(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098317
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】積層部材
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
E01C13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215011
(22)【出願日】2021-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和3年9月16日 販売した場所 株式会社イノアックリビング
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】若松 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川西 康之
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA02
2D051AB04
2D051HA01
2D051HA06
2D051HA10
(57)【要約】
【課題】排水性をより向上させることができる積層部材を提供する。
【解決手段】積層部材10は、透水性を有する板状の表面部材11と、表面部材11の下面側に設けられる板状の下層部材31と、を備え、表面部材11と下層部材31との間に第1水路41が形成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を有する板状の表面部材と、
前記表面部材の下面側に設けられる板状の下層部材と、を備え、
前記表面部材と前記下層部材との間に第1水路が形成されたことを特徴とする積層部材。
【請求項2】
前記下層部材は、
板状の基礎部材と、
前記基礎部材の表面に設けられて前記基礎部材の表面側への前記表面部材の接着を補助するための板状の接着補助部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の積層部材。
【請求項3】
前記基礎部材と前記接着補助部材との間に第2水路が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の積層部材。
【請求項4】
前記表面部材は、人工芝であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の積層部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層部材として、特許文献1には、立体網状成型体1と、該立体網状成型体1内に充填された充填材2と、立体網状成型体1上に配置されたマット3(表面部材)とを有する衝撃吸収性部材が開示されている。マット3は、透水性を有しており、例えば、人工芝が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている積層部材においては、透水性を有する人工芝(表面部材)を通過(透過)した水などの排水性をより向上させることが要請されている。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、排水性をより向上させることができる積層部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る積層部材は、透水性を有する板状の表面部材と、前記表面部材の下面側に設けられる板状の下層部材と、を備え、前記表面部材と前記下層部材との間に第1水路が形成されたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る積層部材によれば、表面部材と下層部材との間に形成された第1水路に流入した水(例えば、表面部材を通過した水)を、該第1水路を通して排出することが可能となる。その結果、積層部材の排水性をより向上させることが可能となる。
【0008】
また、本発明による積層部材においては、前記下層部材は、板状の基礎部材と、前記基礎部材の表面に設けられて前記基礎部材の表面側への前記表面部材の接着を補助するための板状の接着補助部材と、を備えることが好ましい。これによれば、接着補助部材が、基礎部材の表面側への表面部材の接着を補助することが可能となるため、表面部材を下層部材ひいては基礎部材に所望の接着強度にて適切に接着することが可能となる。
【0009】
また、本発明による積層部材においては、前記基礎部材と前記接着補助部材との間に第2水路が形成されていることが好ましい。これによれば、表面部材を接着補助部材を介して基礎部材に接着した場合、基礎部材と接着補助部材との間に形成された第2水路に流入した水を、該第2水路を通して排出することが可能となる。その結果、積層部材の排水性をより向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明による積層部材においては、前記表面部材は、人工芝であることが好ましい。これによれば、表面部材として人工芝を採用した積層部材において、積層部材の排水性をより向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、排水性をより向上させることができる積層部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明による積層部材10の一実施形態を示す断面図である。
【
図1B】
図1Aに示す1B-1B線に沿った積層部材10の断面図である。
【
図1C】隣り合う第1水路41が連通路41bを介して連通された積層部材10を示す断面図である。
【
図2】
図1Aに示す積層部材10の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明による積層部材110の変形例1を示す断面図である。
【
図4A】第2水路42をさらに備えた積層部材210の変形例2を示す断面図である。
【
図4B】第2水路142をさらに備えた積層部材310の変形例2を示す断面図である。
【
図5】第3水路43をさらに備えた積層部材410の変形例3を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による積層部材10及びその製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0014】
(積層部材)
図1Aに示すように、積層部材10は、表面部材11と、下層部材31と、第1水路41と、を備えている。積層部材10は、表面部材11及び下層部材31が上からこの順番に積層されている。表面部材11は、第1接着剤層21を介して下層部材31に接着されている。下層部材31は、基礎部材12と、接着補助部材13と、を備えている。下層部材31は、接着補助部材13及び基礎部材12が上からこの順番に積層されている。基礎部材12は、第2接着剤層22を介して接着補助部材13に接着されている。
【0015】
(表面部材)
表面部材11は、板状に形成された人工芝である。表面部材11は、芝部11a、シート部11b、及び凸条部11cを備えている。芝部11aは、多数の披針形線状材を有している。披針形線状材は、平たくて細長く先の方がとがり基部の方がやや広い部材であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成されている。
【0016】
シート部11bは、芝部11aが植立されるシート状の部材であり、例えばポリプロピレンで形成されている。シート部11bには、芝部11aの披針形線状材の基部が植え込まれている。例えば、披針形線状材の基部がシート部11bに縫い付けられている。縫い付け部は、シート部11bの裏面から突出しており、凸条部11cを形成している。このように、凸条部11cは、表面部材11の裏面すなわちシート部11bの裏面に設けられている。凸条部11cは、シート部11bと同一の材質または芝部11aと同一の材質で形成されるのが好ましい。凸条部11cは、直線状の凸部であるのが好ましい。尚、凸条部11cは、複数の凸部を直線上に間欠的に設けるようにしてもよい。
【0017】
尚、凸条部11cは、芝部11aを植立するためにシート部11bの裏面から突出している。例えば、芝部11aの基部がシート部11bを貫通しており、その突出部分を固定するために凸条部11cを形成するようにしてもよい。尚、突出部分が凸条部11cをそのまま形成する場合もあり、突出部分を覆うために凸条部11cを形成する場合もある。
【0018】
また、表面部材11の裏面は、例えばゴム部材でコーティングされるのが好ましい。ゴム部材としては、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0019】
また、表面部材11は、全体として透水性を有している。具体的には、シート部11bに厚み方向に貫通して水が流れる流路が設けられたり、シート部11bから凸条部11cにかけて厚み方向に貫通して水が流れる流路が設けられたりしている。これら流路としては、表面部材11の材質、形成方法に応じた形状の流路が形成されるのが好ましい。例えば、表面部材11が布製である場合には、繊維の間に形成された空間(そもそも部材が有する厚み方向に貫通する空間)を流路として使用すればよく、表面部材11が粒状材や粉状材を集めて固めた部材である場合には、粒状材や粉状材の間に形成された空間(そもそも部材が有する厚み方向に貫通する空間)を流路として使用すればよい。また、表面部材11が布製でなくゴム部材やポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂部材(厚み方向に貫通する空間を有さない部材)を板状またはシート状に形成した場合には、これらの部材に厚み方向に貫通した貫通穴を流路として形成すればよい。
【0020】
尚、表面部材11は、人工芝に限定されず、透水性を有している部材であればよく、衝撃を吸収する機能を有する屋外用床材、屋内用床材など他の部材を採用してもよい。
【0021】
(下層部材)
下層部材31は、上述したように、基礎部材12と、接着補助部材13と、を備えている。基礎部材12は、表面部材11が接着される接着対象部材である。基礎部材12は、表面部材11に接着されることで表面部材11の強度を高く維持するための部材である。基礎部材12は、板状に形成されている。
【0022】
基礎部材12は、天然ゴム、若しくは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(イソプチレン・イソプレンゴム)(IIR)、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムにより形成されるのが好ましい。基礎部材12は、ゴム材を発泡させた発泡ゴムや、ゴム材を粉砕して球形、円柱形など所定形状に粒状に形成したものを固めたゴムペレットや、このペレットを凝集したペレット凝集物により形成されている。また、基礎部材12は、一枚もので形成されるようにしてもよい。
【0023】
接着補助部材13は、表面部材11と基礎部材12との接着を補助するための部材である。すなわち、接着補助部材13は、表面部材11の裏面に設けられて表面部材11の裏面側への基礎部材12の接着を補助するための部材であるということもできる。この場合、基礎部材12が表面部材11に対する接着対象部材である。また、接着補助部材13は、基礎部材12の表面に設けられて基礎部材12の表面側への表面部材11の接着を補助するための部材でるということもできる。この場合、表面部材11が基礎部材12に対する接着対象部材である。
【0024】
接着補助部材13は、板状に形成されている。接着補助部材13の厚みは、凸条部11cの高さより大きい値に設定されるのが好ましい。本実施形態では、凸条部11cの高さが3mm程度であるので、接着補助部材13の厚みは5mmより大きい値に設定されるのが好ましい。接着補助部材13は、硬度が所定値より小さい軟質材料にて形成されている。硬度は、例えば、80(ショアA)以下であることが好ましく、60(ショアA)以下であることがより好ましい。軟質材料としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン(PE。発泡も含む。)、ポリプロピレン(PP。発泡も含む。)、不織布、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマなどが挙げられる。熱可塑性エラストマとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ(TPU)、スチレン系熱可塑性エラストマ(TPS)、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。
【0025】
尚、不織布としては、短繊維不織布、長繊維不織布などが挙げられる。短繊維不織布としては、バインダー(接着剤)を使用しないで、ウェブ内の繊維(特に短繊維)を高圧水流により交絡させて製造するスパンレース不織布、ニードルを往復させることにより繊維を交絡させるニードルパンチ不織布、熱溶着繊維などを使ったサーマルボンド不織布などが挙げられる。長繊維不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布などが挙げられる。スパンボンド不織布は、ポリマーの溶融又は溶解によって、ノズルから紡糸された連続繊維(フィラメント)を動くスクリーン上に積層し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた不織布である。メルトブローン不織布は、ポリマーを高速熱ガス流中に紡糸して繊維状にし、冷却後、動くスクリーンに集積し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた不織布である。フラッシュ紡糸不織布は、ポリマー溶液を一定条件でノズルから紡糸し、紡糸直後に溶剤を蒸発させ、これらの繊維を動くスクリーン上に積層し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた高度にフィブリル化した形状のフィラメントによる不織布である。尚、前述したポリマーは、高分子の有機化合物であり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなど熱可塑性樹脂(合成樹脂)である。
【0026】
また、接着補助部材13のひずみは、基礎部材12のひずみより大きい値に設定されていることが好ましい。接着補助部材13は、そのひずみが所定範囲である部材である。所定範囲は、25~75%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。尚、ひずみは元(変形前)の長さLに対する変形量ΔLの比率である(ひずみ=ΔL/L)。
【0027】
第1接着剤層21は、第1接着剤で形成された層である。第1接着剤は、有機溶媒を含まない接着剤であることが好ましい。例えば、第1接着剤としては、ホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤とは、熱をかけて融かして接着させる接着剤であり、材質としては、エチレン酢酸ビニル(EVA)のような熱可塑性合成樹脂が用いられる。本実施形態では、ホットメルト接着剤としては、湿気硬化型ホットメルト接着剤を採用している。尚、第2接着剤層22は、第1接着剤と同様である第2接着剤で形成されている。
【0028】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤であり、ウレタンプレポリマーを主成分とするものである。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得られ、末端にイソシアネート基(NCO)を有するものである。特に末端NCO%が1~3%のものが好ましい。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等から重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることができる。ポリエステルポリオールは、炭素数6以上のジカルボン酸(アジピン酸、セバシン酸等)製のものが好ましく、さらには、融点45℃以上の結晶性エステルポリオールがポリオール成分で80重量%以上含まれるものを用いるのがより好ましい。なお、ポリエステルポリオール構成するグリコールは、炭素数が4以上のアルコール(1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等)を用いることができる。また、イソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネートが好ましく、特にはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤には、必要に応じて粘着付与剤、ワックス、結晶核剤、酸化防止剤等の添加剤が含まれる。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤に限定されず、ポリエステル系やアクリル系の湿気硬化型ホットメルト接着剤を採用するようにしてもよい。
【0029】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、表面部材11と接着補助部材13とを接着する際には、ロールコータを使用して塗布するロール塗布(ロールコーティング)で表面部材11の裏面(塗布対象)に塗布される。尚、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、表面部材11の裏面のみでなく、接着補助部材13の表面(塗布対象)のみに塗布するようにしてもよく、表面部材11の裏面と接着補助部材13の表面の両方に塗布するようにしてもよい。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、接着補助部材13と基礎部材12とを接着する際には、接着補助部材13の裏面及び/または基礎部材12の表面に塗布すればよい。
【0030】
ロールコーティングにおいて使用するロールコータとしては、例えば、特開2018-184000号公報に記載されているロールコータが挙げられる。このロールコータは、送りロール、供給ロール、塗布ロール、ホットメルト接着剤貯留槽を備えている。ホットメルト接着剤貯留槽に貯留されている溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、送りロールによって塗布対象が一方向へ送られている状態で、吐出部から供給ロールと塗布ロール間に供給される。供給ロールと塗布ロール間に供給された溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、供給ロールと塗布ロールの回転によって塗布対象の上側表面(塗布面)に供給される。塗布対象の上側表面に供給された溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、回転する塗布ロールの外周面下端と接触して塗布対象の上側表面に塗布される。
【0031】
ロールコーティングを容易かつ良好に行えるようにするため、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、常温固体であり、さらには、100℃以上で溶融状態であり、かつ140℃の溶融粘度(JIS K 6862)が5~15Pa・s(パスカル秒)のものが好ましい。なお、常温固体とは、20℃で固体であることをいう。また、溶融状態の温度範囲は、100~160℃の範囲で適宜設定可能である。さらに、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、結晶性エステルポリオールを含むウレタンプレポリマーが好ましく、結晶性ポリエステルポリオールは、季節変化を配慮しても、(1)常温固体であり融点が45℃以上で、(2)溶融塗布後に常温における固化時間が1~5分であることが好ましい。すなわち、長尺シートに巻き返しながら塗布し、所定の設備長さの中で、湿気硬化型ホットメルト接着剤が速やかに常温で乾燥硬化するためには、結晶性エステルポリオールを含み、ウレタンプレポリマーのNCO含量が1~3%であり、数平均分子量が1000~4000であることが好ましく、1500~2500であることがより好ましい。
【0032】
また、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。尚、塗布方法は、ロールコーティングに限定されず、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0033】
スプレー塗布として、特には、湿気硬化型ホットメルト接着剤を加温加圧状態で、一列に並んだ複数のノズルから吐出、糸状に紡糸しながら吹き付けて積層するカーテンスプレー法が好ましい。カーテンスプレー法によれば、糸状の溶融樹脂を、高温高速気流によって紡糸するとともに延伸し、表皮材に直接吹き付けて積層させる方法である。
【0034】
スプレー塗布においては、周知のスプレー塗布装置によってホットメルト接着剤が塗布される。スプレー塗布装置としては、特開2017-136735号公報に開示されたものが知られている。スプレー塗布装置は、湿気硬化型ホットメルト接着剤収容槽から供給される溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を、該接着剤を塗布すべき接着剤塗布面に塗布する。
【0035】
(第1水路)
図1A及び
図1Bに示すように、第1水路41は、表面部材11と下層部材31との間に形成されている。第1水路41は、隣り合う凸条部11c間に形成されている溝11dと下層部材31との間に形成された空間である。第1水路41は、凸条部11cに沿って水平方向に延在し、両端に開口41aを有している。すなわち、積層部材10は、互いに平行である第1水路41を複数有することとなる。表面部材11を通過した水は、第1水路41に流入し、その流入した水は第1水路41内を流れ、開口41aから外部に流出する(以下、
図1A~
図1Cにて流水を矢印にて示す。)。
【0036】
尚、
図1Cに示すように、凸条部11cが複数の凸部11c1を直線上に間欠的に設けた場合には、溝11dは一本の連続した溝でなく、隣り合う溝11dが凸部11c1間に形成された凹部11c2を介して連通することとなる。このように隣り合う第1水路41が連通路41bを介して連通され、第1水路41に延在する方向と異なる方向にも水路を拡張することにより、水路を網目状に設けることが可能となる。その結果、より排水性を向上することが可能となる。
【0037】
(積層部材の製造方法(製造工程))
次に、上述した積層部材10の製造方法(製造工程)について、
図2を参照して説明する。積層部材10の製造方法は、第1塗布工程S1、第1圧着工程S3、第2塗布工程S5、第2圧着工程S7、及び硬化工程S9を備えている。
【0038】
(第1塗布工程・第1圧着工程)
第1塗布工程S1は、基礎部材12の表面及び接着補助部材13の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤22aを塗布する。この場合、ホットメルト接着剤22aは、ロールコーティング(上述した)により塗布されるのが好ましい。本実施形態では、ホットメルト接着剤22aは、基礎部材12の表面及び接着補助部材13の裏面の両方に塗布される。尚、ロールコーティングにおいては、周知のロールコーティング装置(ロールコータ)によってホットメルト接着剤22aが塗布される。塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。また、塗布方法は、ロールコーティングでなく、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0039】
第1圧着工程S3は、第1塗布工程S1の後に、基礎部材12と接着補助部材13とを圧着させる。第1圧着工程S3においては、最初に、基礎部材12と接着補助部材13とを接着剤22aを塗布した面(接着剤塗布面)を合わせて重ねる(一方にのみ接着剤を塗布した場合には、基礎部材12の表面と接着補助部材13の裏面とを合わせる。)。その後、プレス装置にて、積層した基礎部材12と接着補助部材13を所定の圧縮量にて圧縮する。これにより、基礎部材12に接着補助部材13を接着して下層部材31が形成される。このとき、下層部材31は、接着補助部材13が接着された基礎部材12である補助部材付き基礎部材と称することができる。
【0040】
尚、所定の圧縮量は圧縮対象物の厚みに対する比率が40~60%となる量が好ましく、本実施形態では、その比率が50%に設定されている。また、該圧縮は、所定時間(例えば、40秒)だけ実施される。尚、所定時間は、40~80秒に設定されるのが好ましい。
【0041】
(第2塗布工程・第2圧着工程)
第2塗布工程S5は、接着補助部材13の表面及び表面部材11の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤21aを塗布する。この場合、ホットメルト接着剤21aは、ロールコーティング(上述した)により塗布されるのが好ましい。本実施形態では、ホットメルト接着剤21aは、基礎部材12の表面及び接着補助部材13の裏面の両方に塗布される。塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。塗布量は、所望の接着強度を発揮でき、かつ、凸条部11c間の隙間すなわち表面部材11の凹部が接着剤で充填されない量に設定されるのが好ましい。また、塗布方法は、ロールコーティングでなく、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0042】
第2圧着工程S7は、第2塗布工程S5の後に、下層部材31と表面部材11とを圧着させる。第2圧着工程S7においては、最初に、下層部材31と表面部材11とを接着剤21aを塗布した面(接着剤塗布面)を合わせて重ねる(一方にのみ接着剤を塗布した場合には、接着補助部材13の表面と表面部材11の裏面とを合わせる。)。その後、プレス装置にて、積層した下層部材31と表面部材11を所定の圧縮量にて圧縮する。これにより、表面部材11が下層部材31に接着されて積層部材10が形成される。尚、所定の圧縮量及び圧縮時間は、上述した第1圧着工程S3と同様に設定するのが好ましい。
【0043】
硬化工程S9は、第2圧着工程S7において積層された積層部材10の接着剤21a,22aを硬化させて、積層部材10を完成させる。硬化工程S9においては、第2圧着工程S7の後の積層部材10を、所定時間だけ所定温度・所定湿度にて保管することにより、ホットメルト接着剤が自然冷却及び空気中の湿気(加湿)と反応し硬化が進行する。尚、ホットメルト接着剤が湿気硬化により完全に固まるのにかかる硬化時間は、例えば数時間から十数時間である。また、所定時間は、24~72hr(時間)に設定されるのが好ましく、本実施形態では、24hrに設定されている。所定温度は、5~40℃に設定されるのが好ましく、本実施形態では、15~30℃(いわゆる常温)に設定されている。所定湿度は、相対湿度40~95%に設定されるのが好ましく、本実施形態では、45~85℃(いわゆる常湿)に設定されている。
【実施例0044】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0045】
【0046】
表1に示す表面部材11、基礎部材12、接着補助部材13及び接着剤を用いて、比較例1,2の積層部材10及び実施例1,2の積層部材10を作成した。
【0047】
比較例1の積層部材は、表面部材11と基礎部材12とを備えており、接着補助部材13を備えていない。表面部材11は人工芝であり、基礎部材12は発泡ゴムペレット(厚みは15mmである。)である。表面部材11と基礎部材12とは、有機溶媒を含むクロロプレンゴム系溶剤形接着剤により接着されている。比較例2の積層部材は、比較例1と同様に、表面部材11と基礎部材12とを備えており、接着補助部材13を備えていない。表面部材11と基礎部材12とは、有機溶媒を含む接着剤を使用しないで、有機溶媒を含まないウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。ウレタン系ホットメルト接着剤は上述したロールコーティングにより塗布されている。尚、比較例1において、圧着を行っておらず、比較例2において、ウレタン系ホットメルト接着剤を介して貼り合わせた後に、圧着を1回行った。
【0048】
実施例1及び実施例2の積層部材10は、比較例1及び比較例2とは異なり、表面部材11および基礎部材12だけでなく、接着補助部材13を備えている。接着補助部材13は、発泡ポリエチレンで形成され、その厚みは5mmである。実施例1及び実施例2の積層部材10においては、比較例1及び比較例2と同様な表面部材11および基礎部材12を使用している。実施例1及び実施例2の積層部材10においては、有機溶媒を含む接着剤は使用されておらず、有機溶媒を含まないウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。ウレタン系ホットメルト接着剤は上述したロールコーティングにより塗布されている。尚、実施例1において、ウレタン系ホットメルト接着剤を介して貼り合わせた後に、圧着を1回行い、実施例2において、ウレタン系ホットメルト接着剤を介して貼り合わせた後に、圧着を2回行った。
【0049】
各実施例及び各比較例の積層部材10について、接着強度を測定し、接着性について評価を行った。具体的には、実施例1及び実施例2の積層部材10及び比較例1及び比較例2の積層部材を、その表皮に幅50mm、長さ150mmの切れ込みを入れ、JIS K6854-1:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第1部:90度はく離」の試験サンプルとして、プッシュプルゲージ(フォースゲージ)にて測定を行った。
【0050】
表1中の接着強度は、サンプル数が3個である場合の平均値である。尚、表1中の「材破」とは、剥離試験において、表面部材11が接着補助部材13との界面で剥離しないで、接着補助部材13が破断(材料破壊)したことを示しており、表面部材11と接着補助部材13との良好な接着性ひいては表面部材11と基礎部材12との良好な接着性を示している。また、表1中の「界面剥離」とは、剥離試験において、表面部材11が接着補助部材13との界面で剥離(単純剥離)したことを示しており、表面部材11と接着補助部材13との良好でない接着性ひいては表面部材11と基礎部材12との良好でない接着性を示している。
【0051】
表1から明らかなように、比較例1の積層部材は、有機溶媒を含む接着剤によって表面部材11と基礎部材12とが接着されており、接着性は良好としての評価がなされる。しかし、接着剤に有機溶媒を含んでいるため、比較例1の積層部材は環境にやさしくない部材である。
【0052】
そこで、環境保護の観点から環境を考慮した接着剤を使用することが要請されており、その要請に応えるため、有機溶媒を含んでいない接着剤の使用が考えられた。具体的には、比較例2の積層部材において、接着剤の代用品としてウレタン系ホットメルト接着剤を使用することにより、表面部材11と基礎部材12とを接着した。比較例2においては、表面部材11と基礎部材12とは、比較的小さい力(接着強度)にて界面剥離するため、接着性は良好でない(不良)としての評価がなされる。
【0053】
これらの結果を踏まえて、発明者らは、表面部材11と基礎部材12との接着を補助する接着補助部材13を介して表面部材11と基礎部材12とを接着することを見出した。具体的には、実施例1及び実施例2の積層部材10において、表面部材11と基礎部材12とが接着補助部材13を介して接着されている。表1から明らかなように、実施例1及び実施例2の積層部材10において、表面部材11と基礎部材12とが、ウレタン系ホットメルト接着剤にて表面部材11と基礎部材12とにそれぞれ接着された接着補助部材13によって比較例1より比較的強力に接着されている。さらには、実施例1及び実施例2の接着性は、いずれも材料破壊であるため、良好としての評価がなされる。このように、実施例1及び実施例2の積層部材10は、接着強度が大きいので、より高い接着性の評価を得ることができる。
【0054】
(変形例1)
尚、上述した実施形態においては、表面部材11の裏面に凸条部11cを形成するとともに接着補助部材13の表面を平坦に形成するようにしたが、接着補助部材13の表面に凸条部113cを形成するとともに表面部材111の裏面を平坦に形成するようにしてもよい。この場合、
図3に示すように、積層部材110は、上述した積層部材10と同様に、表面部材111と、下層部材131と、第1水路141と、を備えている。表面部材11は、第1接着剤層21を介して下層部材131に接着されている。下層部材131は、基礎部材112と、接着補助部材113と、を備えている。
【0055】
表面部材111は、透水性を有するとともに板状に形成された衝撃吸収部材である。表面部材111は、少なくとも裏面が平坦な部材であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成されている。基礎部材112は、上述した基礎部材12と同様に形成されている。接着補助部材113は、シート状に形成されたシート部113b、及びシート部113bの表面から突出された凸条部113cを備えている。凸条部113cは、上述した凸条部11cと同様に形成されている。接着補助部材113は、上述した接着補助部材13と同一の材料にて形成されている。
【0056】
第1水路141は、上述した第1水路41と同様に、表面部材111と下層部材131との間に形成されている。第1水路141は、隣り合う凸条部113c間に形成されている溝113dと表面部材111との間に形成された空間である。第1水路141は、凸条部113cに沿って水平方向に延在し、両端に開口(不図示)を有している。すなわち、積層部材110は、互いに平行である第1水路141を複数有することとなる。表面部材111を通過した水は、第1水路141に流入し、その流入した水は第1水路141内を流れ、開口から外部に流出する。
【0057】
さらに、積層部材110の製造方法(製造工程)について、説明する。積層部材110の製造方法は、上述した積層部材10の製造方法と同様に、第1塗布工程S1、第1圧着工程S3、第2塗布工程S5、第2圧着工程S7、及び硬化工程S9を備えている。
【0058】
第1塗布工程S1は、基礎部材112の表面及び接着補助部材113の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤を塗布する。第1圧着工程S3は、第1塗布工程S1の後に、基礎部材112と接着補助部材113とを圧着させる。これにより、基礎部材112に接着補助部材113を接着して下層部材131が形成される。
【0059】
第2塗布工程S5は、接着補助部材113(下層部材131)の表面及び表面部材111の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤を塗布する。第2圧着工程S7は、第2塗布工程S5の後に、下層部材131と表面部材111とを圧着させる。これにより、表面部材111が下層部材131に接着されて積層部材110が形成される。硬化工程S9は、第2圧着工程S7において積層された積層部材110の接着剤を硬化させて、積層部材110を完成させる。
【0060】
(変形例2:第2水路)
さらに、上述した実施形態においては、基礎部材12と接着補助部材13との間に第2水路42(または142)を形成するようにしてもよい。この場合、基礎部材12または接着補助部材13の少なくとも何れか一方に凹部に形成し、その凹部を第2水路42として利用すればよい。
【0061】
具体的には、
図4Aに示すように、積層部材210は、上述した積層部材10と同様に、表面部材11と、下層部材231と、第1水路41と、第2水路42と、を備えている。表面部材11は、第1接着剤層21を介して下層部材231に接着されている。下層部材231は、基礎部材212と、接着補助部材213と、を備えている。
【0062】
基礎部材212は、シート状に形成されたシート部212b、及びシート部212bの表面から突出された凸条部212cを備えている。凸条部212cは、上述した凸条部11cと同様に形成されている。基礎部材212は、上述した基礎部材12と同一の材料にて形成されている。接着補助部材213は、上述した接着補助部材13と同様に形成されるとともに、透水性を有している。
【0063】
第2水路42は、基礎部材212と接着補助部材213との間に形成されている。第2水路42は、隣り合う凸条部212c間に形成されている溝212dと接着補助部材213との間に形成された空間である。第2水路42は、凸条部212cに沿って水平方向に延在し、両端に開口(不図示)を有している。すなわち、積層部材210は、互いに平行である第2水路42を複数有することとなる。接着補助部材213を通過した水(図中矢印で示す。)は、第2水路42に流入し、その流入した水は第2水路42内を流れ、開口から外部に流出する。
【0064】
尚、接着補助部材213には、第1水路41と第2水路42とを連通する垂直方向に沿って延びる連通路213eを形成するのが好ましい。これによれば、第1水路41内の水を第2水路42に導入して外部に流出することが可能となり、第1水路41に流入した水を第1水路41だけでなく第2水路42も利用して外部に効率よく排出することが可能となる。また、連通路213eの内径、設置個数、設置場所は、接着補助部材213の排水性と接着補助部材213のクッション性とのバランスを考慮して設定されるのが好ましい。
【0065】
さらに、前述した
図4Aに示す積層部材210においては、第2水路42を、基礎部材212に形成した溝212dを利用して形成したが(基礎部材212側に形成したが)、
図4Bに示すように、第2水路142を、接着補助部材313に形成した溝313dを使用して形成するようにしてもよい(接着補助部材313側に形成するようにしてもよい)。
【0066】
具体的には、
図4Bに示すように、積層部材310は、上述した積層部材10と同様に、表面部材11と、下層部材331と、第1水路41と、第2水路142と、を備えている。表面部材11は、第1接着剤層21を介して下層部材331に接着されている。下層部材331は、基礎部材312と、接着補助部材313と、を備えている。
【0067】
基礎部材312は、上述した基礎部材12と同様に形成されている。接着補助部材313は、シート状に形成されたシート部313b、及びシート部313bの表面から突出された凸条部313cを備えている。凸条部313cは、上述した凸条部11cと同様に形成されている。接着補助部材313は、上述した接着補助部材13と同様に形成されるとともに、透水性を有している。
【0068】
第2水路142は、基礎部材312と接着補助部材313との間に形成されている。第2水路142は、隣り合う凸条部313c間に形成されている溝313dと基礎部材312との間に形成された空間である。第2水路142は、凸条部313cに沿って水平方向に延在し、両端に開口(不図示)を有している。すなわち、積層部材310は、互いに平行である第2水路142を複数有することとなる。接着補助部材313を通過した水(図中矢印で示す。)は、第2水路142に流入し、その流入した水は第2水路142内を流れ、開口から外部に流出する。
【0069】
尚、接着補助部材313には、連通路213eと同様に、第1水路41と第2水路142とを連通する垂直方向に沿って延びる連通路313eを形成するのが好ましい。これによれば、第1水路41内の水を第2水路142に導入して外部に流出することが可能となり、第1水路41に流入した水を第1水路41だけでなく第2水路142も利用して外部に効率よく排出することが可能となる。
【0070】
(変形例3:第3水路)
さらに、上述した実施形態においては、変形例2の基礎部材312の下面に第3水路43を形成するようにしてもよい。具体的には、
図5に示すように、積層部材410は、上述した積層部材10と同様に、表面部材11と、下層部材431と、第1水路41と、第2水路142と、第3水路43と、を備えている。表面部材11は、第1接着剤層21を介して下層部材431に接着されている。下層部材431は、基礎部材412と、接着補助部材313と、を備えている。
【0071】
接着補助部材313は、シート状に形成されたシート部313b、及びシート部313bの裏面から突出された凸条部313cを備えている。凸条部313cは、上述した凸条部11cと同様に形成されている。接着補助部材313は、隣り合う凸条部313c間に形成されている溝313dと、溝313dと基礎部材312との間に形成された第2水路142と、を備えている。接着補助部材313は、上述した接着補助部材13と同様に形成されるとともに、第1水路41と第2水路142とを連通する垂直方向に沿って延びる連通路313eを備えている。
【0072】
基礎部材412は、接着補助部材313と同様に、シート状に形成されたシート部412b、及びシート部412bの裏面から突出された凸条部412cを備えている。凸条部313cは、上述した凸条部11cと同様に形成されている。基礎部材412は、隣り合う凸条部412c間に形成されている溝412dと、第3水路43と、を備えている。
【0073】
第3水路43は、基礎部材412(溝412d)と基礎部材412が設置されている設置面SFとの間に形成されている。第3水路43は、凸条部412cに沿って水平方向に延在し、両端に開口(不図示)を有している。すなわち、積層部材410は、互いに平行である第3水路43を複数有することとなる。接着補助部材313を通過した水(図中矢印で示す。)は、第3水路43に流入し、その流入した水は第3水路43内を流れ、開口から外部に流出する。この第3水路43によれば、積層部材410と設置面SFとの間の排水性を向上させることが可能となる。
【0074】
尚、基礎部材412には、連通路213eと同様に、第2水路142(または第2水路42)と第3水路43とを連通する垂直方向に沿って延びる連通路313eを形成するのが好ましい。これによれば、第2水路142内の水を第3水路43に導入して外部に流出することが可能となり、第2水路142に流入した水を第2水路142だけでなく第3水路43も利用して外部に効率よく排出することが可能となる。
【0075】
尚、基礎部材と接着補助部材との間に、第2水路42及び第2水路142の両方を形成するようにしてもよい。
また、上述した変形例1において、基礎部材112及び接着補助部材113の少なくとも何れか一方に第2水路を設けるようにしてもよい。
また、第2水路42(または142)は、第1水路41(または141)に対して平行となるように配置したが、立体的に交差(例えば、90度)して配置するようにしてもよい。
また、上述した積層部材10,110,210,310は、シートであることが好ましく、所定の大きさ(例えば、数十cm~数mの方形状)に形成され複数並べて使用される部材であることが好ましい。
【0076】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る積層部材10,110,210,310は、透水性を有する板状の表面部材11,111と、表面部材11,111の下面側に設けられる板状の下層部材31,131,231,331と、を備え、表面部材11,111と下層部材31,131,231,331との間に第1水路41,141が形成されている。
【0077】
この積層部材10,110,210,310によれば、表面部材11,111と下層部材31,131,231,331との間に形成された第1水路41,141に流入した水(例えば、表面部材11,111を通過した水)を、該第1水路41,141を通して排出することが可能となる。その結果、積層部材10,110,210,310の排水性をより向上させることが可能となる。
【0078】
また、積層部材10,110,210,310においては、下層部材31,131,231,331は、板状の基礎部材12,112,212,312と、基礎部材12,112,212,312の表面に設けられて基礎部材12,112,212,312の表面側への表面部材11,111の接着を補助するための板状の接着補助部材13,113,213,313と、を備えることが好ましい。これによれば、接着補助部材13,113,213,313が、基礎部材12,112,212,312の表面側への表面部材11,111の接着を補助することが可能となるため、表面部材11,111を下層部材31,131,231,331ひいては基礎部材12,112,212,312に所望の接着強度にて適切に接着することが可能となる。
【0079】
また、積層部材210,310においては、基礎部材212,312と接着補助部材213,313との間に第2水路42,142が形成されていることが好ましい。これによれば、表面部材11を接着補助部材213,313を介して基礎部材212,312に接着した場合、基礎部材212,312と接着補助部材213,313との間に形成された第2水路42,142に流入した水を、該第2水路42,142を通して排出することが可能となる。その結果、積層部材210,310の排水性をより向上させることが可能となる。
【0080】
また、積層部材10,210,310においては、表面部材11は、人工芝であることが好ましい。これによれば、表面部材11として人工芝を採用した積層部材10,210,310において、積層部材10,210,310の排水性をより向上させることが可能となる。
10,110,210,310…積層部材、11,111…表面部材、31,131,231,331…下層部材、12,112,212,312…基礎部材、13,113,213,313…接着補助部材、41,141…第1水路、42,142…第2水路。