(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098146
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】図書館書籍検索・書籍管理支援システム及び図書館書籍検索・書籍管理支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/908 20190101AFI20230703BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230703BHJP
G06F 16/93 20190101ALI20230703BHJP
【FI】
G06F16/908
G06Q50/10
G06F16/93
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214721
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】321002606
【氏名又は名称】株式会社デイビージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100081455
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100170966
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】道家 佳織
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175FB03
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】図書館内に所蔵されている書籍の検索を支援する図書館書籍検索・書籍管理支援システム及び図書館書籍検索・書籍管理支援方法を提供する。
【解決手段】閲覧端末と、利用者や司書などが利用するウェラブル端末と、閲覧端末から書籍検索の要求を受け付ける検索サーバと、図書館内の書籍のデータベースや貸出履歴などのデータベースを格納したデータベースサーバとが、ネットワーク1を介して接続されている図書館書籍検索・書籍管理支援システムにおいて、データベースサーバは、図書館内の書籍を分類するための1又は複数のタグ情報が付与された書籍情報を記憶し、図書館内で閲覧された書籍の履歴情報を記憶する。検索サーバは、端末から受信したタグ情報に基づいて該当する書籍群を検索して複数のタグ情報を含む書籍群を抽出し、複数のタグ情報から、任意に選択したタグ情報が付与された書籍を書籍群から抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと端末とがネットワークを介して接続される図書館書籍検索・書籍管理支援システムにおいて、
前記サーバは、図書館内の書籍を分類するための1又は複数のタグ情報が付与された書籍情報を記憶する書籍情報記憶手段と、
前記図書館内で閲覧された書籍の履歴情報を記憶する閲覧履歴記憶手段と、
前記端末から入力された前記タグ情報に基づいて前記書籍情報記憶手段から該当する書籍を抽出する抽出手段と、を備え、
前記抽出手段は、前記書籍情報記憶手段から前記端末から入力された前記複数のタグ情報を含む書籍群を抽出し、前記複数のタグ情報から任意に選択したタグ情報が付与された書籍を前記書籍群からさらに抽出することを特徴とする図書館書籍検索・書籍管理支援システム。
【請求項2】
前記タグ情報は、前記書籍のカテゴリーや内容から想定されるキーワードで構成されることを特徴とする請求項1記載の図書館書籍検索・書籍管理支援システム。
【請求項3】
前記タグ情報は、前記書籍に対して大分類から小分類階層的に付与されていることを特徴とする請求項1または2記載の図書館書籍検索・書籍管理支援システム。
【請求項4】
前記閲覧履歴記憶手段は、図書館内に設置される書棚に保管される書籍が一定時間、書棚から離れた場合に閲覧されていると判断して閲覧履歴をカウントすることを特徴とする請求項1記載の図書館書籍検索・書籍管理支援システム。
【請求項5】
サーバと端末とがネットワークを介して接続される図書館書籍検索・管理システムにおいて、
ICタグが貼付された書籍と、該書籍を保管する書棚と、該書棚の任意に決められた単位毎に設置されるICタグに記録されたIC番号を読み取るためのICタグ読取手段と、を有し、
前記サーバは、前記書棚ごとに保管されている前記書籍に貼付された前記ICタグに記録されたIC番号と、書籍が保管中又は閲覧中であるかの状態を管理するICタグ管理データベースと、
図書館内で閲覧された書籍の閲覧履歴を記憶する閲覧履歴記憶手段と、を有し、
前記ICタグ読取手段は、一定時間ごとに書棚に保管されている書籍の前記ICタグのIC番号を読み取り、
読み取れた前記IC番号を前記ICタグ管理データベースへ送信し、
前記ICタグ管理データベースは、受信した前記IC番号に該当する書籍については保管中とし、
受信しなかった前記IC番号に該当する書籍を閲覧中とすることを特徴とする図書館書籍検索・書籍管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書館内に所蔵されている書籍(雑誌や新聞、視聴覚資料、点字資料、論文などを含む)の検索を支援するための図書館書籍検索・書籍管理支援システム及び図書館書籍検索・書籍管理支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図書館にある膨大な書籍から所望の書籍を検索するための検索システムとしてキーワード入力検索や日本十進分類法を用いた検索方法がある。
図書館には、一般書籍や雑誌、新聞のほかに、CDや電子書籍、マイクロフィルムなどの視聴覚資料、点字資料、論文などが保管されており、これらの書籍は、一般的に日本十進分類法を用いた分類法で分類されている。
日本十進分類法は、大分類から小分類へと細分化していく階層分類法であり具体的には第1区分から第6区分まで細分化されている。
【0003】
ところが、日本十進分類法は、図書館を利用する利用者にはほとんど周知されていないため、利用者が図書館で日本十進分類法を用いて書籍を検索することはなく、また、近年様々なジャンルの書籍やジャンルが複合的な書籍が数多く出版されており、これらの書籍などをこの分類法に当てはめた場合に分類することが困難であり、また、利便性の高い検索が困難となる。
【0004】
そこで、特許文献1には、分類法の知識がない人でも目的とする書籍を検索できる発明が記載されている。
この特許文献1は、一定の体系を持つ分類基準に基づくと共に、分類される書籍点数が偏在しないように区分する分類法に基づき、大分類を決め、さらに小分類に区分して書籍情報を表示する。小分類ごとに区分された書籍群の書名の中から使用頻度の高い用語をキーワードとしてピックアップし、キーワードは大分類毎に一覧表を展示し、小分類の分類基準の解説用として利用する。また同じキーワードが使われている関連小分類へもリンクさせ横断的検索も可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図書館の利用者から提供される情報から司書や図書館職員が書籍を検索する場合、利用者から提供される情報は非常に曖昧なことが多く、的確な書籍情報を示していることが少ない。そこで、司書や図書館職員が、利用者が要望する資料を検索するために特許文献1に記載の発明を利用した場合、曖昧な情報が上記の大分類や小分類に該当するキーワードと一致する可能性が低く、資料の検索が困難である。
【0007】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、図書館に所蔵される書籍ごとに、書籍が属するカテゴリーや内容から想定されるキーワードをタグとして複数付与して管理することにより、利用者から提供される情報から司書や図書館職員が書籍を容易に検索することができるほか、利用者自身が想定するキーワードから目的の書籍や、関連する書籍を検索することも可能であり、このタグを利用して書籍の管理も行うことが可能な図書館書籍検索・書籍管理支援システム及び図書館書籍検索・書籍管理支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の図書館書籍検索・書籍管理支援システムは、サーバと端末とがネットワークを介して接続される図書館書籍検索・管理システムにおいて、前記サーバは、図書館内の書籍を分類するための1又は複数のタグ情報が付与された書籍情報を記憶する書籍情報記憶手段と、前記図書館内で閲覧された書籍の履歴情報を記憶する閲覧履歴記憶手段と、前記端末から入力された前記タグ情報に基づいて前記書籍情報記憶手段から該当する書籍を抽出する抽出手段と、を備え、前記抽出手段は、前記書籍情報記憶手段から前記端末から入力された前記複数のタグ情報を含む書籍群を抽出し、前記複数のタグ情報から任意に選択したタグ情報が付与された書籍を前記書籍群からさらに抽出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の図書館書籍検索・書籍管理支援システムは、前記タグ情報は、前記書籍のカテゴリーや内容から想定されるキーワードで構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の図書館書籍検索・書籍管理支援システムは、前記タグ情報は、前記書籍に対して大分類から小分類階層的に付与されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の図書館書籍検索・書籍管理支援システムは、前記閲覧履歴記憶手段が、図書館内に設置される書棚に保管される書籍が一定時間、書棚から離れた場合に閲覧されていると判断して閲覧履歴をカウントすることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の図書館書籍検索・書籍管理支援方法は、サーバと端末とがネットワークを介して接続される図書館書籍検索・管理システムにおいて、ICタグが貼付された書籍と、該書籍を保管する書棚と、該書棚の任意に決められた単位毎に設置されるICタグに記録されたIC番号を読み取るためのICタグ読取手段と、を有し、前記サーバは、前記書棚ごとに保管されている前記書籍に貼付された前記ICタグに記録されたIC番号と、書籍が保管中又は閲覧中であるかの状態を管理するICタグ管理データベースと、図書館内で閲覧された書籍の閲覧履歴を記憶する閲覧履歴記憶手段と、を有し、前記ICタグ読取手段は、一定時間ごとに書棚に保管されている書籍の前記ICタグのIC番号を読み取り、読み取れた前記IC番号を前記ICタグ管理データベースへ送信し、前記ICタグ管理データベースは、受信した前記IC番号に該当する書籍については保管中とし、受信しなかった前記IC番号に該当する書籍を閲覧中とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、書籍のジャンルや内容に一致したキーワードをタグ情報として1又は複数のタグ情報を書籍に付与することで、利用者の書籍検索の要望に対して司書や図書館職員が容易に目的の書籍を検索及び提供することができるほか、目的の書籍に関連する書籍や他の資料についても提供することが可能となる。
また、利用者自身が想定するキーワードに基づいて目的の書籍や関連する書籍についても検索することが容易となるほか、書籍に貼付されたICタグを読み取ることで書籍が書棚に保管中かもしくは閲覧中かを判断でき、今まで、図書館内でどのような書籍が閲覧されているか不明であった点を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】図書館書籍検索・書籍管理支援システムの構成を示した概略図である。
【
図2】ウェアラブル端末の構成の一例を示した図である。
【
図4】データベースサーバの構成の一例を示した図である。
【
図5】書籍データベースの構成の一例を示した図である。
【
図6】分類タグデータベースの構成の一例を示した図である。
【
図7】書籍分類データベースの構成の一例を示した図である。
【
図8】貸出履歴データベースの構成の一例を示した図である。
【
図9】書籍状態管理データベースの構成の一例を示した図である。
【
図10】閲覧管理データベースの構成の一例を示した図である。
【
図11】利用者情報データベースの構成の一例を示した図である。
【
図12】書籍ステータスデータベースの構成の一例を示した図である。
【
図13】閲覧端末に表示される書籍検索画面の一例を示した図である。
【
図14】書籍の検索方法について示したフローチャートである。
【
図15】は、サービス例1における検索方法について示したフローチャートである。
【
図16】は、サービス例2における検索方法について示したフローチャートである。
【
図18】は、ナビゲーション中の表示画像の一例を示した図である。
【
図19】は、ナビゲーション対象にまで辿り着いた場合の表示画像の一例を示した図である。
【
図20】は、ICタグを利用した書籍の閲覧管理システムの構成を示した図である。
【
図21】は、閲覧管理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図22】書籍状態管理データベースに格納される書籍のステータスデータを示した図である。
【
図23】閲覧端末100に表示される検索画面の一例を示した図である。
【
図24】年代別における貸出ランキングの一例を示した図である。
【
図25】性別における貸出ランキングの一例を示した図である。
【
図26】ジャンル別における貸出ランキングの一例を示した図である。
【
図27】閲覧回数における貸出ランキングの一例を示した図である。
【
図28】閲覧回数(館内のみ閲覧可能な書籍)における閲覧ランキングの一例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本実施形態に係る図書館書籍検索・書籍管理支援システム及び図書館書籍検索・書籍管理支援方法
について説明する。
図1は、図書館書籍検索・書籍管理支援システムの構成を示した概略図である。
図示するように、図書館検索・管理支援システムは、図書館内に設置され図書館を来訪した利用者が書籍検索などに利用するための閲覧端末100と、利用者や司書などが利用するウェラブル端末200と、閲覧端末100から書籍検索の要求を受け付ける検索サーバ300と、図書館内の書籍のデータベースや貸出履歴などのデータベースを格納したデータベース400とが、ネットワーク1を介して接続されている。
なお、図書館内に保管される書籍は、例えば雑誌や新聞、視聴覚資料(CDやDVD、マイクロフィルムなど)、点字資料、論文などを含む。
【0016】
<閲覧端末100>
閲覧端末100は、利用者や司書が書籍検索するために設置された汎用コンピュータ等の情報処理装置やタブレット端末、スマートフォン等の携帯端末機器であって、CPU、ROM、RAM、HDD(SDDでもよい)、入力部及び表示画面を実装している。
閲覧端末100は、図書館内の検索用ブースや司書用のカウンターに設置されており、司書や利用者の操作による入力情報を受け付けてネットワーク1を介して検索サーバ300に検索要求を送信する。そして、検索サーバ300から検索結果等を受信して利用者に提示する。
なお、利用者が所持するPCやスマートフォンなどの端末から検索サイトにアクセスして図書館に来訪せずに書籍検索することも可能であり、このような利用者が所持する端末なども閲覧端末100に含むとする。
【0017】
<ウェアラブル端末200>
図2は、ウェアラブル端末の構成の一例を示した図である。
ウェアラブル端末200は、眼鏡あるいはゴーグル形状を有しており、図書館の利用者や司書などが装着して書籍検索に利用するものであり、例えば、書籍情報の表示や書籍が置いてある棚までのルート案内を行うことが可能である。
図2に示すように、ウェアラブル端末200は、制御部201と、カメラ202と、表示部203と、音声入出力部204と、軸センサ205と、ビーコン受信部206と、画像処理部207と、無線通信部208と、記憶部209とから構成されている。
【0018】
制御部201は、ウェアラブル端末200全体を制御するためのものであり、カメラ202は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の小型カメラであり、ウェアラブル端末200本体のツル部分(図示せず)やレンズ(図示せず)の上部に搭載される。
カメラ202は、光軸が使用者の視線とできるだけ近くなるように設置されカメラ202の撮影する画像データが使用者の見ている現実の風景の画像とほぼ同様になるようにカメラ202は設置される。
【0019】
表示部203は、眼鏡もしくはゴーグルを構成するレンズ状であって(図示せず)、このレンズに無線通信部208による受信情報やナビゲーション画像を表示する。
【0020】
音声入出力部204はマイクとイヤホンとから構成されており、マイクは装着者の音声を入力するものであり音声を認識すると、認識した音声から書籍のタイトルや作者、書籍に関するキーワードを抽出し、キーワードを無線通信部208がインターネット1を介して検索サーバ300へ送信することが可能となるほか、認識した音声でウェアラブル端末200本体の操作を行うことも可能である。
また、検索サーバ300による検索結果や棚までのルート案内を音声でスピーカを介して装着者へ伝えることも可能である。
【0021】
軸センサ205は、物体の速度や方向を測定する計測器であり、本実施形態では使用者の視線がどの方向を向いているかを測定し、方位情報を生成するために使用する。視線の方向を測定するため、軸センサ205はカメラ202と同様に表示部203に搭載されることが望ましい。
【0022】
ビーコン受信部206は、図書館内に設置されている複数のビーコンからビーコン情報を受信することで位置情報を取得することが可能である。
画像処理部207は、カメラ202が撮影した撮影画像データ、ビーコン受信部206が取得した位置情報及び軸センサ205が測定した装着者の視線の方位情報に基づき、表示部203に表示させる表示画像データを生成する。
【0023】
画像処理部207が生成する表示画像データは、装着者が表示部203のレンズを通してみる現実の風景に重ね合わせたとき、装着者に対して必要な情報を提供することができる。
【0024】
無線通信部208は、無線LANやBluetooth(登録商標)、iBeacon(登録商標)といった所定の無線通信規格に則って、他の機器との間で無線通信を行う。
記憶部209は、ウェアラブル端末200本体を制御するためのソフトウェアを閲覧端末100から受信した情報やウェアラブル端末200で書籍検索した書籍情報を一時的に格納しておく。
【0025】
<検索サーバ300>
次に、
図3を参照して検索サーバ300について説明する。
図3は、検索サーバの構成を示した図である。
検索サーバ300は、図書館の利用者や司書による閲覧端末100からの検索要求に応じて書籍の検索を実行するものであり、制御部301と、表示部302と、操作部303と、記憶部304と、通信部305と、から構成されている。
制御部301は、CPU、ROM、RAM等で構成されており、CPUは、記憶部304、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のメモリ領域に呼び出して実行し、各装置(表示部302など)を制御する。
【0026】
表示部302は、液晶パネル等のディスプレイ装置であり、操作部303は、キーボードなどの入力装置であり、記憶部304は、制御部301が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納されている。通信部305は、通信制御装置や通信ポートを有しており、ネットワーク1を介して閲覧端末100やウェアラブル端末200、データベースサーバ400との通信を行う。
【0027】
<データベースサーバ400>
図4は、データベースサーバの構成を示した図であり、
図5は、書籍データベースの構成を示した図であり、
図6は、分類タグデータベースの構成を示した図であり、
図7は、書籍分類データベースの構成を示した図であり、
図8は、貸出履歴データベースの構成を示した図であり、
図9は、書籍状態管理データベースの構成を示した図であり、
図10は、閲覧管理データベースの構成を示した図であり、
図11は、利用者情報データベースの構成を示した図であり、
図12は、書籍ステータスデータベースの構成を示した図である。
【0028】
データベースサーバ400は、
図4に示すように、基本的には図書館ごとに設置されているものであり、図書館の基本情報(住所など)を格納した図書館情報データベース401と、図書館に所蔵している書籍の書籍情報を格納した書籍データベース402と、書籍に付与する分類タグの情報を格納する分類タグデータベース403と、書籍ごとに付与される分類タグを格納する書籍分類データベース404と、書籍の貸出履歴を格納した貸出履歴データベース405と、現在の書籍の状態を管理する書籍状態管理データベース406と、書籍の閲覧状態を管理する閲覧管理データベース407と、書籍の閲覧状態を管理する閲覧管理データベース407と、利用者情報を格納する利用者情報データベース408と、書籍のステータス情報を格納する書籍ステータスデータベース409と、を有している。
このデータベースサーバ400は、図書館ごとに設置しなくてもよく、例えば自治体ごとに設置すること可能であり、その場合は、自治体ごとに複数の図書館のデータを一元管理することも可能である。
また、自治体だけではなく、学校(中学校や高校、大学などを含む)や他の公共施設、会社などの組織にこのデータベースサーバ400を設置することも可能である。
【0029】
書籍データベース402は、
図5に示すように、書籍ごとに書籍コード(ISBNやISSNなど)、書籍名、著者名、出版社名、発行日、図書サイズ、ページ数、書籍が保管されている所在地(フロア、書棚番号、段数)、貸出が可能かどうかのデータを管理している。分類タグデータベース403は、書籍の特徴などに基づいて分類するための書籍ごとに付与される分類タグを一覧で格納したものである。
【0030】
分類タグは、書籍の特徴として書籍が属するカテゴリーや書籍の内容を分析して利用者や司書などが容易に想定することができるキーワードであり、
図6に分類タグの一例を示す。
一般的に図書館での書籍の分類は、日本十進分類法を採用しているが、図書館の利用者はこの分類法で書籍が分類されていることはまず知られておらず、また利用者がこの分類法に基づいて図書館内で書籍を検索することは皆無である。
【0031】
図書館の利用者が司書に書籍の検索を依頼する場合に、特に低学年の子供や老人は書籍のタイトルや著者名よりも書籍の内容や特徴を伝えることが多い。
例えば「桃太郎」の絵本を低学年の子供が司書に検索を依頼するときに、「鬼を退治する」、「猿や犬が出てくる」、「桃」といった書籍の内容に沿ったキーワードを伝えることが多く、健康に関する書籍を老人が司書に検索を依頼するときには、「長生き」、「食事」、「糖尿病」などのキーワードを伝えることが多い。
【0032】
そこで、本発明の実施形態では、書籍を分類する際に書籍が属するカテゴリーや内容に合致するキーワード、利用者や司書が容易に想定できるキーワードを分類タグとして書籍に付与する。分類タグは書籍に複数付与することも可能であり、分類タグの付与については
図6を参照して説明する。
まず、「児童文学」というカテゴリーに対して図示するように、第1タグには、「ファンタジー」というキーワードが設定されている。第1タグは、書籍の内容に関連するおおまかなキーワードを主に設定する。第2タグは、書籍のテーマやジャンルなどから推定されるキーワードであり、第1タグの「ファンタジー」に対して、「冒険」、「SF」、「伝説」、「神話」というキーワードを設定する。そして、第3タグには、書籍に登場する人物や物、書籍のより具体的な内容をキーワード設定する。
【0033】
図示するように、第3タグには、「魔法」、「怪物」、「宇宙」、「怪獣」、「天使」といったキーワードを設定する。
また、「食べ物」というカテゴリーに対しては、第1タグには「料理」というキーワードが設定されており、第2タグには「レシピ」、「素材」、「お弁当」といったキーワードが設定されている。
【0034】
第2タグの「レシピ」には、第3タグとして「煮物」、「魚」、「だし」、「和風」、「中華」、「簡単」といったキーワードが設定されており、第2タグの「素材」には、第3タグとして「ジャガイモ」、「大根」、「人参」といったキーワードが設定されており、第2タグの「お弁当」には、第3タグとして「子供」、「材料」、「簡単」といったキーワードが設定されている。
【0035】
また、「小説」というカテゴリーに対しては、第1タグに「ミステリー」、「青春」、「恋愛」といったキーワードが設定されている。この第1タグの「ミステリー」には、第2タグに「犯罪」というキーワードが設定されており、続いて第3タグに「警察」、「恋愛」、「トリック」といったキーワードが設定されている。
【0036】
また、第1タグの「青春」には、第2タグに「高校生」、「悩み」というキーワードが設定され、第2タグの「高校生」には、第3タグに「恋愛」というキーワードが設定され、第2タグの「悩み」には、第3タグに「人間関係」、「家族」というキーワードが設定されている。そして、第1タグの「恋愛」には、第2タグに「ファンタジー」、「初恋」、「病気」といったキーワードが設定され、「ファンタジー」には、第3タグの「タイムトラベル」というキーワードが設定され、「初恋」には、第3タグの「思い出」というキーワードが設定され、「病気」には、第3タグの「余命」というキーワードが設定される。
なお、この設定方法は一例であって、書籍の内容や種類に応じてキーワードの設定は様々であってよい。
【0037】
また、上記した第1タグから第3タグは一例であって、書籍によっては第1タグのみや第2タグまで付けてもよく、また、第4タグ、第5タグとそれ以上の分類タグを付与することも可能である。
さらに、書籍のカテゴリーや書籍の内容だけではなく、書籍の表紙の色や絵柄、書籍の大きさといった情報をタグ付けしてもよく、利用者がよく検索に利用するキーワードをタグに採用してもよい。
【0038】
書籍分類データベース404は、書籍ごとに関連付けて付与される分類タグをデータ管理するデータベースである。
図7に示すように、書籍コード及び書籍名に関連付けて分類タグが付与されている。上記したように、付与する分類タグの数については、1つでもよく又は複数(いくつでも)付与することが可能である。
【0039】
貸出履歴データベース405は、図書館で管理されている書籍の貸出履歴をデータとして格納したものであり、例えば、
図8に示すように、書籍コード、書籍名、貸出日、返却日、利用者ID、性別、年代、貸出回数の項目で貸出履歴データを格納している。
例として、書籍が貸し出されると、この書籍の書籍データに対して、貸出日、借りた利用者の利用者ID、利用者の性別、年代を関連付けて貸出データとしてデータベースサーバ400の貸出履歴データベース405に格納される。
また、貸出処理が実行されるたびに貸出回数をカウントする。
なお、書籍が返却されたときには返却日を貸出データに関連付けて貸出データを更新する。
また、ここで列挙した項目は一例であり、他の項目を追加できるようにしてもよい。
【0040】
書籍状態管理データベース406は、現在、書棚に保管されている書籍が保管中か閲覧中かの書籍の状態を管理するデータベースである。
図9に示すように、書棚番号、段数、ICタグ番号、書籍名、受信状態、ステータス、位置ステータスの項目から構成されている。書棚ごとに保管する書籍が登録されており、一例として書棚A10の段数ごとに登録されている書籍を示す。図示するように、書棚10Aには、登録されている書籍が全て保管されている状態を示していている。書籍にはICタグが貼付されており、ICタグとの通信状況によって書籍が書棚に保管されているかどうかを判断し、保管中かもしくは閲覧中かのステータスをデータ管理する。
また、書棚ごとに登録されている書籍がきちんと登録されている書棚に保管されているかの管理も可能であって、その書棚に登録されている書籍が保管されている場合には位置ステータスが「〇」となり、登録されていない書籍が保管されている場合には位置ステータスが「×」となる。
【0041】
この書棚ごとの書籍の位置ステータスを管理することで、例えば、利用者が書籍を登録されていない書棚に戻した場合であっても、書籍状態管理データベース406を見ることにより、書籍の整理が容易となる。
【0042】
閲覧管理データベース407は、書籍の閲覧回数を管理するデータベースであり、
図10に示すように、ICタグごとに閲覧された回数をカウントしている。後述するが、書籍が書棚から取り出され一定時間、書棚に戻されない場合は、その書籍は閲覧中であると判断し、閲覧回数としてカウントする。
【0043】
利用者情報データベース408は、図書館を利用する利用者の情報を格納しており、
図11に示すように、例えば利用者の利用者ID、氏名、住所、性別、年齢を情報として格納している。
書籍ステータスデータベース409は、書籍のステータス情報を格納したものである。書籍のステータス情報とは、書籍の保管場所を示すものであって、通常、保管されている図書館の情報と、取り寄せ依頼によって別の図書館に移動した場合による移動先の図書館の情報を示したものであり、
図12に示すように、書籍コード、書籍名、保管されている図書館の情報と、取り寄せの依頼によって別の図書館に移動した場合による移動先の図書館の情報とから構成されている。
【0044】
次に、図書館内における書籍の検索及び案内方法について説明する。
図13は、閲覧端末に表示される書籍検索画面の一例を示した図であり、
図14は、書籍の検索方法について示したフローチャートであり、
図15は、サービス例1における検索方法について示したフローチャートであり、
図16は、サービス例2における検索方法について示したフローチャートである。
図17は、書籍の抽出結果を示した図である。
次に、図書館内における書籍の検索及び案内方法について説明する。
【0045】
まず、図書館を訪れた利用者が司書に書籍の検索依頼をしたときの案内について説明する。
一般的に司書は、書籍の貸出や返却の対応、書籍の購入や管理、配架、イベント開催、展示コーナの設置といった図書館のサービスを仕事としている。
特に、その中でも重要な仕事としてレファレンスサービスといったものがある。このレファレンスサービスとは、利用者が求める情報や書籍に対して、情報や書籍そのもの、もしくは必要とする情報を検索、提供、回答するといった業務を意味する。
【0046】
例えば、利用者が書籍のタイトルや著者名といった明確な情報を提供してくれれば、司書は容易にその書籍を検索することは可能であるが、利用者によっては曖昧な情報を提供する場合も多く、司書はレファレンスサービスの一環として利用者から様々な情報を聞き出し、目的の書籍を検索する。
利用者からの曖昧な情報の例として、「何かおすすめの本を知りたい」、「子どもの頃に読んだ、妖精が出てくる本の名前を知りたい。表紙は青っぽい色をしていた」、「タイトルが思い出せないが〇〇〇な内容の本を探している」、「地元の歴史を調べるための資料があるか」といったものがある。
【0047】
そこで、図書館を訪れた利用者は司書に対して書籍の検索を依頼する。司書は、利用者から提供された書籍情報(タイトルや著者名)が明確な場合には、閲覧端末100に表示される検索画面(
図13を参照)の該当する項目に入力する(ステップS100)。
検索画面は、図示するように「キーワード」、「タイトル」、「著者名」、「発行日」、「ページ数」、「分類タグ」といった入力項目が表示される。利用者から提供された書籍情報が 「夏目漱石」の「こころ」であった場合には、司書は著者名の項目に「夏目漱石」を入力し、タイトルの項目に「こころ」を入力する。
【0048】
次に、閲覧端末100から検索要求を送信し(ステップS101)、検索サーバ300は、受信した検索要求から該当する書籍を書籍データベース402から検索する(ステップS102)。該当する書籍があった場合には書籍情報を検索結果として送信し、該当する書籍がなかった場合には、該当する書籍がないという検索結果を送信する(ステップS103)。閲覧端末100は、検索サーバ300から受信した検索結果を表示する(ステップS104)。
【0049】
上記の検索方法は、利用者から提供される書籍情報が明確であった場合であり、利用者から提供される書籍情報が曖昧な場合は、次に説明する方法で検索する。
司書によるレファレンスサービスの流れを以下に示す。
<サービス例1>
利用者:「何かおすすめの本を知りたい」
司書:「一番好きな本はどんな本ですか」
利用者:「ハリー・ポッター」
司書:「この本のどんなところが好きかな?」
利用者:「魔法が出てくる」
【0050】
まず、サービス例1の場合の利用者と司書とのやり取りから、まず、利用者が回答した「ハリー・ポッター」というキーワードから「ハリー・ポッター」という書籍に付与される分類タグを取得する。
そこで、司書は、閲覧端末100を操作して「ハリー・ポッター」に関する書籍情報を取得する。
なお、閲覧端末100から検索サーバ300へ検索要求を送信する際に、検索要求に書籍情報の他に、書籍に付与される分類タグの情報を含める。検索サーバ300は、データベースサーバ400の書籍データベース402及び書籍分類データベース404から必要な情報を取得して、閲覧端末100に検索結果として送信する。
【0051】
閲覧端末100に送信された検索結果から書籍「ハリー・ポッター」には、例えば、第1タグに「ファンタジー」、第2タグに、「冒険」、第3タグに「魔法」といった分類タグが付与されているとする。
次に、司書は、判明した分類タグを基に利用者に提案する書籍を検索する。
図15に示すように、閲覧端末100に、上記の分類タグを入力して検索サーバ300に検索要求を送信する。検索サーバ300は、分類タグの情報を受信すると(ステップS200)、分類タグである「ファンタジー」、「冒険」、「魔法」といった分類タグを第1タグに含む書籍を書籍分類データベース404から検索する(ステップS201)。これら分類タグを第1タグに含む書籍がない場合には(ステップS201/NO)、検索サーバ300は、閲覧端末100に検索結果「0件」を送信する(ステップS204)。
【0052】
また、書籍分類データベース404に第1タグに例えば「ファンタジー」の分類タグが該当する第1の書籍群があった場合(ステップ201/YES)、次に、書籍群の中から第2タグに「冒険」又は「魔法」の分類タグを含む第2の書籍群を抽出する(ステップS202)。
【0053】
検索サーバ300は、第1タグに「ファンタジー」が設定され、第2タグに「冒険」又は「魔法」が設定された第2の書籍群を検索結果として閲覧端末100へ送信する(ステップS203)。
【0054】
司書は、閲覧端末100が受信した第2の書籍群を検索結果として提示するもしくは、第2の書籍群の中からさらに、司書自身で利用者が好きな「魔法」に関連する書籍をさらに抽出してもよい。
【0055】
<サービス例2>
利用者:「お弁当の作り方の本を探している」
司書:「どんなお弁当を作るつもりですか?」
利用者:「子供のお弁当を作るつもりです」
【0056】
次に、サービス例2の場合について説明する。
サービス例2の場合では、利用者との会話から司書が検索に必要な分類タグを推測する必要がある。
そこで、司書は、利用者との会話から分類タグに「お弁当」、「子供」が設定されていると推測し、また司書自身が例えば「レシピ」、「料理」、「簡単」といったキーワードが分類タグに設定されていると想定する。
【0057】
司書は、閲覧端末100を操作して、分類タグに該当すると思われるキーワードを入力する。ここで、「お弁当」、「子供」、「レシピ」、「料理」、「簡単」を分類タグとして閲覧端末100に入力し、検索サーバ300へこれらの分類タグを送信する。
図16に示すように、検索サーバ300は分類タグを受信すると(ステップS300)、データベースサーバ400の書籍分類データベース404から該当する分類タグが設定されている書籍を抽出する(ステップS301)。
なお、分類タグが設定されている書籍が発見されない場合(ステップS301/NO)、閲覧端末100へ発見されなかった旨の検索結果を送信する(ステップS305)。
【0058】
受信した分類タグが設定されている書籍が抽出されると(ステップS301/YES)、次に、抽出した書籍群からまず、分類タグのいずれかが第1タグに設定されている書籍を抽出して第1のリストを作成する(ステップS302)。
図17に示すように、受信した複数の分類タグのうち、「料理」というキーワードが第1タグに設定されており、この「料理」というキーワードが第1タグに設定された書籍を書籍分類データベース404から抽出することで第1のリストを作成する。
【0059】
次に、第1のリストから第2タグに「お弁当」、「子供」、「レシピ」、「簡単」のキーワードが設定されている書籍を抽出して第2のリストを作成する(ステップS303)。
図17に示すように、第2のリストには、第2タグに「お弁当」と「レシピ」というキーワードが設定された書籍が抽出されている。
さらに、第2のリストから第3タグに「子供」、「簡単」のキーワードが設定されている書籍を抽出し第3のリストを作成する(ステップS304)。
【0060】
図17に示すように、第3タグに「子供」、「簡単」のキーワードが設定されている書籍が抽出された第3のリストが作成される。そして、この第3のリストを検索サーバ300は、閲覧端末100へ送信する(ステップS305)。
【0061】
このように、利用者との会話から司書は検索に必要な分類タグとなりえるキーワードを想定し、このキーワードに該当する分類タグが設定されている書籍を検索することが可能となる。
【0062】
<サービス例3>
利用者:「おすすめの小説を教えてほしい」
司書:「好きなジャンルはありますか?」
利用者:「恋愛もの以外のおすすめの小説であればいい」
【0063】
このサービス例3の場合では、利用者が恋愛もの以外の小説を探していることから、司書は、閲覧端末100を操作して小説の書籍に設定されていると想定するキーワードを分類タグとして入力し、検索サーバ300に検索要求を送信する。
ここでは、恋愛のストーリに関連しないと考えられるキーワードを想定し、例えば、「ミステリー」、「トリック」、「犯罪」、「青春」といったキーワードを分類タグとして入力する。
なお、入力する分類タグに関連して恋愛に関係するような分類タグが紐付いている可能性があることから、検索方法として、恋愛に関係するような分類タグをNOT検索で検索結果から外すようにする。
【0064】
検索方法については、サービス例2と同様に、受信した複数の分類タグに基づいて検索サーバ300が該当する書籍をデータベースサーバ400の書籍分類データベース4040から検索を実行する。このとき上記したように、恋愛に関連する書籍の抽出を避けるために、恋愛に関係するような分類タグをNOT検索といった検索も同時に実行する。
【0065】
このように、単に特定の分類タグが設定されている書籍の検索だけではなく、特定のジャンルなどの書籍を除くような検索も可能となる。
【0066】
なお、利用者によって、例えば「人気のある書籍」や「最新の書籍」などといった要望があった場合には、作成したリストから貸出回数でさらに書籍を絞ったり、発行日から書籍を絞ったりすることも可能である。
【0067】
<案内方法について>
図18は、ナビゲーション中の表示画像の一例を示した図である。
図19は、ナビゲーション対象にまで辿り着いた場合の表示画像の一例を示した図である。
司書が閲覧端末100を操作して得られた書籍情報を利用者に伝え、利用者自身が、書籍が保管されている書棚まで行くことが一般的であるが、本実施形態においては、司書が利用者を書棚まで案内するケースで説明する。
【0068】
司書は、上記したように利用者が要望する書籍を閲覧端末100で検索し、書籍情報を取得すると、閲覧端末100からウェアラブル端末200へ書籍情報を送信する。この書籍情報には、書籍のタイトル、著者、書籍が保管されている所在地情報を含んでいる。また、司書がウェラブル端末200を装着して直接、書籍情報を音声入力することも可能である。
【0069】
このウェアラブル端末200は、上記したように記憶部209に閲覧端末100から受信した書籍情報を一時的に格納しておく。書籍情報に含まれる書籍の所在地情報をもとに司書はウェアラブル端末200を装着して利用者を書籍が置いてある書棚の場所まで案内する。
【0070】
ウェアラブル端末200が閲覧端末100から書籍情報を取得すると、画像処理部207は、書籍情報とカメラ202から取得した撮影画像データに特徴点抽出及びトラッキングを行って得た3次元情報と、ビーコン受信部206が取得した位置情報と、軸センサ205が取得した司書の視線の方位を示す方位情報とを基に、ナビゲーション画像データを生成する。
【0071】
なお、ビーコン受信部206が受信する位置情報は、図書館内に設置されている複数のビーコン送信機から送信される設置場所と関連付けられたビーコンIDであり、このビーコンIDを受信することでウェアラブル端末200の位置を確定することが可能となる。
【0072】
具体的には、画像処理部207は、ビーコン受信部206で得た図書館内のウェアラブル端末200の位置情報と案内対象の書籍の所在地情報と、方位情報を基に、司書が図書館内のどこに向かえばよいかを示す矢印などのナビゲーション画像データを生成する。
【0073】
画像処理部207は、生成したナビゲーション画像データと、カメラ202が取得した撮影画像データとを重ね合わせて表示部203に表示させるための表示画像データを生成する。
【0074】
図18及び
図19に示す画像は、ウェアラブル端末200の表示部203に表示される画像であり、
図18に示す画像500は、背景画像501に書籍情報画像502及びナビゲーション画像503を重ね合わせて生成される。書籍情報画像502は、閲覧端末100から受信したナビゲーション対象の書籍情報(タイトル・著者名・所在地)を表示するための画像である。ナビゲーション画像503は、司書が利用者をナビゲートするための画像であり、ここでは例として矢印形状を表示させている。このナビゲーション画像503に従って司書は利用者とともに移動することでナビゲーション対象の書籍に近づくことが可能となる。
【0075】
図19に示す画像は、ナビゲーション対象の書籍の所在地にたどり着いたことを示すものであり、司書にナビゲーション対象の書籍がわかりやすいように矢印形状のナビゲーション画像503を表示する。また、ナビゲーション対象の書籍の背表紙を強調表示するようなナビゲーション画像504を表示部203に表示してもよい。
【0076】
<ランキング作成について>
図20は、ICタグを利用した書籍の閲覧管理システムの構成を示した図であり、
図21は、閲覧管理システムの動作を示すフローチャートであり、
図22は、書籍状態管理データベースに格納される書籍のステータスデータを示した図である。
【0077】
次に、貸し出しされた書籍や図書館内で閲覧された書籍のランキング作成について説明する。
司書の仕事の一環として利用者に様々な書籍の貸し出しや閲覧を促すサービスがあるが、その方法の1つとして貸出回数が多かった話題の書籍や図書館内でよく閲覧される書籍を紹介するサービスがある。
そこで、サービスを実行するために貸出回数や閲覧回数に応じたランキングを作成して図書館を訪れた利用者に提供することで書籍の貸出や閲覧を促進させる。
【0078】
まず、閲覧された書籍情報の収集についてから説明する。
図書館では、貸出禁止の書籍も多数保管されており、利用者は貸出禁止の書籍を外部に持ち出すことはできず図書館内での閲覧しか許可されていない。
また、貸出が許可された書籍であっても利用者によっては、図書館内で単に閲覧する場合や、書籍の内容(借金や離婚についてなど)によっては借りにくい又は借りられない事情を有する利用者も図書館内で閲覧するだけに終わってしまう。
【0079】
そのため、貸し出された書籍については上記のような方法で貸出情報を取得することは容易であるが、図書館内で閲覧だけされる書籍の情報を収集することは困難であった。
そこで、図書館内で閲覧のみされた書籍の情報を収集するシステムについて説明する。
【0080】
このシステムでは、書棚から一定時間取り出された書籍を利用者が閲覧しているとして書籍閲覧データを収集する。
このシステムは、
図20に示すように、書棚600に収められるICタグ601が貼付された書籍602と、ICタグを読み取るICタグ読取装置603と、ICタグ読取装置603と有線又は無線で接続され、ネットワーク接続を行うためのLAN端末604と、LAN端末604と無線LAN通信を行うための無線LAN制御装置605とが図書館内に設置されており、インターネット1を介してデータベースサーバ400と情報通信を行う。
【0081】
書籍602に貼付されるICタグ601は、それぞれにユニークな識別番号となるICタグ番号が付けられている。
ICタグ読取装置603は、電磁誘導方式又は電波方式の非接触情報伝達による情報通信によってICタグ601と通信を行う。このICタグ読取装置603は、常時ICタグ601と一定の距離間で通信を行っている。距離感は採用するICタグの通信方式によるが、第2の実施形態では、ICタグ601とICタグ読取装置603との通信距離は、例えば1m程度の範囲とし、書棚から利用者が書籍を取り出したときに、通信が遮断される距離が望ましい。
【0082】
ICタグ読取装置603がICタグと通信できている間は書籍が書棚に置かれているという状態であって、逆に、ICタグ読取装置603が特定のICタグと通信が遮断された場合には、利用者が書棚から書籍が取り出された状態と判断する。
【0083】
LAN端末604は書棚ごとに設置されており、ICタグ読取装置603と有線又は無線で接続されており、読み取ったICタグ601のICタグ番号を無線LAN制御装置605へ送信する。
無線LAN制御装置605は、LAN端末604から送信されるICタグ番号を、インターネット1を介してデータベースサーバ400へ送信する。
【0084】
次に、書籍閲覧データの収集方法について説明する。
書棚600には、ICタグ601が貼付された書籍602が多数保管されており、書棚600の段ごとに設置されているICタグ読取装置603は、一定時間ごと(例えば5分おき、10分おき)にICタグを読み取る。ICタグ読取装置603は読み取ったICタグ601のICタグ番号をLAN端末604と無線LAN制御装置605を介してデータベースサーバ400へ送信する。
【0085】
データベースサーバ400は、受信したICタグ番号を書籍状態管理データベース406へ格納する。
書籍状態管理データベース406は
図22に示すように、書棚600の段ごとに保管されている書籍601をICタグ602で管理している。
つまり、書棚600ごとに書棚番号が付けられており(例として、書棚番号A10)、段ごとに保管されている書籍601に貼付されたICタグがこのデータベース406に登録されており、ICタグ番号の受信状況によって書棚600に書籍601が保管中か閲覧中かを判断することが可能である。また、利用者によって書棚600の段ごとに登録された書籍が戻されたどうかについても位置ステータスという項目で管理しており、登録された書籍が書棚に戻されたら位置ステータスが「〇」、本来異なる書棚で登録されている書籍が別の書棚に戻された場合は「×」となる。
【0086】
このように、書棚600の段ごとに保管する書籍を登録しておくことで、書籍601が正規の書棚に戻されていない場合でも容易に把握することが可能であり、図書館職員による書籍整理が簡単に行うことができる。
【0087】
そこで、書棚600(書棚番号A10)では、ICタグ読取装置603によって一定時間ごとにICタグ601の読み取りが実行されており、読み取れたICタグ601のICタグ番号をデータベースサーバ400へ送信する。書籍状態管理データベース406は、ICタグ番号を受信できた場合(ステップS300/YES)、次に、受信したICタグ番号が書棚A10に登録されているICタグ番号と一致するかを判断する(ステップS301)。すなわち、利用者によって、書籍602が正規の書棚に戻されたかを判断する。
【0088】
書籍状態管理データベース406は、受信したICタグ番号と書棚A10に登録されているICタグ番号との照合を行い、登録されたICタグ番号である場合には、書籍は正規の書棚に戻されたことを意味するため、書籍状態管理データベース406の位置ステータスを「〇」にとし、また、ステータスを「保管中」で維持する(ステップS302)。
【0089】
一方で、受信したICタグ番号が書棚A10に登録されているICタグ番号と異なる場合は(ステップS301/NO)、書籍状態管理データベース406のステータスは「保管中」とするが、位置ステータスは「×」とする。つまり、本来の書棚とは異なる書棚に書籍が保管されていることを意味する。
【0090】
ステップS300に戻り、書棚600に設置されたICタグ読取装置603によってある時間にICタグ601に読み取りを実行した際に、書籍状態管理データベース406では、受信できたICタグ番号についてのみステータスを「保管中」とし、受信できなかったICタグ番号については(ステップS300/NO)、次に、一定時間経過するまで(次の読み取り時間まで)、ステータスの変更を保留にする(ステップS303)。
【0091】
一定時間が経過して再度、同様のICタグ番号が受信できなかった場合(ステップS303/NO)、利用者が書棚600から書籍602を取り出して閲覧中であると判断し、書籍状態管理データベース406の読み取れなかったICタグ番号のステータスを「閲覧中」とする。
また、一定時間が経過して読み取れなかったICタグ番号が読み取れた場合(ステップ303/YES)、一旦、書棚600から書籍602が取り出されたが、すぐに書棚600に戻されたと判断し、上記したステップS301以降の処理を行う。
【0092】
次に、書籍の閲覧回数をカウントする方法について説明する。
上記したように、書籍602に貼付されたICタグ601の読み取りによって書籍602が書棚600に保管中もしくは利用者によって閲覧されているかを判定することができることから、次に、書籍ごとに閲覧回数を集計することで、図書館内でどのような書籍がよく閲覧されているかを把握することが可能となる。
【0093】
データベースサーバ400が有する閲覧管理データベース407は、書籍名、書籍に貼付されたICタグのICタグ番号と、を対応つけて閲覧回数データを管理している。閲覧管理データベース407は、書籍状態管理データベース406においてステータスが「閲覧中」に切り替わったICタグ番号を集計することで、書籍ごとの閲覧回数を集計する(
図10を参照)。
【0094】
このように、書籍の閲覧回数を集計することで、貸出可能な書籍及び貸出不可の書籍を問わず、図書館内でどのような書籍が閲覧されているかを可視化できることから、特に、貸出不可の書籍については、貸出履歴をデータとして取得することができないが閲覧回数の集計によって利用者が図書館内でどのような書籍を閲覧しているかを把握することが可能となる。
【0095】
<ランキング作成について>
次に、書籍の貸出回数や閲覧回数に基づくランキングの作成方法について説明する。
図23は、閲覧端末100に表示される検索画面の一例を示した図であり、
図24は、年代別における貸出ランキングを示した図であり、
図25は、性別における貸出ランキングを示した図であり、
図26は、ジャンル別における貸出ランキングを示した図であり、
図27は、閲覧回数における貸出ランキングを示した図であり、
図28は、閲覧回数(館内のみ閲覧可能な書籍)における閲覧ランキングを示した図である。
【0096】
まず、司書は、閲覧端末100に表示される検索画面(
図23を参照)から該当する項目にキーワードを入力する。
閲覧端末100に表示される検索画面は
図23に示すように、「タイトル」、「著者名」、分類タグ(第1タグ・第2タグ・第3タグ・・・)といった項目ごとに入力する箇所と、「貸出履歴で検索する」、「閲覧履歴で検索する」、「両方の履歴で検索する」といった条件のほかに、「性別」や「年代」、「検索する期間(1週間、1ヶ月、半年、年間)」といったチェックできるチェックボックスが表示されている。
キーワード及びチェックについては、1つの項目だけに入力してもよく、また複数の項目に入力してもよい。例えば、タイトルに「図鑑」、分類タグの第1タグに「植物」と入力してもよく、「閲覧履歴で検索する」と「年代」にチェックしてもよい。
【0097】
閲覧端末100で入力されたキーワードや条件に基づき検索サーバ300は、データベースサーバ400の貸出履歴データベース405もしくは閲覧管理データベース407から該当するデータを取得する。
例えば、図示しないがタイトルの項目にキーワードが入力された場合、キーワードを含む書籍の貸出回数に基づきランキングを作成し、著者名の項目に著者名が入力された場合には、著者名の書籍の貸出回数に基づくランキングを作成する。
【0098】
次に、検索サーバ300は、貸出履歴データから年代別のランキングを作成する場合、貸出履歴データから年代ごとに貸出回数が多い書籍を抽出して所定の順位までのランキングを作成する。
図24に示す一例では10代、20代、30代の各年代における貸出回数が多い書籍のランキングを作成することができる。
【0099】
性別における貸出ランキングの場合、取得した貸出履歴データを基に例として、
図25に示すような男女別(性別が不明な場合は性別不明別でもよい)における貸出回数が多い書籍を抽出して所定の順位までのランキングを作成する。
【0100】
ジャンル別においては、取得した貸出履歴データを基に例として、
図26に示すようにジャンル別における貸出回数が多い書籍を抽出して所定の順位までのランキングを作成する。
ジャンル別では、貸出履歴データに含まれる分類タグに基づいてジャンル分けを行う。
図26に示すように、一例として、第1タグである「ファンタジー」に関連する書籍のランキングであったり、第2タグである「レシピ」に関連する書籍のランキングであったり、第3タグである「トリック」に関連する書籍のランキングであったりする。
なお、ジャンル別のランキングでは、分類タグに基づいてランキングを作成するが、どの分類タグを利用するかは司書の判断に委ねられる。
【0101】
次に、閲覧回数に基づくランキングを作成する場合、検索サーバ300は、データベースサーバ400が有する閲覧管理データベース407に格納された閲覧回数データを取得し、閲覧回数が多い順に並べ替えて閲覧回数が多い書籍ランキングを作成する(
図27)
【0102】
閲覧回数に基づくランキングを作成するにあたって、例えば、閲覧回数と分類タグとを組み合わせて、閲覧回数が多い書籍の中から共通する分類タグを抽出することで分類タグと閲覧回数とを組み合わせたランキングを作成することが可能となる。
【0103】
また、館内のみでの閲覧可能な書籍の閲覧回数に基づくランキングを作成することも可能である(
図28)。
検索サーバ300は、まず、データベースサーバ400の閲覧管理データベース407に格納されている閲覧回数データから閲覧回数が多い(例えば10回以上)書籍を抽出する。次に、抽出された閲覧回数が多い書籍を書籍データベース402に格納されている書籍データと照合して貸出可能となっている書籍を除外する。
【0104】
これにより、館内のみでの閲覧可能な書籍のうち閲覧回数が多い書籍群のみを抽出することが可能であり、抽出した書籍群から例えば、分類タグごとに書籍を再抽出することも可能である。
【0105】
以上のことから、本実施形態によれば図書館内の書籍ごとに、書籍のカテゴリーや内容から想定されるキーワードをタグ情報として付与することで、利用者から提供される情報に一致しやすくなるため、熟練の司書でなくても書籍の検索を容易に行うことが可能である。
【0106】
タグ情報に基づいて書籍を検索することで、利用者が求める書籍のほかに、この書籍に関連する様々な書籍についても情報として提供することができることから、利用者に対してより多くの書籍の情報を提供することが可能となる。
【0107】
また、従来では貸出処理でのみしか利用者がどのような書籍に興味があるかを把握することができなかったが、図書館内でどのような書籍が閲覧されているかも把握することができることから、利用者が興味ある書籍をより深く知ることができ、利用者の期待に対してより多くの書籍を揃えることが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 インターネット
100 閲覧端末
200 ウェアラブル端末
201、301 制御部
202 カメラ
203 表示部
204 音声入出力部
205 軸センサ
206 GPS
207 画像処理部
208 無線通信部
209 記憶部
300 検索サーバ
302 表示部
303 操作部
304 記憶部
305 通信部
400 データベースサーバ
401 図書館情報データベース
402 書籍データベース
403 分類タグデータベース
404 書籍分類データベース
405 貸出履歴データベース
406 書籍状態管理データベース
407 閲覧管理データベース
408 利用者情報データベース
409 書籍ステータスデータベース