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特開2023-98122イノベーション創出に適した組織の診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098122
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】イノベーション創出に適した組織の診断方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230703BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214675
(22)【出願日】2021-12-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519069176
【氏名又は名称】パーソルイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 亜由子
(72)【発明者】
【氏名】富田 直
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オープンイノベーションを創出する土壌を組織が有しているかを適切に診断する組織方法を提供する。
【解決手段】サーバ端末100と、複数のユーザ端末200A、200Bとが、ネットワークNWを介して接続されるイノベーションを創出する組織状態を診断するシステム1であって、サーバ端末は、ユーザ端末に対し質問データを送信し、ユーザ端末から質問データに対する回答データを受信し、回答データ及び関連付けデータを基に分析し、分析結果に基づく分析データをユーザ端末に送信する。分析データは、組織がイノベーションを創出するために適した組織であるかを診断するために必要な指標に関する複数の大項目に対する評価を含む。複数の大項目の各々は、指標を評価するための、一又は複数の中項目に対応づけられている。質問データは、中項目の各々に関連付けられて設定される。関連付けデータは、大項目と、中項目と、質問データとを関連付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イノベーションを創出する組織状態を診断する方法であって、
サーバ端末は、
ユーザ端末に対し質問データを送信し、
前記ユーザ端末から前記質問データに対する回答データを受信し、
前記回答データ及び関連付けデータを基に分析し、
前記分析結果に基づく分析データを前記ユーザ端末に送信し、
前記分析データは、組織がイノベーションを創出するために適した組織であるかを診断するために必要な指標に関する複数の大項目に対する評価を含み、
当該複数の大項目の各々は、前記指標を評価するための、一または複数の中項目に対応づけられており、
前記質問データは、前記中項目の各々に関連づけられて設定され、
前記関連付けデータは、前記大項目、前記中項目及び前記質問データを関連づける、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記大項目は、組織の戦略、組織の方向性、組織の体制、事業に関する判断基準、及び発信に関する指標のいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分析することは、前記大項目の各々の評価を数値化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記受信することは、同一組織に属する複数の従業員の各々に関連づけられたユーザ端末から受信することを含み、
前記複数の従業員から受信した前記回答データに基づき、分析を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分析データは、前記大項目の各々について数値化された情報を含む、請求項1に記載の方法。























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イノベーション創出に適した組織の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の組織について、所定の項目について診断する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1において、複雑な事案について、それを指標、取組み、その他要素に分け、質問項目を設定し、分析することで適切に組織診断を行うことを提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6783997号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示な技術は、組織が目指す姿や目標、それを実現するための仕組みや施策、取組みや施策を成功に導く要素に関する情報に関する質問を基に、複雑な事案に関する組織診断を行う旨提供しているが、特に、オープンイノベーションを成功に導くための土壌を組織が有しているか、を診断するうえで、上記特許文献1に開示された情報の整理に基づいて適切に診断することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、オープンイノベーションを創出する土壌を組織が有しているか、を適切に診断する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、イノベーションを創出する組織状態を診断する方法であって、サーバ端末は、ユーザ端末に対し質問データを送信し、前記ユーザ端末から前記質問データに対する回答データを受信し、前記回答データ及び関連付けデータを基に分析し、前記分析結果に基づく分析データを前記ユーザ端末に送信し、前記分析データは、組織がイノベーションを創出するために適した組織であるかを診断するために必要な指標に関する複数の大項目に対する評価を含み、当該複数の大項目の各々は、前記指標を評価するための、一または複数の中項目に対応づけられており、前記質問データは、前記中項目の各々に関連づけられて設定され、前記関連付けデータは、前記大項目、前記中項目及び前記質問データを関連づける、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オープンイノベーションを創出する土壌を組織が有しているか、を適切に診断する方法を提供することを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る、診断システムを示すブロック構成図である。
図2図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
図3図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。
図4】サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
図5】サーバ100に格納される診断データの一例を示す図である。
図6】サーバ100に格納される関連付けデータの一例を示す図である。
図7】サーバ100に格納される関連付けデータの他の一例を示す図である。
図8】サーバ100に格納される関連付けデータのさらに他の一例を示す図である。
図9】サーバ100に格納される関連付けデータのさらに他の一例を示す図である。
図10】サーバ100に格納される関連付けデータのさらに他の一例を示す図である。
図11】本発明の第一実施形態に係る、診断方法に係るフローチャートの一例である。
図12】ユーザ端末に送信される分析データの一例である。
図13】ユーザ端末に送信される分析データの他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る診断を示すブロック構成図である。本システム1は、組織において、オープンイノベーションをはじめ、イノベーションを創出する土壌が備わっているか、について診断を希望する企業等の従業員等の、ユーザ端末200A、200Bと、ユーザ端末200A、200Bより取得した情報に基づき、組織について、イノベーションを創出する土壌が備わっているか、について、分析し、診断を実施するサーバ端末100と、により構成される。
【0012】
サーバ端末100と、ユーザ端末200A、200Bは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、イノベーション創出と関連した企業の組織診断サービスを提供する事業者によって運営されるものであり、ユーザデータを管理し、ユーザから取得したデータを基に、イノベーション創出に関連する診断を行い、ユーザに対して診断結果の提示を行う装置であり、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上サーバ端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0014】
ユーザ端末200A、200Bは、イノベーションを創出する土壌が備わっているか、について診断を希望する企業ユーザであって、サーバ端末100により提供されるサービスを利用するユーザ及びその従業員が所有する、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0015】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100と、ユーザ端末200A、200Bとを備え、ユーザまたはユーザが各々、ユーザ端末200A、200Bを利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、ユーザまたはユーザが操作を行う機能を備えても良い。なお、説明の便宜のため、ユーザ端末200A、200Bを総称して「ユーザ端末200」として、以下説明を行う。
【0016】
図2は、図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0017】
通信部110は、ネットワークNWを介してユーザ端末200と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0018】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、ユーザに関連する各種データを格納する、ユーザデータ格納部121、イノベーション創出に関する組織診断に関連する各種データを格納する、診断データ格納部122等を有する。さらに、記憶部120は、ユーザ端末200と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0019】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、ユーザ端末200またはユーザ端末300からの入力を受け付ける指示受付部131と、ユーザに関連する各種データを参照し、処理する、ユーザデータ管理部132と、ユーザに関連する各種データを参照し、診断のためにデータを分析する、データ分析部133とを有する。この指示受付部131、ユーザデータ管理部132、ユーザデータ管理部133、マッチング処理部134は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0020】
指示受付部131は、サーバ端末100が提供し、ユーザ端末200において、ウェブブラウザまたはアプリケーションを介して表示される画面等のユーザインターフェースを介して、ユーザまたはユーザであるユーザが、(クリック、タップ、スワイプしたり、キーワードを入力したり、アイコンを押下する等して)所定の入力を行ったとき、ユーザ端末200から通信部110を介して指示を受付ける。
【0021】
ユーザデータ管理部132は、ユーザに関連する各種データ(例えば、ユーザID、ユーザの基本情報、経歴情報、資格情報、希望条件情報、及び活動情報等)を管理し、処理を行う。
【0022】
データ分析部133は、ユーザ端末200から取得された、質問に対する回答データを基に、イノベーション創出に関する組織診断を実行し、ユーザ端末200に対して診断結果を提供する処理を行う。
【0023】
図3は、図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。ユーザ端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0024】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
表示操作部220は、ユーザが指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、ユーザ端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、ユーザ端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるユーザ端末200により実行される。表示操作部を介して、ユーザは、提供される適性試験に対して、キーボードの場合は、キーボードの押下、マウスの場合は、マウスによりカーソルの移動、タッチパネルの場合は、タップ、スワイプ、ピンチ操作等を行うことができる。
【0026】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0027】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、ユーザ端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0028】
なお、サーバ端末100に表示操作部の機能を備える構成としても良く、この場合、ユーザ端末200を備えない構成としても良い。
【0029】
図4は、サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
【0030】
図4に示すユーザデータ1000は、ユーザに関連する各種データを格納する。図4において、説明の便宜上、一ユーザ(ユーザID「10001」で識別されるユーザ)の例を示すが、複数のユーザの情報を格納することができる。ここで、「ユーザ」とは、イノベーション創出に関する組織診断を希望する企業等の担当者または従業員を含むがこれに限らない。ユーザに関連する各種データとして、例えば、ユーザの基本情報(企業の名称、住所、Eメールアドレス等の連絡先、業種、従業員数等)、従業員情報(従業員ID、氏名、性別、年齢、所属組織、職種、役職等)等の情報を格納することができる。
【0031】
図5は、サーバ100に格納される診断データの一例を示す図である。
【0032】
図5に示す診断データ2000は、イノベーション創出に関する組織診断に関連する各種データを格納する。診断に関連する各種データとして、例えば、イノベーション創出に関する組織診断を行うために、ユーザに回答を依頼する質問に関する質問データ、質問に対するユーザの回答に関する回答データ(回答者のユーザID、従業員ID等を含む)、同一企業の複数の従業員による回答を基に生成された、質問に対応する、組織診断を行うための基準となる各項目の平均スコア等の統計データ(回答者のユーザID、従業員ID等を含む)、組織診断を行うための各項目に関する評価を含むユーザに対して提供される分析結果に関する分析データ、及び、組織診断を行うための大項目、中項目及び質問の関連付けを行うために参照される関連付けデータ等の情報を格納することができる。
【0033】
図6乃至図10は、サーバ100に格納される関連付けデータの一例を示す図である。
【0034】
まず、図6乃至図10の、「大項目」の項目に記載のように、企業において、オープンイノベーションを創出する土壌を有するかどうか、の組織診断を行うための評価項目として、「全社戦略とオープンイノベーション戦略及び/または新規事業戦略の整合性/オープンイノベーションの明確化」、「オープンイノベーション活動の方向性の明確化」、「オープンイノベーションを創出し、活動するための体制プロセスの整理」、「事業化/協業パートナー判断基準の明確化」、及び「イノベーション活動に関する適切な発信とソーシング」等の大項目が挙げられる。
【0035】
そして、図6に示すように、大項目「全社戦略とオープンイノベーション戦略及び/または新規事業戦略の整合性/オープンイノベーションの明確化」に対応する中項目として、「全社戦略が明確に示されている」、「全社戦略と新規事業戦略が紐づけられている」、「トップからの発信があり、イノベーションの重要性は社内浸透している」、「クローズドイノベーション領域とオープンイノベーション領域が明確に済み分けられている」、「イノベーション・マネジメントを推進している」等の項目が挙げられる。そして、中項目「全社戦略が明確に示されている」に対応する質問として、「全社戦略に関する質問」、中項目「全社戦略と新規事業戦略が紐づけられている」に対応する質問として、「全社戦略と新規事業戦略の整合性に関する質問」、中項目「トップからの発信があり、イノベーションの重要性は社内浸透している」に対応する質問として、「イノベーション活動の社内文化に関する質問」、中項目「クローズドイノベーション領域とオープンイノベーション領域が明確に済み分けられている」及び中項目「イノベーション・マネジメントを推進している」に対応する質問として、「イノベーション戦略に関する質問」が挙げられる。
【0036】
ここで、「全社戦略に関する質問」の一例として、「あなたは、全社の中期経営計画を読んで いますか?」、「あなたは、全社の中期経営計画を把握していますか?」といった質問等が挙げられる。また、「全社戦略と新規事業戦略の整合性に関する質問」の一例として、「あなたが所属する部門には新規事業戦略がありますか?」、「あなたは、所属する部門の新規事業戦略を把握していますか?」といった質問等が挙げられる。また、「イノベーション活動の社内文化に関する質問」の一例として、「あなたが所属する部門の事業本部長レイヤーは折につけイノベーシ ョンの重要性を発信していますか?」、「あなたが所属する部門の部長レイヤーは折につけイノ ベーションの重要性を発信していますか?」等が挙げられる。また、「イノベーション戦略に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、オープンイノベーションのみならず、クローズドイノベーション戦略も定義されていますか?」、「あなたはオープンイノベーションで実践すべきこと、クローズドで実践すべきことが語れますか?」、「あなたの会社は、イノベーションを起こすためのPDCAを回していると感じますか?」といった質問等が挙げられる。各々の質問に対し、ユーザは、例えば、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力することができる。
【0037】
また、図7に示すように、大項目「オープンイノベーション活動の方向性の明確化」に対応する中項目として、「マイルストンが定まっている」、「何を目的とするのか定まっている」、「参入市場が明確になっている」、「現実的に活用できる自社のリソースが明確になっている」等の項目が挙げられる。そして、中項目「マイルストンが定まっている」に対応する質問として、「計画性に関する質問」、中項目「何を目的とするのか定まっている」に対応する質問として、「目的・方向性に関する質問」、 中項目「参入市場が明確になっている」に対応する質問として、「参入市場・領域の明確さに関する質問」、また、中項目「現実的に活用できる自社のリソースが明確になっている」に対応する質問として、「自社のリソースの明確さに関する質問」が挙げられる。
【0038】
ここで、「計画性に関する質問」の一例として、「あなたの会社のイノベーション戦略は、 10カ年以上のマイルストン(状態目標・定量目標含む)が引けていますか?」、「あなたの会社 のイノベーション戦略は、 3カ年以上から9カ年以下までのマイルストン(状態目標・定量目標含む)が引けていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「目的・方向性に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、新規事業開発・イノベーション創出の具体的なイメージが定まっていますか?(具体的な提供価値や、参入市場インパクト、自社の売上向上幅等)」、「あなたが所属する部門では、会社の新規事業開発・イノベーション創出の具体的なプロダクトやサービスの状態まで、将来のイメージが描けていますか」といった質問等が挙げられる。また、「参入市場・領域の明確さに関する質問」の一例として、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組は、既存事業における改善、または新たな市場を開拓する新規事業等、何の価値を創出することを目的とするのかが明確になっていると感じますか?」、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組では、参入するテーマは具体的に決まっていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「自社のリソースの明確さに関する質問」の一例として、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組では、参入市場において活かせる自社の強 みを2つ以上言えますか?」、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組では、参入市場において活かせる自社の強みを4つ以上言えますか?」といった質問等挙げられる。各々の質問に対し、ユーザは、例えば、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力することができる。
【0039】
また、図8に示すように、大項目「オープンイノベーションを創出し、活動するための体制プロセスの整理」に対応する中項目として、「組織化ができている」、「決裁の所在が明らかである」、「実践者が明らかである」、「実践プロセスが策定できている」、「経営資源の確保がなされている」、「協力部署が明確になっている」、「オープンイノベーション担当者と、協力部署担当者の評価・インセンティブ設計がなされている」等の項目が挙げられる。そして、中項目「組織化ができている」に対応する質問として、「組織・体制に関する質問」、中項目「決裁の所在が明らかである」に対応する質問として、「組織・体制(決裁の所在)に関する質問」、 中項目「実践者が明らかである」に対応する質問として、「組織・体制(実践者)に関する質問」、中項目「経営資源の確保がなされている」に対応する質問として、「組織・体制(経営資源)に関する質問」、また、中項目「協力部署が明確になっている」に対応する質問として、「組織・体制(協力部署)に関する質問」、さらに、中項目「オープンイノベーション担当者と、協力部署担当者の評価・インセンティブ設計がなされている」についても「組織・体制(協力部署)に関する質問」が挙げられる。
【0040】
ここで、「組織・体制に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、新規事業開発・イノ ベーション創出に100%コミットできる人材が1人以上いますか?」、「あなたの会社では、新規事業開発・イノ ベーション創出に100%コミットできる人材が3名以上いますか?」といった質問等が挙げられる。また、「組織・体制(決裁の所在)に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、事業化までの決裁者(判断をする人)、もしくは意思決定機関が明確に定 義されていますか?」、「あなたの会社では、決裁者もしくは意思決定機関は、予算の策定と 決裁権を持っていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「組織・体制(実践者)に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、新規事業開発における、具体的な取組・プロジ ェクトの実践者が明確ですか?」、「あなたの会社では、新規事業開発における、社内体制図が策定出来ていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「組織・体制(経営資源)に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、事業化までのマイルストン上、適切な人件費・人員が確保されていますか?(ユーザーヒアリング・概念実証・実証実験・プロトタイプ開発費などを含む)」、「あなたの会社では、新規事業開発に必要な、次年度以降の資金・人員も検討が進 められていますか?」といった質問等が挙げられる。さらに、「組織・体制(協力部署)に関する質問」に対応する質問として、「あなたは、各既存事業部の課題・ニーズを各部署1個以上言えますか?」、「あなたは、各既存事業部の課題・ニーズを各部署3個以上言えますか?」といった質問等が挙げられる。各々の質問に対し、ユーザは、例えば、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力することができる。
【0041】
また、図9に示すように、大項目「事業化/協業パートナー判断基準の明確化」に対応する中項目として、「事業化/協業判断基準の明確化」、「協業パートナーを選定する際に何を重要視するのかが明確になっている」、「トップのコミットが体現されている」等の項目が挙げられる。そして、中項目「事業化/協業判断基準の明確化」に対応する質問として、「事業化判断基準に関する質問」、中項目「協業パートナーを選定する際に何を重要視するのかが明確になっている」に対応する質問として、「協業パートナー判断基準に関する質問」、 中項目「トップのコミットが体現されている」に対応する質問として、「経営トップのコミットメントに関する質問」が挙げられる。
【0042】
ここで、「事業化判断基準に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、事業案に対する GO/NOGOの判断基準が定められていますか?」、「あなたの会社では、事業案に対する判断基準に、投資対効果の項目が含まれており、それは現実的かどうかの議論がなされたうえで設計されていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「協業パートナー判断基準に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、事業案への判断基準とリンクする別基準として 他社との協業判断基準も設けられていますか?」、「あなたの会社では、事業案に対する GO/NOGOの判断基準に基づき、事業化までのマイルストンから逆算した共創パートナー企業と の協業判断基準も定められていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「経営トップのコミットメントに関する質問」の一例として、「あなたの会社では、協業判断基準を用いて実践した結果、基準は最適な状態になっていると言えますか?」、「あなたの会社では、最終的な事業化判断は、経営陣もしくはそれに 準ずる決裁を与えられた人間が含まれた場で実施」といった質問等が挙げられる。各々の質問に対し、ユーザは、例えば、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力することができる。
【0043】
さらに、図10に示すように、大項目「イノベーション活動に関する適切な発信とソーシング」に対応する中項目として、「オープンイノベーションにおけるブランディング戦略が構築出来ている」、「オープンイノベーションにおけるブランディング戦略に基づき発信ができている」、「本プロジェクトにおけるブランディング戦略が策定出来ている」、「自社の戦略・方針に合ったソーシング手段の選択ができている」等の項目が挙げられる。そして、中項目「オープンイノベーションにおけるブランディング戦略が構築出来ている」に対応する質問として、「組織・体制に関する質問」、中項目「オープンイノベーションにおけるブランディング戦略に基づき発信ができている」に対応する質問として、「イノベーション活動の発信に関わる質問」、 及び中項目「本プロジェクトにおけるブランディング戦略が策定できている」、「自社の戦略・方針に合ったソーシング手段の選択ができている」に対応する質問として、「ブランディング戦略策定に関する質問」及び「イノベーション活動におけるブランディングに関わる質問」が挙げられる。
【0044】
ここで、「組織・体制に関する質問」の一例として、「あなたの会社では、新規事業開発・イノベーション創出に100%コミットできる人材が1人以上いますか?」、「あなたの会社では、新規事業開発・イノベーション創出に100%コミットできる人材が3名以上いますか?」といった質問等が挙げられる。また、「イノベーション活動の発信に関わる質問」の一例として、「あなたの会社では、オープンイノベーションブランディング戦略に紐づき、発信すべき情報が整理され、可視化されていますか?」、「あなたの会社では、オープンイノベーションブランディングに対して、誰が窓口となり、企業のアイコンとなるか決まっていますか?」といった質問等が挙げられる。また、「ブランディング戦略策定に関する質問」の一例として、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組は、訴求ポイントが明確になっていますか?」、「あなたが携わっているイノベーション創出の取組では、目標を達成するためにどのようなテーマで共創パートナー企業を募集するかが言語化できていますか?」等が挙げられる。また、「イノベーション活動におけるブランディングに関わる質問」の一例として、「あなたの会社では、オープ ンイノベーション実践企業としての打ち出したいブランドイメージを言語化出来ていますか?」、 あなたの会社では、オープンイノベーション実践企業として中長期的なブランディング戦略の 言語化が出来ていますか?」といった質問等が挙げられる。各々の質問に対し、ユーザは、例えば、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力することができる。
【0045】
<処理の流れ>
図11を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する、イノベーション創出に関する組織診断を行う方法の処理の流れについて説明する。本発明の第一実施形態に係る、診断方法に係るフローチャートの一例である。
【0046】
ここで、本システム1を利用するために、ユーザは、ユーザ端末200の各々のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述のユーザ基本情報等、ユーザ基本情報等を各々入力し、既にユーザ、ユーザのアカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザインターフェースが提供され、図11に示すステップS101へ進む。
【0047】
まず、ステップS101の処理として、サーバ端末100は、通信部110を介して、ユーザ端末200に対し、質問データを送信する。例えば、サーバ端末100は、記憶部120の診断データ格納部122を参照し、質問データを、ユーザ端末200に送信し、ユーザ端末200の、ウェブブラウザまたはアプリケーションを介して提供されるユーザインターフェースにおいて、質問データとして、上記挙げたような各質問が表示される。
【0048】
次に、ステップS102の処理として、サーバ端末100は、ユーザ端末200から、上記質問に対する回答データを受信する。例えば、ユーザは、ユーザ端末200で表示される、各質問に対し、「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答を選択または入力を行うことで、各質問に対する回答が回答データとして、サーバ端末100に送信される。ここで、サーバ端末100は、所定の企業に属する複数の従業員から回答データを受信することができる。このとき、サーバ端末100は、回答データとともに、回答した従業員の従業員ID、従業員が属する企業のユーザID、回答日時等の情報も受信する。サーバ端末100の制御部130のユーザデータ管理部132は、受信した各従業員の回答データを、回答した従業員の従業員ID、従業員が属する企業のユーザID、回答日時等の情報とともに、記憶部120の診断データ格納部122に回答データとして格納する。
【0049】
次に、ステップS103の処理として、サーバ端末100は、ユーザ端末200から受け付けた回答データに基づいて、分析処理を行う。例えば、サーバ端末100の制御部130のデータ分析部133は、診断データ格納部122に格納された、各従業員の回答データを基に、各質問について、回答結果(「あてはまらない」、「あまりあてはまらない」、「どちらともいえない」、「どちらかといえばあてはまる」、「あてはまる」の5段階のうちいずれかの回答)をスコア(例えば、上記5段階に応じた1乃至5のポイント)を付与する。データ分析部133は、そのうえで、各質問について、複数の従業員のポイント平均を算出し、質問毎にポイント平均を紐づけて診断データ格納部122に統計データとして格納する。ここで、データ分析部133は、ポイント平均を算出する際に、付与されたポイントについて、後述する、中項目に関連づけられる複数の質問のうち、重要視される所定の質問について重みづけを行い、ポイントに加点を行ったうえで、平均値を算出することもできる。
【0050】
続いて、データ分析部133は、診断データ格納部122に格納された関連付けデータを参照し、質問と中項目との対応関係に基づいて、上記格納された質問毎のポイント平均を当該質問に対応する中項目に関連づけ、また、中項目と大項目との対応関係に基づいて、中項目毎にポイント平均を基に大項目毎のポイント平均を算出し、算出したポイント平均を大項目に関連づけて、診断データ格納部122に統計データとして格納する。
【0051】
次に、ステップS104の処理として、サーバ端末100は、分析処理を基に分析データを生成し、ユーザ端末200に送信する。例えば、サーバ端末100の制御部130のデータ分析部133は、診断データ格納部122に格納された統計データを基に、分析データを生成する。分析データとした、例えば、図13に示すように、大項目、中項目毎に、ユーザの回答データに基づいたポイント平均を関連づけ、表示させることができる。図13においては、大項目「全社戦略との整合性/オープンイノベーションの明確化」に対し、中項目「全社戦略が明確に示されている」、「全社戦略と新規事業戦略が紐づけられている」、「トップからの発信があり、イノベーションの重要性は社内浸透している」、「クローズドイノベーション領域とオープンイノベーション領域が明確に済み分けられている」、「イノベーション・マネジメントを推進している」が関連づけられており、中項目毎のポイント平均及び大項目毎のポイント平均が関連づけられ、表示されている。また、質問を異なる時期に複数回実施している場合は、前回のポイントとの差分を算出し、表示させることもできる。
【0052】
また、図12に示すように、分析データとして、大項目「全社戦略との整合性/オープンイノベーションの明確化」、「方向性の明確化」、「体制プロセスの整理」、「事業化/協業判断基準の明確化」、「適切な発信とソーシング」を軸とし、各大項目のポイント平均をスパイダーチャートとして表示させることもできる。その他、大項目別のポイント平均を数値として示し、分析結果を基に、定性的なコメントを記載のうえ表示させることもできる。このように、組織診断結果を可視化して示すことで、ユーザは、自身の組織がオープンイノベーションの創出、推進するに適した土壌を有するか、を明確に把握することができる。
【0053】
以上のように、企業組織がオープンイノベーションを創出し、推進する土壌を有するかどうか、について、評価軸となる大項目、中項目を定義し、企業ユーザの、質問に対する回答結果を基に、数値化し評価することで、企業ユーザは、自身の企業がオープンイノベーションを創出し、推進する土壌が備わっているか、を明確に理解することができ、オープンイノベーションに関連した企業の戦略・施策を策定し、意識づけを図ることができる。
【0054】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 診断システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 ユーザ端末、300 ユーザ端末、NW ネットワーク
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