(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098200
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】フレキシブル脱水槽
(51)【国際特許分類】
B01D 29/27 20060101AFI20230703BHJP
B01D 39/08 20060101ALI20230703BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20230703BHJP
C02F 11/128 20190101ALI20230703BHJP
【FI】
B01D23/04
B01D39/08 Z ZAB
B01D39/16 A
C02F11/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214816
(22)【出願日】2021-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.展示日:令和3年12月7日~9日、展示会名:ものづくり補助事業展示商談会「中小企業新ものづくり・新サービス展」、開催場所:東京ビックサイト東7ホール 2.ウェブサイトの掲載日:令和3年12月21日、ウェブサイトのアドレス(URL):https://www.hydro-eg.asia/water/appliance-flexible/index.html
(71)【出願人】
【識別番号】316015372
【氏名又は名称】株式会社水循環エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】武島 俊達
【テーマコード(参考)】
4D019
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D019AA03
4D019BB03
4D019CA04
4D019CB04
4D059AA03
4D059AA06
4D059AA09
4D059BE04
4D059BE13
4D116AA05
4D116AA06
4D116AA11
4D116AA12
4D116AA13
4D116BB01
4D116BC17
4D116BC74
4D116DD06
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116GG12
4D116HH01B
4D116KK02
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QC08B
4D116QC22B
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】脱水のために複雑な機構を設置することなく、簡単に汚泥発生の現場で簡単に組み立てることができ、軽量で、手で楽に持ち運びできるフレキシブル脱水槽を提供すること。
【解決手段】織目又は網目の間隙から脱水された水を排出可能な織布又は不織布からなる袋状体と、一側スタンドと他側スタンドとを対向させて接続してなるフレコンスタンド3とを備え、袋状体がフレコンスタンド3の内側から上部に向かい、更にフレコンスタンド3の上部から外側に折り曲げ、更にフレコンスタンド3の外側を下方に垂れ下げるようにしてフレコンスタンド3に装着されてなり、袋状体の底部は、上部から下部に水を通水可能な間隙を有するパレット4上に載置されており、袋状体を装着してなるフレコンスタンド3の下方で、パレット4の外周には、排水可能な濾水プール5が設けられていることを特徴とするフレキシブル脱水槽1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織目又は網目の間隙から脱水された水を排出可能な織布又は不織布からなる袋状体と、
一側スタンドと他側スタンドとを対向させて接続してなるフレコンスタンドとを備え、
前記袋状体が前記フレコンスタンドの内側から上部に向かい、更に前記フレコンスタンドの上部から外側に折り曲げ、更に前記フレコンスタンドの外側を下方に垂れ下げるようにして前記フレコンスタンドに装着されてなり、
前記袋状体の底部は、上部から下部に水を通水可能な間隙を少なくとも有するパレット上に載置されており、
前記袋状体を装着してなるフレコンスタンドの下方で、前記パレットの外周には、排水可能な濾水プールが設けられていることを特徴とするフレキシブル脱水槽。
【請求項2】
前記濾水プールには、着脱可能な排水用ポンプが設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル脱水槽。
【請求項3】
前記袋状体が、ポリエチレン製又はポリプロピレン製の織布又は不織布により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフレキシブル脱水槽。
【請求項4】
前記フレコンスタンドの一側スタンドが、上部の半円ループ鋼管及び下部の半円ループ鋼管を備え、前記上部の半円ループ鋼管と下部の半円ループ鋼管の間に、複数本の竪型鋼管が所定間隔で配置固定されており、
且つ前記フレコンスタンドの他側スタンドが、上部の半円ループ鋼管及び下部の半円ループ鋼管を備え、前記上部の半円ループ鋼管と下部の半円ループ鋼管の間に、複数本の竪型鋼管が所定間隔で配置固定されており、
前記一側スタンドと他側スタンドを対向させて接続してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフレキシブル脱水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル脱水槽に関し、詳しくは、汚泥発生の現場で簡単に組み立てることができ、軽量で、手で楽に持ち運びできるフレキシブル脱水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、現場に組み立てられる簡易は水処理装置が開示されている。この装置では、凝集沈殿汚泥をポンプで濾布に移送し、重力脱水する汚泥脱水槽が開示されている。
しかし、この汚泥脱水槽では、濾布の表面に付着した汚泥を除去しないと、汚泥の脱水ができない難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6829450号公報
【特許文献2】特許6829452号公報
【特許文献3】特開2018-154406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この難点を解決するために、特許文献3には、フレコンバッグを用いて、汚泥を搬送しやくする工夫がなされているが、いずれの技術も、フレコンバッグの移送機構や脱水のための押圧機構が必要となっており、機構が複雑で、重量も大きいために現場で簡単に組み立てることができない欠点がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、脱水のために複雑な機構を設置することなく、簡単に汚泥発生の現場で簡単に組み立てることができ、軽量で、手で楽に持ち運びできるフレキシブル脱水槽を提供することにある。
【0006】
さらに、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
織目又は網目の間隙から脱水された水を排出可能な織布又は不織布からなる袋状体と、
一側スタンドと他側スタンドとを対向させて接続してなるフレコンスタンドとを備え、
前記袋状体が前記フレコンスタンドの内側から上部に向かい、更に前記フレコンスタンドの上部から外側に折り曲げ、更に前記フレコンスタンドの外側を下方に垂れ下げるようにして前記フレコンスタンドに装着されてなり、
前記袋状体の底部は、上部から下部に水を通水可能な間隙を少なくとも有するパレット上に載置されており、
前記袋状体を装着してなるフレコンスタンドの下方で、前記パレットの外周には、排水可能な濾水プールが設けられていることを特徴とするフレキシブル脱水槽。
(請求項2)
前記濾水プールには、着脱可能な排水用ポンプが設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル脱水槽。
(請求項3)
前記袋状体が、ポリエチレン製又はポリプロピレン製の織布又は不織布により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフレキシブル脱水槽。
(請求項4)
前記フレコンスタンドの一側スタンドが、上部の半円ループ鋼管及び下部の半円ループ鋼管を備え、前記上部の半円ループ鋼管と下部の半円ループ鋼管の間に、複数本の竪型鋼管が所定間隔で配置固定されており、
且つ前記フレコンスタンドの他側スタンドが、上部の半円ループ鋼管及び下部の半円ループ鋼管を備え、前記上部の半円ループ鋼管と下部の半円ループ鋼管の間に、複数本の竪型鋼管が所定間隔で配置固定されており、
前記一側スタンドと他側スタンドを対向させて接続してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフレキシブル脱水槽。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱水のために複雑な機構を設置することなく、簡単に汚泥発生の現場で簡単に組み立てることができ、軽量で、手で楽に持ち運びできるフレキシブル脱水槽を提供することができる。特に、本発明において、袋状体の底部を上部から下部に水を通水可能な間隙を有するパレット上に載置することによって、フレコンの下部からの汚泥の脱水を停止させることなく連続して脱水できるフレキシブル脱水槽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のフレキシブル脱水槽の一例を示す斜視図
【
図2】
図1のフレキシブル脱水槽の組立前の分解斜視図
【
図5】脱水終了後にフレコンごと脱水汚泥を取り出した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明のフレキシブル脱水槽の一例を示す斜視図であり、
図2は、
図1のフレキシブル脱水槽の組立前の分解斜視図である。
【0012】
図2に示すように、フレキシブル脱水槽1を形成するための部品を用意する。かかる部品としては、フレコンバッグ2、フレコンスタンド3、パレット4、濾水プール5、排水用ポンプ6が挙げられる。
【0013】
フレコンバッグ2は
図1に示す袋状体200を形成するための部品である。袋状体200は、織目又は網目の間隙から脱水された水を排出可能な可撓性のあるフレキシブルな袋状体であることが好ましい。織布又は不織布は、ポリエチレン製又はポリプロピレン製であることが好ましい。
【0014】
フレキシブルな袋状体200は、汚泥の脱水を行う濾布であり、濾布は、水の水柱による自重によって水を排出可能な間隙(織目、網目)が形成されていることが好ましい。
【0015】
フレキシブルな袋状体200は、間隙を有するが、間隙の大きさは、0.2~0.5mm程度の範囲が好ましい。
【0016】
3は可撓性のあるフレキシブルな袋状体200を形成するためのフレコンスタンドである。フレコンスタンド3は、一側スタンド3Aと他側スタンド3Bとを対向させて接続してなる構成である。
【0017】
一側スタンド3Aは、上部の半円ループ鋼管301及び下部の半円ループ鋼管302を備え、上部の半円ループ鋼管301と下部の半円ループ鋼管302の間に、複数本の竪型鋼管303、304、305、306、307が所定間隔で配置固定されている。
【0018】
他側スタンド3Bは、上部の半円ループ鋼管308及び下部の半円ループ鋼管309を備え、上部の半円ループ鋼管308と下部の半円ループ鋼管309の間に、複数本の竪型鋼管310、311、312、313、314が所定間隔で配置固定されている。
【0019】
竪型鋼管303と310は、例えば針金などで固定されており、必要な時に開放できるようになっている。かかる解放ができれば、フレコンバッグ2を取り外しが容易になる。本発明では、竪型鋼管303と310を対向接触させて針金などで固定されており、解放可能なように接続してなることが好ましい。
【0020】
フレコンスタンド3の外径としては、直径500~1500mmで、高さ500~1500mmの範囲であることが好ましい。
【0021】
フレームや竪型鋼管としては、円筒鋼管が軽量化の観点から好ましく、例えば15~18mmφの口径が好ましい。
【0022】
フレコンバッグ2を用いて、フレコンスタンド3に
図1に示すように装着する手法を説明する。
フレコンスタンド3は
図2に示すような形態であり、フレコンスタンド3の内側に袋状の部分を形成し、外側に折り返しの部分を形成している。
即ち、袋状体200をフレコンスタンド3の内側から上部に向かって装着していく。この装着によれば、フレコンスタンド3の内側に袋状の部分を形成できる。更にフレコンスタンド3の上部から外側に向かい、更に外側を下方に向かって装着していく。この外側の装着は、折り返しの部分の形成である。このようにして
図1の装着が実現でき、フレコンスタンド3の内側に汚泥の脱水を行う部屋が形成される。
【0023】
袋状体200の底部は、上部から下部に水を通水可能な間隙400を有するパレット4上に載置されている。袋状体200内に汚泥を入れて行くと、袋状体200を構成する濾布の間隙から水が外部に排出される。袋状体200の底部から排出された水は、上部から下部に水を通水可能な間隙400を通って濾水プール5に放流される。
【0024】
本発明では、袋状体200の底部がパレット4上に載置されると、脱水された水がパレットの存在によって水が外部に排出されないおそれがあるが、パレット4に上部から下部に水を通水可能な間隙400が形成れていることによって、袋状体200の脱水の障害がないという効果がある。
【0025】
また、パレット4は、濾布の間隙から外部に排出された水の水面を、袋状体200の底部まで至らせない高さを有していることが好ましい。パレット4がそのような高さを確保していることにより、袋状体200からの脱水が確実に行われるという効果がある。
【0026】
濾水プール5は、格別限定されないが、折り畳み式のプールが好ましい。現場で簡単に組み立てることができるし、あるいは折りたたんで持ち運びできるので、現場での作業性に優れるフレキシブル脱水槽を提供できる。
【0027】
濾水プール5内の水は、着脱可能な排水用ポンプ6を配置して、自動排水可能に構成することが好ましい。
【0028】
次に、脱水作業の方法を説明する。
図3に示すように、袋状体200をセットする。具体的には、濾水プール5の中央に設置されたパレット4の上に、袋状体200が載置される。フレコンスタンド3の下方は空間になっているので、その空間から袋状体200は下方に突出できるようになっており、その袋状体200の突出部がパレット4上に載置される。
【0029】
パレット4には、上部から下部に水を通水可能な間隙400が形成されているので、脱水が進み、袋状体から排出された水は、その間隙400を通って、濾水プール5に貯留される。
【0030】
一定の水位まで濾水がたまると、図示しないレベルセンサーが検知し、その検知信号を制御部が受信し、排水用ポンプ6に作動開始信号が送られ、排水用ポンプ6が稼働し、自動排水される。
【0031】
脱水するための汚泥をフレキシブル脱水槽1に入れる。
図3において、100は汚泥面を示している。
【0032】
静置しておくと脱水が進む。脱水された分離水は排水用ポンプ6で自動排水される。
【0033】
図4に示すように、脱水より汚泥が減容化すると、汚泥面100が下がる。この段階で残った袋状体200に残った汚泥は、濃度の高い(水分が少ない)汚泥である。
【0034】
次いで、脱水を継続するために、新たに汚泥を袋状体200に入れる。
【0035】
以上の脱水を繰り返して、脱水された汚泥が、
図5に示すように、袋状体200内に溜り、袋状体200が満杯になったら、フレコンスタンド3を開き、重機などでフレコン汚泥を取り出す。
【0036】
その後、新たに袋状体200をセットすれば、上記と同様の脱水を行うことができる。
【0037】
上記本発明のフレキシブル脱水槽は、脱水のために複雑な機構を設置することなく、汚泥発生した種々の現場で簡単に組み立てることができ、軽量で、手で楽に持ち運びができるため、誰しもが設置可能である。また、例えば、簡易な排水処理設備の脱水槽としても活用できる。
また、組み立て前のフレキシブル脱水槽は、コンパクトであり保管場所にも困らない。
【符号の説明】
【0038】
1:フレキシブル脱水槽
100:汚泥面
2:フレコンバッグ
200:袋状体
3:フレコンスタンド
3A:一側スタンド
3B:他側スタンド
301、302:半円ループ鋼管
303、304、305、306、307:竪型鋼管
308、309:半円ループ鋼管
310、311、312、313、314:竪型鋼管
4:パレット
400:間隙
5:濾水プール
6:排水用ポンプ