IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

特開2023-97865フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置
<>
  • 特開-フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置 図1
  • 特開-フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置 図2
  • 特開-フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置 図3
  • 特開-フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置 図4
  • 特開-フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097865
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】フィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20230703BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B01D46/00 C
B01D35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214224
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】東浦 将隆
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D058JA12
4D058KC55
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA19
4D058SA20
4D116BB01
4D116BC06
4D116HH23C
4D116KK04
4D116QB03
4D116QB19
4D116QB26
4D116UU20
4D116VV01
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】部品点数を少なくすることができるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】フィルタ装置は、所定方向に厚みを有するフィルタと、フィルタに設けられ、内側においてフィルタを保持するリテーナと、を備え、リテーナは、フィルタの外周面に設けられる本体部と、本体部から内側に延び且つフィルタの所定方向一方側に配置される突起部を有し、突起部は、所定方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に厚みを有するフィルタと、
前記フィルタに設けられ、内側において前記フィルタを保持するリテーナと、を備え、
前記リテーナは、前記フィルタの外周面に設けられる本体部と、前記本体部から内側に延び且つ前記フィルタの所定方向一方側に配置される突起部を有し、
前記突起部は、前記所定方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されている、フィルタ装置。
【請求項2】
前記リテーナは、前記本体部から内側に延び、且つ前記フィルタの所定方向他方側に配置される内側延伸部を有する、
請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記内側延伸部は、前記フィルタの所定方向他方側の面の外周縁全体を覆っている、請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記フィルタの外周面全体を覆い、
前記突起部は、前記本体部において周方向全周にわたって形成されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載のフィルタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載のフィルタ装置と、
作動流体が流れる第1流路を有するケーシングと、
第2流路を有し、前記第1流路の第1開口及び前記第2流路の第2開口の各々を互いに対向させるようにして前記ケーシングに取り付けられるハウジングと、備え、
前記フィルタ装置は、所定方向両側部分が前記ケーシングと前記ハウジングに夫々面し且つ前記第1開口及び前記第2開口との間に前記フィルタが位置するように前記ケーシングと前記ハウジングとの間に配置されている、バルブ装置。
【請求項6】
前記フィルタ装置は、前記突起部を前記ハウジングに向けて配置されている、請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記ケーシングは、アルミニウムから成り、
前記ハウジングは、ステンレス鋼から成り、
前記第1流路は、水素ガスを流す、請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
水素ガスを流す第1流路を有し、アルミニウムから成るケーシングと、
第2流路を有し、前記第1流路の第1開口及び前記第2流路の第2開口の各々を互いに対向させるようにして前記ケーシングに取り付けられ、且つステンレス鋼から成るハウジングと、
前記第1開口及び前記第2開口との間に位置するように前記ケーシングと前記ハウジングとの間に配置されるフィルタと、前記フィルタと前記ハウジングとの間に配置される板ばねと、を有するフィルタ装置と、を備える、バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタミを捕捉するフィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブ装置には、作動流体と共に流れるコンタミを捕捉すべくフィルタが設けられている。例えば、特許文献1に記載されるバルブ装置では、リテーナによって押え付けるようにしてフィルタがボディに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-102581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバルブ装置では、フィルタの厚み及びリテーナの高さによって押付け力が異なる。そこで、押付け力を安定させる、即ち安定的にフィルタを固定するためにばねによってフィルタをボディに押し付けることが考えられる。しかし、フィルタとリテーナとばねとが別々にボディに配置されると、それらをバルブ装置に組み込む際の部品点数が多くなる。
【0005】
そこで本発明は、部品点数を少なくすることができるフィルタ装置、及びそれを備えるバルブ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のフィルタ装置は、所定方向に厚みを有するフィルタと、前記フィルタに設けられ、内側において前記フィルタを保持するリテーナと、を備え、前記リテーナは、前記フィルタの外周面に設けられる本体部と、前記本体部から内側に延び且つ前記フィルタの所定方向一方側に配置される突起部を有し、前記突起部は、前記所定方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されているものである。
【0007】
第1の発明に従えば、突起部がばねとしての役割を果たすことがきる。即ち、リテーナにばねの機能を持たせることができる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0008】
第2の発明のバルブ装置は、水素ガスを流す第1流路を有し、アルミニウムから成るケーシングと、第2流路を有し、前記第1流路の第1開口及び前記第2流路の第2開口の各々を互いに対向させるようにして前記ケーシングに取り付けられ、且つステンレス鋼から成るハウジングと、前記第1開口及び前記第2開口との間に位置するように前記ケーシングと前記ハウジングとの間に配置されるフィルタと、前記フィルタと前記ハウジングとの間に配置される板ばねと、を有するフィルタ装置と、を備えるものである。
【0009】
第2の発明に従えば、ケーシングとハウジングとによって挟持されることによって板ばねがフィルタとハウジングによって圧縮される。これにより、ケーシングとハウジングとの間でフィルタを安定して固定することができる。また、アルミニウムより硬いステンレス鋼から成るハウジング側に板ばねを配置することによって、ケーシングが摩耗してコンタミが発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、部品点数を少なくすることができる。
【0011】
第2の発明によれば、ハウジングとの間でフィルタを安定して固定することができ、ケーシングが摩耗してコンタミが発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るフィルタ装置を備えるバルブ装置を示す断面図である。
図2図1のバルブ装置を分解して示す分解図である。
図3図1のバルブ装置の領域Xを拡大して示す拡大断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るフィルタ装置を備えるバルブ装置の一部分を拡大して示す拡大断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るフィルタ装置を備えるバルブ装置の一部分を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る第1乃至第3実施形態のバルブ装置1,1A,1B、及びそれに備わるフィルタ装置13,13A,13Bについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するバルブ装置1,1A,1B及びフィルタ装置13,13A,13Bは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0014】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態のバルブ装置1は、バルブ装置1内における作動流体の流れを制御する。例えば、バルブ装置1は、作動流体の流量、圧力、及び流れる方向の少なくとも1つを制御する。また、バルブ装置1によって流れが制御される作動流体は、ガスであり、本実施形態において作動流体は、水素ガスである。より詳細に説明すると、バルブ装置1は、ケーシング11と、ハウジング12と、フィルタ装置13とを備えている。
【0015】
<ケーシング>
ケーシング11は、図2に示すように第1流路22を有している。第1流路22は、作動流体が流れる。本実施形態において、第1流路22を流れる作動流体は、水素ガスである。但し、作動流体は、水素ガスに限定されず、他のガス、又は油及び水等の液体であってもよい。また、ケーシング11は、凹部21を更に有している。
【0016】
凹部21は、ケーシング11の外表面11aに形成されている。また、凹部21は、所定の軸線L1まわりに形成されており、所定方向の一例である軸線方向一方に開口している。ここで、軸線方向は、軸線L1に沿う方向である。第1流路22は、第1開口22aを有している。第1開口22aは、凹部21の底部分に形成されており、第1流路22は、第1開口22aを介して凹部21に繋がっている。また、第1流路22は、第1開口22aに近づくにつれて拡径している。
【0017】
また、ケーシング11内には、少なくとも1つの弁体(図示しない)が設けられている。弁体は、ケーシング11と共に弁を構成し、第1流路22を流れる水素ガスの流れを制御する。なお、弁としては、例えば減圧弁、流量制御弁、逆止弁、安全弁、及び手動弁等がある。但し、弁は、これらに限定されるものではない。
【0018】
更に、ケーシング11は、金属から成る。本実施形態において、ケーシング11は、水素脆化に対する耐性を有する金属から成り、例えばアルミニウムから成る。なお、ケーシング11は、アルミニウムに限定されず、ステンレス鋼であってもよい。
【0019】
<ハウジング>
ハウジング12は、第2流路24を有している。そして、ハウジング12は、第1流路22の第1開口22a及び第2流路24の第2開口24aの各々を互いに対向させるようにしてケーシング11に取り付けられている。これにより、第2流路24と第1流路22とが繋がり、第1流路22と第2流路24との間で水素ガスを流すことができる。更に詳細に説明すると、ハウジング12は、その軸線が軸線L1と一致する円筒状に形成されている。そして、ハウジング12は、フランジ25及び凸部23を更に有している。
【0020】
フランジ25は、ハウジング12の軸線方向中間部分に形成されている。更に詳細に説明すると、フランジ25は、軸線方向中間部分に周方向全周にわたって形成され、また半径方向に突出している。そして、凸部23は、ハウジング12においてフランジ25より軸線方向他方側の部分を成している。凸部23は、ハウジング12の軸線を軸線L1に一致させるように凹部21に挿入されている。そして、フランジ25に締結部材26(例えば、ボルト)が挿通され、締結部材26によってフランジ25がケーシング11に締結されている。このようにしてハウジング12は、ケーシング11に取り付けられている。
【0021】
第2流路24は、ハウジング12を貫通している。そして、第2流路24は、凸部23の端部23aに第2流路24の第2開口24aが形成されている。ここで、凸部23の端部23aは、ハウジング12における軸線方向他方側の端部である。より詳細に説明すると、第2流路24は、軸線L1に沿ってハウジング12に形成されている。そして、第2流路24は、第2開口24aを介して軸線方向一方に開口している。なお、本実施形態において、第2流路24は、第2開口24a付近において拡径している。また、ハウジング12は、本実施形態において入力口ハウジングであって、ハウジング12の軸線方向一方側の端部から第2流路24に水素ガスが導入される。
【0022】
更に、ハウジング12は、金属から成る。本実施形態において、ハウジング12は、水素脆化に対する耐性を有する金属から成り、例えばステンレス鋼から成る。なお、ハウジング12は、ステンレス鋼に限定されず、アルミニウムであってもよい。
【0023】
<フィルタ装置>
フィルタ装置13は、軸線方向両側部分がケーシング11とハウジング12に夫々面し、且つ第1開口22aと第2開口24aとの間に位置するようにケーシング11とハウジング12との間に配置される。そして、フィルタ装置13は、第1流路22と第2流路24との間で流れる水素ガスに含まれるコンタミを捕捉する。更に詳細に説明すると、フィルタ装置13は、図3に示すようにフィルタ31と、リテーナ32とを有している。
【0024】
<フィルタ>
フィルタ31は、軸線方向に厚みを有している。フィルタ31は、例えば板状に形成され、本実施形態において円板状に形成されている。そして、フィルタ31は、水素ガスに含まれるコンタミを捕捉する。より詳細に説明すると、フィルタ31は、第1開口22a及び第2開口24aの口径より大径に形成されている。フィルタ31は、ケーシング11とハウジング12との間に配置されている。そして、フィルタ31は、第2開口24aと第1開口22aとの間を流れる水素ガスがフィルタ31を通り抜けると、水素ガスに含まれるコンタミを捕捉する。
【0025】
<リテーナ>
リテーナ32は、内側においてフィルタ31を保持している。より詳細に説明すると、リテーナ32は、フィルタ31の外周縁部分を径方向外方及び軸線方向両側から覆うようにして内側にフィルタ31を保持している。そして、リテーナ32は、フィルタ31と共にケーシング11とハウジング12との間に配置される。また、リテーナ32の軸線方向の高さH(図2参照)は、ケーシング11とハウジング12の間に間隔h(図3参照)より大きく形成されている。そして、リテーナ32は、後で詳述する突起部35を軸線方向に弾性変形させることができる。これにより、リテーナ32は、ケーシング11とハウジング12との間に圧縮して配置することができる。これにより、リテーナ32は、ケーシング11とハウジング12とによって挟持され、ケーシング11とハウジング12との間でフィルタ31を固定する。また、リテーナ32は、挟持されることによってフィルタ31とケーシング11との間を封止する。これにより、フィルタ31とケーシング11との間をコンタミが通り抜けることを抑制することができる。更に、リテーナ32は、例えばアルミニウムと同質又はアルミニウムより硬質な材料から成る。本実施形態において、リテーナ32は、ステンレス鋼から成る。但し、リテーナ32は、ステンレス鋼から成るものに限定されず、アルミニウム及びベリリウム銅等であってもよい。更に詳細に説明すると、リテーナ32は、本体部34と、突起部35と、内側延伸部36と、を有している。
【0026】
<本体部>
本体部34は、フィルタ31の外周面に設けられている。そして、本体部34は、内側においてフィルタ31を保持する。より詳細に説明すると、本体部34は、フィルタ31の外周面全体を覆っている。本実施形態において、本体部34は、中空の円板状に構成されている。本体部34は、内孔がフィルタ31の外径と同径又はそれより大径に形成されている。なお、本実施形態において、本体部34の内孔は、フィルタ31の外径と同じに形成されている。そして、本体部34の中にフィルタ31が保持されている。
【0027】
<突起部>
板ばねの一例である突起部35は、本体部34から径方向内方に延び且つフィルタ31の軸方向一方側に配置される。また、突起部35は、軸方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されている。更に詳細に説明すると、突起部35は、本体部34において周方向全周にわたって形成されている。本実施形態において、突起部35は、本体部34の軸線方向他方側の開口端において周方向全周にわたって形成されている。そして、突起部35は、本体部34の軸線方向他方側の開口端から径方向内方に延在している。即ち、突起部35は、本実施形態において円環状に形成されており、水素ガスは、突起部35の内孔を介してリテーナ32内、即ちフィルタ31に導かれる。
【0028】
また、突起部35は、軸方向一方側に突出するように湾曲している。突起部35は、例えば断面円弧状に形成されている。そして、突起部35は、軸線方向他方側に弾性変形することができる。更に、突起部35は、頂部35aをハウジング12の凸部23の軸線方向他方側の端面(以下、単に「凸部23の端面」という)に当接している。そして、突起部35は、ハウジング12によって圧縮された状態でフィルタ31とハウジング12との間に介在している。
【0029】
<内側延伸部>
内側延伸部36は、本体部34から内側に延びている。そして、内側延伸部36は、フィルタ31の軸線方向他方側に設けられている。更に詳細に説明すると、内側延伸部36は、フィルタ31の軸線方向他方側の面における外周縁全体を覆っている。それ故、内側延伸部36は、フィルタ31の軸線方向他方側の面における外周縁全体を支えることができる。そして、内側延伸部36は、突起部35と共にフィルタ31を挟持している。より詳細に説明すると、内側延伸部36は、本体部34の軸線方向他方側の開口端において周方向全周にわたって形成されている。そして、内側延伸部36は、本体部34の軸線方向他方側の開口端から径方向内方に延在している。内側延伸部36は、本実施形態において円環状に形成されている。なお、内側延伸部36の開口は、本実施形態において第1開口22a及び第2開口24aと同程度の大きさに形成されている。これにより、水素ガスの圧力損失を抑制することができる。
【0030】
また、内側延伸部36は、ケーシング11の底面の形状に合わせて形成されている。例えば、ケーシング11の底面が平坦に形成されており、内側延伸部36の軸方向他方側の端面もまた平坦に形成されている。これにより、内側延伸部36がケーシング11の底面に面で接触する。そうすると、圧縮される突起部35の反力により内側延伸部36全体がケーシング11に押し付けられる。これにより、内側延伸部36とケーシング11との間が第1開口22aを囲うように封止され、それらの間をコンタミが通り抜けることを抑制できる。また、内側延伸部36がケーシング11と面で接触することにより、内側延伸部36がケーシング11を摩耗させてコンタミや異音を発生させることを抑制できる。
【0031】
<各構成の配置>
バルブ装置1では、一端部に内側延伸部36を有する有底筒状部材の内孔にフィルタ31が挿入される。そして、フィルタ31が内側延伸部36に当接するまで押し込まれている。更に、有底筒状部材の他端側部分が径方向内側に折り曲げられることによって突起部35が形成される。そうすると、リテーナ32が形成されると共にリテーナ32内にフィルタ31が保持される。これにより、フィルタ装置13が構成される。
【0032】
また、フィルタ装置13が図1に示すように凹部21に挿入されている。より詳細に説明すると、フィルタ装置13は、内側延伸部36が第1開口22aに向けて挿入されている。そして、内側延伸部36がケーシング11の底面に当たるまで押し込まれている。これにより、後で挿入されるハウジング12に向くように突起部35が凹部21内に配置される。更に、ケーシング11には、フィルタ装置13に被せるようにハウジング12が取り付けられる。
【0033】
より詳細に説明すると、ハウジング12が凸部23から凹部21に挿入されている。そして、ハウジング12は、フランジ25がケーシング11(より詳細には、外表面11a)に当接するまで押し込まれている。これにより、凸部23がリテーナ32の突起部35に当接し、更に凸部23によって突起部35が圧縮されている。そして、突起部35がケーシング11とハウジング12とによって挟持され、リテーナ32がケーシング11とハウジング12との間で固定される。これにより、ケーシング11とハウジング12においてフィルタ装置13を安定的に保持することができる。また、突起部35が圧縮されることによって、突起部35反力により内側延伸部36がケーシング11であって第2開口24aの周りに押し付けられる。これにより、リテーナ32とケーシング11との間において第2開口24aの周りが封止される。これにより、リテーナ32とケーシング11との間をコンタミが通り抜けることを抑制することができる。更に、フランジ25に挿通される締結部材26によってハウジング12がケーシング11に締結されている。
【0034】
このように構成されているバルブ装置1及びフィルタ装置13では、突起部35がばねとしての役割を果たすことがきる。即ち、リテーナ32にばねの機能を持たせることができる。これにより、部品点数を削減することができる。また、バルブ装置1及びフィルタ装置13では、内側延伸部36によってフィルタ31の軸線方向他方側の外周縁を支えることができる。これにより、ケーシング11内においてフィルタ31を安定して固定することができる。
【0035】
また、バルブ装置1及びフィルタ装置13では、本体部34がフィルタ31の外周面全体を覆い、また突起部35が本体部34において周方向全周にわたって形成されている。それ故、突起部35における周方向の付勢力の偏りを抑制することができる。これにより、ケーシング11とハウジング12との間でフィルタ装置13を安定的に保持することができる。
【0036】
更に、バルブ装置1及びフィルタ装置13では、突起部35がハウジング12に向けて配置されている。それ故、突起部35に起因するハウジング12の摩耗によってコンタミが発生しても、そのコンタミが第2流路24に流れることを抑制できる。また、アルミニウムより硬いステンレス鋼から成るハウジング12側に突起部35を配置することによって、ケーシング11が摩耗してコンタミが発生することを抑制することができる。
【0037】
[第2実施形態]
第2実施形態のバルブ装置1A及びフィルタ装置13Aは、第1実施形態のバルブ装置1及びフィルタ装置13と構成が類似している。従って、第2実施形態のバルブ装置1A及びフィルタ装置13Aの構成については、主に第1実施形態のバルブ装置1及びフィルタ装置13と異なる点が説明され、同一の構成については同一の符号を付して説明が省略される。なお、第3実施形態のバルブ装置1B及びフィルタ装置13Bについても同様である。
【0038】
バルブ装置1Aは、図4に示すように、ケーシング11と、ハウジング12と、フィルタ装置13Aとを備えている。また、フィルタ装置13Aは、フィルタ31と、リテーナ32Aを有している。リテーナ32Aは、本体部34と、突起部35Aと、内側延伸部36と、を有している。
【0039】
突起部35Aは、弾性部分35bと平坦部分35cとを有している、弾性部分35bは、第1実施形態の突起部35と同様に軸方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されている。そして、弾性部分35bは、例えば断面円弧状に形成されている。平坦部分35cは、弾性部分35bの内縁部分に一体的に形成され、また内縁部分から更に径方向内方に延在している。平坦部分35cは、圧縮された状態でフィルタ31の軸線方向他方側の面と面で接触するように平坦に形成されている。それ故、リテーナ32Aは、突起部35Aが圧縮された状態において、突起部35Aの内縁部分がフィルタ31に当たることがない。それ故、突起部35Aがフィルタ31に当たってフィルタ31が破損することが抑制できる。なお、突起部35Aの開口もまた、本実施形態において第1開口22a及び第2開口24aと同程度の大きさに形成されている。これにより、水素ガスの圧力損失を抑制することができる。
【0040】
その他、第2実施形態のバルブ装置1A及びフィルタ装置13Aは、第1実施形態のバルブ装置1及びフィルタ装置13と同様の作用効果を奏する。
【0041】
[第3実施形態]
第3実施形態のバルブ装置1Bは、図5に示すようにケーシング11と、ハウジング12と、フィルタ装置13Bとを備えている。フィルタ装置13Bは、フィルタ31と、リテーナ32Bを有している。リテーナ32Bは、本体部34と、突起部35Bと、内側延伸部36と、を有している。
【0042】
突起部35Bは、第1実施形態の突起部35と同様に軸方向一方側に突出し且つ弾性変形するように形成されている。他方、突起部35Bは、径方向内方に第1実施形態の突起部35より短尺に形成されている。本実施形態において、突起部35Bは、頂部35a付近まで延在している。それ故、突起部35Bは、圧縮された状態において、突起部35Bの内縁部分がフィルタ31から離れている。それ故、突起部35Bがフィルタ31に当たってフィルタ31を破損させること抑制できる。また、リテーナ32Bは、ハウジング12と同じくステンレス鋼から成るので、突起部35Bの内縁部分がハウジング12に当たっても摩耗によってコンタミが発生することを抑制できる。
【0043】
その他、第3実施形態のバルブ装置1B及びフィルタ装置13Bは、第1実施形態のバルブ装置1及びフィルタ装置13と同様の作用効果を奏する。
【0044】
[その他の実施形態について]
本実施形態のバルブ装置1,1A,1Bでは、リテーナ32,32A,32Bに代えて板ばねが用いられてもよい。リテーナの一例でもある板ばねは、フィルタ31とハウジング12との間に配置される。そして、板ばねは、フィルタ31を介してケーシング11とハウジング12とによって圧縮される。これにより、フィルタ31とハウジング12との間の間隔hの大きさに拘らず、ケーシング11とハウジング12との間においてフィルタ31が板ばねによって安定的に保持される。また、板ばねは、アルミニウムより硬いステンレス鋼から成るハウジング12側に配置されている。これにより、ケーシング11が摩耗してコンタミが発生することを抑制することができる。更に、板ばねによってフィルタ31をケーシング11に押し付けることができる。そうすると、ケーシング11とフィルタ31との間に流れ込むコンタミがケーシング側に流れることを抑制できる。
【0045】
また、本実施形態のバルブ装置1,1A,1Bでは、ハウジング12の一例として入力口ハウジングが挙げられているが、例えば、弁体が設けられるシート部材であってもよい。また、リテーナ32,32A,32Bもまた一例に過ぎず、本体部34はフィルタ31が保持できればよい。また、突起部35の形状も前述するような形状に限定されない。突起部35は、例えば本体部34の軸線方向一方側において等間隔をあけて複数形成されてもよく、弾性変形可能に形成されていればよい。また、リテーナ32,32A,32Bにおいて、内側延伸部36は必ずしも形成されている必要はない。また、内側延伸部36の形状もまた、前述する形状に限定されない。内側延伸部36は、例えば本体部34の軸線方向他方側において等間隔をあけて複数形成されてもよく、フィルタ31の軸線方向他方側に形成されていればよい。そして、内側延伸部36は、好ましくはフィルタ31を軸線方向他方側から支持可能であればよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A,1B バルブ装置
11 ケーシング
12 ハウジング
13,13A,13B フィルタ装置
22 第1流路
22a 第1開口
24 第2流路
24a 第2開口
31 フィルタ
32,32A,32B リテーナ
34 本体部
35,35A,35B 突起部
36 内側延伸部
図1
図2
図3
図4
図5