IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンスカイの特許一覧

<>
  • 特開-バッジ 図1
  • 特開-バッジ 図2
  • 特開-バッジ 図3
  • 特開-バッジ 図4
  • 特開-バッジ 図5
  • 特開-バッジ 図6
  • 特開-バッジ 図7
  • 特開-バッジ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009829
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】バッジ
(51)【国際特許分類】
   A44C 3/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A44C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113434
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】305035886
【氏名又は名称】株式会社エンスカイ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 克文
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA03
3B114AA11
3B114AA23
3B114BD12
3B114JB01
(57)【要約】
【課題】振動したときの表側部材の動きを、複数の状態から選択して容易に設定することができるバッジを提供すること。
【解決手段】表側部材10と、安全ピン22が設けられると共に表側部材10の裏側に配置された裏板20と、表側部材10と裏板20とを相対回転可能に連結する回転軸30と、表側部材10の周縁部の一部に設けられた平板部12bと、を備えている。そして、表側部材10には、回転軸30を取り付け可能な第1軸取付部16と、第1軸取付部16からずれた位置に設けられて回転軸30を取り付け可能な第2軸取付部17と、が形成され、裏板20には、少なくとも第1軸取付部16に対向する第1軸支持部23と、第2軸取付部17に対向する第2軸支持部24と、が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側部材と、
留め具が設けられると共に前記表側部材の裏側に配置された裏板と、
前記表側部材と前記裏板とを相対回転可能に連結する回転軸と、
前記表側部材の周縁部の一部に設けられた錘と、を備え、
前記表側部材は、少なくとも前記回転軸を取り付け可能な第1軸取付部と、前記第1軸取付部からずれた位置に設けられて前記回転軸を取り付け可能な第2軸取付部と、が形成され、
前記裏板は、少なくとも前記第1軸取付部に対向する第1軸支持部と、前記第2軸取付部に対向する第2軸支持部と、が形成されている
ことを特徴とするバッジ。
【請求項2】
請求項1に記載されたバッジにおいて、
前記第1軸取付部は、前記表側部材の中心位置に形成され、
前記錘は、前記第1軸取付部と前記第2軸取付部とをつないだ直線上であって、前記第1軸取付部を挟んで前記第2軸取付部とは反対の位置に重さの中心が設定されている
ことを特徴とするバッジ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたバッジにおいて、
前記第1軸取付部及び前記第2軸取付部は、前記裏板に向かって開放したへこみであり、
前記第1軸支持部及び前記第2軸支持部は、前記裏板を貫通する貫通孔であり、
前記回転軸は、前記第1軸支持部又は前記第2軸支持部を介して前記裏板を回転可能に貫通すると共に、先端部が前記第1軸取付部又は前記第2軸取付部に差し込まれて前記表側部材に固定される
ことを特徴とするバッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服や携帯電話等に装着可能な裏板と、裏板の表面に回転可能に支持された回転軸と、回転軸の先端に設けられた表側部材と、表側部材に取り付けられた錘と、を備え、表側部材が錘による荷重に従動して回転するバッジ(アクセサリー)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-270791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のバッジでは、回転軸が円盤状の表側部材の中心位置を貫通しているため、バッジが振動して錘が揺れると、表側部材は、表側部材の中心位置を中心にして回転する。しかしながら、回転軸が貫通する貫通孔は、表側部材の中心位置のみに形成されている。そのため、従来のバッジは、単に中心位置を中心に表側部材を回転させることしかできず、例えば表側部材の中心位置からずれた位置を支点にして、表側部材を左右に揺らすことはできない。すなわち、振動による表側部材の動きを複数の状態から選択して容易に設定できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、振動したときの表側部材の動きを、複数の状態から選択して容易に設定することができるバッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のバッジは、表側部材と、留め具が設けられると共に前記表側部材の裏側に配置された裏板と、前記表側部材と前記裏板とを相対回転可能に連結する回転軸と、前記表側部材の周縁部の一部に設けられた錘と、を備えている。そして、前記表側部材は、少なくとも前記回転軸を取り付け可能な第1軸取付部と、前記第1軸取付部からずれた位置に設けられて前記回転軸を取り付け可能な第2軸取付部と、が形成されている。また、前記裏板は、少なくとも前記第1軸取付部に対向する第1軸支持部と、前記第2軸取付部に対向する第2軸支持部と、が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のバッジでは、振動したときの表側部材の動きを、複数の状態から選択して容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のバッジを示す正面図である。
図2】実施例1のバッジの裏側を示す斜視図である。
図3】実施例1のバッジを表側から見たときの分解斜視図である。
図4】実施例1のバッジを裏側から見たときの分解斜視図である。
図5図1のA-A断面図である。
図6】実施例1のバッジの表側部材が、表側部材の中心位置を中心に回転したときの正面図である。
図7】実施例1のバッジにおいて、回転軸が第2軸取付部に取り付けられた状態での断面図である。
図8】実施例1のバッジの表側部材が、表側部材の中心位置から外れた位置を中心に回転したときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のバッジを実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
実施例1のバッジ1は、衣服や鞄、帽子等に取り付けてアクセサリー等として用いられる。バッジ1は、図1及び図2に示すように、表側部材10と、裏板20と、回転軸30と、錘に相当する平板部12bと、を備えている。
【0011】
表側部材10は、バッジ1の使用時に外部から見えるようにバッジ1の前面に配置されている。表側部材10は、図3図5に示すように、表バッジ11と、裏バッジ12と、表示シート13と、を有している。
【0012】
表バッジ11は、鉄、ステンレス、アルミニウム、鉄を錫で鍍金したブリキ等の金属や合金、合成樹脂、木材等からなる円盤状の平板部材である。表バッジ11は、天板部11aと、側壁部11bと、を有している。天板部11aは、表側部材10の中心位置O1を頂点とし、バッジ1の前面に向かって突出する山なりの凸曲面形状をなしている。側壁部11bは、天板部11aの周縁から表側部材10の裏側に向かって立設する。
【0013】
裏バッジ12は、ポリプロピレン等の合成樹脂によって形成された樹脂成型品である。裏バッジ12は、表バッジ11の側壁部11bに囲まれた裏側開口部11cに嵌め込まれる。裏バッジ12は、表バッジ11の側壁部11bがかしめられることで表バッジ11に固定される(図5参照)。また、裏バッジ12は、枠部12aと、平板部12bと、梁部12cと、を有している。枠部12aと平板部12bと梁部12cは、一体成型されている。
【0014】
枠部12aは、表バッジ11の側壁部11bの内周に沿うリング形状を呈している。枠部12aの中心は、裏バッジ12が表バッジ11に固定された際、表側部材10の中心位置O1に一致する。枠部12aの外周面121aは、図5に示すように、表バッジ11に向かって次第に外側に広がる方向に傾斜している。枠部12aの最大外径は、側壁部11bによって囲まれた裏側開口部11cに嵌め込み可能な大きさに設定されている。
【0015】
平板部12bは、枠部12aの内側に設けられ、表側部材10の重心を表側部材10の中心位置O1から周縁側へとずらすための板状部分である。すなわち、平板部12bは、表側部材10の周縁部の一部に設けられた錘に相当する。平板部12bは、ここでは、バッジ1を正面から見た状態で半円盤形状を呈している。
【0016】
また、平板部12bの重さの中心(以下「重心X」と記載する)は、後述する第1軸取付部16と第2軸取付部17とをつないだ直線L上であって、第1軸取付部16を挟んで第2軸取付部17とは反対の位置に設定されている。つまり、第1軸取付部16と第2軸取付部17と重心Xとは、直線L上に配置され、第2軸取付部17と重心Xの間に第1軸取付部16が配置される。なお、第1軸取付部16から第2軸取付部17までの距離L1と、第1軸取付部16から重心Xまでの距離L2とは、必ずしも等距離に設定する必要はない。距離L1及び距離L2は、表側部材10を揺らす角度や平板部12bの重さ等に応じて任意に設定できる。
【0017】
梁部12cは、枠部12aと平板部12bの間に架け渡された棒状部分である。梁部12cは、枠部12aに連結した一端から、平板部12bの直線状の周縁12dに直交する方向に延び、平板部12bに連結した他端が表側部材10の中心位置O1に一致する。
【0018】
さらに、裏バッジ12には、表側部材10の裏側から突出する三個の接触突起15が形成されている。各接触突起15は、図5に示すように、それぞれ枠部12aや平板部12b、梁部12cよりも裏板20に向かって突出している。これにより、各接触突起15は、表側部材10に裏板20が取り付けられた際、先端が裏板20に接触する。なお、各接触突起15の先端面15aは、図5に示すように、中央が膨出した円弧面に形成されている。また、三個の接触突起15は、表側部材10の中心位置O1を中心にして互いに等間隔に離れた位置に配置され、ここでは、二個の接触突起15が平板部12bに形成され、一個の接触突起15が梁部12cに形成されている。
【0019】
そして、裏バッジ12には、第1軸取付部16と、第2軸取付部17とが形成されている。第1軸取付部16及び第2軸取付部17は、いずれも回転軸30の先端部31を取り付け可能であり、それぞれ裏板20に向かって開放したへこみになっている。ここで、第1軸取付部16及び第2軸取付部17は、いずれも回転軸30を挿入可能な内径寸法に設定され、回転軸30をネジ止めするための図示しないネジ溝が内周面に形成されている。
【0020】
また、第1軸取付部16は、表側部材10の中心位置O1、つまり平板部12bと梁部12cとの連結位置に形成されている。第2軸取付部17は、梁部12cの途中位置に形成されている。このため、第2軸取付部17は、第1軸取付部16からずれた位置に設けられている。なお、梁部12cに形成された接触突起15は、第2軸取付部17と枠部12aとの間に配置されている。
【0021】
表示シート13は、表バッジ11の表面を覆い、バッジ1の最前面に配置されている。表示シート13は、表バッジ11の側壁部11bと裏バッジ12の枠部12aとの間に周縁部が挟み込まれ、裏バッジ12と共に表バッジ11に固定される(図5参照)。表示シート13は、図3及び図4に示すように、シート本体13aと、樹脂シート13bと、を有している。
【0022】
シート本体13aは、一方の面13eに任意の模様や図柄(図1参照。以下、「表示13c」という)が描かれた円形のシート部材である。シート本体13aは、印刷や手書き等によって一方の面13eに表示13cを施すことができればよく、一般に印刷用紙として用いられているアート紙、コート紙、上質紙等を使用可能である。また、シート本体13aとして、紙の表面にアルミニウムの層を真空蒸着により付したアルミ蒸着転写紙を用いてもよい。
【0023】
樹脂シート13bは、シート本体13aを透視できる無色又は有色の透明であって、防水性を有するシート部材である。樹脂シート13bは、透明度が高く、シワになりにくいものが望ましい。例えば、樹脂シート13bは、透明PET(Poly Ethylene Terephthalate)樹脂や、透明ポリプロピレン樹脂等で形成されている。樹脂シート13bは、シート本体13aとほぼ同じ大きさを有している。樹脂シート13bは、シート本体13aの表示13cが描かれた一方の面13eに重ねられ、貼り合わせられる。つまり、シート本体13aと樹脂シート13bとが貼り合わせられて、一枚の表示シート13とされる。
【0024】
また、実施例1では、表示13cは、図1及び図3に示すように、表側部材10の中心位置O1に対して、直線Lに沿う上下の方向性を有している。そして、シート本体13aは、一方の面13eの周縁部に、表示13cの上下の方向性を示す印13d(図3参照)が設けられている。印13dは、表示シート13で表バッジ11を覆った際、表バッジ11の裏側に回り込み、裏バッジ12を差し込むときの周方向位置の目印となる。
【0025】
裏板20は、中心位置O2が表側部材10の中心位置O1に一致した状態で、表側部材10の裏側に配置された平板部材である。裏板20は、裏バッジ12に対向する。裏板20は、ポリプロピレン等の合成樹脂によって形成された円盤状の樹脂成型品である。なお、裏板20は、表側部材10よりも直径が小さく、バッジ1を正面から見たときに表側部材10の裏側に隠れる大きさに設定されている。
【0026】
裏板20は、表側部材10に対向しない裏面20aに、一対のクリップ片21(留め具)が形成されている。一対のクリップ片21は、裏板20の中心位置O2を挟む位置に配置されている。各クリップ片21は、それぞれ裏板20に片持ち状態で固定され、同方向に向かって平行に延びた舌片形状を呈している。裏板20は、クリップ片21が対向する領域がくり抜かれ、クリップ片21が撓みやすくなっている。また、各クリップ片21は、裏板20に連結した基部21aを有している。基部21aは、アーチ状に湾曲している。このため、基部21aと裏板20との間に、安全ピン22(留め具)を挿入し、裏板20に安全ピン22を取り付けることができる。なお、裏板20の裏面20aには、安全ピン22の脱落を規制する突部22aが形成されている。
【0027】
さらに、裏板20には、第1軸支持部23と、第2軸支持部24と、が形成されている。第1軸支持部23は、裏板20を貫通する貫通孔である。第1軸支持部23は、裏板20の中心位置O2に形成されている。第1軸支持部23は、裏板20が表側部材10の裏側に配置されたとき、バッジ1を正面から見た状態で第1軸取付部16に対向する。
【0028】
第2軸支持部24は、裏板20を貫通する貫通孔である。第2軸支持部24は、第1軸支持部23からずれた位置に形成されている。第2軸支持部24は、裏板20が表側部材10の裏側に配置されたとき、バッジ1を正面から見た状態で第2軸取付部17に対向する。
【0029】
また、第1軸支持部23及び第2軸支持部24は、図5に示すように、いずれも内側に段差面23a、24aが形成されている。これにより、第1軸支持部23及び第2軸支持部24の内径は、裏板20の裏面20aから、表側部材10に対向する表面20bに向かって段階的に縮小する。また、第1軸支持部23及び第2軸支持部24の最小内径寸法は、回転軸30が回転可能に貫通する大きさに設定されている。そして、第1軸支持部23及び第2軸支持部24の最大内径寸法は、回転軸30の頭部32の直径より大きい値に設定されている。さらに、裏板20の裏面20aから段差面23a、24aまでの距離は、回転軸30の頭部32の厚みよりも大きい値に設定されている。
【0030】
回転軸30は、先端部31の周面にネジ溝を有し、他端に頭部32を有するネジ部材である。回転軸30は、裏板20の裏面20a側から第1軸支持部23又は第2軸支持部24を貫通する。そして、回転軸30の先端部31が、表側部材10の裏バッジ12に形成された第1軸取付部16又は第2軸取付部17に捩じ込まれる。なお、図1図5に示す例では、回転軸30は、第1軸支持部23を貫通し、先端部31が第1軸取付部16に捩じ込まれている。
【0031】
回転軸30は、先端部31が第1軸取付部16又は第2軸取付部17に捩じ込まれることで、先端部31が表側部材10に固定される。また、裏板20は回転軸30を中心に回転可能となる。つまり、表側部材10と裏板20とは、相対回転可能に連結されている。なお、回転軸30は、鉄やブリキ等の金属によって形成してもよいし、合成樹脂によって形成してもよい。
【0032】
以下、実施例1のバッジ1の製造手順を説明する。
【0033】
実施例1のバッジ1を製造するには、まず、シート本体13aの表示13cが描かれた一方の面13eに樹脂シート13bを重ねて貼り合わせ、表示シート13を形成する。次に、表示シート13の表示13cが描かれていない面に、天板部11aの凸曲面を対向させて配置する。続いて、表示シート13の周縁部で表バッジ11の側壁部11bを包む。そして、側壁部11bに囲まれた裏側開口部11cに、裏バッジ12を嵌め込む。
【0034】
裏バッジ12を裏側開口部11cに嵌め込む際、表示シート13に描かれた表示13cの上下の方向性を示す印13dの位置が、直線Lに一致するように裏バッジ12の周方向の位置を調整する。
【0035】
そして、表バッジ11に裏バッジ12を嵌め込んだ後、表バッジ11の側壁部11bをかしめる。これにより、表バッジ11の側壁部11bと裏バッジ12の枠部12aとの間に表示シート13を挟み込んだ状態で裏バッジ12が固定され、表側部材10が形成される。
【0036】
次に、裏バッジ12に裏板20を重ねる。このとき、裏板20の表面20bを裏バッジ12に対向させる。また、第1軸支持部23が裏バッジ12に形成された第1軸取付部16に対向し、第2軸支持部24が裏バッジ12に形成された第2軸取付部17に対向するように裏板20の位置を調整する。
【0037】
裏板20の位置が決まった後、回転軸30を裏板20の裏面20a側から第1軸支持部23或いは第2軸支持部24に差し込む。回転軸30を第1軸支持部23に差し込んだ場合には、回転軸30の先端部31を第1軸取付部16に捩じ込む。また、回転軸30を第2軸支持部24に差し込んだ場合には、回転軸30の先端部31を第2軸取付部17に捩じ込む。これにより、回転軸30の先端部31が表側部材10に固定され、表側部材10と裏板20とが相対回転可能に連結される。最後に、裏板20に安全ピン22を取り付け、バッジ1が製造される。なお、安全ピン22は、表側部材10と裏板20とを連結する前に、予め裏板20に取り付けておいてもよい。
【0038】
また、バッジ1の製造後、表側部材10に固定された回転軸30は、裏板20の裏面20a側から回転させることで、表側部材10(第1軸支持部23或いは第2軸支持部24)から外すことができる。そして、裏板20から回転軸30を引き抜くことで、回転軸30を取り外し、表側部材10と裏板20とを分解できる。
【0039】
以下、実施例1のバッジ1の使用方法を説明する。
【0040】
実施例1のバッジ1を使用するには、裏板20に取り付けられた安全ピン22を用いて衣服や帽子等の任意の位置にバッジ1を装着する。また、裏板20に形成された一対のクリップ片21と裏板20の裏面20aとの間に衣服等を挟み込むことで、バッジ1を衣服等に装着することもできる。これにより、バッジ1をアクセサリー等として使用することができる。
【0041】
以下、実施例1のバッジ1の特徴的作用を説明する。
【0042】
実施例1のバッジ1は、表側部材10と、表側部材10の裏側に配置された裏板20と、を備えている。ここで、表側部材10と裏板20とは、回転軸30を介して相対回転可能に連結されている。また、表側部材10の裏バッジ12は、表側部材10の周縁部の一部に設けられた錘に相当する平板部12bを有している。このため、表側部材10の重心は、表側部材10の中心位置O1から周縁側へとずれている。さらに、裏板20には、一対のクリップ片21及び安全ピン22が設けられている。
【0043】
このため、一対のクリップ片21や安全ピン22を用いてバッジ1を衣服等に装着すると、裏板20が衣服等に固定される。一方、表側部材10は、裏板20に対して相対回転可能となっている。また、表側部材10は、平板部12bの重みによって重力方向に引っ張られる。
【0044】
これにより、バッジ1が振動することで表側部材10が引っ張られる方向が変化すると、図6に示すように、表側部材10が中心位置O1を中心に左右に回転する。これにより、表示13cが人の手によらず左右に動くことができ、バッジ1を装着したまま見た目に変化を与えることができる。
【0045】
そして、実施例1のバッジ1は、表側部材10の裏バッジ12に、回転軸30の先端部31を取り付け可能な第1軸取付部16と、第1軸取付部16からずれた位置に設けられて回転軸30の先端部31を取り付け可能な第2軸取付部17と、が形成されている。さらに、裏板20には、第1軸取付部16に対向する第1軸支持部23と、第2軸取付部17に対向する第2軸支持部24と、が形成されている。
【0046】
そのため、図2図5に示すように、回転軸30が、第1軸支持部23を貫通すると共に、先端部31を第1軸取付部16に固定した場合では、バッジ1が振動した際、図6に示すように、表側部材10は、中心位置O1を中心に回転する。この場合、表側部材10と裏板20との相対的な位置関係は変動せず、表側部材10の位置が動くことはない。
【0047】
これに対し、図7に示すように、裏板20に形成された第2軸支持部24に回転軸30を貫通させ、先端部31を第2軸取付部17に捩じ込んで、回転軸30を第2軸取付部17に固定する。この場合では、表側部材10が振動した際、図8に示すように、表側部材10は、中心位置O1からずれた第2軸取付部17の位置を中心にして回転する。このため、表側部材10と裏板20との相対的な位置関係が変動し、表側部材10は、第2軸取付部17の位置を支点にして左右に大きく揺れる。つまり、回転軸30を第2軸取付部17に固定したときには、回転軸30を第1軸取付部16に固定した場合と比べて、表側部材10の左右への揺れ幅が大きく、表側部材10を大きく揺らすことができる。
【0048】
このように、実施例1のバッジ1では、中心位置O1に一致した第1軸取付部16と、中心位置O1から外れた位置に配置された第2軸取付部17と有し、回転軸30を取り付け可能な取付箇所が予め2カ所設けられている。そのため、回転軸30を取り付ける位置を第1軸取付部16又は第2軸取付部17のいずれか一方を選択して任意に変更することができる。そして、表側部材10が振動したときの動きを、回転軸30を取り付ける位置に応じて変えることができる。すなわち、バッジ1の振動による表側部材10の動きを、中心位置O1を中心に回転する状態、又は、第2軸取付部17の位置を中心に回転する状態のいずれかの状態から選択し、容易に設定することができる。
【0049】
また、実施例1のバッジ1では、第1軸取付部16が、表側部材10の中心位置O1に形成されている。また、錘に相当する平板部12bは、第1軸取付部16と第2軸取付部17とをつないだ直線L上であって、第1軸取付部16を挟んで第2軸取付部17とは反対の位置に重心Xが設定されている。
【0050】
これにより、第1軸取付部16に回転軸30を取り付けた場合において、バッジ1の振動時、表側部材10と裏板20との相対的な位置関係を変動させずに、表側部材10を回転させることができる。一方、第2軸取付部17に回転軸30を取り付けた場合において、バッジ1の振動時、表側部材10と裏板20との相対的な位置関係を変動させて、第2軸取付部17が形成された位置を中心にして表側部材10を左右に大きく揺らすことができる。
【0051】
また、実施例1のバッジ1では、第1軸支持部23及び第2軸支持部24が、裏板20を貫通する貫通孔である。そして、第1軸取付部16及び第2軸取付部17が、いずれも裏板20に向かって開放したへこみである。さらに、回転軸30は、第1軸支持部23又は第2軸支持部24を介して裏板20を回転可能に貫通すると共に、先端部31が第1軸取付部16又は第2軸取付部17に差し込まれて表側部材10に固定される。
【0052】
これにより、回転軸30の取り外しを、裏板20の裏面20a側から行うことができる。このため、表側部材10を分解することなく裏板20に連結することができ、表側部材10が振動したときの動きを容易に変更することができる。
【0053】
また、実施例1のバッジ1では、表示シート13の一方の面13eに表示13cの上下の方向性を示す印13dが設けられている。これにより、表示シート13を表バッジ11と裏バッジ12との間に挟み込む際、印13dと直線Lとを一致させることで、表示13cの向きを確認することなく、表示13cの上下の方向を直線Lに容易に沿わせることができる。
【0054】
また、実施例1のバッジ1では、第1軸支持部23及び第2軸支持部24の内側に、それぞれ段差面23a、24aが形成されている。そして、裏板20の裏面20aから段差面23a、24aまでの距離は、回転軸30の頭部32の厚みよりも大きい値に設定されている。これにより、表側部材10に取り付けた回転軸30の頭部32が、第1軸支持部23又は第2軸支持部24の内側に入り込み、裏板20からの回転軸30の突出を抑えることができる。このため、回転軸30が衣服等に引っ掛かることを抑制できる。
【0055】
以上、本発明のバッジ1を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0056】
実施例1のバッジ1では、第1軸取付部16が、表側部材10の中心位置O1に形成された例を示した。また、実施例1のバッジ1では、錘である平板部12bが、第1軸取付部16と第2軸取付部17とをつないだ直線L上であって、第1軸取付部16を挟んで第2軸取付部17とは反対の位置に重心Xが設定された例を示した。
【0057】
しかしながら、これに限らず、第1軸取付部16は、必ずしも表側部材10の中心位置O1に形成される必要はなく、任意の位置に形成することができる。また、第1軸支持部23は、第1軸取付部16に対向する位置に形成されていればよいため、必ずしも裏板20の中心位置O1に形成される必要はない。また、第2軸取付部17及び第2軸支持部24の位置も任意に設定することができる。
【0058】
さらに、錘を設ける位置についても、バッジ1が振動した際に表側部材10が揺れる位置であれば、任意の位置に設定することができる。また、錘は、一つに限らず、複数の錘を表側部材10に設けてもよい。
【0059】
例えば、第1軸取付部16の位置を、周縁12dに沿った位置であって、平板部12bに形成された二個の接触突起15の一方の方向へずらした位置に設定してもよい。この場合、表側部材10が振動した際、表側部材10は、第1軸取付部16の位置を支点にして左右に揺れることができる。この際、表側部材10の揺れは、左右方向の一方(例えば右)へは他方(左)よりも大きく揺れ、左右方向の他方(例えば左)へは一方(右)よりも小さく揺れる。このため、左右方向の揺れ幅に違いを持たせることができる。
【0060】
また、回転軸30を取り付け可能な軸取付部及び軸取付部に対向する軸支持部は、いずれも二カ所以上形成してもよい。すなわち、例えば、表側部材10の中心位置O1を通る直線Lに沿って並ぶ三カ所以上の軸支持部を表側部材10に形成し、裏板20に各軸取付部に対向する三カ所以上の軸支持部を設けてもよい。この場合であっても、回転軸30を取り付ける位置の選択結果に応じて、振動したときの表側部材10の動きを変えることができる。
【0061】
実施例1のバッジ1では、裏バッジ12を、錘に相当する平板部12bが枠部12aや梁部12cと一体成型した樹脂成型品とする例を示したが、これに限らない。錘を枠部12aや梁部12cとは別体の、金属等で形成された重量物としてもよい。また、例えば表バッジ11と裏バッジ12との間に通電で発光するチップLEDと、チップLEDに電気を供給する電池を収納した電池ケースを収納し、電池ケースを錘として用いてもよい。なお、「LED」は、「Light Emitting Diode」の略称である。
【0062】
実施例1のバッジ1では、表バッジ11を金属や合金、合成樹脂、木材等で形成し、裏バッジ12を合成樹脂によって形成された例を示したが、これに限らない。例えば、表側部材10をフエルト等の布によって形成し、錘を別体で構成してもよい。さらに、裏板20についても、金属や木材等で形成してもよい。さらに、表側部材10は、表バッジ11と裏バッジ12に分割されていなくてもよく、単一部材によって形成されてもよい。
【0063】
実施例1では、表側部材10の裏バッジ12に裏板20に向かって開放したへこみである第1軸取付部16及び第2軸取付部17を形成し、裏板20に貫通孔である第1軸支持部23及び第2軸支持部24を形成した例を示した。しかしながら、これに限らない。例えば、裏板20に形成した第1軸支持部23及び第2軸支持部24に回転軸30を固定し、表側部材10の裏バッジ12に貫通孔からなる第1軸取付部16及び第2軸取付部17を形成してもよい。さらに、第1軸取付部16及び第2軸取付部17と、第1軸支持部23及び第2軸支持部24とをいずれも貫通孔で構成し、回転軸30の両端にワッシャを取り付けて抜け止めしてもよい。
【0064】
さらに、実施例1のバッジ1では、表側部材10及び裏板20を円盤形状としたが、これに限らず、表側部材10及び裏板20の形状は任意に設定することができる。すなわち、表側部材10や裏板20は、例えば、矩形や楕円形、ハート形等の形状であってもよい。また、裏板20は、必ずしも表側部材10の裏側に隠れる大きさに設定されなくてもよい。
【0065】
また、実施例1では、裏板20に設けた留め具として一対のクリップ片21又は安全ピン22を用いる例を示したが、これに限らない。一対のクリップ片21又は安全ピン22のいずれか一方を留め具として設けたものであってもよい。また、例えば、裏板20から垂直に起立する針と、この針に装着するバタフライクラッチによって留め具を構成してもよい。また、留め具として、キーチェーンやストラップを用いてもよい。
【0066】
実施例1では、表側部材10に設けた表示13cが、表側部材10の中心位置O1に対して、直線Lに沿う上下の方向性を有しているが、これに限らない。表示13cは、任意の図柄等であり、必ずしも上下の方向性を有するものでなくてもよい。
【0067】
また、実施例1では、表バッジ11を表示シート13によって覆うことで表示13cを設ける例を示したが、これに限らない。表示13cは、表側部材10に対して印刷や手書き等によって直接描かれてもよい。また、表示13cは、表側部材10にシールを貼り付けることで設けられてもよい。
【0068】
さらに、錘は、表側部材10の表面に露出するように設けられてもよい。この場合、錘自体を表側部材10に設けた模様や図柄にすることが可能になる。
【0069】
また、実施例1では、表側部材10の裏バッジ12に三個の接触突起15を形成し、裏バッジ12が裏板20に対して点接触する例を示した。しかしながら、これに限らない。裏バッジ12と裏板20とが点接触すればよいので、裏板20に接触突起15を形成してもよい。また、接触突起15の数は三個以上であれば任意に設定することができる。
【0070】
さらに、実施例1では、三個の接触突起15が、表側部材10の中心位置O1を中心にして互いに等間隔に離れた位置に配置された例を示したが、必ずしも等間隔に離れていなくてもよい。すなわち、三個以上の接触突起15は、裏バッジ12と裏板20との間隔を一定に保持するように分散して配置されていればよい。
【符号の説明】
【0071】
1 バッジ
10 表側部材
11 表バッジ
12 裏バッジ
12a 枠部
12b 平板部(錘)
12c 梁部
13 表示シート
13c 表示
16 第1軸取付部
17 第2軸取付部
20 裏板
21 クリップ片(留め具)
22 安全ピン(留め具)
23 第1軸支持部
24 第2軸支持部
30 回転軸
31 先端部
O1 中心位置
X 重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8