(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098110
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20230703BHJP
B65D 77/02 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B65D77/04 A
B65D77/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214647
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128898
【氏名又は名称】株式会社オリエンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 吉彦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067BA09C
3E067BA10A
3E067BA10B
3E067BB01C
3E067BB16A
3E067EA18
3E067FA04
(57)【要約】
【課題】組付け作業が簡易化すると共に、高強度な台座体を簡易に設計可能な容器を提供すること。
【解決手段】平面視枠形の台座体1と、この台座体1内に収容状態で組付けられる合成樹脂製の容器体2とから成り、前記台座体1は、上縁に板状の肉薄部3が設けられ、前記容器体2は、外周部に上方に向かって溝状に凹む形状の係合凹部4が一体成形されていて、この容器体2を前記台座体1内に収容しつつ前記係合凹部4に前記台座体1上縁の肉薄部3を挿入係止することにより容器体2が台座体1に組付けられるように構成されている容器。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視枠形の台座体と、この台座体内に収容状態で組付けられる合成樹脂製の容器体とから成り、
前記台座体は、上縁に板状の肉薄部が設けられ、
前記容器体は、外周部に上方に向かって溝状に凹む形状の係合凹部が一体成形されていて、この容器体を前記台座体内に収容しつつ前記係合凹部に前記台座体上縁の肉薄部を挿入係止することにより容器体が台座体に組付けられるように構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記台座体は、上縁全周に前記肉薄部が設けられ、
前記容器体は、外周部全周に前記係合凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記台座体は、上縁の角隅部を除いた全周に前記肉薄部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記台座体は、重ねた板材で構成されていると共に、この板材は上下に位置をずらして重ねられていることにより、上縁が板材一枚分の前記肉薄部として構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記台座体は、二つ折りされることで折り縁側が下部となり反対側の折り合せ端縁側が上部となる折り重ねられた紙材で構成されていると共に、この紙材は、上部の折り合せ端縁の位置を上下にずらして折り重ねられていることにより、上縁が紙材一枚分の前記肉薄部として構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記台座体は、折り縁が設けられていて、この折り縁を介して扁平状態に折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品の収納に適した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枠状の台座体と、食品等を収納するための凹部が形成された合成樹脂製の容器体とから成り、前記台座体の上から前記容器体を落し込みつつ、容器体の上方外周縁の係合凹部を台座体の上縁に係止して組立てできる簡易容器が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記特許文献1のような簡易容器の改良に係るもので、容器体の係合凹部を台座体の上縁に容易に係止できて組付け作業が簡易化すると共に、台座体を高強度を発揮できるものに設計することも容易に可能な容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
平面視枠形の台座体1と、この台座体1内に収容状態で組付けられる合成樹脂製の容器体2とから成り、
前記台座体1は、上縁に板状の肉薄部3が設けられ、
前記容器体2は、外周部に上方に向かって溝状に凹む形状の係合凹部4が一体成形されていて、この容器体2を前記台座体1内に収容しつつ前記係合凹部4に前記台座体1上縁の肉薄部3を挿入係止することにより容器体2が台座体1に組付けられるように構成されていることを特徴とする容器に係るものである。
【0007】
また、前記台座体1は、上縁全周に前記肉薄部3が設けられ、
前記容器体2は、外周部全周に前記係合凹部4が設けられていることを特徴とする請求項1記載の容器に係るものである。
【0008】
また、前記台座体1は、上縁の角隅部を除いた全周に前記肉薄部3が設けられていることを特徴とする請求項2記載の容器に係るものである。
【0009】
また、前記台座体1は、重ねた板材5で構成されていると共に、この板材5は上下に位置をずらして重ねられていることにより、上縁が板材5一枚分の前記肉薄部3として構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の容器に係るものである。
【0010】
また、前記台座体1は、二つ折りされることで折り縁側が下部となり反対側の折り合せ端縁側が上部となる折り重ねられた紙材5で構成されていると共に、この紙材5は、上部の折り合せ端縁の位置を上下にずらして折り重ねられていることにより、上縁が紙材5一枚分の前記肉薄部3として構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の容器に係るものである。
【0011】
また、前記台座体1は、折り縁6が設けられていて、この折り縁6を介して扁平状態に折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の容器に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、台座体の上縁が肉薄部であることにより、この肉薄部を容器体の係合凹部に挿入係止し易く、台座体と容器体の組付け作業が容易にでき、しかも台座体は、上縁(肉薄部)以外を肉厚に設計することが可能であるため、高強度な台座体を容易に設計実現可能であるなど、極めて実用性に優れた容器となる。
【0013】
また、請求項2,3記載の発明においては、台座体上縁の肉薄部と容器体の係合凹部との係止状態が一層安定的となって台座体と容器体の組付け状態(容器完成状態)が安定保持されることとなり、特に請求項3記載の発明のように構成した場合には、角隅部を有する形態の容器体であっても肉薄部を係合凹部に挿入係止し易く、台座体と容器体の組付け作業が容易に行われるなど、極めて実用性に優れた構成の容器となる。
【0014】
また、請求項4,5記載の発明においては、上部が肉薄(肉薄部)で係合凹部に挿入係止し易く、この肉薄部より下部が肉厚で高強度を発揮する台座体を簡易構成により容易に切欠実現可能となる一層実用性に優れた構成の容器となる。
【0015】
また、請求項6記載の発明においては、台座体を扁平状態に折り畳みできるため、嵩張らず格納や運搬等に適する一層実用性に優れた構成の容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】本実施例の台座体と容器体の組付け構造を示す部分拡大側断面図である。
【
図5】本実施例の台座体の折り畳み状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0018】
容器体2を平面視枠形の台座体1内に収容しつつ、容器体2の外周部の上方に向かって溝状に凹む形状の係合凹部4に、前記台座体1の上縁の肉薄部3を挿入係止すると、容器体2が台座体1に組付けられて本発明の容器が完成する。
【0019】
この際、台座体1の上縁が肉薄部3であることにより、この肉薄部3を前記係合凹部4に挿入係止し易く、容器体2と台座体1との組付け作業が容易に行われる。
【0020】
また、台座体1は、上縁の肉薄部3以外を肉厚に設計することが可能なため、台座体1の強度確保が容易である。
【実施例0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例の容器は、折り畳み可能で開いた時に平面視長方形の枠形となる台座体1と、薄い合成樹脂製で一体成形された容器体2とから構成され、前記台座体1の上から前記容器体2の下部を落とし込むように収容すると共に、台座体1の上縁に容器体2の外周縁を上方から被せることによって台座体1と容器体2とが組付けられている(
図1~
図3参照)。
【0023】
本実施例の台座体1は、重ねた板材5で構成されている。さらに具体的には、台座体1は、厚さ1mm程度の硬質な厚紙が二つ折りされることで折り縁側が下部となり反対側の折り合せ端縁側が上部となる折り重ねられた横長帯状の紙材5(板材5)で構成されている。尚、この台座体1は、合成樹脂製であっても良い。
【0024】
また、この紙材5は、接着等の止着手段により折り重ね状態が保持されており、この紙材5の長さ方向の両端部が接続手段により接続されて枠形(環状)に構成されていると共に、この環状の紙材5の複数箇所が折曲されて平面視長方形枠形を呈するように構成されている。
【0025】
また、この紙材5の両端部の接続手段としては、例えば紙材5の両端部若しくはいずれか一端部に糊代が設けられて、この糊代を介して両端部が糊付けされるような構成や、紙材5の両端部が紙テープやビニールテープなどの粘着テープで接着されるような構成(この場合、例えば後述するように紙材5の両端部を夫々紙材5外側面に対し平面視45度の角度で切除した構成を採用すると、この両端部の45度端面同士を面接させた上でテープ止めする作業が容易に行われる。)を採用できるし、他の接続手段を採用することもできる。
【0026】
また、この台座体1を構成する紙材5(厚紙)には、少なくとも外表面となる側の面に防水性,耐久性,装飾性などの機能を有する外装シート7が貼設されており、所定の三箇所がこの外装シート7を残して縦方向に溝状に切除されていて、この外装シート7のみが残る厚紙切除部分と紙材5両端部の接続部分とが折曲可能な折り縁6として構成されている。そして、この四箇所の折り縁6を介して台座体1は
図5に示すような帯板状に折り畳み可能に構成されていると共に、この紙材5を展開して方形枠状の台座体1を形成した際には、
図2に示すようにこの四箇所の折り縁6が方形台座体1の角隅部となるように構成されている。
【0027】
また、方形枠形の台座体1の一方の対角線上に存する二箇所の折り縁6Aは、この折り縁6A部位の前記紙材5が比較的幅広な縦溝状に切除されていて、この折り縁6Aに隣接する紙材5の二辺が、この折り縁6Aを介して平面視90度以上となる方向へも90度以下となる方向へも折曲可能となるように構成されている。
【0028】
また、方形枠形の台座体1の他方の対角線上に存する二箇所の折り縁6のうち一方(前記紙材5両端部の接続部である折り縁6B)は、詳しく図示していないがこの折り縁6B部位の前記紙材5の両端部が夫々紙材5外側面に対し平面視45度の角度を有する形状の端面に形成されていて、この折り縁6Bで折曲して折り縁6Bに隣接する45度端面同士を面接させると折り縁6Bに隣接する紙材5の二辺が平面視90度の角度をなすように構成されており、この90度をなした状態から、折り縁6Bを介して折り縁6Bに隣接する紙材5の二辺を平面視90度以上に拡大する方向へ折曲することはできるが、平面視90度以下に折曲することは45度端面同士がぶつかり合うことによって困難となるように構成されている。
【0029】
また、この折り縁6Bの対角に位置する折り縁6Cは、この折り縁6C部位の前記紙材5が前記折り縁6A部位より幅狭な縦溝状に切除されていると共に、切除端縁が紙材5外側面に対し平面視90度の角度を有する形状に切除されていて、この折り縁6Cに隣接する紙材5の二辺のなす角度が平面視約90度をなすと折り縁6Cに隣接する紙材5の一方の端縁が他方の端縁に接触または双方の端縁同士が接触するように構成されており、この90度をなした状態から、折り縁6Cを介してこの折り縁6Cに隣接する紙材5の二辺を平面視90度以上に拡大する方向へ折曲することはできるが、平面視90度以下に折曲することは折り縁6Cに隣接する紙材5の一方の端縁が他方の端縁に接触または双方の端縁同士が接触することによって困難となるように構成されている。
【0030】
即ち、折り縁6B,6Cは、この折り縁6B,6Cに隣接する前記紙材5の二辺のなす角度が90度になる前記台座体1の展開状態から、この折り縁6B,6Cに隣接する前記紙材5の二辺のなす角度が180度になる台座体1の折り畳み状態までの間の約90度範囲のみに折曲範囲が規制されている。従って、展開状態の台座体1を折り畳む時には、この折り縁6B,6Cに隣接する紙材5の二辺のなす角度が90度以上に拡大する方向にのみ折り畳み可能となるように構成され、逆に折り畳み状態の台座体1を展開する時にはこの折り縁6B,6Cに隣接する紙材5の二辺のなす角度が平面視約90度となったところでこれ以上は角度を縮小する方向に折曲できなくなるように(台座体1が方形枠形に展開された状態を越えて再び折り畳み状態とはならないように)構成されている。
【0031】
尚、折り縁6B,6Cに、折り縁6Aと同様の構成が採用されていても良いし、折り縁6Bに折り縁6Cと同様の構成が採用されていても良いし、折り縁6Cに折り縁6Bと同様の構成が採用されていても良い。
【0032】
また、この台座体1は、上縁に板状の肉薄部3が設けられている。
【0033】
具体的には、折り重ねられた前記紙材5は、上部の折り合せ端縁の位置を上下にずらして(紙材5の内側部分の折り合せ端縁(上端)より外側部分の折り合せ端縁(上端)が下方に位置するようにして)折り重ねられていることにより、上縁全周が紙材5一枚分の前記肉薄部3として構成され、この肉薄部3より下部は実質紙材5二枚分の厚みを具備しているために強度が確保されている。
【0034】
また、この台座体1は、上縁の角隅部を除いた全周に前記肉薄部3が設けられている。さらに詳しくは、台座体1の角隅部(四隅)は、前記肉薄部3が切除された肉無部8に構成されており、図示した肉無部8は、これに隣接する肉薄部3の端縁(切除縁)が上方側ほど台座体1の角隅部(前記折り縁6)から離間する傾斜縁となるようにして切除されている。この肉無部8は、後述する容器体2の係合凹部4の寸法や形状に応じて切除深さや切除幅を設定構成する。
【0035】
本実施例の容器体2は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の合成樹脂製の薄厚材で構成され、
図1~
図3に示すように上部開口型であって前記台座体1の展開時の外形と略同形の平面視方形状をなす箱体に形成されている。尚、この容器体2の形状については、本実施例に限らず、平面視で六角形や八角形や太鼓形や瓢箪形や丸形やこれらの変形形状などの様々な形状を採用可能であり、これらの様々な形状の容器体2に対応する形状の前記台座体1を用意することも簡易に可能である。
【0036】
また、この容器体2は、外周部全周が鍔状に突設されていると共に、この全周鍔が上方に向かって溝状に凹む形状に一体成形されていて、この凹状の全周鍔が前記台座体1の肉薄部3を挿入係止可能な係合凹部4として構成されている。
【0037】
また、この係合凹部4は、前記台座体1(肉薄部3)の平面視形状と同形の方形枠状に形成されていて、この容器体2下部を前記台座体1内に落とし込むようにして収容しつつ前記係合凹部4の略全周に前記台座体1上縁の略全周に存する肉薄部3を挿入係止することにより、容器体2が台座体1に組付けられて本実施例の容器が完成するように構成されている。尚、この際、例えば肉薄部3に接着剤を塗布するなどして容器体2を台座体1に組付け状態で固定しても良い。
【0038】
また、容器体2を台座体1に組付ける際、前述のように、台座体1の角隅部は肉薄部3が存在しない前記肉無部8となっているため、肉薄部3は、容器体2角隅部(四隅)の係合凹部4を除いた箇所に挿入係止することとなり、これにより容器体2の台座体1への組付け作業が容易に行われる。即ち、合成樹脂製で一体成形される係合凹部4付きの容器体2は、脱型時の抜け易さを考慮して角隅部の係合凹部4は平面視直角形状ではなくR形状とならざるを得ないが、この角隅部のR形状係合凹部4に平面視直角状の肉薄部3を挿入係止すると、この角隅部では肉薄部3が係合凹部4に接触・干渉し易くこれが挿入抵抗となって組付け作業の障害となるおそれがあったが、台座体1の角隅部が前記肉無部8となっている本実施例においては、このような障害は生じない。
【0039】
また、この容器体2は、複数を積み重ねてネスティングできる形状に形成されている。即ち、本実施例の容器は、前記台座体1と容器体2とを分離した状態で出荷されるが、この際、帯状に折り畳んだ複数の台座体1と複数積み重ねた容器体2とを嵩張らない状態で運搬したり格納したりすることが可能である。
【0040】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。