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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098083
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20230703BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L29/78 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214600
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】島田 一貴
【テーマコード(参考)】
5F038
5F140
【Fターム(参考)】
5F038BH12
5F038BH13
5F038EZ20
5F140AA31
5F140AA38
5F140AC01
5F140AC21
5F140BH30
5F140BH43
5F140BH45
(57)【要約】
【課題】ノイズの測定精度を向上させることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】一実施の形態によれば、半導体装置は、電位が供給される電位供給端子T31と、外部と信号をやり取りするための端子T21(I/O端子)と、電位供給端子T31と端子T21とに電気的に接続されたI/O電流検出負荷回路110と、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを検出する電流センサ回路210と、を備え、電流センサ回路210は、I/O電流IIOに比例したセンサ電流IOUTを取得し、取得したセンサ電流IOUTを出力情報として出力し、I/O電流IIOは、静電気放電及び電磁感受性の少なくともいずれかによりI/O端子に流れる異常電流であって、異常状態となるような所定の電流よりも大きな電流である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電位が供給される電位供給端子と、
外部と信号をやり取りするためのI/O端子と、
前記電位供給端子と前記I/O端子とに電気的に接続されたI/O電流検出負荷回路と、
前記I/O電流検出負荷回路に流れるI/O電流を検出する電流センサ回路と、
を備え、
前記電流センサ回路は、前記I/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得した前記センサ電流を出力情報として出力し、
前記I/O電流は、静電気放電及び電磁感受性の少なくともいずれかにより前記I/O端子に流れる異常電流であって、異常状態となるような所定の電流よりも大きな電流である半導体装置。
【請求項2】
前記I/O電流検出負荷回路は、前記I/O電流検出負荷回路に前記I/O電流が流れると、前記I/O電流検出負荷回路の前記I/O電流が流れ込む端子と、前記I/O電流検出負荷回路の前記I/O電流が流れ出る端子との間に、入力電圧を発生させ、
前記I/O電流検出負荷回路は、前記I/O電流と前記入力電圧との比である第1の係数を備えており、前記第1の係数は、前記I/O電流に対して、一定ではなく、前記I/O電流と前記入力電圧とが比例しない、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電流センサ回路は、比例回路と、前記比例回路と電気的に接続された比例電流取得負荷回路と、を有し、
前記比例回路は、前記入力電圧を入力に持ち、前記入力電圧を略1倍にした電圧を出力電圧として出力し、前記出力電圧を前記比例電流取得負荷回路に入力させ、前記比例電流取得負荷回路に前記センサ電流を流し、
前記比例電流取得負荷回路は、前記センサ電流が流れ込む端子と、前記センサ電流が流れ出る端子との間に、前記出力電圧が入力され、
前記比例電流取得負荷回路は、前記センサ電流と前記出力電圧との比である第2の係数を備えており、前記第1の係数と前記第2の係数との比は、略1倍であり同等であり、
前記I/O電流は、前記第1の係数と前記入力電圧との積であり、前記センサ電流は、前記第2の係数と前記出力電圧との積であり、前記入力電圧と前記出力電圧との比が略1倍である事から前記入力電圧と前記出力電圧とは同等であり、前記第1の係数と前記第2の係数との比が略1倍である事から前記第1の係数と前記第2の係数とは同等であり、
前記I/O電流は、前記第2の係数と前記出力電圧との積であると置き換える事ができ、前記センサ電流は、前記第1の係数と前記入力電圧との積であると置き換える事ができ、前記I/O電流と前記センサ電流との比が略1倍となり、前記I/O電流と前記センサ電流とは比例する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電流センサ回路は、比例回路と、前記比例回路と電気的に接続された比例電流取得負荷回路と、を有し、
前記比例回路は、前記入力電圧を入力に持ち、前記入力電圧を略1倍にした電圧を出力電圧として出力し、前記出力電圧を前記比例電流取得負荷回路に入力させ、前記比例電流取得負荷回路に前記センサ電流を流し、
前記比例電流取得負荷回路は、前記センサ電流が流れ込む端子と、前記センサ電流が流れ出る端子との間に、前記出力電圧が入力され、
前記比例電流取得負荷回路は、前記センサ電流と前記出力電圧との比である第2の係数を備えており、前記第1の係数と前記第2の係数との比が略定数倍であり、
前記I/O電流は、前記第1の係数と前記入力電圧との積であり、前記センサ電流は、前記第2の係数と前記出力電圧との積であり、前記入力電圧と前記出力電圧との比が略1倍である事から前記入力電圧と前記出力電圧とは同等であり、前記第1の係数と前記第2の係数との比が略定数倍である事から前記第1の係数と前記第2の係数とは比例し、
前記I/O電流は、前記第2の係数と前記出力電圧との積に比例し、前記センサ電流は、前記第1の係数と前記入力電圧との積に比例し、前記I/O電流と前記センサ電流とは比例する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記I/O電流検出負荷回路及び前記比例電流取得負荷回路がダイオードであり、前記ダイオードは、同じ断面構造を持ち、
前記ダイオードは、PN接合ダイオード及びMOSトランジスタのドレインとバックゲート間に生成される寄生ダイオードの少なくともいずれかを含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記I/O電流検出負荷回路及び前記比例電流取得負荷回路がダイオードであり、前記ダイオードは、同じ断面構造を持ち、
前記ダイオードは、PN接合ダイオード及びMOSトランジスタのドレインとバックゲート間に生成される寄生ダイオードの少なくともいずれかを含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電流センサ回路に電気的に接続され、前記電流センサ回路から出力された前記出力情報を処理する情報処理回路をさらに備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記情報処理回路は、前記出力情報が所定の閾値を超えた場合に、前記電位供給端子及び前記I/O端子の少なくともいずれかに前記異常電流が流れたことを示す異常信号を出力する、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電位は、電源電位または接地電位である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記比例回路は、トランジスタ及び抵抗を含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記比例電流取得負荷回路は、前記I/O電流検出負荷回路と同じサイズまたは前記I/O電流検出負荷回路よりもサイズが小さい、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記電流センサ回路は、前記センサ電流をセンサ電圧に変換する変換回路をさらに有しており、
前記変換回路は、変換した前記センサ電圧を前記出力情報として出力する、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記変換回路は、電流ミラー及び抵抗を含む、
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記比例回路は、トランジスタ、抵抗及びバイアスを含む、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記比例回路は、トランジスタ、及び、トランジスタのダイオード接続多段積みを含む、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記センサ電流を基準値と比較する比較回路をさらに有しており、
前記比較回路は、前記センサ電流が前記基準値よりも大きい場合には、前記情報処理回路の誤動作耐量を大きくする、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記センサ電流を基準値と比較する比較回路をさらに有しており、
前記比較回路は、前記センサ電流が前記基準値よりも大きい場合には、前記情報処理回路で取り扱うデータを無効にする、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記I/O電流検出負荷回路及び前記比例電流取得負荷回路は、PN接合ダイオード、バイポーラトランジスタ及びMOSトランジスタの少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項19】
第1電位が供給される第1電位供給端子と、
外部と信号をやり取りするためのI/O端子と、
前記第1電位供給端子と前記I/O端子とに電気的に接続された第1I/O電流検出負荷回路と、
前記第1I/O電流検出負荷回路に流れる第1I/O電流を検出する第1電流センサ回路と、
前記第1電位とは電位が異なる第2電位が供給される第2電位供給端子と、
前記第2電位供給端子と前記I/O端子とに電気的に接続された第2I/O電流検出負荷回路と、
前記第2I/O電流検出負荷回路に流れる第2I/O電流を検出する第2電流センサ回路と、
を備え、
前記第1電流センサ回路は、前記第1I/O電流に比例した第1センサ電流を取得し、取得した前記第1センサ電流を第1出力情報として出力し、
前記第2電流センサ回路は、前記第2I/O電流に比例した第2センサ電流を取得し、取得した前記第2センサ電流を第2出力情報として出力し、
前記第1I/O電流及び前記第2I/O電流の少なくともいずれかは、静電気放電及び電磁感受性の少なくともいずれかにより前記I/O端子に流れる異常電流であって、異常状態となるような所定の電流よりも大きな電流である半導体装置。
【請求項20】
前記第1電流センサ回路及び前記第2電流センサ回路に電気的に接続され、前記第1出力情報及び前記第2出力情報の少なくともいずれかを処理する情報処理回路をさらに備えた、
請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人体に直接触れる端子を持つヘルスケア製品や、ケーブルが長く大きなノイズが発生する産業用モータ製品及び産業用センサ製品、並びに、自動運転により今まで以上に安全性を重視する車載製品等は、機能安全やセイフティーの観点から、搭載されるICに対して厳しいノイズ耐性を要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3249417号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Patnaik; M. Suchak; R. Seva; K. Pamidimukkala; G. Edgington NXP Semiconductors, Austin, TX; R. Moseley; J. Feddeler; M. Stockinger; D. Beetner, ”On-Chip sensors to measure level of transient events”, [online], 2017, 39th Electrical Overstress / Electrostatic Discharge Symposium (EOS/ESD), [2021年11月17日検索], インターネット, <https://ieeexplore.ieee.org/document/8073459>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのノイズは、静電気放電ESD(Electro Static Discharge)や電磁感受性EMS(Electromagnetic Susceptibility)と呼ばれ、ICを搭載している基板の外部と信号をやり取りするための入出力端子(I/O端子)からノイズ電流をICに流す。前記ノイズ電流をI/O電流とも呼ぶ。
前記ノイズ電流(I/O電流)はICの通常動作時電流よりも大きく、IC破壊や誤動作といったICが異常状態となるような電流であり、ICを搭載する製品の安全性が大きく損なわれてしまう。従って、これらESDやEMSによって発生するノイズ電流(I/O電流)をIC内で検出する事により、IC破壊や誤動作といったICの異常状態を検知し警告する、もしくは、その検出結果を元に、IC破壊や誤動作に対する堅牢性を向上させる機能を用いる事ができるようになり、ESDやEMSのノイズ電流における製品の安全性が確保される。故に、このノイズ電流(I/O電流)の検出精度および測定精度の向上が所望されている。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、電位が供給される電位供給端子と、外部と信号をやり取りするためのI/O端子と、前記電位供給端子と前記I/O端子とに電気的に接続されたI/O電流検出負荷回路と、前記I/O電流検出負荷回路に流れる電流であるI/O電流を検出する電流センサ回路と、を備え、前記第1電流センサ回路は、前記I/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得した前記センサ電流を出力情報として出力する。前記I/O電流検出負荷回路に流れる電流は、前記ノイズ電流および前記I/O電流と同じものである。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、ノイズ電流の測定精度を向上させることができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】比較例に係る半導体装置を例示した構成図である。
図2】比較例に係る半導体装置を例示した構成図である。
図3】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路及び電流センサ回路を例示した構成図である。
図4】比較例に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した構成図である。
図5】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路及び比例回路を例示した構成図である。
図6】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路のI-V変換係数αを例示したグラフであり、横軸は、端子間の入力電圧を示し、縦軸は、I/O電流検出負荷回路に流れる電流を示す。
図7】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路のI-V変換係数α及び比例回路の比例定数βの遷移を例示した図である。
図8】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路のI-V変換係数αに付加される特性を例示したグラフであり、横軸は、端子間の入力電圧を示し、縦軸は、I/O電流検出負荷回路に流れる電流を示す。
図9】比較例に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路のI-V変換係数α及び比例回路の比例定数βの遷移を例示した図である。
図10】実施形態1に係る半導体装置を例示した構成図である。
図11】実施形態1に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路及び電流センサ回路を例示した構成図である。
図12】実施形態1に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路のI-V変換係数α及び比例回路の比例定数βの遷移を例示した図である。
図13】実施形態1に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図14】実施形態1に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図15】実施形態1に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図16】実施形態1に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図17】実施形態2に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図18】実施形態2に係る半導体装置において、別の電流センサ回路を例示した回路図である。
図19】実施形態2に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。
図20】実施形態2に係る半導体装置において、別の電流センサ回路を例示した回路図である。
図21】実施形態2に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路及び電流センサ回路を例示した回路図である。
図22】実施形態2に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した構成図である。
図23】実施形態3に係る半導体装置を例示した構成図である。
図24】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した図である。
図25】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した図である。
図26】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
図27】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
図28】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
図29】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
図30】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
図31】実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路を例示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
実施形態に係る半導体装置を説明する前に、比較例に係る半導体装置及び課題を説明する。これにより、実施形態に係る半導体装置をより明確にする。なお、比較例に係る半導体装置も、実施形態の技術思想の範囲に含まれる。
【0012】
(比較例)
図1は、比較例に係る半導体装置を例示した構成図である。図1に示すように、比較例に係る半導体装置1001は、基板10を備えている。基板10には、端子T11及び端子T12、IC(Integrated Circuit)20、電位供給配線LSU、グランド配線LGR、基板負荷回路11及び基板負荷回路12、信号線13及び信号線14が形成されている。なお、基板10には、さらに、いくつかの配線、信号線及び回路が形成されてもよい。
【0013】
端子T11は、例えば、前述した入出力端子(I/O端子)であり、外部と信号をやり取りするためのものである。入出力端子を、I/O端子とも呼ぶ。端子T11は、信号線13に接続されている。端子T12は、例えば、前述した入出力端子(I/O端子)であり、外部と信号をやり取りするためのものである。端子T12は、信号線14に接続されている。電位供給配線LSUは、電位供給源に接続されている。よって、電位供給配線LSUには、所定の電位が供給される。所定の電位を第1電位と呼ぶ。所定の電位は、例えば、電源電位である。グランド配線LGRは、グランドに接続されている。よって、グランド配線LGRには、第1電位とは電位が異なるグランド電位(接地電位)が供給される。グランド電位を第2電位と呼ぶ。グランド電位は、例えば、0Vとしてもよい。
【0014】
基板負荷回路11は、電位供給配線LSUとグランド配線LGRとに電気的に接続されている。つまり、基板負荷回路11の一方の端子は、電位供給配線LSUに接続され、他方の端子は、グランド配線LGRに接続されている。基板負荷回路12は、信号線14とグランド配線LGRとに電気的に接続されている。つまり、基板負荷回路12の一方の端子は、信号線14に接続され、他方の端子は、グランド配線LGRに接続されている。基板負荷回路11及び基板負荷回路12は、基板10上に形成された所定の回路である。
【0015】
IC20は、I/O電流検出負荷回路110、I/O電流検出負荷回路120、I/O電流検出負荷回路130、I/O電流検出負荷回路140、電流センサ回路1210、電流センサ回路1220、情報処理回路310、情報処理回路320、電源供給負荷回路21、電源供給負荷回路22、信号線23、信号線24、端子T21、端子T22、端子T31、端子T32、配線L11、配線L12、配線L21及び配線L22を備えている。なお、IC20には、さらに、いくつかの配線、信号線及び回路が形成されてもよい。
【0016】
端子T21には、基板10に形成された信号線13が接続されている。また、端子T21には、IC20に形成された信号線23が接続されている。よって、端子T11に入力された信号は、信号線13及び端子T21を介して信号線23に入力される。端子T21は、外部と信号をやり取りするための端子である。端子T21を入出力端子(I/O端子)とも呼ぶ。端子T22には、基板10に形成された信号線14が接続されている。また、端子T22には、IC20に形成された信号線24が接続されている。よって、端子T12に入力された信号は、信号線14及び端子T22を介して信号線24に入力される。端子T22は、外部と信号をやり取りするための端子である。端子T22を入出力端子(I/O端子)とも呼ぶ。
【0017】
電位供給配線LSUは、端子T31を介して、配線L11に接続されている。よって、端子T31及び配線L11には、第1電位が供給されている。端子T31を第1電位供給端子SUとも呼ぶ。配線L12は、図示しない電位供給配線に接続され、所定の電位SU3が供給されている。グランド配線LGRは、端子T32を介して配線L21に接続されている。よって、端子T32及び配線L21には、第2電位が供給されている。端子T32を第2電位供給端子またはグランド端子GRとも呼ぶ。配線L22は、配線L21に接続されている。よって、配線L22には、配線L21及び端子T32を介して第2電位が供給されている。
【0018】
I/O電流検出負荷回路110は、配線L11と信号線23とに接続されている。配線L11は、端子T31に接続し、信号線23は、端子T21に接続しているので、I/O電流検出負荷回路110は、端子T31と端子T21とに電気的に接続されている。具体的には、I/O電流検出負荷回路110は、2つの端子111及び112を有し、一方の端子111は、配線L11に接続され、他方の端子112は、信号線23に接続されている。
【0019】
I/O電流検出負荷回路120は、配線L22と信号線23とに接続されている。配線L22は、端子T32に接続し、信号線23は、端子T21に接続しているので、I/O電流検出負荷回路120は、端子T32と端子T21とに電気的に接続されている。具体的には、I/O電流検出負荷回路120は、2つの端子121及び122を有し、一方の端子121は、信号線23に接続され、他方の端子122は、配線L22に接続されている。
【0020】
I/O電流検出負荷回路130は、配線L12と信号線24とに接続されている。配線L12は、端子T33(図2参照、電位供給端子SU3と呼ぶ)に接続し、信号線24は、端子T22に接続しているので、I/O電流検出負荷回路130は、端子T33と端子T22とに電気的に接続されている。具体的には、I/O電流検出負荷回路130は、2つの端子131及び132を有し、一方の端子131は、配線L12に接続され、他方の端子132は、信号線24に接続されている。
【0021】
I/O電流検出負荷回路140は、配線L21と信号線24とに接続されている。配線L21は、端子T32に接続し、信号線24は、端子T22に接続しているので、I/O電流検出負荷回路140は、端子T32と端子T22とに電気的に接続されている。具体的には、I/O電流検出負荷回路140は、2つの端子141及び142を有し、一方の端子141は、信号線24に接続され、他方の端子122は、配線L21に接続されている。
【0022】
電流センサ回路1210は、I/O電流検出負荷回路110に流れる電流であるI/O電流を検出する。具体的には、電流センサ回路1210は、2つの端子211及び212を有し、一方の端子211は、I/O電流検出負荷回路110の一方の端子111に接続し、他方の端子212は、I/O電流検出負荷回路110の他方の端子112に接続されている。電流センサ回路1210は、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得したセンサ電流を出力情報として出力する。
【0023】
また、電流センサ回路1210は、I/O電流検出負荷回路120に流れる電流であるI/O電流を検出する。具体的には、電流センサ回路1210は、さらに2つの端子213及び214を有し、一方の端子213は、I/O電流検出負荷回路120の一方の端子121に接続し、他方の端子214は、I/O電流検出負荷回路120の他方の端子122に接続されている。電流センサ回路1210は、I/O電流検出負荷回路120に流れるI/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得したセンサ電流を出力情報として出力する。
【0024】
電流センサ回路1220は、I/O電流検出負荷回路130に流れる電流であるI/O電流を検出する。具体的には、電流センサ回路1220は、2つの端子221及び222を有し、一方の端子221は、I/O電流検出負荷回路130の一方の端子131に接続し、他方の端子222は、I/O電流検出負荷回路130の他方の端子132に接続されている。電流センサ回路1220は、I/O電流検出負荷回路130に流れるI/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得したセンサ電流を出力情報として出力する。
【0025】
また、電流センサ回路1220は、I/O電流検出負荷回路140に流れる電流であるI/O電流を検出する。具体的には、電流センサ回路1220は、さらに2つの端子223及び224を有し、一方の端子223は、I/O電流検出負荷回路140の一方の端子141に接続し、他方の端子224は、I/O電流検出負荷回路140の他方の端子142に接続されている。電流センサ回路1220は、I/O電流検出負荷回路140に流れるI/O電流に比例したセンサ電流を取得し、取得したセンサ電流を出力情報として出力する。
【0026】
I/O電流は、静電気放電及び電磁感受性の少なくともいずれかによりI/O端子に流れる異常電流であって、半導体装置1001の異常状態となるような所定の電流よりも大きな電流である。
【0027】
情報処理回路310は、電流センサ回路1210に電気的に接続されている。情報処理回路310は、電流センサ回路1210から出力された出力情報を処理する。情報処理回路320は、電流センサ回路1220に接続されている。情報処理回路320は、電流センサ回路1220から出力された出力情報を処理する。情報処理回路310及び320は、電流センサ回路1210から出力された出力情報及び電流センサ回路1220から出力された出力情報の少なくともいずれかが所定の閾値を超えた場合に、端子T31(電位供給端子SU)、端子T21(入出力端子、I/O端子とも呼ぶ。)、端子T22(入出力端子、I/O端子とも呼ぶ。)及び端子T32(グランド端子GR)等の少なくともいずれかに異常電流が流れたことを示す異常信号を出力する。
【0028】
電源供給負荷回路21は、例えば、2つの端子を有し、一方の端子は、配線L11に接続し、他方の端子は、配線L21に接続されている。電源供給負荷回路22は、例えば、2つの端子を有し、一方の端子は、配線L12に接続し、他方の端子は、配線L21に接続されている。
【0029】
半導体装置1001は、このような構成とすることで、基板10の外に出る端子T11及びT12から、端子T21及びT22(入出力端子、I/O端子とも呼ぶ。)を介してIC20内に侵入してくるESD/EMS電流を電流センサ回路1210及び1220によって測定する。情報処理回路310及び320は、測定した電流量を処理することにより、各端子T11及びT12の電流ストレス量を把握する。そして、情報処理回路310及び320は、把握した情報を基に、IC破壊や誤動作の可能性があるかどうかを検出する。
【0030】
図2は、比較例に係る半導体装置1001を例示した構成図である。図2に示すように、電流センサ回路1210は、電位供給配線LSU2とグランド配線LGRとに電気的に接続されている。具体的には、電流センサ回路1210は、さらに2つの端子215及び216を有し、一方の端子215は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子216は、グランド配線LGRに接続されている。
【0031】
電流センサ回路1220は、電位供給配線LSU2とグランド配線LGRとに電気的に接続されている。具体的には、電流センサ回路1220は、さらに2つの端子225及び226を有し、一方の端子225は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子226は、グランド配線LGRに接続されている。
【0032】
電流センサ回路1210及び1220が電位供給配線LSU2を使用する理由は、他の電源(SU、SU3)が高耐圧端子であっても、低耐圧で構成されるA/D変換回路350、メモリ回路360及びCPU回路370の電源電圧との整合性を保つためである。
【0033】
電流センサ回路1210は、さらに2つの端子217及び218を有している。2つの端子217及び218は、情報処理回路330に接続されている。電流センサ回路1210は、2つの端子217及び218を介して情報処理回路330に出力情報を出力する。電流センサ回路1220は、さらに2つの端子227及び228を有している。2つの端子227及び228は、情報処理回路330に接続されている。電流センサ回路1220は、2つの端子227及び228を介して情報処理回路330に出力情報を出力する。
【0034】
情報処理回路330は、前述の情報処理回路310及び320を単体で示したものである。情報処理回路330は、一時保持回路340、A/D変換回路350、メモリ回路360、CPU回路370を有してもよい。情報処理回路330は、電位供給配線LSU2とグランド配線LGRとに電気的に接続されている。具体的には、情報処理回路330の各構成は、電位供給配線LSU2とグランド配線LGRとに電気的に接続されている。
【0035】
一時保持回路340は、2つの端子341及び342を有し、一方の端子341は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子342は、グランド配線LGRに接続されている。また、一時保持回路340は、端子217及び端子218により電流センサ回路1210に接続されている。一時保持回路340は、端子227及び端子228により電流センサ回路1220に接続されている。一時保持回路340は、電流センサ回路1210及び1220が測定した電流量を、一時的に保持する。一時保持回路340は、ESDのスピードに対してA/D変換回路350の応答スピードが間に合わないため、A/D変換回路350の応答スピードが間に合う時間以上、電流センサ回路1210及び1220の測定した電流量を保持する。
【0036】
A/D変換回路350は、2つの端子351及び352を有し、一方の端子351は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子352は、グランド配線LGRに接続されている。また、A/D変換回路350は、一時保持回路340に接続されている。具体的には、A/D変換回路350は、さらに2つの端子353及び354を有し、各端子353及び354は、一時保持回路340に接続されている。さらに、A/D変換回路350は、2つの端子355及び356を有し、各端子355及び356は、一時保持回路340に接続されている。A/D変換回路350は、電流センサ回路1210及び1220が測定した電流量をA/D変換する。
【0037】
メモリ回路360は、2つの端子361及び362を有し、一方の端子361は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子362は、グランド配線LGRに接続されている。また、メモリ回路360は、端子363を介して、A/D変換回路350に接続されている。さらに、メモリ回路360は、端子373を介して、CPU回路370に接続されている。メモリ回路360は、A/D変換された電流量を保存する。メモリ回路360は、保存した電流量を必要に応じてCPU回路370に出力する。メモリ回路360は、長期的に電流量の保存が必要になる場合は、不揮発性メモリを使用する。
【0038】
CPU回路370は、2つの端子371及び372を有し、一方の端子371は、電位供給配線LSU2に接続され、他方の端子372は、グランド配線LGRに接続されている。CPU回路370は、メモリ回路360に保存した電流量を読み取り、実用例に示した動作等を実行する。
【0039】
半導体装置1001は、例えば、実用例として、産業用モータに設けられた場合には、電流センサ回路1210及び1220によって測定された電流量が一定値を超えた場合に、IC20の破壊や誤動作の可能性ありと判断し、産業用モータにそれを知らせる。これにより、半導体装置1001は、モータ停止や回転数低減などの安全動作を促すことができる。具体的には、半導体装置1001において、情報処理回路330は、上述した構成とすることにより、電流センサ回路1210及び1220が測定した電流量を、一時保持回路340で一時的に保持し、A/D変換回路350でA/D変換した後、メモリ回路360に保存する。そして、情報処理回路330は、メモリ回路360に保存した電流量をCPU回路370で読み取り、実用例に示した動作などを実行する。
【0040】
図3は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110及び120並びに電流センサ回路1210を例示した構成図である。図3に示すように、電流センサ回路1210は、I/O電流検出負荷回路110及び120に流れるI/O電流を検出する。具体的には、電流センサ回路1210は、以下の機能を有している。すなわち、電位供給端子SU側(電位供給配線LSU側)のI/O電流検出負荷回路110にI/O電流が流れると、電流センサ回路1210の測定結果が端子217(OUTP)を介して情報処理回路330に出力される。グランド端子GR側(グランド配線LGR側)のI/O電流検出負荷回路120にI/O電流が流れると、電流センサ回路1210の測定結果が端子218(OUTN)を介して情報処理回路330に出力される。
【0041】
図4は、比較例に係る半導体装置1001において、電流センサ回路1210を例示した構成図である。図4に示すように、電流センサ回路1210は、比例回路410及び420を有している。電位供給端子SU側(電位供給配線LSU側)のI/O電流検出負荷回路110にI/O電流が流れると、端子217(OUTP)に出力する比例回路410が応答する。具体的には、比例回路410の電流測定結果が端子217(OUTP)を介して情報処理回路330に出力される。グランド端子GR側(グランド配線LGR側)のI/O電流検出負荷回路120に電流が流れると、端子218(OUTN)に出力する比例回路420が応答する。具体的には、比例回路420の電流測定結果が端子218(OUTN)を介して情報処理回路330に出力される。
【0042】
電位供給端子SU側(電位供給配線LSU側)及びグランド端子GR側(グランド配線LGR側)のどちらの場合も同じ課題が発生するため、以下では、例えば、電位供給端子SU側(電位供給配線LSU側)に着目して説明する。
【0043】
図5は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110及び比例回路410を例示した構成図である。図5に示すように、I/O電流検出負荷回路110にI/O電流IIOが流れる場合に、比例回路410に入力される入力電圧をVIOとする。入力電圧VIOは、I/O電流検出負荷回路110の端子111及び端子112間の電圧である。I/O電流検出負荷回路110は、I/O電流検出負荷回路110にI/O電流が流れると、I/O電流検出負荷回路110のI/O電流が流れ込む端子112と、I/O電流検出負荷回路110のI/O電流が流れ出る端子111との間に、入力電圧VIOを発生させる。入力電圧VIOは、端子211及び212によって比例回路410に入力される。この場合に、比例回路410が出力する出力電圧VOUTを用いてI/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを類推することを試みる。
【0044】
図6は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数αを例示したグラフであり、横軸は、端子111及び端子112間の入力電圧VIOを示し、縦軸は、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを示す。図6に示すように、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数αは、グラフの傾きとして、ΔIIO/ΔVIOで表される。すなわち、I-V変換係数αは、(1)式で表される。I-V変換係数αは、固定値である。
【0045】
α=(ΔIIO/ΔVIO) (1)
【0046】
一方、比例回路410は、入力電圧VIOに対する出力電圧VOUTの比例定数βを有している。すなわち、比例定数βは、(2)式で表される。比例定数βは、固定値である。
【0047】
β=(ΔVIO/ΔVOUT) (2)
【0048】
図7は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数α及び比例回路410の比例定数βの遷移を例示した図である。図7に示すように、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOは、入力電圧VIOにI-V変換係数αをかけたものである。すなわち、I/O電流IIOは、(3)式で表される。
【0049】
IIO=α×VIO (3)
【0050】
比例回路410に入力される入力電圧VIOは、比例回路410が出力する出力電圧VOUTに比例定数βをかけたものである。すなわち、入力電圧VIOは、(4)式で表される。
【0051】
VIO=β×VOUT (4)
【0052】
したがって、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数α及び比例回路410の比例定数βを用いて、比例回路410の出力電圧VOUTからI/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを以下の(5)式により求めることができる。
【0053】
IIO=α×β×VOUT (5)
【0054】
このようなI/O電流IIOを求めるためには、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数α及び比例回路410の比例定数βを特定する必要がある。しかしながら、I/O電流検出負荷回路110の特性は、IIO電流のスピードや波形の形状によって大きく変化する。このため、一意にI/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数αを特定することが困難である。
【0055】
図8は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数αに付加される特性を例示したグラフであり、横軸は、端子111及び端子112間の入力電圧VIOを示し、縦軸は、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを示す。図8に示すように、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOのスピードや形状に応じてI-V変換係数αに特性A1及び特性A2が付加される。よって、特定困難なオフセット分の電流測定誤差が発生し、比例回路410の電流測定精度が悪化する場合がある。
【0056】
図9は、比較例に係る半導体装置1001において、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数α及び比例回路410の比例定数βの遷移を例示した図である。図9に示すように、I-V変換係数αにはオフセットOffset分が付加されるため、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOは、入力電圧VIOにI-V変換係数(Offset+α)をかけたものである。すなわち、I/O電流IIOは、(6)式で表される。
【0057】
IIO=(Offset+α)×VIO (6)
【0058】
比例回路410に入力される入力電圧VIOは、比例回路410が出力する出力電圧VOUTに比例定数βをかけたものである。すなわち、入力電圧VIOは、(7)式で表される。
【0059】
VIO=β×VOUT (7)
【0060】
したがって、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数(Offset+α)及び比例回路410の比例定数βを用いて、比例回路410の出力電圧VOUTからI/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOを以下の(8)式により求めることができる。
【0061】
IIO=(Offset+α)×β×VOUT (8)
【0062】
オフセットOffsetが含まれ、比例回路410の電流測定精度が低下している場合には、上述したI/O電流IIOを求める仕組みを成立させることが困難という新たな課題を発見した。すなわち、I/O電流検出負荷回路110は、I/O電流IIOと入力電圧VIOとの比である第1の係数を備えており、第1の係数は、I/O電流IIOに対して、一定ではなく、I/O電流IIOと入力電圧VIOとが比例しない。したがって、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOが少ない場合であっても、I/O電流IIOが多く流れていると誤認識することがあり、本来ストレスが掛かっていない端子T21等を、ESD/EMS電流等のストレスがかかっていると誤検知してしまう。また、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOが多い場合であっても、少ないI/O電流IIOしか流れていないと誤認識することがあり、本来ストレスがかかっている端子T21等を見過ごしてしまう。このようなことから、ノイズ電流等の電流の測定精度を向上させることが所望されている。
【0063】
(実施形態1)
次に、実施形態1に係る半導体装置を説明する。本実施形態は、比較例で示した比例回路410の電流測定精度を向上させ、I/O電流検出負荷回路110に流れる電流IIOを求める仕組みを機能させるものである。
【0064】
図10は、実施形態1に係る半導体装置を例示した構成図である。図10に示すように、本実施形態の半導体装置1は、比較例における電流センサ回路1210及び1220の代わりに、電流センサ回路210及び220を備えている。これ以外の構成は、比較例の半導体装置1001の構成と同様である。以下で、<比例回路及び比例電流取得負荷回路の構成>を説明した後で、<比例回路の具体的回路例>を説明する。そして、もう一つの課題を解決する<比例電流取得負荷回路のサイズ縮小化>を説明する。
【0065】
<比例回路及び比例電流取得負荷回路の構成>
図11は、実施形態1に係る半導体装置1において、I/O電流検出負荷回路110及び電流センサ回路210を例示した構成図である。図11に示すように、本実施形態の電流センサ回路210は、比例回路410及び比例電流取得負荷回路510を有する。比例電流取得負荷回路510は、比例回路410と電気的に接続されている。
【0066】
比例回路410は、端子211及び212に接続されている。よって、電位供給端子SU側(電位供給配線LSU側)のI/O電流検出負荷回路110にI/O電流IIOが流れると、比例回路410は、電流測定結果を端子217(OUTP)に出力する。比例回路410の比例定数βは、1倍となるように設定されている。なお、1倍とは、厳密に1倍だけでなく、測定誤差等の不可避的な範囲を含んだ略1倍を意味する。後述する1倍も同様である。
【0067】
比例電流取得負荷回路510は、端子217とグランド配線LGRとに接続されている。具体的には、比例電流取得負荷回路510は、2つの端子511及び512を有し、一方の端子511は、端子217に接続されている。他方の端子512は、グランド配線LGRに接続されている。比例電流取得負荷回路510は、I/O電流検出負荷回路110と同じ負荷回路を用いている。
【0068】
比例電流取得負荷回路510は、I/O電流IIOに比例した電流を取得するための負荷回路であり、別の表現をすれば、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOのスピードや形状の影響でI-V変換係数αが変化することにより生じる電流測定誤差をキャンセルするための負荷回路とも言える。I/O電流検出負荷回路110と比例電流取得負荷回路510の構成は、例えば、後述するPN接合ダイオードやMOSトランジスタ等が挙げられる。なお、負荷回路の構成は、これらに限定されない。
【0069】
このように、本実施形態の半導体装置1において、電流センサ回路210は、比例回路410の比例定数βを1倍にし、I/O電流検出負荷回路110と同じ負荷回路を比例電流取得負荷回路510として使用する。これにより、電流センサ回路210は、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOに比例した出力電流IOUTを取得することができる。出力電流IOUTをセンサ電流とも呼ぶ。比例回路410の比例定数βが1倍に設定されている場合には、出力電流IOUT(センサ電流)は、I/O電流IIOと同等である。すなわち、比例回路410は、入力電圧を入力に持ち、入力電圧を略1倍にした電圧を出力電圧として出力する。比例回路410は、出力電圧を比例電流取得負荷回路510に入力させ、比例電流取得負荷回路510に出力電流IOUT(センサ電流)を流す。比例電流取得負荷回路510は、出力電流IOUTが流れ込む端子511と、出力電流IOUTが流れ出る端子512との間に、出力電圧VOUTが入力される。電流センサ回路210は、取得した出力電流IOUTを出力情報として、情報処理回路310に出力する。
【0070】
図12は、実施形態1に係る半導体装置において、I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数α及び比例回路410の比例定数βの遷移を例示した図である。図12に示すように、I-V変換係数αにはオフセットOffset分が付加されるため、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOは、入力電圧VIOにI-V変換係数(Offset+α)をかけたものである。すなわち、I/O電流IIOは、(9)式で表される。
【0071】
IIO=(Offset+α)×VIO (9)
【0072】
比例電流取得負荷回路510に流れる出力電流IOUTは、比例回路410の出力電圧VOUTにI-V変換係数(Offset+α)をかけたものである。すなわち、出力電流IOUTは、(10)式で表される。
【0073】
IOUT=(Offset+α)×VOUT (10)
【0074】
(9)式及び(10)式は、(11)式及び(12)式に変形できる。
【0075】
VIO=IIO/(Offset+α) (11)
VOUT=IOUT/(Offset+α) (12)
【0076】
ここで、比例定数β=1であるので、(13)式が成り立つ。
比例回路410は、VIO=β×VOUTの(7)式で動作するからである。
【0077】
VIO=VOUT (13)
【0078】
(13)式より、(11)式及び(12)式を用いて(14)式が導かれる。
【0079】
IIO=IOUT (14)
【0080】
本実施形態では、同じ負荷回路のI/O電流検出負荷回路110及び比例電流取得負荷回路510に、それぞれ、入力電圧VIO及び出力電圧VOUTという同じ電圧がかかっているから、電流IIOと出力電流IOUTとは同等になる点を特徴としている。
【0081】
言い換えれば、比例電流取得負荷回路510は、出力電流IOUT(センサ電流)と出力電圧VOUTとの比である第2の係数を備えている。第1の係数と第2の係数との比は、略1倍であり同等である。I/O電流IIOは、第1の係数と入力電圧VIOとの積である。出力電流IOUT(センサ電流)は、第2の係数と出力電圧VOUTとの積である。入力電圧VIOと出力電圧VOUTとの比が略1倍である事から入力電圧VIOと出力電圧VOUTとは同等である。第1の係数と第2の係数との比が略1倍である事から第1の係数と第2の係数とは同等である。I/O電流IIOは、第2の係数と出力電圧VOUTとの積であると置き換える事ができる。出力電流IOUT(センサ電流)は、第1の係数と入力電圧VIOとの積であると置き換える事ができる。I/O電流IIOと出力電流IOUTとの比が略1倍となり、I/O電流IIOと出力電流IOUT(センサ電流)とは比例する。
【0082】
このようにして、本実施形態の半導体装置は、基板10の外に出る端子からIC20内に侵入してくるESD電流及びEMS電流の少なくともいずれかをIC20内の電流センサ回路210を用いて測定する。電流センサ回路210は、比例電流取得負荷回路510によって、比例回路410のI-V変換係数αのオフセットをキャンセルすることができる。これにより、ノイズ等の電流量の測定精度を向上させることができる。そして、測定した電流量を情報処理回路330で処理することにより、各端子の電流ストレス量を把握し、その情報を元にIC20の破壊や誤動作の可能性があるかどうかを検出することができる。このようにして、IC20の破壊や誤動作を適切に抑制することができる。
【0083】
<比例回路の具体的回路例>
次に、比例回路410の具体的な回路例を説明する。まず、端子T21(入出力端子、I/O端子とも呼ぶ。)から電位供給配線LSU側(電位供給端子SU側)に流れ込むI/O電流IIOPを測定する回路例を説明する。I/O電流IIOPを、本実施形態において、正電流と呼ぶ。
【0084】
図13は、実施形態1に係る半導体装置1において、電流センサ回路を例示した回路図である。図13に示すように、電流センサ回路210Pは、比例回路410P及び比例電流取得負荷回路510Pを有する。比例回路410Pは、P型トランジスタPT、N型トランジスタNT、抵抗Rを含んでいる。
【0085】
P型トランジスタPTのゲートは、電位供給配線LSUに接続されている。P型トランジスタPTのソースは、端子212及び信号線23を介して、端子T21に接続されている。P型トランジスタPTのドレインは、抵抗Rの一端に接続されている。
【0086】
抵抗Rの一端は、P型トランジスタPTのドレインに接続されている。抵抗Rの他端は、端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0087】
N型トランジスタNTのゲートは、P型トランジスタPTのドレイン及び抵抗Rの一端に接続されている。N型トランジスタNTのソースは、比例電流取得負荷回路510Pの端子511に接続されている。N型トランジスタNTのドレインは、P型トランジスタのソース及び端子212に接続されている。比例電流取得負荷回路510Pの端子512は、抵抗の他端及び端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0088】
ここで、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流をIIOPと呼び、比例回路410Pの入力電圧をVIOPと呼び、比例回路410Pの出力電圧をVOUTPと呼び、比例回路410Pの出力電流(センサ電流)をIOUTPと呼ぶ。I/O電流検出負荷回路110のI-V変換係数は、Offset(変動値)+α(固定値)である。比例回路410Pの比例定数は、β(固定値)であり、ΔVIOP/ΔVOUTPである。
【0089】
比例回路410Pは、I/O電流検出負荷回路110に流れる正電流IIOPと同等な出力電流IOUTPを以下の動作により取得する。
【0090】
動作1.入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)に正電流IIOPが流れると、入出力端子及び電位供給端子SU間に入力電圧VIOPが発生する。
【0091】
動作2.比例回路410Pは、比例定数β≒1倍で動作する。すなわち、(13)式と同様に(15)式が成り立つ。
【0092】
VIOP=VOUTP (15)
【0093】
動作3.I/O電流検出負荷回路110と比例電流取得負荷回路510Pとは、同じ負荷回路であることから、上記(9)~(12)、(14)と同様に、以下の(16)~(20)式が成立する。
【0094】
IIOP=(Offset+α)×VIOP (16)
IOUTP=(Offset+α)×VOUTP (17)
VIOP=IIOP/(Offset+α) (18)
VOUTP=IOUTP/(Offset+α) (19)
(15)式の関係から以下の(20)式となる。
IIOP=IOUTP (20)
【0095】
次に、グランド配線LGR側の端子T32(グランド端子GR)から端子T21(入出力端子、I/O端子とも呼ぶ。)に流れるI/O電流IIONを測定する回路例を説明する。I/O電流IIONを、本実施形態において、負電流と呼ぶ。
【0096】
図14は、実施形態1に係る半導体装置1において、電流センサ回路を例示した回路図である。図14に示すように、電流センサ回路210Nは、比例回路410N及び比例電流取得負荷回路510Nを有する。比例回路410Nは、N型トランジスタNT、P型トランジスタPT、及び、抵抗Rを含んでいる。
【0097】
N型トランジスタNTのゲートは、グランド配線LGRに接続されている。N型トランジスタNTのソースは、端子212及び信号線23を介して、端子T21に接続されている。N型トランジスタNTのドレインは、抵抗Rの一端に接続されている。
【0098】
抵抗Rの一端は、N型トランジスタNTのドレインに接続されている。抵抗Rの他端は、電位供給配線LSU2に接続されている。
【0099】
P型トランジスタPTのゲートは、N型トランジスタNTのドレイン及び抵抗Rの一端に接続されている。P型トランジスタPTのソースは、比例電流取得負荷回路510Nの端子512に接続されている。P型トランジスタPTのドレインは、N型トランジスタNTのソース及び端子212を介して端子T21に接続されている。比例電流取得負荷回路510Nの端子511は、電位供給配線LSU2に接続されている。
【0100】
ここで、I/O電流検出負荷回路120に流れるI/O電流をIIONと呼び、比例回路410Nの入力電圧をVIONと呼び、比例回路410Nの出力電圧をVOUTNと呼び、比例回路410Nの出力電流をIOUTNと呼ぶ。I/O電流検出負荷回路120のI-V変換係数は、Offset(変動値)+α(固定値)である。比例回路410Nが持つ比例定数は、β(固定値)であり、ΔVION/ΔVOUTNである。
【0101】
比例回路410Nは、I/O電流検出負荷回路120に流れる負電流IIONと同等なI/O電流IOUTNを以下の動作により取得する。
【0102】
動作1.入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)に負電流IIONが流れると、入出力端子及びグランド端子GR間に入力電圧VIONが発生する。
【0103】
動作2.比例回路410Nは、比例定数β≒1倍で動作する。すなわち、(15)式と同様に(21)式が成り立つ。
【0104】
VION=VOUTN (21)
【0105】
動作3.I/O電流検出負荷回路120と比例電流取得負荷回路510Nとは、同じ負荷回路であることから、上記(16)~(20)と同様に、以下の(22)~(26)式が成立する。
【0106】
IION=(Offset+α)×VION (22)
IOUTN=(Offset+α)×VOUTN (23)
VION=IION/(Offset+α) (24)
VOUTN=IOUTN/(Offset+α) (25)
(21)式の関係から以下の(26)式となる。
IION=IOUTN (26)
【0107】
上述した半導体装置では、実使用上において、以下の2点が課題になる場合がある。一つは、レイアウト面積増大である。IC20上において保護回路やドライバ回路等と同等の面積増加が考えられる。もう一つは、IC20のチップ内部電流増大によるチップ内部破壊の懸念である。I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOP及びI/O電流検出負荷回路120に流れるI/O電流IIONは、最大数アンペアである。同等の電流がIC20のチップ内部に流れるとチップ内部が破壊する可能性がある。そのような問題から、比例電流取得負荷回路510P及び510Nは、I/O電流検出負荷回路110及び120と同じサイズまたはI/O電流検出負荷回路110及び120より小さくすることが望ましい。
【0108】
<比例電流取得負荷回路のサイズ縮小化>
図15は、実施形態1に係る半導体装置1において、電流センサ回路を例示した回路図である。図15に示すように、電流センサ回路210PSは、比例回路410P及び比例電流取得負荷回路510PSを有している。比例電流取得負荷回路510PSは、I/O電流検出負荷回路110と同じサイズまたはI/O電流検出負荷回路110よりもサイズが小さい。
【0109】
ここで、比例電流取得負荷回路510PSのサイズを小さくする手法を以下に示す。まず、入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)から電位供給配線LSU側に流れ込むI/O電流IIOPを測定する回路の場合を説明する。以下の動作1~4により、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOPに比例した出力電流IOUTP(センサ電流)を取得する。
【0110】
動作1.入出力端子(端子T21)に正電流IIOPが流れると、入出力端子及び電位供給端子SU間に入力電圧VIOPが発生する。
【0111】
動作2.比例回路410Pは、比例定数β≒1倍で動作する。すなわち、(15)式が成り立つ。
【0112】
動作3.I/O電流検出負荷回路110と比例電流取得負荷回路510PSとは、同じ負荷回路で、比例電流取得負荷回路510PSは、I/O電流検出負荷回路110よりもサイズが小さい。よって、以下の(27)式が成り立つ。
【0113】
I/O電流検出負荷回路110のサイズ:比例電流取得負荷回路510PSのサイズ
=1:N (1>N) (27)
【0114】
動作4.以下の(28)~(32)式が成立する。
【0115】
IIOP=(Offset+α)×VIOP (28)
IOUTP=(Offset+α)×VOUTP×N (29)
VIOP=IIOP/(Offset+α) (30)
VOUTP=IOUTP/(Offset+α)×1/N (31)
(15)式の関係から以下の(32)式となる。
IIOP=IOUTP×1/N (32)
【0116】
次に、グランド配線LGRに接続された端子T32(グランド端子GR)から入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)に流れるI/O電流IIONを測定する回路の場合を説明する。図16は、実施形態1に係る半導体装置1において、電流センサ回路を例示した回路図である。図16に示すように、電流センサ回路210NSは、比例回路410N及び比例電流取得負荷回路510NSを有する。比例電流取得負荷回路510NSは、I/O電流検出負荷回路120よりもサイズが小さい。以下の動作1~4により、I/O電流検出負荷回路120に流れる電流IIONに比例した電流IOUTNを取得する。
【0117】
動作1.入出力端子(端子T21)に負電流IIONが流れると、入出力端子及びグランド端子GR間に入力電圧VIONが発生する。
【0118】
動作2.比例回路410Nは、比例定数β≒1倍で動作する。すなわち、(21)式が成り立つ。
【0119】
動作3.I/O電流検出負荷回路120と比例電流取得負荷回路510NSとは、同じ負荷回路で、比例電流取得負荷回路510NSは、I/O電流検出負荷回路120よりもサイズが小さい。よって、以下の(33)式が成り立つ。
【0120】
I/O電流検出負荷回路120のサイズ:比例電流取得負荷回路510NSのサイズ
=1:N (1>N) (33)
【0121】
動作4.以下の(34)~(38)式が成立する。
【0122】
IION=(Offset+α)×VION (34)
IOUTN=(Offset+α)×VOUTN×N (35)
VION=IION/(Offset+α) (36)
VOUTN=IOUTN/(Offset+α)×1/N (37)
(21)式の関係から以下の(38)式となる。
IION=IOUTN×1/N (38)
【0123】
このように、I/O電流検出負荷回路110及び120と、比例電流取得負荷回路510のサイズが違う場合、例えば、比例電流取得負荷回路510のサイズが小さい場合でも、I/O電流と出力電流(センサ電流)が比例関係になる。よって、第1の係数と第2の係数との比が略定数倍である。I/O電流は、第1の係数と入力電圧との積である。センサ電流は、第2の係数と出力電圧との積である。入力電圧と出力電圧との比が略1倍である事から入力電圧と出力電圧とは同等である。第1の係数と第2の係数との比が略定数倍である事から第1の係数と第2の係数とは比例する。I/O電流は、第2の係数と出力電圧との積に比例する。センサ電流は、第1の係数と入力電圧との積に比例する。I/O電流とセンサ電流とは比例する。
【0124】
このような構成とすることにより、半導体装置1のレイアウト面積の増大を抑制し、保護回路及びドライバ回路等に比べて面積増加を抑制することができる。また、IC20のチップ内部電流の増大を抑制し、チップ内部破壊を抑制することができる。
【0125】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、比例回路410の出力電流IOUTP及びIOUTNを電圧として出力する変換回路を含んでいる。まず、入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)から電位供給配線LSU側に流れ込むI/O電流IIOPを測定する回路の場合を説明する。
【0126】
図17は、実施形態2に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。図17に示すように、本実施形態の半導体装置2において、電流センサ回路230Pは、比例回路430P、比例電流取得負荷回路510P及び変換回路610Pを含んでいる。比例回路430Pは、P型トランジスタPT、N型トランジスタNT、抵抗Rs及びバイアスVbを含んでいる。変換回路610Pは、電流ミラーMR1、電流ミラーMR2及び抵抗Roを含んでいる。変換回路610Pは、比例回路430Pの出力電流IOUTPを出力電圧に変換する。出力電流IOUTPをセンサ電流とも呼び、出力電圧をセンサ電圧とも呼ぶ。変換回路610Pは、変換した出力電圧を出力情報として、情報処理回路310に出力する。
【0127】
P型トランジスタPTのゲートは、電位供給配線LSUに接続されている。P型トランジスタPTのソースは、端子212及び信号線23を介して、端子T21に接続されている。P型トランジスタPTのドレインは、抵抗Rsの一端に接続されている。
【0128】
抵抗Rsの一端は、P型トランジスタPTのドレインに接続されている。抵抗Rsの他端は、バイアスVbの正極端子に接続されている。バイアスVbの負極端子は、端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0129】
N型トランジスタNTのゲートは、P型トランジスタPTのドレイン及び抵抗Rの一端に接続されている。N型トランジスタNTのソースは、比例電流取得負荷回路510Pの端子511に接続されている。N型トランジスタNTのドレインは、P型トランジスタPTのソース及び端子212を介して、端子T21に接続されている。
【0130】
電流ミラーMR1は、2つのN型トランジスタNTを含む。各N型トランジスタNTのゲート同士は接続され、各N型トランジスタNTのソース同士は接続されている。電流ミラーMR1における一方のN型トランジスタNTのドレインとゲートとは接続されている。電流ミラーMR1の一方のN型トランジスタNTのドレインは、比例電流取得負荷回路510Pの端子512に接続されている。電流ミラーMR1の各N型トランジスタNTのソースは、バイアスVbの負極端子及び端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0131】
電流ミラーMR2は、2つのP型トランジスタPTを含む。各P型トランジスタPTのゲート同士は接続され、各P型トランジスタPTのソース同士は接続されている。電流ミラーMR2における一方のP型トランジスタPTのドレインとゲートとは接続されている。電流ミラーMR2における一方のP型トランジスタPTのドレインは、電流ミラーMR1における他方のN型トランジスタNTのドレインに接続されている。電流ミラーMR2の各P型トランジスタPTのソースは、電位供給配線LSU2に接続されている。電流ミラーMR2における他方のP型トランジスタPTのドレインは、抵抗Roの一端に接続されている。抵抗Roの他端は、電流ミラーMR1における各N型トランジスタNTのソース、バイアスVbの負極端子及び端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0132】
本実施形態の電流センサ回路230Pは、出力電流IOUTP(センサ電流)が流れる経路に電流ミラーMR1及びMR2を接続する。出力電流IOUTPをミラーした電流を抵抗Roに流すことで、出力電流IOUTPに比例した出力電圧VOUTP1を得る。このように、出力電流IOUTPを出力電圧VOUTP1に変換することにより、出力電流IOUTPを出力電圧VOUTP1として出力させることができる。なお、この場合には、電流ミラーMR1においてトランジスタを接続したダイオード接続MOSで発生する電圧降下をキャンセルするために、バイアスVbを要する。ドレインとゲートとを接続したトランジスタは、通称ダイオード接続MOSと呼ばれる。ダイオード接続MOSは、出力抵抗が他の回路の抵抗値に比べて小さい場合に、電圧源と等価として扱える。
【0133】
図18は、実施形態2に係る半導体装置2において、別の電流センサ回路を例示した回路図である。図18に示すように、別の電流センサ回路250Pは、比例回路450P、比例電流取得負荷回路510P及び変換回路610Pを有している。比例回路450Pは、抵抗Rs及びバイアスVbの代わりに、ダイオード接続多段積み3NTを有している。具体的には、抵抗Rs及びバイアスVbの代わりに、3つのN型トランジスタNTを接続している。第1のN型トランジスタNTのゲート及びドレインは、比例回路450PにおけるP型トランジスタPTのドレインに接続されている。第2のN型トランジスタのゲート及びドレインは、第1のN型トランジスタNTのソースに接続されている。第3のN型トランジスタのゲート及びドレインは、第2のN型トランジスタNTのソースに接続されている。第3のN型トランジスタNTのソースは、端子213を介してグランド配線LGRに接続されている。
【0134】
このように、電流センサ回路250Pにおける比例回路450Pは、抵抗Rs及びバイアスVbの機能をダイオード接続多段積み3NTで生成している。これは、線形領域では、ダイオード接続多段積み3NTが抵抗Rs及びバイアスVbと等価であることを用いている。
【0135】
次に、電流センサ回路230P及び230Nの出力電流IOUTP及びIOUTNを電圧として出力する回路のうち、グランド配線LGRに接続された端子T32から入出力端子(端子T21、I/O端子とも呼ぶ。)に流れるI/O電流IIONを測定する回路の場合を説明する。
【0136】
図19は、実施形態2に係る半導体装置において、電流センサ回路を例示した回路図である。図19に示すように、電流センサ回路230Nは、比例回路430N、比例電流取得負荷回路510N及び変換回路610Nを含んでいる。比例回路430Nは、N型トランジスタNT、P型トランジスタPT、抵抗Rs及びバイアスVbを含んでいる。変換回路610Nは、電流ミラーMR3及び抵抗Roを含んでいる。変換回路610Nは、比例回路430Nの出力電流IOUTNを出力電圧に変換する。出力電流IOUTNをセンサ電流とも呼び、出力電圧をセンサ電圧とも呼ぶ。変換回路610Nは、変換した出力電圧を出力情報として、情報処理回路310に出力する。
【0137】
N型トランジスタNTのゲートは、グランド配線LGRに接続されている。N型トランジスタNTのソースは、端子212及び信号線23を介して、端子T21に接続されている。N型トランジスタNTのドレインは、バイアスVbの負極端子及びP型トランジスタPTのゲートに接続されている。
【0138】
バイアスVbの正極端子は、抵抗Rsの一端に接続されている。抵抗Rsの他端は、電位供給配線LSU2に接続されている。
【0139】
P型トランジスタPTのゲートは、N型トランジスタNTのドレイン及びバイアスVbの負極端子に接続されている。P型トランジスタPTのソースは、比例電流取得負荷回路510Nの端子512に接続されている。P型トランジスタPTのドレインは、N型トランジスタNTのソース及び端子212を介して端子T21に接続されている。
【0140】
電流ミラーMR3は、2つのP型トランジスタPTを含む。各P型トランジスタPTのゲート同士は接続され、各P型トランジスタPTのソース同士は接続されている。電流ミラーMR3における一方のP型トランジスタPTのドレインとゲートとは接続されている。電流ミラーMR3の一方のP型トランジスタPTのドレインは、比例電流取得負荷回路510Nの端子511に接続されている。電流ミラーMR3の各P型トランジスタPTのソースは、抵抗Rsの他端とともに電位供給配線LSU2に接続されている。電流ミラーMR3における他方のP型トランジスタPTのドレインは、抵抗Roの一端に接続されている。抵抗Roの他端は、グランド配線LGRに接続されている。
【0141】
本実施形態の電流センサ回路230Nは、出力電流IOUTN(センサ電流)が流れる経路に電流ミラーMR3を接続する。出力電流IOUTNをミラーした電流を抵抗Roに流すことで、出力電流IOUTNに比例した出力電圧VOUTN1を得る。このように、出力電流IOUTNを出力電圧VOUTN1に変換することにより出力電流IOUTNを出力電圧VOUTN1として出力させることができる。なお、この場合には、電流ミラーMR3においてトランジスタを接続したダイオード接続MOSで発生する電圧降下をキャンセルするためにバイアスVbを要する。前述と同様に、ドレインとゲートとを接続したトランジスタは、通称ダイオード接続MOSと呼ばれる。ダイオード接続MOSは、出力抵抗が他の回路の抵抗値に比べて小さい場合に、電圧源と等価として扱える。
【0142】
図20は、実施形態2に係る半導体装置2において、別の電流センサ回路を例示した回路図である。図20に示すように、別の電流センサ回路250Nは、抵抗Rs及びバイアスVbの代わりに、ダイオード接続多段積み3PTを有している。具体的には、抵抗Rs及びバイアスVbの代わりに、3つのP型トランジスタPTを接続している。第1のP型トランジスタPTのソースは、電位供給配線LSU2に接続されている。第1のP型トランジスタPTのゲート及びドレインは、第2のP型トランジスタPTのソースに接続されている。第2のP型トランジスタPTのゲート及びドレインは、第3のP型トランジスタPTのソースに接続されている。第3のP型トランジスタPTのゲート及びドレインは、比例回路450NにおけるN型トランジスタNTのドレイン及び比例回路450NにおけるP型トランジスタPTのゲートに接続されている。
【0143】
このように、電流センサ回路250Nは、抵抗Rs及びバイアスVbの機能をダイオード接続多段積み3PTで生成している。これは、線形領域では、ダイオード接続多段積み3PTが抵抗Rs及びバイアスVbと等価であることを用いている。
【0144】
図21は、実施形態2に係る半導体装置2において、I/O電流検出負荷回路110及び120、並びに、電流センサ回路250を例示した回路図である。図22は、実施形態2に係る半導体装置2において、電流センサ回路250を例示した構成図である。
【0145】
図21及び図22に示すように、電流センサ回路250は、比例回路450P及び比例回路450Nを備えてもよい。比例回路450Pは、電位供給配線LSU側のI/O電流検出負荷回路110に流れる正電流IIOPを測定するものである。比例回路450Nは、グランド配線LGR側のI/O電流検出負荷回路120に流れる負電流IIONを測定するものである。比例回路450Pにおけるグランド配線LGRは、比例回路450Nにおけるグランド配線LGRと接続されている。比例回路450Pにおける電位供給配線LSU2は、比例回路450Nにおける電位供給配線LSU2と接続されている。
【0146】
本実施形態の半導体装置2によれば、電流センサ回路250は、I/O電流検出負荷回路110に流れる正電流IIOP及びI/O電流検出負荷回路120に流れる負電流IIONを測定することができる。
【0147】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、ESD及び/またはEMS電流が一定量以上流れたことを検出し、その検出信号をトリガにしてIC20の誤作動を防止する。
【0148】
図23は、実施形態3に係る半導体装置を例示した構成図である。図23に示すように、半導体装置3は、I/O電流検出負荷回路110及び120、電流センサ回路210、比較回路700、並びに、情報処理回路330を備えている。情報処理回路330は、例えば、IP380及びCPU370を含んでいる。比較回路700は、電流センサ回路210に接続されている。具体的には、電流センサ回路210の後段に比較回路700が設けられている。比較回路700は、IP380及びCPU370等の情報処理回路330に接続されている。
【0149】
比較回路700は、電流センサ回路210によって測定されたI/O電流検出負荷回路110及び120を流れるI/O電流IIOの電流量が基準値REFよりも大きいか比較する。基準値REFは、例えば、あらかじめ設定されている。比較回路700は、電流量が基準値REFよりも大きい場合には、以下に示す誤作動防止例を作動させ、IP380及びCPU370等の情報処理回路330の誤作動を抑制する。
【0150】
誤動作防止例1.ESD及び/またはEMS電流量が基準値REFを超えている期間、情報処理回路330の誤動作耐量を大きくする。例えば、情報処理回路330におけるIP380の誤動作耐量を大きくする。
【0151】
誤動作防止例2.ESD及び/またはEMS電流量が基準値REFを超えている期間、情報処理回路330で取り扱うデータを無効にする。例えば、情報処理回路330におけるCPU370で取り扱うデータを無効にする。
【0152】
このように、比較回路700は、入出力端子から基準値REF以上の電流が入力された場合に、ESD及び/またはEMS電流を検出したことを情報処理回路330におけるIP380、CPU370等に伝え、誤動作防止例を実行する。
【0153】
前述した比較例と、本実施形態との差異は、以下のとおりである。すなわち、比較例は、測定した電流量をメモリ回路360に長期的に保存し、その情報をCPU370が処理することで、IC20の破壊や誤動作の可能性があるかどうかを知る機能を有する。一方、本実施形態では、比較回路700は、測定した電流量が一時的にでも基準値REFを超えたことを検知し、IC20内のIP380やCPU370等に異常を知らせ、誤動作を防止する機能を有する。
【0154】
本実施形態の電流センサ回路210を使用せず、電流測定精度が低下している場合には、IP380及びCPU370等の情報処理回路330の誤作動を抑制することができない。I/O電流検出負荷回路110及び120に流れるI/O電流IIOが少ない場合であっても、多く流れていると誤認識し、よって、基準値REFを超えていると誤認識し、誤動作防止例1及び2を動作させてしまう。また、I/O電流検出負荷回路110に流れるI/O電流IIOが多い場合であっても、少ない電流しか流れていないと誤認識し、よって、基準値REFを超えていないと誤認識し、誤動作防止例1及び2を動作させない。これに対して、本実施形態では、電流センサ回路210を用いることで、電流測定精度を改善させることができ、IP380及びCPU370等の情報処理回路330の誤作動を抑制することができる。
【0155】
次に、I/O電流検出負荷回路110等と比例電流取得負荷回路510等の例を説明する。I/O電流検出負荷回路110等と比例電流取得負荷回路510等は、同じ負荷回路を含む。よって、以下では、I/O電流検出負荷回路110等を説明する。
【0156】
図24及び図25は、実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路110を例示した図である。図24に示すように、I/O電流検出負荷回路110は、PN接合ダイオードを含んでもよい。また、図25に示すように、I/O電流検出負荷回路110は、MOSトランジスタを含んでもよい。このように、I/O電流検出負荷回路110等及び比例電流取得負荷回路510等は、PN接合ダイオード及びMOSトランジスタの少なくともいずれかを含んでもよい。なお、I/O電流検出負荷回路110は、入出力端子(I/O端子とも呼ぶ。)から電位供給配線LSUまたは/及びグランド配線LGRに流れるI/O電流を検出することができれば、PN接合ダイオード及びMOSトランジスタ以外の回路を含んでもよい。例えば、バイポーラトランジスタを含んでもよい。
【0157】
次に、上述したI/O電流検出負荷回路110等の構造を説明する。図26図31は、実施形態1~3の半導体装置において、I/O電流検出負荷回路110を例示した断面図である。図26に示すように、MOSトランジスタは、P層(P-type Layer)上に配置されたドレイン(Drain)となるN層(N-type Layer)と、P層上に配置されたソース(Source)となるN層と、ドレインとなるN層上に配置されたSTIと、STI、ドレインとなるN層、P層及びソースとなるN層を覆うゲート(Gate)と、P層とソースとを結ぶバックゲート(Back Gate)と、を備えてもよい。
【0158】
また、図27に示すように、MOSトランジスタは、N層上に配置されたドレインとなるP層と、N層上に配置されたソースとなるP層と、ドレインとなるP層上に配置されたSTIと、STI、ドレインとなるP層、N層及びソースとなるP層を覆うゲートと、N層とソースとを結ぶバックゲートと、を備えてもよい。
【0159】
また、図28に示すように、MOSトランジスタは、P層上に配置されたドレインとなるN層と、P層上に配置されたソースとなるN層と、ドレインとなるN層、P層及びソースとなるN層を覆うゲートと、N層に接続したバックゲートと、を備えてもよい。
【0160】
また、図29に示すように、MOSトランジスタは、N層上に配置されたドレインとなるP層と、N層上に配置されたソースとなるP層と、ドレインとなるP層、N層及びソースとなるP層を覆うゲートと、N層に接続したバックゲートと、を備えてもよい。
【0161】
また、図30に示すように、MOSトランジスタは、P基板(P-substrate)と、P基板上に配置されたN埋め込み層(N-Buried)と、N埋め込み層上に配置されたNウェル(N-well)と、Nウェル上に配置されたソースとなるP+層と、Nウェル上にソースとなるP+層と隣接して配置されたN+層と、Nウェル上に配置されたPドリフト層(P-drift)と、Pドリフト層上に配置されたPウェル(P-well)と、Pドリフト層及びPウェルに接するようにPドリフト層及びPウェル上に配置されたSTIと、Pウェル上においてSTIと隣接するように配置されたドレインとなるP+層と、ソースとなるP+層、Nウェル、Pドリフト層及びSTIを覆うゲート(Gate)と、ソースとなるP+層とN+層とを結ぶバックゲートと、を備えてもよい。
【0162】
また、図31に示すように、MOSトランジスタは、P基板と、P基板上に配置されたN埋め込み層と、N埋め込み層上に配置されたPエピ層(P-EPI)と、Pエピ層上に配置されたPウェルと、Pウェル上に配置されたソースとなるN+層と、Pウェル上にソースとなるN+層と隣接して配置されたP+層と、Pエピ層上に配置されたNドリフト層(N-drift)と、Nドリフト層上に配置されたNウェルと、Nドリフト層及びNウェルに接するようにNドリフト層及びNウェル上に配置されたSTIと、Nウェル上においてSTIと隣接するように配置されたドレインとなるN+層と、ソースとなるN+層、Pウェル、Pエピ層、Nドリフト層及びSTIを覆うゲート(Gate)と、ソースとなるN+層とP+層とを結ぶバックゲートと、を備えてもよい。
【0163】
I/O電流検出負荷回路110等は、図26図31に示すようなMOSトランジスタを含んでもよい。N層(N-type Layer、N-buried、N-well、N-drift、N+等)とは、N型拡散層の事であり、P層(P-type Layer、P-substrate、P-drift、P-well、P-EPI、P+等)とは、P型拡散層の事である。如何なる不純物が混入されている場合でも、如何なる不純物濃度であったとしても、P型拡散層に該当する物はP層とし、N型拡散層に該当する物はN層とする。
【0164】
図26図28及び図31に示すように、N型MOSトランジスタの場合には、ドレイン(Drain)にはN層が電気的に接続されており、バックゲート(Back Gate)にはP層が電気的に接続されている。バックゲート及びドレイン間には、P層とN層とが結合した寄生ダイオードが存在する。
【0165】
図27図29及び図30に示すように、P型MOSトランジスタの場合には、ドレインにはP層が電気的に接続されており、バックゲートにはN層が電気的に接続されている。ドレイン及びバックゲート間には、P層とN層とが結合した寄生ダイオードが存在する。よって、前述した前記ダイオードは、PN接合ダイオード及びMOSトランジスタのドレインとバックゲート間に生成される寄生ダイオードの少なくともいずれかを含む。図25では、T31とT21との間は、図27、29、30に示すようなP型MOSトランジスタであり、T21とT32との間は、図26図28図31に示すようなN型MOSトランジスタであるが、その限りではなく、T31とT21との間にN型MOSトランジスタを用いても良く、T21とT32との間にP型MOSトランジスタを用いても良い。
【0166】
I/O電流検出負荷回路110等と、比例電流取得負荷回路510等がダイオードであり、ダイオードは、同じ断面構造を持つ。ここで、同じ断面構造とは、図26図31に示すように、断面構造が同じ、という意味である。つまり、同じ断面構造とは、製造ばらつきやプロセスばらつきなど正規分布内に含まれる違いは、同じ断面構造とする。また、同じ断面構造とは、P層、N層、STIの大きさが違う場合でも、同じ断面構造とする。また、同じ断面構造とは、ドレイン、ゲート、ソース、バックゲート各端子の位置に違いがある場合でも、同じ断面構造とする。
【0167】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施形態1~3の各構成を組み合わせたものも、技術的思想の範囲である。
【0168】
(付記21)
前記第1比例電流取得負荷回路は、前記第1I/O電流検出負荷回路と同じサイズまたは前記第1I/O電流検出負荷回路よりもサイズが小さく、
前記第2比例電流取得負荷回路は、前記第2I/O電流検出負荷回路と同じサイズまたは前記第2I/O電流検出負荷回路よりもサイズが小さい、
付記19に記載の半導体装置。
(付記22)
前記第1電流センサ回路は、前記第1センサ電流を第1センサ電圧に変換する第1変換回路をさらに有し、
前記第2電流センサ回路は、前記第2センサ電流を第2センサ電圧に変換する第2変換回路をさらに有し、
前記第1変換回路は、変換した前記第1センサ電圧を前記第1出力情報として出力し、
前記第2変換回路は、変換した前記第2センサ電圧を前記第2出力情報として出力する、
付記19に記載の半導体装置。
(付記23)
前記第1変換回路及び第2変換回路は、電流ミラー回路及び抵抗を含む、
付記22に記載の半導体装置。
(付記24)
前記第1比例回路及び前記第2比例回路は、トランジスタ、抵抗及びバイアスを含む、
付記23に記載の半導体装置。
(付記25)
前記第1比例回路及び前記第2比例回路は、トランジスタ、及び、トランジスタのダイオード接続多段積みを含む、
付記23に記載の半導体装置。
(付記26)
前記第1センサ電流及び前記第2センサ電流を基準値と比較する比較回路をさらに有しており、
前記比較回路は、前記第1センサ電流及び前記第2センサ電流の少なくともいずれかが前記基準値よりも大きい場合には、前記情報処理回路の誤動作耐量を大きくする、
付記19に記載の半導体装置。
(付記27)
前記第1センサ電流及び前記第2センサ電流を基準値と比較する比較回路をさらに有しており、
前記比較回路は、前記第1センサ電流及び前記第2センサ電流の少なくともいずれかが前記基準値よりも大きい場合には、前記情報処理回路で取り扱うデータを無効にする、
付記19に記載の半導体装置。
(付記28)
前記第1I/O電流検出負荷回路及び前記第1比例電流取得負荷回路、並びに、前記第2I/O電流検出負荷回路及び前記第2比例電流取得負荷回路は、PN接合ダイオード、バイポーラトランジスタ及びMOSトランジスタの少なくともいずれかを含む、
付記19に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0169】
1、2、3 半導体装置
10 基板
11、12 基板負荷回路
13、14 信号線
20 IC
21、22 電源供給負荷回路
23、24 信号線
110、120、130、140 I/O電流検出負荷回路
111、112、121、122、131、132、141、142 端子
210、220 電流センサ回路
210P、210N、210PS、210NS 電流センサ回路
230P、230N、250P、250N 電流センサ回路
211、212、213、214、215、216、217、218 端子
221、222、223、224、225、226、227、228 端子
310、320、330 情報処理回路
340 一時保持回路
341、342 端子
350 A/D変換回路
351、352、353、354、355、356 端子
360 メモリ回路
361、362、363 端子
370 CPU回路
371、372、373 端子
410、420 比例回路
410P、410N、430P、430N、450P、450N 比例回路
510、510P、510N、510PS、510NS 比例電流取得負荷回路
511、512 端子
610P、610N 変換回路
700 比較回路
1001 半導体装置
1210、1220 電流センサ回路
A1、A2 特性
GR グランド端子
IIO、IIOP、IION I/O電流
IOUT、IOUTP、IOUTN 出力電流
L11、L12 配線
L21、L22 配線
LGR グランド配線
LSU、LSU2 電位供給配線
MR1、MR2、MR3 電流ミラー
NT N型トランジスタ
Offset オフセット
REF 基準値
PT P型トランジスタ
R、Rs、Ro 抵抗
SU、SU2、SU3 電位供給端子
T11、T12、T21、T22、T31、T32、T33 端子
Vb バイアス
VIO、VIOP、VOIN 入力電圧
VOUT、VOUTP、VOUTP1、VOUTN、VOUTN1 出力電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図19
図20
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図22
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31