(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097999
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ロール状粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230703BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20230703BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230703BHJP
B32B 15/12 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C09J7/38
B32B27/10
B32B27/00 M
B32B15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214455
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000235783
【氏名又は名称】尾池工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 明果
(72)【発明者】
【氏名】柴田 渓
(72)【発明者】
【氏名】矢野 喜樹
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AB17
4F100AB17B
4F100AB21
4F100AB24B
4F100AB31
4F100AB31B
4F100AK04A
4F100AK25E
4F100AK51E
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA19A
4F100DG10
4F100DG10C
4F100EH46
4F100EH46A
4F100EH46E
4F100EH66
4F100EH66B
4F100JC00
4F100JC00B
4F100JK09
4F100JL11
4F100JL11D
4F100JL14
4F100JL14A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00E
4J004AB01
4J004CA02
4J004CA06
4J004CC03
4J004FA09
(57)【要約】
【課題】抗菌および抗ウイルス性を損なうことなく、粘着層から剥がすことのできるロール状粘着テープを提供する。
【解決手段】基材と、基材の一方の面上に蒸着された抗菌・抗ウイルス層と、一方の面とは異なる他方の面に形成された粘着層と、抗菌・抗ウイルス層上に設けられた離型層と、を備え、離型層は、不連続膜からなり、基材は、和紙であり、和紙は、厚みが100μm以下であり、米坪が80g/m2以下である、ロール状粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の一方の面上に蒸着された抗菌・抗ウイルス層と、前記一方の面とは異なる他方の面に形成された粘着層と、前記抗菌・抗ウイルス層上に設けられた離型層と、を備え、
前記離型層は、不連続膜からなり、
前記基材は、和紙であり、
前記和紙は、厚みが100μm以下であり、米坪が80g/m2以下である、ロール状粘着テープ。
【請求項2】
前記抗菌・抗ウイルス層と前記離型層との間に、保護層が設けられた、請求項1記載のロール状粘着テープ。
【請求項3】
前記保護層は、
ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂のうち少なくともいずれか一方を含み、
塗布量が0.06~2.0g/m2である、請求項2記載のロール状粘着テープ。
【請求項4】
前記抗菌・抗ウイルス層は、
銀合金または銅合金のうち、少なくともいずれか1種が蒸着された層であり、
厚みが2~100nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のロール状粘着テープ。
【請求項5】
前記離型層は、
ポリエチレンワックスを含み、
塗布量が0.005~0.02g/m2である、請求項1~4のいずれか1項に記載のロール状粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状粘着テープに関する。より詳細には、本発明は、抗菌および抗ウイルス性を損なうことなく、粘着層から剥がすことのできるロール状粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抗ウイルス性・抗菌性のテープが提案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスキングテープのようなロール状粘着テープは、テープの表面が、テープの裏面に重なるよう巻き回されている。そのため、ロール状粘着テープは、引き出したテープの表面に粘着層が残らないように、離型層が設けられる。しかしながら、特許文献1に記載のテープは、ロール状粘着テープに適用される場合、抗菌・抗ウイルス層が離型層によって覆われ、機能を発現することができなくなる。
【0005】
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、抗菌および抗ウイルス性を損なうことなく、粘着層から剥がすことのできるロール状粘着テープを提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決する本発明のロール状粘着テープには、以下の構成が主に含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)基材と、前記基材の一方の面上に蒸着された抗菌・抗ウイルス層と、前記一方の面とは異なる他方の面に形成された粘着層と、前記抗菌・抗ウイルス層上に設けられた離型層と、を備え、前記離型層は、不連続膜からなり、前記基材は、和紙であり、前記和紙は、厚みが100μm以下であり、米坪が80g/m2以下である、ロール状粘着テープ。
【0008】
このような構成によれば、離型層が不連続膜から構成されているため、抗菌・抗ウイルス層による抗菌作用は、抗菌・抗ウイルス層を覆う離型層によって完全に遮られることが無い。そのため、ロール状粘着テープは、粘着層から剥がすことができ、かつ、抗菌および抗ウイルス性が損なわれることがない。
【0009】
(2)前記抗菌・抗ウイルス層と前記離型層との間に、保護層が設けられた、(1)記載のロール状粘着テープ。
【0010】
このような構成によれば、ロール状粘着テープは、保護層によって、抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性が高められる。
【0011】
(3)前記保護層は、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂のうち少なくともいずれか一方を含み、塗布量が0.06~2.0g/m2である、(2)記載のロール状粘着テープ。
【0012】
このような構成によれば、ロール状粘着テープは、保護層によって、抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性がより高められ得る。
【0013】
(4)前記抗菌・抗ウイルス層は、銀合金または銅合金のうち、少なくともいずれか1種が蒸着された層であり、厚みが2~100nmである、(1)~(3)のいずれかに記載のロール状粘着テープ。
【0014】
このような構成によれば、ロール状粘着テープは、より優れた抗菌・抗ウイルス性を示し得る。
【0015】
(5)前記離型層は、ポリエチレンワックスを含み、塗布量が0.005~0.02g/m2である、(1)~(4)のいずれかに記載のロール状粘着テープ。
【0016】
このような構成によれば、ロール状粘着テープは、粘着層からより剥がしやすく、かつ、抗菌・抗ウイルス層による抗菌性および抗ウイルス性を妨げにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、抗菌および抗ウイルス性を損なうことなく、粘着層から剥がすことのできるロール状粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ロール状粘着テープ>
本発明の一実施形態のロール状粘着テープは、基材と、基材の一方の面上に蒸着された抗菌・抗ウイルス層と、一方の面とは異なる他方の面に形成された粘着層と、抗菌・抗ウイルス層上に設けられた離型層と、を備える。離型層は、不連続膜からなる。基材は、和紙である。和紙は厚みが100μm以下であり、米坪が80g/m2以下である。以下それぞれの構成について説明する。
【0019】
(基材)
基材は、和紙である。和紙は特に限定されない。一例を挙げると、和紙は、従来、和紙の原料として使用されている楮(こうぞ)、三椏、雁皮の靭皮(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)繊維からなる。
【0020】
和紙からなる基材は、手切れ性がよく、耐久性も優れる。また、和紙は、環境に配慮した原料である。
【0021】
和紙は、機械抄きで得られる薄く、高強度な平面紙のことである。基材に用いられる和紙の材料は、強度を改善するためにポリエステル繊維やビニロン繊維等の合成繊維が混抄され得る。本実施形態の和紙は、厚みが100μm以下であり、米坪が80g/m2以下である。
【0022】
和紙の厚みは、100μm以下であればよい。
【0023】
和紙の米坪は、80g/m2以下であればよい。
【0024】
なお、本実施形態において、和紙は、含浸処理等の処理が行われた和紙であってもよい。含浸処理は、たとえば、水系樹脂を染み込ませたり、または、塗布したりする処理である。これにより、和紙は、目止め処理や、離型処理等が施され得る。
【0025】
(抗菌・抗ウイルス層)
抗菌・抗ウイルス層は、基材の一方の面上に蒸着された層であり、ロール状粘着テープに、抗菌性および抗ウイルス性を付与するために設けられる。なお、本実施形態において、「抗菌性・抗ウイルス性」とは、細菌やウイルスなどの微生物の増殖を抑制する性質であり、抗菌性試験における抗菌活性値が2.0以上を示す場合をいう。なお、抗菌性試験とは、JIS Z 2801に準拠して実施され得る。本実施形態の抗菌活性値とは、試験後に検出された菌のコロニー数を24時間後の菌数を対照として、同時に試験したポリエチレンシート上で検出された菌のコロニー数で割った値の常用対数値である。
【0026】
抗菌・抗ウイルス層を基材に一方の面に形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、抗菌・抗ウイルス層は、基材の一方の面上に、金属蒸着を行うことにより形成され得る。
【0027】
金属蒸着により抗菌・抗ウイルス層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、蒸着方法は、従来公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、または、化学蒸着法等を適宜採用し得る。これらの中でも、生産性が高いという理由により、真空蒸着法により抗菌・抗ウイルス層を設けることが好ましい。蒸着条件は、所望する抗菌・抗ウイルス層の厚みに基づいて、従来公知の条件が適宜採用され得る。なお、金属材料は、不純物が少なく、不純物の含有量が1重量%未満であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。また、金属材料は、粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいは使用するルツボ形状に加工したものであることが好ましい。金属材料を蒸発させるための加熱方法は、ルツボ中に金属材料を入れて抵抗加熱あるいは高周波加熱を行う方式や、電子ビーム加熱を行う方法、窒化硼素などのセラミック製のボードに金属材料を入れ直接抵抗加熱を行う方法など、周知の方法を用いることができる。真空蒸着に用いるルツボは、カーボン製であることが望ましく、アルミナやマグネシア製のルツボであってもよい。
【0028】
本実施形態では、抗菌性や抗ウイルス性を発現させるために、抗菌性や抗ウイルス性を示し得る金属およびその合金からなる蒸着層が形成され得る。そのような金属は特に限定されない。一例を挙げると、金属および金属合金は、銀、銀合金、亜鉛、銅、銅合金等であることが好ましく、耐湿熱性が優れる点から、銀合金または銅合金のうち、少なくともいずれか1種であることがより好ましい。
【0029】
抗菌・抗ウイルス層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、抗菌・抗ウイルス層の厚みは、2nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。また、抗菌・抗ウイルス層の厚みは、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。抗菌・抗ウイルス層の厚みが上記範囲内であることにより、ロール状粘着テープは、より優れた抗菌・抗ウイルス性を示しやすい。
【0030】
(粘着層)
粘着層は、上記した基材の一方の面とは異なる他方の面に形成された層である。粘着層は、糊材であり、マスキングテープを所望の部位に貼りつけるために設けられている。なお、ロール状粘着テープが巻き回された状態において、粘着層は、離型層と接触する。
【0031】
粘着層を構成する材料は特に限定されない。一例を挙げると、粘着層の材料は、アクリル系粘着樹脂、シリコーン系粘着樹脂等である。
【0032】
粘着層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、粘着層は、グラビアコートにより、基材上に形成し得る。
【0033】
(離型層)
離型層は、抗菌・抗ウイルス層上に設けられる。巻き回されたロール状粘着テープは、離型層と粘着層とが接着されている。そこで、離型層は、ロール状粘着テープが使用される際に、粘着層から適切に離型され、粘着テープを引き出すために設けられている。
【0034】
また、本実施形態の離型層は、不連続膜である。そのため、離型層は、抗菌・抗ウイルス層を覆うように設けられているにもかかわらず、抗菌・抗ウイルス層からの抗菌性および抗ウイルス性の発現を妨げにくい。なお、本実施形態において、「不連続膜」とは、互いの間に微細な隙間を有して配置される複数の島状部分を有する構造である膜をいう。
【0035】
離型層を構成する材料は特に限定されない。一例を挙げると、離型層を構成する材料は、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等を含むことが好ましく、粘着層からより剥がしやすく、かつ、抗菌・抗ウイルス層による抗菌性および抗ウイルス性をより妨げにくい点から、ポリエチレンワックスを含むことがより好ましい。
【0036】
ポリエチレンワックスは特に限定されない。一例を挙げると、ポリエチレンワックスは、ポリエチレン主鎖を主とした組成であれば特に限定されることなく用いることができ、酸化ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、分岐状ポリエチレン、それらの混合物等を挙げることができる。
【0037】
離型層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、離型層は、ポリエチレンワックスからなる離型層の場合、原料を有機溶剤(トルエン、MEK)で希釈し、次いで、ロールコーター等により抗菌・抗ウイルス層上に塗布することにより形成し得る。
【0038】
離型層の乾燥後の塗布量は特に限定されない。
一例を挙げると、離型層の塗布量は、0.005g/m2以上であることが好ましく、0.02g/m2以上であることがより好ましい。また、離型層の乾燥後の塗布量は、0.06g/m2以下であることが好ましく、0.04g/m2以下であることがより好ましい。離型層の乾燥後の塗布量が上記範囲内であることにより、ロール状粘着テープは、より優れた抗菌・抗ウイルス性を示しやすい。
【0039】
(保護層)
保護層は、抗菌・抗ウイルス層と離型層との間に好適に設けられる層である。保護層が設けられることにより、抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性が高められ得る。即ち、抗菌・抗ウイルス層のみであれば該抗菌・抗ウイルス層が脆くなることがあり、これが耐擦傷性の劣化の原因となることがある。つまり和紙という多孔質基材上では抗菌・抗ウイルス層が一様な連続膜にならず、バルクのような均一膜ともならず、耐擦傷性が発現しにくくなることがある。その為に離型層を設ける事で抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性が改善されるのである。本実施形態においてはさらなる耐擦傷性を得るために保護層が好適に設けられる。尚、離型層のさらに表面に保護層を設けても、ロール状粘着テープは、抗菌・抗ウイルス性が損なわれることはない。
【0040】
保護層を構成する材料は特に限定されない。一例を挙げると、保護層を構成する材料は、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等であることが好ましく、抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性がより高められ得る点から、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂のうち少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。
【0041】
ウレタン系樹脂は特に限定されない。ウレタン系樹脂は、水系ウレタン樹脂であってもよく、溶剤系ウレタン樹脂であってもよい。水系ウレタン樹脂は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル/ポリアクリル系ウレタン樹脂等である。
【0042】
アクリル系樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、アクリル系樹脂は、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステルの重合体や共重合体、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレンなどの共重合体等である。
【0043】
保護層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、保護層は、グラビアコート法を用いることにより抗菌・抗ウイルス層上に塗布することにより形成し得る。
【0044】
保護層の乾燥後の塗布量は特に限定されない。一例を挙げると、保護層の塗布量が0.05g/m2以上であることが好ましく、0.1g/m2以上であることがより好ましい。また、保護層の塗布量が、2.0g/m2以下であることが好ましい。保護層の塗布量が上記範囲内であることにより、ロール状粘着テープは、抗菌・抗ウイルス層の耐擦傷性がより高められやすい。
【0045】
以上、本実施形態のロール状粘着テープは、離型層が不連続膜から構成されているため、抗菌・抗ウイルス層による抗菌作用が、抗菌・抗ウイルス層を覆う離型層によって完全に遮られることが無い。そのため、ロール状粘着テープは、粘着層から剥がすことができ、かつ、抗菌および抗ウイルス性が損なわれることがない。
【実施例0046】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0047】
<実施例1>
和紙(厚み60μm、米坪42g/m2)の一方の面上に、成膜中の真空度5×10-2Pa以下、出力10kVの電子ビーム加熱法にて加熱し、成膜速度は毎分60nmで銅-錫合金を蒸着し、抗菌・抗ウイルス層の厚みが20nmとなるように形成した。和紙の他方の面に、グラビアコート法で粘着層を形成した。抗菌・抗ウイルス層上に、グラビアコート法にて塗工し、100℃で乾燥後、50℃でエージング(2日間)することにより、保護層(乾燥後の塗布量:0.3g/m2)を形成した。保護層上に、グラビアコート法にて塗工後、100℃で乾燥することにより離型層(乾燥後の塗布量:0.005g/m2)を形成し、ロール状粘着テープを作製した。得られたロール状粘着テープについて、以下の評価方法により、抗菌試験、耐摩耗性試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
<抗菌試験>
ロール状粘着テープを50ミリメートル四方の大きさに切り出した後に、アクリル板に貼り合わせを行い、得られたサンプルの表面の抗菌性を黄色ブドウおよび大腸菌を用いて、JIS Z 2801に準じた抗菌性試験を実施した。試験後に検出された菌のコロニー数を24時間後の菌数を、対照として同時に試験したポリエチレンシート上で検出された菌のコロニー数で割った値の常用対数値を、抗菌活性値とした。なお、生菌数は、試料に接種した菌懸濁液中での生菌数濃度に換算した。また、平板培地に30以上のコロニーが認められた場合に計測を行った。この場合の検出限界値は3.7×102cfu/mLである。
【0049】
<耐摩耗性試験>
JIS L 0849に準拠し、各実施例で作成したサンプルの表面を試験用添付白布綿(カナキン3号)によって100往復摩擦した。摩耗性の評価としては、試験用添付白布を分光光度計(UV3600、(株)島津製作所製)を用いて、分光反射率(300~800nm)を測定した。測定した分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z 8701で規定されているXYZ表色系に基づきCIE Labを算出した。得られたLabから各サンプルの試験前後(ΔE*ab)を求め、下記の判定基準にて判定した。
◎:ΔE*abが0.1以上1.0未満であり、極めて良好であった。
○:ΔE*abが1.0以上5未満であり、良好であった。
△:ΔE*abが5以上であり、不良であった。
【0050】
<参考例1~2>
参考例1として実施例1で使用した和紙のみ、参考例2としてPET(厚み50μm、東洋紡エステルフィルムHPE、東洋紡(株)製)を用い、評価した。
【0051】
<比較例1>
保護層および離型層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0052】
<比較例2>
和紙の代わりに参考例2のPETを用い、保護層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0053】
<比較例3>
離型層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0054】
<比較例4>
和紙の代わりに参考例2のPETを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0055】
<比較例5>
実施例1の離型層の代わりに、ウレタン樹脂およびフッ素樹脂からなる連続膜(ウレタン樹脂とフッ素樹脂との割合は、ウレタン樹脂100部、フッ素樹脂1部)を形成した以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0056】
<実施例2~4>
保護層の厚みを表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0057】
<実施例5>
保護層をウレタンエマルジョンに変更した以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0058】
<実施例6>
抗菌・抗ウイルス層を、成膜速度を毎分10nmに変更し、銅-錫合金の代わりに銀を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりロール状粘着テープを作製し、評価した。
【0059】
【0060】
表1に示されるように、本発明の実施例1~6のロール状粘着テープは、粘着層から剥がすことができ、かつ、抗菌・抗ウイルス層による抗菌作用が離型層によって遮られておらず、優れた抗菌効果を示した。