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特開2023-98265移動体の制御方法、移動体、移動制御システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098265
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】移動体の制御方法、移動体、移動制御システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230703BHJP
   B66F 9/07 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G05D1/02 Q
G05D1/02 J
B66F9/07 S
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214919
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FD12
3F333FD14
3F333FE04
3F333FE05
3F333FE08
3F333FE09
5H301BB05
5H301BB07
5H301FF07
5H301FF15
5H301GG03
(57)【要約】
【課題】運送車両の駐車領域の近傍において移動体の位置を適切に検出する。
【解決手段】移動体の制御方法は、自動で移動する移動体の制御方法であって、運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井には、第1方向と交差して駐車領域に沿う第2方向に沿って、位置を示す標識が複数設けられており、標識の少なくとも1つを、移動体に検知させることで、移動体の位置情報を取得するステップと、移動体の位置情報に基づいて、側方領域において第2方向に向かって移動体を移動させるステップと、側方領域において第2方向に向かって移動体を移動させた後に、移動体を、第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、移動体を駐車領域に向けて移動させるステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で移動する移動体の制御方法であって、
運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井には、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って、位置を示す標識が複数設けられており、
前記標識の少なくとも1つを、前記移動体に検知させることで、前記移動体の位置情報を取得するステップと、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させるステップと、
前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させるステップと、
を含む、
移動体の制御方法。
【請求項2】
前記側方領域を含む第1領域内に前記移動体が位置している場合には、前記標識を検知させる第1検出方法で取得した前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体を移動させ、前記第1領域よりも前記駐車領域から遠い第2領域内に前記移動体が位置している場合には、前記第1検出方法とは異なる第2検出方法で取得した前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体を移動させる、請求項1に記載の移動体の制御方法。
【請求項3】
前記第1領域と前記第2領域との境界地点に前記移動体が到達した場合に、前記第2検出方法と前記第1検出方法とを切り替える、請求項2に記載の移動体の制御方法。
【請求項4】
前記第2検出方法は、前記標識とは異なる箇所に設けられた検出体に向けて前記移動体からレーザ光を照射させて、前記検出体によるレーザ光の反射光を受光することにより、前記移動体の位置情報を取得するものであり、
前記受光した反射光の検出精度が閾値以下となった場合に、前記第2検出方法から前記第1検出方法に切り替える、
請求項2に記載の移動体の制御方法。
【請求項5】
前記駐車領域内の前記運送車両の位置及び姿勢を検出させるステップと、
前記運送車両の位置及び姿勢に基づいて、前記運送車両に向かう第1パスを設定するステップと、を更に含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の移動体の制御方法。
【請求項6】
前記運送車両内に配置されている目標物の位置及び姿勢を検出させるステップと、
前記目標物の位置及び姿勢に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び姿勢となる目標位置までの第2パスを設定するステップと、
前記第1パスから前記第2パスに切り替えて、検出した前記移動体の位置に基づいて、前記移動体を前記第2パスに沿って移動させるステップと、を更に含む、請求項5に記載の移動体の制御方法。
【請求項7】
前記側方領域の天井には、前記標識同士を接続するラインが設けられており、
前記移動体を移動させるステップにおいては、前記側方領域において、前記ラインに沿って前記移動体を移動させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の移動体の制御方法。
【請求項8】
前記標識は、前記側方領域の床面に対して平行な第1面上に配置された第1標識と、前記第1標識に隣接して設けられて、前記駐車領域側に向かうに従って、前記側方領域の床面に対して鉛直方向上方に傾斜する第2面上に配置された第2標識と、を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の移動体の制御方法。
【請求項9】
自動で移動する移動体であって、
運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井に、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って複数設けられた標識の、少なくとも1つを検知させることで、前記移動体の位置情報を取得する自己位置取得部と、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させ、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させる移動制御部と、
を含む、
移動体。
【請求項10】
請求項9に記載の移動体と、前記標識と、を有する、
移動制御システム。
【請求項11】
自動で移動する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井に、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って複数設けられた標識の、少なくとも1つを前記移動体に検知させることで、前記移動体の位置情報を取得するステップと、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させるステップと、
前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させるステップと、
を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の制御方法、移動体、移動制御システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフォークリフトなどの移動体を、自動的に移動させる技術が知られている。このような移動体は、通常、自己位置を逐次検知しつつ移動する。特許文献1には、作業場の床又は天井に設けられた標識を検知することにより自己位置を認識しつつパレットを搬送するパレット搬送車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-302408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、移動体は、運送車両から荷下ろし又は荷積みする際などにおいて、駐車されている運送車両にアプローチする場合がある。しかし、運送車両の駐車領域の近傍では、運送車両の往来や複数の運送車両が存在するなどの理由により、運送車両が邪魔となり移動体の位置を適切に検出できないおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、運送車両の駐車領域の近傍においても移動体の位置を適切に検出することが可能な移動体の制御方法、移動体、移動制御システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体の制御方法は、自動で移動する移動体の制御方法であって、運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井には、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って、位置を示す標識が複数設けられており、前記標識の少なくとも1つを、前記移動体に検知させることで、前記移動体の位置情報を取得するステップと、前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させるステップと、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させるステップと、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体は、自動で移動する移動体であって、運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井に、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って複数設けられた標識の、少なくとも1つを検知させることで、前記移動体の位置情報を取得する自己位置取得部と、前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させ、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させる移動制御部と、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動制御システムは、前記移動体と、前記標識とを含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、自動で移動する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、運送車両が駐車される駐車領域よりも第1方向側の側方領域の天井に、前記第1方向と交差して前記駐車領域に沿う第2方向に沿って複数設けられた標識の、少なくとも1つを前記移動体に検知させることで、前記移動体の位置情報を取得するステップと、前記移動体の位置情報に基づいて、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させるステップと、前記側方領域において前記第2方向に向かって前記移動体を移動させた後に、前記移動体を、前記第1方向と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、前記移動体を前記駐車領域に向けて移動させるステップとを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、運送車両の駐車領域の近傍において移動体の位置を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図2図2は、運送車両を説明するための模式図である。
図3図3は、標識を説明するための模式図である。
図4図4は、移動体の構成の模式図である。
図5図5は、管理システムの模式的なブロック図である。
図6図6は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
図7図7は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
図8図8は、グローバルパスを説明する模式図である。
図9図9は、第1パスを説明する模式図である。
図10図10は、第2パスを説明する模式図である。
図11図11は、本実施形態に係る自己位置検出の処理フローを説明するフローチャートである。
図12図12は、標識の形状の他の例を説明する模式図である。
図13図13は、標識の形状の他の例を説明する模式図である。
図14図14は、標識の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0013】
(移動制御システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と、管理システム12と、情報処理装置14と、標識S1とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動制御システム1においては、移動体10が、設備W内の駐車領域AR0に駐車された運送車両Vにアプローチする。運送車両Vは、搭載した目標物Pを、設備W内外の区間で運送する移動体であり、目標物Pを搭載した状態で設備Wに到着したり、設備Wで目標物Pが搭載されて別の場所に移動したりする。運送車両Vは、本実施形態ではトラックであるが、それに限られず、例えば鉄道車両など、目標物Pを搬送する任意の移動体であってよい。目標物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。目標物Pは、前面Paに、移動体10の後述するフォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。ただし、目標物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。また以下、設備Wの床面を領域ARとし、領域ARに沿った一方向を方向X(第1方向)とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、方向Y(第2方向)とする。本実施形態では、方向Yは、方向Xに直交する方向である。方向X、方向Yは、水平面に沿った方向といってもよい。また、方向X、方向Yに直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、方向Zとする。
【0014】
(運送車両)
運送車両Vについてより具体的に説明する。図2は、運送車両を説明するための模式図である。図2は、駐車領域AR0に駐車された運送車両Vを運送車両Vの後端側から見た模式図である。図2に示すように、運送車両Vには、収納室VAと、側方扉VBと、あおり部VCと、後方扉VDと、タイヤVEとが設けられている。収納室VAは、車両Vの荷台に形成されて目標物Pが収納される空間である。側方扉VBは、収納室VAの側方側に設けられる扉である。側方扉VBが解放されることで、収納室VAが外部と連通して、目標物Pの搬入及び搬出が可能となる。本実施形態では側方扉VBは両側方に設けられているが、それに限られず一方の側方にのみ設けられていてもよい。あおり部VCは、収納室VAの側方側の底面近傍に設けられるゲートである。後方扉VDは、収納室VAの後方側に設けられる扉である。後方扉VDが開放されることでも、収納室VAが外部と連通して、目標物Pの搬出が可能となる。本実施形態では、側方扉VBを開放して、運送車両Vの両側方側から移動体10がアプローチすることで、両側方側から目標物Pの荷積み及び荷下ろしする。ただしそれに限られず、例えば運送車両Vの一方の側方側のみから目標物Pの荷積み及び荷下ろししてもよいし、運送車両Vの後方から目標物Pの荷積み及び荷下ろししてもよい。また、運送車両Vの構成も、図2で説明したものに限られない。
【0015】
(駐車領域AR0)
図1に示す駐車領域AR0についてより具体的に説明する。駐車領域AR0は、設備Wの領域AR内に設けられる、運送車両Vの駐車用の領域である。駐車領域AR0内においては、運送車両Vが駐車領域AR0からはみ出さないように駐車されることが好ましい。図1の例では駐車領域AR0は1つであるが、駐車領域AR0は複数設けられていてもよい。
【0016】
駐車領域AR0は、運送車両Vが駐車されるべき領域として、予め設定される。すなわち、駐車領域AR0の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されており、駐車領域AR0は、例えば白線などで区画されていてよい。駐車領域AR0は、駐車領域AR0内に駐車される運送車両Vの向きを規定できるような形状及び大きさに設定されることが好ましい。本実施形態では、駐車領域AR0は、運送車両Vが駐車領域AR0内に駐車された場合に、運送車両Vの後端から前端への方向が方向Y側に向くような形状及び大きさで、設定される。例えば図1の例では、駐車領域AR0は、方向X及び方向Yに沿って延在する矩形状の領域であり、方向Xにおける長さよりも方向Yにおける長さが長くなるように設定されている。これにより、左右方向よりも前後方向に長い運送車両Vは、運送車両Vの後端から前端への方向が方向Y側に向かうように、駐車領域AR0内に駐車されることになる。従って、運送車両Vは、駐車領域AR0内において、側方のうちの一方が方向Xに向いて側方のうちの他方が方向Xと反対側を向くことになり、移動体10は、方向X側または方向Xと反対側から、運送車両Vにアプローチする。
【0017】
運送車両Vの収納室VA内には、運送車両Vの前後方向(運送車両Vの後端から前端への方向)に沿って、複数の目標物Pが配置される。従って、駐車領域AR0内においては、目標物Pは、収納室VA内で方向Yに並んで配置されることになる。また、本実施形態では、収納室VA内においては、目標物Pは、車両Vの左右方向(駐車領域AR0ではX方向)にも並んで配置される。図1の例では、駐車領域AR0内において、方向Yに並ぶ複数の目標物Pが、方向Xに2列分配置されている。それぞれの目標物Pは、前面Paが運送車両Vの左右方向において外側を向くように配置される。すなわち、それぞれの目標物Pは、駐車領域AR0内において、前面Paが、移動体10がアプローチしてくる方向を向くように(方向X側又は方向Xと反対側を向くように)配置されているといえる。例えば、方向X側の列の目標物Pは、前面Paが方向X側を向くように配置され、方向Xと反対側の列の目標物Pは、前面Paが方向Xと反対側を向くように配置される。ただし、目標物Pの並び方、数、前面Paの向きは、以上の説明に限られず任意であってよい。
【0018】
(第1領域と第2領域)
図1に示すように、領域ARは、第1領域AR1と第2領域AR2とを含む。第1領域AR1は、第2領域AR2よりも駐車領域AR0の近くに位置する領域であり、詳しくは後述するが、移動体10が標識S1を検知することで自己位置を検出する領域である。第1領域AR1は、天井に設けられた標識S1から所定距離内にある領域であるともいえる。第2領域AR2は、標識S1を検知する以外の方法で、移動体10が自己位置を検出する領域である。第2領域AR2は、天井に設けられた標識S1から所定距離外にある領域であるともいえる。標識S1や移動体10の自己位置検出については、後述する。
【0019】
第1領域AR1は、駐車領域AR0と側方領域AR1aとを含む。側方領域AR1aは、図1に示すように、駐車領域AR0に対して、移動体10がアプローチしてくる方向側に位置する領域である。本実施形態においては、移動体10は、駐車領域AR0内の運送車両Vに対して方向X側からアプローチするため、側方領域AR1aは、駐車領域AR0よりも方向X側に位置しているといえる。また本実施形態の例では、移動体10は、方向Xと反対側からも運送車両Vにアプローチ可能であるため、側方領域AR1aは、駐車領域AR0よりも方向Xと反対側にも存在する。すなわち、本実施形態では、駐車領域AR0よりも方向X側の側方領域AR1aaと、駐車領域AR0よりも方向Xと反対側の側方領域AR1abとが設定されるといえる。側方領域AR1aaは、駐車領域AR0に対して方向X側に隣接しており、駐車領域AR0の方向Yと反対側の端部の方向X側の位置から、駐車領域AR0の方向Y側の端部の方向X側の位置まで、方向Yに沿って延在している。同様に、側方領域AR1abは、駐車領域AR0に対して方向Xと反対側に隣接しており、駐車領域AR0の方向Yと反対側の端部の方向Xと反対側の位置から、駐車領域AR0の方向Y側の端部の方向Xと反対側の位置まで、方向Yに沿って延在している。ただし、図1に示す側方領域AR1aa、AR1bの大きさや形状は一例であり、側方領域AR1aaは、駐車領域AR0に対して方向X側に隣接する任意の大きさ及び形状の領域であってよいし、側方領域AR1abは、駐車領域AR0に対して方向Xと反対側に隣接する任意の大きさ及び形状の領域であってよい。
【0020】
本実施形態では、第1領域AR1は、駐車領域AR0と側方領域AR1aのみを含んでいるため、領域ARのうち、駐車領域AR0及び側方領域AR1a以外の領域が、第2領域AR2となる。ただし、第1領域AR1は、側方領域AR1aを含む任意の領域であってよい。例えば、駐車領域AR0のY方向と反対側の後方領域AR3も、第1領域AR1に含まれてもよい。
【0021】
(標識)
図1及び図2に示すように、側方領域AR1aにおける設備Wの天井CEには、標識S1が設けられている。すなわち、標識S1は、設備Wの天井CEのうちの、Z方向において側方領域AR1aと重なる領域に、設けられている。図1に示すように、標識S1は、側方領域AR1aの天井CEにおいて、方向Yに沿って(駐車領域AR0に沿って)、複数設けられている。なお、移動体10の移動経路である後述のグローバルパスR0は、側方領域AR1aをY方向に沿うように設定されるため、標識S1は、側方領域AR1aにおいてグローバルパスR0に沿って並んでいるともいえる。
【0022】
標識S1は、標識S1の位置情報を含む標識である。標識S1の位置情報とは、領域AR(設備W)の座標系において標識S1が設置されている位置(座標)を示す情報である。詳しくは後述するが、移動体10は、センサ27によって標識S1を検知することで、標識S1の位置情報を取得する。標識S1は、自身の位置情報を示すマークであり、例えば、位置情報を示すQRコード(登録商標)やAR(Augumented Reality)マーカなどであってよいが、それらに限られず、位置情報を含む任意の標識であってよい。
【0023】
図3は、標識を説明するための模式図である。図3は、Z方向と反対側から標識S1を見た場合の図である。図2及び図3に示すように、標識S1は、Z方向と反対側(鉛直方向下方側)を向くように、側方領域AR1aの天井CEに設けられている。本実施形態の例では、側方領域AR1aの天井CEには、Z方向と反対側に延在する軸部T1が、Y方向に沿って複数設けられており、軸部T1のZ方向と反対側における先端に、板部T2が接続されている。板部T2は、Y方向に延在する板状の部材であり、Z方向と反対側の表面T2aに、Y方向に沿って複数の標識S1が設けられている。板部T2は、表面T2aが側方領域AR1a(床面)に平行となるように、配置されている。従って、標識S1も、側方領域AR1aに平行となるように設けられているといえる。ただし、標識S1の設けられる形態はこれに限られず任意であってよい。例えば、標識S1は、板部T2に設けられることに限られず、標識S1は、天井CEに直接設けられていてもよい。また、標識S1は、側方領域AR1aに平行となるように設けられることに限られず、側方領域AR1aに対して傾斜して設けられてもよい。
【0024】
図3に示すように、板部T2の表面T2aの、Y方向に隣り合う標識S1同士の間には、ラインLが形成されている。ラインLは、移動体10のセンサ27によって検知可能な線状のマーカであり、例えば白線などであってよい。ラインLは、Y方向に延在するように形成されている。本実施形態では、ラインLは、Y方向に隣り合う標識S1同士の間のそれぞれの位置に設けられているため、最もY方向と反対側の標識S1から、最もY方向側の標識S1までにわたって、Y方向に延在しているといえる。ただし、ラインLは、最もY方向と反対側の標識S1から、最もY方向側の標識S1までの全区間にわたって設けられることに限られず、その区間のうちの一部の区間にのみ設けられてもよい。また、ラインLは必須の構成ではない。
【0025】
以上説明したように、標識S1は、側方領域AR1aの天井CEに設けられるが、側方領域AR1aの天井CEのみに限られず、第1領域AR1内の側方領域AR1a以外の領域の天井にも設けられていてよい。例えば、第1領域AR1に後方領域AR3が含まれている場合には、標識S1は、後方領域AR3の天井CEにも、後方領域AR3におけるグローバルパスR0に沿って、複数設けられてよい。すなわち、標識S1は、第1領域AR1の少なくとも一部の領域の天井に、グローバルパスR0に沿って複数設けられているともいえる。一方、標識S1は、第2領域AR2の天井には設けられなくてよい。
【0026】
(移動体)
移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、さらにいえば、いわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。図1に例示すように、移動体10は、設備Wにおける領域AR上を移動する。移動体10は、駐車領域AR0に駐車された運送車両Vに向けてアプローチして、運送車両Vに搭載された目標物Pを荷下ろし(ピックアップ)したり、自身が搭載する目標物Pを運送車両Vに荷積み(ドロップ)したりする。以降においては、移動体10が、駐車領域AR0のX方向側の側方領域AR1a(側方領域AR1aa)を通って、駐車領域AR0のX方向側から運送車両Vにアプローチし、運送車両Vに搭載された目標物Pを荷下ろしする場合を例にして説明する。
【0027】
図4は、移動体の構成の模式図である。図4に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26、27と、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0028】
センサ26は、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26は、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢とを検出するともいえる。本実施形態では、センサ26はそれぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26の設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26として流用してもよい。安全センサを流用することで、新たにセンサを設ける必要がなくなる。
【0029】
センサ26は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26は、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26は、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0030】
センサ27は、標識S1を検知するセンサである。センサ27は、Z方向側を向くように設けられて、移動体10のZ方向側が検知領域とされている。本実施形態の例では、センサ27は、車体20のZ方向側の面に設けられているが、センサ27の設けられる位置は任意であってよい。
【0031】
センサ27は、本実施形態ではカメラであり、移動体10のZ方向側が撮像領域(検知領域)となっている。センサ27は、標識S1を撮像することにより、標識S1を検知する。すなわち、センサ27は、撮像領域を逐次撮像して、撮像領域内に標識S1が写った場合に、すなわち標識S1からの可視光の反射光を受光した場合に、標識S1を検知したということができる。ただし、センサ27はカメラであることに限られず、標識S1を検知して標識S1の位置情報を取得可能な任意のセンサであってよい。また、センサ27は、センサ26と別のセンサであることに限られず、センサ26や安全センサを、センサ27として用いてもよい。
【0032】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0033】
(管理システム)
図5は、管理システムの模式的なブロック図である。管理システム12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理システム12は、本実施形態ではWMS(Warehouse Management System)であるが、WMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理システム12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理システム12は、コンピュータであり、図5に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0034】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0035】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、作業決定部36を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業決定部36を実現して、その処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業決定部36を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理システム12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0036】
作業決定部36は、搬送する対象となる目標物Pを決定する。具体的には、作業決定部36は、例えば入力された作業計画に基づき、搬送する対象となる目標物Pの情報を示す作業内容を決定する。作業内容は、搬送する対象となる目標物Pを特定する情報であるともいえる。本実施形態の例では、作業内容は、どの設備にあるどの目標物Pを、いつまでに、どこに搬送するかを、作業内容として決定する。すなわち、作業決定部36は、対象となる目標物Pが保管されている設備と、対象となる目標物Pと、目標物Pの搬送先と、目標物Pの搬送時期とを、を示す情報である。作業決定部36は、決定した作業内容を、通信部30を介して、情報処理装置14に送信する。なお、作業決定部36は、本実施形態では必須の構成ではない。
【0037】
(情報処理装置)
図6は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、設備Wに設けられ、少なくとも、移動体10の移動に関する情報などを演算する装置、いわゆる地上システムである。情報処理装置14は、コンピュータであり、図6に示すように、通信部40と記憶部42と制御部44とを含む。通信部40は、制御部44に用いられて、管理システム12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部40による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部42は、制御部44の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。なお、本実施形態では、管理システム12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理システム12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理システム12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0038】
制御部44は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部44は、作業内容取得部50と、移動体選定部52と、グローバルパス取得部54とを含む。制御部44は、記憶部42からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業内容取得部50と移動体選定部52とグローバルパス取得部54とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部44は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業内容取得部50と移動体選定部52とグローバルパス取得部54との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部42が保存する制御部44用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0039】
(作業内容取得部及び移動体選定部)
作業内容取得部50は、管理システム12が決定した作業内容の情報、すなわち搬送対象となる目標物Pの情報を取得する。作業内容取得部50は、作業内容における目標物Pの情報から、目標物Pが搭載されている運送車両Vの駐車領域AR0を特定する。例えば、記憶部42には、目標物Pと、その目標物Pが搭載されている運送車両Vと、運送車両Vの駐車領域AR0とが、関連付けて記憶されており、作業内容取得部50は、記憶部42からその情報を読み出すことで、駐車領域AR0を特定する。移動体選定部52は、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部52は、例えば、設備Wに所属する複数の移動体から、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部52は、任意の方法で対象となる移動体10を選定してよいが、例えば、作業内容取得部50が特定した駐車領域AR0に基づき、その駐車領域AR0にある目標物Pの搬送に適した移動体10を、対象となる移動体10として選定してよい。なお、作業内容取得部50及び移動体選定部52は、本実施形態では必須の構成ではない。
【0040】
(グローバルパス取得部)
グローバルパス取得部54は、作業内容取得部50が特定した駐車領域AR0に向かうグローバルパスR0の情報を、取得する。グローバルパス取得部54は、取得したグローバルパスR0の情報を、通信部40を介して、対象となる移動体10に送信する。グローバルパスR0は、例えば駐車領域AR0毎に、予め設定されている。グローバルパス取得部54は、例えば記憶部42から、作業内容取得部50が特定した駐車領域AR0に対して設定されたグローバルパスR0を、取得する。グローバルパスR0は、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)を基準として設定されるため、領域ARの座標系における軌道であるが、それに限られず、グローバル座標系における軌道であってもよい。
【0041】
グローバルパスR0は、設備Wの地図情報に基づき予め設定される。設備Wの地図情報は、設備Wに設置されている障害物(柱など)や移動体10が走行可能な通路などの位置情報を含んだ情報であり、領域AR内で移動体10が移動可能な領域を示す情報といえる。また、グローバルパスR0は、設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、設定されてよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。車両仕様の情報にも基づきグローバルパスR0が設定されている場合、グローバルパスR0は、移動体毎に設定されてよい。なお、グローバルパスR0は、人によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき設定されてもよいし、情報処理装置14などの装置によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき、自動的に設定されてもよい。自動的にグローバルパスR0を設定する場合、例えば通過して欲しいポイント(Waypoint)を指定してもよく、この場合、通過して欲しいポイントを通過しつつ、最短、かつ障害物(壁などの固定物)を避けたグローバルパスR0の設定が可能となる。
【0042】
なお、グローバルパス取得部54は、予め設定されたグローバルパスR0を読み出すことなく、グローバルパスR0を設定してもよい。この場合、グローバルパス取得部54は、対象となる移動体10の位置情報と、駐車領域AR0の位置情報と、設備Wの地図情報とに基づき、移動体10の現在位置から、駐車領域AR0に向かう経路を、グローバルパスR0として生成してよい。
【0043】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。図7は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御して、移動体10を駐車領域AR0内の運送車両Vまでアプローチさせる。制御装置28は、コンピュータであり、図7に示すように、通信部60と記憶部62と制御部64とを含む。通信部60は、制御部64に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部60による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部62は、制御部64の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0044】
制御部64は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部64は、グローバルパス取得部70と、自己位置取得部72と、移動制御部74と、検出制御部76と、第1パス取得部78と、第2パス取得部80と、フォーク制御部82とを含む。制御部64は、記憶部62からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、グローバルパス取得部70と自己位置取得部72と移動制御部74と検出制御部76と第1パス取得部78と第2パス取得部80とフォーク制御部82とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部64は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、グローバルパス取得部70と自己位置取得部72と移動制御部74と検出制御部76と第1パス取得部78と第2パス取得部80とフォーク制御部82との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部62が保存する制御部64用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0045】
(グローバルパス取得部)
グローバルパス取得部70は、グローバルパスR0の情報を取得する。グローバルパス取得部70は、その移動体10が作業対象として選定された際に、情報処理装置14からグローバルパスR0の情報を取得してもよいし、予め記憶部62に記憶されたグローバルパスR0の情報を読み出してもよい。また、グローバルパス取得部70は、情報処理装置14からグローバルパスR0を取得することに限られず、自身でグローバルパスR0を設定してもよい。
【0046】
(自己位置取得部)
自己位置取得部72は、移動体10の位置情報を逐次取得する。移動体10の位置情報とは、領域ARの座標系における移動体10の位置(座標)を示す情報である。自己位置取得部72は、移動体10が第1領域AR1(側方領域AR1aなど)に位置している際には、標識S1を検知する第1検出方法により移動体10の位置情報を取得し、移動体10が第1領域AR1(側方領域AR1aなど)外に位置している際には、第1検出方法以外の第2検出方法により移動体10の位置情報を取得する。自己位置取得部72の処理については後述する。
【0047】
(移動制御部)
移動制御部74は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。移動制御部74の具体的な処理は後述する。
【0048】
(検出制御部)
検出制御部76は、センサ26に、運送車両Vの位置及び姿勢や、目標物Pの位置及び姿勢を検出させ、センサ26による運送車両Vの位置及び姿勢や目標物Pの位置及び姿勢の検出結果を取得する。検出制御部76の具体的な処理は後述する。
【0049】
(第1パス取得部)
第1パス取得部78は、運送車両Vの位置及び姿勢に基づいて設定される第1パスR1の情報を取得する。第1パス取得部78の具体的な処理は後述する。
【0050】
(第2パス取得部)
第2パス取得部80は、目標物Pの位置及び姿勢に基づいて設定される第2パスR2の情報を取得する。第2パス取得部80の具体的な処理は後述する。
【0051】
(フォーク制御部)
フォーク制御部82は、移動体10のフォーク24の動作を制御する。
【0052】
(制御装置の処理)
次に、移動体10が運送車両Vまでアプローチする際の制御装置28の処理について説明する。
【0053】
(グローバルパスに沿った移動)
図8は、グローバルパスを説明する模式図である。図8に示すように、制御装置28の移動制御部74は、グローバルパス取得部70が取得したグローバルパスR0に従って、移動体10を移動させる。グローバルパスR0は、駐車領域AR0内における車両Vと目標物Pとが、予め設定された基準の位置及び姿勢(例えば駐車領域AR0に対してずれがない位置及び姿勢)にあることを前提として生成される。すなわち、グローバルパスR0は、駐車領域AR0内で基準位置及び姿勢にある車両V内において、基準の位置及び姿勢にある目標物Pに対して、移動体10が所定の位置及び姿勢となる位置(目標位置A1)までの軌道といえる。目標位置A1は、車両Vと目標物Pとが、予め設定された基準の位置及び姿勢にある場合に、移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢といえる。
【0054】
本実施形態では、グローバルパスR0は、軌道R0aと軌道R0bと軌道R0cとを含む。軌道R0aは、側方領域AR1aまでの軌道である。軌道R0bは、軌道R0aに接続されて、側方領域AR1a内をY方向に向けて延在する軌道である。軌道R0cは、軌道R0bに接続されて、側方領域AR1aから、X方向と反対方向に向けて目標位置A1まで到達する軌道である。軌道R0cは、移動体10の進行方向を、Y方向に向かう方向から、X方向と反対方向に向かう方向に切り替えるように、移動体10を旋回させる軌道といえる。軌道R0cは、軌道R0bから切り返しされた軌道となっているが、それに限られずX方向と反対方向に向けて目標位置A1まで到達する任意の軌道であってもよい。なお、グローバルパスR0は、軌道R0aと軌道R0bと軌道R0cとを含む軌道であることに限られない。例えば、グローバルパスR0は、目標位置A1までの軌道でなくてよく、例えば軌道R0cを含まず、軌道R0aと軌道R0bとを含む軌道であってもよい。
【0055】
このように、移動体10は、グローバルパスR0に沿って移動するが、運送車両Vや目標物Pが、予め設定された基準の位置及び姿勢からずれる場合もあるため、本実施形態においては、運送車両Vや目標物Pの位置及び姿勢を検出して、それらに基づいて、パスを切り替える。本実施形態では、グローバルパスR0から、第1パスR1、第2パスR2の順でパスを切り替える。
【0056】
(グローバルパスでの運送車両の検出)
検出制御部76は、運送車両Vの位置及び姿勢の検出結果を取得する。運送車両Vの位置及び姿勢の検出結果の取得方法は任意であるが、本実施形態では、検出制御部76は、移動体10がグローバルパスR0に沿って移動中に、センサ26に、運送車両Vの位置及び姿勢を検出させる。検出制御部76は、センサ26に、位置が既知である駐車領域AR0に向けて検出を行わせることで、駐車領域AR0に駐車されている運送車両Vを検出させる。
【0057】
例えばセンサ26がレーザ光を照射する構成の場合、検出制御部76は、移動体10がグローバルパスR0を移動中に、センサ26を横方向(水平方向)に走査させつつ、駐車領域AR0側に向けて、センサ26からレーザ光LTを照射させる。駐車領域AR0に駐車されている運送車両Vは、センサ26からのレーザ光LTを反射する。センサ26は、運送車両Vからの反射光を受光する。検出制御部76は、センサ26が受光した反射光の検出結果に基づき、計測点の集合である点群を取得する。計測点とは、レーザ光LTが反射された位置(座標)を示す点であり、点群とは、レーザ光LTが反射された位置を示す点の集合を指す。本実施形態では、検出制御部76は、反射光の検出結果に基づき、反射光が反射された箇所の位置(座標)を、計測点として算出する。検出制御部76は、各計測点(点群)に基づき、例えばRANSACアルゴリズムを用いて直線を抽出し、その直線の位置及び姿勢を、運送車両Vの位置及び姿勢として算出する。ただし、センサ26の検出結果に基づく運送車両Vの位置及び姿勢の算出方法は、任意であってよい。
【0058】
なお、図8の例では、移動体10が軌道R0aを移動中に運送車両Vを検出させていることを例にしているが、検出制御部76は、移動体10がグローバルパスR0上に位置している任意のタイミングで運送車両Vを検出させてよい。例えば、検出制御部76は、軌道R0bを移動中に運送車両Vを検出させてもよいし、グローバルパスR0上の任意の位置で停止している際に運送車両Vを検出させてもよい。
【0059】
以下、センサ26が検出した運送車両Vの位置及び姿勢を示す情報を、適宜、運送車両Vの位置姿勢情報と記載する。検出制御部76は、センサ26が検出した運送車両Vの位置姿勢情報を取得する、といえる。なお、運送車両Vの位置及び姿勢の検出は、センサ26によって行われることに限られないし、移動体10がグローバルパスR0上に位置している際に取得されることにも限られない。例えば、設備W内に運送車両Vの位置及び姿勢を検出するセンサが設けられており、検出制御部76は、そのセンサから、運送車両Vの位置及び姿勢の検出結果を取得してもよい。すなわち、検出制御部76が取得する運送車両Vの位置姿勢情報は、センサ26で検出されたものに限られず、例えば設備W内に設けられたセンサで検出されたものであってもよい。
【0060】
(第1パスの設定)
図9は、第1パスを説明する模式図である。第1パス取得部78は、グローバルパスR0に沿って移動中に取得された運送車両Vの位置姿勢情報に基づき設定された、第1パスR1の情報を取得する。第1パスR1は、運送車両Vが、センサ26によって検出された位置及び姿勢にあり、かつ、目標物Pが予め設定された基準の位置及び姿勢(例えば運送車両Vに対してずれがない位置及び姿勢)にあることを前提として生成される。第1パスR1は、センサ26によって検出された位置及び姿勢の運送車両V内で、基準の位置及び姿勢となるように搭載された目標物Pに対して、移動体10が所定の位置及び姿勢となる位置(目標位置A2)までの軌道といえる。本実施形態では、目標位置A2は、運送車両Vがセンサ26によって検出された位置及び姿勢にあり、かつ、目標物Pが基準の位置及び姿勢にある場合に、移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢といえる。
【0061】
さらに言えば、第1パスR1は、グローバルパスR0から第1パスR1に切り替える際の移動体10の位置を出発位置とし、目標位置A2を到達位置とする軌道といえる。本実施形態では、第1パスR1は、軌道R1aと軌道R1bとを含む。軌道R1aは、出発位置から、側方領域AR1a内をY方向に向けて延在する軌道である。軌道R1bは、軌道R1aに接続されて、側方領域AR1aから、X方向と反対方向に向けて目標位置A2まで到達する軌道である。軌道R1bは、移動体10の進行方向を、Y方向に向かう方向から、X方向と反対方向に向かう方向に切り替えるように、移動体10を旋回させる軌道といえる。図9の例では、側方領域AR1aの入口で運送車両Vの位置姿勢情報が取得されたため、第1パスR1は、側方領域AR1aの入口を出発位置とする軌道となっているが、出発位置は側方領域AR1aの入口に限られない。また、第1パスR1は、軌道R1aと軌道R1bとを含むことに限られない。例えば、出発位置が側方領域AR1a内の移動体10の切り返し位置にある場合には、第1パスR1は、軌道R0bのみを含むものであってもよい。
【0062】
本実施形態においては、第1パス取得部78が、すなわち移動体10自身が、運送車両Vの位置姿勢情報に基づき、第1パスR1を設定する。ただしそれに限られず、移動体10以外の主体(例えば情報処理装置14)が第1パスR1を設定し、第1パス取得部78は、その主体に設定された第1パスR1の情報を、通信部60を介して取得してもよい。
【0063】
(第1パスに沿った移動)
移動制御部74は、第1パス取得部78が第1パスR1を取得したら、グローバルパスR0から第1パスR1に切り替えて、第1パスR1に従って移動体10を移動させる。
【0064】
ただし、運送車両Vの位置姿勢情報に基づいた第1パスR1の設定は必須ではない。例えばグローバルパスR0を第1パスR1として扱って、移動制御部74は、後述の第2パスR2に切り替えるまで、移動体10をグローバルパスR0に沿って移動させてもよい。
【0065】
(第1パスでの目標物の検出)
検出制御部76は、目標物Pの位置及び姿勢の検出結果を取得する。目標物Pの位置及び姿勢の検出結果の取得方法は任意であるが、本実施形態では、検出制御部76は、移動体10が第1パスR1に沿って移動中に、センサ26に、目標物Pの位置及び姿勢を検出させる。検出制御部76は、センサ26に、位置が既知である駐車領域AR0に向けて検出を行わせることで、駐車領域AR0内にある目標物Pを検出させる。
【0066】
例えばセンサ26がレーザ光を照射する構成の場合、検出制御部76は、移動体10が第1パスR1を移動中に、センサ26を横方向(水平方向)に走査させつつ、駐車領域AR0側に向けて、センサ26からレーザ光LTを照射させる。目標物Pは、センサ26からのレーザ光LTを反射する。センサ26は、目標物Pからの反射光を受光する。検出制御部76は、センサ26が受光した反射光の検出結果に基づき、計測点の集合である点群を取得する。本実施形態では、検出制御部76は、反射光の検出結果に基づき、反射光が反射された箇所の位置(座標)を、計測点として算出する。検出制御部76は、各計測点(点群)に基づき、例えばRANSACアルゴリズムを用いて直線を抽出し、その直線の位置及び姿勢を、目標物Pの位置及び姿勢として算出する。ただし、センサ26の検出結果に基づく目標物Pの位置及び姿勢の算出方法は、任意であってよい。
【0067】
なお、図9の例では、移動体10が軌道R1aを移動中に目標物Pを検出させていることを例にしているが、検出制御部76は、移動体10が第1パスR1上に位置している任意のタイミングで目標物Pを検出させてよい。例えば、検出制御部76は、軌道R1bを移動中に目標物Pを検出させてもよいし、第1パスR1上の任意の位置で停止している際に運送車両Vを検出させてもよい。
【0068】
以下、センサ26が検出した目標物Pの位置及び姿勢を示す情報を、適宜、目標物Pの位置姿勢情報と記載する。検出制御部76は、センサ26が検出した目標物Pの位置姿勢情報を取得する、といえる。なお、目標物Pの位置及び姿勢の検出は、センサ26によって行われることに限られないし、移動体10が第1パスR1上に位置している際に取得されることにも限られない。例えば、設備W内に目標物Pの位置及び姿勢を検出するセンサが設けられており、検出制御部76は、そのセンサから、目標物Pの位置及び姿勢の検出結果を取得してもよい。すなわち、検出制御部76が取得する目標物Pの位置姿勢情報は、センサ26で検出されたものに限られず、例えば設備W内に設けられたセンサで検出されたものであってもよい。
【0069】
(第2パスの設定)
図10は、第2パスを説明する模式図である。第2パス取得部80は、第1パスR1に沿って移動中に取得された目標物Pの位置姿勢情報に基づき設定された、第2パスR2の情報を取得する。第2パスR2は、目標物Pが、センサ26によって検出された位置及び姿勢にあることを前提として生成されている。第2パスR2は、センサ26によって検出された位置及び姿勢にある目標物Pに対して、移動体10が所定の位置及び姿勢となる位置(目標位置A3)までの軌道といえる。本実施形態では、目標位置A3は、目標物Pがセンサ26によって検出された位置及び姿勢にある場合に、移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢といえる。
【0070】
さらに言えば、第2パスR2は、第1パスR1から第2パスR2に切り替える際の移動体10の位置を出発位置とし、目標位置A3を到達位置とする軌道といえる。本実施形態では、第2パスR2は、側方領域AR1a内にある出発位置から、X方向と反対方向に向けて目標位置A3まで到達する軌道である。第2パスR2は、移動体10の進行方向を、Y方向に向かう方向から、X方向と反対方向に向かう方向に切り替えるように、移動体10を旋回させる軌道といえる。図10の例では、第2パスR2は、側方領域AR1a内で目標物Pよりも方向Y側の位置で、目標物Pの位置姿勢情報が取得されて、目標物Pよりも方向Y側の位置が出発位置とされて、出発位置から切り返されて目標位置A3まで到達する軌道となっている。ただし、出発位置は目標物Pよりも方向Y側の位置であることに限られない。例えば、第2パスR2は、目標物Pよりも方向Yと反対側の位置を出発位置として、出発位置から切り返し位置まで側方領域AR1a内をY方向に向かう軌道と、切り返し位置からX方向と反対方向に向けて目標位置A3まで到達する軌道と、を含むものであってもよい。
【0071】
本実施形態においては、第2パス取得部80が、すなわち移動体10自身が、目標物Pの位置姿勢情報に基づき、第2パスR2を設定する。ただしそれに限られず、移動体10以外の主体(例えば情報処理装置14)が第2パスR2を設定し、第2パス取得部780は、その主体に設定された第2パスR2の情報を、通信部60を介して取得してもよい。
【0072】
(第2パスに沿った移動)
移動制御部74は、第2パス取得部80が第2パスR2を取得したら、第1パスR1から第2パスR2に切り替えて、第2パスR2に従って移動体10を移動させる。
【0073】
移動体10は、第2パスR2に沿って移動することにより目標位置A3に到達したら、フォーク制御部82によりフォーク24を動かして、開口Pbにフォーク24を挿入させて、目標物Pをピックアップする。移動制御部74は、目標物Pをピックアップした移動体10を、設定された搬送先まで搬送させる。ここで、移動体10は、第2パスR2に沿って移動している際に、目標物Pの開口Pbの位置を逐次検出して、フィードバック制御により、開口Pbの位置とフォーク24の位置とを合わせるように、フォーク24を動かしてもよい。この場合例えば、フォーク制御部82は、フォーク24を横方向に動かして(サイドシフトさせて)、開口Pbの位置とフォーク24の位置とを合わせてよい。
【0074】
ただし、目標物Pの位置姿勢情報に基づいた第2パスR2の設定は必須ではない。例えば第1パスR1やグローバルパスR0を第2パスR2として扱って、移動制御部74は、移動体10を第1パスR1やグローバルパスR0に沿って、目標物Pまで移動させてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、移動体10は、軌道R0bや軌道R1aまではフォーク24と反対側を前方にして移動し、軌道R0cや軌道R1bや第2パスR2において、フォーク24側を前方とするように切り返しつつ、X方向と反対方向に目標物Pに向けて移動する。ただし、軌道R0cや軌道R1bや第2パスR2は、切り返す軌道であることに限られず、切り返さずに、X方向と反対方向に目標物Pに向かって旋回させる軌道であってもよい。この場合例えば、移動体10は、軌道R1aまでにおいてもフォーク24を前方にして移動し、フォーク24を前方にしたまま、軌道R0cや軌道R1bや第2パスR2に切り替えることとなる。
【0076】
また、以上の説明では、移動体10が運送車両Vに搭載された目標物Pを荷下ろしする場合を例にしたが、移動体10は、運送車両Vに目標物Pを荷積みしてもよい。この場合、移動体10は、運送車両V内の目標物Pの位置及び姿勢に基づいた第2パスR2を設定することなく、予め設定された目標物Pを荷積みすべき位置を目標位置として、目標位置までの第1パスR1を設定して、第1パスR1に沿って目標位置までアプローチしてよい。また例えば、移動体10は、運送車両V内において目標物Pを荷積みすべき位置をセンサ26により検出させて、目標物Pを荷積みすべき位置に対して所定の位置及び姿勢となる地点を目標位置A3として、目標位置A3までの第2パスR2を設定して、第2パスR2に沿って目標位置A3までアプローチしてよい。この場合例えば、運送車両V内において目標物Pを荷積みすべき位置は、センサ26により収納室VA内の壁や他の目標物Pの位置及び姿勢を検出させて、壁や他の目標物Pに対して基準距離だけ離れた位置を、目標物Pを荷積みすべき位置として検出させてよい。
【0077】
(自己位置の検出)
ここで、移動体10は、自己位置取得部72によって自己位置(移動体10の位置)を検出しながら、移動制御部74の制御によって移動する。移動体10は、駐車領域AR0から遠い第2領域AR2を移動中においては、第2検出方法を用いて自己位置を検出しつつ移動し、駐車領域AR0に近い第1領域AR1を移動中においては、標識S1を検知する第1検出方法を用いて自己位置を検出しつつ移動する。なお、移動体10は、グローバルパスR0、第1パスR1、及び第2パスR2のそれぞれのパスにおいて、自己位置を検出しつつ移動する。本実施形態では、グローバルパスR0は、第2領域AR2から第1領域AR1までにわたる経路であるため、自己位置取得部72は、グローバルパスR0のうちの第2領域AR2内の区間を移動する際には、第2検出方法を用いて自己位置検出し、グローバルパスR0のうちの第1領域AR1内の区間を移動する際には、第1検出方法を用いて自己位置検出する。一方、本実施形態では、第1パスR1及び第2パスR2は、第1領域AR1内の経路であるため、自己位置取得部72は、第1パスR1及び第2パスR2を移動する際には、第1検出方法を用いて自己位置検出する。ただし、第1パスR1及び第2パスR2の少なくとも一方は、第2領域AR2から第1領域AR1までにわたっていてもよい。この場合、自己位置取得部72は、第1パスR1及び第2パスR2のうちの第2領域AR2内の区間を移動する際には、第2検出方法を用いて自己位置検出し、第1パスR1及び第2パスR2のうちの第1領域AR1内の区間を移動する際には、第1検出方法を用いて自己位置検出する。
【0078】
(第2検出方法)
以下、第2領域AR2内を移動中の第2検出方法について説明する。図8は、グローバルパスR0に沿って第2領域AR2を移動する例を示している。移動体10がグローバルパスR0に沿って第2領域AR2内を移動している場合、自己位置取得部72は、第2検出方法を用いて、移動体10の位置情報を逐次取得する。移動体10の位置情報とは、移動体10の位置及び姿勢を指す。ここでの移動体10の位置とは、設備Wの座標系における移動体10の位置(座標)である。また、移動体10の姿勢とは、方向X及び方向Yに直交する方向Zから見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)である。本実施形態における位置とは、別途説明が無い限り、設備Wの座標系における座標を指してよく、同様に本実施形態にける姿勢とは、別途説明が無い限り、方向Zから見た場合に、X方向を0°とした際のヨー角を指してよい。なお、図8は、第2領域AR2をグローバルパスR0に沿って移動した場合を例にしているが、上述のように、第1パスR1や第2パスR2で第2領域AR2を移動する場合であっても、同様に第2検出方法を用いて移動体10の位置情報を取得する。
【0079】
第2検出方法は、標識S1を検知する後述の第1検知方法とは異なる任意の方法で、移動体10の位置情報を取得するものであってよい。本実施形態の例では、設備Wに、レーザ光を反射可能な検出体S2が複数設けられており、自己位置取得部72は、第2検出方法においては、検出体S2からの反射光に基づいて移動体10の位置情報を取得する。具体的には、自己位置取得部72は、移動体10に設けられる位置検出センサから、それぞれの検出体S2に向けてレーザ光を照射させる。それぞれの検出体S2は、位置検出センサからのレーザ光を反射して、位置検出センサは、検出体S2からの反射光を受光する。自己位置取得部72は、位置検出センサが反射光を受光したタイミングと、反射光の進行方向との少なくとも1つに基づいて、移動体10の位置及び姿勢を算出して、移動体10の位置情報として取得する。なお、図8の例では、検出体S2は4つ設けられているが、検出体S2の数は任意である。また、検出体S2の設けられる位置も図8の例に限定されず、標識S1と異なる任意の位置に設けられてよい。また、第2検出方法に用いる移動体10の位置検出用のセンサは、レーザ光を発光及び受光可能な任意のセンサであってよく、例えばセンサ26を位置検出センサとして用いてもよい。
【0080】
なお、第2検出方法は、このように検出体S2を用いることに限られず、第1検出方法と異なる任意の方法であってよい。例えば、第2検出方法として、SLAM(Slmultaneous Localization and Mapping)などの自己位置推定技術を用いてもよい。SLAMにおいては、例えば、移動制御部74は、設備Wの地図情報を取得し、設備W内の参照物(例えば柱など)の地図情報における位置と、センサ(例えばセンサ26)で検出した参照物の位置との位置関係に基づき、すなわちマップマッチングの手法を用いて、移動体10の位置情報を取得する。
【0081】
移動体10は、第2領域AR2内を移動中においては、自己位置取得部72が第2検出方法で取得した移動体10の位置情報に基づき、移動制御部74の制御により、第2領域AR2内のパス(図8の例ではグローバルパスR0)に沿って移動する。例えば、移動制御部74は、オドメトリにより移動体10の位置及び姿勢を推定して、移動体10の推定位置及び推定姿勢が第2領域AR2内のパスに沿うように、移動体10を移動させる。そして、移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得したら、移動体10の推定位置及び推定姿勢を、自己位置取得部72が取得した移動体10の位置及び姿勢によって補正して、補正した移動体10の推定位置及び推定姿勢が第2領域AR2内のパスに沿うように、移動体10の移動を継続させる。移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得する度に、移動体10の推定位置及び推定姿勢を補正する。
【0082】
(第2検出方法から第1検出方法への切り替え)
自己位置取得部72は、移動体10が第2領域AR2と第1領域AR1との境界位置に到達したら、すなわち移動体10の推定位置が境界位置に到達した場合に、自己位置検出の方法を、第2検出方法と第1検出方法とで切り替える。本実施形態の説明では、移動体10が第2領域AR2から第1領域AR1に向けて移動しているため、自己位置取得部72は、移動体10が第2領域AR2と第1領域AR1との境界位置に到達したら、自己位置検出の方法を、第2検出方法から第1検出方法に切り替える。なお、移動体10が第1領域AR1から第2領域AR2に向けて移動している場合には、自己位置取得部72は、移動体10が境界位置に到達したら、自己位置検出の方法を、第1検出方法から第2検出方法に切り替える。
【0083】
本実施形態においては、境界位置が予め規定されており、移動体10が予め規定された位置に到達したら、すなわち自己位置取得部72による移動体10の推定位置が予め規定された位置となったら、移動体10が境界位置に到達したと判断して、第2検出方法と第1検出方法とを切り替える。ただし、境界位置に到達したかの判断は、これに限られず、例えば境界位置を予め定めなくてもよい。この場合例えば、第2検出方法から第1検出方法への切り替え判断の際には、自己位置取得部72は、第1検出方法における検出精度が閾値以下となった場合に、移動体10が境界位置に到達したと判断して、第2検出方法から第1検出方法に切り替えてもよい。例えば、自己位置取得部72は、検出体S2からの反射光の強度が所定値以下となったことと、反射光が受光できた検出体S2の数が所定数以下となったこととの、少なくとも1つを満たす場合に、第2検出方法における検出精度が閾値以下となったと判断して、第2検出方法から第1検出方法に切り替えてよい。同様に、第1検出方法から第2検出方法への切り替え判断の際には、自己位置取得部72は、第1検出方法における検出精度が閾値以下となった場合に、移動体10が境界位置に到達したと判断して、第1検出方法から第2検出方法に切り替えてもよい。例えば、自己位置取得部72は、センサ27による撮像画像データから標識S1の位置情報を取得できなくなった場合に、第1検出方法における検出精度が閾値以下となったと判断して、第1検出方法から第2検出方法に切り替えてよい。
【0084】
(第1検出方法)
以下、第1領域AR1内を移動中の第1検出方法について説明する。図9は、第1領域AR1の側方領域AR1a内をY方向に移動する例を示している。移動体10が側方領域AR1a内をY方向に移動している場合、自己位置取得部72は、第1検出方法を用いて、移動体10の位置情報を逐次取得する。なお、図9は、第1パスR1に沿って側方領域AR1a内をY方向に移動する場合を例にしているが、グローバルパスR0や第2パスR2で側方領域AR1a内をY方向に移動する場合であっても、同様に第1検出方法を用いて移動体10の位置情報を取得する。
【0085】
自己位置取得部72は、第1検出方法において、標識S1の少なくとも1つをセンサ27に検知させることで、移動体10の位置情報を取得する。具体的には、自己位置取得部72は、側方領域AR1aの天井にY方向に並ぶように設けられた標識S1の少なくとも1つを、センサ27に撮像させる。自己位置取得部72は、センサ27によって撮像された標識S1の画像データから、標識S1の位置情報を読み出して、標識S1の位置情報を取得する。自己位置取得部72は、標識S1の位置情報に基づき、移動体10の位置及び姿勢を算出して、移動体10の位置情報として取得する。例えば、自己位置取得部72は、センサ27の撮像画像に基づいて、標識S1に対する移動体10の位置及び姿勢を算出し、標識S1に対する移動体10の位置及び姿勢と、標識S1の位置情報とから、移動体10の位置及び姿勢を算出する。なお、自己位置取得部72は、撮像画像内における標識S1の位置や大きさに基づき、標識S1に対する移動体10の位置及び姿勢を算出できる。
【0086】
移動体10は、側方領域AR1a内をY方向に移動しつつ、自己位置取得部72によって標識S1を逐次検知させることで、移動体10の位置情報を逐次取得する。例えば、移動制御部74は、オドメトリにより移動体10の位置及び姿勢を推定して、移動体10の推定位置及び推定姿勢が側方領域AR1a内をY方向に向かうパスに沿うように、移動体10を移動させる。そして、移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得したら、移動体10の推定位置及び推定姿勢を、自己位置取得部72が取得した移動体10の位置及び姿勢によって補正して、補正した移動体10の推定位置及び推定姿勢が側方領域AR1a内をY方向に向かうパスに沿うように、移動体10の移動を継続させる。移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得する度に、移動体10の推定位置及び推定姿勢を補正する。
【0087】
なお、標識S1は、移動体10の移動方法であるY方向に沿って複数設けられる。そのため、自己位置取得部72は、移動体10のY方向への移動に伴い、センサ27に検知させる標識S1を、移動体10と近い標識S1に切り替えることができるため、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0088】
また、移動制御部74は、移動体10を、側方領域AR1a内でY方向に移動させる際には、標識S1同士を接続するラインLに沿うように、移動体10を移動させることが好ましい。この場合、自己位置取得部72は、センサ27にラインLを逐次検知(撮像)させておき、センサ27の撮像画像から、ラインLの位置情報を取得する。移動制御部74は、移動体10の進行方向であるY方向に対して直交する方向(ここではX方向における)における、ラインLと移動体10の推定位置との距離が、所定範囲内に収まるように、移動体10をY方向に向けて移動させる。これにより、移動体10は、X方向にずれることなく適切にY方向に移動できる。また例えば、運送車両Vの姿勢角が検出出来ている場合は、移動制御部74は、運送車両Vの姿勢角に従って、運送車両Vの側面に平行となるように、移動体10を走行させてもいい。
【0089】
以上の説明では、側方領域AR1a内をY方向に移動している際の自己位置検出について説明したが、側方領域AR1a内から目標物Pに向けてX方向と反対側に移動している際の自己位置検出も、同様に第1検出方法を用いて行う。すなわち、移動体10は、図10に示すように、目標物Pに向けてX方向と反対側に移動しつつ、側方領域AR1aの天井に設けられた標識S1を自己位置取得部72によって逐次検知させることで、移動体10の位置情報を逐次取得する。例えば、移動制御部74は、オドメトリにより移動体10の位置及び姿勢を推定して、移動体10の推定位置及び推定姿勢が目標物Pに向かうパス(図10の例では第2パスR2)に沿うように、移動体10を移動させる。そして、移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得したら、移動体10の推定位置及び推定姿勢を、自己位置取得部72が取得した移動体10の位置及び姿勢によって補正して、補正した移動体10の推定位置及び推定姿勢が目標物Pに向かうパスに沿うように、移動体10の移動を継続させる。移動制御部74は、自己位置取得部72が移動体10の位置情報を取得する度に、移動体10の推定位置及び推定姿勢を補正する。
【0090】
(処理フロー)
次に、自己位置検出の処理フローについて説明する。図11は、本実施形態に係る自己位置検出の処理フローを説明するフローチャートである。図11に示すように、移動体10が第2領域AR2内に位置している場合、移動体10は、自己位置取得部72により、第2検出方法で移動体10の位置情報を取得させつつ、移動制御部74の制御により、移動体10の位置情報に基づいて、設定されたパス(例えばグローバルパスR0)に沿って移動する(ステップS10)。そして、移動体10が第1領域AR1内に到達した場合(ステップS12;Yes)、移動体10は、自己位置検出の方法を第2検出方法から第1検出方法に切り替えて、自己位置取得部72により、第1検出方法で(標識S1を検知させることで)移動体10の位置情報を取得させつつ、移動制御部74の制御により、移動体10の位置情報に基づいて、設定されたパス(例えば第1パスR1や第2パスR2)に沿って移動する(ステップS14)。例えば、移動体10は、第1領域AR1内の側方領域AR1a内に位置している場合には、自己位置取得部72により第1検出方法で(標識S1を検知させることで)移動体10の位置情報を取得させつつ、移動制御部74の制御により、移動体10の位置情報に基づいて側方領域AR1a内をY方向に移動する。なお、移動体10が第1領域AR1に到達しない場合(ステップS12:No)は、ステップS10に戻り、第2検出方法での自己位置検出と第2領域AR2内の移動を続ける。
【0091】
なお、以上の説明では、移動体10が運送車両Vに搭載された目標物Pをピックアップするために、又は運送車両Vから目標物Pをドロップするために、運送車両Vに向かって移動する場合を例にして説明していた。ただし、以上の処理は、運送車両Vに目標物Pをドロップした後に、運送車両Vから第1領域AR1まで移動する場合や、運送車両Vから目標物Pをピックアップした後に、運送車両Vから第1領域AR1まで移動する場合にも、適用できる。すなわち例えば、移動体10は、運送車両Vで目標物Pをドロップ又はピックアップした時点では、第1領域AR1内に位置している。移動体10は、第1領域AR1内に位置している最中には、第1検出方法で(標識S1を検知させることで)移動体10の位置情報を取得させつつ、移動制御部74の制御により、第2領域AR2に向けて移動する。そして、移動体10は、第2領域AR2内に到達したら、自己位置検出の方法を第1検出方法から第2検出方法に切り替えて、自己位置取得部72により、第2検出方法で移動体10の位置情報を取得させつつ、移動制御部74の制御により移動を続ける。
【0092】
このように、本実施形態においては、移動体10の位置に応じて自己位置検出の方法を切り替えるが、自己位置検出の方法を切り替えることは必須ではない。例えば、移動体10は、第2検出方法を用いず、第1検出方法のみを用いて自己位置を検出してもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係る移動体10は、駐車領域AR0の側方の側方領域AR1aの天井にY方向に沿って並ぶ標識S1を検知させて自己位置を検出しつつ、検出した自己位置に基づいて、側方領域AR1a内をY方向に沿って移動する。このように、標識S1を側方領域AR1aの天井に設けることで、駐車領域AR0に近い場所を移動体10が移動する場合にも、運送車両Vなどに邪魔されずに標識S1を適切に検知することが可能となり、駐車領域の近傍においても移動体10の位置を適切に検出することが可能となる。また、側方領域AR1a内での移動体10の進行方向であるY方向に沿って標識S1を配置することで、自己位置取得部72は、移動体10のY方向への移動に伴い、センサ27に検知させる標識S1を、移動体10と近い標識S1に切り替えることができる。そのため、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。また、本実施形態では、駐車領域AR0に近い第1領域AR1においては、標識S1を用いた第1検出方法で自己位置を検出させ、駐車領域AR0から遠い第2領域AR2においては、標識S1を用いない第2検出方法で自己位置を検出させる。そのため、移動体10の位置に応じて、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0094】
(標識の他の例)
次に、標識S1の他の例について説明する。
【0095】
図12及び図13は、標識の形状の他の例を説明する模式図である。図12に示すように、標識S1は、第1標識S1aと、第1標識S1aに隣接する第2標識S1bとを含んでいてもよい。第1標識S1aは、標識S1の位置情報を含む標識(例えばマーク)であり、自身の直下の第1領域AR1(側方領域AR1a)に対して、すなわち直下の床面に対して、平行な第1面上に配置される。図12の例では、第1標識S1aは、板部T2aのZ方向と反対側の表面(第1面)に設けられる。板部T2aは、Z方向と反対側の表面が、直下の床面に対して平行となっている。一方、第2標識S1bは、標識S1の位置情報を含む標識(例えばマーク)であり、自身の直下の第1領域AR1(側方領域AR1a)に対して、すなわち直下の床面に対して、傾斜した第2面上に配置される。より詳しくは、第2標識S2aは、第1標識S1aに対してX方向と反対側(駐車領域AR0側)に位置している。そして、第2面は、X方向と反対側(駐車領域AR0側)に向かうに従って、自身の直下の第1領域AR1(側方領域AR1a)に対して、すなわち直下の床面に対して、Z方向側(鉛直方向上方)に傾斜している。図12の例では、第2標識S1bは、板部T2bのZ方向と反対側の表面(第2面)に設けられる。板部T2aは、Z方向と反対側の表面が、X方向と反対側に向かうに従って、直下の床面に対して、Z方向側に傾斜している。
【0096】
図12に示すように第1標識S1aと第2標識S1bとを設けることで、側方領域AR1aをY方向に移動する際には、第1標識S1aを検知することにより自己位置を検出して、X方向と反対側に旋回しつつ移動して目標物Pに向かう際には、第2標識S1bを検知することにより自己位置を検出することが可能となり、それぞれの移動の際の自己位置検出を、高精度に行うことが可能となる。すなわち、第1標識S1aは、床面に対して平行な面に設けられているため、移動体10が側方領域AR1aをY方向に移動する際には、第1標識S1aの中心軸に対するセンサ27の光軸の傾斜角度が小さくなるため、撮像画像に第1標識S1aが大きく映り、第1標識S1aを適切に検知して、自己位置を高精度に検出できる。そして、第2標識S1bは、駐車領域AR0側に向かうに従ってZ方向側に傾斜する面に設けられているため、移動体10が旋回して駐車領域AR0側に移動する際には、第2標識S1bの中心軸に対するセンサ27の光軸の傾斜角度が小さくなり、撮像画像に第2標識S1bが大きく映り、第2標識S1bを適切に検知して、自己位置を高精度に検出できる。
【0097】
なお、図12の例では、第1標識S1aが床面と平行な面に形成されていたが、それに限られない。例えば図13の例に示すように、第1標識S1aが、駐車領域AR0と反対側に向かうに従ってZ方向側に傾斜する面上に設けられていてもよい。
【0098】
図14は、標識の他の例を示す模式図である。図14に示すように、第1領域AR1(側方領域AR1a)は、例えば床面の水を外部に排出するために、Y方向に向かうに従って、Z方向と反対側(鉛直方向下方)に傾斜する場合がある。また、第1領域AR1(側方領域AR1a)の天井CEが、Y方向に向かうに従って、Z方向側(鉛直方向上方)に傾斜する場合もある。このような場合であっても、標識S1は、第1領域AR1(側方領域AR1a)と平行になるように、Y方向に向かうに従って、Z方向と反対側(鉛直方向下方)に傾斜する面上に、Y方向に沿って複数配置されることが好ましい。すなわちこのような場合、板部T2のZ方向と反対側の面が、第1領域AR1(側方領域AR1a)と平行になるように、Y方向に向かうに従ってZ方向と反対側(鉛直方向下方)に傾斜するように設けられることが好ましいといえる。
【0099】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る移動体10の制御方法は、自動で移動する移動体10の制御方法であって、運送車両Vが駐車される駐車領域AR0よりもX方向(第1方向)側の側方領域AR1aの天井CEには、X方向と交差して駐車領域AR0に沿うY方向(第2方向)に沿って、位置を示す標識S1が複数設けられている。本制御方法は、標識S1の少なくとも1つを移動体10に検知させることで、移動体10の位置情報を取得するステップと、移動体10の位置情報に基づいて、側方領域AR1aにおいてY方向(第2方向)に向かって移動体10を移動させるステップと、側方領域AR1aにおいてY方向(第2方向)に向かって移動体10を移動させた後に、移動体10を、X方向(第1方向)と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、移動体10を駐車領域AR0に向けて移動させるステップと、を含む。このように、標識S1を側方領域AR1aの天井に設けることで、駐車領域AR0に近い場所を移動体10が移動する場合にも、運送車両Vなどに邪魔されずに標識S1を適切に検知することが可能となり、駐車領域AR0の近傍においても移動体10の位置を適切に検出することが可能となる。また、側方領域AR1a内での移動体10の進行方向であるY方向に沿って標識S1を配置することで、自己位置取得部72は、移動体10のY方向への移動に伴い、センサ27に検知させる標識S1を、移動体10と近い標識S1に切り替えることができる。そのため、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0100】
本制御方法においては、側方領域AR1aを含む第1領域AR1内に移動体10が位置している場合には、標識S1を検知させる第1検出方法で取得した移動体10の位置情報に基づいて、移動体10を移動させる。一方、第1領域AR1よりも駐車領域AR0から遠い第2領域AR2内に移動体10が位置している場合には、第1検出方法とは異なる第2検出方法で取得した移動体10の位置情報に基づいて、移動体10を移動させる。このように、駐車領域AR0に近い第1領域AR1においては、標識S1を用いた第1検出方法で自己位置を検出させ、駐車領域AR0から遠い第2領域AR2においては、標識S1を用いない第2検出方法で自己位置を検出させることで、移動体10の位置に応じて、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0101】
本制御方法においては、第1領域AR1と第2領域AR2との境界地点に移動体10が到達した場合に、第2検出方法と第1検出方法とを切り替える。予め規定された境界位置に移動体10が到達したことをトリガとして検出方法を切り替えることで、移動体10の位置に応じて、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0102】
第2検出方法は、標識S1とは異なる箇所に設けられた検出体S2に向けて移動体10からレーザ光を照射させて、検出体S2によるレーザ光の反射光を受光することにより、移動体10の位置情報を取得するものであり、本制御方法においては、受光した反射光の検出精度が閾値以下となる場合に、第2検出方法から第1検出方法に切り替える。検出精度が閾値以下となることをトリガとして検出方法を切り替えることで、移動体10の位置に応じて、移動体10の位置情報を高精度に取得できる。
【0103】
本制御方法は、駐車領域AR0内の運送車両Vの位置及び姿勢を検出させるステップと、運送車両Vの位置及び姿勢に基づいて、運送車両Vに向かう第1パスR1を設定するステップと、を更に含む。本制御方法においては、運送車両Vの位置及び姿勢に基づいた第1パスR1を設定するため、運送車両Vの駐車位置がずれていた場合でも、適切にアプローチできる。
【0104】
本制御方法は、運送車両V内に配置されている目標物Pの位置及び姿勢を検出させるステップと、目標物Pの位置及び姿勢に基づき、目標物Pに対して所定の位置及び姿勢となる目標位置A3までの第2パスR2を設定するステップと、第1パスR1から第2パスR2に切り替えて、検出した移動体10の位置に基づいて、移動体10を第2パスR2に沿って移動させるステップと、を更に含む。本制御方法においては、目標物Pの位置及び姿勢に基づいた第2パスR2を設定するため、目標物Pの位置がずれていた場合でも、適切にアプローチできる。
【0105】
側方領域AR1aの天井CEには、標識S1同士を接続するラインLが設けられており、移動体10を移動させるステップにおいては、側方領域AR1aにおいて、ラインLに沿って移動体10を移動させる。ラインLに沿って移動体10を移動させることで、側方領域AR1aにおいて移動体10を適切にY方向に向けて移動させることができる。
【0106】
標識S1は、側方領域AR1aの床面に対して平行な第1面上に配置された第1標識S1aと、第1標識S1aに隣接して設けられて、駐車領域AR0側に向かうに従って、側方領域AR1aの床面に対して鉛直方向上方に傾斜する第2面上に配置された第2標識S1bと、を含む。そのため、側方領域AR1aをY方向に移動する際と、X方向と反対側に旋回しつつ移動して目標物Pに向かう際との両方で、自己位置の検出を高精度に行うことが可能となる。
【0107】
移動体10は、自動で移動するものであり、運送車両Vが駐車される駐車領域AR0よりもX方向側の側方領域AR1aの天井CEに、X方向と交差して駐車領域AR0に沿うY方向に沿って複数設けられた標識S1の、少なくとも1つを検知させることで、移動体10の位置情報を取得する自己位置取得部72と、移動体10の位置情報に基づいて、側方領域AR1aにおいてY方向に向かって移動体10を移動させる移動制御部74と、を含む。移動制御部74は、側方領域AR1aにおいてY方向(第2方向)に向かって移動体10を移動させた後に、移動体10を、X方向(第1方向)と反対側に向かうように旋回させて移動させることで、移動体10を駐車領域AR0に向けて移動させる。移動体10は、駐車領域AR0の近傍においても自己位置を適切に検出することが可能となる。
【0108】
移動制御システム1は、移動体10と標識S1とを含む。そのため、移動制御システム1は、駐車領域AR0の近傍においても移動体10の位置を適切に検出することが可能となる。
【0109】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
10 移動体
27 センサ
70 グローバルパス取得部
72 自己位置取得部
74 移動制御部
76 検出制御部
78 第1パス取得部
80 第2パス取得部
AR0 駐車領域
AR1 第1領域
AR1a 側方領域
AR2 第2領域
P 目標物
R0 グローバルパス
R1 第1パス
R2 第2パス
S1 標識
V 運送車両
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