(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098193
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】給電装置及び給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230703BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230703BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 P
H02J7/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214803
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉武 雅之
(72)【発明者】
【氏名】辻生 大起
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖旺
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA04
5G503DA04
5G503GB03
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】車両に備えられる蓄電池を電源とし、多様なニーズに応えて電力を供給可能とする可搬型の給電装置及び給電システムを提供する。
【解決手段】給電装置は、供給される直流電力を異なる電圧値の直流電力へ変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータへ直流電力を供給する直流電源に接続される電源側端子と、前記DC/DCコンバータから出力される変換後の直流電力が印加され、負荷と接続される負荷側端子と、前記電源側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む電源側直流回路と、前記負荷側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む負荷側直流回路と、前記リレーのオン及びオフを制御する制御部とをトランク型の筐体内に収容してある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される直流電力を異なる電圧値の直流電力へ変換するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータへ直流電力を供給する直流電源に接続される電源側端子と、
前記DC/DCコンバータから出力される変換後の直流電力が印加され、負荷と接続される負荷側端子と、
前記電源側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む電源側直流回路と、
前記負荷側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む負荷側直流回路と、
前記リレーのオン及びオフを制御する制御部と
をトランク型の筐体内に収容してある、給電装置。
【請求項2】
前記筐体に設けられた蓋の開閉を検知するスイッチを備え、
前記制御部は、前記蓋が開いている状態では、前記電源側直流回路及び前記負荷側直流回路のリレーをオフとする
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記直流電源から供給される電力を分岐して出力する電源側接続端子を更に有する
請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記電源側接続端子は、インレットである
請求項3に記載の給電装置。
【請求項5】
前記電源側接続端子に接続される電力ケーブルを介し、他の給電装置の電源端子に前記直流電源からの電力を分岐出力する
請求項3に記載の給電装置。
【請求項6】
前記電源側端子に接続される電力ケーブルを介して他の給電装置の電源側接続端子と接続される
請求項3に記載の給電装置。
【請求項7】
他のDC/DCコンバータから出力される直流電力を受け、前記負荷側端子と接続される負荷側接続端子を更に有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項8】
前記制御部は、
電気自動車に設けられた蓄電池を前記直流電源とするために前記蓄電池における充放電を制御する車載充放電制御装置と該給電装置との間で所定のシーケンスに基づく処理を実行する第1運転モードと、前記所定のシーケンスに基づく処理を省略する第2運転モードとのいずれかで制御を実行する
請求項3又は請求項7に記載の給電装置。
【請求項9】
前記第1運転モード及び前記第2運転モードのうちのいずれかの選択を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部で選択されたモードにて制御を実行する
請求項8に記載の給電装置。
【請求項10】
前記DC/DCコンバータから出力された直流電力を三相交流電力へ変換するインバータを更に備える
請求項1から8のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項11】
蓄電池を有し、該蓄電池における充放電を制御する車載充放電制御装置を備える電気自動車と、
前記電気自動車の蓄電池からの直流電力を、異なる電圧値の直流電力へ変換するDC/DCコンバータを各々備える複数の給電装置と
を含み、
前記蓄電池からの直流電力を前記DC/DCコンバータへ分岐させ、前記複数の給電装置のDC/DCコンバータから出力される直流電力を負荷へ出力する
給電システム。
【請求項12】
複数の端子と、前記複数の端子に電力線を介して接続された1つの端子とを備える接続箱を更に備え、
前記複数の給電装置から各々出力される直流電力を前記複数の端子へ入力し、前記接続箱の前記1つの端子から前記直流電力を合わせた直流電力を出力する
請求項11に記載の給電システム。
【請求項13】
前記接続箱は、前記複数の端子に入力された直流電力を合わせて三相交流電力へ変換するインバータを更に備え、前記1つの端子は前記三相交流電力を出力する端子である
請求項12に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられる蓄電池を電源とし、多様なニーズに応えて電力を供給可能とする可搬型の給電装置及び給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に備えられている蓄電池の電池容量は比較的大容量である。これらの車両の蓄えられた電力を、電気自動車の駆動以外に、例えば家庭内の負荷へ供給することを可能とするV2H(Vehicle to Home )を実現する技術が提案されている。V2Hに限らず、より規模の大きい建物への電力供給を可能とするV2B(Vehicle to Building )、電力網への供給を可能とするV2G(Vehicle to Grid )を含むV2Xを実現する技術が提案されている。これらの技術により、災害発生によって停電状態となったとしても、移動が可能な電気自動車に蓄えられた電力を供給して生活を維持したり、工場の稼働を維持したりすることが期待できる。
【0003】
V2Xを実現するために、EMS(Energy Management System)からの制御を受けて広範囲で計画的に充放電ができるように、定置型の充放電装置が、電力供給対象の家庭又は建物に設置されている(特許文献1等)。一方で、電気自動車が移動できることを活かし、電力供給対象を固定化しない可搬型の給電装置も実用化されている(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6773207号公報
【特許文献2】特開2020-202744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
V2Hを実現するためであれば、給電装置は基本的に、特許文献2で開示されているように、電気自動車の蓄電池を電源として電力をAC単相100Vで出力できるように変換するインバータを備えているとよい。しかしながら、非常時でも建物のエレベーターを稼働させるため、生活インフラストラクチャー(給排水ポンプ等)の稼働を維持するための電力はAC単相100Vでは不足であり、より高圧電力や三相電力が必要である。家庭のみならず、必要な電力を供給できることが望まれる。
【0006】
本発明は、車両に備えられる蓄電池を電源とし、多様なニーズに応えて電力を供給可能とする可搬型の給電装置及び給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の給電装置は、供給される直流電力を異なる電圧値の直流電力へ変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータへ直流電力を供給する直流電源に接続される電源側端子と、前記DC/DCコンバータから出力される変換後の直流電力が印加され、負荷と接続される負荷側端子と、前記電源側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む電源側直流回路と、前記負荷側端子と前記DC/DCコンバータとの間に設けられたリレーを含む負荷側直流回路と、前記リレーのオン及びオフを制御する制御部とをトランク型の筐体内に収容してある。
【0008】
本開示の給電装置は、DC/DCコンバータへの直流電源を接続するための電源側端子と、DC/DCコンバータから負荷へ接続するための負荷側端子とを備えて可搬型で実現される。給電装置は更に、電気自動車の大容量の蓄電池を直流電源とし、家庭外の負荷へ直流電力を出力することが可能である。
【0009】
電源側端子及び負荷側端子は、電力ケーブル用コネクタであってもよいし、電力線と接続されるネジであってもよい。電源側端子及び負荷側端子に接続される電力ケーブルの接続部分は、コネクタ端子、Y型形状の端子、O型形状の端子等であってよい。
【0010】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記筐体に設けられた蓋の開閉を検知するスイッチを備え、前記制御部は、前記蓋が開いている状態では、前記電源側直流回路及び前記負荷側直流回路のリレーをオフとしてもよい。
【0011】
本開示の給電装置では、筐体の蓋が開いている状態では運転を開始できない。これにより、安全な運転が可能である。
【0012】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記直流電源から供給される電力を分岐して出力する電源側接続端子を更に有してもよい。
【0013】
本開示の給電装置は、他の給電装置と連結するために、電気自動車の蓄電池からの電力を分岐することが可能である。これにより、並列に接続して使用し、出力電力を高出力とすることが可能である。
【0014】
本開示の一実施形態の給電装置では、前記電源側接続端子は、インレットであってもよい。
【0015】
本開示の給電装置では、電源側接続端子をインレットとして構成することにより、他の給電装置に接続されたプラグ付きの電力ケーブルをインレットに接続させることで安全かつ容易に連結が可能である。インレットは、充放電ケーブルの先端のプラグを差し込む口のことであって、通常は、車両に取り付けられているものである。
【0016】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記電源側接続端子に接続される電力ケーブルを介し、他の給電装置の電源側端子に前記直流電源からの電力を分岐出力してもよい。
【0017】
本開示の給電装置では、充電用の電力ケーブル以外の接続用の電力ケーブルで、他の給電装置と接続することも可能である。
【0018】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記電源側端子に接続される電力ケーブルを介して他の給電装置の電源側接続端子と接続されてもよい。
【0019】
本開示の給電装置では、充電用の電力ケーブルで接続して連結させることも可能である。
【0020】
本開示の一実施形態の給電装置は、他のDC/DCコンバータから出力される直流電力を受け、前記負荷側端子と接続される負荷側接続端子を更に有してもよい。
【0021】
本開示の給電装置では、他の給電装置と連結するために負荷側で直接的に、あるいは間接的に接続し、出力を1つにまとめることが可能である。
【0022】
本開示の一実施形態の給電装置では、前記制御部は、電気自動車に設けられた蓄電池を前記直流電源とするために前記蓄電池における充放電を制御する車載充放電制御装置と該給電装置との間で所定のシーケンスに基づく処理を実行する第1運転モードと、前記所定のシーケンスに基づく処理を省略する第2運転モードとのいずれかで制御を実行してもよい。
【0023】
本開示の給電装置では、自立運転モード(第1運転モード)と、連結運転モード(第2運転)との2つのモードで運転可能に構成されており、単独での運転や連結運転のいずれにも対応可能である。
【0024】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記第1運転モード及び前記第2運転モードのうちのいずれかの選択を受け付ける操作部を備え、前記制御部は、前記操作部で選択されたモードにて制御を実行してもよい。
【0025】
本開示の給電装置では、ユーザの操作によって自立運転(第1運転モード)と連結運転(第2運転モード)とのいずれで運転するかを切り替え可能である。
【0026】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記DC/DCコンバータから出力された直流電力を三相交流電力へ変換するインバータを更に備える。
【0027】
本開示の給電装置では、DC/DCコンバータで変換後の直流電力を交流電力へ変換して提供することも可能である。
【0028】
本開示の一実施形態の給電システムは、蓄電池を有し、該蓄電池における充放電を制御する車載充放電制御装置を備える電気自動車と、前記電気自動車の蓄電池からの直流電力を、異なる電圧値の直流電力へ変換するDC/DCコンバータを各々備える複数の給電装置とを含み、前記蓄電池からの直流電力を前記DC/DCコンバータへ分岐させ、前記複数の給電装置のDC/DCコンバータから出力される直流電力を負荷へ出力する。
【0029】
本開示の一実施形態の給電システムは、複数の端子と、前記複数の端子に電力線を介して接続された1つの端子とを備える接続箱を更に備え、前記複数の給電装置から各々出力される直流電力を前記複数の端子へ入力し、前記接続箱の前記1つの端子から前記直流電力を合わせた直流電力を出力してもよい。
【0030】
本開示の一実施形態の給電システムは、前記接続箱は、前記複数の端子に入力された直流電力を合わせて三相交流電力へ変換するインバータを更に備え、前記1つの端子は前記三相交流電力を出力する端子であってもよい。
【0031】
本開示の給電システムでは、可搬型の給電装置を用い、電気自動車の蓄電池を、高出力の直流電源を必要とする大型機械の運転のための直流電源として利用することを可能とする給電システムを実現できる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、可搬型の給電装置を多様なニーズに応えて電力を供給可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】第1実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】制御部による開始処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態における給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】第3実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】第4実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】第5実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】第6実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】第7実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】第7実施形態の変形例の給電装置の構成を示すブロック図である
【
図11】第8実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】第9実施形態における給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】第9実施形態の給電装置の制御部による開始処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第10実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】第10実施形態の変形例の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】第11実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図17】第12実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図18】第12実施形態の変形例の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図19】第13実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図20】第14実施形態の給電装置の構成を示すブロック図である。
【
図21】第15実施形態における給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図22】第16実施形態における給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図23】第17実施形態における給電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、給電装置1の模式図であり、
図2は、第1実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。給電装置1は、トランク型の筐体11を有する。
図1では、筐体11は蓋110が開けられた状態を示す。給電装置1は、電源側端子12、DC/DCコンバータ13、制御部14、電源部15、負荷側端子16、スイッチ17、操作部18及び出力部19を備える。
【0036】
電源側端子12には、プラグ31を先端に有する電力ケーブル3の基端が接続されている。プラグ31は、電気自動車Vの蓄電池に接続されている充放電用インレットVIに接続可能である。電源側端子12及び電力ケーブル3は、急速充電(400V、100A)が可能なものを採用するとよい。電源側端子12は、電源側直流回路131(
図2参照)を介してDC/DCコンバータ13に接続されている。
【0037】
DC/DCコンバータ13は、絶縁型のコンバータであり、電気自動車Vの蓄電池から供給される直流電力を異なる電圧値の直流電力へ変換する。DC/DCコンバータ13は例えば、電気自動車Vの蓄電池から放電した場合の直流電力(100A又は10A)を、280V電圧の直流電力(例えば10kW)へ変換するように構成される。DC/DCコンバータ13は、電源側端子12とDC/DCコンバータ13との間に介装されたリレーを含む電源側直流回路131を含む。DC/DCコンバータ13は、DC/DCコンバータ13と負荷側端子16との間に介装されたリレーを含む負荷側直流回路132を含む。
【0038】
制御部14は、電源部15から得られる起動用電力によって起動し、接続される電気自動車Vの蓄電池における充放電を制御する車載充放電制御装置との間で、電力ケーブル3を介して規格に準じた接続処理を始めとする制御を実行する。制御部14は、車載充放電制御装置から得られる情報と、操作部18及びスイッチ17からの信号とに基づき、プラグ31と電気自動車Vの充放電用インレットVIとの間のコネクタロックや電源側直流回路131及び負荷側直流回路132のオン及びオフを制御する。
【0039】
電源部15は、起動用バッテリを含み、電気自動車Vの蓄電池から電力が供給されるまで、制御部14へ電力を提供する。起動用バッテリは蓄電池であり、電気自動車Vの蓄電池からの電力の供給が開始されると、その電力により充電される。
【0040】
負荷側端子16には、電力供給先の負荷と接続される電力ケーブル4が接続される。電力ケーブル4は、DC/DCコンバータ13からの出力に合わせた280Vの直流電力用のケーブルである。負荷側端子16は、負荷側直流回路132を介してDC/DCコンバータ13の出力に接続されている。
【0041】
スイッチ17は、蓋110が開けられているか否かを検知するためのリミットスイッチである。蓋110が開けられている状態では、制御部14において給電の開始又は継続(電源側直流回路131及び負荷側直流回路132におけるリレーのオン状態)が不可とされるように構成されている。スイッチ17は、蓋110が開けられている状態であるか否かを識別できれば他の構成であってもよい。スイッチ17はリミットスイッチのような機械式スイッチ以外に、例えば、近接センサなどを使用してもよいし、他の仕組みの開閉センサを採用してもよい。
【0042】
操作部18は、物理ボタンを備える。物理ボタンは、スタートボタン181、及びストップボタン182を含む。
【0043】
出力部19は、ランプ、ディスプレイ、又はスピーカ等である。
図1では、出力部19はディスプレイである。制御部14は、操作部18における操作内容、操作部18にて操作されたことによる給電装置1の状態を示す色の光、文字、画像、又は音、を出力部19に出力させる。
【0044】
図3は、制御部14による処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部14は、操作部18のスタートボタン181に対してオンの操作がされた場合、以下の処理を実行する。
【0045】
制御部14は、電力ケーブル3のプラグ31が電気自動車VのインレットVIと接続されていることを確認する(ステップS101)。接続の確認は、所定の信号の授受が可能であるか否かの判断によって可能である。接続されていない場合は、エラーとなり開始処理を実行できない。接続されていることを確認した制御部14は、電源側端子12に所定の電圧以上の電圧が印加されているか否かを判断する(ステップS102)。
【0046】
印加されていないと判断された場合(S102:NO)、正常であるため、制御部14は、電気自動車Vの充放電制御装置との情報の送受信(接続シーケンス)を開始する(ステップS103)。制御部14は、ステップS103において、プラグ31のコネクタロック処理を実行させる。
【0047】
制御部14は、ステップS103の処理により、電気自動車Vの充放電制御装置との間の情報の送受信により放電の準備ができると、電源側直流回路131及び負荷側直流回路132のリレーをオンとし、電気自動車Vの蓄電池を電源とする給電を開始する(ステップS104)。開始処理は終了する。
【0048】
印加されていると判断された場合(S102:YES)、異常であるため、制御部14は、異常停止し(ステップS105)、開始処理を終了する。
【0049】
このように構成される給電装置1は可搬型である。ユーザ(作業者)は筐体11の側面に設けられた取手を把持し、給電装置1全体を持ち上げて運ぶか、筐体11の外側の一面、あるいは一辺に設けられた車輪で運搬することができる。ユーザは、使用したい負荷の設置場所まで給電装置1を運搬する。給電装置1は電源となる電気自動車Vによって運搬されてもよい。ユーザは、工場設備等の負荷の近くに電気自動車V及び給電装置1を設置し、給電装置1から電力ケーブル3のプラグ31を電気自動車Vの充放電用インレット(ソケット)VIに差し込み、電力ケーブル4を、280Vの直流電力を必要とする負荷と接続する。ユーザが給電装置1の蓋110を閉め、スタートボタン181を押下すると、制御部14がこれを検知する。制御部14は、電源側直流回路131のリレーをオンとして車載充放電制御装置と情報を送受信し、電気自動車Vの蓄電池から電力の供給を受け、負荷側直流回路132のリレーをオンとし、負荷側端子16から直流電力を出力する。これにより、負荷へ適切な電力が供給され、稼働が可能になる。
【0050】
第1実施形態の給電装置1は、家庭用のAC100V電力(1~20A)ではなく、大型機械の稼働に必要となる直流電力、例えば10kW280Vの直流電力を、少なくとも1台で供給可能である。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態で給電装置1は、三相交流電力を出力する。
図4は、第2実施形態における給電装置1の構成を示すブロック図である。変形例の給電装置1の構成のうち、第1実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
第2実施形態の給電装置1は、DC/DCコンバータ13の後段に、直流電力を交流電力へ変換するインバータ21を含む。インバータ21の出力と、負荷側端子16との間に負荷側交流回路133が設けられている。変形例における負荷側端子16は、三相電力の伝送用の電力ケーブル4に対応する。インバータ21は例えば、電気自動車Vの蓄電池から放電により出力される100Aの直流電力を、三相3W200Vの交流電力へ変換する。
【0053】
第2実施形態の給電装置1の負荷側端子16は、三相交流出力用の端子である。電力ケーブル4は、三相3W200Vの交流電力を伝送可能なケーブルが選択される。
【0054】
これにより、家庭用のAC100V電力(1~20A)ではなく、三相交流電力、例えば三相3W200Vの交流電力を、少なくとも1台で供給可能である。
【0055】
(第3実施形態)
家庭外の設備では、高出力の電源を必要とする場合がある。電気自動車Vの蓄電池には100kW近い容量を有するものも存在し、100~120Aもの大電流を出力できる。給電装置1を介して電気自動車Vの蓄電池を電源とした高出力の直流電力(あるいは三相交流)による電源供給を可能とするために、給電装置1は他の給電装置1と連結が可能に構成される。
【0056】
図5は、第3実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図5では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第3実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
第3実施形態における2つの給電装置1の構成は同一である。給電装置1はそれぞれ、2つの電源側端子12a,12bと、2つの負荷側端子16a,16bとを備える。
【0058】
1台目の給電装置1の2つの電源側端子12a,12bのうち、一方の電源側端子12aに、電力ケーブル3が接続されており、他方の電源側端子12bに、接続ケーブル5aが接続されている。電源側端子12bは、電源側端子12aと電源側直流回路131との間の接点に接続されている。接続ケーブル5aは、電力ケーブル3と同様の急速充電に用いられる高電流(100A)用のものであってもよいし、より軽量の10A程度の電流を伝送可能な中速充電用のケーブルであってもよい。
【0059】
1台目の給電装置1の2つの負荷側端子16a,16bのうち、一方の負荷側端子16aに、負荷と接続される電力ケーブル4が接続されている。他方の負荷側端子16bに、接続ケーブル5bが接続されている。接続ケーブル5bは、電力ケーブル4と同様の直流電力(280V)用のものであってよい。負荷側端子16bは、負荷側端子16aと負荷側直流回路132との間の接点に接続されている。
【0060】
2台目の給電装置1の2つの電源側端子12a,12bも同様に、一方(12a)に電力ケーブル3が接続され、他方(12b)に接続ケーブル5aが接続されている。電源側端子12bに接続されている接続ケーブル5aは、1台目の給電装置1の電源側端子12bと接続されている。電源側端子12aには、急速充電が可能な電力ケーブル3に限られず、中速充電用のケーブルが接続されてもよい。2台目の給電装置1の電力ケーブル3は、ユーザが接触できないように筐体11内に収められるようにしてもよい。2台目の給電装置1の電源側端子12aに接続されている電力ケーブル3のプラグ31には、キャップで封をしてユーザが接触できないようにしてもよい。
【0061】
2台目の給電装置1では、2つの電源側端子12a,12bではなく、1つの電源側端子12を設けたものを使用し、接続されている電力ケーブル3を外して接続ケーブル5aを接続するようにしてもよい。
【0062】
2台目の給電装置1の2つの負荷側端子16a,16bのうち、一方の負荷側端子16aに、1台目の負荷側端子16bに接続された接続ケーブル5bが接続されている。他方の負荷側端子16bは、その負荷側端子16bで受けた電力を一方の負荷側端子16aに印加可能に接続されている。
【0063】
2台目の給電装置1の操作部18には、単独で使用される「自立運転モード」であるか、他の給電装置1と接続されて使用される「連結運転モード」であるかを設定するインタフェースが備えられている。を設定するインタフェースは例えば、物理ボタンと出力部19のディスプレイとにより構成される。このインタフェースは、ディスプレイに表示される2つの選択肢(例えば、「自立運転モード」及び「連結運転モード」)のうち、現状設定されている状態をディスプレイに表示しつつ、ユーザがボタンを押下する都度、2つの選択肢の設定に巡回的に変更されるようにしてあるとよい。
【0064】
「連結運転モード」の給電装置1の制御部14は、電力ケーブル3が接続されていない場合には、車載充放電制御装置との情報のやり取りを不要であると自動的に判断してもよい。
【0065】
第3実施形態の2つの給電装置1が並列に接続された給電システム100を利用するため、ユーザ(作業者)は、1台目の給電装置1の電源側端子12aに接続されている電力ケーブル3のプラグ31を電気自動車Vの充放電用インレットVIに差し込む。ユーザは、1台目の給電装置1の負荷側端子16aに接続されている電力ケーブル4を、280Vの直流電力を必要とする負荷と接続する。ユーザは、2つの給電装置1それぞれの蓋110を閉め、1台目の給電装置1の操作部18で「自立運転モード」を選択し、2台目の給電装置1の操作部18で「連結運転モード」を選択する。これらを選択した上でユーザは、給電装置1それぞれ(あるいは1台目の給電装置1)のスタートボタン181を押下する。「自立運転モード」の1台目の給電装置1の制御部14は、第1実施形態の
図3のフローチャートに示した処理手順を実行する。制御部14は、電源側直流回路131をオンとして車載充放電制御装置と情報を送受信し、電気自動車Vの蓄電池から電力の供給を受け、負荷側端子16aから直流電力を出力する。2台目の給電装置1の制御部14は、電源側直流回路131をオンとして、接続ケーブル5aを介して電力の供給を受けると、DC/DCコンバータ13から280V直流電力の出力を開始する。2台目のDC/DCコンバータ13からの出力は、負荷側端子16aから接続ケーブル5bを介して1台目の給電装置1の負荷側端子16bに供給され、電力ケーブル4による出力が増加する。
【0066】
これにより、第2実施形態では、2台の並列に接続された給電装置1からの出力を足し合わせた電力(例えば、280V直流、20kW)が、1台目の負荷側端子16aから出力可能である。
【0067】
第3実施形態の給電装置1は、操作部18にて、「自立運転モード」あるいは「連結運転モード」を選択して使用されることとして説明した。これに限らず制御部14は、電力ケーブル3が接続されて電力が供給されている場合、入力電圧が所定の電圧(例えば150V)未満となるため、これを検知して「自立運転モード」と判断し、逆に、所定の電圧(150V)以上を検知した場合には「連結運転モード」と判断してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図6では、並列に接続された3台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第4実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態及び第3実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
第4実施形態における3つの給電装置1の構成は同一である。第4実施形態における給電装置1はそれぞれ、2つの電源側端子12a,12bと、1つの負荷側端子16を備える。第4実施形態の給電装置1の電源側直流回路131には、リレーの他にヒューズが含まれ、負荷側直流回路132には、リレーの他にヒューズ及びブレーカが含まれている。電源側直流回路131におけるヒューズは、リレーとDC/DCコンバータ13との間に設けられる。負荷側直流回路132においてヒューズ及びブレーカは、DC/DCコンバータ13と負荷側端子16との間に、上流からリレー、ヒューズ、ブレーカの順で接続されている。
【0070】
給電装置1はそれぞれ、地絡検出有効/無効切り替えスイッチを備え、制御部14は、「自立運転モード」では地絡検出を有効に設定し、「連結運転モード」では地絡検出を無効に設定して制御してもよい。
【0071】
更に、第4実施形態では、並列に接続された3つの給電装置1の後段に、並列用の接続箱6が設けられて給電システムが構成される。
【0072】
第4実施形態では、1台目の給電装置1の一方の電源側端子12aにヒューズを介して電力ケーブル3が接続されている。1台目の給電装置1の他方の電源側端子12aには、接続ケーブル5cが接続されている。
【0073】
2台目及び3台目の給電装置1の一方の電源側端子12aには電力ケーブル3がそれぞれ接続されているが、第4実施形態ではいずれも使用されない。2台目の給電装置1の他方の電源側端子12bには、接続ケーブル5cが接続され、電気自動車Vの蓄電池からの電力を分岐入力可能である。
【0074】
第4実施形態では、1台目から3台目の給電装置1の負荷側端子16に接続された電力ケーブル4が3つとも、接続箱6に接続されている。接続箱6は、複数の入力端子と、1つの出力端子を備え、内部で複数の入力端子に入力された直流電力が1つにまとめられるように電力線が配線されている。接続箱6により、3台の給電装置1の電力ケーブル4からの280V直流電力(10kW)が1つにまとめられ、接続箱6の出力端子からは30kWの直流電力が出力される。
【0075】
第4実施形態の3つの給電装置1はそれぞれ、第3実施形態同様に、「自立運転モード」又は「連結運転モード」のいずれかで稼働する。
【0076】
第4実施形態の給電装置1の構成では、装置の外部に設けた接続箱6により、負荷側で接続ケーブル5bを複数の給電装置1間で接続する必要はない。ユーザ(作業者)は、給電装置1の出力である電力ケーブル4を接続箱6にそれぞれ接続すればよく、1つの接続箱6を負荷の電源として使用できる。
【0077】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図7では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第5実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態、第3実施形態及び第4実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
第5実施形態における給電装置1では、2つ目の電源側端子12bが、電源側直流回路131におけるリレーと下流のヒューズとの間の接点に接続されている。第5実施形態では、2台目の給電装置1における電力ケーブル3は外されて、接続ケーブル5cが1つ目の電源側端子12aに接続されている。2台目の給電装置1の電源側端子12a,12bが、電源側直流回路131のリレーがオフであるにも関わらず、電気自動車Vの蓄電池からの出力で電圧がかかることを防げる。
【0079】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図8では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第6実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態、第3実施形態及び第4実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
第6実施形態における給電装置1はいずれも、2つ目の電源側端子12bを有する。電源側端子12bは、電力ケーブル3が接続される電源側端子12aと、電源側直流回路131におけるリレーとの間の接点に接続されている。第6実施形態の給電装置1は更に、その接点と、電源側端子12bとの間に、リレーを設けている。このリレーは、電源側直流回路131における電源側端子12aとDC/DCコンバータ13との間のリレーのオンと共にオンとなるようにしてある。
【0081】
第6実施形態では、2台目の給電装置1における電力ケーブル3は外されており、1台目の給電装置1の電源側端子12bに接続されている接続ケーブル5cが、2台目の給電装置1の電源側端子12aに接続されている。これにより、2台目の給電装置1の電源側端子12aに接続される電力ケーブル3のプラグ31に、2台目の給電装置1の電源側直流回路131のリレーがオフであるにも関わらず、電気自動車Vの蓄電池からの電圧がかかることを防げる。
【0082】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図9では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第7実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態、第3実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
第7実施形態の給電装置1は、電源側端子12と電源側直流回路131におけるリレーとの間の接点に接続されるインレット12cを有する。インレット12cは、他の給電装置1の電源側端子12に接続されている電力ケーブル3を接続することが可能である。
【0084】
第7実施形態の2つの給電装置1は、信号線22により接続されている。信号線22は、制御部14同士を接続する(図示を省略)。制御部14における制御内容は、第3実施形態で説明したものと同様である。制御部14は、電気自動車Vと接続され、「自立運転モード」が選択されている場合、電気自動車Vの充放電制御装置から得られる上限電流値の情報等を信号線22から出力する。信号線22による相互の情報の送受信は必ずしも必要ではなく、制御部14は、「自立運転モード」であるか否かを、電源側端子12に印加されている電圧の値が所定の電圧値以上であるか否かによって判別してもよい。
【0085】
また、信号線22を介して1台目の給電装置1と2台目の給電装置1との間で、情報を送受信できることから、2台目の制御部14は、1台目の制御部14が電気自動車Vの充放電制御装置とのやり取りをするに際し、プラグ31にコネクタロックの制御をした場合、これを2台目の制御部14へ通知するとよい。2台目の制御部14も、コネクタロックの通知を受けると、1台目の給電装置1のインレット12cに接続させているプラグ31に対してコネクタロックの制御を実施する。2台目の給電装置1の制御部14は、2台目の給電装置1側のインレット12cに接続されているリレーをオフとするように制御することが好ましい。インレット12cの露出している端子に高出力の電力が印加されることを回避するためである。
【0086】
第7実施形態の給電装置1は、2つの負荷側端子16a,16bを有する。1台目の給電装置1の負荷側端子16aには、電力ケーブル4が接続されており、負荷側端子16bには、接続ケーブル5bが接続されている。2台目の給電装置1の1つ目の負荷側端子16aには、接続ケーブル5bが接続されており、2つ目の負荷側端子16bには何も接続されない。これにより、2台目の給電装置1のDC/DCコンバータ13から出力される直流電力が1台目の給電装置1に接続されている電力ケーブル4に加わり、20kWの直流電力の出力が可能になる。
【0087】
第7実施形態の給電装置1のインレット12cを設けた構成により、連結する2台目の給電装置1から1台目の給電装置1への接続が容易になる。2台目の給電装置1の電力ケーブル3を使用しないで開放したままとする場合と比して、電気自動車Vに接続されないにも関わらず、プラグ31に高出力の電圧が掛かる事態を回避することが可能である。
【0088】
(変形例1)
図10は、第7実施形態の変形例の給電装置1の構成を示すブロック図である。変形例において給電装置1はそれぞれ、負荷側端子16は1つであって、外部に設けた接続箱6に、負荷側端子16からの電力ケーブル4を接続する。その他の構成は、第7実施形態と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0089】
第7実施形態の変形例で給電装置1はそれぞれ、2つの負荷側端子16a,16bを設けずに1つの負荷側端子16のみを有する。負荷側端子16の箇所に対する電力ケーブル4や接続ケーブル5cの接続の変更等の作業が不要である。
【0090】
第7実施形態の給電装置1でも、2台を並列に接続することによって、接続箱6から20kWの高出力の直流電力を提供することが可能である。
【0091】
(第8実施形態)
図11は、第8実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図11では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム100の構成を示す。第8実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態、第3実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0092】
第8実施形態の給電装置1の制御部14における制御内容は、第3実施形態で説明したものと同様である。制御部14は、「自立運転モード」であるか否かを、電源側端子12に印加されている電圧の値が所定の電圧値以上であるか否かによって判別する。信号線22を用いて制御部14同士が情報を送受信できるように接続し、制御部14が相互に、電気自動車Vの充放電制御装置から通知される上限電流値等の情報を交換してもよい。給電装置1同士は、信号線22を介した信号の授受に限らず、Ethernet(登録商標)通信、CAN(Controller Area Network )通信、シリアル通信、制御部14のI/Oを介した通信によって情報を交換してもよい。
【0093】
第8実施形態においても第3実施形態同様に、1台目の給電装置1では、負荷側端子16aには、電力ケーブル4が接続されており、負荷側端子16bには接続ケーブル5bが接続されている。2台目の給電装置1の1つ目の負荷側端子16aには、接続ケーブル5bが接続されており、2つ目の負荷側端子16bには何も接続されない。2台目の給電装置1のDC/DCコンバータ13から出力される直流電力が1台目の給電装置1に接続されている電力ケーブル4に加わり、20kWの直流電力の出力が可能になる。
【0094】
第8実施形態の給電装置1は、電源側端子12と電源側直流回路131におけるリレーとの間の接点に接続されるインレット12cを有する。インレット12cは、他の給電装置1の電源側端子12に接続されている電力ケーブル3を接続することが可能である。第8実施形態では更に、その接点と、インレット12cとの間に、リレーが設けられている。リレーは、電源側直流回路131のリレーとともに、制御部14によってオンにされる。
【0095】
これにより、2台目の給電装置1の電力ケーブル3のプラグ31を使用し、且つ、給電を開始するまで2台目の給電装置1における電源側端子12aに高出力の電圧が掛かる事態を回避することができる。
【0096】
第8実施形態の構成でも、第7実施形態の変形例と同様に、負荷側端子16bを設けずに、2つの給電装置1からの電力ケーブル4をそれぞれ接続箱6に接続させる構成としてもよい(図示せず)。
【0097】
(第9実施形態)
図12は、第9実施形態における給電装置1の構成を示すブロック図である。
図12では、並列に接続された2台の給電装置1の構成を示す。第9実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態、第3実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0098】
第9実施形態における給電装置1では、2台目の給電装置1の電源側端子12aに、1台目の給電装置1の電源側端子12bに接続されている接続ケーブル5aが接続されている。2台目の給電装置1の電源側端子12bは使用しない。
【0099】
第9実施形態における給電装置1では、いずれの給電装置1においても2つの電源側端子12a,12bに、電気自動車Vの充放電制御装置と制御部14との間で送受信される情報を伝達する信号線の端子12d,12eを設ける。端子12d,12eは、給電装置1の制御部14と接続されている。端子12dと制御部14との間には、信号の送受信を許可するか否かを切り替えるリレー(図示せず)が設けられてもよい。
【0100】
第9実施形態では、2台目の給電装置1においても、電気自動車Vの充放電制御装置との間で送受信される情報を得ることができる。1台目の給電装置1の操作部18で「自立運転モード」を選択し、2台目の給電装置1の操作部18にて「連結運転モード」を選択する。これにより、以下に説明するような制御が可能になる。
【0101】
図13は、第9実施形態における給電装置1の制御部14による開始処理手順の一例を示すフローチャートである。1台目及び2台目のいずれの給電装置1においても制御部14は、いずれかの操作部18のスタートボタン181に対してオンの操作がされた場合、以下の処理を実行する。
【0102】
制御部14は、「自立運転モード」が設定されているか否かを判断する(ステップS201)。「自立運転モード」が設定されていると判断された場合(S201:YES)、制御部14は、プラグ31がインレットVI又はインレット12c(区別しない)と接続されていることを確認する(ステップS202)。接続されていない場合は、エラーとなる。
【0103】
接続されていることを確認した上で、制御部14は、電源側端子12aに所定の電圧以上の電圧が印加されているか否かを判断する(ステップS203)。印加されていないと判断された場合(S203:NO)、「自立運転モード」では正常であるため、制御部14は、端子12dに接続されているリレーをオンとし、充放電制御装置との情報の送受信(接続シーケンス)を開始する(ステップS204)。制御部14はステップS104にておいて、連結相手の給電装置1の制御部14に通知し、プラグ31のコネクタロック処理を実行させるとよい。
【0104】
制御部14は、ステップS204の処理により、電気自動車Vの充放電制御装置との間の情報の送受信により放電の準備ができると、電源側端子12aに接続されているリレーをオンとし、電気自動車Vの蓄電池を電源とする給電を開始する(ステップS205)。開始処理は終了する。
【0105】
ステップS203で印加されていると判断された場合(S203:YES)、「自立運転モード」では異常であるため、制御部14は異常停止し(ステップS206)、開始処理を終了する。異常停止時には、電気自動車Vの充放電制御装置へも通知する。
【0106】
ステップS201にて「自立運転モード」が設定されていないと判断された場合(S201:NO)、「連結運転モード」が設定されている。制御部14は、プラグ31がインレットVI又はインレット12c(区別しない)と接続されていることを確認した上で(ステップS207)、電源側端子12aに所定の電圧以上の電圧が印加されているか否かを判断する(ステップS208)。
【0107】
印加されていると判断された場合(S208:YES)、「連結運転モード」では正常である。制御部14は、「自立運転モード」の給電装置1によって放電の準備ができると、電源側端子12aに接続されているリレーをオンとし、電気自動車Vの蓄電池を電源とする給電を開始する(ステップS209)。開始処理は終了する。
【0108】
ステップS208で印加されていないと判断された場合(S208:NO)、「連結運転モード」では異常であるため、制御部14は異常停止し(ステップS210)、開始処理を終了する。
【0109】
第9実施形態では、1台目及び2台目の給電装置1のいずれも、端子12dに接続されているリレーがオンであれば、電気自動車Vの充放電制御装置との間でやり取りされる情報を取得することができる。制御部14間を別途信号線22を利用して接続し、電気自動車Vと接続された電力ケーブル3に印加されている電圧を両方から知ることができれば、1台目の給電装置1と、2台目の給電装置1とのうちの、いずれからも給電システム100の起動が可能である。
【0110】
第9実施形態の給電装置1の構成により、2台の給電装置1のどちらからでも、電気自動車Vの蓄電池を電源として高出力(20kW)で直流電力を負荷へ提供することが可能である。
【0111】
(第10実施形態)
図14は、第10実施形態における給電装置1の構成を示すブロック図である。
図14では、並列に接続された2台の給電装置1を含む給電システム200の構成を示す。第10実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図14に示す給電システム200は、前段の接続箱6aと後段の接続箱6bとを含む。
【0112】
接続箱6aは、電気自動車Vと接続される1つの入力端子61と、複数のインレット62を有する。
図14の例では、接続箱6aは2つのインレット62を有する。接続箱6a内で、端子61からの電力線が複数のインレット62に分岐して配線されている。接続箱6aは内部に制御部を有し、電気自動車Vの充放電制御装置との間で接続シーケンスを実行し、電力の供給を受けるように制御する。
【0113】
接続箱6aの入力端子61には、急速充電に用いられるプラグ31を先端に有する電力ケーブル3の基端が接続されている。
【0114】
第10実施形態の給電システム200は、複数の給電装置1の電源側端子12aに接続された電力ケーブル7がそれぞれ、接続箱6aのインレット62に取り付けられ、給電装置1の負荷側端子16に接続された電力ケーブル4がそれぞれ、接続箱6bの入力端子に接続されて構成される。電力ケーブル7は、電気自動車VのインレットVIに接続されないので、急速充電に用いられるケーブルではなく中速充電に用いられるケーブルであってよい。
【0115】
接続箱6bは、複数(
図14では2つ)の入力端子と、1つの出力端子を備え、内部で複数の入力端子に入力された直流電力が1つにまとめられるように電力線が配線されている。
【0116】
接続箱6bの出力端子からは高出力の直流電力用の電力ケーブル4が接続されており、負荷へと接続される。
【0117】
第10実施形態では、2台の給電装置1同士で接続ケーブル5a,5b,5cを用いることなく、単体で使用する場合と同様に、2台の給電装置1を互いに区別せずに接続できる。ただし、第10実施形態では、2台の給電装置1の一方が「自立運転モード」で動作し、他方が「連結運転モード」で動作するように操作される。これにより、高出力(20kW)の直流電力の給電が可能になる。
【0118】
また、第10実施形態では、接続箱6bを用いたが、接続箱6bを省略し、負荷側端子16a,16bを有する構成として、接続ケーブル5cで接続してもよい。
【0119】
(変形例)
図15は、第10実施形態の変形例における給電装置1の構成を示すブロック図である。
図15では、並列に接続された2台の給電装置1と接続箱6a,6bを含む給電システム200の構成を示す。第10実施形態の変形例では、接続箱6aと接続箱6bとが一体である点以外は、
図14に示した第10実施形態の給電システム200と同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0120】
(第11実施形態)
図16は、第11実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図16では、並列に接続された2台の給電装置1と接続箱6とを含む給電システム200の構成を示す。第11実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示す給電システム200は、前段の接続箱6aと後段の接続箱6cとを含む。
【0121】
接続箱6aは、電気自動車Vと接続される1つの入力端子61と、複数のインレット62を有する。
図16の例では、接続箱6aは2つのインレット62を有する。接続箱6a内で、端子61からの電力線が複数のインレット62に分岐して配線されている。接続箱6aは内部に制御部を有し、電気自動車Vの充放電制御装置との間で接続シーケンスを実行し、電力の供給を受けるように制御する。
【0122】
接続箱6aの入力端子61には、急速充電に用いられるプラグ31を先端に有する電力ケーブル3の基端が接続されている。
【0123】
第11実施形態の給電システム100は、複数の給電装置1の電源側端子12aに接続された電力ケーブル7がそれぞれ、接続箱6aのインレット62に取り付けられ、給電装置1の負荷側端子16に接続された電力ケーブル4がそれぞれ、接続箱6bの入力端子に接続されて構成される。電力ケーブル7は、電気自動車VのインレットVIに接続されないので、急速充電に用いられるケーブルではなく中速充電に用いられるケーブルであってよい。
【0124】
接続箱6cは、複数(
図14では2つ)の入力端子と、1つの出力端子を備え、内部で複数の入力端子に入力された直流電力が1つにまとめられるように電力線が配線されている。接続箱6cは、直流電力を交流電力へ変換するインバータ64を備え、まとめられた直流電力を三相交流電力へ変換する。
【0125】
接続箱6bの出力端子からは三相交流電力の電力ケーブル4が接続されており、負荷へと接続される。
【0126】
第10実施形態では、2台の給電装置1同士で接続ケーブル5a,5b,5cを用いることなく、単体で使用する場合と同様に、2台の給電装置1を互いに区別せずに接続できる。ただし、第10実施形態では、2台の給電装置1の一方が「自立運転モード」で動作し、他方が「連結運転モード」で動作するように操作される。
【0127】
接続箱6cにインバータ64を設けることにより、高出力の直流電力を作成して高出力の三相交流電力を提供することも可能である。
【0128】
第11実施形態においても、第10実施形態の変形例で示したように、接続箱6aと接続箱6cとを一体に構成してもよい。
【0129】
(第12実施形態)
図17は、第12実施形態における給電装置1の構成を示すブロック図である。
図17では、2台の電気自動車Vにそれぞれ接続された給電装置1を複数含む給電システム300の構成を示す。第12実施形態の給電システム300に含まれる給電装置1の構成について、第1実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0130】
第12実施形態では、2台の給電装置1の制御部14はそれぞれ、並列に運転していることを認識することなく「自立運転モード」で動作する。ただし、このように組み合わせた2台の給電装置1の電力ケーブル4を接続箱6に接続することにより、接続箱6から、高出力(20kW)の280V直流電力を提供する給電システム300として機能できる。
【0131】
そして第12実施形態では、2台の給電装置1は相互に独立して運転しているので、一方の給電装置1の運転を停止し、電気自動車Vを他のフル充電された電気自動車Vに入れ替え、再度運転を開始させることができる。この場合、接続箱6からは、出力電力は変化するとしても、電力を途絶えることなく給電を持続することができる点で、災害時に連続運転する負荷の直流電源として利用可能である。例えば、負荷が15kW直流電源を必要とする場合、1台目の給電装置1からは10kW、2台目の給電装置1からは5kWとなるように時間差で運転してもよい。同時並行的に運転させる場合、7.5kWずつ出力させ、電気自動車Vの蓄電池からの放電を平均化させることも可能である。
【0132】
(変形例)
図18は、第12実施形態の変形例の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図18では、第12実施形態の接続箱6の代わりに、給電装置1の負荷側端子16同士が接続ケーブル5bにより連結されている。具体的には、給電装置1は2つの負荷側端子16a,16bを備える。1台目の給電装置1の一方の負荷側端子16aには、負荷へ接続される電力ケーブル4が接続されており、他方の負荷側端子16bには、2台目の電気自動車V及び給電装置1からの直流電力と接続される接続ケーブル5bが接続されている。2台目の給電装置1の一方の負荷側端子16aには、接続ケーブル5bが接続されており、1台目の給電装置1へ電力を出力する。連結箇所は、負荷側直流回路132よりも後段の負荷側端子16なので、一方の給電装置1の負荷側直流回路132がオフになっても、電力ケーブル4からの280V直流電力は継続される。給電装置1の連結は、2台の給電装置1は2つの負荷側端子16a,16bを有することなく、DC/DCコンバータ13の後段で接続されていれば接続の形態は問わない。
【0133】
(第13実施形態)
図19は、第13実施形態における給電装置1の構成を示すブロック図である。
図19では、2台の電気自動車Vにそれぞれ接続された複数の給電装置1を含む給電システム300の構成を示す。第13実施形態における給電装置1の構成のうち、第1実施形態の給電装置1と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0134】
第13実施形態では、2台の給電装置1に接続された負荷側の電力ケーブル4は、接続箱6cに接続され、各々直流電力を提供する。接続箱6cは、複数の入力端子と1つの出力端子を備え、内部で複数の入力端子に入力された直流電力が1つにまとめられるように電力線が配線されている。接続箱6cは、直流電力を交流電力へ変換するインバータ64を備え、まとめられた直流電力を三相交流電力へ変換する。
【0135】
第13実施形態では、2台の給電装置1の制御部14はそれぞれ、並列に運転していることを認識することなく「自立運転モード」で動作し、直流電力を提供する装置として機能する。ただし、
図19に示したように接続箱6cと組み合わせることにより、接続箱6cから、三相交流電力を提供する給電システム200として機能できる。
【0136】
(第14実施形態)
図20は、第14実施形態の給電装置1の構成を示すブロック図である。
図20では、並列に接続された2台の給電装置1からそれぞれ電力が給電される給電システム400の構成を示す。第14実施形態の給電システム400に含まれる給電装置1の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0137】
1台の電気自動車Vの蓄電池を電源として、直流電力を分岐出力する給電システム400として機能できる。
【0138】
(第15実施形態)
第2実施形態から第14実施形態では、互いに同様に構成された給電装置1を並列に接続する構成を説明した。しかしながら、給電装置1を用いた直流電力又は三相交流出力は、これに限らない方法でも実現可能である。第14実施形態では、DC/DCコンバータ81を少なくとも設ける増設ユニット8を、給電装置1と組み合わせる。
【0139】
図21は、第15実施形態における給電システム500の構成を示すブロック図である。第15実施形態における給電システム500のうち、給電装置1の構成のうち、第1実施形態又は第3実施形態に示した構成と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0140】
増設ユニット8は少なくとも、DC/DCコンバータ81と接続可能な端子82,83を備える。DC/DCコンバータ81は、給電装置1のDC/DCコンバータ13同様に、絶縁型のコンバータであり、入力される直流電力を異なる電圧の直流電力として出力する。端子82は、給電装置1のDC/DCコンバータ13の入力と接続され、端子83は、同じ給電装置1のDC/DCコンバータ13の出力と接続される(接続箇所は接続端子に相当)。増設ユニット8は、給電装置1と同様に、制御部、操作部(ボタン等)、出力部(ディスプレイ等)、スイッチを備えてもよい。この場合、制御部は、スイッチにて増設ユニット8の筐体に設けられる蓋が開いていない状態であることを確認できた場合に、操作部におけるユーザの操作を認識してスタート/ストップ等の動作を制御するようにしてもよい。
【0141】
増設ユニット8と接続された接点の後段に、直流電力を交流電力へ変換するインバータを設けることにより、交流電力を出力させることも可能である。
【0142】
第15実施形態に示した構成により、少なくともDC/DCコンバータ81を設けた増設ユニット8と組み合わせた給電装置1を用いることで、電気自動車Vの蓄電池を電源とした高出力の直流電力、あるいは三相交流電力を提供する給電システム500を容易に構成させることが可能である。
【0143】
(第16実施形態)
図22は、第16実施形態における給電システム500の構成を示すブロック図である。第16実施形態の給電システム500は、第15実施形態と同様に、給電装置1と、少なくともDC/DCコンバータ81を備える増設ユニット8とを並列に接続して構成される。
【0144】
第16実施形態の給電システム500は、2台の電気自動車Vを電源として使用する。増設ユニット8は、DC/DCコンバータ81と、電源側端子84とを有する。電源側端子84は、電気自動車Vの蓄電池に接続される電力ケーブル3と接続可能である。電源側端子84は、DC/DCコンバータ81に、リレーを含む電源側直流回路811を介して接続されている。
【0145】
第16実施形態に示したように、DC/DCコンバータ81を設けた増設ユニット8と組み合わせた給電装置1を用いることで、2台の電気自動車Vの蓄電池を電源とした高出力の直流電力、あるいは三相交流電力を提供する給電システム500を容易に構成させることが可能である。
【0146】
(第17実施形態)
図23は、第17実施形態における給電システム500の構成を示すブロック図である。第17実施形態の給電システム500は、第15実施形態と同様に、給電装置1と、少なくともDC/DCコンバータ81を備える増設ユニット8とを並列に接続して構成される。
【0147】
第17実施形態の給電システム500は、1台の電気自動車Vを電源として使用し、2つの負荷へ電力を分岐出力する。増設ユニット8は、DC/DCコンバータ81と、負荷側端子85とを有する。負荷側端子85は、負荷へ接続される電力ケーブル4と接続される。負荷側端子85は、DC/DCコンバータ81に、リレーを含む負荷側直流回路812を介して接続されている。
【0148】
第17実施形態に示したように、DC/DCコンバータ81を設けた増設ユニット8と組み合わせた給電装置1を用いることで、1台の電気自動車Vの蓄電池を電源とした高出力の直流電力を分岐して提供する給電システム500を容易に構成させることが可能である。
【0149】
第15実施形態から第17実施形態に示した増設ユニット8は、第3実施形態から第14実施形態に示した多様な給電システムに適用可能である。
【0150】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1 給電装置
12 電源側端子
13 DC/DCコンバータ
14 制御部
16 負荷側端子
3,4 電力ケーブル
31 プラグ
6,6a,6b 接続箱
V 電気自動車