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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097978
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】感熱記録材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/333 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B41M5/333 220
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214415
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一
(72)【発明者】
【氏名】森 康雄
(72)【発明者】
【氏名】安本 繭美
(72)【発明者】
【氏名】市村 健太
(72)【発明者】
【氏名】越 達朗
(72)【発明者】
【氏名】緑川 佳美
(72)【発明者】
【氏名】登坂 昌也
(72)【発明者】
【氏名】平井 健二
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB02
2H026BB24
2H026BB28
2H026BB39
(57)【要約】
【課題】クラフトリグニンを顕色剤として用いながらも画像部を形成するときに不快臭を感じにくい感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】
支持体と、支持体上に設けられた感熱発色層と、を備え、
感熱発色層が、(A)発色物質と、(B)ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下であるクラフトリグニンと、(C)特定の顕色剤と、を含む、感熱記録材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に設けられた感熱発色層と、を備え、
前記感熱発色層が、(A)発色物質と、(B)ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下であるクラフトリグニンと、(C)下記(C-1)群の化合物、下記(C-2)群の化合物、及び下記(C-3)群の化合物のうちの少なくとも一種の顕色剤と、を含む、感熱記録材料。
(C-1)群:スルホニルウレア基を有する下記一般式(I)で表される化合物
(C-2)群:スルホニルアミド基を有する下記一般式(II)で表される化合物
(C-3)群:4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、及び4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン
【化1】

[式中、R及びRは、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は、炭素数1~4のアルコキシ基を示し、n1及びn2は0~3の整数を示し、R及びRが、複数存在する場合には、R同士又はR同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【化2】

[式中、X及びXは、それぞれ独立に-O-又は-NH-を示し、Rは水素原子、又は-SO-Rを示し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、n3は0又は1を示し、n4は0~2の整数を示し、Rが、複数存在する場合には、R同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
前記感熱発色層において、前記(C)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の比((B)成分/(C)成分)は、質量比で、20/80~90/10である、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記顕色剤として、下記構造式(III)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【化3】
【請求項4】
前記顕色剤として、下記構造式(IV)~(VI)で表される化合物のうちの1種以上を含む、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【化4】

【化5】

【化6】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題や廃棄物問題の両観点から、生物と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源、エネルギー源としてバイオマスが注目されている。そのような中、植物又は植物由来の加工品等のバイオマスを利用する技術や、石油由来の化学品、樹脂製品等をバイオマスに転換する技術の開発が求められている。例えば、林産資源として、間伐材、建築廃材、製紙工場廃材等の木質系廃材などは、燃料として焼却される以外、その多くは廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護の観点から、それら廃材の有効活用、リサイクルが検討されている。
【0003】
一般的な木質の主要成分は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンである。そのうち、リグニンは、木質の約30%の割合で含まれており、地球上でセルロースに次いで多量に存在する天然有機化合物といわれている。リグニンは、芳香環を豊富に含み、ヒドロキシル基などの反応可能な官能基も有しているため、工業的な利用が期待されている。
【0004】
そのような中、下記の特許文献1には、感熱記録層を設けた感熱記録体において、電子受容性顕色剤として単離リグニンを含有する感熱記録体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-104274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この単離リグニンは、通常、前述したリグニンに化学変性を施すことにより得られる。単離リグニンとしては、その化学変性の違いにより、リグノスルホン酸(塩)、クラフトリグニン、ソーダリグニン、ソーダ-アントラキノンリグニン、オルガノソルブリグニン、爆砕リグニン、及び硫酸リグニンなどが存在する。
【0007】
その単離リグニンの中でも、クラフトリグニンは、芳香環を豊富に含み、ヒドロキシル基などの反応基を有しているため、感熱記録材料に使用される発色物質を発色させることに適している。そのため、環境に優しい顕色剤として感熱記録材料への応用が期待される。
【0008】
クラフトリグニンは、木材由来であることから環境に優しい。しかし、顕色剤としてクラフトリグニンを用いた感熱記録材料では、画像部を形成するために加熱すると、単離された状態のクラフトリグニンでは感じられない不快な臭気(以下、「不快臭」ともいう。)が発生することが、本発明者らの検討により明らかになった。
【0009】
本発明の一側面は、クラフトリグニンを顕色剤として用いながらも画像部を形成するときに不快臭を感じにくい感熱記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、画像部を形成するときに感じられる不快臭の原因が、クラフトリグニンに含まれる様々な成分のうち、ジメチルジスルフィドであることを特定した。そして、本発明者らは、クラフトリグニンと、水とを加熱し、ジメチルジスルフィドを水と共沸留去させることでクラフトリグニンを精製し、クラフトリグニンにおけるジメチルジスルフィドの含有量を特定の濃度以下とすることで、得られる感熱記録材料は、画像部を形成するときの不快臭が感じにくいものとなりうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の一側面は、支持体と、支持体上に設けられた感熱発色層と、を備え、感熱発色層が、(A)発色物質と、(B)ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下であるクラフトリグニンと、(C)下記(C-1)群の化合物、下記(C-2)群の化合物、及び下記(C-3)群の化合物のうちの少なくとも一種の顕色剤と、を含む、感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0012】
(C-1)群:スルホニルウレア基を有する下記一般式(I)で表される化合物
(C-2)群:スルホニルアミド基を有する下記一般式(II)で表される化合物
(C-3)群:4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、及び4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン
【0013】
【化1】

[式中、R及びRは、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は、炭素数1~4のアルコキシ基を示し、n1及びn2は0~3の整数を示し、R及びRが、複数存在する場合には、R同士又はR同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【0014】
【化2】

[式中、X及びXは、それぞれ独立に-O-又は-NH-を示し、Rは水素原子、又は-SO-Rを示し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、n3は0又は1を示し、n4は0~2の整数を示し、Rが、複数存在する場合には、R同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【0015】
上記感熱記録材料は、感熱発色層において、(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比((B)成分/(C)成分)は、質量比で、20/80~90/10であってよい。
【0016】
上記感熱記録材料は、顕色剤として、下記構造式(III)で表される化合物を含んでいてもよい。
【化3】
【0017】
上記感熱記録材料は、顕色剤として、下記構造式(IV)~(VI)で表される化合物のうちの1種以上を含んでいてもよい。
【化4】

【化5】

【化6】
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、クラフトリグニンを顕色剤として用いながらも画像部を形成するときに不快臭を感じにくい感熱記録材料を提供することができる。
【0019】
また、上記感熱記録材料は、アルコール及び水への保存性に優れる画像部を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本実施形態に係る感熱記録材料は、支持体と、支持体上に設けられた感熱発色層と、を備える。以下、感熱記録材料について詳述する。
【0022】
[支持体]
支持体としては、特に制限されないが、例えば、中性紙及び酸性紙等の紙、古紙パルプを用いた再生紙、合成紙、フィルム、不織布、並びに織布などを用いることができる。
【0023】
[感熱発色層]
感熱発色層は、(A)発色物質(以下、「(A)成分」ともいう)と、(B)ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下であるクラフトリグニン(以下、「(B)成分」ともいう)と、(C)下記(C-1)群の化合物、下記(C-2)群の化合物、及び下記(C-3)群の化合物のうちの少なくとも一種の顕色剤(以下、「(C)成分」ともいう)と、を含む。
【0024】
(C-1)群:スルホニルウレア基を有する下記一般式(I)で表される化合物
(C-2)群:スルホニルアミド基を有する下記一般式(II)で表される化合物
(C-3)群:4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、及び4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン
【0025】
【化7】

[式中、R及びRは、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は、炭素数1~4のアルコキシ基を示し、n1及びn2は0~3の整数を示し、R及びRが、複数存在する場合には、R同士又はR同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【0026】
【化8】

[式中、X及びXは、それぞれ独立に-O-又は-NH-を示し、Rは水素原子、又は-SO-Rを示し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、n3は0又は1を示し、n4は0~2の整数を示し、Rが、複数存在する場合には、R同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【0027】
<(A)成分>
(A)成分(発色物質)としては、無色又は淡色のロイコ染料を用いることができる。ロイコ染料としては、例えば、フルオラン誘導体、キナゾリン誘導体、フタリド誘導体、トリフェニルメタン誘導体及びフェノチアジン誘導体を挙げることができる。これらのロイコ染料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
これらのロイコ染料の中でも、フルオラン構造を有するロイコ染料は、発色性が良好であることから特に好適に用いることができる。フルオラン構造を有するロイコ染料としては、例えば、3-イソアミルエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-(4-メチルフェニル)-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジアミルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン及び3-シクロヘキシルメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランを挙げることができる。
【0029】
感熱発色層における発色物質の含有量は、目的とする感熱記録材料の特性に応じて適宜設定することができる。発色物質の含有量は、例えば、感熱発色層の全量を基準として、1~30質量%であってもよく、5~20質量%であってもよく、8~18質量%であってもよい。
【0030】
<(B)成分>
クラフトリグニンは、クラフト法によりリグニンを処理することで得られる単離リグニンである。クラフト法は、水酸化ナトリウム(NaOH)及び硫化ナトリウム(NaS)等によりリグニンを化学変性させて分離する方法である。
【0031】
ジメチルジスルフィドの含有量の測定方法は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて測定される。
【0032】
ジメチルジスルフィドの含有量は、本実施形態に係る感熱記録材料の不快な印字時臭気を抑制する観点から、2.5ppm以下であり、より不快な印字時臭気を一層抑制できることから、好ましく、2.0ppm以下であり、より好ましくは1.5ppm以下である。一方、ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppmを超える場合では、得られる感熱記録材料は、印字時に熱が加わると不快臭が感じられる。
【0033】
クラフトリグニンにおけるジメチルジスルフィドの含有量を上記範囲とすることで、画像部以外の部分における耐湿熱性及び耐光性の低下を抑制することができる。
【0034】
(B)成分として用いられるクラフトリグニンの製造方法は、ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下となる方法であれば、特に限定されない。このような方法としては、例えば、市販のクラフトリグニンと水とを加熱し、ジメチルジスルフィドを水と共沸留去させることで精製し、クラフトリグニンにおけるジメチルジスルフィドの含有量を2.5ppm以下とすることができる。
【0035】
<(C)成分>
((C-1)群の化合物)
上記式(I)中、R及びRは、得られる感熱記録材料の発色性及び画像部の保存性が一層向上する傾向にあることから、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0036】
上記式(I)中、n1及びn2は、0~2が好ましく。0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。上記範囲であれば、発色性及び画像部の保存性に一層優れる感熱記録材料を得ることができる。
【0037】
(C-1)群の化合物は、発色性及び画像部の保存性の観点から、下記構造式(III)で表される化合物(上記式(I)中、R及びRがメチル基でありn1及びn2が1である化合物)であることが特に好ましい。
【0038】
【化9】
【0039】
(C-1)群の化合物の製造方法は特に制限されない。そのような製造方法としては、例えば、特表2002-532441号公報に記載の方法が挙げられる。(C-1)群の化合物は、市販品を用いてもよい。
【0040】
そのような市販品としては、BASF社製のPF-201(商品名、構造式:上記構造式(III)、化合物名:N-[p-トルエンスルホニル]-N’-[3-p-トルエンスルホニルオキシフェニル]尿素)等が挙げられる。
【0041】
(C-1)群の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
((C-2)群の化合物)
上記式(II)中、R及びRは、得られる感熱記録材料の発色性及び画像部の保存性が一層向上することから、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0043】
上記式(II)中、n3及びn4は、0~2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。上記範囲であれば、発色性及び画像部の保存性に一層優れる感熱記録材料を得ることができる。
【0044】
(C-2)群の化合物は、発色性及び画像部の保存性の観点から、下記構造式(IV)~(VI)で表される化合物であることが好ましい。
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
(C-2)群の化合物の製造方法は特に制限されない。そのような製造方法としては、例えば、国際公開第2014/080615号に記載の方法等が挙げられる。(C-2)群の化合物は、市販品を用いてもよい。
【0049】
(C-2)群の化合物の市販品としては、日本曹達株式会社製のNKK-1304(商品名、構造式:上記構造式(IV)、化合物名:N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド)、日本化薬株式会社製のTG-MD(商品名、構造式:上記構造式(V)、推定される化合物名:N-[4-[[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]フェニル]―N’-フェニルウレア)が挙げられる。
【0050】
(C-2)群の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
((C-3)群の化合物)
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン及び、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンは、それぞれ、下記構造式(VII)~(XII)で表される。
【0052】
【化13】
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】
【化17】
【0057】
【化18】
【0058】
(C-3)群の化合物としては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、BP-S/FF-1(商品名、構造式:上記構造式(VII)、化合物名:4,4’―ジヒドロキシジフェニルスルホン)、BPS-24C(商品名、構造式:上記構造式(VIII)、化合物名:2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン)、BPS-33AC(商品名、構造式:構造式(IX)、化合物名:ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン)、BPS-MAE(商品名、構造式:上記構造式(XI)、化合物名:4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン)、BP-S/MA-3(商品名、構造式:上記構造式(XII)、化合物名:4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン)(以上、いずれも日華化学株式会社製)、及びD-8(商品名、構造式:上記構造式(X)、化合物名:4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、日本曹達株式会社製)が挙げられる。
【0059】
(C-3)群の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
(感熱発色層における顕色剤配合量)
感熱発色層における(B)成分及び(C)成分の含有量の合計は、十分な発色性を有する感熱記録材料を得る観点から、発色物質100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、50~400質量部であることがより好ましく、100~300質量部であることがさらに好ましく、140~210質量部であることが特に好ましい。
【0061】
感熱発色層における(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比((B)成分/(C)成分)は、質量比で、発色性と画像部の保存性が一層向上することから、20/80~90/10が好ましく、40/60~85/15がより好ましく、60/40~80/20が更に好ましい。上記範囲内であることで、十分な発色性と優れた画像部の保存性を有した感熱記録材料を得ることができる。
【0062】
(その他顕色剤)
感熱発色層は、本実施形態に係る感熱記録材料の効果を損なわない範囲において、(B)成分及び(C)成分以外の顕色剤を更に含有することができる。そのような顕色剤として、従来公知のものを用いることができる。
【0063】
このような顕色剤としては、例えば、特表2020-520833号公報、特開2020-193153号公報、特開2006-104219号公報、特開平8-059603号公報、特開平10-029969号公報、特開2008-303225号公報、及び特開2007-302601号公報に記載の顕色剤を挙げることができる。
【0064】
(増感剤)
感熱発色層は、増感剤を更に含有していてもよい。増感剤としては、特に制限はないが、融点が90~140℃の増感剤であることが好ましい。このような増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、1,2-ビスフェノキシエタン、1,2-ビス(m-トリルオキシ)エタン、2-ベンジルオキシナフタレンなどのエーテル類及びシュウ酸ジ(4-メチルベンジル)等のエステル類、N-フェニルスルホンアミド等の上記一般式(II)で表されるスルホニルアミド基を有する化合物以外のスルホンアミド類、トルエンスルホン酸ナフチルエステル等のスルホン酸エステル類、m-テルフェニル及びp-ベンジルビフェニル等の芳香族炭化水素化合物、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、高級直鎖グリコール類、高級ケトン類、ジフェニルスルホン、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類並びにフタル酸ジエステル類などを挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
(画像安定剤)
感熱発色層は、画像安定剤を更に含有していてもよい。画像安定剤としては、特に制限はないが、例えば、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン及び市販品のトミラック214(商品名、三菱ケミカル株式会社製)を挙げることができる。これらの画像安定剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
(填料)
感熱発色層は、必要に応じて、填料を更に含有していてもよい。填料としては、例えば、無機充填剤及び有機充填剤を挙げることができる。
【0067】
(添加剤)
感熱発色層は、必要に応じて、更に他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤及び蛍光染料を挙げることができる。
【0068】
(感熱記録材料の製造方法)
本実施形態に係る感熱記録材料の製造方法は、特に制限されず、例えば、(A)~(C)成分及び必要に応じて添加するその他の成分を、適当な結合剤と共に、水性媒体などの媒体中に分散させて感熱発色層の塗工液を調製し、この塗工液を支持体上に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
【0069】
(A)~(C)成分を含有する分散液は、(A)成分を含有する分散液と、(B)成分及び(C)成分を含有する分散液とをそれぞれ別々に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することができる。各分散液中において、(A)~(C)成分は、微粒子化して分散していることが望ましい。このような分散液の調製には、例えば、サンドミル及びボールミルを用いることができる。
【0070】
結合剤としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、ゼラチン、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン-マレイン酸共重合物、スチレン-ブタジエン共重合物、ポリアミド樹脂、石油樹脂及びテルペン樹脂を挙げることができる。これらの結合剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
(感熱記録材料の構成)
本実施形態の感熱記録材料においては、必要に応じて、例えば、無機充填剤及び有機充填剤のうち少なくとも一方を含む下塗り層を設けることができる。さらに、必要に応じて、感熱発色層の上に、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂、スチレン-ブタジエン共重合物などの水溶性エマルジョン樹脂、非水溶性樹脂、又は、それらの樹脂に填料、イソシアネート類、不飽和化合物などのモノマーやオリゴマー、架橋剤を加えた材料から形成されるオーバーコート層を設けることができる。
【0072】
本実施形態の感熱記録材料は、色調の異なる発色物質が含まれる発色層を多層形成した感熱多色記録材料とすることができる。
【実施例0073】
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
[クラフトリグニンの精製]
(精製例1)
クラフトリグニンと水とを加熱し、ジメチルジスルフィドを水と共沸留去させる方法により精製した。具体的には、まず、クラフトリグニン(メドウエストバコ社製、インジュリンAT)160g及び蒸留水640gを1Lセパラブルフラスコに投入し、処理液を得た。セパラブルフラスコには、留出液の冷却装置及び窒素を混合物中に導入できる窒素導入菅を設置した。セパラブルフラスコは、オイルバス上に設置した。処理液は、オイルバスで加熱することで昇温し、水の留出が始まってから2時間が経過するまで加熱した。オイルバスの温度は、120℃とした。加熱中は、窒素を流量20mL/分にて処理液中に導入しつつ、処理液を撹拌混合した。2時間の経過後、処理液を50℃まで空冷した。次いで、空冷した処理液をブフナーロートを用いて吸引濾過し、濾物を得た。得られた濾物を取り出し、乾燥することで精製したクラフトリグニンを得た。乾燥は、パーフェクトオーブンPHH-200(商品名、エスペック株式会社製)を用いて行い、温度は60℃、時間は18時間とした。
【0075】
(精製例2及び3)
混合物の留出が始まってからの混合物の加熱時間、窒素ガス流量及びオイルバスの温度を表1に示す値としたこと以外は、実施例1と同様にして精製したクラフトリグニンを得た。
【0076】
[未精製クラフトリグニンの準備]
未精製クラフトリグニンとしてクラフトリグニン(メドウエストバコ社製、インジュリンAT)を準備した。
【0077】
[ジメチルジスルフィドの含有量の測定方法]
(検量線の作成)
電子天秤(sartorius A200S、sartorius社製)を用いて、標準物質としてジメチルジスルフィド(純度:99.0%、富士写真フイルム和光純薬株式会社製)を精秤し、エタノール(純度:99.5%、富士写真フイルム和光純薬株式会社製)にて順次希釈することで、濃度が、0.200mg/g、0.100mg/g、0.020mg/g及び0.004mg/gの標準溶液を作製した。得られた標準溶液を、22mLバイアル瓶に0.01g秤量し、ヘッドスペースGC―MS測定を行った。測定により得られたジメチルジスルフィドに対応する保持時間11.5~11.6分のピークの積分値から、検量線を作成した。
【0078】
(サンプルの測定)
各精製例で得られたクラフトリグニン、又は未精製クラフトリグニン0.4gを精秤し、22mLバイアル瓶に投入した。そして、標準溶液を作製する際に使用したエタノール0.01gをバイアル瓶に加えた上でバイアル瓶を密閉し、標準溶液の測定と同様にヘッドスペースGC-MS測定を行った。測定により得られたジメチルジスルフィドに対応する保持時間11.5~11.6分のピークの積分値と、検量線とを用いて、ジメチルジスルフィドの含有量を算出した。結果を表1に示した。
【0079】
[ヘッドスペースGC―MSでの測定条件の詳細]
(測定条件)
装置:Agilent7697A-7890A/5975C(ヘッドスペース-GC/MS)
カラム:製品名VF-1301ms(6%シアノプロピルフェニル-94%ジメチルポリシロキサン)
ヘッドスペースバイアル容量:22mL
ヘッドスペースオーブン平衡化温度:100°C
ループ温度:120°C
トランスファーライン温度:180°C
ヘッドスペース平衡化時間:20分間
サイクル時間:32分間
GC注入口温度:250°C
スプリット比:30:1
GC初期温度:40°C(3分間保持)
GC昇温速度:毎分10°C
GC最終温度:220°C(6分間保持)
MSイオン源温度:230°C
MS四重極温度:150°C
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:1mL/min
取り込みMS範囲:30-350
【0080】
【表1】
【0081】
[感熱記録材料の作製]
(1)アンダー層形成用の塗工液
焼成カオリン 20.0質量部
10質量%ポリビニルアルコール水溶液 30.0質量部
分散剤(アセチレングリコール系非イオン界面活性剤) 0.3質量部
結合剤(ポリ酢酸ビニル乳化液固形分40質量%) 18.0質量部
蒸留水 31.7質量部
計100.0質量部
【0082】
上記組成よりなる混合物を、ホモディスパーを用いて混合攪拌し、アンダー層形成用の塗工液を調製した。
【0083】
(2)感熱発色層形成用の塗工液
下記に示す組成(質量部)を有するA液(第一の顕色剤分散液)、B液(第二の顕色剤分散液)及びC液(発色物質分散液)をそれぞれ調製した。A液~C液の調製は、サンドミルを用いて平均粒子径が約0.5μmになるまで湿式分散を行った。
【0084】
A液(第一の顕色剤分散液)
表2に記載のクラフトリグニン 20質量部
10質量%ポリビニルアルコール水溶液 20質量部
蒸留水 60質量部
計100質量部
【0085】
B液(第二の顕色剤分散液)
表3に記載の化合物 20質量部
10質量%ポリビニルアルコール水溶液 20質量部
蒸留水 60質量部
計100質量部
【0086】
C液(発色物質分散液)
3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン 20質量部
10質量%ポリビニルアルコール水溶液 20質量部
蒸留水 60質量部
計100質量部
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
なお、B-4液に配合した構造式(VI)で表される化合物は、国際公開第2019/044462号に記載された方法で合成した。
【0090】
(実施例1)
下記の組成(質量部)よりなる混合物をホモディスパーにて攪拌混合し、感熱発色層形成用の塗工液とした。
【0091】
A液(A-1液) 22.5質量部
B液(B-1液) 7.5質量部
C液(発色物質分散液) 15.0質量部
焼成カオリン 9.0質量部
2質量%ポリビニルアルコール水溶液 残部
計100.0質量部
【0092】
坪量65g/mの上質紙に、アンダー層形成用の塗工液をWet塗布量が約23g/mになるようにバーコーターにて塗布し、風乾し、カレンダー処理を行い、アンダー層が設けられた支持体を作製した。その後、支持体のアンダー層が設けられた面に対して、感熱発色層形成用の塗工液をWet塗布量が約22g/mになるように塗布し、風乾し、カレンダー処理を行って感熱発色層を形成し、感熱記録材料を作製した。
【0093】
(実施例2~22及び比較例1~22)
感熱発色層形成用の塗布液に配合するA液及びB液の種類と配合量(質量部)とを表4~10に示すとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料をそれぞれ作製した。
【0094】
[感熱記録材料の評価]
各実施例及び比較例において作製した感熱記録材料の評価は、次の方法により行った。
【0095】
<画像部の形成時の臭気の判定>
感熱紙印字評価試験装置(商品名:「TH-M2/PS」、オオクラエンジニアリング株式会社製)を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msにて感熱記録材料を発色させ画像部を形成した。装置から取り出した直後の感熱記録材料の画像部について、感熱記録材料を鼻から約10cmの距離まで近づけ、臭気を以下の臭気の判定基準に従って官能評価を実施した。評価者6名の各判定結果の数値の平均値を総合判定結果とした。結果を表4~10に示した。
【0096】
(臭気の判定基準)
5:無臭又はほとんど臭いを感じない。
4:わずかに臭いを感じるが、不快臭とは感じない。
3:わずかに不快臭を感じる。
2:不快臭を感じる。
1:かなり強い不快臭を感じる。
(総合判定結果の基準)
A:評価者6名の各判定結果の数値の平均値が5.0
B:評価者6名の各判定結果の数値の平均値が4.0以上5.0未満
C:評価者6名の各判定結果の数値の平均値が3.0以上4.0未満
D:評価者6名の各判定結果の数値の平均値が2.0以上3.0未満
E:評価者6名の各判定結果の数値の平均値が1.0以上2.0未満
【0097】
<発色性>
感熱紙印字評価試験装置(商品名:「TH-M2/PS」、オオクラエンジニアリング株式会社製)を用いて、パルス巾3msにて、0.07mJ/dotごとに印字エネルギーを高めて発色を行い、画像部を形成した。形成された画像部の色濃度を、マクベス濃度計(商品名:「RD-918」、マクベス社製)にて測定した。数値が小さいほど画像が薄く、数値が大きくなるほど濃い画像であることを示す。0.42mj/dotにて発色した場合の画像部の色濃度を、下記判定基準により判定を行った。結果を表4~10に示した。
【0098】
(判定基準)
A:1.20以上
B:1.00以上1.20未満
C:0.80以上1.00未満
D:0.60以上0.80未満
E:0.60未満
【0099】
<耐アルコール性>
感熱紙印字評価試験装置(商品名:「TH-M2/PS」、オオクラエンジニアリング株式会社製)を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msにて感熱記録材料を発色させ画像部を形成した。形成した画像部の色濃度をマクベス濃度計(商品名「RD-918」、マクベス社製)にて測定した。次いで、室温(20℃)のエタノール25容量部と蒸留水75容量部との混合液に感熱記録材料を浸して3時間放置した。この後、感熱記録材料を混合液から引き上げ、感熱記録材料の表面を濾紙で押さえながら自然乾燥した。乾燥後の感熱記録材料の画像部の色濃度をマクベス濃度計にて測定した。下記式(1)に基づき残存率(%)を算出し、残存率を下記判定基準に沿って判定した。結果を表4~10に示した。
残存率(%)=(混合液に浸漬した後の色濃度/混合液に浸漬する前の色濃度)×100)・・・式(1)
【0100】
(判定基準)
A:90%以上
B:70%以上90%未満
C:50%以上70%未満
D:30%以上50%未満
E:30%未満
【0101】
<耐水性>
感熱紙印字評価試験装置(商品名:「TH-M2/PS」、オオクラエンジニアリング株式会社製)を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msにて感熱記録材料を発色させ画像部を形成した。形成した画像部の色濃度をマクベス濃度計(商品名「RD-918」、マクベス社製)にて測定した。次いで、室温(20℃)の蒸留水に感熱記録材料を浸して24時間放置した。この後、感熱記録材料を蒸留水から引き上げ、感熱記録材料の表面を濾紙で押さえながら自然乾燥した。乾燥後の感熱記録材料の画像部の色濃度をマクベス濃度計にて測定した。下記式(2)に基づき残存率(%)を算出し、残存率を下記判定基準に沿って判定した。結果を表4~10に示した。
残存率(%)=(蒸留水に浸漬した後の色濃度/蒸留水に浸漬する前の色濃度)×100・・・式(2)
【0102】
(判定基準)
A:90%以上
B:85%以上90%未満
C:80%以上85%未満
D:75%以上80%未満
E:75%未満
【0103】
<非画像部地色の耐湿熱性>
作製した感熱記録体を、40℃、90%RH環境条件下で24時間静置した。感熱記録体の非画像部(白紙部)のYellow値濃度をマクベス濃度計(商品名「RD-914」、アンバーフィルター使用)で測定した。Yellow値濃度を下記判定基準に沿って判定した。結果を表4~10に示した。
【0104】
(判定基準)
A:0.1未満
B:0.1以上0.4未満
C:0.4以上0.5未満
D:0.5以上0.6未満
E:0.6以上
【0105】
<非画像部地色の耐光性>
作製した感熱記録体について、キセノンフェードメーター(ATLAS社製、商品名「Ci3000F」)を用いて照射強度67W/mで6時間照射処理をした。照射処理後の感熱記録材料の非画像部(白紙部)のYellow値濃度をマクベス濃度計(商品名「RD-914」、アンバーフィルター使用)で測定した。Yellow値濃度を下記判定基準に沿って判定した。結果を表4~10に示した。
【0106】
(判定基準)
A:0.2未満
B:0.2以上0.4未満
C:0.4以上0.5未満
D:0.5以上0.6未満
E:0.6以上
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
【表7】
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に設けられた感熱発色層と、を備え、
前記感熱発色層が、(A)発色物質と、(B)ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm以下であるクラフトリグニンと、(C)下記(C-1)群の化合物、下記(C-2)群の化合物、及び下記(C-3)群の化合物のうちの少なくとも一種の顕色剤と、を含む、感熱記録材料。
(C-1)群:スルホニルウレア基を有する下記一般式(I)で表される化合物
(C-2)群:スルホニルアミド基を有する下記一般式(II)で表される化合物(但し、下記構造式(V)で表される化合物を除く。)
(C-3)群:4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、及び4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン
【化1】
[式中、R及びRは、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、又は、炭素数1~4のアルコキシ基を示し、n1及びn2は0~3の整数を示し、R及びRが、複数存在する場合には、R同士又はR同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、X及びXは、それぞれ独立に-O-又は-NH-を示し、Rは水素原子、又は-SO-Rを示し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、n3は0又は1を示し、n4は0~2の整数を示し、Rが、複数存在する場合には、R同士は同一であっても異なっていてもよい。]
【化3】
【請求項2】
前記感熱発色層において、前記(C)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の比((B)成分/(C)成分)は、質量比で、20/80~90/10である、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記顕色剤として、下記構造式(III)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【化4】
【請求項4】
前記顕色剤として、下記構造式(IV)及び(VI)で表される化合物のうちの1種以上を含む、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【化5】
【化6】
【請求項5】
請求項1又は2に記載の感熱記録材料の製造方法であって、
前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含む塗工液を前記支持体上に塗布して乾燥することで前記感熱発色層を形成する工程を備える、製造方法。
【請求項6】
前記(B)成分が、ジメチルジスルフィドの含有量が2.5ppm超であるクラフトリグニンと水とを共沸してジメチルジスルフィルドを留去することで得られたものである、請求項5に記載の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
【表3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
(実施例2~6、9~22及び比較例1~4、7~22)
感熱発色層形成用の塗布液に配合するA液及びB液の種類と配合量(質量部)とを表4~10に示すとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料をそれぞれ作製した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
【表4】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
【表5】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
【表6】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
【表7】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
【表8】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
【表9】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
【表10】