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特開2023-98093パケット監視装置、プログラム、およびパケット監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098093
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】パケット監視装置、プログラム、およびパケット監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/00 20090101AFI20230703BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230703BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20230703BHJP
【FI】
H04W24/00
H04W4/38
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214616
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】齊木 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】明石 貴靖
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発生した障害の原因をより正確に判断する装置、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】無線データセンシングシステムにおいて、パケット監視装置1は、無線通信端末3-1~3-7からエッジ端末4に送信されるセンサ情報パケットを監視し、ある無線通信端末3-1~3-7について、この無線通信端末3-1~3-7に接続されているセンサの計測周期に応じて定まる基準期間を経過してもセンサ情報パケットを検出しなかった場合、この無線通信端末3-1~3-7に異常が発生したと判断し、また、基準期間内にセンサ情報パケットを検出した場合でも、このセンサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時とパケット監視装置1におけるこのセンサ情報パケットの検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去のパケット到達時間に基づいて決定される閾値時間を超えていれば、伝搬路に遅延が発生したと判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに接続し、当該センサのセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する複数の無線通信端末と、前記センサ各々のセンサ情報を収集して管理するエッジ端末と、を有する無線データセンシングシステムにおいて、前記センサ情報パケットを監視するパケット監視装置であって、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットが、当該無線通信端末に接続されている前記センサの計測周期に応じて定まる基準期間内に検出されたか否かを監視する第1パケット監視手段と、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時と前記パケット監視装置による検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去の前記パケット到達時間に基づいて決定された閾値時間内であるか否かを監視する第2パケット監視手段と、
前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、当該無線通信端末に異常が発生したと判断し、前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出された前記無線通信端末について、前記第2パケット監視手段により前記パケット到達時間が前記閾値時間を超えていると判断された場合に、伝搬路に遅延が発生したと判断する原因判断手段と、を備えている
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパケット監視装置であって、
前記原因判断手段は、
前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、所定時間以内に伝搬路に遅延が発生したものと判断しているならば、当該無線通信端末ではなく伝搬路に異常が発生したものと判断する
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパケット監視装置であって、
前記複数の無線通信端末は、ツリー構造で無線接続されており、
前記無線通信端末は、
自無線通信端末に接続されたセンサのセンサ情報を含む前記センサ情報パケット、および、前記ツリー構造において自無線通信端末より下流に位置する他の前記無線通信端末より受信した前記センサ情報パケットを、前記ツリー構造において自無線通信端末より上流に位置する他の前記無線通信端末が存在するならば、当該上流に位置する他の前記無線通信端末に送信し、存在しないならば前記ゲートウェイに送信し、
前記原因判断手段は、
前記パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、前記ツリー構造において当該無線通信端末より上流に位置する他の前記無線通信端末が存在し、かつ所定時間以内に当該他の前記無線通信端末に異常が発生したものと判断したならば、当該無線通信端末は異常なしと判断する
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパケット監視装置であって、
前記無線通信端末は、
前記ツリー構造上当該無線通信端末の下流に位置する他の前記無線通信端末より受信した前記センサ情報パケットに自無線通信端末の送信日時を付加して送信し、
前記第2パケット監視手段は、
ネットワーク接続関係が変更され、変更後における過去の前記パケット到達時間が蓄積されていない前記無線通信端末から前記エッジ端末に送信された前記センサ情報パケットを検知した場合、前記ツリー構造において当該無線通信端末の上流に位置する他の前記無線通信端末が存在するならば、当該他の前記無線通信端末の前記閾値時間、および、当該センサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時と当該センサ情報パケットに付加されている当該他の前記無線通信端末の送信日時との差分であるパケット伝送時間に基づいて、当該無線通信端末の前記閾値時間を暫定的に決定する
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のパケット監視装置であって、
前記第1パケット監視手段は、
前記計測周期が設定されていない前記無線通信端末を監視対象から除外し、
前記原因判断手段は、
前記第1パケット監視手段の監視対象から除外された前記無線通信端末について、前記第2パケット監視手段により、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットの前記パケット到達時間が前記閾値時間を超えている場合に、伝搬路に遅延が発生したものと判断する
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパケット監視装置であって、
前記エッジ端末から、前記複数の無線通信端末各々の前記計測周期を含む設定情報を含む端末一覧情報を取得する端末一覧情報取得手段をさらに備える
ことを特徴とするパケット監視装置。
【請求項7】
センサに接続し、当該センサのセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する複数の無線通信端末と、前記センサ各々のセンサ情報を収集し管理するエッジ端末と、前記複数の無線通信端末から無線送信された前記センサ情報パケットを受信して前記エッジ端末に送信するゲートウェイと、を有する無線データセンシングシステムにおいて、前記センサ情報パケットを監視するパケット監視装置として、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットが、当該無線通信端末に接続されている前記センサの計測周期に応じて定まる基準期間内に検出されたか否かを監視する第1パケット監視手段、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時と前記パケット監視装置における検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去の前記パケット到達時間に基づいて決定された閾値時間内であるか否かを監視する第2パケット監視手段、および
前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、当該無線通信端末に異常が発生したものと判断し、前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出された前記無線通信端末について、前記第2パケット監視手段により当該センサ情報パケットの前記パケット到達時間が前記閾値時間を超えていると判断された場合に、伝搬路に遅延が発生したものと判断する原因判断手段として、前記コンピュータを機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
センサに接続し、当該センサのセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する複数の無線通信端末と、前記センサ各々のセンサ情報を収集し管理するエッジ端末と、前記複数の無線通信端末から無線送信された前記センサ情報パケットを受信して前記エッジ端末に送信するゲートウェイと、を有する無線データセンシングシステムにおいて、前記センサ情報パケットを監視するパケット監視方法であって、
前記ゲートウェイと前記エッジ端末との間にハブを配置して、当該ハブにより前記ゲートウェイから前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットをパケット監視装置にミラーリングし、
前記パケット監視装置は、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットが、当該無線通信端末に接続されている前記センサの計測周期に応じて定まる基準期間内に検出されたか否かを監視するとともに、前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時と前記パケット監視装置における検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去の前記パケット到達時間に基づいて決定された閾値時間内であるか否かを監視し、
前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、当該無線通信端末に異常が発生したものと判断し、前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出された前記無線通信端末について、当該センサ情報パケットの前記パケット到達時間が前記閾値時間を超えていると判断された場合に、伝搬路に遅延が発生したものと判断する
ことを特徴とするパケット監視方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoT(Internet of Things)を利用した無線データセンシングシステムのパケット監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoTを利用して工場等の各種設備の稼働状況等を管理する無線データセンシングシステムが普及している。無線データセンシングシステムは、工場等の各種設備に設置されたセンサと、センサに接続し、接続されたセンサのセンサ情報を無線送信する無線通信端末と、各センサのセンサ情報を収集して各種設備の稼働状況等を管理するエッジ端末と、無線通信端末から無線送信されたセンサ情報を受信してエッジ端末に送信するゲートウェイと、を備えて構成される。このような無線データセンシングシステムにおいては、通信障害を迅速に検知してその原因を特定することが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、無線センサネットワーク(無線データセンシングシステムに相当)によって収集されたセンサ情報に欠落が発生した場合に、その原因がノード(無線通信端末に相当)にあるのか、それとも伝搬路にあるのかを特定することができる原因特定装置が開示されている。この原因特定装置は、いずれかのノードにおいてセンサ情報の欠落が発生した場合に、センサ情報の欠落発生前後において、センサ情報が欠落したノードに近接するノード(近接ノードと呼ぶ)間の受信電力の受信レベルを比較する。近接ノード間の受信電力の受信レベルに変化がない場合、欠落発生後も近接ノード間で正しく受信できていると考えられるので、この場合、原因特定装置は、センサ情報が欠落したノード自身の異常をセンサ情報欠落の原因と判断する。一方、近接ノード間の受信電力の受信レベルに変化がある場合、欠落発生後は近接ノード間でも正しく受信できていないと考えられるので、この場合、原因特定装置は、無線ネットワークの伝搬路異常をセンサ情報欠落の原因と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-211317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、いずれかのノードでセンサ情報が欠落した場合にその原因を判断するものであり、センサ情報が欠落しない障害には対応していない。また、例えば、いずれかのノードでノード自身の異常によりセンサ情報が欠落した場合に、これと同じタイミングで、このノードの近接ノードのいずれかでもセンサ情報が欠落した場合、センサ情報の欠落発生前後において、近接ノード間の受信電力の受信レベルが変化する。このため、ノード自身の異常ではなく伝搬路異常がセンサ情報欠落の原因であると誤判断されてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、無線データセンシングシステムで発生した障害の原因をより正確に判断する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、センサに接続し、このセンサのセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する複数の無線通信端末と、各センサのセンサ情報を収集して管理するエッジ端末と、を有する無線データセンシングシステムにおいて、センサ情報パケットを監視するパケット監視装置を提供する。このパケット監視装置は、無線通信端末毎に、無線通信端末からエッジ端末に送信されるセンサ情報パケットを監視しており、この無線通信端末に接続されたセンサの計測周期に応じて定まる基準期間を経過しても、この無線通信端末からのセンサ情報パケットを検出しなかった場合、この無線通信端末に異常が発生したと判断する。また、無線通信端末からのセンサ情報パケットを基準期間内に検出した場合でも、このセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれるセンサ値の計測日時とパケット監視装置によるこのセンサ情報パケットの検知日時との差分(パケット到達時間)が、過去のパケット到達時間に基づき決定される閾値時間を超えているならば、伝搬路に遅延が発生したと判断する。
【0008】
例えば、本発明は、
センサに接続し、当該センサのセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する複数の無線通信端末と、前記センサ各々のセンサ情報を収集して管理するエッジ端末と、を有する無線データセンシングシステムにおいて、前記センサ情報パケットを監視するパケット監視装置であって、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットが、当該無線通信端末に接続されている前記センサの計測周期に応じて定まる基準期間内に検出されたか否かを監視する第1パケット監視手段と、
前記無線通信端末毎に、当該無線通信端末から前記エッジ端末に送信される前記センサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時と前記第1パケット監視手段による検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去の前記パケット到達時間に基づいて決定された閾値時間内であるか否かを監視する第2パケット監視手段と、
前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出されなかった前記無線通信端末について、当該無線通信端末に異常が発生したと判断し、前記第1パケット監視手段により前記基準期間内に前記センサ情報パケットが検出された前記無線通信端末について、前記第2パケット監視手段により前記パケット到達時間が前記閾値時間を超えていると判断された場合に、伝搬路に遅延が発生したと判断する原因判断手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、無線通信端末毎に、無線通信端末からのセンサ情報パケットを監視し、無線通信端末に接続されたセンサの計測周期に応じて定まる基準期間を経過しても、この無線通信端末からのセンサ情報パケットを検出しなかった場合に、この無線通信端末の端末異常を原因とする通信障害が発生したと判断する。また、無線通信端末からのセンサ情報パケットを基準期間内に検出した場合でも、このセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれるセンサ値の計測日時とパケット監視装置によるこのセンサ情報パケットの検知日時との差分(パケット到達時間)が、過去のパケット到達時間に基づいて決定される閾値時間を超えているならば、伝搬路遅延を原因とする通信障害がこの無線通信端末に発生したと判断する。このため、センサ情報パケットが欠落する通信障害が発生した場合に、その原因として無線通信端末の端末異常を特定することができるだけでなく、センサ情報パケットが欠落していない場合でも、通信障害の発生を検出してその原因(伝搬路遅延)を特定することができる。このように本発明によれば、無線データセンシングシステムで発生した障害の原因をより正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視準備処理を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第1の動作例を説明するためのシーケンス図である。
図4図4は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第2の動作例を説明するためのシーケンス図である。
図5図5は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第3の動作例を説明するためのシーケンス図である。
図6図6は、本発明の一実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第3の動作例を説明するためのシーケンス図であり、図5の続きである。
図7図7は、パケット監視装置1の概略機能構成図である。
図8図8は、端末監視テーブル記憶部102に記憶される端末監視テーブル1020の登録内容例を模式的に表した図である。
図9図9は、パケット情報蓄積部103の登録内容例を模式的に表した図である。
図10図10は、通信障害情報蓄積部104の登録内容例を模式的に表した図である。
図11図11は、パケット監視装置1のパケット監視準備処理を説明するためのフロー図である。
図12図12は、パケット監視装置1のパケット監視処理を説明するためのフロー図である。
図13図13は、パケット監視装置1のパケット監視処理を説明するためのフロー図であり、図12の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムは、IoTを利用して工場等の各種設備の稼働状況等を管理するためのものであり、複数のセンサ2-1~2-7(以下、単にセンサ2とも呼ぶ)と、複数の無線通信端末3-1~3-7(以下、単に無線通信端末3とも呼ぶ)と、エッジ端末4と、ゲートウェイ5と、ハブ6と、パケット監視装置1と、を備えて構成される。
【0014】
センサ2は、工場等の各種設備に設置されており、対象設備の稼働状況等に関するセンサ値を計測してセンサ値およびその計測日時を出力する。
【0015】
無線通信端末3は、センサ2に接続されており、このセンサ2がセンサ値を計測する都度、センサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットを無線送信する。
【0016】
ここで、無線通信端末3-1~3-7は、ゲートウェイ5を最上位とするツリー構造で無線接続されている。各無線通信端末3は、自無線通信端末3に接続されたセンサ2のセンサ情報を含むセンサ情報パケット、および、自無線通信端末3の接続関係を示すネットワーク接続情報を含むネットワーク接続情報パケットを、ツリー構造において自無線通信端末3より上流に位置する他の無線通信端末3(以下、親端末と呼ぶ)が存在するならば、この親端末に送信し、存在しないならばゲートウェイ5に送信する。また、各無線通信端末3は、ツリー構造において自無線通信端末3より下流に位置する他の無線通信端末3(以下、子端末と呼ぶ)が存在する場合、この子端末と親端末(親端末が存在しないならばゲートウェイ5)との間におけるパケットのやり取りを中継する。
【0017】
図1に示す例では、無線通信端末3-1、3-2には親端末が存在せず、それぞれがゲートウェイ5に無線接続されている。無線通信端末3-1の子端末は、無線通信端末3-3であり、無線通信端末3-3の子端末は、無線通信端末3-5である。無線通信端末3-5に子端末は存在しない。また、無線通信端末3-2の子端末は、無線通信端末3-4であり、無線通信端末3-4の子端末は、無線通信端末3-6、3-7である。無線通信端末3-6、3-7に子端末は存在しない。
【0018】
エッジ端末4は、各センサ2のセンサ情報を収集して管理し、工場等の各種設備の稼働状況をグラフ等により表示(見える化)するIoTサーバである。
【0019】
ゲートウェイ5は、各無線通信端末3から無線送信されたセンサ情報パケットを受信してエッジ端末4に送信する。
【0020】
ハブ6は、パケット監視装置1、エッジ端末4、およびゲートウェイ5間をネットワーク接続する。また、ハブ6は、ミラーリング機能を有し、エッジ端末4およびゲートウェイ5間で送受信されるパケットをパケット監視装置1にミラーリングする。
【0021】
そして、パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、ハブ6によってミラーリングされたセンサ情報パケットを監視して、端末異常、伝搬路遅延、および伝搬路異常を原因とする通信障害を検知する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視準備処理を説明するためのシーケンス図である。
【0023】
ここで、パケット監視準備処理とは、パケット監視装置1が各無線通信端末3から無線送信されるセンサ情報パケットを監視するために、各無線通信端末3の接続関係および各無線通信端末3に接続されたセンサの計測周期(以下、センサ計測周期と呼ぶ)等の情報を収集するための処理であり、例えば無線データセンシングシステムの起動時に実施される。
【0024】
まず、エッジ端末4は、各無線通信端末3に設定するセンサ計測周期を含む端末設定情報が格納された端末設定情報パケットを各無線通信端末3に送信する(S100)。この端末設定情報パケットは、ハブ6を経由してゲートウェイ5から各無線通信端末3に無線送信され、各無線通信端末3は、端末設定情報パケットに含まれている自無線通信端末3の端末設定情報に従い、自無線通信端末3にセンサ計測周期等を設定する。この際、ハブ6は、エッジ端末4から各無線通信端末3に向けて送信された端末設定情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S101)。
【0025】
パケット監視装置1は、エッジ端末4から各無線通信端末3に向けて送信された端末設定情報パケットを検出すると、エッジ端末4に端末一覧情報要求を送信する(S102)。この端末一覧情報要求は、ハブ6を経由してエッジ端末4に送信される。これを受けて、エッジ端末4は、このエッジ端末4が管理する各無線通信端末3のセンサ計測周期を含む端末一覧情報をパケット監視装置1に送信する(S103)。この端末一覧情報は、ハブ6を経由してパケット監視装置1に送信される。
【0026】
つぎに、パケット監視装置1は、エッジ端末4から受信した端末一覧情報に基づいて、各無線通信端末3のセンサ計測周期、接続関係、および、パケット監視に用いる基準期間、閾値時間を記憶する端末監視テーブルを作成する(S104)。ここで、基準期間は、センサ計測周期に所定のリトライ期間(パケット再送時間)を加算した期間より長い期間に設定される。なお、この時点において、各無線通信端末3の接続関係および閾値時間は不明であり、各無線通信端末3のこれらを記憶する、端末監視テーブルのフィールドは空欄(NuLLデータ)とする。
【0027】
その後、各無線通信端末3は、エッジ端末4から受信した端末設定情報パケットに基づいてセンサ計測周期等の各種設定を完了すると、自無線通信端末3の接続関係(親端末および子端末の情報)を含むネットワーク接続情報が格納されたネットワーク接続情報パケットをエッジ端末4に無線送信する(S105)。このネットワーク接続情報パケットは、ゲートウェイ5により受信され、ハブ6経由でエッジ端末4に送信される。この際、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されたネットワーク接続情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S106)。
【0028】
パケット監視装置1は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されたネットワーク接続情報パケットを検出すると、このネットワーク接続情報パケットに格納されているネットワーク接続情報に基づいて、ネットワーク接続情報パケット送信元の無線通信端末3の接続関係を端末監視テーブルに登録して、端末監視テーブルを更新する(S107)。この処理を、すべての無線通信端末3から無線送信されたネットワーク接続情報パケットに対して実施する。
【0029】
その後、各無線通信端末3は、自無線通信端末3に設定されたセンサ計測周期に従って、自無線通信端末3に接続されたセンサ2が出力した最新のセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットをエッジ端末4に無線送信する(S108)。ここで、自無線通信端末3にセンサ計測周期が設定されていない場合には、例えば自無線通信端末3に接続されたセンサ2が異常を検出した場合等の所定のイベント発生時にセンサ2が出力したセンサ値およびその計測日時を含むセンサ情報が格納されたセンサ情報パケットをエッジ端末4に無線送信する。そして、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて送信されたセンサ情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S109)。
【0030】
つぎに、パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて送信されたセンサ情報パケットを検知すると、その検知日時を、この検知日時からこのセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時を差し引くことにより特定されるパケット到達時間とともに蓄積する(S110)。
【0031】
その後、パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、パケット到達時間が所定数以上蓄積されたならば、それまでに蓄積された所定数以上のパケット到達時間の平均値に基づいて、パケット監視に用いる上述の閾値時間を決定する。そして、各無線通信端末3のパケット到達時間を端末監視テーブルに登録して、端末監視テーブルを更新する(S111)。
【0032】
図3は、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第1の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0033】
上述したように、無線通信端末3は、自無線通信端末3に接続されたセンサ2のセンサ情報を含むセンサ情報パケットをエッジ端末4に無線送信する(S120)。この際、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて送信されたセンサ情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S121)。パケット監視装置1は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて送信されたセンサ情報パケットを検知すると、センサ情報パケットの検知日時を、この検知日時からセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時を差し引くことにより特定されるパケット到達時間とともに、この無線通信端末3に対応付けて蓄積する(S122)。
【0034】
ここで、いずれかの無線通信端末3に端末異常が発生し、この無線通信端末3によるセンサ情報パケットの送信が実施できなくなったものとする(S123)。
【0035】
パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されるセンサ情報パケットを監視しており、最後にセンサ情報パケットを検知してから、端末監視テーブルに登録されている基準期間を経過しても新たなセンサ情報パケットを検知していない無線通信端末3を検出すると(S124)、この無線通信端末3に通信障害が発生したと判断する。そして、パケット監視装置1は、検出された無線通信端末3の通信障害情報を参照し、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であるか否かを確認する。所定時間以内であるならば、この最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」であるか否かを確認する。ここでは、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内でないか、あるいは、所定時間以内であってもこの最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」ではないものとする(S125)。この場合、パケット監視装置1は、端末監視テーブルを参照し、この無線通信端末3に親端末が存在するか否かを確認する。ここでは、検出された無線通信端末3が無線通信端末3-1、3-2のいずれかであり、親端末は存在しないものする(S126)。
【0036】
パケット監視装置1は、検出された無線通信端末3に親端末が存在しないことを確認すると、この無線通信端末3に発生した通信障害の原因がこの無線通信端末3自体の端末異常であると判断する(S127)。それから、パケット監視装置1は、通信障害が発生した無線通信端末3の情報、通信障害の原因「端末異常」、および通信障害の検出日時を含む通信障害情報を蓄積するとともに、通信障害情報を出力してユーザに提示する(S128)。
【0037】
図4は、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第2の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0038】
上述したように、無線通信端末3は、自無線通信端末3に接続されたセンサ2のセンサ情報を含むセンサ情報パケットをエッジ端末4に無線送信する(S130)。この際、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されたセンサ情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S131)。パケット監視装置1は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されたセンサ情報パケットを検知すると、センサ情報パケットの検知日時を、この検知日時からセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれるセンサ値の計測日時を差し引くことにより特定されるパケット到達時間とともに、この無線通信端末3に対応付けて蓄積する(S132)。
【0039】
ここで、無線通信端末3の親端末に端末異常が発生し、これにより、無線通信端末3から無線送信されたセンサ情報パケットがゲートウェイ5に到達しなくなったものとする(S133)。
【0040】
パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されるセンサ情報パケットを監視しており、最後にセンサ情報パケットを検知してから、端末監視テーブルに登録されている基準期間を経過しても新たなセンサ情報パケットを検知していない無線通信端末3を検出すると(S134)、この無線通信端末3に通信障害が発生したと判断する。そして、パケット監視装置1は、検出された無線通信端末3の通信障害情報を参照し、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であるか否かを確認する。所定時間以内であるならば、この最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」であるか否かを確認する。ここでは、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内でないか、あるいは、所定時間以内であってもこの最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」でないものとする(S135)。この場合、パケット監視装置1は、端末監視テーブルを参照して、この無線通信端末3に親端末が存在するか否かをさらに確認する。ここでは、検出された無線通信端末3が無線通信端末3-3~3-7のいずれかであり、親端末は存在する(S136)。
【0041】
つぎに、パケット監視装置1は、検出された無線通信端末3に親端末が存在することを確認すると、所定の待ち時間が経過するのを待ち、それから親端末の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であるか否かを確認する。そして、所定時間以内であるならば、この最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「端末異常」であるか否かを確認する。ここでは、親端末の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であり、かつこの最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「端末異常」であるものとする(S137)。この場合、S134で検出された無線通信端末3の通信障害は、親端末の「端末異常」による可能性が高いため、この無線通信端末3自体には異常なしと判断する(S138)。
【0042】
なお、S137において、親端末の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内でない場合、あるいは、親端末の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であるが、この最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「端末異常」ではない場合は、S138において、無線通信端末3に発生した通信障害の原因がこの無線通信端末3自体の端末異常であると判断し、この無線通信端末3の通信障害情報を蓄積するとともに、通信障害情報を出力してユーザに提示する。
【0043】
図5および図6は、本実施の形態に係る無線データセンシングシステムにおけるパケット監視処理の第3の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0044】
上述したように、無線通信端末3は、自無線通信端末3に接続されたセンサ2のセンサ情報を含むセンサ情報パケットをエッジ端末4に無線送信する(S140)。この際、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて送信されたセンサ情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S141)。パケット監視装置1は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されたセンサ情報パケットを検知すると、センサ情報パケットの検知日時を、この検知日時からセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時を差し引くことにより特定されるパケット到達時間とともに、この無線通信端末3に対応付けて蓄積する(S142)。
【0045】
ここで、ゲートウェイ5に瞬断が発生し、ゲートウェイ5が、無線通信端末3から無線送信されたセンサ情報パケットを一時的に受信できなくなったものとする(S143)。この場合、無線通信端末3は、このセンサ情報パケットの受信応答パケットをゲートウェイ5から受信することなく所定のリトライ期間が経過すると、センサ情報パケットを再送する(S144)。そして、瞬断が解消したゲートウェイ5は、再送されたセンサ情報パケットを受信してハブ6経由でエッジ端末4に送信する。この際、ハブ6は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて再送されたセンサ情報パケットをパケット監視装置1にミラーリングする(S145)。パケット監視装置1は、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて再送されたセンサ情報パケットを検知すると、センサ情報パケットの検知日時を、この検知日時からこのセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時を差し引くことにより特定されるパケット到達時間とともに、この無線通信端末3に対応付けて蓄積する(S146)。ここで、パケット監視に用いる基準期間は、センサ計測周期にリトライ期間を加えた時間よりも長い時間に設定されており、パケット監視装置1は、再送されたセンサ情報パケットを基準期間以内に検出する。
【0046】
パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、検知日時とともに蓄積されるパケット到達時間を監視しており、新たに蓄積されたパケット到達時間が、端末監視テーブルに登録された閾値時間を超過している無線通信端末3を検出すると(S147)、この無線通信端末3に伝搬路遅延を原因とする通信障害が発生したと判断する(S148)。それから、パケット監視装置1は、通信障害が発生した無線通信端末3の情報、通信障害の原因「伝搬路遅延」、および通信障害の検出日時を含む通信障害情報を蓄積するとともに、通信障害情報を出力してユーザに提示する(S149)。
【0047】
つぎに、ゲートウェイ5に通信障害が発生し、無線通信端末3から無線送信されたセンサ情報パケットを継続的に受信できなくなったものとする(S150)。この場合、無線通信端末3は、このセンサ情報パケットの受信応答パケットをゲートウェイ5から受信することなく所定のリトライ期間が経過すると、センサ情報パケットを再送するが(S151)、ゲートウェイ5はこれを受信できない。このため、再送されたセンサ情報パケットもエッジ端末4には送信されない。
【0048】
パケット監視装置1は、無線通信端末3毎に、無線通信端末3からエッジ端末4に向けて無線送信されるセンサ情報パケットを監視しており、最後にセンサ情報パケットを検知してから、端末監視テーブルに登録された基準期間を経過しても新たなセンサ情報パケットを検知していない無線通信端末3を検出すると(S152)、この無線通信端末3に通信障害が発生したと判断する。そして、パケット監視装置1は、検出された無線通信端末3の通信障害情報を参照し、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であるか否かを確認し、所定時間以内であるならば、この最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」であるか否かを確認する。ここでは、この無線通信端末3の最新の通信障害情報に含まれている通信障害の検出日時が所定時間以内であり、かつこの最新の通信障害情報に含まれている通信障害の原因が「伝搬路遅延」であるとする(S153)。
【0049】
この場合、パケット監視装置1は、無線通信端末3に発生した通信障害の原因が、この無線通信端末3自体の端末異常ではなく、伝搬路遅延が悪化して伝搬路異常が発生したためと判断する(S154)。それから、パケット監視装置1は、通信障害が発生した無線通信端末3の情報、通信障害の原因「伝搬路異常」、および通信障害の検出日時を含む通信障害情報を蓄積するとともに、通信障害情報を出力してユーザに提示する(S155)。
【0050】
つぎに、パケット監視装置1の詳細を説明する。なお、無線データセンシングシステムを構成するその他の構成(センサ2、無線通信端末3、ゲートウェイ5、ハブ6)には、既存の装置を利用することができるので、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、パケット監視装置1の概略機能構成図である。
【0052】
図示するように、パケット監視装置1は、ネットワークインターフェース部100と、マンマシンインターフェース部101と、端末監視テーブル記憶部102と、パケット情報蓄積部103と、通信障害情報蓄積部104と、第1パケット監視部105と、第2パケット監視部106と、原因判断部107と、主制御部108と、を備えている。
【0053】
ネットワークインターフェース部100は、ネットワーク(ハブ6)に接続するためのインターフェースである。
【0054】
マンマシンインターフェース部101は、ユーザに情報を表示したり、ユーザから各種操作を受け付けたりするためのインターフェースであり、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置、および、キーボード、マウス等の入力装置を有する。
【0055】
端末監視テーブル記憶部102には、上述の端末監視テーブルが記憶される。
【0056】
図8は、端末監視テーブル記憶部102に記憶される端末監視テーブル1020の登録内容例を模式的に表した図である。
【0057】
図示するように、端末監視テーブル1020には、監視対象の無線通信端末3(以下、監視対象端末と呼ぶ)毎に、パケット監視に用いる各種情報が登録された監視情報のレコード1021が記憶されている。監視情報のレコード1021は、監視対象端末の識別情報である端末IDが登録されるフィールド1022と、監視対象端末のアドレス情報が登録されるフィールド1023と、監視対象端末のセンサ計測周期が登録されるフィールド1024と、監視対象端末の基準期間が登録されるフィールド1025と、監視対象端末の閾値時間が登録されるフィールド1026と、監視対象端末の接続関係が登録されるフィールド1027と、を有する。また、フィールド1027は、監視対象端末の親端末の端末IDが登録されるサブフィールド1028と、監視対象端末の子端末の端末IDが登録されるサブフィールド1029と、を有する。
【0058】
パケット情報蓄積部103には、監視対象端末毎に、センサ情報パケットの検知日時およびパケット到達時間を含むパケット情報が蓄積される。
【0059】
図9は、パケット情報蓄積部103の登録内容例を模式的に表した図である。
【0060】
図示するように、パケット情報蓄積部103には、監視対象端末毎に、パケット情報テーブル1030が記憶されている。パケット情報テーブル1030には、パケット監視装置1がセンサ情報パケットを検知する都度、パケット情報のレコード1031が追加(蓄積)される。パケット情報のレコード1031には、センサ情報パケットの検知日時が登録されるフィールド1032と、センサ情報パケットのパケット到達時間が登録されるフィールド1033と、を有する。上述したように、パケット到達時間は、センサ情報パケットの検知日時からこのセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時を差し引くことにより算出される。
【0061】
通信障害情報蓄積部104には、通信障害が検出される都度、通信障害が発生した監視対象端末およびその原因に関する情報を含む通信障害情報が蓄積される。
【0062】
図10は、通信障害情報蓄積部104の登録内容例を模式的に表した図である。
【0063】
図示するように、通信障害情報蓄積部104には、パケット監視装置1が通信障害を検出する都度、通信障害情報のレコード1040が追加(蓄積)される。通信障害情報のレコード1040には、通信障害の検出日時が登録されるフィールド1041と、通信障害が発生した監視対象端末の端末IDが登録されるフィールド1042と、通信障害の発生原因(端末異常、伝搬路遅延、および伝搬路異常のいずれか)が登録されるフィールド1043と、を有する。
【0064】
第1パケット監視部105は、監視対象端末毎に、パケット情報蓄積部103に登録されている監視対象端末のパケット情報テーブル1030に蓄積された最新のパケット情報のレコード1031のフィールド1032に登録されている検知日時からの経過時間が、端末監視テーブル1020に記憶された監視対象端末の監視情報のレコード1021のフィールド1025に登録されている基準期間を超えているか否かを監視する。
【0065】
第2パケット監視部106は、監視対象端末毎に、パケット情報蓄積部103に登録されている監視対象端末のパケット情報テーブル1030に蓄積された最新のパケット情報のレコード1031のフィールド1033に登録されているパケット到達時間が、端末監視テーブル1020に記憶された監視対象端末の監視情報のレコード1021のフィールド1026に登録されている閾値時間を超えているか否かを監視する。
【0066】
原因判断部107は、第1パケット監視部105および第2パケット監視部106の監視結果に基づいて、監視対象端末に発生した通信障害の原因を判断して、通信障害情報を通信障害情報蓄積部104に蓄積する。
【0067】
そして、主制御部108は、パケット監視装置1の各部100~107を統括的に制御する。また、主制御部108は、ネットワークインターフェース部100を介してハブ6から端末設定情報パケットを受信すると、エッジ端末4から端末一覧情報を取得して、端末監視テーブル記憶部102に端末監視テーブル1020を登録するとともに、ネットワークインターフェース部100を介してハブ6から受信したネットワーク接続情報パケットに従い、端末監視テーブル1020を更新する。さらに、主制御部108は、パケット情報蓄積部103に登録されているパケット情報テーブル1030のうち、このセンサ情報パケット送信元である監視対象端末のパケット情報テーブル1030を、ネットワークインターフェース部100を介してハブ6から受信したセンサ情報パケットに従い更新する。
【0068】
なお、図7に示すパケット監視装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、補助記憶装置と、通信インターフェースと、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより各機能がプロセスとして実現されるものでもよい。
【0069】
図11は、パケット監視装置1のパケット監視準備処理を説明するためのフロー図である。
【0070】
このフローは、ネットワークインターフェース部100を介して主制御部108が、ハブ6によってパケット監視装置1にミラーリングされた端末設定情報パケットを受信することにより開始される。
【0071】
まず、主制御部108は、ネットワークインターフェース部100を介してエッジ端末4に端末一覧情報要求を送信して(S200)、エッジ端末4から、各監視対象端末の端末ID、アドレス情報、およびセンサ計測周期を含む端末一覧情報を取得する(S201)。それから、主制御部108は、端末一覧情報に含まれている監視対象端末毎に、監視情報のレコード1021を有する端末監視テーブル1020を作成して端末監視テーブル記憶部102に記憶する。そして、端末監視テーブル1020の各レコード1021のフィールド1022~1024に、対応する監視対象端末の端末ID、アドレス情報、およびセンサ計測周期を登録するとともに、対応する監視対象端末のセンサ計測周期に所定のリトライ期間よりも長い所定時間を加算して基準期間を算出し、この基準期間を各レコード1021のフィールド1025に登録する(S202)。なお、端末一覧情報にセンサ計測周期が含まれていない監視対象端末(センサ計測周期が設定されない監視対象端末)のレコード1021のフィールド1024、1025は、空欄(Nullデータ)のままとする。
【0072】
つぎに、主制御部108は、ネットワークインターフェース部100を介して、ハブ6によってパケット監視装置1にミラーリングされたネットワーク接続情報パケットを受信すると(S203でYES)、端末監視テーブル記憶部102の端末監視テーブル1020に記憶されているレコード1021のうち、ネットワーク接続情報パケット送信元のレコード1021のフィールド1027に、このネットワーク接続情報パケットに格納されたネットワーク接続情報により特定される接続関係(親端末、子端末の端末ID)を登録して端末監視テーブル1020を更新する(S204)。この際、ネットワーク接続情報パケット送信元のレコード1021のフィールド1026に閾値時間が登録されているならば、この閾値時間をクリアする。
【0073】
それから、主制御部108は、ネットワーク接続情報パケット送信元のパケット情報テーブル1030を新たに作成してパケット情報蓄積部103に登録し、ネットワーク接続情報パケット送信元のパケット情報蓄積を開始する(S205)。
【0074】
すなわち、主制御部108は、ハブ6によってパケット監視装置1にミラーリングされた、ネットワーク接続情報パケット送信元からのセンサ情報パケットを、ネットワークインターフェース部100を介して受信すると、この送信元のパケット情報テーブル1030にパケット情報のレコード1031を追加する。そして、追加したレコード1031のフィールド1032にセンサ情報パケットの受信日時を検知日時として登録し、フィールド1033に、このセンサ情報パケットに格納されたセンサ情報に含まれる計測日時をこの検知日時から差し引くことにより算出されるパケット到達時間を登録する。
【0075】
また、主制御部108は、パケット情報蓄積部103を参照し、パケット情報のレコード1031が所定数以上蓄積されたパケット情報テーブル1030を検出すると(S206でYES)、端末監視テーブル記憶部102の端末監視テーブル1020を参照し、このパケット情報テーブル1030に対応付けられた監視対象端末のレコード1021のフィールド1026に閾値時間が登録されているか否かを調べる(S207)。そして、閾値時間が登録されていないならば(S207でNO)、このパケット情報テーブル1030に蓄積されている所定数以上のパケット情報のレコード1031のフィールド1033に登録されているパケット到達時間(但し、所定のリトライ期間より長いパケット到達時間を除く)の平均値を算出する。そして、パケット到達時間の平均値に所定のリトライ期間よりも短い所定時間を加算して閾値時間を算出し、この監視対象端末のレコード1021のフィールド1026に、算出した閾値時間を登録する。これにより、端末監視テーブル1020を更新する(S208)。
【0076】
図12および図13は、パケット監視装置1のパケット監視処理を説明するためのフロー図である。
【0077】
このフローは、端末監視テーブル1020が端末監視テーブル記憶部102に記憶された後、端末監視テーブル1020に登録されている監視対象端末毎に実施される。
【0078】
第1パケット監視部105は、端末監視テーブル1020に登録されている監視対象端末のレコード1021を参照し、このレコード1021のフィールド1025に基準期間が登録されている場合(S300でYES)、パケット情報蓄積部103に記憶されている監視対象端末のパケット情報テーブル1030を参照し、最新のパケット情報のレコード1031のフィールド1032に登録されている検知日時から基準期間を経過したか否かを判断する(S301)。ここで、端末監視テーブル1020に登録されている監視対象端末のレコード1021のフィールド1025に基準期間が登録されていない場合(S300でNO)、あるいは、最新のセンサ情報パケットの検知日時から基準期間を経過していない場合は(S301でNO)、S311に進む。
【0079】
一方、最新のセンサ情報パケットの検知日時から基準期間を経過している場合(S301でYES)、第1パケット監視部105は、監視対象端末に通信障害が発生したと判断し、この監視対象端末の端末IDを原因判断部107に通知する。
【0080】
これを受けて、原因判断部107は、通信障害情報蓄積部104を参照し、この通知された端末IDがフィールド1042に登録されている最新の通信障害情報のレコード1040のうち、フィールド1041に登録されている通信障害の検出日時が最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内であり、かつフィールド1043に登録されている通信障害の発生原因が「伝搬路遅延」のレコード1040を検索する。これにより、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に伝搬路遅延を原因とする通信障害がこの監視対象端末に発生しているか否かを判断する(S302)。そして、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に伝搬路遅延を原因とする通信障害が監視対象端末に発生している場合(S302でYES)、原因判断部107は、今回、監視対象端末に発生した通信障害の原因が、監視対象端末自体の端末異常ではなく、伝搬路遅延が悪化して伝搬路異常が発生したためと判断する(S303)。この場合、原因判断部107は、通信障害情報蓄積部104に通信障害情報のレコード1040に追加して、このレコード1040のフィールド1041に、通信障害の検出日時として最新のセンサ情報パケットの検知日時を登録するとともに、フィールド1042、1043に、監視対象端末の端末IDおよび通信障害の原因「伝搬路異常」を登録する。また、この通信障害情報のレコード1040を主制御部108に通知する。これを受けて、主制御部108は、通信障害情報のレコード1040に登録されている通信障害の検出日時、監視対象端末の端末ID、および通信障害の原因「伝搬路異常」を含む通信障害情報をマンマシンインターフェース部101に出力して、通信障害の発生をユーザに通知する(S304)。
【0081】
一方、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に伝搬路遅延を原因とする通信障害が発生していない場合(S302でNO)、原因判断部107は、端末監視テーブル1020に登録されている監視対象端末のレコード1021を参照し、このレコード1021のフィールド1027のサブフィールド1028に親端末の端末IDが登録されているか否かを判断する(S305)。そして、親端末の端末IDが登録されている場合(S305でYES)、原因判断部107は、所定の待ち時間が経過するのを待ち(S306)、それから、通信障害情報蓄積部104を参照し、フィールド1042に親端末の端末IDが登録されている通信障害情報のレコード1040であって、フィールド1041に登録されている通信障害の検出日時が最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内であり、かつフィールド1043に登録されている通信障害の発生原因が「端末異常」のレコード1040を検索する。これにより、親端末に、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に端末異常を原因とする通信障害が発生しているか否かを判断する(S307)。そして、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に端末異常を原因とする通信障害が親端末に発生している場合(S307でYES)、原因判断部107は、今回、監視対象端末に発生した通信障害の原因が、親端末の「端末異常」による可能性が高いため、監視対象端末自体に異常はない判断する(S308)。その後、S311に進む。
【0082】
一方、最新のセンサ情報パケットの検知日時から所定時間以内に端末異常を原因とする通信障害が親端末に発生していない場合(S307でNO)、あるいは、監視対象端末のレコード1021のフィールド1027のサブフィールド1028に親端末の端末IDが登録されていない場合(S305でNO)、原因判断部107は、今回、監視対象端末に発生した通信障害の原因が監視対象端末の「端末異常」にあると判断する(S309)。この場合、原因判断部107は、通信障害情報蓄積部104に通信障害情報のレコード1040に追加して、このレコード1040のフィールド1041に、通信障害の検出日時として最新のセンサ情報パケットの検知日時を登録するとともに、フィールド1042、1043に、監視対象端末の端末IDおよび通信障害の原因「端末異常」を登録する。また、この通信障害情報のレコード1040を主制御部108に通知する。これを受けて、主制御部108は、通信障害情報のレコード1040に登録されている通信障害の検出日時、監視対象端末の端末ID、および通信障害の原因「端末異常」を含む通信障害情報をマンマシンインターフェース部101に出力して、通信障害の発生をユーザに通知する(S310)。
【0083】
S311において、第2パケット監視部106は、端末監視テーブル1020に登録されている監視対象端末のレコード1021を参照し、このレコード1021のフィールド1026に閾値時間が登録されている場合(S311でYES)、パケット情報蓄積部103に記憶されている監視対象端末のパケット情報テーブル1030を参照し、最新のパケット情報のレコード1031のフィールド1033に登録されている最新のセンサ情報パケットのパケット到達時間が閾値時間を超過しているか否かを判断する(S312)。ここで、監視対象端末のレコード1021のフィールド1026に閾値時間が登録されていない場合(S311でNO)、あるいは、最新のセンサ情報パケットのパケット到達時間が閾値時間を超過していない場合は(S312でNO)、S300に戻る。
【0084】
一方、最新のセンサ情報パケットのパケット到達時間が閾値時間を超過している場合(S312でYES)、第2パケット監視部106は、監視対象端末に通信障害が発生したものと判断し、この監視対象端末の端末IDを原因判断部107に通知する。これを受けて、原因判断部107は、今回、監視対象端末に発生した通信障害の原因が伝搬路遅延にあると判断する(S313)。そして、原因判断部107は、通信障害情報蓄積部104に通信障害情報のレコード1040に追加して、このレコード1040のフィールド1041に、通信障害の検出日時として最新のセンサ情報パケットの検知日時を登録するとともに、フィールド1042、1043に、監視対象端末の端末IDおよび通信障害の原因「伝搬路遅延」を登録する。また、この通信障害情報のレコード1040を主制御部108に通知する。これを受けて、主制御部108は、通信障害情報のレコード1040に登録されている通信障害の検出日時、監視対象端末の端末ID、および通信障害の原因「伝搬路遅延」を含む通信障害情報をマンマシンインターフェース部101に出力して、通信障害の発生をユーザに通知する(S314)。その後、S300に戻る。
【0085】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0086】
本実施の形態において、パケット監視装置1は、監視対象端末毎に、ゲートウェイ5からエッジ端末4に送信されるセンサ情報パケットを監視する。そして、ある監視対象端末について、この監視対象端末のセンサ計測周期に応じて定まる基準期間を経過してもセンサ情報パケットを検出しなかった場合に、この監視対象端末の端末異常を原因する通信障害が発生したものと判断する。また、基準期間内にセンサ情報パケットを検出した場合でも、このセンサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時とパケット監視装置1におけるこのセンサ情報パケットの検知日時との差分であるパケット到達時間が、過去のパケット到達時間に基づいて決定される閾値時間を超えているならば、伝搬路遅延を原因とする通信障害がこの監視対象端末に発生したものと判断する。このため、センサ情報パケットが欠落していない場合でも、通信障害を検出してその原因(伝搬路遅延)を特定することができる。また、センサ情報パケットが欠落する通信障害が発生した場合には、その原因として監視対象端末の端末異常を特定することができる。このように、本実施の形態によれば、無線データセンシングシステムで発生した障害の原因をより正確に判断することができる。
【0087】
また、本実施の形態において、パケット監視装置1は、基準期間内にセンサ情報パケットが検出されなかった監視対象端末について、所定時間以内に伝搬路遅延を原因とする通信障害が発生したものと判断しているならば、この監視対象端末に発生した通信障害の原因が、この監視対象端末自体の端末異常ではなく、伝搬路遅延が悪化して伝搬路異常が発生したためと判断するので、通信障害の原因をより正確に判断することができる。
【0088】
また、本実施の形態において、監視対象端末は、ツリー構造で無線接続されており、子端末が存在する場合は、この子端末とゲートウェイ5あるいは親端末が存在するならば親端末との間でパケットを中継する機能を有する。そして、パケット監視装置1は、基準期間内にセンサ情報パケットが検出されなかった監視対象端末について、親端末が存在し、かつ所定時間以内に親端末の端末異常を原因とする通信障害が発生しているならば、今回、監視対象端末に発生した通信障害の原因は親端末の端末異常の可能性が高いため、監視対象端末を端末異常と判断せず異常なしと判断する。このため、端末異常の誤判断を低減することができる。
【0089】
また、本実施の形態において、パケット監視装置1は、監視対象端末からエッジ端末4に送信されたセンサ情報パケットのパケット到達時間が閾値時間を超えている場合に、伝搬路遅延を原因とする通信障害がこの監視対象端末に発生したものと判断するので、センサ計測周期が設定されていない監視対象端末であっても、伝搬路遅延を原因とする通信障害を検知することができる。
【0090】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0091】
例えば、上記の実施の形態では、監視対象端末毎に、所定数以上のパケット情報のレコード1031が監視対象端末のパケット情報テーブル1030に蓄積された場合に、これらのレコード1031に登録されているパケット到達時間の平均値を用いて閾値時間を決定している(図11のS206~S208)。このため、パケット情報のレコード1031の蓄積数が所定数に到達していない監視対象端末は、閾値時間が設定されず、したがって閾値時間を用いたパケット到達時間の監視を行うことができない(図13のS311~S314)。そこで、このような監視対象端末に対しては、暫定的な閾値時間を用いてパケット到達時間を監視してもよい。
【0092】
すなわち、監視対象端末のパケット情報テーブル1030に、所定数に到達していなくても、パケット情報のレコード1031が蓄積されているのであれば、蓄積されたレコード1031に登録されているパケット到達時間(但し、所定のリトライ期間より長いパケット到達時間を除く)の平均値にリトライ期間を加算した時間より長くなるように暫定的な閾値時間を決定し、この暫定的な閾値時間を用いてパケット到達時間を監視してもよい。
【0093】
また、例えば、監視対象端末の接続関係が変更され、この監視対象端末からエッジ端末4へネットワーク接続情報パケットが送信された直後の場合、この監視対象端末のパケット情報の蓄積が開始されたばかりであり、この監視対象端末のパケット情報テーブル1030にパケット情報のレコード1031が全く蓄積されていない場合がある。この場合、この接続関係変更後の監視対象端末に親端末が存在し、親端末に閾値時間が設定されているならば、親端末の閾値時間に監視対象端末と親端末との間のパケット伝送時間を加算した時間より長くなるように暫定的な閾値時間を決定し、この暫定的な閾値時間を用いてパケット到達時間を監視してもよい。ここで、監視対象端末と親端末との間のパケット伝送時間は、無線通信端末3に子端末のセンサ情報パケットを送信(中継)する都度、自無線通信端末3の送信日時を付加することにより、パケット監視装置1が、監視対象端末を送信元とするセンサ情報パケットに格納されているセンサ情報に含まれているセンサ値の計測日時と、このセンサ情報パケットに付加されている親端末の送信日時との差分から算出できるようにする。
【0094】
また、上記の実施の形態では、パケット監視装置1にマンマシンインターフェース部101を設け、通信障害情報をマンマシンインターフェース部101に出力しているが、本発明はこれに限定されない。ネットワークインターフェース部100を介してハブ6に接続された管理用端末に通信障害情報を出力するようにしてもよい。この場合、マンマシンインターフェース部101は省略してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1:パケット監視装置 2、2-1~2-7:センサ
3、3-1~3-7:無線通信端末 4:エッジ端末
5:ゲートウェイ 6:ハブ 100:ネットワークインターフェース部
101:マンマシンインターフェース部 102:端末監視テーブル記憶部
103:パケット情報蓄積部 104:通信障害情報蓄積部
105:第1パケット監視部 106:第2パケット監視部
107:原因判断部 108:主制御部
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