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特開2023-97987スクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法
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  • 特開-スクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097987
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】スクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/24 20060101AFI20230703BHJP
   B41F 15/02 20060101ALI20230703BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20230703BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20230703BHJP
【FI】
B41N1/24
B41F15/02 A
B41F15/08 303E
H01L31/04 182
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214429
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】古牧 周
(72)【発明者】
【氏名】吉河 訓太
【テーマコード(参考)】
2C035
2H114
5F151
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA24
2C035FB23
2C035FD01
2C035FD43
2C035FD44
2C035FD46
2C035FD47
2H114AB04
2H114AB09
2H114AB11
2H114DA04
2H114DA56
2H114DA61
2H114EA02
5F151CB21
5F151CB27
5F151DA10
5F151FA02
5F151FA06
(57)【要約】
【課題】スクリーンの目詰まりを抑制できるスクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係るスクリーン印刷版10は、インクが通過可能なスクリーン11と、前記スクリーン11を支持し、印刷領域に形成される印刷開口13及び前記印刷領域の外側に形成されるトラップ開口14を有する乳剤12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが通過可能なスクリーンと、
前記スクリーンを支持し、印刷領域に形成される印刷開口及び前記印刷領域の外側に形成されるトラップ開口を有する乳剤と、
を備える、スクリーン印刷版。
【請求項2】
前記トラップ開口は、前記印刷領域の第1方向一方側に、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記トラップ開口の前記第2方向の長さは前記印刷開口の前記第2方向の長さ以上である、請求項1に記載のスクリーン印刷版。
【請求項3】
前記乳剤の前記トラップ開口の周囲における厚みは、前記印刷開口の周囲における厚みよりも大きい請求項1に記載のスクリーン印刷版。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のスクリーン印刷版と、
前記スクリーン印刷版を介して被印刷物に前記インクを擦り付けるスキージと、
を備え、
前記スキージは、前記印刷開口を通過した後に前記トラップ開口を通過する方向に前記インクを擦り付ける、スクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記スクリーン印刷版の上に、前記スキージと反対方向に前記インクを塗り広げるスクレーパをさらに備える請求項4に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載のスクリーン印刷版を用いて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷方法。
【請求項7】
請求項6に記載のスクリーン印刷方法により、太陽電池基材又は太陽電池中間製品を前記被印刷物とする印刷を行う工程を備える太陽電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の基板にパターニングするために印刷技術が用いられている。例として、太陽電池の製造において、電極パターンを導電性ペーストのスクリーン印刷によって形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、太陽電池の半導体層、電極等のパターニングのためのレジストパターンをスクリーン印刷によって形成することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
このような用途に用いられる導電性ペースト及び印刷レジストは、比較的多くのフィラーを含み、中には印刷版のスクリーンの目開きよりも大きい粗粒や凝集物を含む場合がある。そこで、特許文献1には、スクリーン印刷版の開口パターンの上流側に、例えば通常の大きさの粒子を通過させるスクリーン材により形成され、印刷版の開口を塞ぐような導電性ペーストの粗粒を捕獲する捕獲部を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-14960号公報
【特許文献2】国際公開第2020/138185号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、十分な量の導電性ペースト等を通過させるために捕獲部のスクリーンの目開き(開口径)を小さくすることが難しく、印刷版のスクリーンの目開きと比較してかなり大きい粗粒しか捕獲できない。フィラーの凝集は徐々に進行するため、スクリーンの目開きよりも僅かに大きくなった凝集物がスクリーンに目詰まりを生じさせる場合があるが、このような大きさの粒子は、特許文献1に記載の構成では取り除くことができない。
【0006】
本発明は、スクリーンの目詰まりを抑制できるスクリーン印刷版、スクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法及び太陽電池製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るスクリーン印刷版は、インクが通過可能なスクリーンと、前記スクリーンを支持し、印刷領域に形成される印刷開口及び前記印刷領域の外側に形成されるトラップ開口を有する乳剤と、を備える。
【0008】
上述のスクリーン印刷版において、前記トラップ開口は、前記印刷領域の第1方向一方側に、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、前記トラップ開口の前記第2方向の長さは前記印刷開口の前記第2方向の長さ以上であってもよい。
【0009】
上述のスクリーン印刷版において、前記乳剤の前記トラップ開口の周囲における厚みは、前記印刷開口の周囲における厚みよりも大きくてもよい。
【0010】
本発明の別の態様に係るスクリーン印刷装置は、上述のスクリーン印刷版と、前記スクリーン印刷版を介して被印刷物に前記インクを擦り付けるスキージと、を備え、前記スキージは、前記印刷開口を通過した後に前記トラップ開口を通過する方向に前記インクを擦り付ける。
【0011】
上述のスクリーン印刷装置は、前記スクリーン印刷版の上に、前記スキージと反対方向に前記インクを塗り広げるスクレーパをさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の別の態様に係るスクリーン印刷方法は、上述のスクリーン印刷版を用いて被印刷物に印刷を行う。
【0013】
本発明の別の態様に係る太陽電池製造方法は、上述のスクリーン印刷方法により、太陽電池基材又は太陽電池中間製品を前記被印刷物とする印刷を行う工程を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スクリーンの目詰まりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置の構成を示す模式図である。
図2図1のスクリーン印刷装置のスクリーン印刷版の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る太陽電池製造方法によって製造される太陽電池の裏面図である。
図4図3の太陽電池の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置1の構成を示す模式図である。スクリーン印刷装置1は、本発明に係るスクリーン印刷方法の一実施形態を実施する装置である。
【0017】
スクリーン印刷装置1は、図2に平面形状を示すスクリーン印刷版10と、被印刷物Sを支持する基台20と、スクリーン印刷版10を介して被印刷物Sにインクを擦り付けるスキージ30と、スクリーン印刷版10の上にインクを塗り広げるスクレーパ40と、を備える。
【0018】
スクリーン印刷装置1により印刷されるインクとしては、特に限定されるものではないが、比較的フィラー成分の含有量が多い場合に本発明の効果が顕著となる。具体例として、インクが例えばガラス、アルミナ、シリカ、タルク、金属粒子などのフィラーを含む印刷レジスト組成物である場合、後述するように、スクリーン印刷版10によってフィラーの凝集物を取り除くことができるので、高品質な印刷を継続的に行うことができる。より詳しくは、発明の効果は、印刷版のスクリーンの目開きの1/3以上の最大長さを有するフィラーの単粒子もしくは凝集物を含有する場合に顕著となり、1/2以上である場合に特に顕著となる。また、インクは、例えば銀ペースト等の導電性ペーストであってもよい。
【0019】
スクリーン印刷装置1により印刷を行う被印刷物Sとしては、表面が平面状であるものであればよく、板状体、シート状体等であり得る。特に、本実施形態では、被印刷物Sとして、太陽電池基板又は太陽電池中間製品が想定される。
【0020】
スクリーン印刷版10は、それ自体が本発明に係るスクリーン印刷版の一実施形態である。スクリーン印刷版10は、平面視で略全体に配置されるスクリーン(紗、メッシュとも呼ばれる)11と、スクリーン11の支持を補佐する乳剤12とを備える。
【0021】
スクリーン11は、フィラーを含むインクが通過可能な網状の材料で構成される。スクリーン11は、一般的には、線状の材料の織物によって構成され、典型的には、平織の網からなる。スクリーン11の材質としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ステンレス鋼等を挙げることができる。スクリーン11の目開きとしては、例えば20μm以上200μm以下、典型的には50μm以上100μm以下とされ得る。
【0022】
乳剤12は、スクリーン11と被印刷物Sとの間隔を定めるスペーサとして機能し、これによりインクの塗膜を所望の厚みにする。また、乳剤12は、印刷領域(印刷を意図する領域)に形成される印刷開口13と、印刷領域の外側に形成されるトラップ開口14と、を有する。
【0023】
乳剤12は、スクリーン11を封止するよう形成され、印刷開口13及びトラップ開口14においてインクがスクリーン11を通過して被印刷物Sに付着することを可能にする。乳剤12は、例えば感光性樹脂等によって形成され得る。
【0024】
印刷開口13は被印刷物にインクを印刷すべき領域に開口する。トラップ開口14は、第1方向一方側、より詳しくはスキージ30の移動方向下流側に、第1方向に交差する第2方向に延在する。トラップ開口14は、インク中のフィラー等が凝集して生成される粒状物を捕集する。また、トラップ開口14にもスクリーン11が存在することにより、必要以上にインクを排出しないのでインクの消費量を抑制できる。
【0025】
トラップ開口14の第2方向の長さは印刷開口13の同じ方向の長さ以上であることが好ましい。これにより、印刷開口13上を移動するインクからフィラー凝集物を効果的に除去できる。一方、トラップ開口14の第1方向の幅としては、塗工領域の大きさ、印刷開口13の大きさ、スクリーン11と被印刷物Sとの間隔等にもよるが、200μm以上500μm以下程度とすることが好ましい。これにより、スキージ30の先端部のインクを選択的に印刷開口13に押し込むことができる。
【0026】
本実施形態のスクリーン印刷版10において、乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みは、印刷開口13の周囲(被印刷物Sに当接する領域)における厚みよりも大きいことが好ましい。より詳しくは、乳剤12は、印刷領域では被印刷物Sに形成しようとするインクの厚みに対応する一定の距離だけスクリーン11を被印刷物Sから離間させて保持するが、トラップ開口14を含む端部領域ではスクリーン11を被印刷物Sからより大きく離間させて保持することが好ましい。乳剤12の厚みは、乳剤12を形成する際に、感光性樹脂の露光時間によって調整できる。つまり、トラップ開口14の周囲の露光時間を印刷領域の露光時間よりも長くすることで、乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みを大きくできる。
【0027】
乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みと印刷開口13の周囲における厚みとの差の下限としては、スキージ30の材質等にもよるが、5μmが好ましく、8μmがより好ましい。一方、乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みと印刷開口13の周囲における厚みとの差の上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みと印刷開口13の周囲における厚みとの差を前記下限以上とすることによって、トラップ開口14に対するスキージ30の圧力を大きくして、インク中の粗粒を確実に捕集することができる。また、乳剤12のトラップ開口14の周囲における厚みと印刷開口13の周囲における厚みとの差を前記上限以下とすることによって、スキージ30の異常摩耗を防止できる。
【0028】
基台20は、被印刷物Sを位置決めして保持する位置決め構造21を有する構成とされ得る。位置決め構造21は、ピン、リブ、凹部等を有し得る。また、基台20は、トラップ開口14を通過したインクを回収する回収部22を有してもよい。回収部22は、例えば回収容器(不図示)にインクを案内する貫通穴等を有し得る。
【0029】
スキージ30は、インクを加圧してスクリーン11を通過させる。スキージ30の形状としては、例えば平型、角型、剣型等、適宜選択できる。また、スキージ30の材質としては、例えばウレタンゴム、シリコンゴム等のゴム、例えばポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂、例えばステンレス鋼等の金属など、適宜選択できる。その他、取付角度等、スキージ30の設計仕様については、従来のスクリーン印刷装置と同様とすることができる。
【0030】
スキージ30は、印刷開口13を通過した後にトラップ開口14を通過する方向にインクを擦り付ける。これにより、印刷開口13を通して被印刷物Sにインクを付着させる印刷動作を行った後に、印刷動作において凝集したフィラーをトラップ開口14のスクリーン11に押し込むことでフィラーの凝集物の一部を取り除くことができる。スキージ30の先端部において攪拌されてフィラーの凝集が進んだインクをトラップ開口14に押し込むことで、比較的効率よく粗大化が進んだ凝集物を除去できる。また、トラップ開口14の周囲の乳剤12の厚みが大きいことによりトラップ開口14に対するインクの刷り込み圧力が印刷開口13に対するインクの刷り込み圧力よりも高くなる。このため、スクリーン11の目開きよりも僅かに大きい凝集物をスクリーン11に押し込んで捕集することができるので、以降の印刷動作において印刷開口13のスクリーン11の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0031】
スクレーパ40は、スキージ30によりインクを印刷開口13を通して被印刷物Sに擦り付ける印刷動作を行う前に、インクをスクリーン印刷版10上に広げる。これにより、スキージ30の先端に滞留するインクの量を平均化し、比較的均等な圧力でインクを印刷開口13に押し込むことができる。
【0032】
スクレーパ40は、スクリーン印刷版10の上に、スキージ30と反対方向にインクを塗り広げることが好ましい。これにより、スキージ30によりトラップ開口14の周囲に押し出された余剰のインクを印刷領域に押し戻して次の印刷動作に再利用することができる。つまり、スクリーン印刷装置1は、余剰のインクのうち、スキージ30の先端部のインクのみをトラップ開口14に排出し、残りのインクを新たに供給されるインクと共に次の印刷動作に再利用する。
【0033】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷方法は、スクリーン印刷版10を用いて被印刷物Sに印刷を行う。本実施形態に係るスクリーン印刷方法は、トラップ開口14を有するスクリーン印刷版10を用いることにより、インクのフィラー凝集物、特にスクリーン11の目開きよりも僅かに大きい程度の凝集物を除去できるので、印刷開口13のスクリーン11の目詰まりを抑制し、高品質な印刷を行うことができる。本実施形態に係るスクリーン印刷方法は、手作業で行ってもよいが、効率よく印刷を行うために、上述のスクリーン印刷装置1を用いて行うことが好ましい。
【0034】
本実施形態に係るスクリーン印刷方法は、高品質な印刷を行うことができるため、多様な印刷に適用することができるが、太陽電池の製造に特に好適に利用され得る。このため、本発明は、高性能の太陽電池を製造できる太陽電池製造方法を提供する。つまり、本発明に係る太陽電池製造方法の一実施形態は、上述のスクリーン印刷方法により、太陽電池基材又は太陽電池中間製品を被印刷物Sとする印刷を行う工程を備える。
【0035】
これより、本発明に係る太陽電池製造方法の一実施形態について詳しく説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る太陽電池製造方法によって製造される太陽電池100の裏面図である。図4は、太陽電池100の部分拡大断面図である。
【0036】
太陽電池100は、半導体基板101の裏面側に、第1真性半導体層111、第1の導電性を有する第1半導体層112、第1透明電極層113及び第1金属電極114を有する第1構造110と、第2真性半導体層121、第2の導電性を有する第2半導体層122、第2透明電極層123及び第2金属電極124を有する第2構造120と、を有するいわゆるバックコンタクト型太陽電池である。太陽電池100は、第1構造110が形成される第1領域A1と、第2構造120が形成される第2領域A2とを有し、第1領域A1と第2領域A2とが相補的な形状とされている。
【0037】
本発明の一実施形態に係る太陽電池製造方法は、半導体基板101の裏面全体に第1真性半導体層111及び第1半導体層112、並びにリフトオフ層131を積層する工程と、全面に第1真性半導体層111、第1半導体層112及びリフトオフ層131が形成された中間製品の第1領域A1のみを覆う印刷レジスト層132を形成する工程と、印刷レジスト層132をマスクとするエッチングにより第2領域A2の第1真性半導体層111、第1半導体層112及びリフトオフ層131を除去する工程と、印刷レジスト層132を除去する工程と、第1領域A1のみに第1真性半導体層111、第1半導体層112を有する中間製品の裏面全体に第2真性半導体層121及び第2半導体層122を積層する工程と、エッチングによりリフトオフ層131と共に第1領域A1の第2真性半導体層121及び第2半導体層122を除去する工程と、第1透明電極層113及び第2透明電極層123を形成する工程と、銀ペースト等により第1金属電極114及び第2金属電極124を形成する工程と、を備える。
【0038】
この太陽電池製造方法において、印刷レジスト層132を形成する工程は、上述のスクリーン印刷版10を用いるスクリーン印刷方法によって行われる。印刷レジストをスクリーン印刷版10により正確に印刷することで、安定したエッチング耐性を有する印刷レジスト層132を形成できるため、第1領域A1の第1真性半導体層111及び第1半導体層112、並びに半導体基板101の浸食を抑制して太陽電池100の性能低下を防止することができる。
【0039】
また、この太陽電池製造方法において第1透明電極層113及び第2透明電極層123を形成する工程において、第1透明電極層113と第2透明電極層123の間の部分を除去するエッチングペースト又はエッチングマスクの印刷、並びに第1金属電極114及び第2金属電極124を形成する工程における導電性ペーストの印刷にも、スクリーン印刷版10を用いるスクリーン印刷方法を適用することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0041】
例として、トラップ開口は、下側で封止されてもよい。トラップ開口のスキージ移動方向の幅を大きくすれば、スキージが当接する位置ではインクがトラップ開口の中に押し込まれるが、他の位置ではトラップ開口からインクが上面側に押し出される。このとき、スキージによって強い力でスクリーンに押し込まれた凝集物はスクリーンから容易に離脱しないため、印刷開口のスクリーンを目詰まりさせ得る大きさの凝集物を印刷領域に還流させることはない。
【0042】
また、上述の太陽電池製造方法の実施形態では半導体基板に真性半導体層等を積層した太陽電池中間製品を被印刷物としたが、製造する太陽電池の構成及び製造方法に応じて、太陽電池基材を被印刷物としてもよい。例として、太陽電池基材である半導体基板にスクリーン印刷版を用いてマスクパターンを印刷し、PVD等により半導体層等を選択的に積層してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 スクリーン印刷装置
10 スクリーン印刷版
11 スクリーン
12 乳剤
13 印刷開口
14 トラップ開口
20 基台
21 位置決め構造
22 回収部
30 スキージ
40 スクレーパ
100 太陽電池
101 半導体基板
110 第1構造
111 第1真性半導体層
112 第1半導体層
113 第1透明電極層
114 第1金属電極
120 第2構造
121 第2真性半導体層
122 第2半導体層
123 第2透明電極層
124 第2金属電極
A1 第1領域
A2 第2領域
S 被印刷物
図1
図2
図3
図4