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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098260
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20230703BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H04M1/02 C
H01H13/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214912
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和愛
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭吾
【テーマコード(参考)】
5G206
5K023
【Fターム(参考)】
5G206AS11H
5G206AS11N
5G206GS02
5G206NS02
5K023AA07
5K023BB26
5K023DD06
5K023GG08
5K023LL06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デザイン性に優れ、かつ、耐久性が高い電子機器を提供する。
【解決手段】スマートフォン1は、第1側面を備える第1ケース22と、第1ケース22の第1側面の外側と対面する第2側面を備え、第2側面にU字形状の溝が形成され、他の部分と一端のみが連結した舌部40を有する第2ケース28と、溝に沿った突出部72を備え、突出部72が溝部に挿入されるスペーサ42と、第1側面の舌部40と対面した位置に配置され、舌部40の変形で、操作を検出するスイッチ素子50と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面を備える第1ケースと、
前記第1ケースの第1側面の外側と対面する第2側面を備え、前記第2側面にU字形状の溝が形成され、他の部分と一端のみが連結した舌部を有する第2ケースと、
前記溝に沿った突出部を備え、前記突出部が前記溝部に挿入されるスペーサと、
前記第1側面の前記舌部と対面した位置に配置され、前記舌部の変形で、操作を検出するスイッチ素子と、を備える電子機器。
【請求項2】
前記スペーサと前記第2ケースとの間に配置され、前記スペーサを前記第2ケースに固定する固定部材を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記スペーサは、前記舌部と対面する位置に開口が形成され、
前記舌部は、前記開口を通過し、前記スイッチ素子と対面する押し子を備える請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スペーサは、前記開口の縁部が、前記突出部よりも前記舌部側に突出し、前記舌部から前記スイッチ素子を見る方向において、前記舌部と一部が重なるフランジ部を備える請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記開口の中心側に向かうにしたがって、前記舌部側の面が、前記スイッチ素子側に向かう傾斜面を備える請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記突起部は、前記舌部の先端に突起部が配置される請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記開口部は、前記舌部の延在方向において前記突起部が配置されている領域が、他の部分よりも、前記舌部の延在方向に直交する方向の幅が狭くなる請求項6に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、操作者が操作する物理キーを備える電子機器がある。例えば、スマートフォンは、電源の操作や、音量を操作するボタンとして、ハウジングの側面に物理キーが配置される。物理キーは、例えば、特許文献1に、操作ボタンを保持する保持部を有する固定部材と、固定部材に対して押圧操作可能に組み付けられる操作ボタンと、操作ボタンは、保持部に保持される係合部と、操作ボタンと係合部とを接続する支持アームとを有しており、固定部材との間に係合部、操作ボタン、及び支持アームを保持した状態で固定部材に固定される受け部材を備える構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-103167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、操作ボタンをハウジングとは別の部材となる。ここで、電子機器では、ハウジングの一部に切り欠きを形成して可動部とし、可動部を操作ボタンの一部として用いる構造がある。これにより、筐体の一部がボタンとなりデザイン性を高くすることができる。しかしながら、筐体に溝を形成するため、隙間が生じ、筐体の内部に異物が混入する恐れがある。異物が混入するとメンテナンス等が必要になり、電子機器としての耐久性が低下する。
【0005】
上記のことから、デザイン性に優れ、かつ、耐久性が高い電子機器に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様に係る電子機器は、第1側面を備える第1ケースと、前記第1ケースの第1側面の外側と対面する第2側面を備え、前記第2側面にU字形状の溝が形成され、他の部分と一端のみが連結した舌部を有する第2ケースと、前記溝に沿った突出部を備え、前記突出部が前記溝部に挿入されるスペーサと、前記第1側面の前記舌部と対面した位置に配置され、前記舌部の変形で、操作を検出するスイッチ素子と、を備える。
【0007】
前記スペーサと前記第2ケースとの間に配置され、前記スペーサを前記第2ケースに固定する固定部材を備えることが好ましい。
【0008】
前記スペーサは、前記舌部と対面する位置に開口が形成され、前記舌部は、前記開口を通過し、前記スイッチ素子と対面する突起部を備えることが好ましい。
【0009】
前記スペーサは、前記開口の縁部が、前記突出部よりも前記舌部側に突出し、前記舌部から前記スイッチ素子を見る方向において、前記舌部と一部が重なるフランジ部を備えることが好ましい。
【0010】
前記フランジ部は、前記開口の中心側に向かうにしたがって、前記舌部側の面が、前記スイッチ素子側に向かう傾斜面を備えることが好ましい。
【0011】
前記開口部は、前記舌部の延在方向において前記突起部が配置されている領域が、他の部分よりも、前記舌部の延在方向に直交する方向の幅が狭くなることが好ましい。
【0012】
前記突起部は、前記舌部の先端に配置されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係るスマートフォンの正面図である。
図2図2は、ハウジングの側面のボタンの周辺の断面図である。
図3図3は、ボタンの舌部とスペーサとシールの展開斜視図である。
図4図4は、ボタンの舌部の斜視図である。
図5図5は、スペーサの斜視図である。
図6図6は、スペーサの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願に係る実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同様の構成要素について同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は省略することがある。
【0015】
本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、物理キーを備える電子機器の一例として、スマートフォンについて説明する。
【0016】
図1を参照しながら、実施形態に係るスマートフォン1の全体的な構成について説明する。スマートフォン1は、通信ユニットを用いて無線により通信を行い、通話や、データの送受信を行う。通信ユニットによってサポートされる通信方式は、無線通信規格が含まれる。無線通信規格として、例えば、2G、3G、4G、5G等のセルラーフォンの通信規格がある。セルラーフォンの通信規格として、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy-phone System)等がある。無線通信規格として、さらに、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)、WPAN(Wireless Personal Area Network)等がある。WPANの通信規格には、例えば、ZigBee(登録商標)が含まれる。通信ユニットは、上述した通信規格の1つ又は複数をサポートしていてもよい。通信ユニットは、有線による通信をサポートしてもよい。有線による通信は、例えば、イーサネット(登録商標)、ファイバーチャネル等を含む。
【0017】
また、スマートフォン1は、各種動作を制御し、実現するための、ストレージとコントローラとを有する。ストレージは、プログラム及びデータを記憶する。ストレージは、コントローラの処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。ストレージは、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。ストレージは、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。ストレージは、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。ストレージは、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。コントローラは、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System-on-a-Chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)を含むが、これらに限定されない。コントローラは、スマートフォン1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0018】
図1に示すように、スマートフォン1は、ハウジング20を有する。ハウジング20は、略直方体形状であり、フロントフェイス(前面)1Aと、バックフェイス1Bと、サイドフェイス1C1~1C4とを有する。フロントフェイス1Aは、ハウジング20の正面である。バックフェイス1Bは、ハウジング20の背面である。サイドフェイス1C1~1C4は、フロントフェイス1Aとバックフェイス1Bとを接続する側面である。以下では、サイドフェイス1C1~1C4を、どの面であるかを特定することなく、サイドフェイス1Cと総称することがある。また、ハウジング20は、端部に面取り形状や、一部突出している部分や凹部を備える場合もあるが、フロントフェイス1Aと、バックフェイス1Bとが面積が最も面積が大きい面となり、サイドフェイス1C1、1C3が長手方向の面、サイドフェイス1C2,1C4が短手方向の面となる、略直方体形状である。
【0019】
ハウジング20は、各部を収納する。ハウジング20は、バックフェイス1Bとサイドフェイス1C1~1C4が外に露出している。ハウジング20は、フロントフェイス1Aがタッチスクリーンディスプレイ2で覆われている。
【0020】
ハウジング20は、内部に水が浸入することを抑える構造であることが好ましい。つまり、ハウジング20は、防水性を備えている構造である。具体的には、ハウジング20は、内部と外部とが繋がる穴に、空気を通し、かつ、水を通さない機構が設けられている。ハウジング20が複数の部材で形成されている場合、ハウジング20は、複数の部材の境界にゴムパッキンまたは接着材がある。接着剤は、複数の部材を接着している。部材は、境界が密閉されている。ハウジング20については後述する。
【0021】
スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3Aと、照度センサ4と、近接センサ5と、レシーバ7と、マイク8と、カメラ12とをフロントフェイス1Aに有する。スマートフォン1は、カメラ13とをバックフェイス1Bに有する。スマートフォン1は、ボタン3B、3Cと、コネクタ14とをサイドフェイス1Cに有する。以下では、ボタン3A~3Cを、どのボタンであるかを特定することなく、ボタン3と総称することがある。
【0022】
タッチスクリーンディスプレイ2は、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bと、を有する。図1の例では、ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bはそれぞれ略長方形状であるが、ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bの形状はこれに限定されない。ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bは、それぞれが正方形又は円形等のどのような形状もとりうる。図1の例では、ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bは重なって位置しているが、ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bの位置はこれに限定されない。ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bは、例えば、並んで位置してもよいし、離れて位置してもよい。図1の例では、ディスプレイ2Aの長辺はタッチスクリーン2Bの長辺に沿っており、ディスプレイ2Aの短辺はタッチスクリーン2Bの短辺に沿っているが、ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bの重ね方はこれに限定されない。ディスプレイ2Aとタッチスクリーン2Bとが重なって位置する場合、例えば、ディスプレイ2Aの1ないし複数の辺は、タッチスクリーン2Bのいずれの辺とも沿っていなくてもよい。
【0023】
ディスプレイ2Aは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2Aは、文字、画像、記号、及び図形等のオブジェクトを表示する。
【0024】
タッチスクリーン2Bは、タッチスクリーン2Bに対する指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーン2Bは、複数の指、ペン、又はスタイラスペン等がタッチスクリーン2Bに接触した位置を検出することができる。
【0025】
タッチスクリーン2Bの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。以下の説明では、説明を簡単にするため、利用者はスマートフォン1を操作するために指を用いてタッチスクリーン2Bに接触するものと想定する。
【0026】
スマートフォン1は、タッチスクリーン2Bにより検出された接触、接触が検出された位置、接触が検出された位置の変化、接触が検出された間隔、及び接触が検出された回数の少なくとも1つに基づいてジェスチャの種別を判別する。ジェスチャは、タッチスクリーン2Bに対して行われる操作である。スマートフォン1によって判別されるジェスチャは、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトを含むがこれらに限定されない。
【0027】
ボタン3は、利用者によって操作される。ボタン3は、ボタン3A~ボタン3Cを有する。コントローラは、ボタン3と協働することによってボタン3に対する操作を検出する。ボタン3に対する操作は、例えば、クリック、ダブルクリック、トリプルクリック、プッシュ、及びマルチプッシュを含むが、これらに限定されない。
【0028】
ボタン3Aは、例えば、ホームボタン、バックボタンまたはメニューボタンである。ボタン3Bは、2つの物理キーであり、音量ボタンである。ボタン3Cは、例えば、スマートフォン1のパワーオン/オフボタン、スリープ/スリープ解除ボタン、シャッターボタン等である。本実施形態では、ボタン3B、3Cが、サイドフェイス1C4に配置されている。ボタン3B、3Cは、他のサイドフェイス1Cに配置されていてもよいし、複数のサイドフェイスに配置されていてもよい。
【0029】
照度センサ4は、スマートフォン1の周囲の光の照度を検出する。照度は、照度センサ4の測定面の単位面積に入射する光束の値である。照度センサ4は、例えば、ディスプレイ2Aの輝度の調整に用いられる。近接センサ5は、近隣の物体の存在を非接触で検出する。近接センサ5は、磁界の変化または超音波の反射波の帰還時間の変化等に基づいて物体の存在を検出する。近接センサ5は、例えば、タッチスクリーンディスプレイ2が顔に近付けられたことを検出する。照度センサ4及び近接センサ5は、一つのセンサとして構成されていてもよい。照度センサ4は、近接センサとして用いられてもよい。
【0030】
レシーバ7は、音出力部である。レシーバ7は、コントローラから送信される音信号を音として出力する。レシーバ7は、例えば、通話時に相手の声を出力するために用いられる。マイク8は、音入力部である。マイク8は、利用者の音声等を音信号へ変換する。
【0031】
カメラ12は、フロントフェイス1Aに面している物体を撮影するインカメラである。カメラ13は、バックフェイス1Bに面している物体を撮影するアウトカメラである。カメラ13は、バックフェイス1Bのサイドフェイス1C1側に配置されている。
【0032】
コネクタ14は、他の装置が接続される端子である。コネクタは、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、ライトピーク(サンダーボルト(登録商標))、イヤホンマイクコネクタのような汎用的な端子であってもよい。コネクタは、Dockコネクタのような専用の端子でもよい。コネクタに接続される装置は、例えば、外部ストレージ、スピーカ、及び通信装置を含むが、これらに限定されない。
【0033】
次に、図2から図6を用いて、ハウジング20のサイドフェイスに配置したボタン3の構造について、より詳細に説明する。図2は、ハウジングの側面のボタンの周辺の断面図である。図3は、ボタンの舌部とスペーサとシールの展開斜視図である。図4は、ボタンの舌部の斜視図である。図5は、スペーサの斜視図である。図6は、スペーサの拡大斜視図である。
【0034】
図2を用いて、ボタン3Bが配置される構造について、説明する。図2に示すように、ハウジング20は、第1ケース22と第2ケース28と、を有する。第1ケース22は、接着部材24でタッチスクリーンディスプレイ2が固定される。タッチスクリーンディスプレイ2は、上述したようにディスプレイ2Aとタッチスクリーン2Bの表面側にガラス板2Cが配置される。第1ケース22は、スマートフォンのインナーハウジングとなり、タッチスクリーンディスプレイ2とで形成される空間に基板30、板金部材32が配置される。
【0035】
第2ケース28は、アウターハウジングであり、第1ケース22のバックフェイス側に配置される。第2ケース28は、第1ケース22のサイドフェイス1Cも覆う。第2ケース28は、第1ケース22に固定される。
【0036】
次に、ボタン3B、3Cについて、説明する。ボタン3Bは、操作を検出する部分が2か所である。ボタン3Cは、操作を検知する部分が1か所である。ボタン3Bとボタン3Cとは配置されている個数が異なるが、基本的な構成は同様である。
【0037】
以下、ボタン3Bの1つの操作を検知する部分の構成について説明する。ボタン3Bは、図2及び図3に示すように、舌部40と、スペーサ42と、シール44と、スイッチ素子50と、保護部52と、を含む。
【0038】
舌部40は、スマートフォン1のサイドフェイス1Cの表面となる第2ケース28の一部である。舌部40は、外縁がU字形状の溝60で第2ケース28の他の部分と分離している。舌部40は、溝60のU字形状の根本に相当する部分が、先端61となる。舌部40は、先端61の第1ケース22側の面に、第1ケース22側に突出した突起部62を備える。また、舌部40は、溝60のU字形状の開放端に相当する端部が第2ケース28の他の部分と繋がり、基部64となる。舌部40は、突起部62よりも、舌部40の基部64側に第1ケース22側の面に、第1ケース22側に突出した押し子63を備える。舌部40は、基部64を支点として片持ち梁となり、先端61がスマートフォン1の内部側(第1ケース22側)に押されることで、基部64を支点として、先端61が、スマートフォン1の内部側に移動する。舌部40は、先端61が、スマートフォン1の内部側に移動することで、突起部62、押し子63がスマートフォン1の内部側に移動する。
【0039】
スペーサ42は、サイドフェイス1Cの第1ケース22と第2ケース28の間、つまり、舌部40よりも第1ケース22側に配置される。スペーサ42は、溝60に挿入され、舌部40と第2ケース28の他の部分との間を埋める。スペーサ42の材料は特に限定されないが、ゴム等の弾性部材、樹脂、金属等種々の部材を用いることができる。
【0040】
スペーサ42は、図2図3図5及び図6に示すように、基部70と、突出部72と、フランジ部74と、幅狭部76と、を備える。また、基部70には、開口73が形成される。基部70は、第2ケース28の舌部40以外の部分と対面する。基部70は、シール44により第2ケース28に固定される。突出部72は、基部70の第2ケース28側の面に形成される。突出部72は、溝60と同様の形状であり、本実施形態ではUじ形状となる。突出部72は、溝60に挿入される。開口73は、基部70の先端61と対面する部分、つまり、突出部72のU字形状で囲われた部分に形成される。フランジ部74は、突出部72のU字形状の内側、つまり開口73に形成される。フランジ部74は、開口73の縁となる。フランジ部74は、図2に示すように、サイドフェイス1Cの外側から見たときに、舌部40と重なる。フランジ部74は、サイドフェイス1Cの外側から見たときに、突起部62、押し子63とは重ならない。幅狭部76は、舌部40の先端61に形成された突起部62と対面する位置に配置される。幅狭部76は、フランジ部74のU字形状の内側に配置される。つまり、幅狭部76は、開口73に突出し、先端61と対面する。
【0041】
シール44は、両面に粘着剤が付着した部材であり、スペーサ42を第2ケース28に固定する。本実施形態のシール44は、3つに分離して、スペーサ42と第2ケース28との間の3カ所に配置したが、配置形状、配置枚数は限定されない。なお、本実施形態では、シール44で、スペーサ42を第2ケース28に固定したが、固定方法は限定されない。シール44に代えて、接着剤でスペーサ42を第2ケース28に固定してもよい。
【0042】
スイッチ素子50は、第1ケース22の第2ケース側の面に舌部40の突起部62と対面する位置に配置される。スイッチ素子50は、突起部62で押されることで、ONとなり、突起部62で押されない状態となることで、OFFとなる。スイッチ素子50は、例えば、メタルドームであり、突起部62で押されることで変形して、検出回路を通電させ、突起部62で押されない状態となることで図2の形状となり、検出回路を通電させない。
【0043】
保護部材52は、スイッチ素子50と舌部40との間に配置される。保護部材52は、スイッチ素子50の全面を覆い、スイッチ素子50への異物の混入を防止する。保護部材52は、可撓性のある材料であり、突起部62に押されて変形する。
【0044】
スマートフォン1は、第2ケース28のサイドフェイス1Cに対応する面(第2側面)にU字形状の溝60を形成し、他の部分と一端のみが連結した舌部40を設け、溝60に沿った突出部72を備え、突出部72が溝60に挿入されるスペーサと、第1ケース22のサイドフェイス1Cに対応する面(第1側面)の舌部40と対面した位置に配置され、舌部40の変形で、操作を検出するスイッチ素子50と、を備えるボタン3Bを有する。ボタン3Bは、溝60にスペーサ42の突出部72を配置することで、溝60に異物が混入することを抑制できる。また、第2ケース28の一部である舌部40をボタンの表面とすることで、スマートフォン1のデザイン性を高くすることができる。
【0045】
ボタン3Bは、スペーサ42と第2ケース28との間にシール等の固定部材を配置し、スペーサ42を第2ケース28に固定することで、溝60への異物の混入をより確実抑制できる。
【0046】
また、舌部40は、開口73を通過し、スイッチ素子50と対面する押し子63を備えることで、少ない変形でスイッチ素子50を操作することができる。本実施形態のボタン3Bのように、押し子63を設けることで、舌部40を少ない変位を操作として検出できるが、押し子63を備えない構造としてもよい。
【0047】
ボタン3Bは、スペーサ42の舌部40の押し子63と対面する位置に開口73を設けることで、スイッチ素子50と舌部40との間にスペーサ42を設けた場合でも、舌部40と押し子63との距離を短くすることができ、装置の厚みの増加を抑制できる。つまり、押し子63の周囲にスペーサ42の基部70を配置できるため、サイドフェイス1Cに直交する方向の厚みの増加を抑制できる。また、押し子63の突出量を少なくできる。また、ボタン3Bは、スペーサ42の舌部40の押し子63と対面する位置に開口73を設けることで、舌部40の変形をボタン3Bの操作として検出しやすくできる。つまり、スイッチ素子50と舌部40との間にスペーサ42がある場合、スペーサ42が変形して舌部40の変位を低減する場合や、舌部40の変形の抵抗となる場合があるが、押し子63と対面する位置に開口73を形成し、舌部40の押し子63とスイッチ素子50と保護部材52のみを介して接触させることで、スイッチ素子50に舌部40の変形を伝達しやすくなる。上記効果を得ることができるため、本実施形態のボタン3Bのように、スペーサ42に開口73を設けることが好ましいが、開口がない形状としてもよい。つまり、舌部40とスイッチ素子50との間にスペーサ42の基部70が配置されてもよい。
【0048】
スペーサ42は、開口73の縁部が、突出部72よりも舌部40側に突出し、舌部40からスイッチ素子50を見る方向において、舌部40と一部が重なるフランジ部74を備えることで、舌部40からスイッチ素子50を見る方向において、スペーサ42で溝60の全面を塞ぐことができる。これにより、溝部60に異物が混入することをより確実抑制できる。また、スペーサ42は、フランジ部74を設けることで、舌部40がスマートフォン1の内側に一定量押された場合、舌部40にフランジ部74が接触する。これにより、舌部40の押し子63によるスイッチ素子50の押し込み量が大きくなり、スイッチ素子50を過剰に変形させることを抑制できる。
【0049】
ここで、フランジ部74は、開口73の中心側に向かうにしたがって、舌部40側の面が、スイッチ素子50側に向かう傾斜面を備えることが好ましい。フランジ部74及び舌部40に傾斜面を設けることで、少ないスペースで舌部40のストロークを確保することができる。
【0050】
また、スペーサ42は、幅狭部76を設けることで、開口73を、舌部40の延在方向において突起部62が配置されている領域が、他の部分よりも舌部40の延在方向に直交する方向の幅が狭くなる形状とすることができる。これにより、突起部62と幅狭部76との距離を短くすることができ、舌部40が押されたときの突起部62の位置ずれ、舌部40の移動方向の直交する面での位置ずれを抑制できる。また、位置ずれを抑制できることで、舌部40が突出部72に乗り上げることを抑制できる。これにより、スイッチ素子50と押し子63とを好適に接触させることができる。
【0051】
本出願の開示する実施形態は、発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。さらに、本出願の開示する実施形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0052】
上記の実施形態では、ボタン(物理キー)を備える装置の例として、スマートフォンについて説明したが、添付の請求項に係る装置は、スマートフォンに限定されない。添付の請求項に係る装置は、スマートフォン以外の携帯電子機器であってもよい。携帯電子機器は、例えば、モバイルフォン、タブレット、携帯型パソコン、デジタルカメラ、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、及びゲーム機を含むが、これらに限定されない。
【0053】
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
1 スマートフォン
2 タッチスクリーンディスプレイ
2A ディスプレイ
2B タッチスクリーン
3 ボタン
4 照度センサ
5 近接センサ
7 レシーバ
8 マイク
12、13 カメラ
20 ハウジング
22 第1ケース
24 接着部材
28 第2ケース
30 基板
40 舌部
42 スペーサ
44 シール
50 スイッチ素子
52 保護部材
60 溝
61 先端
62 突起部
63 押し子
64 基端
73 開口
70 基部
72 突出部
73 開口
74 フランジ部
76 幅狭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6