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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097895
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】発電素子及び発電素子を備えるセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/04 20060101AFI20230703BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01M6/04
H01M4/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214268
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100213997
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
【テーマコード(参考)】
5H024
5H050
【Fターム(参考)】
5H024AA14
5H024CC04
5H024CC07
5H024DD14
5H024FF01
5H024HH01
5H024HH13
5H050AA02
5H050BA02
5H050CA12
5H050CA14
5H050CB13
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】新たな機能を有する発電素子の提供。
【解決手段】本発明は、第一電極層と、第二電極層と、前記第一電極層と前記第二電極層との間に位置し、且つ、前記第一電極層と前記第二電極層とを媒介する電解液を含む、媒体層と、を備える、発電素子であって、前記第一電極層の前記媒体層とは反対側の表面の少なくとも一部に、気体と接触させるための露出部を備え、前記第一電極層が、活物質としてナノカーボン材料を含む、発電素子である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極層と、
第二電極層と、
前記第一電極層と前記第二電極層との間に位置し、且つ、前記第一電極層と前記第二電極層とを媒介する電解液を含む、媒体層と、
を備える、発電素子であって、
前記第一電極層の前記媒体層とは反対側の表面の少なくとも一部に、気体と接触させるための露出部を備え、
前記第一電極層が、活物質としてナノカーボン材料を含む、発電素子。
【請求項2】
前記電解液が水系電解液である、請求項1に記載の発電素子。
【請求項3】
前記第二電極層が、金属亜鉛を含む、請求項1又は2に記載の発電素子。
【請求項4】
前記媒体層が、セパレータを更に含む、請求項1~3の何れかに記載の発電素子。
【請求項5】
前記ナノカーボン材料が、カーボンナノチューブである、請求項1~4の何れかに記載の発電素子。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである、請求項5に記載の発電素子。
【請求項7】
前記第一電極層が、シート状構造体である、請求項1~6の何れかに記載の発電素子。
【請求項8】
前記シート状構造体が、バインダーを含まない、請求項7に記載の発電素子。
【請求項9】
前記第一電極層の厚みが、90μm以下である、請求項1~8の何れかに記載の発電素子。
【請求項10】
前記第一電極層の空隙率が、70%以上である、請求項1~9の何れかに記載の発電素子。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の発電素子と、
前記発電素子の出力電流値を検出する検出器と、
を備える、センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電素子及び発電素子を備えるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属のイオン化傾向の差異を利用して2つの金属板の間に電位差を発生させて電流を供給する電池等の発電素子が知られている。例えば、硫酸液の中に正極として銅板、負極として亜鉛板を入れると、正負両極間に電位差が発生する。かかる電池は、ボルタ電池として知られている。
【0003】
また、例えば特許文献1では、イオン化傾向に差を有する金属からなるプラス電極及びマイナス電極を水中に所定間隔をおいて浸漬し、これを発電素子としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3132910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電池等の発電素子には、出力の向上や、新たな用途の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ナノカーボン材料を用いて形成した電極層を備える発電素子において、当該電極層を周囲の気体と接触するように露出させたところ、電極層を露出させない場合と比較して電流値が変化することに気が付いた。そして、本発明者は、このように気体との接触により電流値が変化する発電素子を、例えば、所定のガスを感知可能なセンサのセンサ素子、発電量を調整可能な電池等として利用することに着想し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、第一電極層と、第二電極層と、前記第一電極層と前記第二電極層との間に位置し、且つ、前記第一電極層と前記第二電極層とを媒介する電解液を含む、媒体層と、を備える、発電素子であって、前記第一電極層の前記媒体層とは反対側の表面の少なくとも一部に、気体と接触させるための露出部を備え、前記第一電極層が、活物質としてナノカーボン材料を含む、発電素子である。
上記した発電素子は、新たな機能を有する発電素子として有用である。なお、本明細書において、「発電」とは、電気又は電流を発生させることを意味する。
【0008】
本発明の発電素子において、前記電解液は水系電解液であることが好ましい。
電解液が水系電解液であれば、発電素子の取り扱いが容易となる。
【0009】
本発明の発電素子において、前記第二電極層は、金属亜鉛を含むことが好ましい。
第二電極層が金属亜鉛を含めば、発電素子の電流値を向上できる。また、第二電極層が金属亜鉛を含めば、発電素子を容易に製造できる。
【0010】
本発明の発電素子において、前記媒体層は、セパレータを更に含むことが好ましい。
媒体層がセパレータを含めば、発電素子の電流値の低下を長時間抑制できる。また、媒体層がセパレータを含めば、発電素子のショートを抑制できる。
【0011】
本発明の発電素子において、前記ナノカーボン材料は、カーボンナノチューブであることが好ましい。
ナノカーボン材料がカーボンナノチューブであれば、発電素子の電流値を向上できる。
【0012】
本発明の発電素子において、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであれば、発電素子の電流値をより向上できる。
【0013】
本発明の発電素子において、前記第一電極層は、シート状構造体であることが好ましい。
第一電極層がシート状構造体であれば、発電素子を容易に製造できる。
【0014】
本発明の発電素子において、前記シート状構造体は、バインダーを含まないことが好ましい。
シート状構造体がバインダーを含まなければ、シート状構造体の内部抵抗を低減できる。
本明細書において、「バインダーを含まない」とは、質量分析クロマトグラフィー等の分析法を用いてバインダーの含有量を測定した際に、バインダー成分が検出されないことを意味する。
【0015】
本発明の発電素子において、前記第一電極層の厚みは、90μm以下であることが好ましい。
第一電極層の厚みが上記上限以下であれば、発電素子の電流値を向上できる。
【0016】
本発明の発電素子において、前記第一電極層の空隙率は、70%以上であることが好ましい。
第一電極層の空隙率が上記下限以上であれば、発電素子の電流値を向上できる。
なお、第一電極層の空隙率は、例えば、第一電極層の断面を集束イオンビーム(FIB)で加工し、その断面をエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)で観察し、得られたC元素の可視化像からSEM観察画像中のC元素の位置を特定し、視野全体におけるC元素の占有率(A)を算出して、下記式(1)により求めることができる。
空隙率(%)=100-A (1)
【0017】
また、この発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、本発明は、上記発電素子と、前記発電素子の出力電流値を検出する検出器と、を備える、センサである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、新たな機能を有する発電素子、及びこの発電素子を備えるセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の発電素子の一例を示す概略断面図である。
図2】実施例1で作製した発電素子の電流値の挙動を概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで本発明の発電素子は、以下で説明する露出部に接触する気体に応じて電流値を変化させることができるため、センサが備えるセンサ素子や、発電量を調整可能な電池として有用である。また、本発明の発電素子は、継続的に電流が発生しつつ、露出部に接触する気体に応じて電流値が変化するため、センサにおける電源とセンサ素子との両方の機能を有し得る。そのため、本発明の発電素子は、電源付きセンサに有利に用いることができる。
【0021】
(発電素子)
本発明の発電素子は、第一電極層と、第二電極層と、第一電極層と第二電極層との間に位置し、且つ、第一電極層と第二電極層とを媒介する電解液を含む、媒体層と、を備える。即ち、本発明の発電素子は、第一電極層と、媒体層と、第二電極層とをこの順に備える。そして、本発明の発電素子は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の少なくとも一部に気体と接触させるための露出部を備える。なお、本発明の発電素子は、両電極層が酸素ガスと非接触であっても、即ち、酸素ガスの不存在下であっても発電することができるものである。
ここで、第一電極層と第二電極層とは、互いに非接触である。「非接触」とは、第一電極層と第二電極層とが直接接触していない状態を意味する。
【0022】
本発明の発電素子は、各層同士を固定するために、第一電極層と、媒体層と、第二電極層とを収容する外装を備えてもよい。
例えば、図1に例示されるように、発電素子10は、第一電極層11と、媒体層13と、第二電極層12とをこの順に備え、これらの層が外装14,15に収容されていてもよい。ここで、図1において、外装14と外装15との間の接触部分は接着されている。このような構成とすることで、各層同士を十分に固定できる。また、図1に例示されるように、外装14には第一電極層11と対向する部分の一部に孔が形成されており、第一電極層11の媒体層13とは反対側の表面には、第一電極層11の一部が露出した露出部111が存在している。この露出部111は発電素子10の使用時において気体と接触する部分である。
なお、第一電極層11と外装14との間の接触部分、及び第二電極層12と外装15との間の接触部分は、接着されていても、接着されていなくてもよい。また、媒体層13は、電解液が漏れ出さないように、例えば、第一電極層11と、第二電極層12と、外装14,15とによって密閉されていてもよい。更に、図示しないが、発電素子10は、外装14,15の外側の配線との接続を容易にするために、第一電極層11及び第二電極層12とそれぞれ接触し、且つ、外装14,15の外側まで伸びる金属箔等を更に備えてもよい。このような金属箔等は、例えば、外装14と外装15との間を通って外側に出すことができる。
【0023】
図1に例示されるような外装を用いる以外に各層同士を固定する方法としては、例えば、両面テープ等を層の表面の一部に貼り付け、この層と他の層とを両面テープ等を介して貼り合わせて固定する方法等が挙げられる。このような固定方法であれば、本発明の発電素子は、第一電極層の媒体層とは反対側の全面を露出部とすることができる。即ち、第一電極層と、媒体層と、第二電極層とをこの順に積層した発電素子や、第一電極層と、媒体層と、第二電極層と、外装とをこの順に積層した発電素子を得ることができる。このような発電素子は、例えば、第一電極層と、後述するセパレータと、第二電極層と、任意の外装とを積層した積層体を得て、その後セパレータに電解液を染み込ませて媒体層とすることにより得られる。
【0024】
<第一電極層>
第一電極層は、活物質としてナノカーボン材料を含む。第一電極層が活物質としてナノカーボン材料を含めば、酸素ガスの不存在下でも発電素子は電流を発生させることができる。一実施形態において、第一電極層は正極として機能するものでもよい。即ち、第一電極層は正極層であってもよい。
【0025】
本発明の発電素子は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の少なくとも一部に気体と接触させるための露出部を備える。即ち、第一電極層の表面には、気体と接触させるための露出部が存在する。この露出部は、発電素子の使用時に気体と接触する部分である。そのため、発電素子の使用前において露出部は、気体と接触しないように被覆されていてもよい。
ここで、第一電極層は、ナノカーボン材料を含むことにより、ガス透過性に優れるものとなる。そのため、第一電極層の表面に存在する露出部が気体と接触すると、この気体は第一電極層を透過する。例えば、第一電極層が正極層であり、電解液として水系電解液(水を含む電解液)を用いた場合には、露出部に窒素ガスが接触して、窒素ガスが第一電極層を透過し、窒素ガスと水系電解液が接触しても、発電素子の使用時にはナノカーボン材料に起因する化学反応のみが起こり得る。その一方で、露出部に酸素ガスが接触して、酸素ガスが第一電極層を透過すると、水系電解液はナノカーボン材料と共に酸素ガスとも接触し、ナノカーボン材料に起因する化学反応と並行して下記式(2)で示される化学反応も起こり得る。即ち、ナノカーボン材料に加えて酸素ガスが活物質として機能する。
+2HO+4e→4OH (2)
その結果、窒素ガスの時よりも発電素子の電流値が上昇する。従って、本発明の発電素子は、継続的に電流が発生しつつ、露出部に接触する気体に応じて電流値が変化するため、新たな機能を有する発電素子として有用である。
なお、上記した例以外にも、例えば、接触させる気体が活物質となるように、気体と電解液とを適宜組み合わせること、或いは、ナノカーボン材料に起因する化学反応を阻害するような気体を第一電極層の露出部に接触させることによっても、本発明の発電素子において、継続的に電流を発生させつつ、露出部に接触する気体に応じて電流値を変化させることができる。
【0026】
発電素子における露出部の面積割合は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の全面積に対して、20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
第一電極層における発電素子の露出部の面積割合が上記下限以上であれば、電解液と接触する気体の量が増加し、例えば、接触する気体が酸素ガスを含む場合には、式(2)等の化学反応に供給される酸素量が増加するため、発電素子の電流値を向上できる。
第一電極層における発電素子の露出部の面積割合は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の全面積に対して、例えば100%以下である。ここで、第一電極層における発電素子の露出部の面積割合が、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の全面積に対して100%とは、第一電極層の媒体層とは反対側の全面が露出部となることを意味する。なお、例えば、図1に例示される発電素子の場合に、第一電極層と媒体層とを十分に固定できることから、第一電極層における発電素子の露出部の面積割合は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の全面積に対して90%以下であることが好ましい。
【0027】
発電素子の使用時に露出部と接触する気体としては、特に限定されないが、酸素ガス、窒素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、硫化水素ガス、酸化窒素ガス(NOx)等が挙げられる。該気体は、これらの混合ガス、例えば、空気等でもよい。露出部と接触する気体は、発電素子の電流値を向上できることから、酸素ガスを含むことが好ましい。
【0028】
ナノカーボン材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェンシート、カーボンナノホーン、ナノグラフェン等が挙げられる。これらの中でも、第一電極層の表面積が大きくなり、ナノカーボン材料に起因する化学反応等が第一電極層の界面において多く発生し、その結果、発電素子の電流値を向上できることから、カーボンナノチューブが好ましい。
【0029】
ここで、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する場合がある。)は、グラフェンシートが筒形に巻かれた構造を有するナノカーボン材料であり、その周壁の構成数から単層CNTと多層CNTとに大別される。CNTは、配合量が少量であっても比表面積が大きくなり、ナノカーボン材料に起因する化学反応等が第一電極層の界面においてより多く発生し、その結果、発電素子の電流値をより向上できることから、単層CNTであることが好ましい。
【0030】
CNTの平均直径は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
CNTの平均直径が上記下限以上であれば、第一電極層のガス透過性が向上し、例えば、接触する気体が酸素ガスを含む場合には、式(2)等の化学反応に供給される酸素量が増加するため、発電素子の電流値をより向上できる。一方、CNTの平均直径が上記上限以下であれば、第一電極層の表面積が大きくなり、ナノカーボン材料に起因する化学反応等が第一電極層の界面において多く発生し、その結果、発電素子の電流値をより向上できる。
【0031】
CNTは、平均直径(Av)と直径の標準偏差(3σ)とが、関係式:0.60>「3σ/Av」>0.20を満たすことが好ましい。ここで言う「平均直径(Av)」、「直径分布(3σ)」は、それぞれ透過型電子顕微鏡で無作為に選択したCNT100本の直径(外径)を測定した際の平均値、並びに標準偏差(σ)に3を乗じたものである。なお、本明細書における標準偏差は、標本標準偏差である。
上記関係式を満たすCNTを使用することで、電極層の耐屈曲性を向上できると共に、発電素子の電流値をより向上できる。
上記関係式を満たすCNTは、CNTの製造方法や製造条件を変更することや、異なる製法で得られた複数種類のCNTを組み合わせることにより作製できる。
【0032】
CNTのBET比表面積は、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることがより好ましく、1000m/g以上であることが更に好ましい。
CNTのBET比表面積が上記下限以上であれば、第一電極層の耐屈曲性を更に向上させることができると共に、発電素子の電流値をより向上できる。
CNTのBET比表面積は、例えば2600m/g以下であり、2000m/g以下でもよい。
本明細書において、CNTのBET比表面積は、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積である。なお、上記BET比表面積を有するCNTは、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)等を用いて製造できる。
【0033】
CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が、0.5以上であることが好ましく、5.0以下であることが好ましい。
上記バンドピークを有するCNTは、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)等を用いて製造できる。
【0034】
第一電極層におけるナノカーボン材料の含有割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが更により好ましい。
第一電極層におけるナノカーボン材料の含有割合が、上記下限以上であれば、発電素子の電流値を向上できる。
【0035】
第一電極層は、カーボンナノ材料と、カーボンナノ材料とは異なる他の材料とが複合化されたものとすることができる。カーボンナノ材料とは異なる他の材料としては、バインダー、イオン含有材料、或いは、金属及び/又は金属含有材料が挙げられる。
【0036】
バインダーとしては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂等の一般的な樹脂が挙げられる。
【0037】
イオン含有材料としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、ナノカーボン材料内に内在するイオン濃度、更には電荷密度を大きくすることができ、その結果、発電素子の電流値を向上できることから、アニオン系界面活性剤が好ましい。また、イオン含有材料がアニオン系界面活性剤であれば、イオン化ポテンシャルが変わり電位も大きくなることがある。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
アニオン系界面活性剤等のイオン含有材料の添加量は、ナノカーボン材料100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、300質量部以上であることがより好ましく、2000質量部以下であることが好ましく、1000質量部以下であることがより好ましい。
【0039】
金属及び/又は金属含有材料としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、白金、スズ、チタン、ステンレス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又は、その他上述の金属夫々の酸化物等から適宜選択して用いることができる。金属及び/又は金属含有材料を添加することにより、ナノカーボン材料の酸化還元電位を変えることが可能となり、ナノカーボン材料を含む電極同士であっても電位を形成することが可能である。
【0040】
金属及び/又は金属含有材料の添加量は、ナノカーボン材料100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、ナノカーボン材料100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
【0041】
第一電極層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、ナノカーボン材料と、溶媒と、任意で、上記したカーボンナノ材料とは異なる他の材料と、を混合して分散液を調製し、分散液から濾過等により溶媒を除去してシート状の第一電極層を形成する方法、上記分散液を調製し、分散液を基板上に塗布し、乾燥させてナノカーボン材料の塗膜状の第一電極層を形成する方法等が挙げられる。なお、分散液の塗布方法としては、特に限定されないが、スプレー、印刷、ディスペンサー等の方法が挙げられる。
第一電極層としては、取り扱いが容易であり、発電素子を容易に製造できることから、シート状構造体を用いることが好ましい。
【0042】
第一電極層がシート状構造体である場合、シート状構造体はバインダーを含まないことが好ましい。バインダーとして用いられる樹脂は内部抵抗を向上させ得るため、シート状構造体がバインダーを含まなければ、シート状構造体の内部抵抗を低減できる。
【0043】
ナノカーボン材料を分散させる溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン(NMP)等のアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0044】
第一電極層は、ガス透過性が向上できることから、多孔質性を有することが好ましい。ここで、第一電極層の空隙率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
第一電極層の空隙率が上記下限以上であれば、第一電極層のガス透過性が向上し、例えば、接触する気体が酸素ガスを含む場合には、式(2)等の化学反応に供給される酸素量が増加するため、発電素子の電流値を向上できる。
第一電極層の空隙率は、例えば95%以下であり、90%以下でもよい。
上記空隙率を有する第一電極層は、特に限定されないが、例えば、第一電極層がシート状構造体の場合には、分散液の濾過条件を調整することによって形成できる。
【0045】
第一電極層の厚みは、120μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが更により好ましい。
第一電極層の厚みが上記上限以下であれば、第一電極層のガス透過性が向上し、例えば、接触する気体が酸素ガスを含む場合には、式(2)等の化学反応に供給される酸素量が増加するため、発電素子の電流値を向上できる。
第一電極層の厚みは、例えば5μm以上であり、10μm以上でもよい。
【0046】
<第二電極層>
第二電極層は、上記第一電極層と共に用いた際に、酸素ガスの不存在下でも発電素子が電流を発生させるものとなれば特に限定されない。第一電極層が正極層である場合、第二電極層は負極として機能する、即ち、負極層となる。
【0047】
第二電極に含まれる材料としては、例えば、カーボン材料、バインダー、イオン含有材料、金属及び/又は金属含有材料等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して複合化してもよい。
バインダー、イオン含有材料、並びに金属及び/又は金属含有材料としては、上記したものが挙げられる。
【0048】
カーボン材料としては、特に制限されることなく、上記したナノカーボン材料、グラフェン、フラーレン、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、膨張黒鉛、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
第二電極層は、電流値を向上できることから、単体金属を含むことが好ましい。また、第二電極層は、電流値を向上でき、且つ、金属としては非常に柔らかく、加工が容易であり、その結果、発電素子を容易に製造できることから、金属亜鉛を含むことが特に好ましい。このような第二電極としては、亜鉛箔等を用いることができる。なお、第二電極層が金属亜鉛を含む場合、第二電極層では、下記式(3)で示される化学反応が起こり得る。
Zn+4OH→[Zn(OH)2-+2e (3)
【0050】
発電素子の使用前及び/又は使用時において、第二電極層の媒体層とは反対側の表面は、特に限定されないが、図1に例示されるように外装で全面が覆われていてもよく、また、その一部又は全部が気体と接触していても、溶媒に浸っていてもよい。
【0051】
一実施形態において、第二電極層は、第一電極層と同じ組成を有するものとすることができる。この場合、発電素子の使用時において、第二電極層の媒体層とは反対側の表面は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面と異なる状態である必要がある。ここで言う「異なる状態」としては、発電素子の使用時において、例えば、第二電極の媒体層とは反対側の表面が、図1に例示されるように外装で全面が覆われていている状態、或いは、溶媒に全面浸っている状態等が挙げられる。
【0052】
第二電極層の厚みは、例えば、5μm以上500μm以下である。
【0053】
<媒体層>
媒体層は電解液を含む。電解液としては、特に限定されないが、例えば、水系電解液が挙げられる。また、水系電解液としては、水、酸電解液、アルカリ電解液等が挙げられる。これらの中でも、発電素子の取り扱いが容易となることから、水が好ましい。
本明細書において、電解液として用いられる「水」とは、水道水、イオン交換水、蒸留水、純水等を意味する。このような水の電気伝導率は、例えば10mS/cm以下であり、1mS/cm以下であることが好ましく、500μS/cm以下であることがより好ましく、300μS/cm以下であることが更に好ましい。
【0054】
媒体層は、セパレータを更に含むことが好ましい。媒体層がセパレータを含めば、発電素子の電流値の低下を長時間抑制できる。また、媒体層がセパレータを含めば、第一電極層と第二電極層との間の距離を保つことができ、その結果、デンドライトの発生による発電素子のショートを抑制できる。
【0055】
セパレータは、多孔質性を有することが好ましい。セパレータが多孔質性を有すれば、電解液を良好に含侵でき、その結果、第一電極層と第二電極層との間に電解液を均一に分散できる。
【0056】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂を含む樹脂製の微多孔質膜又は不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート;紙;ポリマーゲル等を用いることができる。具体例を挙げると、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物或いは共重合体等の樹脂からなる微多孔質膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔質膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの又はその不織布;絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。
【0057】
一実施形態において、セパレータは、無機酸化物材料を含むことが好ましい。セパレータが無機酸化物材料を含めば、各電極層での化学反応によって発生した生成物を吸着でき、その結果、発電素子の電流値の低下を長時間抑制できる。
【0058】
無機酸化物材料としては、特に限定されないが、アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)、シリカ(酸化ケイ素)、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、吸着性能に優れることから、アルミナが好ましい。
【0059】
無機酸化物材料は繊維状構造体であることが好ましい。無機酸化物材料が繊維状構造体であれば、各電極層での化学反応によって発生した生成物をより吸着でき、その結果、発電素子の電流値の低下をより長時間抑制できる。また、無機酸化物材料が繊維状構造体であれば、セパレータに電解液を良好に含侵でき、その結果、第一電極層と第二電極層との間に電解液を均一に分散できる。無機酸化物材料が繊維状構造体のセパレータとしては、無機酸化物材料の繊維シートを用いることができる。
【0060】
媒体層の厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、1mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。
媒体層の厚みが上記下限以上であれば、デンドライトの発生による発電素子のショートを効果的に抑制できる。一方、媒体層の厚みが上記上限以下であれば、電極間において電子の授受が迅速に行われ、発電素子の電流値を向上できる。
なお、媒体層がセパレータに電解液を含侵させたものである場合、媒体層の厚みはセパレータの厚みと等しくてもよい。
【0061】
<外装>
外装としては、例えば、樹脂シート、樹脂テープ等を用いることができる。例えば、製品の包装等に一般的に用いられる樹脂シート、樹脂テープ等を用いてもよい。これらの外装に用いられる樹脂としては、例えば、ポリイミド等が挙げられる。
【0062】
(センサ)
本発明のセンサは、上記した発電素子と、発電素子の出力電流値を検出する検出器と、を備える。なお、発電素子の第一電極層と第二電極層とは、それぞれ別々の配線により検出器に接続されている。そのため、発電素子で発生した電流は、配線を経由して検出器へ送られる。
本発明の発電素子は、継続的に電流が発生しつつ、第一電極層の露出部に接触する気体に応じて電流値が変化するため、電源とセンサ素子との両方の機能を有し得る。そのため、本発明の発電素子を備えるセンサは、電源付きセンサとして有用である。
【0063】
<発電素子>
本発明のセンサが備える発電素子は、上記したため、ここでは説明を省略する。
【0064】
<検出器>
検出器では、発電素子の出力電流値を検出する。
ここで、本発明の発電素子は、露出部に接触する気体の種類に応じて電流値が変化するため、例えば、出力電流値を経時的に検出(記録)し、一定時間内での出力電流値の変化量や変化率等を計測及び判別することで、露出部に接触している気体の種類等が変化したことを判断できる。なお、この変化の判断は、検査者がマニュアルで行ってもよいし、コンピュータ等の演算装置を用いて行ってもよい。
また、例えば、所定の気体の出力電流値を濃度毎に予め測定し、濃度に対する出力電流値の関係を予め明らかにしておけば、混合ガス中に含まれる該気体の濃度を特定することもできる。なお、この濃度の特定は、検査者がマニュアルで行ってもよいし、コンピュータ等の演算装置を用いて行ってもよい。
【実施例0065】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
なお、実施例及び比較例において、各種の測定は以下の方法に従って行った。
【0066】
<空隙率の測定>
実施例及び比較例で作製したシート状構造体(第一電極層)の空隙率を、以下の手順で測定した。
まず、シート状構造体の断面を集束イオンビーム(FIB)で加工した。次いで、その断面をエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)で観察し、得られたC元素の可視化像からSEM観察画像中のC元素の位置を特定した。次いで、視野全体におけるC元素の占有率(A)を算出して、空隙率(%)を下記式(1)により求めた。
空隙率(%)=100-A (1)
【0067】
<電流値の測定>
実施例及び比較例で製造した発電素子を用いて、25℃において、以下の手順で窒素ガス(N)雰囲気下及び大気下(空気雰囲気下)での電流値を測定した。
具体的には、まず、窒素ガス雰囲気下で電流値の測定を開始し、測定開始から150秒後に窒素ガス雰囲気を空気雰囲気に切り替えた。空気雰囲気に切り替える直前の電流値を1回目の窒素ガス電流値として記録した。
次いで、空気雰囲気に切り替えてから150秒後に再度窒素ガス雰囲気に切り替えた。窒素ガス雰囲気に切り替える直前の電流値を1回目の空気電流値として記録した。
次いで、窒素ガス雰囲気に切り替えてから150秒後に再度空気雰囲気に切り替えた。空気雰囲気に切り替える直前の電流値を2回目の窒素ガス電流値として記録した。
次いで、空気雰囲気に切り替えてから150秒後の電流値を2回目の空気電流値として記録した。なお、図2は、実施例1で作製した発電素子の電流値の挙動を概略的に示すグラフである。
【0068】
(実施例1)
<シート状構造体の作製>
CNT(ゼオンテクノロジー株式会社製、ZEONANO(登録商標)、SG101、BET比表面積:1,000m/g以上)100部に、溶媒として20000部のエタノールを添加し、これを撹拌した。得られた分散液を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、商品名:T010A090C、口径:0.1μm、直径:90mm)を用いて吸引濾過を行った。メンブレンフィルター上に得られた濾物を1Lのエタノールで洗浄した。洗浄後の濾物を十分に室温で乾燥させた後、更に真空乾燥を用い、80℃で2時間乾燥させて、厚み120μmのCNTのシート状構造体を得た。
得られたシート状構造体について空隙率を測定した。結果を表1に示す。
シート状構造体を縦30mm×横10mmにカットし、以下の発電素子の製造に用いた。
【0069】
<発電素子の製造>
外装として縦40mm×横30mmのポリイミドシート、セパレータとして縦30mm×横20mm×厚み0.5mmのアルミナシート(株式会社巴川製作所製、アルミナ繊維ペーパー)、及び第二電極層として縦30mm×横10mm×厚み0.05mmの亜鉛箔を準備した。
まず、ポリイミドシート及び亜鉛箔の縦方向の上端を揃え、ポリイミドシート及び亜鉛箔の横方向の中心が重なるようにして、亜鉛箔をポリイミドシートの表面に両面テープを用いて固定した。なお、ポリイミドシートの縦方向の下端側には、幅10mmの余白部分(ポリイミドシートのみの部分)が残っていた。
次いで、亜鉛箔の上端から縦方向に5mmずらし、亜鉛箔及びアルミナシートの横方向の中心が重なるようにして、アルミナシートを亜鉛箔の表面に両面テープを用いて固定した。なお、ポリイミドシートの縦方向の下端側には、まだ幅5mmの余白部分(ポリイミドシートのみの部分)が残っていた。
次いで、長さ30mm×幅5mmのポリイミドテープを、幅5mmの余白部分にはみ出ないようにして2重に貼り付けて、亜鉛箔及びアルミナシートの厚みによる段差を軽減させた。
次いで、アルミナシートの上端から縦方向に5mm(即ち、亜鉛箔の上端から縦方向に10mm)ずらし、アルミナシート及びシート状構造体の横方向の中心が重なるようにして、シート状構造体をアルミナシートの表面に両面テープを用いて固定した。
次いで、スポイトを用いて、アルミナシートに電解液として水道水を含侵させた。
これにより、第一電極層(CNTのシート状構造体)と、媒体層(電解液が含侵したセパレータ)と、第二電極層(亜鉛箔)と、外装(ポリイミドシート)とがこの順に積層された発電素子を得た。なお、得られた発電素子における露出部の面積割合は、第一電極層の媒体層とは反対側の表面の全面積に対して、90%であった。
得られた発電素子について電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
(実施例2)
厚み90μmのシート状構造体を作製して、これを第一電極層として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。
【0071】
(実施例3)
厚み60μmのシート状構造体を作製して、これを第一電極層として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。
【0072】
(実施例4)
厚み30μmのシート状構造体を作製して、これを第一電極層として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。
【0073】
(比較例1)
シート状構造体のセパレータとは反対側の全表面に更にポリイミドテープを貼り付けたこと(即ち、第一電極層としてのシート状構造体に露出部が存在しないこと)以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。
【0074】
【表1】
【0075】
表1からも明らかなように、実施例1~4の発電素子は露出部を備えるため、露出部に接触させる気体の種類に応じて、電流値が変化していることがわかる。また、実施例1~4の発電素子は、酸素ガスを含む空気を接触させると、電流値が上昇していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、新たな機能を有する発電素子、及びこの発電素子を備えるセンサを提供できる。
【符号の説明】
【0077】
10:発電素子
11:第一電極層
111:露出部
12:第二電極層
13:媒体層
14,15:外装
図1
図2