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特開2023-98218透明液体柔軟剤組成物と別容器に充填された香料組成物とを備える繊維製品処理用物品およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098218
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】透明液体柔軟剤組成物と別容器に充填された香料組成物とを備える繊維製品処理用物品およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/165 20060101AFI20230703BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20230703BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20230703BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20230703BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
D06M13/165
D06M13/00
D06M15/643
D06M13/144
D06M13/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214850
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 寛也
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA00
4L033BA11
4L033BA14
4L033BA21
4L033CA59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明柔軟剤と別容器に充填された香料組成物を混合する際、所望の香りに調整できるよう、生活者が外観で認知可能な組成物とその使用方法を提供する。
【解決手段】容器に充填されている繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、該繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている香料組成物とを備える繊維製品処理用物品であって、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、(A)柔軟基剤と、(B)特定の溶剤とを含有し、前記溶剤の含有量が、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物中、1質量%以上10質量%以下であり、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有し、前記香料組成物が、(a)香料成分:15質量%~70質量%、及び(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤:10質量%~85質量%を含有する、前記繊維製品処理用物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に充填されている繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、該繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている香料組成物とを備える繊維製品処理用物品であって、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、
(A)柔軟基剤と、
(B)下式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤
(式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはフェニル基であり、R2は、炭素数1~3のアルキレン基であり、nは平均繰り返し数を示す1~3の数であり、
式(2)中、R4及びR6はメチル基であり、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R9は、水素原子またはアセチル基である。)
とを含有し、
前記溶剤の含有量が、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物中、1質量%以上10質量%以下であり、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有し、
前記香料組成物が、
(a)香料成分:15質量%~70質量%、及び
(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤:10質量%~85質量%
を含有する、
前記繊維製品処理用物品。
【請求項2】
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、(B)成分として、式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤を含有する、請求項1に記載の繊維製品処理用物品。
【請求項3】
波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有する繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、香料組成物とを混合することを含む、該混合後の前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させる方法であって、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、
(A)柔軟基剤と、
(B)下式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤
(式中、各R基は明細書に記載のとおりである。)
とを含有し、
前記溶剤の含有量が、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物中、1質量%以上10質量%以下であり、
前記香料組成物が、
(a)香料成分:15質量%~70質量%、及び
(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤:10質量%~85質量%
を含有し、
前記混合後の繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態の変化が、該混合前よりも前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の前記光透過率を低下させるか、又は分離を生じさせることである、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品処理用物品に関する。詳細には、本発明は、利便性が向上した繊維製品処理用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
透明柔軟剤は、外観上情緒価値を提供することができる。透明柔軟剤において、柔軟基剤としては陽イオン界面活性剤やシリコーンを溶剤に溶解させた組成が用いられる。これらの組成の特徴として、透明組成にするため有機溶剤の配合量が乳化組成よりも多いため香料の溶解性が高いことが挙げられる。
生活者自身が気分によって好みの香りを調整しようとした場合、別容器に充填された香料組成物を使用する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、透明柔軟剤は香料の溶解性が高いが故に、過度に香料を入れてしまった場合も外観上の変化がなく、結果として強すぎる香りになり、所望の香りを作ることが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-23776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景に鑑み、透明柔軟剤と別容器に充填された香料組成物を混合する際、所望の香りに調整できるよう、生活者が外観で認知可能な組成物とその使用方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記〔1〕~〔3〕に関するものである。
〔1〕容器に充填されている繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、該繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている香料組成物とを備える繊維製品処理用物品であって、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、
(A)柔軟基剤と、
(B)下式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤
【化1】
(式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはフェニル基であり、R2は、炭素数1~3のアルキレン基であり、nは平均繰り返し数を示す1~3の数であり、
式(2)中、R4及びR6はメチル基であり、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R9は、水素原子またはアセチル基である。)
とを含有し、
前記溶剤の含有量が、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物中、1質量%以上10質量%以下であり、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有し、
前記香料組成物が、
(a)香料成分:15質量%~70質量%、及び
(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤:10質量%~85質量%
を含有する、
前記繊維製品処理用物品。
〔2〕前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、(B)成分として、式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤を含有する、前記〔1〕に記載の繊維製品処理用物品。
〔3〕波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有する繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、香料組成物とを混合することを含む、該混合後の前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させる方法であって、
前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、
(A)柔軟基剤と、
(B)下式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤
【化2】
(式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはフェニル基であり、R2は、炭素数1~3のアルキレン基であり、nは平均繰り返し数を示す1~3の数であり、
式(2)中、R4及びR6はメチル基であり、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R9は、水素原子またはアセチル基である。)
とを含有し、
前記溶剤の含有量が、前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物中、1質量%以上10質量%以下であり、
前記香料組成物が、
(a)香料成分:15質量%~70質量%、及び
(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤:10質量%~85質量%
を含有し、
前記混合後の繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態の変化が、該混合前よりも前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の前記光透過率を低下させるか、又は分離を生じさせることである、前記方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、透明柔軟剤と別容器に充填された香料組成物を混合する際、所望の香りに調整できるよう、生活者が外観の変化を認知することができる。
本発明の一態様によれば、透明柔軟剤と別容器に充填された香料組成物を混合する際、所望の香りに調整できるよう、生活者が外観の変化を認知することができ、その使用性も良好である。
【0007】
本発明の繊維製品処理用物品は、容器に充填されている繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、該繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている香料組成物とを備える。本発明の繊維製品処理用物品は、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と香料組成物との組み合わせのみからなるものに限定されるわけではなく、適宜、他の構成要素を含んでもよい。
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物は、(A)柔軟基剤と、(B)特定の溶剤とを含有し、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有する。なお、本明細書において、波長660nmにおける光透過率は、分光光度計U-3900(日立社製)により測定した値である。
本発明において、香料組成物は、(a)香料成分と、(b)水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤とを含有する。
本明細書において、「透明」とは、柔軟剤が乳化系でないことを指すものであり、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有する系は透明である。
本明細書において、「水への溶解度が1g/100g以下」とは、対象物質と水を1g:100gの比率で混合した際に、混合直後に分離すること、または、混合後の液体において波長660nmにおける光透過率が95%未満であることを指す。
【0008】
I.繊維製品用透明液体柔軟剤組成物
[(A)成分]
繊維製品用透明液体柔軟剤組成物に配合される(A)成分は、柔軟基剤であり、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、柔軟剤本来の機能)を奏する。
(A)成分としては、特に限定されないが、3級アミン又は4級アンモニウム塩やシリコーンが挙げられる。
これらのうち、(A)成分としてはシリコーンが好ましい。シリコーンとしては、公知のシリコーン化合物を用いることができ、シリコーン化合物は、繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさ、ドレープ性を付与することが可能であれば特に限定されない。
一般的に繊維処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0009】
シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。特に、柔軟処理した繊維製品の黄変を防止するために、アミノ基を含有しないシリコーン化合物であることが好ましい。更に、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物が、カチオン性を有する水溶性高分子化合物を含有する場合、シリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、柔軟性、滑らかさ、ドレープ性を高める点から、シリコーン化合物は、非イオン性であることが好ましく、より好ましい例としては、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
シリコーンのうち、特に好ましいシリコーン化合物として、柔軟性付与及び液体柔軟剤組成物を透明にし、容器(特にキャップ接合部)や家庭用電気洗濯機の自動投入口に固着物を発生させず、商品価値を高めることができるなどの観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。本シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有するとともに、透明な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。更に、静電気防止性や吸水性を得るのにも好適である。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1~3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2~5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンの共重合体が好ましい。なお、ポリオキシアルキレンとは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダム又はブロック重合体を示す。このようなものとして、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0010】
【化3】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10~10000、Nは1~1000、かつM>Nであることが好ましく、Mは10~1000、Nは1~50、かつM>Nであることが更に好ましい。Mが大きいほど柔軟性は良好となるが、シリコーン化合物の粘度が高くなるため柔軟剤組成物製造時の作業性が悪くなる場合がある。aは2~100、bは0~50が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
【0011】
本発明において用いられるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22-008、BY22-012、SF8421、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、日本ユニカー(株)製のSILWET L-7001、SILWET L-7002、SILWET L-7602、SILWET L-7604、SILWET FZ-2104、SILWET FZ-2120、SILWET FZ-2161、SILWET FZ-2162、SILWET FZ-2164、SILWET FZ-2171等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0012】
3級アミン又は4級アンモニウム塩としては、「エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である、カチオン界面活性剤が挙げられる。
炭素数10~26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は10~26であり、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると液体柔軟剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0013】
長鎖炭化水素基は、エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
アミン化合物としては、2級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が2個)又は3級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が3個)が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
【0014】
アミン化合物としては、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
[式中、R1~R3はそれぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7~21の炭化水素基である。)、-(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7~21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、-(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、
1~R3のうちの少なくとも1つは、炭素数10~26の炭化水素基、-CH2CH(Y)OCOR4、又は-(CH2nNHCOR5である。]
【0015】
一般式(A1)中、R1~R3における炭素数10~26の炭化水素基の炭素数は、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
-CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R4は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0016】
4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、80/20~0/100がより好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
【0017】
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは80/20~0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0018】
一般式(A1)における、基「-(CH2nNHCOR5」中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
5は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
【0019】
一般式(A1)において、R1~R3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10~26の炭化水素基)、-CH2CH(Y)OCOR4、又は-(CH2nNHCOR5であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
1~R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2nNH2であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2nNH2におけるnは、-(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
【0020】
一般式(A1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(A1-1)~(A1-8)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
〔(A1-1)式中、R7及びR8はそれぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基である。(A1-2)~(A1-8)の各式中、R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基である。〕
【0021】
7及びR8における炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR1~R3における炭素数10~26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
9及びR10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0022】
(A)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
【0023】
(A)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0024】
(A)成分としては、
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1-1)~(A1-8)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1-4)~(A1-6)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
特に、一般式(A1-4)で表される化合物の4級化物と、(A1-5)で表される化合物の4級化物と、(A1-6)で表される化合物の4級化物とを併用することが好ましい。
【0025】
一般式(A1)及び(A1-1)~(A1-8)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(A1-2)で表される化合物(以下「化合物(A1-2)」という)と、一般式(A1-3)で表される化合物(以下「化合物(A1-3)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(A1-2)/化合物(A1-3)」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1-2)の4級化物/化合物(A1-3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0026】
一般式(A1-4)で表される化合物(以下「化合物(A1-4)」という)と、一般式(A1-5)で表される化合物(以下「化合物(A1-5)」という)と、一般式(A1-6)で表される化合物(以下「化合物(A1-6)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(A1-4)が1~60質量%、化合物(A1-5)が5~98質量%、化合物(A1-6)が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-4)が30~60質量%、化合物(A1-5)が10~55質量%、化合物(A1-6)が5~35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1-4)の4級化物が1~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が5~98質量%、化合物(A1-6)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-4)の4級化物が30~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が10~55質量%、化合物(A1-6)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0027】
一般式(A1-7)で表される化合物(以下「化合物(A1-7)」という)及び一般式(A1-8)で表される化合物(以下「化合物(A1-8)」という)は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N-メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-1,3-プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(A1-7)/化合物(A1-8)」で表される存在比率が質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
またその4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1-7)の4級化物/化合物(A1-8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0028】
(A)成分としての3級アミン又は4級アンモニウム塩は、1種類のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(A1-4)~(A1-6)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
(A)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の総質量に対し、1~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、1.5~20質量%が更に好ましい。(A)成分の配合量が1質量%以上であると、柔軟性付与効果が良好であり、(A)成分の配合量が30質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の保存安定性が良好である。
【0029】
[(B)成分]
繊維製品用透明液体柔軟剤組成物に配合される(B)成分は、柔軟剤の外観を透明にする効果を奏する。
(B)成分は、下式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤である。
【化6】
(式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはフェニル基であり、R2は、炭素数1~3のアルキレン基であり、nは平均繰り返し数を示す1~3の数であり、
式(2)中、R4及びR6はメチル基であり、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、R9は、水素原子またはアセチル基である。)
【0030】
(B)成分は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
式(1)で表される化合物の具体例としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、フェノキシエタノールが挙げられる。
式(2)で表される化合物の具体例としては、3-メトキシブタノ-ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-2-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-1-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-プロピルブタノ-ル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-2-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-1-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-プロピルブチルアセテート等が挙げられる。
(B)成分としては、これらの中でも特に、(A)成分の溶解性に優れ、水への溶解も可能であり、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の外観透明を達成しやすいという観点から、式(1)で表される化合物を少なくとも1種類以上含むことが好ましく、具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。
式(2)で表される化合物としては、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-2メチルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテートが好ましく、3-メトキシ-3-メチルブタノールがより好ましい。
【0031】
(B)成分の配合量は、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の総質量に対し、1質量%以上10質量%以下であり、3~10質量%が好ましく、5~8質量%がより好ましい。(B)成分の配合量が1質量%以上であると、柔軟剤組成物の透明性を維持することができ、(B)成分の配合量が10質量%以下であると、香料組成物との混合による柔軟剤組成物の状態変化を外観で認知可能である。
繊維製品用透明液体柔軟剤組成物における、(B)成分に対する(A)成分の質量比(A)/(B)は、柔軟剤組成物の外観透明の観点から2未満が好ましく、1.5未満がより好ましく、1.3未満が更に好ましい。
【0032】
II.香料組成物
[(a)成分]
香料組成物に配合される(a)成分は、香料成分であり、処理した繊維製品に香りを付与するものである。
(a)成分としては、特に制限はなく、繊維製品用液体洗剤・柔軟・仕上げ剤組成物に一般的に使用される香料成分を、目的に応じて適宜選択することができる。香料は、1種類の香料成分であってもよく、複数種類の香料成分の混合物であってもよい。また、香料は、香料成分単独であってもよく、香料成分と他の成分(例えば、溶剤)とを含む香料組成物であってもよい。
香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
【0033】
アルデヒド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナールなどが挙げられる。
フェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノールや、イソオイゲノールなどが挙げられる。
アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、メントール、ボルネオール、1-デカナール、バクダノールや、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
【0034】
エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
【0035】
ハイドロカーボン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンやマルトールなどが挙げられる。
【0036】
ラクトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサンなどが挙げられる。
ムスク類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類などが挙げられる。
テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオールなどが挙げられる。
【0037】
天然香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油などの精油が挙げられる。
動物性香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香などが挙げられる。
【0038】
(a)成分の配合量は、香料組成物の総質量に対し、15~70質量%であり、20~60質量%が好ましく、25~40質量%がより好ましい。(a)成分の配合量が15~70質量%の範囲内であると、香りの強度を調整し易く有利である。
【0039】
[(b)成分]
香料組成物に配合される(b)成分は、水への溶解度が1g/100g以下である希釈剤であり、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物との混合後の視認性向上の目的で配合される。
(b)成分の具体例としては、水への溶解度が1g/100g以下である、溶剤、パルミチン酸やステアリン酸のような脂肪酸、ステアリルアルコールのような炭素数10以上の脂肪族アルコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルやトリグリセリドのような多価アルコールと脂肪酸のエステル化物、HLBが11.5以下の界面活性剤等が挙げられる。(b)成分は1種類を単独で用いても、2種類以上を併用しても良く、香料組成物の香りや色調、低温流動性への影響が小さいという観点で少なくともアルコール脂肪酸エステルを香料組成物中に10~30質量%含むことが好ましい。
アルコール脂肪酸エステルとしては、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。
また、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と混合時、液全体が白濁したことが認知しやすいという観点で、香料組成物は、(b)成分として少なくともHLBが11.5以下の界面活性剤を含むことが好ましい。香料組成物が、HLBが11.5以下の界面活性剤を含有することで繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と混合しやすくなり、当該柔軟剤組成物と香料組成物を混合したときに速やかに白濁して、混合したことを認知しやすい。
HLBが11.5以下の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10EO)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(30EO)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(6EO)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(7EO)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(7EO)が好ましい。
【0040】
(b)成分の配合量は、香料組成物の総質量に対し、10~85質量%であり、15~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましい。(b)成分の配合量が10質量%以上であると、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物との混合後の、当該柔軟剤組成物の状態変化を外観で認知可能であり、(b)成分の配合量が85質量%以下であると、相対的に香料の配合量が十分なものとなり、結果として、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物との混合時に計量し易くなる。
【0041】
[任意成分]
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物及び香料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記の必須成分以外の任意成分を配合してもよい。任意成分としては、繊維製品用液体洗剤・液体柔軟・仕上げ剤組成物に一般的に配合される成分を挙げることができる。具体例としては、水、溶剤、キレート剤、香料(柔軟剤組成物に配合)、水溶性塩類、染料及び/又は顔料、防腐剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、消臭剤、カチオン性高分子、スキンケア成分などが挙げられる。以下、いくつかの任意成分について詳細に説明する。
【0042】
<水>
特に、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。水の配合量は特に限定されず、所望の成分組成を達成するために適宜配合することができる。水の含量は、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の総質量に対して、20~65質量%、好ましくは25~60質量%、より好ましくは30~50質量%である。
【0043】
<溶剤>
特に、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物は、(B)成分以外の溶剤を含んでもよい。
(B)成分以外の溶剤は、保存安定性を向上させるために配合され得る。(B)成分以外の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセリン、オクトキシグリセリン、フェネチルアルコール等が挙げられる。
(B)成分以外の溶剤としては、エタノールが好ましい。
【0044】
<ノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤は繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の保存安定性を向上させるために配合され得る。
ノニオン界面活性剤としては、柔軟剤組成物に一般的に使用されているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。
アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物において、アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していてもよく直鎖であってもよく、又、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、7~20、好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは7~14、より好ましくは8~12、最も好ましくは10~12である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは7~18、より好ましくは9~18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10~100モルが好適であり、より好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1~5が好適であり、より好ましくは1~3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO30モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO7モル付加または50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
ノニオン界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。ノニオン性界面活性剤の各含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。
【0045】
<キレート剤>
キレート剤は、保存安定性を向上させるために配合され得る。
キレート剤としては、有機キレート剤が挙げられ、具体的には、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β-アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA-OH)、ヒドロキシエチレンイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジカルボキメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)-エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられ、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β-アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)又はこれらの塩が好ましく、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、イミノジコハク酸(IDS)又はこれらの塩がより好ましく、MGDA又はその塩が特に好ましい。
キレート剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。キレート剤の各含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.01~3質量%である。
【0046】
<染料及び/又は顔料>
染料及び顔料は、それぞれ組成物の外観を向上するために配合され得る。
染料及び顔料共に、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。また、特開平6-123081号公報、特開平6-123082号公報、特開平7-18573号公報、特開平8-27669号公報、特開平9-250085号公報、特開平10-77576号公報、特開平11-43865号公報、特開2001-181972号公報や特開2001-348784号公報などに記載されている染料も用いることができる。
好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料又は反応性染料が好ましい。
染料及び顔料のそれぞれについて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。また、染料と顔料とを併用してもよい。
染料及び顔料の各含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは1~50ppm、より好ましくは1~30ppmである。
【0047】
<防腐剤>
防腐剤は、主に、組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合され得る。
防腐剤としては、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましく、具体的には、ダウケミカル社製のケーソンCG-ICPなどが挙げられる。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましく、具体的には、クラリアント(株)製のニッパサイド、(株)ロンザ製のプロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL、プロキセルLV、プロキセルCRL、プロキセルNBZ、プロキセルAMや、プロキセルB20などが挙げられる。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001~1質量%である。0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られ、1質量%以下であると、組成物の高い保存安定性を十分に維持することができる。
【0048】
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、組成物を紫外線から保護するために配合され得る。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出することで、紫外線防御効果を発揮する成分である。紫外線吸収剤としては、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリルや、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチルや、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p-メトキシケイ皮酸エチル、p-メトキシケイ皮酸イソプロピル、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシルや、p-メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸や、2、2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸や、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4-t-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0049】
<抗菌剤>
抗菌剤は、組成物の保存性を高めるために配合され得る。
抗菌剤としては、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、ダイクロサン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、8-オキシキノリン、ビグアニド系化合物(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド)、塩酸クロロヘキシジンや、ポリリジン等が挙げられる。これらの中でも、塩化ベンザルコニウム、ビグアニド系化合物や、塩酸クロロヘキシジンが好ましい。
抗菌剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0050】
<消臭剤>
消臭剤は、組成物の消臭効果の向上を図るために配合され得る。消臭効果の向上を図る技術として、(1)シリカゲルや活性炭等を利用して臭気を吸着させる方法(物理的消臭法);(2)悪臭や異臭成分と化学的に反応(中和、付加、縮合、酸化等)させて無臭化する方法(化学的消臭法);(3)芳香性物質の発する香気によって悪臭や異臭を隠蔽し感じにくくする方法(感覚的消臭法);(4)抗菌剤によって、悪臭発生の原因になる微生物の増殖を抑える方法(生物的消臭法)があり、これらの技術のうち、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
消臭剤としては、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。消臭剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0051】
<カチオン性高分子>
カチオン性高分子は、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物において(A)成分がシリコーン化合物の場合、シリコーン化合物の繊維への吸着性向上を図るために配合され得る。
カチオン性高分子としては、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、特に2.5%以上が好ましい。カチオン化度が0.1%未満のものでは、共存するシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果が小さくなり、多量の配合が必要となって経済的でない場合がある。また、高分子化合物自身が繊維製品に対し剛性を付与する性質を持っている場合は、多量に配合されると柔軟効果の低下がともなう場合がある。
カチオン性高分子化合物の例としては、Merquat 100 Polymer(マツモト交商)、アデカカチオエースPD-50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC-004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、Merquat 550 Polymer(マツモト交商)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、Merquat 280 Polymer(マツモト交商)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUATFC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、LUGALVAN-G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。
特に好ましいカチオン性高分子としては、シリコーンの付与する柔軟性などの風合いを妨げない観点から、カチオン性を有する水溶性高分子化合物単独で吸着した時に繊維に付与する剛性の小さいものが好ましく、ジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子が挙げられる。具体的には、Merquat 100 Polymer(マツモト交商)、アデカカチオエースPD-50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC-004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン性高分子化合物の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲で、組成物中に0.1~30質量%配合され、更に好ましくは0.5~10質量%配合される。0.1質量%以上であるとシリコーンの吸着促進効果が見込まれるため柔軟性、滑らかさ、ドレープ性などの効果が充分であり、30質量%以下であると組成物の粘度上昇を抑えられ使用性の面で好ましい。
【0052】
[繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の粘度]
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、100mPa・s以下であることが好ましい。なお、ここで示す粘度はB型粘度計(トキメック社製)を用いて、原液を25℃で測定した場合の数値である。
【0053】
[繊維製品用透明液体柔軟剤組成物のpH]
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物のpHは、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、4.0~8.0であることが好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0054】
[繊維製品用透明液体柔軟剤組成物を充填するための容器]
本発明の繊維製品用透明液体柔軟剤組成物において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物を充填するための容器は、特に限定されないが、傾注容器、ポンプ容器、スクイズ容器、トリガー容器等が挙げられる。
【0055】
[香料組成物の容器]
本発明の繊維製品用透明液体柔軟剤組成物において、香料組成物を充填するための容器は、特に限定されないが、香料組成物を収容する容器の材質は、プラスチック、ガラス、陶器、金属等が挙げられる。容器の容量は、5~100mlが好ましく、5~50mLがより好ましい。
香料組成物の容器は、容器から直接香料組成物を滴下するもの、スポイト付きのキャップを備えた容器、ポンプディスペンサーを備えた容器等が使用でき、例えば、特開2018-167840号公報に記載のスポイト付きのキャップを備えた容器、特開2005-132466号公報に記載のポンプディスペンサーを備えた容器等が挙げられる。
【0056】
[製造方法]
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の製造方法は特に限定されず、各成分を混合することにより製造することができる。また、香料組成物も同様に、各成分を混合することにより製造することができる。
【0057】
[使用方法]
<繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の使用方法>
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の柔軟剤と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯機の仕上げ剤投入口に入れたり、洗濯機内に投入したり、被洗物に直接塗付したり、たらいのような容器中の水に溶解させ、更に被洗物を入れて浸漬処理する方法がある。
【0058】
<香料組成物の使用方法>
香料組成物は、高濃度の香料濃縮物であるため、使用量を変更することで容易に香りの強度を調整可能であり、また複数の香りの香料組成物を組み合せることで、好みの香りを家庭で作り上げる楽しみが得られるものである。使用方法の一例としては、以下のような工程手順である。
工程例1:維製品用透明液体柔軟剤組成物の容器で直接、あるいは別容器の中で事前に、維製品用透明液体柔軟剤組成物と香料組成物を混合する工程
(I)維製品用透明液体柔軟剤組成物/(II)香料組成物の配合比は、特に限定されないが、1~500が好ましく、5~300がより好ましく、10~300が更に好ましい。配合比が上記上限以下または下限以上であれば適度な残香性を得ることができる。
工程例2:洗浄剤組成物で洗濯後、洗濯槽内で維製品用透明液体柔軟剤組成物と香料組成物とを混合する工程(維製品用透明液体柔軟剤組成物と香料組成物は予め混合されていても、されていなくてもよい)
維製品用透明液体柔軟剤組成物/香料組成物の配合比は、特に限定されないが、1~500が好ましく、5~300がより好ましく、10~300が更に好ましい。
本発明において、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、香料組成物とを混合することにより、混合後の前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させることができる。具体的には、混合後において、混合前よりも繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の光透過率を低下させるか、又は分離を生じさせることができる。これにより、両組成物の混合が外観で認知可能となり、生活者が所望の香りに調整することを可能とする。
【0059】
[繊維製品]
本発明において、処理され得る繊維製品は、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定されないが、例えば、綿、絹、麻、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の化学繊維でもよい。
【0060】
[繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させる方法]
本発明の一態様は、繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させる方法に関する。具体的には、本発明の一態様では、波長660nmにおいて95%以上の光透過率を有する繊維製品用透明液体柔軟剤組成物と、香料組成物とを混合することを含む、該混合後の前記繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の状態を変化させる方法が提供される。この方法では、混合後において、混合前よりも繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の光透過率を低下させるか、又は分離を生じさせることができる。
この方法における繊維製品用透明液体柔軟剤組成物及び香料組成物は、本明細書に記載のとおりである。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0062】
I.繊維製品用透明液体柔軟剤組成物
[(A)成分]
下記のA-1を使用した。
A-1:POE変性シリコーン(SH3775M、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)
【0063】
[(B)成分]
下記のB-1及びB-2を使用した。
B-1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
B-2:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール
【0064】
[任意成分]
C-1:ポリオキシエチレントリイソデシルエーテルEO7(TAG-90、ライオンケミカル社製)
D-1:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(Merquat 100 Polymer、マツモト交商)
E-1:エチルアルコール(99.5%エタノール、和光純薬)
F-1:水
【0065】
II.香料組成物
[(a)成分]
下記のa-1を使用した。
a-1:下記表1に示される組成で香料成分を含む組成物
【表1】
【0066】
[(b)成分]
下記のb-1~b-9を使用した。なお、b-7~b-9は比較例である。
b-1:ミリスチン酸イソプロピル(試薬)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:分離
光透過率の測定は、分光光度計U-3900(日立社製)を用いて行った。以下同じである。
b-2:2-エチルヘキサン酸セチル(NIKKOL CIO、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:分離
b-3:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(NIKKOLトリエスターF-810、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:分離
b-4:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(6EO)(NIKKOL GO-4V、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:0.7%
b-5:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)(NIKKOL GO-430NV、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:85%
b-6:フェノキシエタノール(試薬)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:分離
b-7:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60EO)(NIKKOL GO-460V、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:100%
b-8:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(20EO)(NIKKOL TO-10V、日光ケミカルズ社製)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:99%
b-9:エチルアルコール(99.5%エタノール、和光純薬)
水100gに対し1g混合した場合の波長660nmにおける光透過率:100%
【0067】
[繊維製品用透明液体柔軟剤組成物の調製方法]
各成分の配合量を、下記表2に記載の通り調整して、(A)成分、(B)成分、及びC-1、E-1を混合し、よく攪拌した後、D-1、F-1を混合してさらに攪拌し、調製した(実施例1~11及び比較例1~7)。
調製した各柔軟剤組成物について、分光光度計U-3900(日立社製)を用いて波長660nmにおける光透過率の測定を行った。各柔軟剤組成物の波長660nmにおける光透過率は以下のとおりであった。
実施例1~5、7及び9~11、並びに比較例1~4、6及び7:98%
実施例6及び比較例5:97%
実施例8:99%
【0068】
[香料組成物の調製方法]
(a)成分及び(b)成分を混合して調製した(実施例1~11及び比較例1~7)。
【0069】
[評価方法]
<計量のし易さ>
上記のとおり調製した透明液体柔軟剤組成物40gに対し、上記のとおり調製した香料組成物を、混合後の(a)成分が1.5質量%となるようにスポイト付きのキャップを備えた容器を用いて混合した。混合時、下記5段階の点数表に従って計量のし易さを点数化し、評価者5名の平均値から下記評価基準に従って評価した。結果を下記表2に示す。
【0070】
(点数表)
1点:計量できない
2点:やや計量しにくい
3点:どちらともいえない
4点:なんとか計量できる
5点:容易に計量できる
【0071】
(評価基準)
○ :平均点が3.5点以上
× :平均点が3.5点未満
【0072】
<混合したことの認知可否>
上記のとおり調製した透明液体柔軟剤組成物40gを透明のガラス瓶(広口規格びん、PS-NO.11)に入れ、上記のとおり調製した香料組成物2gを添加し、手で1ストローク/秒で30回振とうし、混合した。混合後、10分間静置し、外観を下記評価基準に従って評価した。波長660nmにおける光透過率の測定は、分光光度計U-3900(日立社製)を用いて行った。結果を下記表2に示す。
(評価基準)
〇 :混合後、白濁(660nmの透過率が95%未満)
× :混合後、透明(660nmの透過率が95%以上)
【0073】
<混合したことの認知のし易さ>
上記のとおり調製した透明液体柔軟剤組成物40gを透明のガラス瓶(広口規格びん、PS-NO.11)に入れ、上記のとおり調製した香料組成物2gを添加し、手で1ストローク/秒で3回振とうし、混合した。混合直後の外観を下記評価基準に従って評価した。結果を下記表2に示す。
(評価基準)
○○:液全体が白濁し、混合したことが認知できる
〇 :溶液の一部が白濁し、混合したことが認知できる
× :混合が認知できない
【0074】
【表2】