(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098072
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B65D21/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214578
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 拓司
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA01
3E006CA01
3E006DA03
3E006DB03
(57)【要約】
【課題】ラックに格納されたときに不具合を生じさせない運搬用容器を提供する。
【解決手段】蓋付き容器1は、容器本体2を有している。容器本体2は、略矩形状の底壁6と、底壁6の4つの側辺からそれぞれ上方に延びる4つの側壁7とを有しており、上方に向かって開いた開口2Aを有する略箱状である。側壁7の下部は、下フランジ12を有している。底壁6の下部は、底壁6の底面内寸とほぼ同じサイズの段積嵌合用の凸段部41を有している。下フランジ12の下部は、凸段部41の中央付近の外側直線辺61Aから容器本体外方に張り出している底面張出し部42A、42Bを有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の底壁と、前記底壁の4つの側辺からそれぞれ上方に延びる4つの側壁とを有しており、上方に向かって開口する略箱状の容器本体を備えており、
前記側壁の下部は、下フランジを有しており、
前記底壁の下部は、前記底壁の底面内寸とほぼ同じサイズの段積嵌合用の凸段部を有しており、
前記下フランジの下部は、前記凸段部の中央付近の外側直線辺から容器本体外方に張り出している底面張出し部を有している、
運搬用容器。
【請求項2】
前記容器は長手方向と短手方向を有しており、
前記底面張出し部は、前記下フランジのうちで長手方向に延びる長手方向下フランジに形成されており、
前記長手方向下フランジの下部は、長手方向両端に、前記凸段部及び前記底面張出し部より低い隅部を有している、
請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記底面張出し部は、前記凸段部の前記外側直線辺から容器本体外方に離れた位置で長手方向に延びる長手方向リブと、前記長手方向リブの両端において平面視で斜めに延びて前記凸段部の前記外側直線辺に連結される斜めリブと、前記長手方向リブと前記凸段部の前記外側直線辺とを連結する複数の補強リブと、を有している、
請求項1又は2に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記側壁の上部は上フランジを有しており、
前記上フランジの上部は上方に突出した突起を有しており、
前記底面張出し部は、前記容器同士を段積みするときに前記突起の容器本体内側に嵌合する、
請求項1~3のいずれかに記載の運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品を運搬するために運搬用容器が用いられている。運搬用容器の容器本体は、略矩形状の底壁と、その4辺から上方に延びる側壁とを有している。底壁の上面が収納区間の底面となり、底壁の下面が容器本体の接地面となる(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0003】
運搬用容器は、例えば自動倉庫のラックの棚に載置される。棚は、例えばスタッカクレーンのスライドフォークの上下動を可能とするように、一対の棚板からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3465053号公報
【特許文献2】実開昭59-183889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラックに格納されたコンテナが棚の片側に寄った場合、ラックの底面が一対の棚板の間の隙間に嵌まり込む可能性がある。この場合、コンテナ又は収納物が破損したり、ラインが停止したりすることが懸念される。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラックに格納されたときに不具合を生じさせない運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための運搬用容器は、略矩形状の底壁と、前記底壁の4つの側辺からそれぞれ上方に延びる4つの側壁とを有しており、上方に向かって開口する略箱状の容器本体を備えている。
【0008】
前記側壁の下部は、下フランジを有している。
【0009】
前記底壁の下部は、前記底壁の底面内寸とほぼ同じサイズの段積嵌合用の凸段部を有している。
【0010】
前記下フランジの下部は、前記凸段部の中央付近の外側直線辺から容器本体外方に張り出している底面張出し部を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運搬用容器によれば、ラックに格納されたコンテナが棚の片側に寄った場合でも、不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る蓋付き容器(蓋閉じ状態)の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の蓋付き容器(蓋開き状態)の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の蓋付き容器を底面側(裏側)から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の蓋付き容器の底面張出し部の部分斜視図である。
【
図6】
図6Aは、蓋付き容器がラックの棚の上に置かれた一状態(中心配置状態)を示す模式的正面図である。
図6Bは、同上の蓋付き容器が同上のラックの同上の棚の上に置かれた一状態(片寄り配置状態)を示す模式的正面図である。
【
図8】
図8Aは、同上の蓋付き容器を他の同上の蓋付き容器の上に重ねる動作の一状態(積み重ね前)を示す部分断面図である。
図8Bは、同上の蓋付き容器を他の同上の容器の上に重ねる動作の一状態(積み重ね後)を示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、同上の蓋付き容器の同上の張出し部の部分断面図である。
【
図10】
図10は、変形例における蓋付き容器の張出し部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1実施形態
(1)蓋付き容器の基本構造
図1及び
図2を用いて、蓋付き容器1(運搬用容器の一例)の基本構造を説明する。
【0014】
蓋付き容器1は、物品を収納して運搬又は保管するための容器である。蓋付き容器1は、容器本体2と、蓋部材3とを備えている。容器本体2は、上方に向かって開いた開口2A(
図2)を有する略箱型である。つまり、容器本体2は、上方から物品を出し入れする構成となっている。蓋部材3は、開口2Aを閉じたり開いたりできる。容器本体2及び蓋部材3はポリプロピレンにより構成されている。
【0015】
(2)容器本体
容器本体2は、底壁6と、底壁6の4つの側辺からそれぞれ上方に延びる4つの側壁7とを有している。容器本体2は、長手方向と短手方向を有しており、底壁6は略矩形状の底板6Aを有している。
【0016】
個々の側壁7は、主に、略矩形板状のベース10と、ベース10の上縁部から外方に突出する上フランジ11と、ベース10の下縁部から外方に突出する下フランジ12とを有している。
【0017】
以後の説明では、側壁7のうち、底壁6の一対の長辺に形成されたものを一対の長辺側壁7Aといい、底壁6の一対の短辺に形成されたものを一対の短辺側壁7Bという。さらに、一対の長辺側壁7Aのうちの一方を支持長辺側壁7A1という。また、上フランジ11のうち、一対の長辺側壁7Aの上部に形成されたものを長辺上フランジ11Aといい、一対の短辺側壁7Bの上部に形成されたものを短辺上フランジ11Bという。また、下フランジ12のうち、一対の長辺側壁7Aの下部に形成されたものを長辺下フランジ12Aといい、一対の短辺側壁7Bの下部に形成されたものを短辺下フランジ12Bという。
【0018】
容器本体2の短手方向寸法は、容器本体2の高さ寸法より長い。
【0019】
さらに、容器本体2において、短手方向の一方側(
図1及び
図2の右斜め下側、
図3の右側)を短手方向第1側として、短手方向の他方側(
図1及び
図2の左斜め上側、
図3の左側)を短手方向第2側とする。さらに、容器本体2において、長手方向の一方側(
図1及び
図2の右斜め上側、
図3の上側)を長手方向第1側として、長手方向の他方側(
図1及び
図2の左斜め下側、
図3の下側)を長手方向第2側とする。
【0020】
(3)蓋部材
蓋部材3は、
図1~
図3に示すように、1枚の略矩形状板状部材からなる。蓋部材3は、ヒンジ構造5を介して、支持長辺側壁7A1の上の長辺上フランジ11Aに対して回動可能に連結されており、開口2Aを閉じる閉位置(
図1)と開口2Aを開く開位置(
図2)との間で回動できる。ヒンジ構造5は容器本体2と蓋部材3を接合(または係合)して形成されている。
【0021】
なお、蓋部材3が閉位置の上方外側の上面を第1面3Aといい、下方内側の下面を第2面3Bという。
【0022】
(4)蓋部材が開位置にあるときの蓋部材と支持長辺側壁の係合構造
支持長辺側壁7A1の外面の上方部分は、
図1に示すように、上方中央部8A(例えば、長辺リブ31)と、上方中央部8Aより容器本体外方(具体的には、短手方向第1側)に張出した一対の上方張出し部13A、13Bとを有している。具体的には、上方張出し部13A、13Bは、支持長辺側壁7A1の外面の上側隅部に位置している。
【0023】
支持長辺側壁7A1の外面の下方部分は、
図1に示すように、下方中央部8B(例えば、長辺リブ37)と、下方中央部8Bより容器本体外方(具体的には、短手方向第1側)に張出した一対の下方張出し部14A、14Bを有している。具体的には、下方張出し部14A、14Bは、支持長辺側壁7A1の外面の下側隅部に位置している。上記の上方張出し部13A、13B、下方張出し部14A、14Bによって、容器本体2の短手方向寸法を長くできる。なお、長辺側壁7Aのもう一方にも、上記と同様の構造が形成されている。
【0024】
蓋部材3の第1面3Aは、
図1及び
図3に示すように、凹部15A、15B、16A、16Bを有している。具体的には、凹部15A、15B、16A、16Bは、第1面3Aの四隅に設けられている。凹部15A、15B、16A、16Bは、蓋部材3が開位置にあるときに、上方張出し部13A、13B及び下方張出し部14A、14Bにそれぞれ係合する。ここで、「係合する」とは、凹部内に張出し部が入り込むことをいう。係合状態では、凹部15A、15B、16A、16Bの面は、上方張出し部13A、13B及び下方張出し部14A、14Bのそれぞれに当接又は近接している。
【0025】
上記の係合により、蓋部材3は、開位置において、垂下することができ(閉位置から270度回動することができ)、そのため容器本体外方(具体的には、短手方向第1側)への突出を最小限に抑えられる。
【0026】
なお、蓋部材3において、凹部15A、15B、16A、16Bが形成された部分の反対側は、第2面3Bにおいて凸部となっている。
【0027】
上方張出し部13A、13B、下方張出し部14A、14Bを張出すことで、容器本体2として必要な寸法を張出しによって確保でき、それ以外のリブや外面を軽量化できる。
【0028】
具体的には、上方張出し部13A、13B、下方張出し部14A、14Bの張出し寸法は、ヒンジ部の外寸より5mm以上である。
【0029】
(5)上フランジの上部構造
上フランジ11の上部には、下記の構成が設けられている。
【0030】
図1~
図4に示すように、一方の長辺上フランジ11A(ヒンジ構造5が設けられていない側のもの)の上部には、突起18が設けられている。突起18は、蓋付き容器1を段積みする場合に、突起19との間に上側の蓋付き容器1の凸段部41を挟むように嵌合するための部材である。突起18は、容器本体長手方向に長く延びている。突起18は、一対の長手方向両側突起18Aを有している。
【0031】
図1~
図3に示すように、一対の長手方向両側突起18Aは、長手方向外側(具体的には、長手方向に互いに離れる側)の第1部分181と、長手方向内側(具体的には、長手方向に互いに近づく側)の第2部分182とを有している。第2部分182の内側面は第1部分181の内側面よりも容器本体短手方向外側(具体的には、短手方向第2側)にずれており、両者の間には斜めの内側面が設けられている。突起18は、中間突起18Bを有している。中間突起18Bは長手方向に直線状に延びている。
【0032】
ヒンジ構造5は、支持長辺側壁7A1の長辺上フランジ11Aに形成された突起19を有している。突起19は、長手方向両端に設けられた一対の支持突起19Aと、複数の中間突起19Bを有している。一対の支持突起19Aは、中間突起19Bと同じ高さで形成されている。ヒンジ構造5の突起19は、支持長辺側壁7A1の上方張出し部13A、13B及び下方張出し部14A、14Bより容器本体内方(具体的には、短手方向第2側)に位置している。言い換えると、ヒンジ構造5の突起19は、支持長辺側壁7A1の上方張出し部13A、13B及び下方張出し部14A、14Bの先端縁より容器本体外方(具体的には、短手方向第1側)に突出していない。
【0033】
さらに、
図1及び
図3に示すように、一対の支持突起19Aの長手方向内側(具体的には、長手方向に互いに近づく側)には傾斜面19A1が形成され、中間突起19Bの長手方向に直線状に延びる内側面に連続している。
【0034】
以上の構成により、蓋付き容器1を段積みする場合に、底面張出し部42A又は42B(後述)が3個の突起18の容器本体内側(具体的には、短手方向第1側)に嵌合し、さらに、ヒンジ構造5の突起19の容器方向内側(具体的には、短手方向第2側)に嵌合する。その結果、段積みされた蓋付き容器1同士の間でがたつきが少なくなる。
【0035】
一対の短辺上フランジ11Bの各々の上部には、
図2に示すように、一対の突起17が設けられている。突起17は、蓋部材3が閉位置にあるときに蓋部材3の袋状突起20が係合するための構造である。ここで、「係合する」とは袋状突起20の凹部内に突起17が入り込むことをいう。
【0036】
上フランジ11の上部の四隅には、凹部21A、21B、22A、22Bが形成されている。凹部21A、21B、22A、22Bは、蓋部材3が閉位置にあるときに蓋部材3において、凹部15A、15B、16A、16Bが形成された部分の反対側の凸部が係合するための構造である。これにより、蓋部材3は、閉位置において、水平状態になることができる。なお、「係合する」とは凹部内に凸部が入り込むことを意味する。
【0037】
(6)底壁の詳細説明
図4に示すように、底壁6は、略矩形板状の底板6Aと、底板6Aから下方に突出し、底板6Aを支持する凸段部41とを備えている。凸段部41は、段積嵌合用であり、さらには底壁6の荷重に対する強度、特にたわみ等に対する剛性を高める機能を有している。凸段部41は、底壁6の底面内寸(収納区間内部において底板6Aによって形成される底面の内寸)とほぼ同じサイズである。
【0038】
具体的には、
図5に示すように、凸段部41は、底板6Aの外周縁から下方に突出する枠リブ61と、枠リブ61の内周側において格子状に設けられる格子リブ62とにより構成されている。
【0039】
長辺下フランジ12Aの下部には、凸段部41の枠リブ61の一対の外側直線辺61Aから容器本体外方(具体的には、短手方向に互いに離れる側)に張出している底面張出し部42A、42Bが設けられている。
【0040】
底面張出し部42A、42Bは、
図5(
図9も参照すること)に示すように、長手方向リブ51と、一対の斜めリブ52と、複数の補強リブ53とから構成されている。長手方向リブ51は、凸段部41の枠リブ61の外側直線辺61Aから容器本体外方(具体的には、短手方向に互いに離れる側)に離れた位置で長手方向に延びている。斜めリブ52は、長手方向リブ51の両端において平面視で斜めに延びて凸段部41の枠リブ61の外側直線辺61Aに連結されている。補強リブ53は、垂下リブであり、長手方向リブ51と凸段部41の枠リブ61の外側直線辺61Aとを連結している。
【0041】
底面張出し部42A、42Bの張出し量つまり短手方向長さは、長辺下フランジ12Aの約半分であり、1/3又は2/3であってもよい。
【0042】
底面張出し部42A、42Bによって、容器本体2の底壁6における短手方向外寸の寸法を長くできる。
【0043】
凸段部41は、さらに、
図4に示すように、繋ぎ補強リブ63を有している。繋ぎ補強リブ63は、凸段部41の長手方向中間付近において、底面張出し部42A、42Bを構成している補強リブ53同士をつなぐように、複数の格子リブ62の間を短手方向に延びている。繋ぎ補強リブ63によって、底壁6の中央付近は密度の高いリブ構成となり、底面張出し部42Aと42Bの間の強度が高くなり、さらに底面張出し部42A、42Bが補強される。
【0044】
(7)自動倉庫のラックの棚に載置された蓋付き容器
蓋付き容器1は、自動倉庫のラックの棚に載置可能である。
図6Aでは、自動倉庫の棚101の正面が示されている。棚101は、一対の受け部102、103を有している。一対の受け部102、103は、図左右方向に間を空けて配置されている。受け部102は、受け板102Aと、その外側端から上方に延びる支持壁102Bを有している。受け部103は、受け板103Aと、その外側端から上方に延びる支持壁103Bを有している。受け板102Aと受け板103Aとの間には、隙間104が形成されている。
【0045】
蓋付き容器1は、短手側が正面となる向きで(つまり、長手方向が図左右方向に一致する向きで)、棚101の受け部102、103に載置される。その結果、蓋付き容器1の短手方向両端部が受け部102、103によって受けられる。
【0046】
図6Aに示すように、蓋付き容器1が棚101の図左右方向中心に正確に載せられた場合、凸段部41の図右側端部及び底面張出し部42Aが受け板102Aに載り、凸段部41の図左側端部及び底面張出し部42Bが受け板103Aに載る。この状態で、蓋付き容器1と支持壁102B、103Bとの間には、クリアランスが確保される。
【0047】
この例において、クリアランス(蓋付き容器1の下部と支持壁102Bとの間の第1方向長さ)をL1とし、凸段部41において受け板102Aに載っている部分の第1方向長さをL2とし、蓋付き容器1において実際に受け板102Aに載っている部分(凸段部41の図右側端部及び底面張出し部42A)の第1方向長さをL3とする。
【0048】
その場合、安全性向上やライン・トラブル回避のためにL1が長く設定されていたとしても、底面張出し部42Aを設けることでL3>L1の条件を満たしていれば、
図6Bに示すように、蓋付き容器1が例えば最も図左側にずれてしまって支持壁103Bに当接した場合でも、底面張出し部42Aが受け板102Aに載ることができる。つまり、蓋付き容器1が図左側に最もずれて載置された場合でも、蓋付き容器1が隙間104に嵌ることが防止されている。したがって、上記不具合に起因した、コンテナ及び収納物の破損やライン停止が発生しない。なお、従来例として底面張出し部42Aが設けられておらず、しかもL1>L2であれば、蓋付き容器1が図左側に最もずれて載置された場合に、蓋付き容器1が隙間104に嵌る可能性がある。
【0049】
上記の場合、ラックの棚101の寸法を変えることなく、蓋付き容器1の構造を調整することで不具合の発生を抑えている。
【0050】
(8)蓋付き容器同士の段積み
図7に示すように、蓋付き容器1において、ヒンジ構造5の中間突起19Bと長辺上フランジ11Aの中間突起18Bとの間の短手方向長さL4は、底面張出し部42A、42Bの外側縁同士の短手方向長さL5に比べて、概ね等しい又はわずかに長い。したがって、
図8A及び
図8Bに示すように蓋付き容器1同士を段積みすると、底面張出し部42A、42Bは、突起18及び突起19の容器本体内側(具体的には、短手方向に互いに近づく側)に嵌合する。したがって、蓋付き容器1同士の段積みが安定する。
【0051】
長辺下フランジ12Aの下部は、
図4及び
図5に示すように、長手方向両端に、凸段部41及び底面張出し部42A、42Bより低い隅部43を有している。つまり、隅部43には、底面張出し部42A、42Bは形成されていない。隅部43は複数のリブの端面からなり、各端面は下方を向く仮想平面の一部となっている。蓋付き容器1を段積みするときに、隅部43は、下にある蓋付き容器1の凹部15A、15B、16A、16Bの上方にわずかに隙間を空けて配置される。したがって、蓋付き容器1同士の安定した段積みができ、さらに、段積みされているときに、前記隙間に指を入れて上部の蓋付き容器1を持ち上げることができる。
【0052】
図5に示すように、隅部43の長手方向側には、長辺下フランジ12Aの長手方向中間部より凹んだ凹部12A1が形成されている。蓋付き容器1を段積みするときに、ヒンジ構造5の一対の支持突起19Aは、上にある蓋付き容器1の長辺下フランジ12Aの下部に当接するが、凹部12A1の底面には当接しない。したがって、段積み時に、ヒンジ構造5の一対の支持突起19Aが破損しにくい。
【0053】
2.変形例
上記実施形態では、蓋付き容器はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の合成樹脂材料により構成されてもよい。
【0054】
上記実施形態では、容器本体が折畳み不可能な構成となっているが、容器本体が折畳み可能であってもよい。
【0055】
蓋部材がない容器であってもよい。
【0056】
図9に示すように底面張出し部42Aは垂下リブである補強リブ53によって主に構成されていたが、他の構造を採用してもよい。
図10に示す変形例では、底面張り出し部42Cは、凸段部41の枠リブ61の下端から容器本体外方向に延びる面部51Aによって主に形成されている。面部51Aは、長手方向両端の端リブ52Aと共に容器本体外方に開いた袋構造を実現している。
【0057】
3.態様
以上説明した実施形態及び変形例の記載から理解されるように、第一の態様の運搬用容器(1)は、下記の構成を備える。
【0058】
つまり、第一の態様に係る運搬用容器(1)は、容器本体(2)を有している。容器本体(2)は、略矩形状の底壁(6)と、底壁(6)の4つの側辺からそれぞれ上方に延びる4つの側壁(7)とを有しており、上方に向かって開いた開口(2A)を有する略箱状である。
【0059】
側壁(7)の下部は、下フランジ(12)を有している。
【0060】
底壁(6)の下部は、底壁(6)の底面内寸とほぼ同じサイズの段積嵌合用の凸段部(41)を有している。
【0061】
下フランジ(12)の下部は、凸段部(41)中央付近の外側直線辺から容器本体外方に張り出している底面張出し部(42A、42B)を有している。
【0062】
第一の態様の運搬用容器(1)では、ラックに格納された容器(1)が棚(101)の片側に寄った場合でも、不具合が生じない。
【0063】
第二の態様の運搬用容器(1)は、第一の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0064】
つまり、第二の態様に係る運搬用容器(1)は長手方向と短手方向を有している。底面張出し部(42A、42B)は、下フランジ(12)のうちで長手方向に延びる長手方向下フランジ(12A)に形成されている。
【0065】
長手方向下フランジ(12A)の下部は、長手方向両端に、凸段部(41)及び底面張出し部(42A、42B)より低い隅部(43)を有している。
【0066】
第二の態様の運搬用容器(1)では、容器(1)同士の段積み姿勢が安定する。
【0067】
第三の態様の運搬用容器(1)は、第一又は第二の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0068】
つまり、第三の態様に係る運搬用容器(1)では、底面張出し部(42A、42B)は、凸段部(41)の外側直線辺(61A)から容器本体外方に離れた位置で長手方向に延びる長手方向リブ(51)と、長手方向リブ(51)の両端において平面視で斜めに延びて凸段部(41)の外側直線辺(61A)に連結される斜めリブ(52)と、長手方向リブ(51)と凸段部(41)の外側直線辺(61A)とを連結する複数の補強リブ(53)と、を有している。
【0069】
第三の態様の運搬用容器(1)では、構造が単純で強度が高い底面張出し部(42A、42B)が得られる。
【0070】
第四の態様の運搬用容器(1)は、第一~第三の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0071】
つまり、第四の態様に係る運搬用容器(1)では、側壁(7)の上部は、上フランジ(11)を有している。
【0072】
上フランジ(11)の上部は、上方に突出した突起(18A、18B、19A、19B)を有している。
【0073】
底面張出し部(42A、42B)は、運搬用容器(1)同士を段積みするときに突起(18A、18B、19A、19B)の容器本体内側に嵌合する。
【0074】
第四の態様の運搬用容器(1)では、運搬用容器(1)同士の段積みが安定する。
【符号の説明】
【0075】
1 :蓋付き容器
2 :容器本体
3 :蓋部材
5 :ヒンジ構造
6 :底壁
12A :長辺下フランジ
41 :凸段部
42A :底面張出し部
42B :底面張出し部
51 :長手方向リブ
52 :リブ
53 :補強リブ