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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098132
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230703BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20230703BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20230703BHJP
   B25D 17/00 20060101ALI20230703BHJP
   B23D 47/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B23B45/00 A
B25F5/02
B25D17/00
B23D47/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214692
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇人
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
【テーマコード(参考)】
2D058
3C036
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058BB01
2D058CA05
2D058CB07
2D058CB14
2D058DA45
3C036EE01
3C040AA01
3C040EE00
3C040GG44
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA05
3C064AA06
3C064AA09
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC05
3C064AC10
3C064BA12
3C064BA13
3C064BB47
3C064BB58
3C064BB74
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA08
3C064CA29
3C064CA53
3C064CA54
3C064CA55
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA75
3C064CA78
3C064CA80
3C064CB03
3C064CB06
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB22
3C064CB24
3C064CB25
3C064CB32
3C064CB46
3C064CB62
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB73
3C064CB84
3C064DA08
3C064DA34
3C064DA37
3C064DA56
3C064DA59
3C064DA60
3C064DA79
3C064DA84
3C064DA91
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させた作業機を提供する。
【解決手段】作業機は、電動モータ12と、電動モータ12の駆動力により作動する回転力伝達機構13、ピストン42、スリーブ15、打撃子16及び中間打撃子39と、電動モータ12、回転力伝達機構13、ピストン42、スリーブ15、打撃子16及び中間打撃子39を支持するハウジング部11と、ハウジング部11の姿勢を検出する姿勢検出部18と、振動することで姿勢検出部18の検出結果を報知する振動部19と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部の駆動力により作動する作動部と、
前記駆動部及び前記作動部を支持するハウジング部と、
前記ハウジング部の姿勢を検出する姿勢検出部と、
振動によって前記姿勢検出部の検出結果を報知する振動部と、を備える、作業機。
【請求項2】
前記ハウジング部は、前記駆動部及び前記作動部を支持する本体部と、第1方向に平行な軸線に沿って延びる形状を有し、作業者によって把持されるハンドル部と、を含み、
前記振動部は前記ハンドル部内に設けられる、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記振動部は、前記第1方向と直交する方向に加振力を前記ハウジング部に付与可能である、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記振動部は、前記第1方向に加振力を前記ハウジング部に付与可能である、請求項2または3に記載の作業機。
【請求項5】
前記ハンドル部は、振動低減部を介して前記本体部に接続される、請求項2乃至4の何れか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記姿勢検出部は、前記ハウジング部にかかる加速度を検出する加速度センサである、請求項1乃至5の何れか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記姿勢検出部は、前記ハウジング部にかかる前後方向、上下方向及び左右方向の加速度を検出可能である、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記振動部は、任意の方向の一方側に付与する加振力を、他方側に付与する加振力よりも大きくすることが可能である、請求項1乃至7の何れか一項に記載の作業機。
【請求項9】
前記振動部は、前記ハウジング部が予め定められた方向に対して傾斜した際に、傾斜した方向に向かって加振力を付与する、請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記振動部は、前記姿勢検出部の検出結果に応じて振動周波数を変更する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の作業機。
【請求項11】
前記振動部は、前記駆動部の駆動速度に応じて振動周波数を変更する、請求項1乃至10の何れか一項に記載の作業機。
【請求項12】
前記ハウジング部は、相手材に対して穿孔を行うドリルビットが前後方向に延出するように取付可能であり、
前記作動部は、前記駆動部の駆動力により前記ドリルビットに対して前後方向と平行な中心軸を中心とする回転力を付与し、
前記振動部は、前記ハウジング部にかかる重力方向に対する前後方向の角度を報知する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の作業機。
【請求項13】
前記振動部は、上下方向及び左右方向に加振力を前記ハウジング部に付与可能である、請求項12に記載の作業機。
【請求項14】
前記ハウジング部は、相手材を切断する回転刃が下方に延出するように取り付け可能であり、
前記作動部は、前記駆動部の駆動力により前記回転刃に対して左右方向と平行な中心軸を中心とする回転力を付与し、
前記振動部は、前記ハウジング部にかかる左右方向の加速度を報知する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の作業機。
【請求項15】
前記振動部は、左右方向に加振力を付与可能である、請求項14に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングの姿勢を検出するセンサと、センサの検出結果を報知するLEDが設けられた電動工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-94870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業者は、作業中にハウジングの姿勢を確認するために、作業箇所から目を離してLEDを視認する必要があり、作業性の改善が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様による作業機は、駆動部と、前記駆動部の駆動力により作動する作動部と、前記駆動部及び前記作動部を支持するハウジング部と、前記ハウジング部の姿勢を検出する姿勢検出部と、振動することで前記姿勢検出部の検出結果を報知する振動部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業性を向上させた作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態の作業機の断面図である。
図2】第1の実施の形態の作業機の制御系の構成を示すブロック図である。
図3図3(A),(B)は、リニア振動モータの概略構成を模式的に示す図である。
図4図4(A)は検出角度入力部の外観を示す図であり、図4(B)は外部の通信機器の外観を示す図である。
図5】角度設定処理を説明するフローチャートである。
図6】角度設定処理を説明するフローチャートである。
図7図7(A)は振動部の可動子の移動速度と時間との関係を説明する図であり、図7(B)は振動部の可動子の変位と時間との関係を説明する図である。
図8】第1の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
図9】第1の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
図10】第1の変形例の報知処理を説明するフローチャートである。
図11】第1の変形例の報知処理を説明するフローチャートである。
図12】第2の変形例の作業機の断面図である。
図13】第3の変形例の作業機の断面図である。
図14】第4の変形例の作業機の断面図である。
図15】第5の変形例の作業機の断面図である。
図16】第6の変形例の作業機の断面図である。
図17】第2の実施の形態の作業機の断面図である。
図18】第2の実施の形態の作業機の制御系の構成を示すブロック図である。
図19】第2の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
図20】第2の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
図21】第2の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
図22】第2の実施の形態の変形例の報知処理を説明するフローチャートである。
図23】第2の実施の形態の変形例の報知処理を説明するフローチャートである。
図24】第2の実施の形態の変形例の報知処理を説明するフローチャートである。
図25図25(A)は第3の実施の形態の作業機の外観斜視図であり、図25(B)は第3の実施の形態の作業機の断面図である。
図26】第3の実施の形態の報知処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して第1の実施の形態の作業機について説明する。図1は、作業機として相手材である被加工物Wを穿孔するハンマドリル10の断面図である。尚、説明の都合上、図1の紙面上下方向に沿ったy軸と、紙面左右方向に沿ったz軸と、y軸及びz軸と直交するx軸とからなる直交座標系を設定する。紙面手前側をx軸+側、紙面奥行側をx軸-側とする。紙面上側をy軸+側、紙面下側をy軸-側とする。また、紙面右側をz軸+側、紙面左側をz軸-側とする。尚、以下の説明においては、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0009】
ハンマドリル10は、ハウジング部11と、電動モータ12と、回転力伝達機構13と、変換機構14と、スリーブ15と、打撃子16と、姿勢検出部18と、振動部19とを有する。ハンマドリル10は、電動モータ12の回転力をスリーブ15へ伝達する機能と、電動モータ12の回転力を打撃子16の打撃力に変換する機能とを有する。
【0010】
<ハウジングについて>
ハウジング部11は中空に形成され、ハンマドリル10の外郭を構成する。ハウジング部11は、例えば、左右方向の中央を通り、左右方向に直交する分割面(yx平面に平行な面)で分割される右側側面と左側側面を組み合わせて形成される。尚、右側側面と左側側面とは分割面に対して対称な形状に形成される。
【0011】
ハウジング部11は、後述するように駆動部として機能する電動モータ12と、作動部として機能する回転力伝達機構13、変換機構14、ピストン42、打撃子16及び中間打撃子39とをその内部で支持する。ハウジング部11は、本体部112と、ハンドル部113とを有する。本体部112の前方側の外面にはグリップ62が取り付けられている。本体部112は、電動モータ12と、回転力伝達機構13と、変換機構14と、ピストン42、打撃子16と、中間打撃子39とをその内部で支持する。ハンドル部113は、上下方向(第1方向)に平行な軸線に沿って延びる形状を有し、本体部112の後方の上部及び下部にて本体部112の後方に接続される。ハンドル部113は、作業者によって把持される。作業者は、一方の手でグリップ62を握り、他方の手で上述したハンドル部113を握った状態で、ハンマドリル10を使用する。
【0012】
<電動モータについて>
電動モータ12は、本体部112内に収容される。電動モータ12は、ステータ及びロータを有するブラシレスモータであり、ロータの回転により駆動力を発生させる駆動部である。電動モータ12のロータは出力軸23に取り付けられている。出力軸23は、軸受により、y軸に平行な第1仮想線A11を中心として回転可能に支持されている。電動モータ12のステータに電流が流れると回転磁界が形成されて、ロータ及び出力軸23が回転される。
【0013】
<回転力伝達機構について>
回転力伝達機構13は、本体部112内に収容され、電動モータ12の上方に配置される。回転力伝達機構13は中間シャフト28を有する。中間シャフト28は、本体部112内で軸受によって支持され、かつ、z軸に平行な第2仮想線A21を中心として回転可能である。第1仮想線A11と第2仮想線A21とが所定角度(例えば、90度)で交差して配置される。中間シャフト28の一方側の端部には従動ギヤが固定され、この従動ギヤと上記の出力軸23に設けられる駆動ギヤとが噛み合っている。これにより、電動モータ12の回転に伴い回転する出力軸23によって中間シャフト28が回転される。また、中間シャフト28の外周面に設けられたギヤと、スリーブ15の外周に取り付けられた伝達ギヤとが噛み合わされている。これにより、中間シャフト28は、電動モータ12の回転に伴い回転する出力軸の回転力をスリーブ15に伝達する。
【0014】
<スリーブについて>
スリーブ15は本体部112内の前方に収容され、回転力伝達機構13の上方に配置される。スリーブ15は筒形状であり、z軸に平行な第3仮想線A31に沿って配置される。スリーブ15は工具支持孔37を有し、スリーブ15は、相手材である被加工物Wに対して穿孔を行う先端工具(ドリルビット)38を支持可能及び取付可能である。スリーブ15に取り付けられた先端工具38は、スリーブ15に対して前後方向の前方側に延出する。換言すると、ハウジング部11は、先端工具38を前後方向に延出するように取り付け可能である。
【0015】
スリーブ15が先端工具38を支持すると、スリーブ15と先端工具38とが一体回転可能である。スリーブ15の内部には中間打撃子39が設けられている。中間打撃子39は、スリーブ15に対して第3仮想線A31に沿った方向に移動可能である。
【0016】
<変換機構について>
変換機構14は、本体部112内に収容される。変換機構14は、内輪40、外輪41及びピストン42を有する。内輪40は、中間シャフト28の外周面に取り付けられる。外輪41は、内輪40の外側に配置される。内輪40の外周面にカム溝が設けられ、このカム溝と外輪41との間に転動体が設けられている。
【0017】
クラッチ43は本体部112内に収容されている。クラッチ43は、中間シャフト28と内輪40との間の動力伝達経路を接続及び遮断する。クラッチ43は、中間シャフト28に取り付けられた円筒部材である。クラッチ43は、中間シャフト28の外周面に形成されたギヤに噛み合わされており、クラッチ43は中間シャフト28に対して第2仮想線A21に沿った方向に移動可能である。
【0018】
ハンマドリル10の使用状態を切り替える作業選択部材(不図示)がハウジング部11に設けられている。作業選択部材は、例えばレバーである。作業者が作業選択部材を操作すると、クラッチ43が第2仮想線A21に沿った方向に作動される。作業者は作業選択部材を操作することにより、回転・打撃モードと、回転モードとの間でハンマドリル10の動作態様を切り替えることができる。回転・打撃モードは、スリーブ15に第3仮想線A31(前後方向)を中心軸とする回転力を加え、かつ、第3仮想線A31に沿った方向(前後方向)の打撃力を中間打撃子39に付加可能なモードである。回転モードは、スリーブ15に第3仮想線A31(前後方向)を中心軸とする回転力を加え、かつ、中間打撃子39に打撃力を付加しないモードである。
【0019】
クラッチ43は、内輪40に対して係合及び解放可能である。回転・打撃モードが選択されると、クラッチ43が内輪40に係合され、動力伝達経路が接続される。回転モードが選択されると、クラッチ43が内輪40から解放され、動力伝達経路が遮断される。
【0020】
外輪41はピストン42に連結されている。ピストン42は筒形状であり、第3仮想線A31に沿った方向に移動可能である。打撃子16は、ピストン42内に設けられており、打撃子16は、ピストン42に対して第3仮想線A31に沿った方向に移動可能である。ピストン42内で、ピストン42と打撃子16との間に空気室44が設けられている。
【0021】
上述した回転力伝達機構13、ピストン42、スリーブ15、打撃子16及び中間打撃子39は、電動モータ12の回転により生じる駆動力により作動する作動部として機能する。上述したように、上記の要素により構成される作動部は、駆動部である電動モータ12の駆動力により先端工具38に対して前後方向と平行な方向を中心軸とする回転力を付与する。
【0022】
<ハンドル部について>
ハンドル部113は、下方側で本体部112に連結される箇所に設けられた装着部に、電池パック46が着脱可能に装着される。電池パック46は交流電源である。電池パック46は、収容ケースと、収容ケース内に設けられた電池セルと、を有する。電池セルは、一次電池又は二次電池の何れでもよい。電池セルとしては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。
【0023】
トリガ47はハンドル部113の上方に設けられている。トリガ47は、ハンドル部113に対して作動可能である。トリガ47は、スプリング等の弾性部材によりハンドル部113の外部(z軸+側)に向けて付勢されている。このトリガ47に対してz軸-側への操作力が加わると、トリガ47は上記の付勢力に抗して初期位置から移動する。トリガ47に対する操作力が解除されると、トリガ47は初期位置に戻る。
【0024】
ハンドル部113内には、詳細を後述する姿勢検出部18及び振動部19が収容される。姿勢検出部18は、例えば加速度センサ、磁気センサ等により構成される。振動部19は、例えばリニア振動モータであり、第1振動部19aと第2振動部19bとを有する。第1振動部19aは、x軸(第1方向と直交する第2方向、すなわち左右方向)に加振力を付与して、ハンドル部113にx軸方向の振動を伝達する。第2振動部19bは、y軸(第1方向、すなわち上下方向)に加振力を付与して、ハンドル部113にy軸方向の振動を伝達する。すなわち、振動部19は、ハンマドリル10の上下方向及び左右方向に加振力を付与可能である。
【0025】
<制御系について>
図2は、ハンマドリル10の制御系統を示すブロック図である。図2に示されるように、ハンマドリル10は、上述した要素に加えて、制御回路17と、インバータ回路49と、モータ制御信号回路61と、スイッチ検出回路50と、電流検出回路51と、回転位置検出回路53と、回転数検出回路54と、振動部電源回路55と、制御系電源回路56と、温度検出回路57と、温度センサ58と、検出角度入力部70とが設けられる。
【0026】
また、ハンマドリル10は、ハウジング部11の外表面上に第1発光部59a、第2発光部59b、第3発光部59c及び第4発光部59dを有する、第1発光部59a、第2発光部59b、第3発光部59c及び第4発光部59dは例えばLED等の光源であり、制御回路17に制御されて駆動電流が供給されると点灯する。第1発光部59aは、ハウジング部11前方(z方向+側)の端部にて、x軸+側(右方向)に配置される。第2発光部59bは、ハウジング部11前方(z方向+側)の端部にて、x軸-側(左方向)に配置される。第3発光部59cは、ハウジング部11前方(z方向+側)の端部にて、y軸+側(上方向)に配置される。第4発光部59dは、ハウジング部11前方(z方向+側)の端部にて、y軸-側(下方向)に配置される。
【0027】
制御回路17は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理部、記憶部及びタイマー等を有するマイクロコンピュータである。インバータ回路49は複数のスイッチング素子を有し、電動モータ12のステータと電池パック46との間の電気回路に設けられる。モータ制御信号回路61は、制御回路17により制御されて、インバータ回路49のスイッチング素子をそれぞれ単独でオン及びオフさせる信号を出力する。
【0028】
スイッチ検出回路50は、トリガ47が作業者により操作されると、作業者による操作を検出して信号(操作信号)を制御回路17に出力する。電流検出回路51は、電池パック46から電動モータ12のステータに供給される電流値を検出して、制御回路17へ信号を出力する。
【0029】
回転位置検出回路53は、例えばホールICであり、ロータ及び出力軸23の回転方向における位置を検出して信号を制御回路17へ出力する。回転数検出回路54は、単位時間内にカウントされる回転位置検出回路53からの検出信号の数に基づいて、電動モータ12の回転数を検出して制御回路17へ出力する。振動部電源回路55は、電池パック46から振動部19へ駆動電力を供給する。制御系電源回路56は、電池パック46からハンマドリル10の各部へ駆動電力を供給するする定電圧回路である。
【0030】
温度検出回路57は、インバータ回路49の温度検出のための回路である。温度検出回路57は、インバータ回路49の近傍に設けられたサーミスタ等の温度センサ58により検出された温度の値を示す信号を制御回路17へ出力する。
【0031】
検出角度入力部70は、作業者がハンマドリル10を使用する際のハンマドリル10と被加工物Wとの間の角度を設定するユーザインタフェースであり、設定した角度の値を示す信号を制御回路17へ出力する。尚、検出角度入力部70については詳細を後述する。
【0032】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18はハウジング部11の姿勢を検出する検出部であり、図2に示されるように、x軸姿勢検出部181aと、y軸姿勢検出部181bと、z軸姿勢検出部181cと、x軸検出回路182aと、y軸検出回路182bと、z軸検出回路182cと、を有する。x軸姿勢検出部181a、y軸姿勢検出部181b及びz軸姿勢検出部181cは、例えば加速度センサであり、それぞれ、ハウジング部11に加わるx軸方向,y軸方向及びz軸方向に作用する加速度を電気信号に変換して出力する。すなわち、姿勢検出部18は、ハウジング部11にかかる前後方向、上下方向及び左右方向の加速度を検出可能である。尚、加速度センサとして、圧電型、ピエゾ抵抗型、静電容量型、周波数変化型等の検出方式を用いるセンサを使用することができる。
【0033】
x軸検出回路182a、y軸検出回路182b及びz軸検出回路182cは、それぞれx軸姿勢検出部181a、y軸姿勢検出部181b及びz軸姿勢検出部181cから出力された電気信号を用いて、ハウジング部11のx軸方向、y軸方向及びz軸方向に作用する加速度を算出して、加速度信号として制御回路17へ出力する。すなわち、姿勢検出部18は、姿勢検出の検出結果を示す加速度信号(姿勢検出信号)を制御回路17へ出力する。
【0034】
尚、x軸姿勢検出部18a、y軸姿勢検出部18b及びz軸姿勢検出部18cとして加速度センサを用いるものに変えて、ハウジング部11のx軸方向、y軸方向及びz軸方向の磁界を電気信号に変換する磁気センサを用いてもよい。この場合、x軸検出回路182a、y軸検出回路182b及びz軸検出回路182cは、出力された電気信号を用いて、ハウジング部11のx軸方向、y軸方向及びz軸方向の磁界の向きを算出して、磁界信号(姿勢検出信号)として制御回路17へ出力する。
【0035】
姿勢検出部18は、図1に示されるように、基板183上に実装される。基板183は、ハンドル部113と本体部112とが下方側で連接する箇所に設けられる。基板183は、ハウジング部11の内壁に設けられたリブ等にねじ止めされることにより、姿勢検出部18がハウジング部11に取り付けられる。尚、基板183がねじ止めされるものに代えて、基板183がハウジング部11内部の突起等の構造物にて左側側面及び右側側面から挟み込まれて固定されてもよい。
【0036】
<振動部について>
振動部19は、ハンドル部113内に設けられ、振動することで姿勢検出部18の検出結果を作業者へ報知する。振動部19の第1振動部19aは、x軸リニア振動モータ191aとx軸振動制御回路192aとを有する。振動部19の第2振動部19bは、y軸リニア振動モータ191bとy軸振動制御回路192bを有する。x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bは、入力された信号に応じて可動子199を直線方向に往復振動させるリニア振動モータである。
【0037】
図3(A)、図3(B)にx軸リニア振動モータ191aの概略構成を模式的に示す。尚、y軸リニア振動モータ191bも同様の構成を有するので、以下の説明はy軸リニア振動モータ191bの構成にも適用される。x軸リニア振動モータ191aは、複数の固定子197と、複数の固定子197のそれぞれに巻かれたコイル198と、複数のマグネット(磁石)により構成される可動子199と、を含む。固定子197は、可動子199を一軸方向に沿って摺動可能に支持する枠体(不図示)に固定されている。可動子199は、ばね等により付勢されて枠体に取り付けられている。
【0038】
コイル198は、振動部電源回路55を介して電池パック46から電流(駆動電流)が供給されるとローレンツ力を発生させる。このローレンツ力がマグネットに作用することにより、可動子199が付勢力に抗して駆動する。その結果、可動子199は固定子197に対して相対的に移動し、図3(A)に示される固定子197と可動子199との位置関係は、図3(B)に示されるように矢印ARの方向に沿って変化する。コイル198へ供給される電流の向きが逆転すると、可動子199は矢印ARと逆方向に沿って変位し、図3(B)に示される位置関係から、図3(A)に示される位置関係に戻る。すなわち、可動子199は電流の供給を受けて、矢印ARに沿って変位(振動)する。
【0039】
x軸リニア振動モータ191aは、可動子199の振動方向(矢印ARの方向)がx軸方向に沿うようにハンドル部113内に取り付けられる。y軸リニア振動モータ191bは、可動子199の振動方向がy軸方向に沿うようにハンドル部113内に取り付けられる。図1に示されるように、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bは、基板193a及び基板193bに実装される。基板193a,193bがハンドル部113内のハウジング部11の内壁に設けられたリブ等にねじ止めされることにより、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bがハウジング部11に取り付けられる。尚、基板193a,193bがねじ止めされるものに代えて、基板193a、193bがハウジング部11内部の突起等の構造物にて左側側面及び右側側面から挟み込まれて固定されてもよい。これにより、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bの振動がハウジング部11に伝達されやすくなる。この結果、ハンドル部113を把持する作業者は、振動部19による振動を認識しやすくなる。
【0040】
x軸振動制御回路192a及びy軸振動制御回路192bは、制御回路17により制御されて、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bが有する可動子199の移動速度及び移動方向を制御する。尚、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bが有する可動子199の移動速度及び移動方向の制御については、詳細を後述する。
【0041】
<検出角度入力部について>
検出角度入力部70は、作業者がハンマドリル10を使用する際のハンマドリル10と被加工物Wとの間の角度を設定するユーザインタフェースであり、外部の通信機器との間で各種情報の送受信が可能な通信部(不図示)を有する。
【0042】
図4(A)は、検出角度入力部70の外観を示す図である。検出角度入力部70は、ハウジング部11の外表面の、例えば作業者による視認及び操作が容易な箇所に設けられる。検出角度入力部70は、第1操作部71と、第2操作部72と、第3操作部73と、第1表示部74と、第2表示部75と、第3表示部76と、第4表示部77とを有する。
【0043】
第1操作部71は、設定角度を0°(水平)に設定する際に作業者により押下操作され、操作信号を制御回路17へ出力する。設定角度が0°(水平)とは、ハンマドリル10を地面と水平、すなわちハンマドリル10のz軸方向(前後方向)を被加工物Wが有する鉛直面に対して直交する方向に一致させた状態のことである。
【0044】
第2操作部72は、設定角度を90°(垂直)に設定する際に作業者により押下操作され、操作信号を制御回路17へ出力する。設定角度が90°(垂直)とは、ハンマドリル10を地面に対して垂直、すなわちハンマドリル10のz軸方向(前後方向)を被加工物Wが有する水平面に対して直交する方向に一致させた状態のことである。
【0045】
第3操作部73は、設定角度を任意角度に設定する際に作業者により押下操作され、操作信号を制御回路17へ出力する。設定角度が任意角度とは、ハンマドリル10のz軸方向(前後方向)を被加工物Wの面に対して作業者が所望する角度に傾けた状態のことである。また、第3操作部73は、外部の通信機器との間で通信を行い、外部の通信機器から設定角度を設定する操作を行う場合にも、作業者により押下操作される。
【0046】
第1表示部74は、例えばLED等の光源であり、第1操作部71が操作されて、設定角度が0°に設定されると点灯する。第2表示部75は、例えばLED等の光源であり、第2操作部72が操作されて、設定角度が90°に設定されると点灯する。第3表示部76は、例えばLED等の光源である。第3操作部73による設定角度を設定する操作中には点滅し、設定角度が任意角度に設定されると点灯する。第4表示部77は、例えばLED等の光源であり、携帯端末等の外部の通信機器との間で通信が確立すると点灯する。上述した設定角度の設定は外部の通信機器からも行うことができる。
【0047】
図4(B)は、外部の通信機器78の外観を示す図であり、表示面781に角度設定画面Pが表示された場合を示している。尚、図4(B)は通信機器78としてタブレット等の携帯用情報端末を示している。
【0048】
図4(B)に示されるように、角度設定画面Pには、第1操作画面782と、第2操作画面783と、第3操作画面784と、第4操作画面785とが表示される。第1操作画面782は、設定角度を上述した0°(水平)に設定する際に作業者によりタッチ操作が行われる表示面781上の領域である。第2操作画面783は、設定角度を上述した90°(垂直)に設定する際に作業者によりタッチ操作が行われる表示面781上の領域である。第3操作画面784は、設定角度を上述した任意角度に設定する際に作業者によりタッチ操作が行われる表示面781上の領域である。第4操作画面785は、通信機器78とハンマドリル10との間で通信を確立する際に作業者によりタッチ操作が行われる表示面上の領域である。
【0049】
尚、上述した検出角度入力部70及び外部の通信機器78を用いて設定角度を設定する処理については、詳細な説明を後述する。
【0050】
<制御回路の処理について>
次に、制御回路17が行う処理について説明する。制御回路17は、上述した検出角度入力部70の第1操作部71、第2操作部72及び第3操作部73の何れかが作業者により操作されて操作信号が出力されると、ハンマドリル10の傾きを報知する傾き報知機能を開始する。傾き報知機能として、制御回路17は、作業者の操作に応じて設定角度を設定する角度設定処理と、設定角度に対するハンマドリル10の傾きを検出して報知する報知処理とを行う。
【0051】
<角度設定処理について>
上述したように、作業者は検出角度入力部70、または外部の通信機器78を用いて設定角度を設定するための操作を行う。まず、検出角度入力部70を作業者が操作することにより設定角度が設定される場合について説明する。作業者による押下操作に応じて第1操作部71から操作信号が出力されると、制御回路17は、設定角度を0°に設定し、設定値として制御回路17内の記憶部に記憶する。設定角度の0°が設定値として記憶されると、制御回路17は、第1表示部74に電流を供給させて第1表示部74を点灯させる。
【0052】
作業者による押下操作に応じて第2操作部72から操作信号が出力されると、制御回路17は、設定角度90°に設定し、設定値として制御回路17内の記憶部に記憶する。設定角度の90°が設定値として記憶されると、制御回路17は、第2表示部75に電流を供給させて第2表示部75を点灯させる。
【0053】
作業者による押下操作に応じて第3操作部73から操作信号が出力されている状態(すなわち第3操作部73の押下操作が継続している状態)がN1秒以上経過する場合、制御回路17は、外部の通信機器78との通信を確立する処理を行う。制御回路17は、通信機器78との通信を確立されるまでの間は、第4表示部77に一定の時間間隔で電流を供給と停止とを繰り返すことにより、第4表示部77を点滅させる。通信機器78との通信が確立し、通信機器78との間で情報の送受信が可能となると、制御回路17は第4表示部77に電流を供給して、第4表示部77を点灯させる。
【0054】
作業者による押下操作に応じて第3操作部73から操作信号が出力されている状態(すなわち第3操作部73の押下操作が継続している状態)がN2(>N1)秒以上経過する場合、制御回路17は、作業者が所望する任意角度を設定角度として設定する処理を行う。具体的には、作業者は、ハンマドリル10と被加工物Wとの間の角度が所望する角度となるようにハンマドリル10を保持した状態を維持したまま、第3操作部73の押下操作をN3秒間行う(任意角度設定操作)。尚、上記の第3操作部73の操作がN2秒以上行われると、制御回路17は、第4表示部77に一定の時間間隔で電流を供給することにより、第4表示部77を点滅させる。
【0055】
上記の任意角度設定操作が作業者により行われると、制御回路17は、このときのハンマドリル10と被加工物Wとがなす角度を設定角度として設定する。この場合、制御回路17は、姿勢検出部18から出力された姿勢検出信号を用いてハンマドリル10の角度を算出する。そして、制御回路17は、算出した角度のx軸成分、y軸成分、z軸成分を設定角度の設定値として記憶部に記憶する。設定角度の設定値が記憶されると、制御回路17は第4表示部77に電流を供給して、第4表示部77を点灯させる。
【0056】
次に、外部の通信機器78を用いて設定角度を設定する場合について説明する。上述したように、作業者により検出角度入力部70の第3操作部73がN1秒以上操作され、通信機器78と検出角度入力部70との間で通信が確立すると、作業者が通信機器78を操作することにより設定角度の設定操作を行うことができる。具体的には、作業者が第3操作部73をN1秒以上押下操作した後、通信機器78の角度設定画面Pに表示される第4操作画面785がタッチ操作され、タッチ操作に応じた操作信号が受信されると、制御回路17は、作業者による通信機器78の操作を受け付けて設定角度の設定値を記憶する。
【0057】
第1操作画面782及び第2操作画面783が操作されて出力された操作信号を受信すると、制御回路17は、それぞれ設定角度の設定値を0°と90°として記憶部に記憶する。第3操作画面784は、作業者が所望する設定角度の値を入力する画面である。第3操作画面784が操作されると、例えば数値入力画面が表示面781上に表示され、作業者が設定角度の値を入力し決定操作を行うと、数値入力された設定角度の値が送信される。制御回路17は、受信した設定角度の値を設定値として記憶部に記憶する。
【0058】
図5図6に示されるフローチャートを参照して、制御回路17が行う角度設定処理の動作について説明する。図5図6のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。
【0059】
図5に示すステップS101では、制御回路17は、不図示の電源スイッチ、検出角度入力部70の第1操作部71、第2操作部72及び第3操作部73の何れが操作され、出力された操作信号を入力する。その後、処理はステップS102へ進む。ステップS102では、制御回路17は傾き報知機能を開始する。その後、処理はステップS103へ進む。ステップS103では、制御回路17は、第3操作部73の押下操作により出力された操作信号がN1秒以上入力されたか否かを判定する。操作信号がN1秒以上入力された場合には、ステップS103にて制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS104へ進む。操作信号の入力がN1秒未満の場合には、ステップS103にて制御回路17は否定判定を行い、処理は後述する図6のステップS110へ進む。
【0060】
ステップS104では、制御回路17は、外部の通信機器78との間で接続を開始する。その後処理はステップS105へ進む。ステップS105では、制御回路17は第4表示部77を点滅させる。その後処理はステップS106へ進む。ステップS106では、制御回路17は、外部の通信機器78にて接続操作が行われたか否かを判定する。外部の通信機器78の接続操作が行われた場合、すなわち外部の通信機器78の第4操作画面785が操作されて出力された操作信号が受信された場合、ステップS106にて制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS107へ進む。通信機器78の接続操作が行われない場合、すなわち外部の通信機器78の第4操作画面785が操作されず操作信号が出力されない場合、ステップS106にて制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS103へ戻る。
【0061】
ステップS107では、制御回路17は第4表示部77を点灯させる。その後、処理はステップS108へ進む。ステップS108では、制御回路17は、通信機器78の第1操作画面782、第2操作画面783及び第3操作画面784の操作に応じて出力された操作信号を受信する。その後、処理はステップS109へ進む。ステップS109では、制御回路17は、ステップS108で入力した操作信号に基づく設定角度の設定値を記憶部に記憶して、角度設定処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS103にて否定判定が行われて進んだ図6に示されるステップS110では、制御回路17は、第1操作部71が押下操作されたか否かを判定する。第1操作部71が押下操作され操作信号が出力された場合には、ステップS110にて制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS111へ進む。第1操作部71が押下操作されず、操作信号が出力されない場合には、ステップS110にて制御回路17は否定判定を行い、処理は後述するステップS113へ進む。
【0063】
ステップS111では、制御回路17は、第1表示部74を点灯させる。その後、処理はステップS112へ進む。ステップS112では、制御回路17は、設定角度である0°を設定値として記憶部に記憶して、角度設定処理を終了する。
【0064】
ステップS110にて否定判定されて進んだステップS113では、制御回路17は第2操作部72が押下操作されたか否かを判定する。第2操作部72が押下操作され操作信号が出力された場合には、ステップS113にて制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS114へ進む。第2操作部72が押下操作されず操作信号が出力されない場合には、ステップS113にて制御回路17は否定判定を行い、処理は後述するステップS116へ進む。ステップS114では、制御回路17は第2表示部75を点灯させる。その後、処理はステップS115へ進む。ステップS115では、制御回路17は、設定角度である90°を設定値として記憶部に記憶して、角度設定処理を終了する。
【0065】
ステップS113にて否定判定が行われて進んだステップS116では、制御回路17は第3操作部73の押下操作により出力された操作信号がN2秒以上入力されたか否かを判定する。操作信号がN2秒以上入力された場合には、ステップS116にて制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS117へ進む。操作信号の入力がN2秒未満の場合には、ステップS116にて制御回路17は否定判定を行い、処理は図5のステップS102へ戻る。
【0066】
ステップS117では、制御回路17は第3表示部76を点滅させる。その後処理はステップS118へ進む。ステップS118では、制御回路17は、作業者によりN3秒間行われた任意角度設定操作に応じて姿勢検出部18から出力された姿勢検出信号を入力する。その後、処理はステップS119へ進む。ステップS119では、制御回路17は第3表示部76を点灯させる。その後、処理はステップS120へ進む。ステップS120では、制御回路17はステップS118で入力した姿勢検出信号に基づいて算出したx軸、y軸及びz軸成分の角度を設定角度の設定値として記憶部に記憶して、角度設定処理を終了する。
【0067】
上述したようにして設定角度が設定されると、制御回路17は報知処理を行う。
【0068】
<報知処理について>
上述した角度設定処理により設定された設定角度に対してハンマドリル10が傾いている場合には、制御回路17は、振動部19を振動させることにより作業者にハンマドリル10が傾いていることを報知する報知処理を行う。報知処理では、ハンマドリル10のハウジング部11にかかる重力方向に対する先端工具38の軸方向(すなわち前後方向)の角度(すなわち傾き)が報知される。この場合、制御回路17は、振動部19に、ハンマドリル10のハウジング部11が角度設定処理により予め設定された方向に対して傾斜した際に、傾斜した方向に向かって加振力を付与させる。以下、詳細に説明する。
【0069】
作業を行うために作業者によりハンマドリル10が保持されると、姿勢検出部18は姿勢検出信号を出力する。制御回路17は、入力した姿勢検出信号を用いて、ハンマドリル10の保持角度(x軸方向の保持角度θx、y軸方向の保持角度θy及びz軸方向の保持角度θz)を算出する。制御回路17は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向ごとに、設定角度の設定値(x軸方向の設定値θα、y軸方向の設定値θβ及びz軸方向の設定値θγ)と算出した保持角度との間の差(以下、傾き角度と呼ぶ)を算出する。すなわち、制御回路17は、傾き角度のx軸成分(θx-θα)と、y軸成分(θy-θβ)と、z軸成分(θz-θγ)とを算出する。尚、保持角度の各成分は、-180°<θx<180°、-180°<θy<180°及び-180°<θz<180°である。
【0070】
報知処理を実行中の制御回路17は、作業者がハンマドリル10の姿勢を変更することに応じて上述した傾き角度が0となるまで、振動部19を振動させる。具体的には、制御回路17は、傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0よりも大きい場合に、振動部19の第1振動部19aが有するx軸リニア振動モータ191aを駆動して、x軸+側に振動を発生させる。この場合、第1振動部19aのx軸振動制御回路192aは、制御回路17に制御されて、x軸リニア振動モータ191aのコイル198に供給する電流の値及びタイミングを制御することにより、可動子199の移動速度、移動量、移動方向等を制御する。
【0071】
図7(A)はx軸振動制御回路192aに制御されたx軸リニア振動モータ191aの可動子199の移動速度と時刻との関係を模式的に示すタイミングチャートであり、図7(B)はx軸リニア振動モータ191aの可動子199の変位と時刻との関係を模式的に示すタイミングチャートである。尚、図7(A),図7(B)は、傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0よりも大きいときに、可動子199が動作周期T(=時間Ta+Tb+Tc、振動周波数F=1/T)で動作し、変位X=0の位置を振動中心としてX=±X0/2の範囲を移動する場合を示している。
【0072】
図7(A)に示されるように、可動子199が時間Taの間は移動速度Va(>0)で移動することにより、図7(B)に示されるように可動子199は時間Taが経過するとx軸+側にX0/2だけ変位する。この場合、x軸振動制御回路192aは、x軸リニア振動モータ191aのコイル198に電流を供給して、可動子199を移動速度Vaで移動させる。コイル198に供給する電流の値は、試験やシミュレーション等の結果に基づいて、予め決められている。
【0073】
その後の時間Tbの期間では、x軸振動制御回路192aは、x軸リニア振動モータ191aのコイル198に電流を供給して、可動子199を移動速度Vb(<0)で移動させる。これにより、可動子199はx軸-側に向けて変位する。尚、コイル198に供給する電流の値は、試験やシミュレーション等の結果に基づいて、予め決められている。時間Tbは時間Taよりも短い期間であることから、時間Tbが経過後の可動子199は振動中心(X=0)には到達せず、0<X<X0/2の範囲内に位置する。
【0074】
その後、時間Tcの期間では、x軸振動制御回路192aは、x軸リニア振動モータ191aのコイル198に電流を供給しない。そのため、可動子199はx軸+側の領域でx軸-方向へ向けて惰性で移動し、徐々に移動速度が減少する。可動子199の移動速度が0となると、可動子199は振動中心(X=0)に位置する。以後、可動子199は、上述した動作周期Tごとに同様の移動を繰り返す。
【0075】
この結果、可動子199はx軸リニア振動モータ191aのx軸+側でのみ移動を繰り返す(すなわち、振動する)。これにより、傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0より大きいとき、すなわち作業者がハンマドリル10を設定角度よりもx軸+側に傾けて保持しているとき、第1振動部19aはx軸+側への振動を発生させる。すなわち、第1振動部19aは、一方側であるx軸+側へ付与する加振力を、他方側であるx軸-側へ付与する加振力よりも大きくする。
【0076】
傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0よりも小さい場合には、x軸振動制御回路192aは、コイル198に供給する電流の値及びタイミングを制御することにより、可動子199をx軸-側で振動させる。すなわち、可動子199が図7(B)に示される可動子199の移動とは振動中心に対して対称な移動となるように、x軸振動制御回路192aは、可動子199の移動速度を制御する。この結果、傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0より小さいとき、すなわち作業者がハンマドリル10を設定角度よりもx軸-側に傾けて保持しているとき、第1振動部19aはx軸-側への振動を発生させる。すなわち、第1振動部19aは、一方側であるx軸-側へ付与する加振力を、他方側であるx軸+側へ付与する加振力よりも大きくする。
【0077】
尚、上述した説明では、x軸振動制御回路192aはx軸リニア振動モータ191aを制御して、ハンマドリル10が設定角度に対して傾斜している方向に向かって振動を発生させた。しかし、x軸振動制御回路192aは、ハンマドリル10が設定角度に対して傾斜している方向と反対方向に振動を発生させてもよい。この場合、x軸振動制御回路192aは、図7(A)に示される時間Taにて、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を移動速度Va(<0)で移動させ、x軸-側にX0/2だけ変位させる。そして、x軸振動制御回路192aは、時間Taよりも短い時間Tbにて、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を移動速度Vbでx軸+側へ変位させる。時間Tcにおいては、x軸振動制御回路192aはx軸リニア振動モータ191aのコイル198に電流を供給しない。この結果、x軸リニア振動モータ191aの可動子199は、x軸-側の領域でx軸+方向へ向けて惰性で変位する。
【0078】
傾き角度のy軸成分(θy-θβ)に対しても、制御回路17は、傾き角度のx軸成分(θx-θα)の値が0ではない場合と同様にして、振動部19の第2振動部19bを制御する。具体的には、制御回路17は、傾き角度のy軸成分(θy-θβ)の値が0よりも大きい場合に、第2振動部19bのy軸振動制御回路192bを制御して、y軸リニア振動モータ191bを駆動させ、y軸+側に振動を発生させる。すなわち、第2振動部19bは、一方側であるy軸+側へ付与する加振力を、他方側であるy軸-側へ付与する加振力よりも大きくする。
【0079】
傾き角度のy軸成分(θy-θβ)の値が0よりも小さい場合には、制御回路17は、y軸振動制御回路192bを制御して、y軸リニア振動モータ191bを駆動させ、y軸-側に振動を発生させる。すなわち、第2振動部19bは、一方側であるy軸-側へ付与する加振力を、他方側であるy軸+側へ付与する加振力よりも大きくする。換言すると、第2振動部19bのy軸振動制御回路192bは、図7(A),図7(B)を用いて説明したx軸振動制御回路192aの場合と同様にして、y軸リニア振動モータ191bのコイル198に供給する電流の値及びタイミングを制御することにより、y軸リニア振動モータ191bの可動子199の移動速度、移動量、移動方向等を制御する。
【0080】
尚、y軸振動制御回路192bは、ハンマドリル10が設定角度に対して傾斜している方向に向かって振動を発生させるものに限定されず、ハンマドリル10が設定角度に対して傾斜している方向と反対方向に振動を発生させてもよい。すなわち、第2振動部19bのy軸振動制御回路192bは、傾き角度のy軸成分(θy-θβ)の値が0よりも大きい場合に、y軸リニア振動モータ191bを駆動してy軸-側に振動を発生させてよい。傾き角度のy軸成分(θy-θβ)の値が0よりも小さい場合には、y軸振動制御回路192bは、y軸リニア振動モータ191bを駆動してy軸+側に振動を発生させてよい。
【0081】
尚、制御回路17は、x軸振動制御回路192a及びy軸振動制御回路192bを制御して、上述したx軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bの可動子199の振動周波数Fを電動モータ12の駆動速度(すなわち回転数)に応じて変更させてもよい。この場合、制御回路17は、回転数検出回路54により検出された電動モータ12の回転数が予めシミュレーション等の結果に基づいて設定された閾値よりも高い場合に、制御回路17は、振動周波数Fを高周波の振動周波数F01に設定する。電動モータ12が高回転で駆動しているときはハウジング部11に電動モータ12から伝わる振動が大きくなる。このような場合に振動部19の振動周波数Fが高周波に変更されるため、作業者は、ハウジング部11が電動モータ12の影響で振動している場合であっても、傾き方向の報知を認識することができる。
【0082】
また、制御回路17は、回転数検出回路54により検出された電動モータ12の回転数が上記の閾値よりも低い場合に、制御回路17は、振動周波数Fを低周波の振動周波数F02に設定する。先端工具38が過負荷状態であるときには、電動モータ12の回転数が低下する。このような場合に振動部19の振動周波数Fが低周波に変更されるため、作業者は、ハンマドリル10が過負荷状態で使用されていることを認識することができる。
【0083】
尚、上述した振動周波数F,F01,F02は固定値であってもよいし、電動モータ12の回転数の低下に応じて線形的あるいは段階的に変化する値であってもよい。また、上述した振動周波数F,F0の値は、人が不快に感じ易い周波数帯(例えば、8Hz~16Hz)を避けて設定されていることが好ましい。
【0084】
図8図9に示されるフローチャートを参照して、制御回路17が行う報知処理の動作について説明する。図8図9のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。
【0085】
ステップS201では、制御回路17は、上述した角度設定処理で設定され記憶された設定角度の設定値(x軸方向の設定値θα、y軸方向の設定値θβ及びz軸方向の設定値θγ)を記憶部から読み出す。その後、処理はステップS202へ進む。ステップS202では、制御回路17は、姿勢検出部18から出力された姿勢検出信号を用いて、ハンマドリル10の保持角度(x軸方向の保持角度θx、y軸方向の保持角度θy及びz軸方向の保持角度θz)を算出する。その後、処理はステップS203へ進む。
【0086】
ステップS203では、制御回路17は、傾き角度のx成分(θx-θα)の値、傾き角度のy成分(θy-θβ)の値及び傾き角度のz成分(θz-θγ)の値を算出し、算出したそれぞれの値の絶対値の大きさを比較する。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が最大の場合には、処理はステップS204へ進む。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が最大の場合には、処理は後述する図9のステップS211へ進む。
【0087】
ステップS204では、制御回路17は、傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0より大きいか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0より大きい場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS205へ進む。傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0より小さい場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理は後述するステップS207へ進む。ステップS205では、制御回路17は、x軸振動制御回路192aを制御してx軸リニア振動モータ191aの可動子199を振動させ、x軸+側へ振動を発生させる。その後、処理はステップS206へ進む。ステップS206では、制御回路17は第1発光部59aを点灯させる。その後、処理は後述するステップS209へ進む。
【0088】
ステップS204にて否定判定が行われて進んだステップS207では、制御回路17は、x軸振動制御回路192aを制御してx軸リニア振動モータ191aの可動子199を振動させ、x軸-側へ振動を発生させる。その後、処理はステップS208へ進む。ステップS208では、制御回路17は第2発光部59bを点灯させる。その後、処理はステップS209へ進む。
【0089】
ステップS209では、制御回路17は傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0であるか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0の場合、制御回路17はステップS209で肯定判定を行い、処理はステップS210へ進む。傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0ではない場合、制御回路17はステップS209で否定判定を行い、処理はステップS204へ戻る。ステップS210では、制御回路17はx軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの駆動を停止させる。その後、処理は後述する図9のステップS218へ進む。
【0090】
上述したように、傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値よりも大きい場合には、ステップS203からステップS211へ進む。ステップS211では、制御回路17は傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0より大きいか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0より大きい場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS212へ進む。傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0より小さい場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理は後述するステップS214へ進む。ステップS212では、制御回路17はy軸振動制御回路192bを制御してy軸リニア振動モータ191bの可動子199を振動させ、y軸+側へ振動を発生させる。その後、処理はステップS213へ進む。ステップS213では、制御回路17は第3発光部59cを点灯させる。その後、処理は後述するステップS216へ進む。
【0091】
ステップS211にて否定判定が行われて進んだステップS214では、制御回路17はy軸振動制御回路192bを制御してy軸リニア振動モータ191bの可動子199を振動させ、y軸-側へ振動を発生させる。その後、処理はステップS215へ進む。ステップS215では、制御回路17は第4発光部59dを点灯させる。その後、処理はステップS216へ進む。
【0092】
ステップS216では、制御回路17は傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0であるか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0の場合、制御回路17はステップS216で肯定判定を行い、処理はステップS217へ進む。傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0ではない場合、制御回路17はステップS216で否定判定を行い、処理はステップS211へ戻る。ステップS217では、制御回路17はy軸振動制御回路192bを制御して、y軸リニア振動モータ191bの駆動を停止させる。その後、処理はステップS218へ進む。
【0093】
ステップS218では、制御回路17は、停止時間が予め定められた時間(N4秒)を超えたか否かを判定する。停止時間とは、傾き角度のx成分(θx-θα)の値と傾き角度のy成分(θy-θβ)の値とが0の状態でハンマドリル10が保持され続けている時間である。停止時間がN4秒を超える場合には、制御回路17はステップS218で肯定判定を行い、報知処理を終了する。停止時間がN4秒に満たない場合には、制御回路17はステップS218で否定判定を行い、処理は図8のステップS203へ戻る。
【0094】
以上で説明した第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0095】
(1)振動部19は、姿勢検出部18により検出されたハウジング部11の姿勢の検出結果を作業者へ報知する。これにより、作業者は、作業機本体に設けられたLED等を注視してハウジング部11の姿勢を確認する必要がなくなり、作業箇所あるいは先端工具38を注視し続けることができる。この結果、作業機を用いた作業者の作業性が向上される。
【0096】
(2)ハウジング部11は、第1方向(y軸方向)に平行な軸線に沿って延びる形状を有し、作業者に把持されるハンドル部113を有する。振動部19はハンドル部113に設けられる。これにより、振動部19による振動が作業者の手に伝わりやすくなるので、作業者はハウジング部11が傾いていることを認識することができる。
【0097】
(3)振動部19の第1振動部19aは、第1方向と直交する第2方向(x軸方向)に加振力を付与する。これにより、作業者は、x軸方向(左右方向)のハウジング部11の傾きを認識することができる。
【0098】
(4)振動部19の第2振動部19bは、第1方向(y軸方向)に加振力を付与する。これにより、作業者は、y軸方向(上下方向)のハウジング部11の傾きを認識することができる。
【0099】
(5)振動部19は、任意の方向の一方側に付与する加振力を、他方側に付与する加振力よりも大きくする。これにより、振動部19はハウジング部11が傾いている方向に向けて振動を発生させることができるので、作業者はハウジング部11が傾いている方向を認識することができる。
【0100】
(6)振動部19は、ハウジング部11が予め定められた方向に対して傾斜した際に、傾斜した方向に向かって加振力を付与する。これにより、作業者は、ハウジング部11が左右方向のどちら側、あるいは上下方向のどちら側に傾いているのかを認識することができる。
【0101】
以上で説明した第1の実施の形態を以下のように変形することができる。
【0102】
<第1の変形例>
第1の変形例のハンマドリル10は、ハンマドリル10が設定角度に対してなす角度である傾き角度が増加するほど、作業者に報知する振動を増加させる。この場合、制御回路17は、姿勢検出部18により検出された検出値である姿勢検出信号に応じて、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bの可動子199を振動させる振動周波数(すなわち、動作周期T)を変更する。
【0103】
具体的には、制御回路17は、姿勢検出信号を用いて算出した傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値と第1閾値Th1とを比較する。比較の結果、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合、制御回路17は、x軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第1振動周波数F1で動作させる。
【0104】
制御回路17は、算出した傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2以上、かつ、第1閾値Th1未満の場合に、x軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第1振動周波数F1よりも低周波数である第2振動周波数F2で動作させる。これにより、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、x軸リニア振動モータ191aの可動子199の動作周期Tが長くなる。このため、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合と比較して、作業者が小さな振動を感知することとなる。
【0105】
制御回路17は、算出した傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合に、x軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第2振動周波数F2よりも低周波数である第3振動周波数F3で動作させる。これにより、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合には、x軸リニア振動モータ191aの可動子199の動作周期Tがさらに長くなる。このため、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第2閾値Th2以上の場合と比較して、作業者はより小さな振動を感知することとなる。
【0106】
尚、制御回路17は、算出した傾き角度のy成分(θy-θβ)の値の絶対値と第1閾値Th1,第2閾値Th2とを比較して、比較結果に応じて、y軸リニア振動モータ191bの可動子199の振動周波数を第1振動周波数F1、第2振動周波数F2及び第3振動周波数F3の間で変更する。
【0107】
図10図11に示されるフローチャートを参照して、第1の変形例のハンマドリル10が有する制御回路17が行う報知処理の動作について説明する。図10図11のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。ステップS301~ステップS303までの各処理は、図8のステップS201(設定角度の設定値読み出し)~ステップS203(成分ごとに傾き角度と設定角度との差の絶対値を比較)までの各処理と同様である。
【0108】
ステップS304では、制御回路17は傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1未満であるか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS305へ進む。ステップS305では、制御回路17は、x軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第1振動周波数F1で動作させる。その後、処理はステップS304へ戻る。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS306へ進む。
【0109】
ステップS306では、制御回路17は傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2未満であるか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第2閾値Th2以上の場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS307へ進む。ステップS307では、制御回路17はx軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第1振動周波数F1よりも低周波数の第2振動周波数F2で動作させる。その後、処理はステップS306へ戻る。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS308へ進む。
【0110】
ステップS308では、制御回路17は、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が0であるか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が0ではない場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS309へ進む。ステップS309では、制御回路17は、x軸リニア振動モータ191aの可動子199を第2振動周波数F2よりも低周波数の第3振動周波数F3で動作させる。その後、処理はステップS308へ戻る。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が0の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS310へ進む。ステップS310の処理は、図8のステップS210(x軸リニア振動モータ191aの可動子199の動作停止)の処理と同様であり、その後、処理は図11のステップS318へ進む。
【0111】
一方、ステップS303から進んだ図11のステップS311では、制御回路17h傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第1閾値Th1未満であるか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS312へ進む。ステップS312では、制御回路17はy軸振動制御回路192bを制御して、y軸リニア振動モータ191bの可動子199を第1振動周波数F1で動作させる。その後、処理はステップS311へ戻る。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS313へ進む。
【0112】
ステップS313では、制御回路17は傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2未満であるか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第2閾値Th2以上の場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS314へ進む。ステップS314では、制御回路17はy軸振動制御回路192bを制御して、y軸リニア振動モータ191bの可動子199を第1振動周波数F1よりも低周波数の第2振動周波数F2で動作させる。その後、処理はステップS313へ戻る。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS315へ進む。
【0113】
ステップS315では、制御回路17は、傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が0であるか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が0ではない場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS316へ進む。ステップS316では、制御回路17はy軸リニア振動モータ191bの可動子199を第2振動周波数F2よりも低周波数の第3振動周波数F3で動作させる。その後、処理はステップS315へ戻る。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が0の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS317へ進む。ステップS317及びステップS318の処理は、図8のステップS217(x軸リニア振動モータ191aの可動子199の動作停止)及びステップS218(停止時間判定)の処理と同様である。尚、ステップS318で制御回路17により否定判定が行われた場合には、処理は図10のステップS303へ戻る。
【0114】
尚、ステップS308とステップS315において比較する値を0としたが、厳密に0ではなく、実験やシミュレーション等の結果に基づいて、0とみなせる値であればよい。
【0115】
第1の実施の形態の場合と同様に、傾き角度の方向に応じて振動方向を変更してもよい。この場合、制御回路17は、ステップS305の後、ステップS307の後、及びステップS309の後に、図8のステップS204からステップS208の処理を行えばよい。制御回路17は、ステップS312の後、ステップS314の後、及びステップS316の後に、図9のステップS211からステップS215の処理を行えばよい。
【0116】
以上で説明した第1の変形例によれば、第1の実施の形態により得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(7)振動部19は、姿勢検出部18の検出値に応じて、振動周波数Fを変更する。これにより、作業者は、ハンドル部113に加わる振動の大きさに基づいて、ハウジング部11の傾きの大きさを認識することができるので、作業機の姿勢をどの程度修正すればよいのかを容易に判断でき、利便性及び作業性が向上する。
【0117】
<第2の変形例>
図12は第2の変形例のハンマドリル10aの断面図である。第2の変形例のハンマドリル10aは、第1の実施の形態のハンマドリル10とは異なる外観形状を有する。尚、第2の変形例では、第1の実施の形態のハンマドリル10が有する構成と同一の構成に対しては、同一の符号が付与されている。以下の説明では、第1の実施の形態のハンマドリル10と異なる点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態のハンマドリル10と同様である。また、図12においても、図1と同様にして、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。第2の変形例においても、第1の実施の形態の場合と同様に、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0118】
ハンマドリル10aのハウジング部11aは、本体部112aと、ハンドル部113aとを有する。本体部112aはz軸方向(前後方向)に沿う形状を有する。ハンドル部113aは、本体部112aの後方(z軸-側)の端部で本体部112aと接続する。ハンドル部113aは、上下方向(y軸方向)に延びる形状を有する。
【0119】
電動モータ12は、本体部112a内に収容される。電動モータ12のロータと、ロータが取り付けられる出力軸23とは、軸受によりz軸と平行な第1仮想線A12を中心として回転可能に支持されている。回転力伝達機構13は、本体部112a内に収容され、電動モータ12に対して前方側に配置される。回転力伝達機構13が有する中間シャフト28は、z軸及び第1仮想線A12と平行な第2仮想線A22を中心として回転可能である。変換機構14及びスリーブ15も本体部112a内に収容される。すなわち、ハウジング部11a、具体的には本体部112aは、駆動部である電動モータ12と作動部として機能する回転力伝達機構13、スリーブ15、ピストン42、打撃子16及び中間打撃子39とを支持する。
【0120】
第2の変形例では、図12に示されるように、姿勢検出部18は、本体部112a内で、電動モータ12に対して下方側に取り付けられている。
【0121】
また、ハンマドリル10aも、図2に示す第1の実施の形態と同様の制御系統を有する。制御回路17は、第1の実施の形態と同様にして、角度設定処理と報知処理とを行う。すなわち、制御回路17は、図5図6図8図9に示されるフローチャートの各処理を行う。尚、制御回路17は、第1の変形例と同様に、図10図11に示される報知処理のフローチャートにおける各処理を実行してもよい。
【0122】
以上で説明した第2の変形例によれば、第1の実施の形態及び第1の変形例で得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0123】
<第3の変形例>
図13は第3の変形例のハンマドリル10bの断面図である。第3の変形例のハンマドリル10bは、第1の実施の形態のハンマドリル10とは異なる形状を有する。尚、第3の変形例では、第1の実施の形態のハンマドリル10が有する構成と同一の構成に対しては、同一の符号が付与されている。以下の説明では、第1の実施の形態のハンマドリル10と異なる点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態のハンマドリル10と同様である。また、図13においても、図1と同様にして、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。第3の変形例においても、第1の実施の形態の場合と同様に、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0124】
ハンマドリル10bのハウジング部11bは、本体部112bと、ハンドル部113bと、第1接続部114と、第2接続部115とを有する。第1接続部114は、ハンドル部113bの下方端部(y軸-側端部)から前方(z軸+側)に延出している。第1接続部114の前部(z軸+側)には、左右方向(x軸方向)に延びる貫通孔が形成される。この貫通孔には、本体部112bの後方下部と接続されているシャフト114aが挿通されている。これにより、ハンドル部113bは、シャフト114aを支点として回動可能に構成されている。また、第1接続部114の下方側に装着部が設けられ、電池パック46が着脱可能に装着される。
【0125】
第2接続部115は、ハンドル部113bの上方端部(y軸+側端部)から前方(z軸+側)に延出している。第2接続部115には、弾性体等を有して構成される振動低減部115aが設けられ、第2接続部115は、振動低減部115aを介して本体部112bと接続されている。作業者による作業によりハンマドリル10bの本体部112bに振動が発生した場合においても、ハンドル部113bがシャフト114aを中心に回動し、振動低減部115aの弾性体が伸縮されることにより前後方向の振動が吸収される。この結果、ハンドル部113bを把持する作業者に前後方向の振動が伝わることが抑制される。
【0126】
姿勢検出部18は、本体部112aの後壁部(z軸-側)の下部に設けられる。振動部19は、第1の実施の形態の場合と同様にしてハンドル部113b内に取り付けられる。
【0127】
その他の構成は上述した第1の実施の形態と同様である。また、制御回路17は、第1の実施の形態と同様にして、角度設定処理と報知処理とを行う。すなわち、制御回路17は、図5図6図8図9に示されるフローチャートの各処理を行う。尚、制御回路17は、第1の変形例と同様に、図10図11に示される報知処理のフローチャートにおける各処理を実行してもよい。
【0128】
以上で説明した構成を有する第3の変形例によっても、第1の実施の形態及び第1の変形例で得られる作用効果と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
【0129】
(8)ハンドル部113bは、振動低減部115aを介して本体部112bと接続される。このため、作動部による前後方向の振動が振動低減部115aにより吸収され、ハンドル部113bを把持する作業者に前後方向の振動が伝わることが抑制される。この結果、作業者は、振動部19による傾きの報知を認識しやすくなる。
【0130】
また、駆動部である電動モータ12と、作動部である回転力伝達機構13、スリーブ15、打撃子16及び中間打撃子39と、姿勢検出部18とが同一の本体部112b内に収容されているため、ハウジング部11bの姿勢を検出する精度が向上される。
【0131】
<第4の変形例>
第1の実施の形態、及び第1~第3の変形例では、作業機がハンマドリルである場合についての説明が行われた。第4の変形例では、作業機が振動ドリルである場合について説明する。尚、第4の変形例では、第1の実施の形態のハンマドリル10が有する構成と同一の構成に対しては、同一の符号が付与されている。以下の説明では、第1の実施の形態のハンマドリル10と異なる点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態のハンマドリル10と同様である。
【0132】
図14は第4の変形例の振動ドリル500の断面図である。尚、図14においても、図1と同様にして、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。第4の変形例においても、第1の実施の形態の場合と同様に、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0133】
図14に示されるように、振動ドリル500は、ハウジング部11cと、電動モータ12cと、動力伝達部501と、姿勢検出部18と、振動部19とを有する。
【0134】
<ハウジングについて>
ハウジング部11cは、本体部112cと、ハンドル部113cとを有する。本体部112cは前後方向(z軸)に沿って延びる。本体部112cは、駆動部である電動モータ12cと、作動部である動力伝達部501とを収容(支持)する。
【0135】
ハンドル部113cは、本体部112cの下方側から分岐するように垂下(y軸-側)し、作業者が片手で把持できるような外周形状を有する。ハンドル部113cの下方端部(y軸-側端部)には装着部が設けられ、電動モータ12cの駆動電源となる電池パック46が着脱可能に装着される。また、ハンドル部113c内部のうち電池パック46の上方(y軸+側)には、姿勢検出部18が実装された基板が、左右方向(x軸方向)に延在するように設けられている。
【0136】
<電動モータについて>
電動モータ12cは、本体部112c内に収容され、第1の実施の形態の電動モータ12と同様に、ブラシレスモータである。電動モータ12cは、電動モータ12cが有するロータに接続された出力軸23c(すなわちモータ回転軸)がz軸に平行(すなわち本体部112cの延在方向に平行)な第1仮想線A14を中心として回転可能に支持される。
【0137】
<動力伝達部>
動力伝達部501は、本体部112c内に収容され、電動モータ12cに対して前方側に配置される。動力伝達部501は、減速機構511と、トルク調整部512とを有する。減速機構511は、ピニオンギヤ(サンギヤ)と、該ピニオンギヤおよびリングギヤに噛合う遊星ギヤとを具備する周知の遊星歯車減速機構によって構成される。上述した電動モータ12cの出力軸23cの回転力は、出力軸23cに形成されたピニオンギヤに螺合される遊星ギヤを介して減速機構511に伝達される。
【0138】
トルク調整部512は、例えば、減速機構511の最終段の遊星歯車減速機構におけるリングギヤに対する押圧力をトルク調整バネの付勢力で調整し、設定トルク(負荷トルク)を調整できるように構成されている。もし、スピンドル515(先端工具38)への負荷トルクが設定トルクを超えると、トルク調整部512は、減速機構511の回転出力軸516を空転させてスピンドル515への回転伝達を遮断する。所謂、トルク調整部512はクラッチ部としても機能する。
【0139】
トルク調整部512は、モード切替およびトルク調整ダイヤル(クラッチダイヤル)を有し、トルク調整ダイヤルによってドライバモードまたはドリルモードを設定できるように構成されている。また、トルク調整ダイヤルがドライバモードを選択している場合、トルク調整ダイヤルを複数段階の所定の回転角度に回転させることによって、トルク調整部512は、リングギヤに対するトルク調整バネの付勢力(押圧力)を調整できる。すなわち、トルク調整ダイヤルの回転角度に従って減速機構511の回転出力軸516からスピンドル515に伝達される回転トルクを負荷に対応する所望の締付けトルクに調整することができる。
【0140】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ハウジング部11cの姿勢を検出する検出部である。姿勢検出部18は、制御回路17が設けられる基板上に実装される。
【0141】
<ハンドル部について>
ハンドル部113cの上端部(y軸+側)には、バネ力によって付勢された状態でハンドル部113cから突出してトリガ47が設けられる。また、ハンドル部113c内には、振動部19が設けられる。振動部19は、第1の実施の形態と同様に第1振動部19aと第2振動部19bとを有し、第1方向及び第1方向と直交する第2方向とにそれぞれ加振力を付与する。すなわち、振動部19は、振動により姿勢検出部18の検出結果を作業者へ報知する。振動部19が有するx軸リニア振動モータ191aは、トリガ47に対して下方側(y軸-側)に取り付けられる。
【0142】
第4の変形例においても、x軸リニア振動モータ191aは基板193aに実装され、可動子199の振動方向がx軸方向に沿うように基板193aが第1の実施の形態の場合と同様にしてハンドル部113c内に取り付けられる。すなわち、第1振動部19aは第2方向へ加振力を付与してハンドル部113cを振動させる。y軸リニア振動モータ191bは、トリガ47の近傍でありトリガ47に対して上方側(y軸+側)に取り付けられる。y軸リニア振動モータ191bは基板193bに実装され、可動子199の振動方向がy軸に沿うように基板193bが第1の実施の形態の場合と同様にしてハウジング部11c内に取り付けられる。すなわち、第2振動部19bは第1方向へ加振力を付与してハンドル部113dを振動させる。
【0143】
<制御系について>
第4の変形例の振動ドリル500は、図2に示す第1の実施の形態のハンマドリル10の制御系統と同様の制御系統を有する。制御回路17は、第1の実施の形態の場合と同様にして、角度設定処理と報知処理とを行う。すなわち、制御回路17は、図5図6図8図9に示されるフローチャートの各処理を行う。尚、制御回路17は、第1の変形例と同様に、図10図11に示される報知処理のフローチャートにおける各処理を実行してもよい。
【0144】
以上で説明した第4の変形例によれば、第1の実施の形態及び第1の変形例により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0145】
<第5の変形例>
第5の変形例では、作業機が釘打ち機である場合について説明する。尚、第5の変形例では、第1の実施の形態のハンマドリル10が有する構成と同一の構成に対しては、同一の符号が付与されている。以下の説明では、第1の実施の形態のハンマドリル10と異なる点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態のハンマドリル10と同様である。
【0146】
図15は第5の変形例の釘打ち機600の断面図である。尚、図15においても、説明の都合上、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。図15においては、紙面左右方向をy軸、上下方向をz軸とする。尚、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を前方、y軸-側を後方、z軸+側を下方、z軸-側を上方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち前後方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0147】
図15に示されるように、釘打ち機600は、ハウジング部11dと、打撃機構612と、ノーズ部613と、電源部614と、電動モータ12dと、減速機構616と、変換機構617と、蓄圧容器618と、マガジン部620と、を有する。
【0148】
<ハウジングについて>
ハウジング部11dは、本体部112dと、本体部112dに接続されたハンドル部113dと、を有する。本体部112dは、シリンダケース116と、シリンダケース116に接続されたモータケース118と、ハンドル部113d及びモータケース118に接続された装着部117と、を有する。シリンダケース116は、シリンダ628を支持する。シリンダ628は、シリンダケース116に対してz軸に平行な第1仮想線A13方向及び径方向(第1仮想線A13と直交する方向)に位置決めされている。モータケース118は電動モータ12dを支持する。モータケース118の下部にはマガジン部620が着脱可能に装着される。装着部117には、電池パック46が着脱可能に装着される。
【0149】
<打撃機構について>
打撃機構612は、本体部112dに収容され、ピストン629及びドライバブレード630を有する。ピストン629は、詳細を後述する蓄圧容器618に対して下方側(z軸+側)に設けられ、蓄圧容器618に設けられる圧力室627の圧力により下方側に常に付勢される。ピストン629は、シリンダ628の内部においてz軸に沿って移動可能である。
【0150】
ドライバブレード630は、ピストン629の下方側(z軸+側)にてピストン629と接続され、z軸方向に沿って延伸する。上述したようにピストン629がz軸に沿って移動可能であることから、ドライバブレード630もz軸に沿って移動可能である。ドライバブレード630には、移動方向であるz軸に沿って所定の間隔にて複数のラック647が配置される。尚、ドライバブレード630がz軸+側(下方側)へ移動することを下降と呼ぶ。ドライバブレード630がz軸-側(上方側)へ移動することを上昇と呼ぶ。
【0151】
<ノーズ部について>
ノーズ部613は、シリンダケース116に対してz軸方向及びシリンダ628の径方向に位置決めされて配置される。ノーズ部613は、筒形状に形成されガイド孔を有するバンパ支持部と、筒部とを有する。バンパ支持部のガイド孔は第1仮想線A13を中心として配置される。バンパ支持部内には、例えばエラストマー等の合成ゴムで一体成形されるバンパが設けられる。バンパには、第1仮想線A13を中心とするガイド孔が設けられる。このガイド孔内で、ドライバブレード630はz軸に沿って移動可能である。
【0152】
射出部632はバンパ支持部及び筒部に接続され、かつ、バンパ支持部からz軸+側(下方側)に突出している。射出部632は射出路637を有し、射出路637は第1仮想線A13を中心とする同心状に設けられる。この射出路637内でドライバブレード630はz軸に沿って移動可能である。この射出部632の射出路637に、後述するマガジン部620内に収容された止具である釘が供給される。
【0153】
<電動モータについて>
電動モータ12dは、モータケース118内に収容されている。電動モータ12dは、第1の実施の形態の電動モータ12と同様に、ロータ及びステータを有するブラシレスモータである。電動モータ12dのロータは回転軸23dと接続され、電動モータ12dの回転に伴い回転軸23dが回転する。回転軸23dの回転中心である第2仮想線A23は、第1仮想線A13に直交する。
【0154】
<減速機構について>
減速機構616は、モータケース118内に収容された筒形状のギヤケース内に設けられる。減速機構616は、入力要素、出力要素及び複数組のプラネタリギヤ機構等を有する。減速機構616の入力要素は回転軸23dに連結されている。
【0155】
<変換機構について>
変換機構617はノーズ部613の筒部内に配置され、減速機構616の出力要素の回転力をドライバブレード630のz軸に沿った移動力に変換する。変換機構617は、駆動軸645と、複数のピニオンが設けられたピンホイール646とを有する。駆動軸645は第2仮想線A23を中心として軸受により回転可能に支持される。ピンホイール646は駆動軸645に固定される。
【0156】
ピンホイール646に設けられた複数のピニオンピンは、上述したドライバブレード630に設けられた複数のラック647に対してそれぞれ単独で係合及び解放が可能である。ピンホイール646が第2仮想線A23を中心として回転して、少なくとも1個のピニオンピンと、少なくとも1個のラック647とが係合すると、ピンホイール646の回転力は打撃機構612のドライバブレード630に伝達される。すなわち、ドライバブレード630は、駆動部である電動モータ12dの駆動力により作動する作動部である。伝達された回転力によりドライバブレード630は圧力室627の圧力に抗してz軸-側(上方側)に移動する。ピニオンピンが全てラック647から解放されると、ピンホイール646の回転力はドライバブレード630に伝達されない。
【0157】
<蓄圧容器について>
蓄圧容器618は、シリンダケース116内のz軸-側(上方側)に配置される。蓄圧容器618内には圧力室627が設けられ、圧力室627には気体が充填される。気体は圧縮性の気体であればよい。蓄圧容器618に設けられる圧力室627の圧力により打撃機構612はz軸+側(下方側)に常に付勢される。
【0158】
<マガジン部について>
マガジン部620は、射出部632及び装着部117により支持される。マガジン部620には、連結された複数の釘が収容される。複数の釘は、例えば接着剤、針金等の連結要素によって互いに連結される。マガジン部620内の釘は、供給機構(不図示)により射出部632に供給される。
【0159】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ハウジング部11dの姿勢を検出する検出部である。姿勢検出部18は、基板183上に実装され、シリンダケース116内に取り付けられる。
【0160】
<ハンドル部について>
ハンドル部113dの上方端部(y軸+側)には、バネ力によって付勢された状態でハンドル部113dから下方側(z軸+側)へ突出してトリガ47が設けられる。また、ハンドル部113d内には、振動部19が設けられる。振動部19は、第1の実施の形態と同様に第1振動部19aと第2振動部19bとを有し、姿勢検出部18の検出結果を作業者へ報知する。振動部19の第1振動部19aが有するx軸リニア振動モータ191aは、基板193aに実装される。x軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動方向をx軸方向に沿わせた状態で、基板193aが第1の実施の形態と同様にしてハンドル部113dに取り付けられる。すなわち、第1振動部19aは第2方向へ加振力を付与してハンドル部113dを振動させる。第2振動部19bが有するy軸リニア振動モータ191bは、基板193bに実装される。y軸リニア振動モータ191bの可動子199の振動方向をy軸に沿わせた状態で、基板193bが第1の実施の形態と同様にしてハンドル部113dに取り付けられる。すなわち、第2振動部19bは第1方向へ加振力を付与してハンドル部113dを振動させる。
【0161】
<制御系について>
第5の変形例の釘打ち機600は、図2に示す第1の実施の形態のハンマドリル10の制御系統と同様の制御系統を有する。制御回路17は、第1の実施の形態の場合と同様にして、角度設定処理と報知処理とを行う。すなわち、制御回路17は、図5図6図8図9に示されるフローチャートの各処理を行う。尚、制御回路17は、第1の変形例と同様に、図10図11に示される報知処理のフローチャートにおける各処理を実行してもよい。
【0162】
以上で説明した第5の変形例によれば、第1の実施の形態及び第1の変形例により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0163】
<第6の変形例>
第6の変形例では、作業機が電動ドリルである場合について説明する。尚、第6の変形例では、第1の実施の形態のハンマドリル10が有する構成と同一の構成に対しては、同一の符号が付与されている。以下の説明では、第1の実施の形態のハンマドリル10と異なる点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態のハンマドリル10と同様である。
【0164】
図16は第6の変形例の電動ドリル700の断面図である。尚、図16においても、図1と同様にして、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。第6の変形例においても、第1の実施の形態の場合と同様に、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0165】
電動ドリル700は、ハウジング部11eと、電動モータ12eと、動力伝達部701と、ビット装着部702を有する先端工具保持部706と、を備える。
【0166】
<ハウジングについて>
ハウジング部11eは、本体部112eと、ハンドル部113eと、を有する。本体部112eは、電動モータ12eと動力伝達部701と先端工具保持部706とを支持する。ハンドル部113eは、把持部711と、第1接続部712と、第2接続部713とを有する。把持部711は、上下方向に延在し、作業中に作業者により把持される。第1接続部712は把持部711の上部側(y軸+側)の端部(上端部)に形成される。把持部711の上端部は、第1接続部712を介して、本体部112eのz軸-側かつy軸+側(後部上端部)と接続する。第2接続部713は、把持部711の下部側(y軸-側)の端部(下端部)に形成される。把持部711の下端部は、第2接続部713を介して、本体部112eのz軸-側かつy軸-側(後部下端部)と接続する。第2接続部713の下方側(y軸-側)には装着部が設けられ、電池パック46が着脱可能に装着される。
【0167】
<電動モータについて>
電動モータ12eは、本体部112e内に収容される。電動モータ12eは、第1の実施の形態の電動モータ12と同様に、ロータ及びステータを有するブラシレスモータである。ロータには回転軸23eが固定されている。回転軸23eは、z軸に沿う方向を第1仮想線A14を回転中心として本体部112e内に回転可能に支持されている。
【0168】
<動力伝達部について>
動力伝達部701は本体部112e内に収容される。動力伝達部701は、先端工具保持部706に対してz軸-側(後部)に位置し、電動モータ12eからビット装着部702への動力伝達経路上に設けられる。動力伝達部701は、回転軸23e(すなわち、電動モータ12e)の回転力をビット装着部702に対して伝達するように構成されている。動力伝達部701は、シャフト705を有する。
【0169】
シャフト705は、z軸方向に沿って延伸し、軸受を介して第2仮想線A24を回転中心として回転可能に支持されている。すなわち、上述した回転軸23eが第1仮想線A14を回転中心として回転すると、その回転力により、シャフト705が第2仮想線A24を回転中心として回転する。シャフト705のz軸+側の端部(前端部)は先端工具保持部706のz軸-側の端部(後端部)と接続されている。
【0170】
<先端工具保持部について>
先端工具保持部706は、本体部112eのz軸+側(前方)に位置する。先端工具保持部706は、上述したようにビット装着部702を有する。ビット装着部702は、第2仮想線A42を回転中心として回転可能に支持されている。このため、回転軸23eの回転に伴ってシャフト705が第2仮想線A24を回転中心として回転すると、ビット装着部702も第2仮想線A24を回転中心として回転する。この結果、ビット装着部702に装着された先端工具も第2仮想線A42を回転中心として回転する。すなわち、ビット装着部702は、駆動部である電動モータ12eの駆動力により作動する作動部であり、ハウジング部11e、具体的には本体部112eに支持される。
【0171】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ハンドル部113eの第2接続部713内(すなわち、本体部112eの近傍)に取り付けられる。
【0172】
<ハンドル部について>
ハンドル部113eの把持部711の上方端部(y軸+側)には、バネ力によって付勢された状態で、把持部711から前方に突出してトリガ47が設けられる。また、把持部711内には、振動部19が設けられる。振動部19は、第1の実施の形態と同様に第1振動部19aと第2振動部19bとを有し、姿勢検出部18の検出結果を作業者へ報知する。第1振動部19aが有するx軸リニア振動モータ191aは、第6の変形例においても、基板193aに実装される。x軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動方向をx軸方向に沿わせた状態で、基板193aが第1の実施の形態と同様にして把持部711に取り付けられる。すなわち、第1振動部19aは第2方向へ加振力を付与してハンドル部113eを振動させる。第2振動部19bが有するy軸リニア振動モータ191bは、基板193bに実装される。y軸リニア振動モータ191bの可動子199の振動方向をy軸に沿わせた状態で、基板193bが第1の実施の形態と同様にして把持部711に取り付けられる。すなわち、第2振動部19bは第1方向へ加振力を付与してハンドル部113eを振動させる。
【0173】
<制御系について>
第6の変形例の電動ドリル700は、図2に示す第1の実施の形態のハンマドリル10の制御系統と同様の制御系統を有する。制御回路17は、第1の実施の形態の場合と同様にして、角度設定処理と報知処理とを行う。すなわち、制御回路17は、図5図6図8図9に示されるフローチャートの各処理を行う。尚、制御回路17は、第1の変形例と同様に、図10図11に示される報知処理のフローチャートにおける各処理を実行してもよい。
【0174】
以上で説明した第5の変形例によれば、第1の実施の形態及び第1の変形例により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0175】
<第2の実施の形態>
図17図21を参照しながら、第2の実施の形態の作業機について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態の作業機はヘッジトリマであり、x軸方向及びy軸方向に加え、z軸方向に対しても振動による報知を行う点で第1の実施の形態とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0176】
図17は、第2の実施の形態の作業機であるヘッジトリマ(刈込機)800の断面図である。尚、図17においても、図1と同様にして、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。第2の実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、x軸+側を右側、x軸-側を左側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、y軸方向(すなわち上下方向)を第1方向、y軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0177】
ヘッジトリマ800は、ハウジング部11fと、電動モータ12fと、減速機構802と、カム機構803と、振動部19fとを有する。
【0178】
<ハウジングについて>
ハウジング部11fは、本体部112fと、第1ハンドル部113fとを有する。第1ハンドル部113fは、本体部112fのz軸-側(後部)に設けられる。第1ハンドル部113fは、把持部811と、接続部812とを有する。把持部811は、前後方向(z軸方向)伸び、作業中に作業者により把持される。把持部811は、本体部112fのz軸-側かつy軸+側(後部上端部)に設けられる。接続部812は、把持部811のz軸-側かつy軸-側の端部(後部下端部)に形成され、本体部112fのz軸-側かつy軸-側(後部下端部)と接続する。
【0179】
第1ハンドル部113fの把持部811のz軸+側の端部(すなわち、本体部112fの近傍)には、バネ等によって付勢された状態で把持部811から下方側(y軸-側)へ突出して第1トリガ47fが設けられる。把持部811の後部(z軸-側)には装着部が設けられ、電池パック46が着脱可能に装着される。
【0180】
ハウジング部11fの本体部112fには、第2ハンドル部(第2把持部)119が設けられる。第2ハンドル部119には、作業者による操作を受け付ける第2トリガ48が設けられる。作業者は、一方の手で第1ハンドル部113fの把持部811を握り、他方の手で第2ハンドル部119を握った状態で、ヘッジトリマ800を使用する。ヘッジトリマ800は、第1ハンドル部113fの第1トリガ47fと第2ハンドル部119の第2トリガ48とが作業者により操作されると、動作を開始する。
【0181】
<電動モータについて>
電動モータ12fは、本体部112f内に収容される。電動モータ12fは、第1の実施の形態の電動モータ12と同様に、ロータ及びステータを有するブラシレスモータである。ロータには出力軸23fが固定され、出力軸23fは、上下方向(y軸方向)に沿う方向を第1仮想線A15を軸方向として配置されている。
【0182】
<減速機構について>
減速機構802は、本体部112f内に収容され、電動モータ12fの出力軸23fの回転を減速する。減速機構802は、上下方向(y軸方向)に沿った駆動軸を有する。
【0183】
<カム機構について>
カム機構803は、本体部112f内に収容され、減速機構801を介して電動モータ12fの駆動力により作動する作動部である。カム機構803は、上下方向(y軸方向)に沿う駆動軸803aと、上カム803bと、下カム803cとを有する。上カム803b及び下カム803cは、駆動軸803aの軸回り方向の位置が互いに180°異なる。
【0184】
カム機構803には、先端工具として上刃808及び下刃809が係合する。上刃808は上カム803bと係合し、下刃809は下カム803cと係合する。カム機構803と係合した上刃808及び下刃809はハウジング部11fのy軸-側の端部(下方端部)からz軸+側(前方)へ延出する。カム機構6は、電動モータ12fの回転力を上刃808及び下刃809のz軸に沿った往復運動に変換する動力変換機構である。
【0185】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ハウジング部11dの姿勢を検出する検出部である。姿勢検出部18は、基板183上に実装され、第1ハンドル部113f内に第1の実施の形態と同様にして取り付けられる。
【0186】
<制御系について>
図18は、ヘッジトリマ800の制御系統を示すブロック図である。図18に示されるように、ヘッジトリマ800は、上述した要素及び図2に示される第1の実施の形態のハンマドリル10が備える要素のうち振動部19に代えて振動部19fを有し、スイッチ検出回路50に代えて、第1スイッチ検出回路50aと第2スイッチ検出回路50bとを有する。第1スイッチ検出回路50aは、把持部811に設けられ(図17参照)、第1トリガ47fへの作業者の操作を検出して操作信号を制御回路17へ出力する。第2スイッチ検出回路50bは本体部112fに設けられ(図17参照)、第2トリガ48への作業者の操作を検出して操作信号を制御回路17へ出力する。
【0187】
<振動部について>
振動部19fは、第1の実施の形態と同様の第1振動部19aと第2振動部19bとに加え、第3振動部19cを有する。第3振動部19cは、z軸リニア振動モータ191c及びz軸振動制御回路192cを有する。z軸リニア振動モータ191cも、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bと同様に、電池パック46から駆動電力が供給され、可動子199が振動する。z軸振動制御回路192cは、x軸振動制御回路192a及びy軸振動制御回路192bと同様に制御回路17により制御されて、z軸リニア振動モータ191cの可動子199の移動速度及び移動方向を制御する。
【0188】
振動部19fが有するx軸リニア振動モータ191aは、第2の実施の形態においても、基板193aに実装される。x軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動方向をx軸方向に沿わせた状態で、基板193aが把持部811に取り付けられる。すなわち、第1振動部19aは第2方向へ加振力を付与して第1ハンドル部113fを振動させる。振動部19fが有するy軸リニア振動モータ191bは、基板193bに実装される。y軸リニア振動モータ191bの可動子199の振動方向をy軸に沿わせた状態で、基板193bが把持部811に取り付けられる。すなわち、第2振動部19bは第1方向へ加振力を付与して第1ハンドル部113fを振動させる。
【0189】
可動子199を有するz軸リニア振動モータ191cは、基板193cに実装される。z軸リニア振動モータ191cの可動子199の振動方向をz軸方向に沿わせた状態で、基板193cが第2ハンドル部119内に取り付けられる。すなわち、第3振動部19cはz軸方向へ加振力を付与して第2ハンドル部119を振動させる。
【0190】
上述したように、作業者は、一方の手で第1ハンドル部113fの把持部811を握り、他方の手で第2ハンドル部119を握った状態で、ヘッジトリマ800を使用する。このため、作業者は、第1ハンドル部113fを把持する一方の手で左右方向と上下方向のハウジング部11fの傾きを認識し、第2ハンドル部119を把持する他方の手で前後方向の位置を認識することができる。
【0191】
<制御回路について>
制御回路17は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ヘッジトリマ800の各部の動作を制御する。また、制御回路17は、角度設定処理と、報知処理とを行う。制御回路17が行う角度設定処理は、第1の実施の形態にて説明した角度設定処理と同様である。すなわち、制御回路17は、図5図6に示されるフローチャートの各処理を実行する。第2の実施の形態では、振動部19fは、z軸方向への振動も行う点で、第1の実施の形態の報知処理と異なる。
【0192】
<報知処理について>
制御回路17は、z軸方向についても、作業者がヘッジトリマ800の姿勢を変更することに応じて傾き角度が0となるまで、振動部19fの第3振動部19cが有するz軸リニア振動モータ191cを振動させる。具体的には、制御回路17は、傾き角度のz軸成分(θz-θγ)の値が0よりも大きい場合に、z軸リニア振動モータ191cを駆動して、z軸+側に振動を発生させる。すなわち、第3振動部19cのz軸振動制御回路192cは、z軸リニア振動モータ191cのコイル198に供給する電流のタイミング等を制御することにより、可動子199の移動速度、移動量、移動方向等を制御する。具体的には、z軸振動制御回路192cは、第1の実施の形態の図7(A),図7(B)を用いて説明した場合と同様にして、z軸リニア振動モータ191cの可動子199の移動速度及び移動方向を制御する。
【0193】
図19図21に示されるフローチャートを参照して、制御回路17が行う報知処理の動作について説明する。図19図21のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。
【0194】
ステップS401及びステップS402の各処理は、図8のフローチャートに示されるステップS201(設定角度の設定値読み出し)及びステップS202(保持角度算出)の処理と同様である。ステップS403では、制御回路17は、図8のフローチャートに示されるステップS203の場合と同様にして、傾き角度のx成分(θx-θα)の値、傾き角度のy成分(θy-θβ)の値及び傾き角度のz成分(θz-θγ)の値を算出し、算出したそれぞれの値の絶対値の大きさを比較する。その後、処理はステップS404へ進む。
【0195】
ステップS404では、制御回路17はステップS403で算出した各傾き角度の絶対値のうち、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が最大であるか否かを判定する。傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が最大の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS405へ進む。ステップS405からステップS411までの各処理は、図8のステップS204(傾き角度のx成分(θx-θα)の値が0より大きいかを判定)からステップS210(x軸リニア振動モータ191aの駆動停止)までの各処理と同様である。その後、処理は図21のステップS425へ進む。
【0196】
ステップS404において、傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が最大ではない場合、制御回路17は否定判定を行い、処理は図20のステップS412へ進む。ステップS412では、制御回路17はステップS403で算出した各傾き角度の絶対値のうち、傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が最大であるか否かを判定する。傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が最大の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS413へ進む。ステップS413からステップS419までの各処理は、図9のステップS211(傾き角度のy成分(θy-θβ)の値が0より大きいかを判定)からステップS217(y軸リニア振動モータ191bの駆動停止)までの各処理と同様である。その後、処理は図21のステップS425へ進む。
【0197】
ステップS412において、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が最大の場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理は図21のステップS420へ進む。ステップS420では、制御回路17は、傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0より大きいか否かを判定する。傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0より大きい場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS421へ進む。傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0より小さい場合には、制御回路17は否定判定を行い、処理は後述するステップS422へ進む。ステップS421では、制御回路17は、z軸振動制御回路192cを制御してz軸リニア振動モータ191cの可動子199を振動させ、z軸+側へ振動を発生させる。その後、処理は、後述するステップS423へ進む。
【0198】
ステップS420にて否定判定が行われて進んだステップS422では、制御回路17は、z軸振動制御回路192cを制御してz軸リニア振動モータ191cの可動子199を振動させ、z軸-側へ振動を発生させる。その後、処理はステップS423へ進む。
【0199】
ステップS423では、制御回路17は、傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0であるか否かを判定する。傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0の場合、制御回路17はステップS423で肯定判定を行い、処理はステップS424へ進む。傾き角度のz成分(θz-θγ)の値が0ではない場合、制御回路17はステップS423で否定判定を行い、処理はステップS420へ戻る。ステップS424では、制御回路17はz軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの駆動を停止させる。その後、処理はステップS425へ進む。
【0200】
ステップS411,S414又はS424から進んだステップS425の処理は、図9のステップS218(停止時間判定)の処理と同様である。ステップS425にて制御回路17が肯定判定を行うと処理は終了し、制御回路17が否定判定を行うと処理は図19のステップS403へ戻る。
【0201】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で得られる作用効果に加えて、z軸方向(前後方向)に沿って変化した姿勢の検出結果を振動により報知することができる。これにより、作業者は、ハウジング部11fの左右方向と上下方向の傾きに加え、前後方向の位置を振動により認識できるので、利便性が向上する。
【0202】
上述した第2の実施の形態を以下のように変形できる。すなわち、ヘッジトリマ800は、第1の変形例と同様に、姿勢検出部18により検出された検出値である姿勢検出信号に応じて、x軸リニア振動モータ191a、y軸リニア振動モータ191b及びz軸リニア振動モータ191cの可動子199を振動させる振動周波数(すなわち、動作周期T)を変更する。具体的には、制御回路17は、x軸リニア振動モータ191a及びy軸リニア振動モータ191bに対しては、第1の変形例と同様に制御する。
【0203】
z軸方向に対しても、制御回路17は、姿勢検出信号を用いて算出した傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値と第1閾値Th1とを比較する。比較の結果、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合、制御回路17は、z軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの可動子199を第1振動周波数F1で動作させる。
【0204】
制御回路17は、算出した傾き角度のz成分(θz-θβ)の絶対値が第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2以上、かつ、第1閾値Th1未満の場合に、z軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの可動子199を第1振動周波数F1よりも低周波数である第2振動周波数F2で動作させる。制御回路17は、算出した傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合に、z軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの可動子199を第2振動周波数F2よりも低周波数である第3振動周波数F3で動作させる。
【0205】
これにより、z軸方向に対しても、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、z軸リニア振動モータ191cの可動子199の動作周期Tが長くなる。このため、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合と比較して、作業者が小さな振動を感知することとなる。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合には、z軸リニア振動モータ191cの可動子199の動作周期Tがさらに長くなる。このため、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第2閾値Th2以上の場合と比較して、作業者はより小さな振動を感知することとなる。
【0206】
図22図24に示されるフローチャートを参照して、変形例におけるヘッジトリマ800が有する制御回路17が行う報知処理について説明する。図22図24のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。
【0207】
ステップS501からステップS504までの各処理は、第2の実施の形態の図19に示されるステップS401(設定角度の設定値読み出し)からステップS404(傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が最大か否かを判定)までの各処理と同様である。ステップS504で肯定判定が行われて進んだステップS505からステップS511までの各処理は、図10に示されるステップS304(傾き角度のx成分(θx-θα)の絶対値が第1閾値Th1未満かを判定)からステップS310(x軸リニア振動モータ191aの可動子199の駆動停止)までの各処理と同様である。
【0208】
ステップS504で否定判定が行われて進んだ図23のステップS512の処理は、図20に示されるステップS412(傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が最大か否かを判定)の処理と同様である。ステップS512で肯定判定が行われて進んだステップS514からステップS519までの各処理は、図11に示されるステップS311(傾き角度のy成分(θy-θβ)の絶対値が第1閾値Th1未満かを判定)からステップS317(y軸リニア振動モータ191bの可動子199の駆動停止)までの各処理と同様である。
【0209】
ステップS512で否定判定が行われて進んだ図24のステップS520では、制御回路17は、傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1未満であるか否かを判定する。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1以上の場合には、制御回路17は否定処理を行い、処理はステップS521へ進む。ステップS521では、制御回路17はz軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの可動子199を第1振動周波数F1で動作させる。その後、処理はステップS520へ戻る。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、制御回路17は肯定処理を行い、処理はステップS522へ進む。
【0210】
ステップS522では、制御回路17は傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2未満であるか否かを判定する。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第2閾値Th2以上の場合には、制御回路17は否定処理を行い、処理はステップS523へ進む。ステップS523では、制御回路17はz軸振動制御回路192cを制御して、z軸リニア振動モータ191cの可動子199を第1振動周波数F1よりも低周波数の第2振動周波数F2で動作させる。その後、処理はステップS522へ戻る。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が第2閾値Th2未満の場合には、制御回路17は肯定処理を行い、処理はステップS524へ進む。
【0211】
ステップS524では、制御回路17は傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が0であるか否かを判定する。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が0ではない場合には、制御回路17は否定処理を行い、処理はステップS525へ進む。ステップS525では、制御回路17はz軸リニア振動モータ191cの可動子199を第2振動周波数F2よりも低周波数の第3振動周波数F3で動作させる。その後、処理はステップS524へ戻る。傾き角度のz成分(θz-θγ)の絶対値が0の場合には、制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS526へ進む。ステップS526の処理は、図21のステップS424(z軸リニア振動モータ191cの可動子199の動作停止)の処理と同様である。
【0212】
ステップS511,S519又はS526から進んだステップS527の処理は、図21のステップS425(停止時間判定)の処理と同様である。ステップS527にて制御回路17が肯定判定を行うと処理は終了し、制御回路17が否定判定を行うと処理は図22のステップS503へ戻る。
【0213】
以上で説明した変形例によれば、z軸方向(前後方向)に沿って変化した姿勢の変化量に応じて振動周波数が変化するので、作業者は、ハウジング部11fの左右方向と上下方向の傾きの大きさに加え、前後方向の位置の変位量を振動の大きさにより認識できるので、利便性が向上する。
【0214】
<第3の実施の形態>
図25図26を参照しながら、第3の実施の形態の作業機について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同様である。第3の実施の形態の作業機は電動ノコギリ(丸のこ)と呼ばれる電動工具であり、ハウジングが予め定められた方向に対して傾斜した際に、傾斜した方向に加振力を付与して振動による報知を行う点で第1の実施の形態とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0215】
図25(A)は、第3の実施の形態の作業機である丸のこ900の外観斜視図であり、図25(B)は丸のこ900の断面図である。尚、図25(A),25(B)においても、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を設定する。図25(B)においては、紙面上下方向をy軸、左右方向をz軸とする。尚、x軸+側を左側、x軸-側を右側、y軸+側を上方、y軸-側を下方、z軸+側を前方、z軸-側を後方と呼ぶこともある。また、z軸方向(すなわち前後方向)を第1方向、z軸と直交するx軸(すなわち左右方向)を第2方向とも呼ぶ場合がある。
【0216】
丸のこ900は、ハウジング部11gと、電動モータ12gと、回転刃901と、姿勢検出部18と、振動部19gとを有する。丸のこ900は、円板状の回転刃の901回転によって相手材である被加工物を切断する。回転刃901が下方(y軸-側)に延出するようにハウジング部11gに取り付けられる。作業時には、図25(A)に示されるように、接地部となるハウジング部11gの下方に設けられるベース120を被加工物W上に置いた状態で丸のこ900をz軸+方向(前方)へ移動させることにより、被加工物Wを切断する作業が行われる。
【0217】
<ハウジングについて>
ハウジング部11gは、本体部112gとハンドル部113gとを有する。本体部112gは、z軸方向に沿って延伸し、y軸-側(下方側)には、被加工物W上に載置するためのベース120を有する。本体部112gの後方端部(z軸-側)には接続部が設けられ、電池パック46が着脱可能に装着される。ハンドル部113gは、前後方向(z軸方向、第1方向)に沿って延びる形状を有する。ハンドル部113gは、本体部112gのy軸+側かつz軸+側の端部(上方前方端部)、及び本体部112gのy軸+側かつz軸-側の端部(上方後方端部)にて、本体部112gと接続されている。ハンドル部113gの前方の端部には、バネ等によって付勢された状態で、ハンドル部113gから下方側(y軸-側)へ突出してトリガ47が設けられる。
【0218】
<電動モータについて>
電動モータ12gは、本体部112g内に収容される。電動モータ12gは、第1の実施の形態の電動モータ12と同様に、ロータ及びステータを有するブラシレスモータである。ロータには出力軸23gが固定され、出力軸23gは、左右方向(x軸)に沿う方向を軸方向として配置されている。この出力軸23gは、z軸+側の端部で回転刃901の中心に接続されている。このため、電動モータ12gの回転により出力軸23gが回転すると、回転刃901は出力軸23gにより回転力が付与され、出力軸23gを回転中心として回転する。すなわち、出力軸23gは、駆動部である電動モータ12gの駆動力により回転刃901に対して左右方向と平行な中心軸を中心とする回転力を付与する作動部として機能する。
【0219】
<姿勢検出部について>
姿勢検出部18は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有し、ハウジング部11gの姿勢を検出する検出部である。姿勢検出部18は、基板183上に実装され、本体部112g内に第1の実施の形態と同様にして取り付けられる。
【0220】
<振動部について>
振動部19gは、第1の実施の形態の第1振動部19aにより構成される。すなわち、振動部19gは、第1の実施の形態と同様のx軸リニア振動モータ191aと、x軸振動制御回路192aとを有する。x軸リニア振動モータ191aは基板193aに実装される。x軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動方向をx軸方向に沿わせた状態で、基板193aがハンドル部113gに第1の実施の形態と同様にして取り付けられる。すなわち、振動部19gは第2方向、すなわち左右方向へ加振力を付与してハンドル部113gを振動させて、ハウジング部11にかかる左右方向の加速度を報知する。
【0221】
<制御系について>
第3の実施の形態の丸のこ900は、図2に示す第1の実施の形態のハンマドリル10の制御系統と同様の制御系統を有する。また、スイッチ検出回路50はハンドル部113gに設けられ(図25(B)参照)、トリガ47への作業者の操作を検出して操作信号を制御回路17へ出力する。また、丸のこ900は、検出角度入力部70を有していない。また、上述したように、第1の実施の形態の振動部19とは異なり、振動部19gは、x軸リニア振動モータ191aと、x軸振動制御回路192aとを有する。
【0222】
<制御回路について>
制御回路17は、第1の実施の形態とは異なり、角度設定処理を行わず、報知処理を行う。丸のこ900は、上述したようにz軸方向に沿って直線的な移動することにより被加工物を切断するため、作業者による設定角度を設定する必要がないためである。
【0223】
報知処理においては、制御回路17は、姿勢検出部18から出力された姿勢検出信号を用いて、ハウジング部11gの左右方向の傾き角度θを算出する。すなわち、制御回路17は、予め定められた方向(切断方向)であるz軸方向に対するハウジング部11gの傾斜(すなわちハウジング部11gの左右方向にかかる加速度)を算出する。
【0224】
制御回路17は、算出した傾き角度θの絶対値と予め設定されている閾値Th4とを比較する。比較の結果、閾値Th4よりも傾き角度θの絶対値の方が大きい場合には、振動部19gを動作させる。具体的には、制御回路17は、x軸振動制御回路192aを制御して、x軸リニア振動モータ191aの可動子199の移動速度、移動量、移動方向等を制御させる。この場合、x軸振動制御回路192aは、図7(A)、図7(B)を用いて説明したようにして、x軸リニア振動モータ191aのコイル198に供給する電流の値及びタイミングを制御することにより、可動子199の移動速度、移動量、移動方向等を制御させる。
【0225】
これにより、振動部19gは、ハウジング部11gの左右方向に加振力を付与する。報知処理を実行中の制御回路17は、作業者が丸のこ900の姿勢を変更することに応じて上述した傾き角度θの絶対値が閾値Th4以下となるまで振動部19gを振動させる。
【0226】
尚、第3の実施の形態においても、第1の変形例の場合と同様に、制御回路17は、傾き角度θの大きさに応じてx軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動周期を異ならせる制御を行ってよい。
【0227】
図26に示されるフローチャートを参照して、第3の実施の形態の丸のこ900が有する制御回路17が行う報知処理について説明する。図26のフローチャートに示される各処理は、制御回路17が記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより行われる。
【0228】
ステップS601では、制御回路17はトリガ47に対して作業者の操作が行われたか否かを判定する。スイッチ検出回路50から操作信号が出力された場合には、ステップS601で制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS602へ進む。スイッチ検出回路50から操作信号が出力されない場合には、ステップS601で制御回路17は否定判定を行い、再度ステップS601の処理を行う。
【0229】
ステップS602では、制御回路17は電動モータ12gを駆動させ駆動力を発生させる。その後、処理はステップS603へ進む。ステップS603では、制御回路17は姿勢検出部18gから出力された姿勢検出信号を用いて、傾き角度θを算出する。その後、処理はステップS604へ進む。
【0230】
ステップS604では、制御回路17は算出した傾き角度θの絶対値が閾値Th4よりも大きいか否かを判定する。傾き角度θの絶対値が閾値Th4よりも大きい場合には、ステップS604で制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS605へ進む。傾き角度θの絶対値が閾値Th4以下の場合には、ステップS604で制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS603へ戻る。
【0231】
ステップS605では、制御回路17は振動部19gを駆動させる。その後、処理はステップS606へ進む。ステップS606では、制御回路17は傾き角度θの絶対値が閾値Th4よりも大きいか否かを判定する。傾き角度θの絶対値が閾値Th4よりも大きい場合には、ステップS606で制御回路17は肯定判定を行い、処理はステップS607へ進む。傾き角度θの絶対値が閾値Th4以下の場合には、ステップS606で制御回路17は否定判定を行い、処理はステップS605へ戻る。ステップS607では制御回路17は振動部19gの駆動を停止させて、処理を終了する。
【0232】
尚、制御回路17は、第1の変形例の第1振動部19aと同様に、姿勢検出部18の検出値(すなわち、傾きの大きさ)に応じて、x軸リニア振動モータ191aの可動子199の振動周波数を変更してもよい。また、ハウジング部11gが第3の変形例の振動低減部115aを有し、本体部112gとハンドル部113gとが振動低減部115aを介して接続されてもよい。
【0233】
以上で説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態及び第1の変形例により得られる作用効果(1)~(3)、(5)、(6)、(7)に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0234】
(9)作動部である出力軸23gは、回転刃901に対して左右方向(x軸方向)と平行な中心軸を中心とする回転力を付与し、振動部19gは、ハウジング部11gにかかる左右方向の加速度を報知する。これにより、作業者は、切断方向である前後方向に沿って直線的に移動させる丸のこ900が、切断方向から左右方向へ向けて傾斜していることを認識することができるので、利便性及び作業性が向上する。
【0235】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0236】
10,10a,10b…ハンマドリル、11,11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g…ハウジング部、12,12c,12d,12e,12f,12g…電動モータ、13…回転力伝達機構、14…変換機構、15…スリーブ、16…打撃子、17…制御回路、18,18g…姿勢検出部、18a…x軸姿勢検出部、18b…y軸姿勢検出部、18c…z軸姿勢検出部、19,19f,19g…振動部、19a…第1振動部、19b…第2振動部、19c…第3振動部、23,23c,23d,23e,23f,23g…出力軸、38…先端工具、39…中間打撃子、46…電池パック、47…トリガ、47f…第1トリガ、48…第2トリガ、70…検出角度入力部、112,112a,112b,112c,112d,112e,112f,112g…本体部、113,113a,113b,113c,113d,113e,113g…ハンドル部、113f 第1ハンドル部、119…第2ハンドル部、181a…x軸姿勢検出部、181b…y軸姿勢検出部、181c…z軸姿勢検出部、182a…x軸検出回路、182b…y軸検出回路、182c…z軸検出回路、191a…x軸リニア振動モータ、191b…y軸リニア振動モータ、191c…z軸リニア振動モータ、192a…x軸振動制御回路、192b…y軸振動制御回路、192c…z軸振動制御回路、500…振動ドリル、600…釘打ち機、700…電動ドリル、800…ヘッジトリマ、900…電動ノコギリ(丸のこ)、901…回転刃
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