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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098215
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】コネクタ取付部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/60 20060101AFI20230703BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230703BHJP
   H01R 13/73 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01R13/60
B60R16/02 621A
H01R13/73 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214845
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和久
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA01
5E021FB09
5E021FB20
5E021FC40
5E021GA05
(57)【要約】
【課題】異音を生じない形で車体側に固定可能であり、様々な種類のコネクタを安定して保持可能となるコネクタ取付部材を提供する。
【解決手段】 コネクタ取付部材1は、長尺状の配線部12の端に取り付けられるコネクタ11を保持する保持部2と、所定の相手部材に取り付けるための取付部3と、を有する。保持部2は、枠体20と、コネクタ11を挟圧保持する対向弾性部21A、21Bと、枠体20の少なくとも一方の開口20H1側においてコネクタ11から延び出る配線部12を挟圧保持し、対向弾性部21A、21Bよりも撓みにくい対向位置決め部22A、22Bと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の配線部の取り付けられるコネクタを保持する保持部と、所定の相手部材に取り付けるための取付部と、が設けられ、
前記保持部は、
環状の枠体と、
前記枠体内において上下に対向形成され、それらの対向間において、対向間隔を上下に拡げる弾性変形を生じる形で前記コネクタを挟圧保持可能な対向弾性部と、
前記枠体の少なくとも一方の開口側において対向形成され、それらの対向間において、前記対向弾性部に挟圧保持される前記コネクタから延び出る前記配線部を挟圧保持可能であるとともに、前記対向弾性部よりも弾性変形によって対向間隔を拡げにくい対向位置決め部と、
を備えることを特徴とするコネクタ取付部材。
【請求項2】
前記枠体は、その貫通方向における前記対向位置決め部側の内部に、前記対向弾性部が形成されるコネクタ保持区間よりも外周側に内部空間が広がる配線側区間を有する請求項1に記載のコネクタ取付部材。
【請求項3】
前記対向弾性部と前記対向位置決め部とは、前記枠体の貫通方向から見た場合に、前記対向弾性部の対向間において当該対向弾性部と重なることなく前記対向位置決め部の双方が通過するように見える位置関係にある請求項1又は請求項2に記載のコネクタ取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に配策されるワイヤーハーネスには、途中で一部の電線が分岐するものがある。分岐した先にはコネクタが接続している。こうした分岐を有したワイヤーハーネスを車両に配策する場合、分岐した電線部分を使わないこともありえる。その場合、使わない分岐電線を他の電線とまとめるようにテープ材(オプションテープ)で結束しておくことになる。後にその分岐電線を使用することになった場合には、そのテープ材をカットすれば、その分岐電線が使用可能になる。
【0003】
ところが、こうしたワイヤーハーネスを、分岐先を使用しない形で車両に配置する際、その配置位置において、スペースが不足するような場合や、コネクタが走行振動により他部品と接触して異音が生じてしまうような場合は、上述のような分岐を有したワイヤーハーネスは使用できない。このため従来は、分岐の無いワイヤーハーネスを別品番として別途用意し、分岐したワイヤーハーネスの代わりに使用できるよう準備されていた。この場合、品番が増えることでワイヤーハーネスの管理の手間とコストが増えることが問題となる。また、ワイヤーハーネスを別品番として用意する以外の方法として、分岐した先のコネクタに接続可能な機器を模擬したダミーホルダーを車両側に固定しておき、このダミーホルダーの端子部にコネクタを接続することで、異音の発生を防ぐ方法がある。この場合も、ダミーホルダーの製造・管理によりコストが増えることが問題となる。
【0004】
一方で、特許文献1には、ワイヤーハーネスのコネクタを車体パネルに取り付けるためのクリップについて記載がある。これを利用すれば、使用しない分岐電線のコネクタをこのクリップに取り付けることで車体側に容易に固定することができ、走行振動でも異音が生じない。ところが、この場合も、コネクタの種類・形状ごとに対応するクリップを用意する必要があり、クリップを管理する手間とコストが増える問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-84978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、車体側に固定可能であり、様々な種類のコネクタを安定して保持可能となるコネクタ取付部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するためのコネクタ取付部材は、
長尺状の配線部の取り付けられるコネクタを保持する保持部と、所定の相手部材に取り付けるための取付部と、が設けられ、
前記保持部は、
環状の枠体と、
前記枠体内において上下に対向形成され、それらの対向間において、対向間隔を上下に拡げる弾性変形を生じる形で前記コネクタを挟圧保持可能な対向弾性部と、
前記枠体の少なくとも一方の開口側において対向形成され、それらの対向間において、前記対向弾性部に挟圧保持される前記コネクタから延び出る前記配線部を挟圧保持可能であるとともに、前記対向弾性部よりも弾性変形によって対向間隔を拡げにくい対向位置決め部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成のコネクタ取付部材は、車体側に固定できるためコネクタが走行振動により他部品と接触して異音が生じてしまうことがない。その上で、上側と下側の弾性部で挟む形でコネクタを保持するから、様々な種類・形状のコネクタを保持できる。さらには、挟圧保持したコネクタから延び出る配線についても挟圧した形で保持するので、コネクタを安定して保持できる。コネクタ付近で配線がねじれの力を受けて断線するような心配もない。さらには、配線を挟圧保持する対向位置決め部は、対向間がコネクタよりも幅の小さい配線を挟む程度の隙間を有する形状であり、かつ弾性変形によってその隙間が拡がりにくい部位である。このため、コネクタ保持状態においてコネクタが配線側へと引っ張られた時、対向位置決め部は、コネクタに当接する位置に存在することになり、コネクタの抜け止め部としても機能する。
【0009】
前記枠体は、その貫通方向における前記対向位置決め部側の内部に、前記対向弾性部が形成されるコネクタ保持区間よりも外周側に内部空間が広がる配線側区間を有するように形成できる。一般的なコネクタは、配線が延び出る後端側に外側に膨出・突出するような形状になることが多い。上記構成によれば、その膨出・突出部分を収容することが可能となり、それらの部分が存在しにくい前端側を対向弾性部が安定して挟圧保持できる。なお、配線側区間は、例えば前記対向弾性部の非形成区間とすることで枠体内に容易に形成できる。
【0010】
前記対向弾性部と前記対向位置決め部とは、前記枠体の貫通方向から見た場合に、前記対向弾性部の対向間において当該対向弾性部と重なることなく前記対向位置決め部の双方が通過するように見える位置関係にあるように形成できる。この構成によれば、上下方向において、上下の対向弾性部の対向間となる高さ領域内に対向位置決め部が位置することになる。対向弾性部に挟まれたコネクタからは、そのほぼ中心くらいの位置から配線が後方に延び出ているので、上記構成のように位置する対向位置決め部は、その配線を無理なく挟むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施例に係るコネクタ取付部材のコネクタ保持状態を示す斜視図。
図2】第一実施例のコネクタ取付部材によるコネクタ保持前の状態を示す斜視図。
図3】相手部材への取り付け前の状態を示す説明図。
図4】相手部材への取り付け後の状態を示す説明図。
図5図4を枠体の貫通方向に直交する方向で切断した断面図。
図6図4の中央断面図。
図7図1とは別のコネクタを保持した状態を示す斜視図。
図8図7に示す別コネクタを保持し、相手部材に取り付けられた状態を示す説明図。
図9図8の中央断面図。
図10】第二実施例に係るコネクタ取付部材を示す斜視図。
図11】第二実施例のコネクタ取付部材によるコネクタ保持前の状態を示す斜視図。
図12】第二実施例のコネクタ取付部材が図1に示すコネクタを保持し、相手部材に取り付けられた状態を示す説明図。
図13図12の中央断面図。
図14】第三実施例に係るコネクタ取付部材のコネクタ保持状態を示す斜視図。
図15】第三実施例のコネクタ取付部材によるコネクタ保持前の状態を示す斜視図。
図16】第三実施例のコネクタ取付部材が図1に示すコネクタを保持し、相手部材に取り付けられた状態を示す説明図。
図17図16の中央断面図。
図18】第三実施例のコネクタ取付部材が、図7に示す別コネクタを保持した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施例のコネクタ取付部材1は、図1に示すように、長尺状の配線部材10に取り付けられるコネクタ11を保持する保持部2と、所定の相手部材210(図3及び図4参照)に取り付けるための取付部3と、が一体をなして形成される。ここでのコネクタ取付部材1は、保持部2及び取付部3を含む全体が樹脂やエラストマー等の単一材料で一体成形されている。ただし、コネクタ取付部材1は、必ずしも単一材料で一体成形されたものに限らず、例えば2色成形により複数材料が一体成形されたものでもよい。
【0014】
配線部材10は、図6に示すように、芯部の電線12Aの外周が保護材12Bに覆われた配線部12と、配線部12の長手方向の端に取り付けられるコネクタ11と、を有する。本実施例の配線部材10は、複数の配線部材が結束されて束をなすワイヤーハーネス(図示なし)に含まれる1つの配線部材であり、各図にはその端部が図示されている。つまり、この配線部材10は、背景技術で述べたワイヤーハーネスの分岐電線とすることもできる。
【0015】
相手部材210は、ここでは車両に設けられるパネル材であり、例えば図3及び図4に示すような、インパネ、ドアトリム、デッキサイドトリム等の車両用パネル材及び内装部材とすることができる。なお、相手部材210は、上記の車両用パネル材及び内装部材に限るものではなく、また、パネル材に限るものでもない。ここでの相手部材210は貫通孔201を有したパネル材であり、コネクタ取付部材1は、その貫通孔201に取付部3を挿通することにより相手部材210に対し固定される。
【0016】
取付部3は、支柱31と、支柱31の先端から基端側に向けて延び出し、支柱31に対し接近する弾性変形が可能な弾性片32と、弾性片32の先端に設けられた係止部33と、支柱31の基端側から先端側に向けて皿状に広がる押上部34と、を一体に有する。取付部3は、図3に示すように、貫通孔201に対し、支柱31の先端から挿入され、弾性片32を支柱31に接近させる弾性変形を生じさせる形で通過するとともに、通過後には弾性復帰して、図4に示すように、係止部33が貫通孔201の挿入方向の奥側に回り込んで貫通孔201の開口周辺部202に係止した抜け止め状態となる。他方、皿状の押上部34は、貫通孔201に対し挿入されず、挿入方向の手前側から貫通孔201の開口周辺部202に対し当接する。このように取付部3は、相手部材210に対し貫通孔201に挿入され、開口周辺部202を係止部33と押上部34とで挟む形で組付けられる。これにより、相手部材210に対しコネクタ取付部材1が取り付けられた取付構造200が形成される(図4参照)。
【0017】
なお、取付部3は、相手部材210に取り付けるための部位であればよく、上記のようなものに限るものではなく、例えばボルトやブラケット等であってもよい。貫通孔201についてもこれに限るものではなく、取付部3に対応するものであればよい。
【0018】
保持部2は、図1に示すように、環状の枠体20と、枠体20の内部において上下に対向形成され、それらの対向間において対向間隔を上下に拡げる弾性変形を生じる形でコネクタ11を挟圧保持可能なコネクタ保持部をなす対向弾性部21A、21Bと、枠体20の少なくとも一方の開口20H1側(図6参照)において対向形成され、それらの対向間において、対向弾性部21A、21Bに挟圧保持されるコネクタ11から延び出る配線部12を挟圧保持可能な配線保持部をなす対向位置決め部22A、22B(図2及び図6参照)と、を有する。対向位置決め部22A、22Bは、対向弾性部21A、21Bよりも対向間隔が狭く、かつ対向弾性部21A、21Bよりも対向間隔を弾性変形によって拡げにくいように形成される。
【0019】
枠体20は、図3~なお、に示すように、ここでは断面が略四角形の筒状に形成され、上面部20aと、左右の側面部20b、20cと、下面部20dと、を一体に有する。略四角形断面の四辺の一辺をなす側面部(ここでは上面部20a)には、上記の取付部3が突出形成される。なお、取付部3は、枠体20から外向きに突出するものであればよく、他の位置に形成されていてもよい。
【0020】
また、枠体20は、図1図2に示すように、二分割開閉式の筒状(環状)の枠体であり、上側の第一枠体部20Aと、下側に第二枠体部20Bと、を有し、それぞれの一方の端部がヒンジ部20bJによって接続し、それぞれの他方の端部が組付け部20kA、20kBによって組付け可能(図5参照)である。なお、図5の断面図では、図4の相手部材を省略している。
【0021】
第一枠体部20Aは、図3図5に示すように、上面部20aと、側面部20cをなす組付け側端部20cAと、側面部20bをなすヒンジ部20bJ側の端部20bA(以下、ヒンジ側端部20bAという)と、を有したコの字状(U字状)をなし、組付け側端部20cAに組付け部20kA、20kBの一方をなす第一組付け部20kAが設けられる。他方、第二枠体部20Bは、下面部20dと、側面部20cをなす組付け側端部20cBと、側面部20bをなすヒンジ部20bJ側の端部20bB(以下、ヒンジ側端部20bBという)と、を有したコの字状(U字状)をなし、組付け側端部20cBに組付け部20kA、20kBの他方をなす第二組付け部20kBが設けられる。
【0022】
図5に示すように、ここでの第一組付け部20kAは係合凹部であり、第二組付け部20kBは係止爪部である。係合凹部をなす第一組付け部20kAは、内側に位置する内壁部20k1とその外側で対向する弾性係止壁部20k2との対向間で下方に開口する凹部であり、当該開口から第二組付け部20kBを上方に向けて挿入可能である。この挿入の際に、第一組付け部21kAの弾性係止壁部20k2は、第二組付け部20kBの先端爪部20k4によってその下端側を外向きに押し広げる弾性変形が生じる。弾性係止壁部20k2は、その下端側に内向きに突出する係止部20k3が設けられており、挿入された第二組付け部20kBの先端爪部20k4が当該係止部20k3を乗り越えるに伴い弾性復帰し、係止部20k3が先端爪部20k4と係止した抜け止め状態となる。これにより、第一組付け部20kAと第二組付け部20kBとが組付け状態となり、枠体20が環状化される。
【0023】
対向弾性部21A、21Bは、図1図5に示すように、下端側が上方に変位する弾性変形が可能な上側弾性部21Aと、枠体20の内部下側に設けられ、上端側が下方に変位する弾性変形が可能な下側弾性部21Bと、からなる。ここでの対向弾性部21A、21Bは、それぞれが枠体20の上面部20a及び下面部20dの対応する側の内壁に接続し、それら上面部20a及び下面部20dの対応する側を含む形で略長円形の断面を有した筒状に形成される(図2参照)。対向弾性部21A、21Bは、それぞれが上面部20a及び下面部20dの一方とのみ接続しているから、上記のような弾性変形を生じる際に他の部位の影響を受けることがないため、弾性変形を生じやすい。
【0024】
具体的にいえば図5に示すように、ここでの上側弾性部21Aは、下端側が上方に変位することで上下方向Zにつぶれる形の弾性変形を生じ、この変位の際に左右方向Y(幅方向ともいう)にも拡がる変形を生じる。同様に、下側弾性部21Bも、上端側が下方に変位することで上下方向Zにつぶれる形の弾性変形を生じ、この変位の際に左右方向Yにも拡がる変形を生じる。したがって、枠体20は、上側弾性部21A及び下側弾性部21Bが左右方向Yに拡がることを許容する空隙を有している。なお、左右方向Yは、枠体20の貫通方向X(図6参照)と上下方向Zとの双方に対して直交する方向である。なお、図6の断面図では、図4の相手部材を省略している。
【0025】
対向位置決め部22A、22Bは、図3及び図4に示すように、枠体20の少なくとも一方の開口20H1側(ここでは開口20H1側のみ:図6参照)において、それぞれが当該開口20H1を橋渡すよう、当該開口20H1の縁部の対向する2位置を結ぶ形で形成される。ここでの対向位置決め部22A、22Bは、互いに平行をなして直線状に延びる直線板状部であり、図2に示すように、第一枠体部20Aのヒンジ側端部20bAと組付け側端部20cAとを結ぶ第一板状部22Aと、第二枠体部20Bのヒンジ側端部20bBと組付け側端部20cBとを結ぶ第二板状部22Bと、からなる。
【0026】
これらの対向位置決め部22A、22Bは、それぞれが撓み等の弾性変形を生じる際に、第一枠体部20Aや第二枠体部20Bの剛性の影響受ける。例えば直線状に延びる対向位置決め部22A、22Bがその中央において上方向に押し上げられる場合には、第一枠体部20Aや第二枠体部20Bにも撓み変形が生じることになる。このため、対向位置決め部22A、22Bは、他の部位の影響を受けずに自身のみでの弾性変形が可能な対向弾性部21A、21Bと比べて、弾性変形が生じにくい。したがって、対向位置決め部22A、22Bによって配線部12を挟圧した場合、その挟圧力は強く、配線部12を位置決めした形で保持することができる。このように、配線部12の位置が固定されることにより、対向弾性部21A、21Bはコネクタ11をより安定して保持できる。また、対向位置決め部22A、22Bは、コネクタ11の開口20H1(図6参照)側からの抜けを阻止する役割も果たせる。
【0027】
また、対向弾性部21A、21Bと対向位置決め部22A、22Bとは、枠体20の貫通方向Xから見た場合(図3及び図4の参照)に、弾性変形していない状態の対向弾性部21A、21B(破線)の対向間において、当該対向弾性部21A、21Bと重なることなく、同じく弾性変形していない状態の対向位置決め部22A、22B(破線)が通過するように見える位置関係にある。言い換えれば、対向弾性部21A、21B及び対向位置決め部22A、22Bは、それぞれが弾性変形していない状態で枠体20の貫通方向Xに直交する面に投影された時に、投影された対向弾性部21A、21Bの対向間において、同じく投影された対向位置決め部22A、22Bが当該対向弾性部21A、21Bと重なることなく延びる位置関係にあるともいえる。これは、対向弾性部21A、21Bに挟圧保持されたコネクタ11から延び出る配線部12を、対向位置決め部22A、22Bが挟圧保持しやすいようにするためである。この位置関係が成立することにより、対向位置決め部22A、22Bは、配線部12を大きく屈曲させる等の負荷をかけることなく挟むことができる。
【0028】
また、枠体20は、図6に示すように、その内部において、貫通方向Xの対向位置決め部22A、22B側において、対向弾性部21A、21Bが形成されるコネクタ保持区間S1よりも外周側に内部空間が拡がる配線側区間S2を有する。ここでの配線側区間S2は、対向弾性部21A、21Bが非形成とされることにより、外周側に内部空間を拡げている。配線側区間S2では、対向弾性部21A、21Bに挟圧保持されるコネクタ11の配線延出側に設けられる外向きに突出する凸部11T(コネクタ凸部)等を収容可能である。コネクタ11の後端部(配線部延出側端部)には、コネクタ11の過剰挿入を阻止するべく外向きに突出した凸部11Tが設けられることが多く、本実施例ではこの凸部11Tを、対向弾性部21A、21Bの間で挟むのではなく、それらと干渉しないよう配線側区間S2の内部空間(コネクタ凸部収容空間)にて収容可能となる。
【0029】
このようにコネクタ取付部材1は、図1図6に示すようなコネクタ11及び配線部12を有した配線部材10を保持することができる。ここでコネクタ11及び配線部12を保持する手順について説明する。
【0030】
まずは、第一枠体部20A(第一組付け部20kA)と第二枠体部20B(第二組付け部20kB)とが図2に示すように開いた非組付け状態とする。
【0031】
次に、対向弾性部21A、21Bの一方(図2では21B)にコネクタ11を載置するとともに、その一方を備える枠体部(図2では第二枠体部20B)に設けられた対向位置決め部(図2では22B)に配線部12を載置する。ここでは配線部12のうち、コネクタ11側で電線12A(図6参照)が露出した部分が当該対向位置決め部(図2では22B)に載置される。なお、コネクタ11は、貫通方向Xにおいて載置位置を調整し、凸部11Tが配線側区間S2に収容させる。
【0032】
その上で、対向弾性部21A、21Bの他方(図2では21A)をそのコネクタ11に被せるよう、その他方を備える枠体部(図2では20A)を、ヒンジ部20bJを中心に揺動させる。これにより、双方の枠体部20A、20Bの組付け部20kA、20kBを接近させ、上述のように組付け状態(図1参照)とする。
【0033】
これにより、コネクタ11が対向弾性部21A、21Bによって、それらを弾性変形させる形で挟圧保持され、かつ挟圧保持されたコネクタ11から延び出る配線部12(ここでは電線12A)が対向位置決め部22A、22Bによって挟圧されて位置決め保持された状態となる(図5及び図6参照)。
【0034】
なお、対向位置決め部22A、22Bは、電線12Aを挟圧してもよいし、保護材12Bの部分で保護材12Bを押しつぶす形で挟圧保持しても良い。
【0035】
ところで、コネクタ取付部材1は、コネクタ11とは異なる別形状・別サイズのコネクタ及び配線部を有した配線部材についても、図1図6の配線部材10(コネクタ11及び配線部12)と同様にして保持できる。例えば図7図9に示す配線部材10’には、コネクタ11よりもサイズの大きいコネクタ11’が配線部12の端に取り付けられている。この場合、保持部2の対向弾性部21A、21Bを弾性変形させる形でコネクタ11’を挟圧保持できることは同じであり、他についても上述の配線部材10と同様となる。ただし、コネクタ11’のサイズが大きい分、対向弾性部21A、21Bの弾性変形量は多くなる。
【0036】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0037】
以下、上記した実施例とは別の実施例やそれら実施例の変形例について説明する。なお、上記実施例と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、上記実施例と、下記変形例及び別実施例とは、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
【0038】
上記実施例において、第一枠体部20Aと第二枠体部20Bとのヒンジ部20bJ側も、互いに組付け可能とされた組付け部としてもよい。この場合、第一枠体部20Aと第二枠体部20Bとは別体となり、それぞれの両端の組付け部が組付けられることで、枠体20は環状化される。
【0039】
上記実施例において、対向位置決め部22A、22Bは、枠体20の少なくとも一方の開口20H1側だけでなく、他方の開口側にも形成してもよい。
【0040】
例えば図10図13に示すコネクタ取付部材1Aでは、一方の開口20H1側だけでなく、他方の開口20H2側(図10及び図13参照)においても、対向弾性部21A、21Bに挟圧保持されるコネクタ11から延び出る配線部12を挟圧保持可能で、かつ対向弾性部21A、21Bよりも弾性変形によって対向間隔を拡げにくい対向位置決め部22A、22Bを形成し、それらの対向間に、挟圧保持部2に挟圧保持されるコネクタ11から延び出る配線部12を挟圧保持可能とすることができる(図12及び図13参照)。なお、図12の破線は対向弾性部21A、21Bの弾性変形前の状態を示している。
【0041】
また、この場合、他方の開口20H2側にも、対向弾性部21A、21Bが形成されるコネクタ保持区間S1よりも外周側に内部空間が拡がる配線側区間S2を形成してもよい。ここで示したコネクタ取付部材1Aも、既に述べた実施例と同様、コネクタ11’や他のコネクタを対向弾性部21A、21Bで挟圧保持し、その配線部12を対向位置決め部22A、22Bで挟圧保持することができる。
【0042】
上記実施例において、対向弾性部21A、21Bは他形状でもよい。
【0043】
例えば図14図18に示すコネクタ取付部材1Bでは、対向弾性部21A、21Bは、枠体20の上面部20aに対し隙間を挟む形で枠体20の内壁から左右方向Y側に延び出る上側弾性片21Cと、枠体20の下面部20dに対し隙間を挟む形で枠体20の内壁から左右方向Y側に延び出る下側弾性片21Dと、を対向弾性部とすることができる。これらの弾性片21C、21Dは、図16に示すように、枠体20と接続する基端側を支点に先端側を上下に弾性変形させることが可能(図16の破線は弾性変形前の状態を示している)であるから、例えば図14及び図18に示すような様々な形状のコネクタ11、11’をそれらの対向間にて挟圧保持することができる。ここでは、上側弾性片21Cが左右の側面部20b、20cのうちの一方から他方側へ、下側弾性片21Dが左右の側面部20b、20cのうちの他方から一方側へと延び出すとともに、図16に示すように、それらを貫通方向Xに直交する投影面に投影した時に双方が回転対象形状をなす形で形成されている。これにより、これらに挟圧保持されるコネクタ(例えばコネクタ11、11’等)は、枠体20内において左右上下に偏ってずれることがなく、枠体20内の中央で挟圧保持することが可能になる。また、そこから延び出る配線部12も、枠体20の中央から後方に延び出す構造となるので、上記実施例と同様に形成される対向位置決め部22A、22Bによって配線部12を無理なく容易に挟圧保持可能になる。
【0044】
上記実施例において、対向位置決め部22A、22Bは、両端が枠体20に接続する構造であることで、対向弾性部21A、21B(あるいは21C、21D)よりも弾性変形によって対向間隔を拡げにくいように形成されているが、他の方法で拡げにくくしてもよい。例えば対向位置決め部22A、22Bを断面L字状の部位とする等、対向位置決め部22A、22Bそのものの剛性を対向弾性部21A、21B(あるいは21C、21D)よりも高くするようにしてもよい。
【0045】
上記実施例において、対向弾性部21A、21Bと対向位置決め部22A、22Bとは、上記時のような位置関係に限らず、枠体20の貫通方向Xから見た場合に、少なくともそれぞれが枠体20の開口領域の重心位置G(図5図12図16参照)を挟むように対向して位置するように形成されてもよい。この条件を満たす場合も、コネクタ(例えばコネクタ11、11’等)と、そこから延び出る配線部12との双方を無理なく容易に挟圧保持できる。なお、この位置条件は、上述した全ての実施例において満たされている。
【0046】
上記実施例において、配線部材10、10’は配線部12を共通としているが、対向位置決め部22A、22Bの対向間で挟圧保持できるものであれば、上記とは異なる配線部、例えば径が異なる配線部等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B コネクタ取付部材
10、10’ 配線部材
11、11’ コネクタ
12 配線部
2 保持部
20 枠体
21A、21B 対向弾性部
21C、21D 対向弾性部
20H1 一方の開口
22A、22B 対向位置決め部
3 取付部
図1
図2
図3
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