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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098159
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】頭部装着具
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/36 20060101AFI20230703BHJP
   A45D 44/12 20060101ALI20230703BHJP
   A42B 1/041 20210101ALI20230703BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230703BHJP
   A62B 17/04 20060101ALI20230703BHJP
   A45D 8/40 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A45D8/36 Z
A45D44/12 C
A45D8/36 A
A45D8/36 B
A45D8/36 C
A42B1/041
A41D13/11 G
A62B17/04 Z
A45D8/40 501B
A41D13/11 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214743
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】上村 麻耶
(72)【発明者】
【氏名】亀井 美予子
(72)【発明者】
【氏名】地田 麻未
(72)【発明者】
【氏名】後藤 美帆
(72)【発明者】
【氏名】山中 紀代
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA05
2E185AA07
2E185CC58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】頭部装着安定性及び顔面装着快適性が良好であり、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を兼備えた頭部装着具を提供する。
【解決手段】着用者の後頭部に装着される後頭部装着部材2、後頭部装着部材2の上部に連結された第1装着部材10及び下部に連結された第2装着部材20を含み、第1装着部材10は左右方向両端部が後頭部装着部材2の上部の左右方向両端部と連結され、後頭部装着部材2と共に環状構造を形成し、第2装着部材20は左右方向両端部が後頭部装着部材2の下部の左右方向両端部と連結され、後頭部装着部材2と共に環状構造を形成し、後頭部装着部材2、第1装着部材10及び第2装着部材20は伸縮性生地で構成され、第1装着部材10と後頭部装着部材2の上部連結部30は第2装着部材20と後頭部装着部材2の下部連結部40の一部と重なり、第2装着部材20は上下方向に折畳まれているタック又はプリーツを有する頭部装着具1に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の後頭部に装着される後頭部装着部材、前記後頭部装着部材の上部に連結された第1装着部材、及び前記後頭部装着部材の下部に連結された第2装着部材を含み、
前記第1装着部材は、左右方向の両端部のそれぞれが前記後頭部装着部材の上部の左右方向の両端部のそれぞれと連結され、前記後頭部装着部材とともに環状構造を形成し、
前記第2装着部材は、左右方向の両端部のそれぞれが前記後頭部装着部材の下部の左右方向の両端部のそれぞれと連結され、前記後頭部装着部材とともに環状構造を形成し、
前記後頭部装着部材、前記第1装着部材及び前記第2装着部材は、伸縮性生地で構成されており、
前記第1装着部材と前記後頭部装着部材の上部連結部は、前記第2装着部材と前記後頭部装着部材の下部連結部の一部と重なっており、
前記第2装着部材は、上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有する、頭部装着具。
【請求項2】
前記後頭部装着部材は、逆等脚台形の形状を有する、請求項1に記載の頭部装着具。
【請求項3】
前記第2装着部材は、上下方向に折り畳まれているタックを有し、前記タックは、前記後頭部装着部材の上端を基準に、インタック及びアウトタックが混在した形状を有する、請求項1又は2に記載の頭部装着具。
【請求項4】
前記第1装着部材は、上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有する、請求項1~3のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項5】
前記第2装着部材は、上下方向のサイズが中央部から両端部に向かって小さくなっている、請求項1~4のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項6】
前記第2装着部材は、周方向のサイズが端部から中央部に向かって大きくなっている、請求項1~5のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項7】
前記第1装着部材及び前記第2装着部材の上下方向の両端部は、内側に折り返されている、請求項1~6のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項8】
前記第2装着部材は、少なくとも口を覆うように装着され、前記第1装着部材は、少なくとも前頭部及び頭頂部からなる群から選ばれる一部の頭部を覆うように装着される、請求項1~7のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項9】
前記第2装着部材は、鼻から顎までを覆うように装着される、請求項1~8のいずれかに記載の頭部装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を兼備えた頭部装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に装着されるターバンは、髪を纏めるものとして好適に用いられている。例えば、特許文献1には、入浴時や洗顔時の髪の濡れを防止する目的や洗髪後の自然乾燥等にターバンを用いることが提案されている。また、プールにおける水中ウォーキング時も髪の濡れや髪の垂れを防止するためにターバンを用いることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-155537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、プール等の公共の場では、口からの飛沫拡散の防止が必要な場合がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、頭部における装着安定性が良好であり、顔面装着時の装着快適性も良好であり、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を兼備えた頭部装着具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の後頭部に装着される後頭部装着部材、前記後頭部装着部材の上部に連結された第1装着部材、及び前記後頭部装着部材の下部に連結された第2装着部材を含み、前記第1装着部材は、左右方向の両端部のそれぞれが前記後頭部装着部材の上部の左右方向の両端部のそれぞれと連結され、前記後頭部装着部材とともに環状構造を形成し、前記第2装着部材は、左右方向の両端部のそれぞれが前記後頭部装着部材の下部の左右方向の両端部のそれぞれと連結され、前記後頭部装着部材とともに環状構造を形成し、前記後頭部装着部材、前記第1装着部材及び前記第2装着部材は、伸縮性生地で構成されており、前記第1装着部材と前記後頭部装着部材の上部連結部は、前記第2装着部材と前記後頭部装着部材の下部連結部の一部と重なっており、前記第2装着部材は、上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有する、頭部装着具に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、頭部における装着安定性が良好であり、顔面装着時の装着快適性も良好であり、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を兼備えた頭部装着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の頭部装着具(多機能ターバン)の模式的正面図である。
図2】本発明の一実施形態の頭部装着具の模式的背面図である。
図3】本発明の一実施形態の頭部装着具の模式的左側面図である。
図4】本発明の一実施形態の頭部装着具の模式的斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の頭部装着具の模式的平面図である。
図6】本発明の一実施形態の頭部装着具の模式的底面図である。
図7】本発明の一実施形態における第1装着部材の模式的パターン図(設計図)である。
図8】本発明の一実施形態における第2装着部材の模式的パターン図である。
図9】本発明の一実施形態における後頭部装着部材の模式的のパターン図である。
図10】本発明の一実施形態の頭部装着具の1例の装着状態を説明する模式的斜視図である。
図11】本発明の一実施形態の頭部装着具の1例の装着状態を説明する模式的斜視図である。
図12】本発明の一実施形態の頭部装着具の1例の装着状態を説明する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、頭部装着具に髪を纏める機能及び飛沫防止機能を付与しつつ、頭部における装着安定性及び顔面装着時の装着快適性を高めるために検討を重ねた。その結果、頭部装着具を、後頭部に装着される後頭部装着部材、後頭部装着部材の上部に両端部が連結され、環状になっている第1装着部材、及び後頭部装着部材の下部に両端部が連結され、環状になっている第2装着部材で構成し、後頭部装着部材、第1装着部材及び第2装着部材を伸縮性生地で構成し、第1装着部材と後頭部装着部材の上部連結部を、第2装着部材と後頭部装着部材の下部連結部の一部と重なるようにし、第2装着部材に上下方向に折り畳まれたタック加工又はプリーツ加工を施すことにより、頭部における装着安定性及び顔面装着時の装着快適性が良好であり、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を兼備えた頭部装着具を提供し得ることを見出した。該頭部装着具は、フェイスガードとして使用することができる多機能ターバンとして好適である。日常生活を含む様々な状況下で使用することができる。
具体的には、後頭部装着部材、第1装着部材及び第2装着部材を伸縮性生地で構成し、後頭部に装着される後頭部装着部材に第1装着部材及び第2装着部材を連結し、第1装着部材と後頭部装着部材の上部連結部と、第2装着部材と後頭部装着部材の下部連結部を一部重なるようにすることで、後頭部装着部材、第1装着部材の両端部及び第2装着部材の両端部が後頭部に安定的に固定され、頭部における装着安定性が良好になる。また、第1装着部材及び第2装着部材の両端部を後頭部の範囲内に収容されていることから、第1装着部材及び第2装着部材が上下に可動しやすくなり、第1装着部材及び第2装着部材のそれぞれが、頭部と口のそれぞれを覆いやすく、髪を纏める機能及び飛沫防止機能を発揮しやすい。また、前記上部連結部と前記下部連結部が一部重なることで、第1装着部材を頭部に装着し、第2装着部材を顔面に装着した場合、耳を出しやすい。
また、第2装着部材がタック又はプリーツを有することで、口を覆う際の圧迫力を軽減し、顔面装着時の装着快適性が良好になる。
本発明において、上下方向は、頭部の高さ方向と一致する方向となり、左右方向(周方向)は、頭部の周囲方向と一致する方向となる。
【0010】
前記後頭部装着部材、前記第1装着部材及び前記第2装着部材は、いずれも伸縮性生地で構成されている。これにより、適度に伸長させて頭部に装着でき、装着部位にやや緊締力を付与することができる。前記伸縮性生地は、伸長率が0%を超えるものであればよく、特に限定されない。本発明において、生地の伸長率は、JIS L 1096:2010 8.14.1 A法(荷重17.6N、引張速度200mm/min)に基づいて測定するものである。前記伸縮性生地の伸長率は特に限定されないが、例えば、上下方向の伸長率は30~250%である事が好ましく、さらに好ましくは60~180%である。また、左右方向の伸長率は25~250%である事が好ましく、さらに好ましくは45~150%である。
【0011】
前記伸縮性生地としては、特に限定されないが、例えば、弾性糸を含むワンウェイ又はツーウェイの伸縮性織物、或いは、弾性糸を含むワンウェイ又はツーウェイの伸縮性編物等を好適に用いることができる。前記弾性糸としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系弾性糸及びポリエステル系弾性糸からなる群から選ばれる少なくとも一つを好適に用いることができる。前記弾性糸は、ベアヤーン(裸糸)として、非弾性糸(リジッド糸)と引きそろえて使用してもよいし、又は表面にポリエステル繊維もしくはナイロン繊維が被覆されたカバードヤーンとして使用してもよい。
【0012】
前記伸縮性生地として、紫外線を遮蔽することができる生地を用いることで、頭部装着具に日焼け防止機能を付与することもできる。紫外線を遮蔽する生地は、例えば、ポリエステル繊維糸、綿とポリエステル繊維の混紡糸、紫外線吸収剤を付着させた綿、ポリエステルとポリウレタンの交編、ナイロンとポリウレタンの交編等を用いて構成することができる。
【0013】
前記伸縮性生地の目付は、特に限定されないが、例えば100~400g/m2、150~380g/m2、又は200~350g/m2であってもよい。
【0014】
前記後頭部装着部材は、後頭部に装着できるものであればよく、そのサイズは特に限定されないが、装着安定性及び装着快適性の観点から、上下方向(頭部の高さ方向)のサイズは3~15cmであってもよく、4~13cmであってもよく、5~12cmであってもよく、6~10cmであってもよい。
【0015】
前記後頭部装着部材は、後頭部に装着できるものであればよく、その形状は特に限定されないが、例えば、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。装着安定性をより高める観点から、左右対称の多角形の形状であることが好ましく、左右対称かつ偶数の辺を有する多角形の形状を有することがより好ましく、略逆等脚台形の形状を有することがさらに好ましい。
【0016】
前記第1装着部材は、少なくとも前頭部及び頭頂部からなる群から選ばれる一部の頭部を覆うように装着することができる。これにより、髪を纏めることができる。前記第1装着部材は、上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有してもよい。タックの数は、特に限定されず、例えば、1~4でもよく、2~3でもよい。タックの形状は、特に限定されず、後頭部装着部材の上端を基準にインタックでもよく、アウトタックでもよく、インタック及びアウトタックが混在したものでもよい。プリーツの数は、特に限定されず、例えば、1~4でもよく、2~3でもよい。プリーツの形状は、特に限定されず、例えば、ワンウェイプリーツでもよく、ボックスプリーツでもよく、インパーデットプリーツでもよい。これにより、第1装着部材にて覆う範囲を適宜調整することができる。また、前記第1装着部材において、上下方向の両端部は、内側に折り返されていてもよい。これにより、審美性を高めるとともに、必要な時には第1装着部材が覆う範囲を広げることができ、例えば、前頭部及び頭頂部の全部を覆うことができる。前記第1装着部材において、周方向のサイズは、上端部から下端部に向かって大きくなっていてもよい。
【0017】
前記第2装着部材は、少なくとも口を覆うように顔面に装着し、フェイスガードとして使用することができる。これにより、飛沫を防止することができる。第2装着部材が上下方向に折り畳まれたタック又はプリーツを有することで、口を覆う際の圧迫力を軽減し、顔面装着時の装着快適性が良好になる。また、上下方向のタック又はプリーツを有することで、第2装着部材にて覆う範囲を適宜調整することができる。タックの数は、特に限定されず、例えば、1~4でもよく、2~3でもよい。顔面装着時の装着快適性をより高める観点から、タックの数は2~3であることが好ましい。タックの形状は、特に限定されず、後頭部装着部材の上端を基準にインタックでもよく、アウトタックでもよく、インタック及びアウトタックが混在したものでもよい。顔面装着時の装着快適性をより高める観点から、後頭部装着部材の上端部を基準にインタック及びアウトタックが混在していることが好ましい。プリーツの数は、特に限定されず、例えば、1~4でもよく、2~3でもよい。顔面装着時の装着快適性をより高める観点から、プリーツの数は2~3であることが好ましい。プリーツの形状は、特に限定されず、例えば、ワンウェイプリーツでもよく、ボックスプリーツでもよく、インパーデットプリーツでもよい。顔面装着時の装着快適性をより高める観点から、ボックスプリーツであることが好ましい。また、前記第2装着部材において、上下方向の両端部は、内側に折り返されていてもよい。これにより、審美性を高めるとともに、必要な時には第2装着部材が覆う範囲を広げることができ、例えば、鼻から顎までを覆うように装着することもできる。
【0018】
前記第2装着部材は、上下方向のサイズが中央部から両端部に向かって小さくなっていることが好ましい。これにより、口を覆う際の圧迫力がさらに軽減し、顔面装着時の装着快適性がさらに向上する。また、口を覆う際の圧迫力がさらに軽減し、顔面装着時の装着快適性がさらに向上する観点から、前記第2装着部材において、周方向のサイズは、端部から中央部に向かって大きくなっていることが好ましい。すなわち、前記第2装着部材において、中央部の周方向のサイズが大きく、両端部の周方向のサイズが小さいことが好ましい。
【0019】
前記上部連結部及び前記下部連結部の上下方向のサイズは、前記後頭部装着部材の上下方向のサイズより小さければよく、特に限定されない。また、前記上部連結部と前記下部連結部の重なりの上下方向のサイズは、特に限定されず、後頭部装着部材、第1装着部材及び第2装着部材の上下方向のサイズ等に応じて適宜設定すればよい。例えば、第1装着部材及び第2装着部材の両端部の後頭部における収容性及び第1装着部材及び第2装着部材の上下可動性の観点から、前記上部連結部と前記下部連結部の重なり部の上下方向のサイズは、1~8cmであってもよく、2~7cmであってもよく、3~6cmであってもよい。また、上部連結部の上下方向のサイズは、後頭部装着部材の上下方向のサイズの60~95%、65~90%、又は、70~85%であってもよい。また、下部連結部の上下方向のサイズは、後頭部装着部材の上下方向のサイズの60~95%、65~90%、又は、70~85%であってもよい。前記上部連結部と前記下部連結部の重なり部の上下方向のサイズは、後頭部装着部材の上下方向のサイズの30~60%、35~55%、又は、40~50%であってもよい。前記上部連結部と前記下部連結部の重なり部の上下方向のサイズは、上部連結部の上下方向のサイズの45~70%、50~65%、又は、55~60%であってもよい。前記上部連結部と前記下部連結部の重なり部の上下方向のサイズは、下部連結部の上下方向のサイズの45~70%、50~65%、又は、55~60%であってもよい。
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、図面に示した実施形態に限定されない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態の頭部装着具(多機能ターバン)の模式的正面図であり、図2は同模式的背面図であり、図3は同模式的左側面図であり、図4は模式的斜視図であり、図5は同模式的平面図であり、図6は模式的底面図である。図7は、同第1装着部材の模式的パターン図(設計図)であり、図8は同第2装着部材の模式的パターン図であり、図9は同後頭部装着部材の模式的のパターン図である。
【0022】
該実施形態の頭部装着具1は、後頭部装着部材2、第1装着部材10及び第2装着部材20を含む。
【0023】
後頭部装着部材2は、略逆等脚台形の形状を有する。これにより、後頭部に装着される場合、後頭部の形状に沿いやすく、後頭部における装着安定性がより高まる。
【0024】
第1装着部材10は、左右方向の両端部11及び12のそれぞれが後頭部装着部材2の上部の左右方向の両端部のそれぞれに連結され、後頭部装着部材2とともに環状構造を形成している。第2装着部材20は、左右方向の両端部21及び22のそれぞれが後頭部装着部材2の下部の左右方向の両端部のそれぞれに連結され、後頭部装着部材2とともに環状構造を形成している。頭部装着具1において、二つの環状構造は、いずれも後頭部装着部材を環状構造の一部としている。
【0025】
第1装着部材10と後頭部装着部材2の上部連絡部30は、第2装着部材20と後頭部装着部材2の下部連絡部40と、一部重なっている。上部連絡部30及び下部連絡部40の重なりの上下方向のサイズは、1~8cmでもよく、2~7cmでもよく、3~6cmでもよい。
【0026】
図7の第1装着部材の模式的パターン図に示されているように、第1装着部材10の上下方向の両端部は、左右方向の全長において、線13及び線14のそれぞれに沿って内側に折り返されている。これにより、審美性を高めるとともに、必要な時には覆う範囲を広げることができる。第1装着部材10は、線15~18に沿って上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有する。第1装着部材10におけるタックは、図9に示されているように、頭部装着部材2の上端部を基準にアウトタックとなっていてもよい。第1装着部材10におけるプリーツは、図9に示されているように、ワンウェイプリーツでもよい。これにより、第1装着部材にて覆う範囲を適宜調整することができる。第1装着部材10は、少なくとも前頭部及び頭頂部からなる群から選ばれる一部の頭部を覆うように装着されることで、髪を纏めることができる。
【0027】
図8の第2装着部材の模式的パターン図(設計図)に示されているように、第2装着部材20の上下方向の両端部は、左右方向の全長において、線23及び線24のそれぞれに沿って内側に折り返されている。これにより、審美性を高めるとともに、必要な時には覆う範囲を広げることができる。第2装着部材20は、線25~28に沿って上下方向に折り畳まれているタック又はプリーツを有する。第2装着部材20におけるタックは、図9に示されているように、頭部装着部材2の上端部を基準にアウトタックとインタックが混在している形状になっていてもよい。第2装着部材20におけるプリーツは、図9に示されているように、アウトボックスプリーツでもよい。これにより、口を覆う際の圧迫力が軽減され、顔面装着時の装着快適性が良好になる。また、第2装着部材にて覆う範囲を適宜調整することができる。前記第2装着部材は、少なくとも口を覆うように顔面に装着し、飛沫を防止するフェイスガードとして使用することができる。
【0028】
図9の後頭部装着部材のパターン図(設計図)に示されているように、後頭部装着部材2は、上部連結部30及び下部連結部40を有し、上部連結部30において、上部の左右方向の両端部が第1装着部材10と連結されており、下部連結部40において、下部の左右方向の両端部が第2装着部材20と連結されている。後頭部装着部材2は、二重生地で構成されており、該二重生地の端部を、第1装着部材を構成する生地の端部及び第2装着部材を構成する生地の端部とともに袋縫いすることで、後頭部装着部材2と、第1装着部材10及び第2装着部材20のそれぞれを連結し、頭部装着具1を得る。これにより、審美性が良好になるとともに、装着快適性も高まる。
【0029】
図10~12は、本発明の一実施形態の頭部装着具1を装着した状態を説明する斜視図である。
図10に示されているように、後頭部装着部材2を後頭部に装着し、第1装着部材10を側頭部及び前頭部を覆うように装着し、第2装着部材を鼻から顎までを覆うように装着することで、頭部装着具1を髪を纏めるターバン及び飛沫防止のフェイスガードとして機能させることができる。
図11に示されているように、第1装着部材10が覆う範囲を広げ、側頭部及び前頭部に加え、頭頂部も覆うように装着することもできる。
また、図12に示されているように、フェイスガード機能を必要としない状況では、第1装着部材10及び第2装着部材20のいずれも頭部を覆うように装着することで、髪を纏めるターバンとして機能させてもよい。
このように、状況に合わせて、頭部装着具1を、フェイスガード機能も発揮することができる多機能ターバンとして使用することができる。
例えば、プール等の公共の場において、フェイスガード機能が必要な状況下では、頭部装着具を図10及び図11に示すように装着することができ、フェイスガード機能が不要な状況下では、頭部装着具を図12に示すように装着することができる。
【実施例0030】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例及び比較例では、下記の生地を用いた。
生地a:編組織がハーフトリコットであり、フロントにはポリエステルフィラメント生糸(総繊度56dtex、フィラメント本数24本)を用い、バックにはポリウレタン弾性糸(繊度44dtex、モノフィラメント)を用い、ウェール密度は70本/inch、コース密度は120本/inch、ゲージは32ゲージ、目付は269g/m2である。タテ方向の伸長率は148%であり、ヨコ方向の伸長率は83%である。
生地b:編組織がハーフトリコットであり、フロントにはポリエステルフィラメント生糸(総繊度56dtex、フィラメント本数36本)を用い、バックにはポリウレタン弾性糸(繊度44dtex、モノフィラメント)を用い、ゲージは32ゲージ、ウェール密度は78本/inch、コース密度は127本/inch、ゲージは32ゲージ、目付は305g/m2である。タテ方向の伸長率は138%であり、ヨコ方向の伸長率は123%である。
生地c:編組織がハーフトリコットであり、フロントにはポリエステルフィラメント生糸(総繊度56dtex、フィラメント本数24本)を用い、バックにはポリウレタン弾性糸(繊度44dtex、モノフィラメント)を用い、ウェール密度は64本/inch、コース密度は110本/inch、ゲージは32ゲージ、目付は225g/m2である。タテ方向の伸長率は134%であり、ヨコ方向の伸長率は74%である。
生地の伸長率は、JIS L 1096:2010 8.14.1 A法(荷重17.6N、引張速度200mm/min)に基づいて測定した。試験片の幅は5cm、つかみ間隔は20cmとした。
【0032】
(実施例1)
生地aを第1装着部材に用い、生地bを後頭部装着部材及び第2装着部材に用い、図1~6に示す頭部装着具1を作製した。生地a及びbのタテ方向が頭部装着具の上下方向と一致するようにした。後頭部装着部材、第1装着部材及び第2装着部材のパターンは図7~9に示すとおりにした。後頭部装着部材は、生地bを二重にしたものとなる。
図9のパターン図において、後頭部装着部材の上下方向のサイズ、すなわち逆等脚台形の高さは、10cmであり、上底のサイズは14cmであり、下底のサイズは10cmであり、斜辺の長さは10.2cmであった。
図7に示すパターン図において、第1装着部材の上下方向のサイズLa1は21.9cmであり、上端の周方向の長さWa1は33.4cm、下端の周方向の長さWa2は33.4cmであり、内側に折り返された両端部のそれぞれの上下方向のサイズLa2及びLa8はそれぞれ3.5cmであった。また、La3、La4、La5、La6及びLa7は、それぞれ、2.3cm、2cm、4.3cm、2cm、4.3cmであった。
図8に示すパターン図において、第2装着部材の上下方向のサイズLb1は20cmであり、第2装着部材の上端の周方向の長さWb1は32.6cm、下端の周方向の長さWb2は32.6cmであり、内側に折り返された両端部のそれぞれの上下方向のサイズLb2及びLb8はそれぞれ3.5cmであった。また、Lb3、Lb4、Lb5、Lb6及びLb7は、それぞれ、3.5cm、1.5cm、3cm、1.5cm、3.5cmであった。
【0033】
(比較例1)
生地cを用い、上下方向のサイズが15cmであり、周方向のサイズが95cmである長い環状のターバン(頭部装着具)を作製した。
【0034】
(比較例2)
後頭部装着部材の代わりに、紐(直径1cm)で第1装着部材及び第2装着部材をつなげて頭部装着具を作製した。第1装着部材と紐の連結部及び第2装着部材と紐の連結部は完全に重なっていた。
【0035】
(比較例3)
第2装着部材において、プリーツ加工を施さない以外は、実施例1と同様にして頭部装着具を作製した。
【0036】
(比較例4)
第1装着部材と後頭部装着部材の連結部が、第2装着部材と後頭部装着部材の連結部と重ならないようにした以外は、実施例1と同様にして頭部装着具を作製した。
【0037】
実施例及び比較例の頭部装着具を、7名に装着させ、下記のように官能評価を行った。実施例1及び比較例2~4の頭部装着具の場合、第1装着部材を側頭部及び前頭部を覆うように装着し、第2装着部材を鼻から顎までを覆うように装着した。比較例1の頭部装着具の場合、一回ねじった後、一方を側頭部及び前頭部を覆うように装着し、他方を鼻から顎までを覆うように装着した。
【0038】
(後頭部における装着安定性)
後頭部における装着安定性を、下記の5段階の基準で官能評価を行った。7名の官能評価の結果を平均し、その結果を下記表1に示した。
良い 5
ややよい 4
普通 3
やや悪い 2
悪い 1
【0039】
(髪のまとまり)
髪のまとまりを、下記の5段階の基準で官能評価を行った。7名の官能評価の結果を平均し、その結果を下記表1に示した。
良い 5
ややよい 4
普通 3
やや悪い 2
悪い 1
【0040】
(口への圧迫感)
口への圧迫感を、下記の5段階の基準で官能評価を行った。7名の官能評価の結果を平均し、その結果を下記表1に示した。
ない 5
やや弱い 4
弱い 3
やや強い 2
強い 1
【0041】
デザイン性、使いやすさ及び汎用性についても、下記の5段階の基準で官能評価を行った。7名の官能評価の結果を平均し、その結果を下記表1に示した。
良い 5
ややよい 4
普通 3
やや悪い 2
悪い 1
【0042】
【表1】
【0043】
上記表1から分かるように、実施例の頭部装着具は、髪を纏めるターバン及び飛沫防止のフェイスガードとして機能させた場合、後頭部における装着安定性が高く、口への圧迫感も少なく、装着快適性にも優れていた。
【0044】
一方、長い環状のターバンを一回ねじって使用した比較例1の場合、後頭部における装着安定性が低くズレが発生し、髪のまとまりも悪く、口への圧迫感も高いことから、フェイスガード機能を発揮するターバンとして使用することは困難であった。後頭部装着部材を有さず、第1装着部材と第2装着部材が紐で連結されている比較例2の頭部装着具の場合、後頭部における装着安定性が低くズレが発生し、髪のまとまりも悪かった。第2装着部材がアウトボックスプリーツを有しない比較例3の頭部装着具の場合、口への圧迫感が高く、フェイスガードとして用いるには適切でなかった。第1装着部材と後頭部装着部材の連結部が、第2装着部材と後頭部装着部材の連結部と重なっていない比較例4の頭部装着具の場合、後頭部における装着安定性が低くズレが発生していた。
【符号の説明】
【0045】
1 頭部装着具
2 後頭部装着部材
10 第1装着部材
11、12 第1装着部材の左右方向の両端部
13、14 端部の折り線
15、16、17、18 タック又はプリーツの折り畳み線
20 第2装着部材
21、22 第2装着部材の左右方向の両端部
23、24 端部の折り線
25、26、27、28 タック又はプリーツの折り畳み線
30 上部連結部
40 下部連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12