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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098154
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】卓上切断機
(51)【国際特許分類】
   B27B 5/20 20060101AFI20230703BHJP
   B27G 19/02 20060101ALI20230703BHJP
   B23D 45/04 20060101ALI20230703BHJP
   B23D 47/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B27B5/20 B
B27G19/02 B
B23D45/04 B
B23D47/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214732
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸則
(72)【発明者】
【氏名】可児 利之
(72)【発明者】
【氏名】姚 鏑
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040BB01
3C040BB11
3C040GG00
(57)【要約】
【課題】夜間や暗所において被削材の切断位置を安定よく明るくする照明装置を備える卓上切断工具を提供する。
【解決手段】卓上切断機1は、被削材が載置されるターンテーブル30を具備するベース20と、ベース20に上下方向に移動可能に支持さる本体ハウジング4とを有する。本体ハウジング4には電動モータが収容されている。電動モータによって回転される刃具8の一部を覆う固定カバー5が本体ハウジング4に固定されている。ターンテーブル30に向けて光を発する照明本体3が照明基台2に保持される。照明基台2は、第1端(第1連結部2g)が本体ハウジング4に連結されかつ第2端(第2連結部2h)が固定カバー5に連結される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上切断機であって、
被削材が載置されるテーブルを具備するベースと、
前記ベースに上下方向に移動可能に支持さる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに収容される電動モータと、
前記電動モータによって回転される刃具の一部を覆いかつ前記本体ハウジングに固定される固定カバーと、
前記テーブルに向けて光を発する照明本体と、
前記照明本体を保持しかつ第1端が前記本体ハウジングに連結されかつ第2端が前記固定カバーに連結される照明基台を有する卓上切断機。
【請求項2】
請求項1に記載の卓上切断機であって、
前記照明基台は、前記固定カバーの前記本体ハウジングの反対側の側面に連結され、
前記照明本体は、前記刃具の回転軸方向から見て前記刃具の領域内に位置しかつ前記本体ハウジングが前記ベースに対する下限位置に位置する際に前記刃具の回転中心より上方に位置する卓上切断機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の卓上切断機であって、
前記固定カバーは、金属製であり、
前記本体ハウジングは、合成樹脂製であり、
前記照明基台は、合成樹脂製で、かつ屈曲部を備える長尺状であり、
前記照明基台内に前記本体ハウジングと前記照明本体を電気的に接続するリード線が配設されている卓上切断機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の卓上切断機であって、
前記照明基台の前記第1端は、前記本体ハウジングに着脱可能であり、
前記照明基台の前記第2端は、前記固定カバーに着脱可能である卓上切断機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の卓上切断機であって、
前記照明基台は、前記卓上切断機の持ち運び用の把持部を備える卓上切断機。
【請求項6】
請求項5に記載の卓上切断機であって、
前記照明本体は、前記把持部の下方に位置する卓上切断機。
【請求項7】
請求項5または6に記載の卓上切断機であって、
前記ベースは、前記本体ハウジングを前後方向に移動可能に支持するスライドバーを有し、
前記スライドバーと前記電動モータが前記刃具の第1側に位置し、
前記刃具の前記第1側の反対の第2側に前記把持部と前記照明本体が位置する卓上切断機。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の卓上切断機であって、
前記照明基台は、厚み方向に2分割された分割構造であり、
前記照明本体は、前記分割構造を構成する2つの分割基台の間に挟まれている卓上切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル上に載置した被削材を切断加工する卓上切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、卓上切断機に照明装置を備えることで、夜間や暗所においても被削材の切断位置を視認できるようにしている。例えば特許文献1には、可撓性の有るフレキシブル支柱を機器本体から延ばし、その先端に光源を取り付けた卓上切断機が記載されている。フレキシブル支柱は、任意の方向に折り曲げることができる。そのため、作業者は、光源を任意の位置にて保持することができる。しかし、可撓性が有るがために、切断時においてフレキシブル支柱が揺れる。その結果、光源が安定して被削材を照射せず、被削材の切断位置の視認性が悪くなることがあった。
【0003】
特許文献2には、工具本体部を上下に揺動可能に支持する揺動支持部に照明装置を設けた卓上切断機が記載されている。揺動支持部は、被削材の切断位置に比較的近く、フレキシブル支柱のように揺れることもない。そのため、光源を安定して被削材に照射することはできる。しかし、揺動支持部が被削材の真上に位置することはなく、光源が被削材に対して斜めに照射するので、被削材に上面に描かれた墨線を照らすための光としては不十分な光量であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-154074号公報
【特許文献2】特開2015-123543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
夜間や暗所において被削材の切断位置を安定よく明るくする照明装置を備える卓上切断工具が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、卓上切断機は、被削材が載置されるテーブルを具備するベースと、ベースに上下方向に移動可能に支持さる本体ハウジングとを有する。本体ハウジングには電動モータが収容されている。電動モータによって回転される刃具の一部を覆う固定カバーが本体ハウジングに固定されている。テーブルに向けて光を発する照明本体が照明基台に保持される。照明基台は、第1端が本体ハウジングに連結されかつ第2端が固定カバーに連結される。
【0007】
したがって切断時に振動の比較的少ない本体ハウジングと固定カバーに対して照明基台が連結される。その照明基台に照明本体が保持される。そのため切断時においても振動が少ない状態で安定して被削材の切断位置を明るくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】卓上切断機の斜視図である。
図2】卓上切断機の右側面図である。
図3】切断本体部が下限位置にある卓上切断機の平面図である。
図4】切断本体部が下限位置にある卓上切断機の左側面図である。
図5】照明基台と照明本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の他の特徴によると、照明基台は、固定カバーの本体ハウジングの反対側の側面に連結される。照明本体は、刃具の回転軸方向から見て刃具の領域内に位置しかつ本体ハウジングがベースに対する下限位置に位置する際に刃具の回転中心より上方に位置する。通常、使用者は、刃具を見る際、本体ハウジングの反対側から刃具を見る。そのため照明本体は、使用者の見る方向と近い方向から刃具に向けて光を照射する。しかも固定カバーは、比較的被削材の切断位置に近いため、照明本体も被削材の切断位置に近接させることができる。これにより被削材の切断位置の近くからかつ好適な方向から光を照射することが可能となる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、固定カバーは、金属製である。本体ハウジングは、合成樹脂製である。照明基台は、合成樹脂製で、かつ屈曲部を備える長尺状である。照明基台内に本体ハウジングと照明本体を電気的に接続するリード線が配設されている。したがって固定カバーは、剛性が高い金属製であるため、比較的振動が少ない。その固定カバーに照明基台が連結されるため、照明本体は、振動が少ない状態で安定して被削材の切断位置に光を照射できる。本体ハウジングおよび照明基台は、合成樹脂製であり絶縁性が高い。本体ハウジングには電動モータが収容され、照明基台には照明本体が保持される。そのため、電源から離れた位置の金属製の部品上に照明装置がある場合でも、電気経路の絶縁性をより高くすることができる。
【0011】
本開示の他の特徴によると、照明基台の第1端は、本体ハウジングに着脱可能である。照明基台の第2端は、固定カバーに着脱可能である。したがって照明基台と照明本体がユニット化され、交換やメンテナンス等が容易となり、修理性を向上させることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると、照明基台は、卓上切断機の持ち運び用の把持部を備える。したがって照明基台は、照明本体の保持部としての機能と、卓上切断機を持ち運ぶ際の持ち手としての2つの機能を有する。そのため、卓上切断機の構造がシンプルになる。
【0013】
本開示の他の特徴によると、照明本体は、把持部の下方に位置する。したがって照明本体は、仮に把持部に手を置いた状態であっても把持部に邪魔されることなく被削材の切断位置に光を照射できる。しかも照明本体は、比較的低い位置に位置する。そのため少ない光量で被削材の切断位置を明るくできる。
【0014】
本開示の他の特徴によると、ベースは、本体ハウジングを前後方向に移動可能に支持するスライドバーを有する。スライドバーと電動モータが刃具の第1側に位置する。刃具の第1側の反対の第2側に把持部と照明本体が位置する。したがって把持部と照明本体は、スライドバーと電動モータが配置されない比較的広いスペースを利用して設けられる。そのため把持部を好適な形状にすることで、卓上切断機を好適な姿勢で運ぶことができる。照明本体は、電動モータ等に邪魔されずに、被削材の切断位置に光を照射できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると、照明基台は、厚み方向に2分割された分割構造である。照明本体は、分割構造を構成する2つの分割基台の間に挟まれている。したがって照明本体は、2つの分割基台によって安定良く保持される。あるいは照明本体は、照明基台に取り付ける専用のネジなどを省略して照明基台に取付けられる。
【0016】
本開示の実施例を図1~5に基づいて説明する。図1~4における上下、左右、前後の方向は、作業者の前に卓上切断機1を置いた場合を基準としている。
【0017】
本実施例で示されるスライドマルノコは、卓上切断機の一例である。図1、2に示すように卓上切断機1は、切断本体部1aと、切断本体部1aを支持する支持本体1bを有する。支持本体1bは、接地されるベース20と、ベース20に回転可能に支持されるターンテーブル30を有する。ベース20は、被削材が載置される左右台21を左右両側に有する。
【0018】
図1に示すようにターンテーブル30は、ベース20の中央に位置する。ターンテーブル30は、左右台21の上面22と面一の上面31を有する。ターンテーブル30は、円盤状で上下方向に延びる回転支軸(図示せず)を介してベース20に対して水平面上で回転する。ターンテーブル30を回転させると、刃具8も一体で回転する。ベース20の左右台21にガイドフェンス40が固定されている。ガイドフェンス40は、ターンテーブル30の上面31と直交する押さえ面41を有する。ガイドフェンス40の押さえ面41に被削材の木口などを当接させて被削材を切断加工する。
【0019】
図1に示すようにターンテーブル30は、前方に延出するテーブル延長部35を有している。ターンテーブル30には、テーブル延長部35の端部まで前後方向に延出する刃口32が設けられている。刃口32は、溝であって刃具8が挿入されることを許容する。テーブル延長部35の前端部には角度固定用グリップ60が設けられる。グリップ60を回転させることで図示省略のロック機構によってターンテーブル30を所定の回転角度で解除可能にロックする。ターンテーブル30の円筒外表面にポインタ33が設けられる。ポインタ33は、ベース20に固定されたスケールプレート36上の角度目盛を指す。この角度は、ガイドフェンス40の押さえ面41に対する刃具8の角度を表す。ターンテーブル30を左右のいずれかに回転させることによって、刃具8をガイドフェンス40の押さえ面41に対して斜めの姿勢にすることができる。この姿勢で被削材を切断することを、斜め切り(英語名:miter cut)と呼んでいる。
【0020】
図1に示すようにターンテーブル30の後部には、支持アーム45が接続される接続部34が設けられている。接続部34は、円錐台形状で、中心に支持アーム45を傾動支持する左右傾動支軸37が前後方向に延びる姿勢で挿入されている。接続部34の後部の周縁が支持アーム45と接触している。接続部34の周面には、角度目盛54が設けられている。この角度は、ターンテーブル30の上面31に対する刃具8の角度を表す。支持アーム45を左右のいずれかに回転させることによって、刃具8をターンテーブル30の上面31に対して傾斜した姿勢にすることができる。この姿勢で被削材を切断することを、傾斜切り(英語名:bevel cut)と呼んでいる。接続部34の内部には、支持アーム45の傾斜を規制する傾動ストッパ等が設けられている。
【0021】
図1、2に示すように支持アーム45の下端部が接続部34に対し、左右傾動支軸37を介して回転可能に接続されている。支持アーム45を回転させると、刃具8も一体で回転する。支持アーム45の下端部が傾動ストッパによって接続部34に押し付けられることで回転が規制される。テーブル延長部35の端部に設けられた傾斜固定用グリップ61を回転させることで傾動ストッパを解除できる。支持アーム45の上端には、スライド機構1cが設けられる。
【0022】
図1、2に示すようにスライド機構1cは、切断本体部1aを前後にスライド操作可能に支持するスライドバー50(第1バー51及び第2バー52)と、スライドバー50に移動可能に装着されるスライドベース55を有する。バー51、52は、上下方向に並設され、前後方向に延出する。バー51、52の後端が支持アーム45の上端の挿入部46、47に支持される。バー51、52には、スライドベース55が移動可能に装着される。スライドベース55には、バー51、52が挿通される貫通穴56、57が形成されている。スライドベース55の前方向への抜け止めとなる抜止部53がバー51、52の前端に装着される。スライドベース55の上側右側面にノブ59が設けられる。ノブ59を締付け方向に回転させることによって、スライドベース55のスライドバー50に対するスライド動作を固定することができる。スライドベース55の下部に支持軸5aが設けられる。支持軸5aは、左右方向に延出し、切断本体部1aを上下方向に揺動可能に支持する。
【0023】
図1に示すように切断本体部1aは、合成樹脂製の本体ハウジング4と金属製の固定カバー5を有する。図2、3に示すように本体ハウジング4は、切断本体部1aにおいて最も右側に配置されている。本体ハウジング4の前後方向の略中央には、電動モータ9を収容するモータハウジング4aが形成されている。電動モータ9のモータ回転軸は、ベベルギヤ、減速ギヤを介して出力回転軸8aに連結されている。出力回転軸8aに円盤状の刃具8が着脱可能に装着される。刃具8は、チップソー(英語名:tipped saw blade)と称される丸鋸刃である。
【0024】
図2に示すようにモータハウジング4aの後端側にバッテリ着脱部4bが設けられる。モータハウジング4aの前端側にループ形状のハンドル部4cが形成されている。バッテリ着脱部4bにバッテリ7が取外し可能に着脱される。ハンドル部4cの内周側にトリガ13が設けられている。トリガ13を押すことで、メインスイッチ12がオンになり、コントローラ16がバッテリ7からの電力を電動モータ9に出力する。電動モータ9の出力で出力回転軸8aが回転する。出力回転軸8aは、切断本体部1aのほぼ中央に位置する。作業者がハンドル部4cを把持しつつ本体ハウジング4を下方に移動させる。図4に示すように刃具8の刃先がターンテーブル30の刃口32に進入する。モータハウジング4a、バッテリ着脱部4b、ハンドル部4cは、いずれも合成樹脂製である。具体的には、ポリアミド製である。
【0025】
図1に示すように固定カバー5は、切断本体部1aにおいて左側に配置され、刃具8の上側略半分を囲む。固定カバー5の下後部は、支持軸5aによってスライドバー50に対して上下方向に回転可能に接続される。支持軸5aの外周には固定カバー5を上方に付勢する図示省略のスプリングが設けられている。固定カバー5は、下限位置においてロックピン58によってスライドベース55に対して維持される。図1、2に示すように固定カバー5には、刃具8の下側略半分を覆う可動カバー10が装着される。可動カバー10は取付軸11を介して回動可能に設けられている。切断本体部1aを下方に移動させると、図示省略のリンク機構によって可動カバー10が固定カバー5の外周縁に沿って回転し、切断時に刃具8の下部を露出する。
【0026】
図1、2に示すように切断本体部1aには、夜間や暗所においても被削材の切断位置およびその周辺を視認できるようにするライト90が設けられる。ライト90は、可撓性を有する長尺状の支柱92を有する。支柱92の基端部93は、本体ハウジング4の右側部、例えばハンドル部4cの上後部に取り付けられる。支柱92の先端部には、光を発する照明部91が装着される。支柱92を変形させて、照明部91の光照射位置を任意に設定する。ハンドル部4cに設けられたライトスイッチ15を操作することで、ライト90から光を発する。
【0027】
図4に示すように卓上切断機1は、照明装置6も備える。照明装置6は、切断本体部1aに装着される照明基台2(第1起立部2a、把持部2b、アプローチ部2c、ブリッジ部2d、保持部2e、第2起立部2f、第1連結部2g、第2連結部2hなどで構成される)と、照明基台2に保持される照明本体3を有する。図5に示すように照明本体3は、LED3bが下面に実装された基盤3aを有する。基盤3aにおけるLED3bの実装面には、照明カバー3cが取り付けられる。LED3bは、照明カバー3cの底面を形成する光を透過する透過板3dを通して光を下方に発する(図4参照)。基盤3aにはリード線3eによって電力が供給される。リード線3eは、照明基台2の内側を通って本体ハウジング4の内部に配索されたバッテリ7からのリード線と電気的に接続される。
【0028】
図5に示すように照明装置6は、ボルト2i、2jを外すことで切断本体部1aから取り外すことができる。照明基台2は、厚み方向に本体部2xとカバー部2yに分割される。本体部2xとカバー部2yは、例えばねじによって分解でき、本体部2x側に複数のねじ穴、カバー部2y側に複数のねじ穴に対応する貫通穴がそれぞれ設けられる。
【0029】
図4に示すように照明基台2の一端部の第1連結部2gは、円筒形状で、ボルト2iの挿入穴を有する。照明基台2の他端の第2連結部2hも円筒形状で、ボルト2jの挿入穴を有する。第1連結部2gは、本体ハウジング4の左側面にボルト2iによって締結される。第1連結部2gから第1起立部2aが上方向に延出している。第1起立部2aは、本体ハウジング4の左側面に沿って延びている。
【0030】
図4に示すように第2連結部2hは、第1連結部2gのほぼ真下に位置し、固定カバー5の左側面にボルト2jによって締結される。第2連結部2hから第2起立部2fが上方向に延出している。第2起立部2fは、固定カバー5の左側面に沿って延びている。照明基台2は、第1起立部2aから第2起立部2fまでの間に屈曲部(2b、2c、2d)を有している。屈曲部の1つである把持部2bは、第1起立部2aから延出する。
【0031】
図3、4に示すように把持部2bは、第1起立部2aの上端から前方に延び、前方に向かうほど本体ハウジング4の左側面から離れる。把持部2bの前端は、可動カバー10の左側面よりもさらに左側に位置する。把持部2bは、前後方向における中央部が最も太くなるように例えば下方に突出している。把持部2bは、卓上切断機1の持ち運びの際に、作業者に把持される。卓上切断機1を持ち運ぶ際は、ロックピン58によって切断本体部1aを下限位置でロックする。この時、把持部2bはターンテーブル30の上面31と略平行に保たれる。したがって例えば右手で把持部2bをにぎって持ち上げ、卓上切断機1を好適な姿勢で運ぶことができる。卓上切断機1を持ち運ぶ際は、ノブ59によって切断本体部1aのスライド動作を固定する。これによって、卓上切断機1を安定的に運ぶことができる。把持部2bから屈曲部の1つであるアプローチ部2cが延出する。
【0032】
図4に示すようにアプローチ部2cは、把持部2bの前端から下方に延出し、下方に向かうほど刃具8へ近付く。把持部2bの前端が可動カバー10の左側面よりもさらに左側に位置するため、アプローチ部2cと可動カバー10が干渉することを避けることができる。アプローチ部2cからブリッジ2d(照明挟持部)が延出する。
【0033】
図4に示すようにブリッジ2dは、アプローチ部2cの下端から後方かつ下方に延びる。ブリッジ2dは、湾曲状で、上方に膨らむ。ブリッジ2dの下端が第2起立部2fの上端と繋がる。ブリッジ2dは、把持部2bのほぼ真下に位置し、刃具8の中心の真上に位置する。ブリッジ2dは、略中央、あるいは後側において下方に突出する保持部2eを有する。保持部2eは、矩形状であり、下端縁は、切断時において常に下方を向き、図4の状態において略水平に位置する。ブリッジ2dの保持部2eに照明本体3が保持される。照明本体3は、刃具8の回転軸方向から見て刃具8の領域内に位置し、かつ、切断本体部1aが下限位置に位置する際に刃具8の出力回転軸8aより上方に位置する。
【0034】
図4に示すように照明本体3は、切断本体部1aが下限位置に位置する際、テーブル延長部35の上面22を照らす。したがって、テーブル延長部35に載置された被削材は、切断加工時において常に、保持部2eに保持された照明本体3によって、真上から安定的に照射される。
【0035】
以上のように卓上切断機1は、図1、2に示すように被削材が載置されるターンテーブル30を具備するベース20と、ベース20に上下方向に移動可能に支持さる本体ハウジング4とを有する。本体ハウジング4には電動モータ9が収容されている。電動モータ9によって回転される刃具8の一部を覆う固定カバー5が本体ハウジング4に固定されている。ターンテーブル30に向けて光を発する照明本体3が照明基台2に保持される。照明基台2は、第1端が本体ハウジング4に連結されかつ第2端が固定カバー5に連結される。
【0036】
したがって切断時に振動の比較的少ない本体ハウジング4と固定カバー5に対して照明基台2が連結される。その照明基台2に照明本体3が保持される。そのため切断時においても振動が少ない状態で安定して被削材の切断位置を明るくすることができる。
【0037】
図4に示すように照明基台2は、固定カバー5の本体ハウジング4の反対側の側面に連結される。照明本体3は、刃具8の回転軸方向から見て刃具8の領域内に位置しかつ本体ハウジング4がベース20に対する下限位置に位置する際に刃具8の回転中心より上方に位置する。通常、使用者は、刃具8を見る際、本体ハウジング4の反対側から刃具8を見る。そのため照明本体3は、使用者の見る方向と近い方向から刃具8に向けて光を照射する。しかも固定カバー5は、比較的被削材の切断位置に近いため、照明本体3も被削材の切断位置に近接させることができる。これにより被削材の切断位置の近くからかつ好適な方向から光を照射することが可能となる。
【0038】
図1に示すように固定カバー5は、金属製である。具体的には、アルミダイキャスト製である。本体ハウジング4は、合成樹脂製である。具体的には、ポリアミド製である。照明基台2は、合成樹脂製で、かつ屈曲部を備える長尺状である。図5に示すように照明基台2内に本体ハウジング4と照明本体3を電気的に接続するリード線3eが配設されている。具体的には、バッテリ着脱部4bの左側側面と第1起立部2aの右側側面に貫通孔を設け、両貫通孔にリード線3eを通す。その位置から把持部2b、アプローチ部2c、ブリッジ部2dの順にリード線3eを延在させ、保持部2eの位置で基板3aに連結させる。したがって固定カバー5は、剛性が高い金属製であるため、比較的振動が少ない。その固定カバー5に照明基台2が連結されるため、照明本体3は、振動が少ない状態で安定して被削材の切断位置に光を照射できる。本体ハウジング4および照明基台2は、合成樹脂製であり絶縁性が比較的高い。したがって、固定カバー5の反モータ側側面のように電源から離れた位置の金属製の部品上に照明装置がある場合でも、電気経路の絶縁性をより高くすることができる。また、合成樹脂は形状自由度が高い。本体ハウジング4には電動モータ9が収容され、照明基台2には照明本体3が保持される。そのため、本体ハウジング4と照明基台2は、電気機器を好適な形状で保持できるとともに、これらの間に跨って延出するリード線3eに適した形状にもできる。さらに照明本体3を好適な位置にするように照明基台2の形状も容易に選択できる。
【0039】
図4、5に示すように照明基台2の第1端(第1連結部2g)は、本体ハウジング4に着脱可能である。照明基台2の第2端(第2連結部2h)は、固定カバー5に着脱可能である。したがって照明基台2と照明本体3がユニット化され、交換やメンテナンス等が容易となり、修理性を向上させることができる。
【0040】
図4に示すように照明基台2は、卓上切断機1の持ち運び用の把持部2bを備える。したがって照明基台2は、照明本体3の保持部としての機能と、卓上切断機1を持ち運ぶ際の持ち手としての2つの機能を有する。そのため、卓上切断機1の構造がシンプルになる。
【0041】
図4に示すように照明本体3は、把持部2bの下方に位置する。したがって照明本体3は、仮に把持部2bに手を置いた状態であっても把持部2bに邪魔されることなく被削材の切断位置に光を照射できる。しかも照明本体3は、比較的低い位置に位置する。そのため少ない光量で被削材の切断位置を明るくできる。
【0042】
図3、4に示すようにベース20は、本体ハウジング4を前後方向に移動可能に支持するスライドバー50を有する。スライドバー50と電動モータ9が刃具8の第1側に位置する。刃具8の第1側の反対の第2側に把持部2bと照明本体3が位置する。したがって把持部2bと照明本体3は、スライドバー50と電動モータ9が配置されない比較的広いスペースを利用して設けられる。そのため把持部2bを好適な形状にすることで、卓上切断機1を好適な姿勢で運ぶことができる。照明本体3は、電動モータ9等に邪魔されずに、被削材の切断位置に光を照射できる。
【0043】
図5に示すように照明基台2は、厚み方向に2分割された分割構造である。照明本体3は、分割構造を構成する2つの分割基台の間に挟まれている。したがって照明本体3は、2つの分割基台によって安定良く保持される。あるいは照明本体3は、照明基台2に取り付ける専用のネジなどを省略して照明基台2に取付けられる。
【0044】
上述する形態に代えて、下記の形態であっても良い。切断本体部1aには、ライト90を設けなくともよい。
【0045】
図4に示すように照明本体3は、刃具8の回転軸方向から見て刃具8の領域内に位置する。これに代えて、アプローチ部2cを短く形成するとともに第2起立部2fを長く形成して、照明本体3を全体的に上方にずらし、刃具8の領域から外れるように位置させてもよい。
【0046】
図5に示すようにリード線3eは、照明基台2の内側を通っている。これに代えて、例えば照明基台2の外面を沿わせて本体ハウジング4の内部に配索されたバッテリ7からのリード線と電気的に接続するようにしてもよい。
【0047】
図5に示すように照明装置6は、切断本体部1aから取り外し可能である。これに代えて、照明装置6は、切断本体部1aと一体であって、切断本体部1aから取り外しできないものであってもよい。
【0048】
図5に示すように把持部2bは、卓上切断機1を持ち運ぶための持ち手の機能を有するものとして照明基台2に形成されているが、単に第1起立部2aからアプローチ部2cへと繋がる屈曲部の一部として形成されるものであってもよい。
【0049】
図5に示すように照明基台2は、厚み方向に2分割された分割構造である。これに代えて、照明基台2を1つの部材としてもよい。その場合、照明本体3は、照明基台2に挟まれて取り付けられるのではなく、照明基台2の外面に固定されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 卓上切断機
1a 切断本体部
1b 支持本体
1c スライド機構
2(6) 照明基台
2a 第1起立部
2b 把持部
2c アプローチ部
2d ブリッジ部(照明挟持部)
2e 保持部
2f 第2起立部
2g 第1連結部
2h 第2連結部
2i ボルト
2j ボルト
2x 本体部
2y カバー部
3(6) 照明本体
3a 基盤
3b LED
3c 照明カバー
3d 透過板
3e リード線
4 本体ハウジング
4a モータハウジング
4b バッテリ着脱部
4c ハンドル部
5 固定カバー
5a 支持軸
6 照明装置
7 バッテリ
8 刃具
8a 出力回転軸
9 電動モータ
10 可動カバー
11 取付軸
12 メインスイッチ
13 トリガ
14 レーザースイッチ
15 ライトスイッチ
16 コントローラ
20 ベース
21 左右台
22 上面
30 ターンテーブル
31 上面
32 刃口
33 ポインタ
34 接続部
35 テーブル延長部
36 スケールプレート
37 左右傾動支軸
40 ガイドフェンス
41 押さえ面
45 支持アーム
46、47 挿入部
50 スライドバー
51 第1バー
52 第2バー
53 抜止部
54 角度目盛
55 スライドベース
56、57 貫通穴
58 ロックピン
59 ノブ
60 角度固定用グリップ
61 傾斜固定用グリップ
90 ライト
91 照明部
92 支柱
93 基端部
図1
図2
図3
図4
図5