離だけ離れた位置に配置されている。
【0020】
また、減容部120の上部には、送り機構(不図示)が設けられている。送り機構(不図示)は、回転軸に、パドルとして複数の羽根部(不図示)を有する。送り機構(不図示)は、回転軸が回転することにより、羽根部(不図示)が回転軸を回転中心として回転し、空容器Pを減容部120へ案内する。
【0021】
回転軸811、911は、駆動モータ(不図示)により回転駆動される。駆動時、回転軸811、回転軸911が互いに逆方向に回転し、中央部に投入された空容器Pが圧縮ローラ81、91により圧縮されて、減容された空容器が下方へ出力される。
【0022】
減容部120の下方には、空容器の送出方向を前後左右の様々な方向に異ならせるための偏向機構151が配置されている。偏向機構151は、円の少なくとも一部を直線で切り欠いた切り欠き円の円盤につき、切り欠いた両端の左右部分を僅かに傾斜させるように折り曲げ加工された円盤を左右に回転させることで、右前、左前、右後、左後に円盤が傾くように構成されている。なお、切り欠かれた部分を前方に正対させた場合には、円盤は水平状態となる。
図3は、この状態を示している。
【0023】
また、本発明の実施形態に係る空容器回収装置100は、袋保持部140に保持されている袋(ビニール袋)が満杯になった場合などに、その旨を報知する処理を行う。空容器回収装置100は、例えば、管理者や清掃者等による、袋保持部140の開放に係る操作、詳細には、袋保持部140を袋交換位置に引き出すための解錠操作などを検出した場合、物品が載置される載置部の清掃を行うように報知する処理を行う。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に係る物品回収装置(空容器回収装置100)の前面左扉100LDを開放し袋保持部140を引出した状態を示す図であり、(a)は物品回収装置の正面図、(b)は物品回収装置の左側面図、(c)は物品回収装置の上面図である。
図5は、袋保持部140を引出した状態での物品回収装置(空容器回収装置100)の斜視図である。
【0025】
図4に示すように袋保持部140は、枠体を中心に構成されるものであって、側板や底板を備えるものではない。従来の物品回収装置は、左右の側板部、後板、前板部から成る箱体の中に袋(ビニール袋)を設置し、この箱体ごと前面に引き出して袋の交換を行うものであった。そのため、袋を設置する際には何ら問題がなくとも、空容器で満杯となった袋を交換のために外す際には、箱体の中から重量物である袋を真上に持ち上げる必要があり、作業者の負担は相当に大きなものとなっていた。一方、側板や前板を備えない本実施形態では、袋の開口方向である上方向以外に、前方向や左右方向に向けて、袋を取り外しつつ、移動させることができるため、重い袋を持ち上げる必要がない。さらに、底板も有しないため、台車を空容器回収装置100に隣接させた状態で、袋保持部140を引き出すことによって、交換作業をより負担なく行うことができる。
図4に示すように、前面左扉100LDを開放し、前面右扉100RDが閉鎖された状態であれば、台車を右側よりアプローチさせることができ、便利である。また、前面左扉100LDと前面右扉100RDの双方ともを180度まで開かせることができるように構成しても良い。このように構成することで、何処からでも台車をアプローチさせることが可能となる。
なお、
図4からは、偏向機構151の折り曲げ加工された円盤が、空容器Pを左前方向に送出できるように、左かつ前側に向かって傾いている様子を見ることができる。
【0026】
空容器回収装置100の前面開放側の底板内面には、
図5の右斜視図に示されるように、180度開きヒンジで取り付けられたスロープSLが設けられている。普段は、バネにより跳ね上げられた状態となっているが、袋保持部材140を引き出そうとする際には、空容器で満杯となった袋(ビニール袋)に押されることで、スロープSLは自然と倒れることになる。このスロープSLにより、空容器回収装置100から台車へと、空容器で満杯となった袋(ビニール袋)を円滑に移すことができる。新しい袋を取り付ける際には、スロープSLは、跳ね上がった状態に戻っていることになるが、軟質な空のビニール袋とスロープSLの干渉は然程の問題とならず、容易く袋を取り付けることができる。
【0027】
図6は、袋保持部140のみを示した斜視図である。また、
図7は、空容器回収装置100の前面左扉100LD及び前面右扉100RDを共に開放し、左の袋保持部140のみを引出した状態を示す図である。
【0028】
装置の本体部100Bの左右の内側面と中央部の仕切り部には、
図7に示すように、袋保持部140を装置内収容位置と袋交換位置とに進退可能に移動させる移動部として機能するスライドレール144が設けられている。袋保持部140は、上部の枠体を基本として、構造体として機能すると共に袋保持部140を袋交換位置に進出させる際に袋を背面から押出すように機能する袋押出部143と、3以上の複数の柱部141(本実施形態では四隅の柱部141)と、複数の柱部141のそれぞれに対応し、上部又は上部付近に設けられた掛止部142と、取手部147とから構成される。スライドレール144と掛止部142の位置関係から明らかなように、スライドレール144は、袋を保持した状態において袋の底面よりも袋の開口面寄りの高さ位置に設けられた配置となる。袋を支える底板がないため、掛止部142に袋重量による力が掛かるところ、当該配置は重量バランスの点で好適である。
【0029】
掛止部142は、例えばエラストマー性を有し、詳細には、ゴムなどの樹脂等からなる弾性体や難滑性材により構成されている。このような形状や素材を使用することにより、袋の掛け外しが安全で、容易になり、さらに、ゴム等の密着性がある素材を用いることで袋の上部間口がたるまず引っ掛かることができる。
また、掛止部142は、外側へ向けて突出した形状であり、袋が掛止しやすい構造となっている。また、掛止部142は、先端部が略球形状に形成されているので、袋が破れ難い。
【0030】
物品回収用の袋(ビニール袋)の交換方法の一例を説明する。
図5に示すように、例えば、前面左扉100LDを開放した状態で、装置の本体部100Bの前面側ないし右側から、台車を装置の本体部100Bの左側前面に隣接させる。次に、袋保持部140を前方に引き出す。袋保持部140が引き出されると、それに伴って、袋押出部143も前方に移動することになるため、空容器で満杯となった袋を押し出すことになる。満杯の袋は、スロープSLを押し倒して、このスロープSLの上を滑動することで、重量のある満杯の袋を台車の上に簡単に移動させることができる。袋が台車の上に完全に位置した状態で、掛止部142に引っ掛けられている袋の四隅を取り外して、袋を台車上に載せるようにする。このようにして、大きな力を要することなく、空容器で満杯となった袋を回収することができる。
適当なサイズの台車がない場合や、配置上の制約から台車を隣接して横づけできない際には、多少の負担が生じることになるが、それでも、重量物である袋を真上に持ち上げる必要が無く、前方や右手方向に引き出すことができることから、作業負担は軽くなる。
満杯となった袋の回収後には、空の袋(ビニール袋)の端(上端)を四隅のゴムボール(掛止部142)に引っ掛けた後、袋の下端がスロープSLを避けるように配慮しつつ、袋保持部140を装置の本体部100B内に押し入れる。
【0031】
(物品回収装置の電気的構成)
図8は、本発明の実施形態に係る物品回収装置としての空容器回収装置100の電気的構成の一例を説明するための図である。
図9は空容器回収装置100の容器投入部110の概念図である。
図10は空容器回収装置の検出部などを説明するための図であり、詳細には、
図10(a)は容器投入部の左側斜視図、
図10(b)は容器投入部の右側斜視図、
図10(c)は容器投入部の正面図である。
【0032】
図8に示すように、空容器回収装置100は、制御部1(CPU)、記憶部2、表示操作部3、送受信部4、外扉駆動部5、内扉駆動部6、計量部7、金属検出センサ8、PETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903、扉位置センサ10、扉ロック部11、減容駆動部15、リーダライタ17、偏向駆動部18、撮像部19等を有する。また、収納部が満杯となったことを検出する満杯検出部181も備えている。各構成要素は、信号線等により電気的に接続されている。
本実施形態では、例えば、PETセンサ901、容器検出センサ902、及び安全検出センサ903は、光センサ9により構成されている。
また、計量部7、金属検出センサ8、PETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903、撮像部19は、載置部116の近傍又は載置部116自体に設けられ、制御部1の処理モードとして所定のモード、詳細には、第1のモード(通常処理モード)や第2のモード(清掃モード)、又は回収装置の状態によって、載置部116に対して清掃が行われているかを検出する清掃検出手段180として機能する。制御部1は、第1のモード(通常処理モード)または第2のモード(清掃モード)で、一つ又は複数の検出部(計量部7、金属検出センサ8、PETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903、撮像部19等)の制御を異ならせる。また、制御部1は、満杯検出部181の検出結果を判定して、ペットボトルを落とす場所や落とす収納部を決定するようにしてもよい。
【0033】
制御部1(CPU)は、物品回収装置(空容器回収装置100)の各構成要素を統括的に制御する。制御部1は、例えば、制御用プログラムを実行することにより、本実施形態の発明に係る機能をコンピュータに実現する。制御部1は、清掃検出手段180等からの検出結果に基づいて、回収装置100の載置部116に対する清掃が行われたかを判定する判定部101を有する。
【0034】
記憶部2は、RAMやROMなどの記憶装置である。記憶部2は、制御用プログラムなどを記憶する。また、記憶部2は、回収対象物の空容器の特徴を記憶している。空容器の特徴とは、例えば、容器質量の範囲、樹脂材料であるか否かを判別する。
【0035】
表示操作部3は、制御部1の制御により所定の表示を行う。また、表示操作部3は、ユーザ等の操作に応じた信号を制御部1へ出力する。表示操作部3は、例えば、タッチパネル式表示装置などである。
【0036】
送受信部4は、制御部1の制御により、無線式通信路または有線式通信路を介して他の端末装置(コンピュータ)と所定の通信を行う。
【0037】
リーダライタ17(カードリーダライタ)は、非接触式ICカードやICタグ等に対して通信を行う送受信装置であり、制御部1の制御により、所定の通信を行う。また、回収装置100は、リーダライタ17の代わりに、会員カードCDに記録されているカード識別子(会員識別子)を示すバーコードや2次元コードを読み取るコードリーダーを有していてもよい。
【0038】
外扉駆動部5は、外扉111を開閉させるためのモータ等であり、制御部1からの制御により、駆動制御される。
【0039】
内扉駆動部6は、内扉112を開閉させるためのモータ等であり、制御部1からの制御により、内扉を開状態、又は閉状態に駆動制御される。
【0040】
偏向駆動部18は、一方の袋が満杯になると他方の袋へ切り替えて回収を行うようにしたり、袋内で空容器が偏って溜まらないようにしたりするべく、偏向機構151の折り曲げ加工された円盤を右前、左前、右後、左後に傾くように回転駆動させるための制御を行うものである。
【0041】
計量部7は、容器投入部110の載置部116に載置された空容器、又は非回収対象物の質量を計量する(第1のモード(通常処理モード)時)。計量部7はロードセルなどの計量装置である。
また、計量部7は、容器投入部110の載置部116に載置された容器内の飲み残し等を重量(計量値)として検出することで、回収可否を判断するセンサとして利用される。また、計量部7は、回収可と判断した容器の重量値を積算することで、袋保持部140に収容されている総重量を特定することも可能に構成されている。この機能により、袋保持部140に計量手段を設ける必要がなく、大きな容量の袋保持部140を確保することができ、かつ計量部7自体を小さくすることができる。計量する対象が比較的小さいため、大きな計量手段を設ける必要がない。
また、第2のモード(清掃モード)時、載置部116の汚れを落とす場合に、載置部116に力を入れて清掃するための荷重が掛かり、計量部7は、計量値を示す信号のレベルが変動し、詳細には、正しく充分に清掃する場合には、比較的大きな数値(計量値)となり変動幅が大きくなり、一方、清掃が不充分な場合には、比較的小さな数値(計量値)となり変動幅が小さくなる。制御部1は、清掃モード時、計量部7による計量値の変動幅に基づいて、清掃をきちんと行なっているか検出する、詳細には、計量値の変動幅が設定閾値以上の場合に、清掃をきちんと行なっていると判別し、設定閾値未満の場合に、清掃が不充分であると判断する。
なお、清掃が行われているか否かの判断処理は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、計量部7から出力される計量値が変動し続けている間は、実際に清掃が行なわれている状態であるとみなす。詳細には、制御部1は、計量部7から出力される計量値が変動し続けている時間が設定時間以上の場合に、正しく充分に清掃されていると判別し、設定時間未満の場合に清掃が不充分であると判別してもよい。
【0042】
金属検出センサ8は、容器投入部110の載置部116に載置された物が金属であるか非金属であるかを検出する(第1モード(通常モード)時)。本実施形態では、制御部1は、金属検出センサ8により載置部116に載置された物が金属であると検出された場合、載置部116に載置された物が非回収対象物であると判別する。
本実施形態では、金属検出センサ8は、
図10(c)に示すように、内扉112に設けられている。なお、金属検出センサ8は、載置部116に設けられていてもよい。
また、第2のモード(清掃モード)時、例えば、清掃者が金属製の指輪等の金属製品を指や手首などに装着しているときや清掃用具に金属が含まれているとき、金属検出センサ8がその金属を検出する。制御部1は、清掃モード時、金属検出センサ8による金属の検出結果や検出している時間の長さ等に基づいて、清掃が正しく充分に行なわれたか否かを判別する。
【0043】
本実施形態では、PETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903は、光センサ9である。光センサ9は、載置部116の左側、右側のうち一方に設けられた発光部からの光を、他方に設けられた受光部で受光するように構成されている。
【0044】
PETセンサ901は、
図10に示すように、載置部116の左右側壁部116Wのうち一方に設けられた発光部からの光を、他方に設けられた受光部で受光するように構成されている。また、PETセンサ901は、偏光板を備え、その偏光板を介して受光するよう構成されており、PETボトルなどの透光性の空容器を透過した偏光した光を検出することにより回収対象の空容器を検出可能に構成されている(第1のモード(通常処理モード)時)。
制御部1は、容器投入部の載置部に載置された透光性の空容器を透過して受光した光を、PETセンサ901の受光部(光センサ9)で検出し、その光センサ9からの検出信号に基づいて、回収対象の空容器であるか否かを判別する(第1のモード(通常処理モード)時)。
【0045】
容器検出センサ902は、
図10に示すように、載置部116の左右側壁部のうち一方に設けられた発光部からの光を、他方に設けられた受光部で受光するように構成されている。制御部1は、容器投入部の載置部116に空容器などが載置された場合、容器検出センサ902の受光部で受光される光の強度に基づいて、空容器が載置されているか否かを判別する(第1のモード(通常処理モード)時)。
【0046】
安全検出センサ903は、
図10に示すように、投入口の近傍の左側及び右側に発光部と受光部が設けられており、詳細には、外扉111が閉状態となる位置に設けられており、左側、右側の一方に設けられた発光部からの光を、他方に設けられた受光部で受光するように構成されている。制御部1は、安全検出センサ903の受光部で受光される光の強度に基づいて、例えば、人の手などが投入口又は投入口の近傍にあるか否かを検出する。制御部1は、安全検出センサ903の発光部からの光が受光部で受光できた場合、投入口に人の手などがないと判別し、受光部で受光できない場合、投入口に人の手などがあると判別し、例えば外扉111を安全に閉じることができないと判断する(第1のモード(通常処理モード)時)。
【0047】
第2のモード(清掃モード)時、上述したPETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903は、光検出センサであり、制御部1は、各センサの発光部から受光部へ向けて出射した光を、例えば、清掃者の手や清掃用具が遮った回数やその光を遮った時間に基づいて、清掃の有無を検出してもよい。
【0048】
また、上述した3つのセンサ(PETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903)のうち2つ以上のセンサの組み合わせより、そのセンサからの出力信号に基づいて清掃が行なわれているか否かを制御部1が判断しても良い。
また、第2のモード(清掃モード)時に、光が遮られた光検出センサの種類によって、載置部のどの部分まで清掃が行なわれているかの判断を制御部1が行なっても良い。
詳細には、制御部1は、載置部の手前側に設けられた安全検出センサ903だけで、光の遮りが検出された場合に、載置部の手前部分しか清掃していないと判断し、上述したPETセンサ901、容器検出センサ902、安全検出センサ903により、光が遮られたことを検出した場合に、載置部の手前部分も奥部分も清掃していると判断してもよい。
【0049】
例えば、載置部116を撮像する撮像部19が、載置部116の近傍に設けられていてもよい。撮像部19は、例えば、載置部116に載置された物品が回収対象であるか非回収対象であるかを判断するために用いられる(第1のモード(通常処理モード)時)。また、ペットボトルにフィルムが貼り付けられた儘であるか否かや、キャップが嵌められ儘であるか否かを判断してもよい。また、一度に載置部に載置された本数を判断して、本数に応じた減容処理を行うように構成してもよく、その場合には1回収で複数本のカウントアップをするとよい。これとは逆に、処理不能となる数のペットボトルが載置された場合に受け入れをしないように構成してもよい。さらに、この撮像部19は、制御部1の処理モードとして所定のモード、詳細には、第1のモード(例えば通常処理モード)や第2のモード(清掃モード)、又は回収装置の状態によって、清掃者などにより載置部116が清掃されたか否かを判別するために用いられてもよい。
【0050】
尚、物品回収装置は、載置部周辺に回収要否を判定するための上記センサ類が設けられている。例えば、従来の回収装置では、装置内に物品を取り込み、回収対象であるか否かを判定し、投入口とは異なる排出口から非対象物を排出しており、装置内に判定部が備えられているため、排出口を設ける必要がある。
一方、本発明の実施形態に係る物品回収装置は、装置の投入口にあたる載置部に回収要否を判定するセンサ類が設けられているため、装置内に回収対象物を取り込む必要がない構成となっている。よって、排出口を設ける必要がなく、小型の物品回収装置を提供することができる。
【0051】
扉位置センサ10は、外扉111の位置や内扉112の位置を検出し、外扉111の位置や内扉112の位置に関する信号を制御部1に出力する。制御部1は、その信号に基づいて外扉111、内扉112の開閉状態を制御する。
【0052】
扉ロック部11は、例えば、ソレノイドなどのロック装置を有し、制御部1からの制御により、必要に応じて外扉111や内扉112の移動をロックする。
【0053】
(容器投入部の具体的構成)
図11は、外扉111が閉状態で内扉112が閉状態の空容器回収装置100の一例を示す斜視図である。
図12は、外扉111が閉状態で内扉112が閉状態の空容器回収装置100の一例を示す側面概念図である。
図13は、外扉111が開状態で内扉112が閉状態の空容器回収装置100の一例を示す斜視図である。
図14は、外扉が開状態で内扉が閉状態の空容器回収装置100の一例を示す側面概念図である。
図15は、外扉111が閉状態で内扉112が開状態の空容器回収装置100の一例を示す正面側からの斜視図である。なお、
図15では、外扉111を図示していない。
図16は、本発明の一実施形態に係る物品回収装置の清掃モード時に内扉が僅かに開状態の図である。
【0054】
図9~
図16に示すように、本発明の実施形態に係る空容器回収装置100の容器投入部110は、載置部116、外扉111、内扉112、台座118、計量部7、外扉用支持部S111、内扉用支持部S112、外扉駆動部5、内扉駆動部6、第1の制限部K111、第2の制限部K112などを有する。
【0055】
載置部116は、回収対象物などを載置可能に構成されている。載置部116の側壁部116wには、受光部9aや発光部9bなどの光センサ9などが設けられている。また、載置部116の下部には計量部7が設けられている。
【0056】
また、本実施形態では、載置部116は、その載置面が水平ではなく、物品の投入口側(外扉111が開状態のときの開口側)よりも袋保持部140側が低くなるように傾斜をつけて設けられている。すなわち、載置部116は、投入された物品が自重により袋保持部140側(又は減容部120側)へ落ちることを促すように構成されている。これにより、物品(投入物)を袋保持部140へ送るための搬送機構を設ける必要がなく、小型の物品回収装置を提供することができる。
また、載置部116は、載置面の表面に表面処理が施され凹凸部が形成されており、投入された物品が載置部に貼りつくことを防止する構造を有する。物品回収装置が容器回収装置である場合、容器が濡れていたとしても、容器表面と載置部の凹凸形状の表面との接触面積が比較的小さいので濡れによる表面張力が小さくなり、容器が袋保持部140側へ容易に移動する。すなわち、濡れている容器が容器収容部側へ落ちないといった不具合を防ぐことができる。
【0057】
外扉111は、載置部116の外側に設けられている。外扉駆動部5は、外扉111を開閉自在に駆動する。
内扉112は、載置部116と減容部120との間に設けられている。内扉駆動部6は、内扉112を開閉自在に駆動する。この内扉112には、
図13に示すように、空容器の載置状態を案内する案内部112Dが設けられている。案内部112Dは、露出され装置本体部から視認可能な位置に設けられている。案内部112Dは、物品(PETボトルなどの空容器等)を規定の向き、規定の位置(例えば、350ml、500ml、2000mlなど)に載置するように情報として案内表示されている。この案内部112Dは、内扉112の表面に設けられた凹部、凸部、ステッカー、LED表示部、LCDなどであってもよい。
また、物品回収装置は、撮像部19などの検出センサにより、案内部112Dにより示された載置位置に、正しく物品が載置されているかを判定するための判定手段を備えていてもよい。また、撮像処理や光学センサなどの検知部により、載置向き及び位置が正しくない場合は、報知などを行うこともできる。
【0058】
図9に示すように、本実施形態では、空容器回収装置100は、台座118を有し、この台座118は外扉111、及び外扉駆動部5を支持する外扉用支持部S118、S111を有する。詳細には、2つの外扉用支持部S118の上端部には外扉駆動部5、回転軸C111が設けられ、回転軸C111に扇形状の外扉用支持部S111が回動自在に設けられ、扇形状の外扉用支持部S111により外扉111が支持されている。2つの回転軸C111のうち一方の回転軸C111は、外扉駆動部5のモータの回転軸に接続されている。
扇形状の外扉用支持部S111には、内扉112の回転軸C112が貫通する孔部S111hが設けられている。
【0059】
計量部7は、台座118と載置部116の間に配置され、載置部116を支持する。
【0060】
また、内扉112は、開状態で、載置部116に載置された空容器を減容部120へ案内するように構成されている。また、本実施形態では、計量部7上に配置され、計量部7と載置部116の間から延出した構造の内扉用支持部S112により、内扉駆動部6や内扉112が支持されている。内扉駆動部6には、内扉112の回転軸C112が設けられ、その回転軸C112に内扉112が設けられている。内扉112を開状態とすることで、回収対象物を装置本体部内の袋保持部140へ案内することができる。また、内扉用支持部S112は、回転軸C111が貫通される孔部S112hを有する。
【0061】
すなわち、台座118の外扉用支持部S111により外扉駆動部5や外扉111が支持され、台座118上に配置された計量部7の上部に載置部116が設けられているので、計量部7により、載置部116に載置された回収対象物などの質量を高精度に計量することができる。詳細には、計量部7上には、外扉111や外扉駆動部5を支持していない構造であるので、計量部7は、外扉111や外扉駆動部5の振動等の影響を受けにくい構造となっており、載置部116上の回収対象物の質量を高精度に計量することができる。
【0062】
また、本発明の実施形態に係る物品回収装置としての空容器回収装置100の外扉111は、載置部116を露出する開位置と、載置部116を覆う閉位置との間を移動可能に構成されており、外扉111が閉じる場合、外扉111が開位置から、載置部116に向かって閉位置へ移動可能に構成されている。すなわち、外扉111が開状態から、載置部116へ向かって動き閉じるように構成されているので、例えば、ユーザの手や腕などが、外扉111と載置部116の間に挟まれたとき、計量部7による計量値が変動し、制御部がその変動を検出することで、ユーザの手や腕、異物などが、外扉111と載置部116の間に挟まれたことを容易に検知することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態に係る物品回収装置としての空容器回収装置100において、外扉111は、内扉112の移動を制限する第1の制限部K111を備える。内扉112は、外扉111の移動を制限する第2の制限部K112を備える。第1の制限部K111と、第2の制限部K112により、外扉111及び内扉112の両方が開状態となることを制限する機構を有する。
すなわち、空容器回収装置100は、外扉111に設けられた第1の制限部K111と、内扉112に設けられた第2の制限部K112を有するので、機械的に簡単な構造で、外扉111と内扉112それぞれの開閉状態に応じて、各扉の開閉動作を制限することができる。
【0064】
また、物品回収装置としての空容器回収装置100の第1の制限部K111は、外扉111の移動に応動するように構成されている。第2の制限部K112は、内扉112の移動に応動するように構成されている。また、空容器回収装置100は、外扉111が開状態の場合、第1の制限部K111が内扉112の移動を制限するように構成されており、内扉112が開状態の場合、第2の制限部K112が外扉111の移動を制限するように構成されている。
詳細には、本実施形態では、空容器回収装置100は、外扉111が開状態の場合、内扉112が閉状態のまま、開状態となることを制限するように構成されている。すなわち、外扉111が開口状態で、投入された物が載置部116に載置された時には、内扉112は閉状態であり、開状態とはならず、載置部116に載置された物が、回収対象物、又は非回収対象物であるに関わらず、回収装置の本体部100B内の袋保持部140にそれを収容しないように構成されている。すなわち、この状態では、内扉112に物品(回収対象物、又は非回収物)が当接した状態であり、内扉112は載置部の一部を兼ねる構造となっている。
【0065】
また、この第1の制限部K111と第2の制限部K112は、移動経路が重なるように構成されている。また、本実施形態では、空容器回収装置100は、第1の制限部K111と第2の制限部K112のうち一方が、他方の移動を制限する場合、第1の制限部K111と第2の制限部K112が弧形状に僅かに間隔をあけて隣接する構造となっている。詳細には、本実施形態では、第1の制限部K111は略扇形状に形成されている。第1の制限部K111は凸状弧形状部K111aと、凹形状部K111bを有する。また、第2の制限部K112は略扇形状に形成されている。詳細には、第2の制限部K112は、凸状弧形状部K112aと、凹形状部K112bを有する。
【0066】
図13、
図14に示したように、外扉111が開状態で内扉112が閉状態で、第1の制限部K111が、第2の制限部K112の移動を制限する場合、第1の制限部K111の凸状弧形状部K111aと第2の制限部K112の凹形状部K112bが弧形状に僅かに間隔をあけて隣接する構造となっている。
すなわち、本発明の実施形態では、上述したように、外扉111が開状態の場合、内扉112が閉状態で、第1の制限部K111により、第2の制限部K112の移動が制限されるので、内扉112が閉状態のまま維持され、開状態にはならない。
【0067】
また、
図15に示したように、内扉112が開状態で外扉111が閉状態で、第2の制限部K112が、第1の制限部K111の移動を制限する場合、第2の制限部K112の凸状弧形状部K112aと、第1の制限部K111の凹形状部K111bが弧形状に僅かに間隔をあけて隣接する構造となっている。
【0068】
すなわち、本発明の実施形態の物品回収装置としての空容器回収装置は、外扉111が閉状態で、内扉112が開状態の場合、第2の制限部K112により、第1の制限部K111の移動が制限されるので、外扉111が閉状態のまま維持され、開状態にはならない構造となっている。ただし、
図16に示すように、清掃モード時には、載置部116の奥側端部を清掃しやすいように、内扉112を僅かに開状態とできる。第1の制限部K111と第2の制限部K112との位置関係には、その程度の遊びの空間が設けられている。
【0069】
また、本実施形態では、空容器回収装置100は、第1の制限部K111と第2の制限部K112の一方又は両方の移動を禁止する禁止手段を有してもよい。詳細には、禁止手段は、例えば、ソレノイドを有する。このソレノイドは、例えば、コイル内に金属製の可動ピン(プランジャ)が配置され、コイルに対して非通電時には、付勢部によりコイル端部から可動ピン(プランジャ)が突出した位置に配置された構造であり、コイルに対して通電時に可動ピンがコイル内へ移動するように構成されている。
例えば、外扉111の閉状態から開状態への移動を禁止可能な禁止手段として、外扉用のソレノイドの可動ピン(プランジャ)が、第1の制限部K111に設けられた孔部に係合可能に構成されていてもよく、第1の制限部K111の閉状態を維持し、開状態への動きを禁止する場合には、その孔部に可動ピンを係合し、動きを禁止しない場合には、可動ピンを非係合状態とするように、制御部により制御が行われる構成となっている。すなわち、禁止手段は、簡単な構造で、第1の制限部K111の閉状態から開状態への動きを禁止することができる。
また、内扉112の閉状態から開状態への移動を禁止可能な禁止手段として、内扉用のソレノイドの可動ピン(プランジャ)が、第2の制限部K112に設けられた孔部に係合可能に構成されていてもよく、第2の制限部K112の閉状態を維持し、開状態への動きを禁止する場合には、その孔部に可動ピンを係合し、動きを禁止しない場合には、可動ピンを非係合状態とするように、制御部により制御が行われる構成となっている。すなわち、禁止手段は、簡単な構造で、第2の制限部K112の閉状態から開状態への動きを禁止することができる。
【0070】
(偏向機構の具体的構成)
図17は、物品回収装置(空容器回収装置100)の右側の一部を切り欠いた下側斜視図である。
図18は、物品回収装置(空容器回収装置100)の上部の一部を切り欠いた斜視図であって、(a)は、偏向機構151が左前を向いた状態を、(b)は、偏向機構151が左後を向いた状態を、それぞれ示している。
図19は、物品回収装置(空容器回収装置100)の前面左扉及び前面右扉を共に開放した状態で、上部の一部を切り欠いた斜視図である。
【0071】
図17において、物品回収装置(空容器回収装置)を下から覗き込むことでよく理解できるように、減容部120の下部には、偏向機構151が配置されており、減容部120により減容された容器を前後左右等の様々な方向に異ならせて放出することができる。より詳細に、偏向機構151は、円の少なくとも一部を直線で切り欠いた切り欠き円の円盤につき、切り欠いた両端の左右部分を僅かに傾斜させるように折り曲げ加工された円盤を左右に回転させることで、右前、左前、右後、左後に円盤が傾くように構成されている。
図18(a)は、折り曲げ加工された円盤の傾斜面が左前方に向けられている状態を示している。この状態では、減容された容器は、左の袋(ビニール袋)の前方に放出される。
図18(b)は、折り曲げ加工された円盤の傾斜面が左後方に向けられている状態を示している。この状態では、減容された容器は、左の袋(ビニール袋)の後方に放出される。図示は省略するが、右前方や右後方に、減容された容器を放出する場合には、折り曲げ加工された円盤の傾斜面が右前方や右後方に向けられるようにすればよい。
折り曲げ加工された円盤は、
図19に示されるように水平姿勢を保つ場合もある。この場合としては、(メンテナンスモードを含む)清掃モード、片方ないし両方の収容部が満杯となったタイミング、何らかのエラーが発生したタイミング、前面左扉100LD又は前面右扉100RDが解錠されたタイミング等が想定される。また、後述する制御態様の位置である減容したペットボトルを都度左右の収納部に振り分けるような制御を行う際には、水平姿勢を待機時の位置としてもよい。
【0072】
図19において、折り曲げ加工された円盤は、切り欠いた部分が装置本体100Bの前面と対向するようにされている。この状態では、折り曲げ加工された円盤は傾くことなく、水平の姿勢が保たれることになる。このことによって、折り曲げ加工された円盤と干渉させることなく、袋保持部140を装置内収容位置と袋交換位置とに進退可能に移動させることが可能となる。
【0073】
図20は、偏向機構151の折り曲げ加工された円盤が左前方に向かって傾斜している状態を示す図であって、(a)は、
図18(a)をC方向の前方から観た正面図であり、(b)は、
図18(a)をC方向の後方から観た背面図である。
図21は、偏向機構151の折り曲げ加工された円盤が水平となっている状態を示す図であって、(a)は、
図19をD方向の前方から観た正面図であり、(b)は、
図19をD方向の後方から観た背面図である。
【0074】
折り曲げ加工された円盤は垂直軸1511を中心に回転駆動される。円盤は垂直軸1511より偏倚した位置に重心が存在し、かつ、垂直軸1511の上部部品に設けられた水平軸により揺動可能となっているため、支えが無ければ、重心側に傾くようになっている。
図20(a)及び(b)からは、円盤が左前方に向かって傾斜している様子を看て取ることができる。
【0075】
円盤の下部には、偏向用ローラ1513が配設され、この偏向用ローラ1513が垂直軸1511の上方側の周囲に設けられた山型斜面1512に当接されつつ、円盤が回転すると円盤の傾きは小さくなっていく。切り欠き円である円盤の切り欠き部分が装置本体100Bの前面と対向した際には、折り曲げ加工された円盤は水平状態を保つことになる。この様子を示しているのが
図21である。
【0076】
本実施形態では、円盤に偏向用ローラ1513が設けられ、垂直軸1511の上部部品に傾斜面(山形斜面)が設けられているが、この関係を逆にして、円盤に傾斜面を設け、垂直軸1511の上部部品に偏向用ローラを設けるようにしてもよい。切り欠かれた円盤の折り曲げ加工は、空容器の放出先の方向付けがより正確にされることに寄与するものであるが、円盤が傾くことによって、放出先の方向付けは一定程度なされるため、折り曲げ加工を省くことも可能ではある。
【0077】
(偏向機構の制御態様)
本実施形態では、折り曲げ加工された円盤を左右に回転させることで、右前、左前、右後、左後に円盤が傾くように制御されている。左と右に切り替えることで、左右2つの袋(ビニール袋)に減容された容器の放出先を振り分けることができる。左右の袋の切り替えは、一つの袋に連続して放出されるようにして、収容されている空容器の量を本実施形態の計量部7、或いは、重量センサや近接スイッチによるレベルセンサ等の適宜の手段で監視し、片方の袋が満杯若しくは満杯に近くなった時点で、もう一方の袋へ、放出先を切り替える制御を行うことによって、袋交換に伴う装置ダウンタイムによる影響を低減させることができる。このような制御は、顧客が空容器回収装置100を頻繁に利用する状況が長く続く店舗において、特に有効である。一方、空容器回収装置100を頻繁に利用する状況が然程には長く続かないような店舗においては、空容器1個ずつの放出ごとや、或いは、顧客の1回の利用ごとに偏向機構151の向きを切り替えるような制御を行って、業者の袋交換による大量の空容器回収作業を一度に済ませるようにすることも可能である。このように、店舗の状況に応じて、偏向機構151の制御態様を異ならせて設定することが可能である。さらには、本実施形態の清掃検出手段や清掃モードについて、履歴情報を記録するようにして、当該履歴情報と連関させることによって、清掃が十分であると判断される場合にはダウンタイム低減を優先させ、暫く清掃が実行されていないと判断されるような場合には十分な袋交換時間と清掃時間を確保できるように制御するといったことも可能である。
【0078】
放出先を前と後ろに切り替えても、左右の袋への振り分けは行われないが、前後にすることで、一様方向に容器を放出した際に生じがちなブリッジ現象の発生を抑え、袋内に均等に容器を収納することが可能となる。また、4つの袋を保持するような大型の空容器回収装置とした際には、4つの袋への振り分けとして利用することも可能となる。さらに、放出方向は、4方向に限定されるものではなく、8方向など、より大きな数として、制御することも可能である。
【0079】
(別実施形態)
図22は、本発明の別実施形態に係る物品回収装置として、回収対象の空容器(PETボトル等)を回収する空容器回収装置100’の一例を示す斜視図である。
図23は、別実施形態の一部品である引き出し部140’のみを示した斜視図である。
第一の実施形態において、袋保持部140は枠体を中心に構成されるものであって、側板や底板を備えるものではなかったが、別実形態では、従来の物品回収装置と同様に、箱型の引き出し部140’を備えるものであって、
図22及び
図23に示すように、左右の側板部145と底板部146を備えている。ただし、従来の物品回収装置と異なり、装置本体に開き戸が備えられているため、引き出し部140’に前板は略存在しない。一方、従来の物品回収装置と比べて、物品回収装置自体の高さ寸法は大きくされている。
【0080】
従来の物品回収装置においても、空容器で満杯となった袋を交換する際には、引き出しの前板部を超えるまで、袋を持ち上げる必要があり、作業負担は大きかったのであるが、高さ寸法を大きくするとなれば、より高く持ち上げる必要が生じる。しかし、本発明の別実施形態の引き出し部140’は前板部が略存在しないため、袋の開口方向以外の方向である前方方向へ袋を取り外せるようになっている。台車への載せ替え等も然程の力を要することなく、簡単に行うことが可能である。
【0081】
図22においては、図示されていないが、装置の内部には、偏向機構151が設けられており、減容された容器の放出方向を適宜のタイミングで切り替えることが可能となっている。このため、一様方向に容器を放出した際に生じがちなブリッジ現象の発生を抑え、袋内に均等に容器を収納することが可能となる。
【0082】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、物品回収装置に関する。
[背景技術]
容器回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の容器回収装置では、ペットボトル等の空容器を投入口に投入する。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009-175789号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
空容器回収装置は、ペットボトルを圧し潰して減容させて回収袋に収容するものである。設置店舗の作業者にとっては、回収袋の交換作業には相応の作業負担が生じるところ、作業負担の軽減のために、袋の交換作業の効率化や省力化が求められていた。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、物品を回収する物品回収装置100であって、物品を収容する収容部140と、物品が前記収容部内の複数方向に送出されるように、方向付けを与える偏向機構151と、を備えることを特徴とする物品回収装置100である。
上記構成によれば、複数の袋へ物品を振り分けたり、袋内に均一に物品を収容したりすることが可能となり、袋の交換作業の効率化が図れる。
【0083】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の物品回収装置100であって、前記収容部140は、複数の収容部から成り、前記偏向機構151は、物品を前記複数の収容部のうちの一つに振り分ける。
上記構成によれば、複数の収容部に物品を収容するに際して、店舗の状況に応じた収容態様を設定することができる。
【0084】
(3)本実施形態の一態様は、(2)に記載の物品回収装置100であって、前記偏向機構151は、前記複数の収容部のうちの一つに連続して物品を振り分ける。
上記構成によれば、偏向機構の動作が過度に頻繁とならず、安定した制御が行える。
【0085】
(4)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の物品回収装置100であって、前記収容部に収容される空容器の量を検出する検出部7を、さらに備え、前記偏向機構151は、前記検出部が検出する物品の量に応じて振り分ける対象となる収容部を選択する。
上記構成によれば、装置ダウンタイムを殆ど発生させることなく、回収可能となる空容器の数を大幅に増大させることができる。
【0086】
(5)本実施形態の一態様は、(1)ないし(4)の何れか一に記載の物品回収装置100であって、前記収容部140は引出可能とされており、前記偏向機構151は、引き出しの際に前記収容部140と干渉しないように構成されている。
上記構成によれば、収容部を円滑に引き出すことができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。特に、重要な点として、物品回収装置の対象は、PETボトル以外の缶やビンであってもよいし、さらには、牛乳パック、トレー、インクカートリッジ、図書館やレンタル店への返却物(本やDVDなど)、クリーニング品、電池、電球など、回収の対象となる物品であれば、あらゆるものが含まれるということである。減容機構を伴わない回収装置であっても、袋交換の際の作業負担軽減という課題に変わるところはない。
また、上述の各図で示した実施形態は、目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容は独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…制御部(CPU)
2…記憶部
3…表示操作部
7…計量部(ロードセル等)
8…金属検出センサ
9…光センサ
17…リーダライタ(取得手段)
18…偏向駆動部
19…撮像部
100…空容器回収装置(物品回収装置、又は回収装置)
100’…空容器回収装置(物品回収装置、又は回収装置)
100B…本体部(回収装置の本体部)
101…判定部
110…容器投入部(物品投入部)
111…外扉
112…内扉
116…載置部
120…減容部(減容機構)
140…袋保持部
141…柱部
142…掛止部
143…袋押出部
144…スライドレール(移動部)
145…側板部
146…底板部
151…偏向機構
1511…垂直軸
1512…山型斜面
1513…偏向用ローラ
180…清掃検出手段
901…PETセンサ(光センサ)
902…容器検出センサ(光センサ)
903…安全検出センサ(光センサ)
P…空容器(物品)