(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098320
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
F25D11/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215015
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大木 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 肇
(72)【発明者】
【氏名】増田 英夫
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045LA05
3L045LA06
3L045MA06
3L045NA07
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つの蒸発器で効率的に冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うことができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】庫内に配置された冷蔵室7及び冷凍室6と、圧縮機21及び蒸発器24を有する冷却回路と、庫内の気体を流動させるファン12と、蒸発器24が配置された冷却流路10と冷蔵室7との間を開閉する冷蔵室開閉部14と、冷却流路10と冷凍室6との間を開閉する冷凍室開閉部13と、圧縮機21、ファン12、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部13を制御する制御部と、を備え、制御部は、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行うように制御し、冷蔵室冷却サイクルが終了した後、冷凍室冷却サイクルを開始する前に、圧縮機21を稼働し、ファン12を停止し、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部13を閉にした圧力平衡化処理を行う冷蔵庫1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内に配置された冷蔵室及び冷凍室と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷却回路と、
庫内の気体を流動させるファンと、
前記蒸発器が配置された冷却流路と前記冷蔵室との間を開閉する冷蔵室開閉部と、
前記冷却流路と前記冷凍室との間を開閉する冷凍室開閉部と、
前記圧縮機、前記ファン、前記冷蔵室開閉部及び前記冷凍室開閉部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機及び前記ファンを稼働し、前記冷蔵室開閉部を開にすることにより、前記ファンによる流動で前記蒸発器を通過した気体を前記冷却流路から前記冷蔵室に流入させて冷蔵室冷却サイクルを実施し、少なくとも前記冷蔵室開閉部を閉にすることにより前記冷蔵室冷却サイクルを終了し、
前記圧縮機及び前記ファンを稼働し、前記冷凍室開閉部を開にすることにより、前記ファンによる流動で前記蒸発器を通過した気体を前記冷却流路から前記冷凍室に流入させて冷凍室冷却サイクルを実施し、少なくとも前記冷凍室開閉部を閉にすることにより前記冷凍室冷却サイクルを終了し、
前記冷蔵室冷却サイクル及び前記冷凍室冷却サイクルを交互に行うように制御し、
前記冷蔵室冷却サイクルが終了した後、前記冷凍室冷却サイクルを開始する前に、前記圧縮機を稼働し、前記ファンを停止し、前記冷蔵室開閉部及び前記冷凍室開閉部を閉にした圧力平衡化処理を行うことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間に、開のとき、前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間が連通し、閉のとき、前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間が遮断される冷凍室吸込開閉部を備え、
前記制御部は、
前記冷蔵室冷却サイクルのとき、前記冷凍室吸込開閉部を閉にし、
前記圧力平衡化処理のとき、前記冷凍室吸込開閉部を閉にし、
前記冷凍室冷却サイクルのとき、前記冷凍室吸込開閉部を開にすることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記圧力平衡化処理のとき、前記制御部は、前記冷蔵室冷却サイクルを行うときよりも高い回転数で前記圧縮機を稼働することを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記圧力平衡化処理を開始した後、霜取センサが検出した前記蒸発器の温度が所定の温度より低くなったとき、制御部は、前記圧力平衡化処理を終了して、前記冷凍室冷却サイクルを開始することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷凍室開閉部は、前記ファンの外側を覆うように配置されたファンカバーを備え、前記ファンカバーが開の位置にあるとき、前記ファンから吐出された気体が前記冷凍室に流入し、前記ファンカバーが閉の位置にあるとき、前記ファンから吐出された気体が前記冷凍室に流入しないようになる遮蔽装置で構成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行う冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の中には、冷蔵室の冷却専用の蒸発器及び冷凍室の冷却専用の蒸発器を個々に備え、冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蒸発器を含めた冷蔵室及び冷凍室専用の冷却ラインを個々に備える必要があるので、冷蔵庫の製造コストが上がり、庫内の収納効率も低下する。その課題を解決するためには、1つの蒸発器を備え、ダンパの切り替えで、冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うことが好ましい。しかしその場合、冷蔵室の冷却で冷蔵室側の圧力が高くなり、相対的に冷凍室側の圧力が低下する。これにより、庫外や冷蔵室から高温の気体が冷凍室内に流入する虞がある。これにより、冷凍室の温度が上昇して、冷蔵庫の冷却効率が低下する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、1つの蒸発器で効率的に冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うことができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、
庫内に配置された冷蔵室及び冷凍室と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷却回路と、
庫内の気体を流動させるファンと、
前記蒸発器が配置された冷却流路と前記冷蔵室との間を開閉する冷蔵室開閉部と、
前記冷却流路と前記冷凍室との間を開閉する冷凍室開閉部と、
前記圧縮機、前記ファン、前記冷蔵室開閉部及び前記冷凍室開閉部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機及び前記ファンを稼働し、前記冷蔵室開閉部を開にすることにより、前記ファンによる流動で前記蒸発器を通過した気体を前記冷却流路から前記冷蔵室に流入させて冷蔵室冷却サイクルを実施し、少なくとも前記冷蔵室開閉部を閉にすることにより前記冷蔵室冷却サイクルを終了し、
前記圧縮機及び前記ファンを稼働し、前記冷凍室開閉部を開にすることにより、前記ファンによる流動で前記蒸発器を通過した気体を前記冷却流路から前記冷凍室に流入させて冷凍室冷却サイクルを実施し、少なくとも前記冷凍室開閉部を閉にすることにより前記冷凍室冷却サイクルを終了し、
前記冷蔵室冷却サイクル及び前記冷凍室冷却サイクルを交互に行うように制御し、
前記冷蔵室冷却サイクルが終了した後、前記冷凍室冷却サイクルを開始する前に、前記圧縮機を稼働し、前記ファンを停止し、前記冷蔵室開閉部及び前記冷凍室開閉部を閉にした圧力平衡化処理を行うことを特徴とする。
【0007】
冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行う場合、冷蔵室冷却サイクルにより冷蔵室側の圧力が高くなり、相対的に冷凍室側の圧力が低下する。これにより、庫外や冷蔵室から高温の気体が冷凍室内に流入して、冷凍室の温度が上昇する虞がある。しかし、本発明では、冷凍室冷却サイクルを開始する前に、ファンを停止し、冷蔵室開閉部及び冷凍室開閉部を閉にした圧力平衡化処理を行うことにより、冷蔵室側の圧力と冷凍室側の圧力とが平衡化される。これにより、冷凍室の圧力の相対的な低下を抑制でき、庫外や冷蔵室から高温の気体が冷凍室内に流入するのを抑制して、冷凍室の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0008】
更に、圧力平衡化処理では、圧縮機を稼働して蒸発器を冷却しているので、冷却流路内の気体や冷蔵室側の気体が冷却される。これにより、冷蔵室側の圧力及び冷凍室側の圧力の平衡化が促進されるとともに、冷凍室冷却サイクルを開始するとき、十分に温度の下がった気体を冷凍室に供給することができる。これにより、1つの蒸発器を用いて、効率的に冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うことができる冷蔵庫を提供することができる。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間に、開のとき、前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間が連通し、閉のとき、前記冷凍室と前記蒸発器の入側との間が遮断される冷凍室吸込開閉部を備え、
前記制御部が、
前記冷蔵室冷却サイクルのとき、前記冷凍室吸込開閉部を閉にし、
前記圧力平衡化処理のとき、前記冷凍室吸込開閉部を閉にし、
前記冷凍室冷却サイクルのとき、前記冷凍室吸込開閉部を開にすることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、冷蔵室冷却サイクル及び圧力平衡化処理のとき、冷凍室吸込開閉部が閉となるので、冷凍室と蒸発器の入側との間が遮断される。よって、冷蔵室から蒸発器の入側に入った高温、高圧の気体が、冷凍室に流入するのを防ぐことができる。これにより、冷凍室の温度上昇を抑えて、より効率的に冷凍室の冷却を行うことができる。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記圧力平衡化処理のとき、前記制御部が、前記冷蔵室冷却サイクルを行うときよりも高い回転数で前記圧縮機を稼働することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、圧力平衡化処理のとき、冷蔵室冷却サイクルを行うときよりも高い回転数で圧縮機を稼働するので、蒸発器の温度を冷蔵室冷却サイクル実施時より低くすることができる。これにより、冷蔵室側と冷凍室側との圧力平衡化が更に促進されるとともに、冷凍室冷却サイクル開始時には、確実に冷凍室の冷却に適した温度の気体を冷凍室に供給することができる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記圧力平衡化処理を開始した後、霜取センサが検出した前記蒸発器の温度が所定の温度より低くなったとき、制御部が、前記圧力平衡化処理を終了して、前記冷凍室冷却サイクルを開始することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、圧力平衡化処理を開始した後、蒸発器の温度が所定の温度より低くなったとき、つまり、冷凍室冷却サイクル開始時に冷凍室に供給される気体の温度が冷凍室の冷却に適した温度まで下がったと判断されるとき、圧力平衡化処理を終了して冷凍室冷却サイクルを開始する。これにより、冷凍室の温度上昇を抑えて、効率的な冷凍室の冷却を実現できる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記冷凍室開閉部が、前記ファンの外側を覆うように配置されたファンカバーを備え、前記ファンカバーが開の位置にあるとき、前記ファンから吐出された気体が前記冷凍室に流入し、前記ファンカバーが閉の位置にあるとき、前記ファンから吐出された気体が前記冷凍室に流入しないようになる遮蔽装置で構成されることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ファンの外側を覆うように配置されたファンカバーを備えた遮蔽装置により、省スペースでありながら、確実に気体の流れの切り替えを行うことができる冷凍室開閉部を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1つの蒸発器で効率的に冷蔵室の冷却及び冷凍室の冷却を交互に行うことができる冷蔵庫を提供する提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図である。
【
図2A】冷凍室ダンパ及び冷蔵室ダンパを備えた第1の実施形態に係る冷却流路を模式的に示す側面断面図である。
【
図2B】冷凍室ダンパ、冷蔵室ダンパ及び冷凍室吸込ダンパを備えた第2の実施形態に係る冷却流路を模式的に示す側面断面図である。
【
図2C】遮蔽装置及び冷蔵室ダンパを備えた第3の実施形態に係る冷却流路を模式的に示す側面断面図である。
【
図2D】遮蔽装置、冷蔵室ダンパ及び冷凍室吸込ダンパを備えた第4の実施形態に係る冷却流路を模式的に示す側面断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の庫内冷却に関する制御システムを示す線図である。
【
図4A】第4の実施形態に係る冷却流路において、冷蔵室冷却サイクルを行う場合を模式的に示す側面断面図である。
【
図4B】第4の実施形態に係る冷却流路において、圧力平衡化処理を行う場合を模式的に示す側面断面図である。
【
図4C】第4の実施形態に係る冷却流路において、冷凍室冷却サイクルを行う場合を模式的に示す側面断面図である。
【
図5】冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理及び冷凍室冷却サイクルを行う制御の一例を示すタイムチャートである。
【
図6】冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理及び冷凍室冷却サイクルを行う制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0020】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1を模式的示す側面断面図である。はじめに
図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の概要を説明する。
【0021】
冷蔵庫1は筐体2を有し、水平な床面に載置された状態において、筐体2の前方部分に回転可能に取り付けられた上扉3及び下扉4を備える。筐体2の内部(以下、「庫内」と称する)には、冷凍室6及び冷蔵室7が配置されている。筐体2の内面と冷凍室6、冷蔵室7の外面との間には、断熱材が配置されている。
【0022】
<冷却流路>
図1に示すように、冷凍室6及び冷蔵室7の後方には、それぞれ仕切板11A,11Bで仕切られた下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bで構成された冷却流路10が設けられている。冷却流路10(詳細に述べれば下側冷却流路10A)には、蒸発器(エバポレータ)24が配置されている。蒸発器24は、冷蔵庫1の冷却回路の一部を構成する。
【0023】
冷却回路は、圧縮機(コンプレッサ)21と、凝縮器(コンデンサ)と、キャピラリチューブと、蒸発器24とを備える。冷却回路の各構成要素間は、配管によって上記の順で流体的に接続されており、冷却回路内で冷媒が循環することにより、蒸発器24が冷却される。圧縮機21の回転数が可変になっており、圧縮機21の回転数が高くなると、より多くの冷媒が循環して蒸発器24の冷却を強めることができる。
【0024】
冷却流路10内の蒸発器24の上方には、ファン12が配置されている。ファン12により、庫内の気体を流動させることができ、蒸発器24のフィンの間を通過して冷却された気体を、冷却流路10から冷凍室6や冷蔵室7に供給することができる。
【0025】
下側仕切り板11Aの上側の開口には、冷凍室ダンパ13が配置されている。冷凍室ダンパ13が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れる。一方、冷凍室ダンパ13が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れないようになる。
図1では、冷凍室ダンパ13が閉の状態を示す。
【0026】
ファン12が稼働し、冷凍室ダンパ13が開の場合には、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流入した気体は、冷凍室6内を循環して、下側仕切板11Aの下側の開口から、冷却流路10(下側冷却流路10A)の蒸発器24の入側に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これを冷凍室冷却サイクルと称する。冷凍室冷却サイクルで蒸発器24を通過した気体が冷凍室6内を循環する間に、冷凍室6内の貯蔵物を冷却することができる。
【0027】
ただし、冷凍室6への気体を流入させるか否かの切り替えは、冷凍室ダンパ13を用いる場合に限られるものではない。例えば、
図2C、
図2Dを用いて後述するように、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバー17Aを有する遮蔽装置17を用いることもできる。ファンカバー17Aが開の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入し、ファンカバー17Aが閉の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入しないようにすることができる。
【0028】
更に、下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bの間には、冷蔵室ダンパ14が配置されている。冷蔵室ダンパ14が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れる。更に、上側冷却流路10Bに流入した気体は、複数の高さ位置に設けられた各開口を介して、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入する。一方、冷蔵室ダンパ14が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れないようになる。
図1では、冷蔵室ダンパ14が開の状態を示し、そのときの気体の流れを点線の矢印で模式的に示す。
【0029】
ファン12が稼働し、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入した気体は、冷蔵室7内を循環して、冷蔵室7の下側に開口した戻り流路15の入口15Aへ流入する。
【0030】
(戻り流路)
戻り流路15は、冷蔵室7を循環した気体が、冷凍室6内を流れることなく、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入するようにする流路である。戻り流路15は、冷却流路10から仕切られて配置されている。冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した気体は、入口15Aから戻り流路15に流入する。そして、流入した気体は、戻り流路15内を流れて、下側の出口15Bから、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入し、蒸発器24の入側に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これを冷蔵室冷却サイクルと称する。冷蔵室冷却サイクルで蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7内を循環する間に、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0031】
筐体2の後方かつ下部には、機械室40が配置され、圧縮機21、凝縮器(図示せず)、蒸発皿(図示せず)等が配置されている。
【0032】
冷凍室6には、冷凍室6内の温度を検出する冷凍室温度センサ30が配置され、冷蔵室7には、冷蔵室7内の温度を検出する冷蔵室温度センサ32が配置されている。また、蒸発器24には、蒸発器24の温度を検出する霜取センサ34が取り付けられている。
【0033】
(第1の実施形態に係る冷却流路)
図2Aは、冷凍室ダンパ13及び冷蔵室ダンパ14を備えた第1の実施形態に係る冷却流路10を模式的に示す側面断面図である。この第1の実施形態に係る冷却流路10は、
図1に示す冷却流路10と同一である。蒸発器24を通過した気体が冷凍室6に流入するか否かを切り替える冷凍室ダンパ13と、蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入するか否かを切り替えるより冷蔵室ダンパ14とを備える。蒸発器24の入側となる下側仕切板11Aの下側には、ダンパ等は備えず開口している。
【0034】
(第2の実施形態に係る冷却流路)
図2Bは、冷凍室ダンパ13、冷蔵室ダンパ14及び冷凍室吸込ダンパ16を備えた第2の実施形態に係る冷却流路10を模式的に示す側面断面図である。第2の実施形態に係る冷却流路10も、蒸発器24を通過した気体が冷凍室6に流入するか否かを切り替える冷凍室ダンパ13と、蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入するか否かを切り替えるより冷蔵室ダンパ14とを備える。
【0035】
更に、第2の実施形態に係る冷却流路10は、蒸発器24の入側となる下側仕切板11Aの下側に冷凍室吸込ダンパ16を備える。冷凍室吸込ダンパ16は、開のとき、冷凍室6と蒸発器24の入側との間が連通し、閉のとき、冷凍室6と蒸発器24の入側との間が遮断されるようになる。
【0036】
(第3の実施形態に係る冷却流路)
図2Cは、遮蔽装置17及び冷蔵室ダンパ14を備えた第3の実施形態に係る冷却流路10を模式的に示す側面断面図である。第2の実施形態に係る冷却流路10は、冷凍室ダンパ13の代わりに、遮蔽装置17を備える。また、蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入するか否かを切り替えるより冷蔵室ダンパ14を備える。下側仕切板11Aの下側には、ダンパ等は備えず開口している。
【0037】
遮蔽装置17は、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバー17Aを有する。ファンカバー17Aは、モータ等のアクチュエータの駆動により、開の位置と閉の位置の間を移動する。ファンカバー17Aが開の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入し、ファンカバー17Aが閉の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入しないようになる。ファンカバー17Aが閉の場合には、ファン12から吐出された気体は、ファン12の周囲に設けられた開口から冷却流路10の上方へ流れるようになっている。よって、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、ファン12から吐出された気体は、上側冷却流路10Bを介して、冷蔵室7内に流れ込むようになっている。
【0038】
このように、ファン12の外側を覆うように配置されたファンカバー17Aを備えた遮蔽装置17により、省スペースでありながら、確実に気体の流れの切り替えを行うことができる。
【0039】
(第4の実施形態に係る冷却流路)
図2Dは、遮蔽装置17、冷蔵室ダンパ14及び冷凍室吸込ダンパ16を備えた第4の実施形態に係る冷却流路10を模式的に示す側面断面図である。第4の実施形態に係る冷却流路は、ファンカバー17Aの移動で、蒸発器24を通過した気体が冷凍室6に流入するか否かを切り替える遮蔽装置17と、蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入するか否かを切り替えるより冷蔵室ダンパ14とを備える。更に、蒸発器24の入側となる下側仕切板11Aの下側に、冷蔵室6と蒸発器24の入側とが連通するか否かを切り替える冷凍室吸込ダンパ16を備える。
【0040】
上記では、ダンパ13,14,16または遮蔽装置17で流路の開閉を行っているが、これに限られるものではない。例えば、自動弁をはじめとするそのたの任意の装置を用いることもできる。よって、これらの流路の開閉の実施手段を総称して、冷凍室開閉部13,17、冷蔵室開閉部14、冷凍室吸込開閉部16と称することもできる。
【0041】
(庫内冷却のための制御システム)
図3は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の庫内冷却に関する制御システムを示す線図である。次に、
図3を参照しながら、冷蔵庫1の庫内冷却を行うための制御システムの説明を行う。
【0042】
制御システムを構成する制御部100は、冷凍室6に配置された冷凍室温度センサ30と電気的に繋がり、冷凍室6の温度の検出データ(信号)を受けるようになっている。また、制御部100は、冷蔵室7に配置された冷蔵室温度センサ32と電気的に繋がり、冷蔵室7の温度の検出データ(信号)を受けるようになっている。制御部100は、蒸発器24に取り付けられた霜取センサ34と電気的に繋がり、蒸発器24の温度の検出データ(信号)を受けるようになっている。
【0043】
制御部100は、制御信号を送信して、圧縮機21及びファン12の稼働を制御することができる。圧縮機21の回転数は可変であり、制御部100は、圧縮機21の回転数を変更することができる。より低い温度の気体を供給する必要のある冷凍室冷却サイクルでは、制御部100は、通常の冷蔵室冷却サイクルよりも高い回転数で圧縮機21を稼働するように制御する。
【0044】
また、制御部100は、遮蔽装置17(または冷凍室ダンパ13)、冷蔵室ダンパ14に制御信号を送信して、開閉を制御することができる。更に、冷蔵庫1が冷凍室吸込ダンパ16を備える場合には、制御部100は、冷凍室吸込ダンパ16に制御信号を送信して、開閉を制御することができる。
【0045】
(庫内冷却の制御処理)
図4Aは、第4の実施形態に係る冷却流路10において、冷蔵室冷却サイクルを行う場合を模式的に示す側面断面図である。
図4Bは、第4の実施形態に係る冷却流路10において、圧力平衡化処理を行う場合を模式的に示す側面断面図である。
図4Cは、第4の実施形態に係る冷却流路10において、冷凍室冷却サイクルを行う場合を模式的に示す側面断面図である。
図5は、冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理及び冷凍室冷却サイクルを行う制御の一例を示すタイムチャートである。
【0046】
図4Aから
図4Cでは、気体の流れを点線の矢印で示す。圧縮機21及びファン12は、稼働していない場合には無着色で示され、低速回転している場合には薄く着色されて示され、高速回転している場合には濃く着色されて示されている。
【0047】
次に、
図4Aから
図5を参照しながら、庫内冷却の具体的な制御処理の内容を説明する。ここでは、遮蔽装置17及び冷凍室吸込ダンパ16を備えた第4の実施形態を例にとって庫内を冷却するための制御処理を説明するが、冷凍室ダンパ13を用いる場合や、冷凍室吸込ダンパ16を備えない場合も、基本的に制御処理は同様である。
【0048】
本実施形態に係る冷蔵庫1では、制御部100が、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行うように制御する。冷蔵室冷却サイクルでは、ファン12による流動で蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した気体が再び蒸発器24の入側に戻る。冷凍室冷却サイクルでは、ファン12による流動で蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流入し、冷凍室6内を循環した気体が再び蒸発器24の入側に戻る。
【0049】
多くの冷蔵庫では、蒸発器を通過した気体が冷凍室に供給されるとともに、冷蔵室にも気体の一部が供給され、冷凍室と冷蔵室とが同時に冷却される。その場合、常に冷凍室の冷却に対応した高い回転数で圧縮機を稼働する必要があるので、高いエネルギ消費が継続する。一方、本実施形態のように、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行う場合には、冷蔵室冷却サイクルを行うとき、冷蔵室7の冷却に対応した低い回転数で圧縮機21を稼働できるので、上記に比べてエネルギ消費を低減できる。
【0050】
更に、冷蔵室冷却専用の蒸発器と冷蔵室冷却専用の蒸発器とを備えて、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行う冷蔵庫もある。しかし、そのような冷蔵庫では、製造コストも上がり、収納効率も低下する。本実施形態では、1つの蒸発器24を用いて、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行うことができるので、冷蔵庫1の製造コストも抑えられ、庫内の収納効率の低下も抑制できるとともに、エネルギ消費を低減できる。
【0051】
<冷蔵室冷却サイクル>
図4A及び
図5に示すように、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルを実施するための制御処理を行う。具体的には、制御部100は、冷蔵室7の温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働する。冷蔵室冷却サイクルにおける圧縮機21の回転数は、冷凍室冷却サイクルにおける圧縮機21の回転数より低くなっている。制御部100は、遮蔽装置17を閉にし、冷蔵室ダンパ14を開にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にする。遮蔽装置17の代わりに冷凍室ダンパ13を備える場合には、冷凍室ダンパ13を閉にする。そして、制御部100は、冷蔵室7の冷却に対応した回転数でファン12を稼働する。冷蔵室冷却サイクルにおけるファン12の回転数は、冷凍室冷却サイクルにおけるファン12の回転数より低くなっている。
【0052】
このような制御により、ファン12による流動で、下側冷却流路10A内に配置された蒸発器24を通過して冷却された気体が、冷蔵室ダンパ14を通過して、上側冷却流路10Bに流入し、上側冷却流路10Bから冷蔵室7に流入する。冷蔵室7を循環した気体は、戻り流路15を介して、冷凍室6内を通ることなく、下側冷却流路10Aの下側に流入し、蒸発器24の入り側に戻る。このような気体の循環を継続することにより、冷蔵室7内の貯蔵物を冷却することができる。このとき、遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)及び冷凍室吸込ダンパ16が閉の状態なので、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に気体が流入することがない。そして、冷蔵室温度センサ32が検出した冷蔵室7の温度が、冷蔵室7の目標温度T1を下回ったときに、冷蔵室冷却サイクルを終了する。
【0053】
<圧力平衡化処理>
次に、制御部100は、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルの間に実施する圧力平衡化処理のための制御処理を行う。具体的には、
図4B及び
図5に示すように、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルよりも高い回転数で圧縮機21を稼働する。基本的には、冷凍室冷却サイクルにおける回転数と同じ回転数で稼働するが、冷蔵室冷却サイクルにおける回転数及び冷凍室冷却サイクルにおける回転数の間の回転数で、圧縮機21を稼働することもできる。
【0054】
そして、制御部100は、遮蔽装置17を閉にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にする。遮蔽装置17の代わりに冷凍室ダンパ13を備える場合には、冷凍室ダンパ13を閉にする。制御部100は、ファン12の稼働も停止する。
【0055】
冷蔵室冷却サイクルを行うとき、冷蔵室7側の圧力が高くなり、相対的に冷凍室6側の圧力が低下する。このときに冷凍室冷却サイクルを開始すると、霜取り蒸発器24から落下した液体を排出するドレン孔から高温の外気が冷凍室6内に流入したり、冷蔵室7から高温の気体が冷凍室6内に流入したりして、冷凍室6の温度が上昇する虞がある。しかし、本実施形態では、冷凍室冷却サイクルを開始する前に、ファン12を停止し、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部17(13)を閉にした圧力平衡化処理を行うことにより、冷蔵室7側の圧力と冷凍室6側の圧力とが平衡化される。これにより、冷凍室冷却サイクル時に庫外や冷蔵室7から高温の気体が冷凍室6内に流入して、冷凍室6の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。
【0056】
更に、圧力平衡化処理では、圧縮機21を稼働して蒸発器24を冷却しているので、冷却流路10内の気体や冷蔵室7側の気体が冷却される。これにより、冷蔵室7側及び冷凍室6側の圧力の平衡化が促進されるとともに、冷凍室冷却サイクルを開始するとき、十分に温度の下がった気体を冷凍室6に供給することができる。
【0057】
特に、蒸発器24が冷蔵室冷却サイクルのときよりも強く冷却されているので、冷蔵室7側及び冷凍室6側の圧力の平衡化が更に促進されるとともに、冷却流路10(下側冷却流路10A)内の気体の温度を、確実に冷凍室6の冷却に適した温度まで下げることができる。これにより、冷凍室冷却サイクルの開始時に遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)を開にしたとき、確実に冷凍室6の冷却に適した低温の気体を冷凍室6に流入させることができる。
【0058】
更に、冷蔵庫1が冷凍室吸込ダンパ16を備える場合には、冷凍室吸込ダンパ16を閉にすることにより、冷蔵室6から蒸発器24の入側に戻った気体が冷凍室6に流入するのを防ぐことができる。これにより、冷凍室7の温度が上昇するのをより効果的に抑制できる。
【0059】
<圧力平衡化処理を終了するタイミング>
圧力平衡化処理を終了するタイミングについては、以下のような制御処理が考えられる。
1つは、圧力平衡化処理を開始後、所定の時間が経過したときに圧力平衡化処理を終了することが考えられる。この所定の時間として、実証試験等により、冷蔵室7側の圧力と冷凍室6側の圧力とが平衡化されて、冷凍室冷却サイクル開始時に冷凍室6に供給される気体の温度が、冷凍室6の冷却に適した温度まで下がることが実証された時間を定めるのが好ましい。
【0060】
圧力平衡化処理を終了する制御処理として、更に、霜取センサ34が検出した蒸発器24の温度に基づいて、圧力平衡化処理を終了する制御処理も考えられる。霜取センサ34が検出した蒸発器24の温度が、所定の温度T2を下回ったときに、圧力平衡化処理を終了するように制御することができる。所定の温度T2の値としては、蒸発器24の周囲の気体が冷凍室6の冷却に十分な温度まで下がったと判断される温度を設定するのが好ましい。
【0061】
このように、圧力平衡化処理を開始した後、蒸発器24の温度が所定の温度T2より低くなったとき、つまり、冷凍室冷却サイクル開始時に冷凍室6に供給される気体の温度が冷凍室6の冷却に適した温度まで下がったと判断されるとき、圧力平衡化処理を終了して冷凍室冷却サイクルを開始する。これにより、冷凍室6の温度上昇を抑えて、効率的な冷凍室6の冷却を実現できる。
【0062】
<冷凍室冷却サイクル>
圧力平衡化処理が終了後、
図4C及び
図5に示すように、制御部100は、冷凍室冷却サイクルを実施するための制御処理を行う。具体的には、制御部100は、冷凍室6の温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働する。冷凍室冷却サイクルにおける圧縮機21の回転数は、冷蔵室冷却サイクルにおける圧縮機21の回転数より高くなっている。そして、制御部100は、遮蔽装置17を開にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を開にする。遮蔽装置17の代わりに冷凍室ダンパ13を備える場合には、冷凍室ダンパ13を開にする。そして、制御部100は、冷凍室6の冷却に対応した回転数でファン12を稼働する。冷凍室冷却サイクルにおけるファン12の回転数は、冷蔵室冷却サイクルにおけるファン12の回転数より高くなっている。
【0063】
このような制御により、ファン12による流動で、下側冷却流路10A内に配置された蒸発器24を通過して冷却された気体が、遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)を通過して、下側冷却流路10Aから冷凍室6に流入する。上記のように、圧力平衡化処理により、冷凍室冷却サイクルの開始時から、十分に冷却された気体が冷凍室6に流入する。
【0064】
冷凍室6を循環した気体は、冷凍室吸込ダンパ16を通過して、下側冷却流路10Aの下側に流入し、蒸発器24の入り側に戻る。このような気体の循環を継続することにより、冷凍室6内の貯蔵物を冷却することができる。このとき、冷蔵室ダンパ14が閉の状態なので、冷蔵室7に気体が流入することがない。そして、冷凍室温度センサ30が検出した冷凍室6の温度が、冷凍室6の目標温度T3を下回ったとき、冷凍室冷却サイクルを終了する。
【0065】
<冷却休止処理>
冷凍室冷却サイクルの終了後、
図5に示すように、制御部100は、冷却休止処理を実施する。具体的には、制御部100は、圧縮機21の稼働を停止する。そして、制御部100は、遮蔽装置17を閉にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にする。冷蔵庫1が遮蔽装置17の代わりに冷凍室ダンパ13を備える場合には、冷凍室ダンパ13を閉にする。そして、制御部100は、ファン12の稼働を停止する。
【0066】
このような制御により、全ての冷却が停止した冷却休止処理が実施される。これにより、エネルギ消費を抑えることができる。冷却が行われないので、先に冷却サイクルが終了した冷蔵室7の温度がより顕著に上昇する。よって、冷蔵室温度センサ32が検出した冷蔵室温度が、予め定められた冷蔵室冷却サイクル開始温度T4を上回ったとき、
図4A、
図5に示すような冷蔵室冷却サイクルを開始する。その後、上記のように、圧力平衡化処理、冷凍室冷却サイクルの順に実施して、再び冷却休止処理に戻る。
【0067】
(フローチャート)
図6は、冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理及び冷凍室冷却サイクルを行う制御の一例を示すフローチャートである。次に、
図6を参照しながら、上記の冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理及び冷凍室冷却サイクルを行う場合の制御フローを説明する。
【0068】
はじめに、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルを実施するための制御処理を行う。具体的には、制御部100は、圧縮機21を冷蔵室7の温度に対応した回転数で稼働し、遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)を閉にし、冷蔵室ダンパ14を開にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にし、ファン12を冷蔵室の冷却に対応した回転数で稼働する(ステップS2)。次に、冷蔵室温度センサ32で検出した冷蔵室7の温度が、冷蔵室7の目標温度T1を下回ったか否か判断する(ステップS4)。
【0069】
この判断で、もし、冷蔵室7の温度が冷蔵室7の目標温度T1以上である(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。ステップS4の判断で、もし、冷蔵室7の温度が冷蔵室7の目標温度T1を下回った(YES)と判別したときには、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルを終了し、圧力平衡化処理を開始する制御処理を行う。具体的には、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルよりも高い回転数で圧縮機21を稼働し、遮蔽装置17を閉にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にし、ファン12の稼働を停止する(ステップS6)。
【0070】
次に、霜取センサ34で検出した蒸発器24の温度が目標温度T2を下回ったか否か、または圧力平衡化処理を開始後、所定の時間が経過したか否か判断する(ステップS8)。ステップS8では、この2つの判断のうちの1つの判断を行う。この判断で、もし、蒸発器24の温度が目標温度T2以上である、または圧力平衡化処理を開始後、所定の時間が経過していない(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。ステップS8の判断で、もし、蒸発器24の温度が目標温度T2を下回った、または圧力平衡化処理を開始後、所定の時間が経過した(YES)と判別したときには、制御部100は、圧力平衡化処理を終了し、冷蔵室冷却サイクルを開始する制御処理を行う。
【0071】
具体的には、制御部100は、圧縮機21を冷凍室6の温度に対応した回転数で稼働し、遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)を開にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を開にし、ファン12を冷凍室7の冷却に対応した回転数で稼働する(ステップS10)。次に、冷凍室温度センサ30で検出した冷凍室6の温度が、冷凍室6の目標温度T3を下回ったか否か判断する(ステップS12)。
【0072】
この判断で、もし、冷凍室6の温度が冷凍室6の目標温度T3以上である(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。ステップS12の判断で、もし、冷凍室6の温度が冷凍室6の目標温度T3を下回った(YES)と判別したときには、制御部100は、冷凍室冷却サイクルを終了し、冷却休止処理を開始する(ステップS14)。
【0073】
具体的には、制御部100は、圧縮機21の稼働を停止し、遮蔽装置17(冷凍室ダンパ13)を閉にし、冷蔵室ダンパ14を閉にし、冷凍室吸込ダンパ16を閉にし、ファン12の稼働を停止する(ステップS14)。次に、冷蔵室温度センサ32で検出した冷蔵室7の温度が、冷蔵室冷却サイクル開始温度T4を上回ったか否か判断する(ステップS16)。この判断で、もし、冷蔵室7の温度が冷蔵室冷却サイクル開始温度T4以下である(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。
【0074】
ステップS16の判断で、もし、冷蔵室7の温度が冷蔵室冷却サイクル開始温度T4を上回った(YES)と判別したときには、制御部100は、ステップS2に戻り、冷蔵室冷却サイクルを実施するための制御処理を開始する。このようにして、制御部100は、冷蔵室冷却サイクル、圧力平衡化処理、冷凍室冷却サイクル、冷却停止処理の順に行う一連のサイクルを繰り返す。このような制御処理により、冷蔵室7及び冷凍室6を効率的に冷却することができる。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、庫内に配置された冷蔵室7及び冷凍室6と、圧縮機21及び蒸発器24を有する冷却回路と、庫内の気体を流動させるファン12と、蒸発器24が配置された冷却流路10と冷蔵室7との間を開閉する冷蔵室開閉部14と、冷却流路10と冷凍室6との間を開閉する冷凍室開閉部17(13)と、圧縮機21、ファン12、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部17(13)を制御する制御部100と、を備え、制御部100は、圧縮機21及びファン12を稼働し、冷蔵室開閉部14を開にすることにより、ファン12による流動で蒸発器24を通過した気体を冷却流路10から冷蔵室7に流入させて冷蔵室冷却サイクルを実施し、少なくとも冷蔵室開閉部14を閉にすることにより冷蔵室冷却サイクルを終了し、圧縮機21及びファン12を稼働し、冷凍室開閉部17(13)を開にすることにより、ファン12による流動で蒸発器24を通過した気体を冷却流路10から冷凍室6に流入させて冷凍室冷却サイクルを実施し、少なくとも冷凍室開閉部17(13)を閉にすることにより冷凍室冷却サイクルを終了し、冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行うように制御し、冷蔵室冷却サイクルが終了した後、冷凍室冷却サイクルを開始する前に、圧縮機21を稼働し、ファン12を停止し、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部17(13)を閉にした圧力平衡化処理を行うようになっている。
【0076】
開閉部17(13)、14の切り替えで冷蔵室冷却サイクル及び冷凍室冷却サイクルを交互に行う場合、冷蔵室冷却サイクルを行うとき、冷蔵室7側の圧力が高くなり、相対的に冷凍室6側の圧力が低下する。このときに冷凍室冷却サイクルを開始すると、庫外や冷蔵室7から高温の気体が冷凍室6内に流入して、冷凍室6の温度が上昇する虞がある。しかし、本実施形態では、冷凍室冷却サイクルを開始する前に、ファン12を停止し、冷蔵室開閉部14及び冷凍室開閉部17(13)を閉にした圧力平衡化処理を行うことにより、冷蔵室7側の圧力と冷凍室6側の圧力とが平衡化される。これにより、冷凍室6の圧力の相対的な低下を抑制でき、庫外や冷蔵室7から高温の気体が冷凍室6内に流入して、冷凍室6の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。
【0077】
更に、圧力平衡化処理では、圧縮機21を稼働して蒸発器24を冷却しているので、冷却流路10内の気体や冷蔵室7側の気体が冷却される。これにより、冷蔵室7側の圧力及び冷凍室6側の圧力の平衡化が促進されるとともに、冷凍室冷却サイクルを開始するとき、十分に温度の下がった気体を冷凍室6に供給することができる。これにより、1つの蒸発器24を用いて、効率的に冷蔵室7の冷却及び冷凍室6の冷却を交互に行うことができる冷蔵庫1を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態では、圧力平衡化処理のとき、制御部100が、冷蔵室冷却サイクルを行うときよりも高い回転数で圧縮機21を稼働するので、蒸発器24の温度を冷蔵室冷却サイクル実施時より低くすることができる。これにより、冷蔵室7側と冷凍室6側との圧力平衡化が更に促進され、冷凍室冷却サイクル開始時には、確実に冷凍室6の冷却に適した温度の気体を冷凍室6に供給することができる。
【0079】
更に、冷凍室6と蒸発器24の入側との間に、開のとき、冷凍室6と蒸発器24の入側との間が連通し、閉のとき、冷凍室6と蒸発器24の入側との間が遮断される冷凍室吸込開閉部16を備えることもできる。その場合、制御部100は、冷蔵室冷却サイクルのとき、冷凍室吸込開閉部16を閉にし、圧力平衡化処理のとき、冷凍室吸込開閉部16を閉にし、冷凍室冷却サイクルのとき、冷凍室吸込開閉部16を開にする。
【0080】
冷蔵室冷却サイクル及び圧力平衡化処理のとき、冷凍室吸込開閉部16が閉となるので、冷凍室6と蒸発器24の入側との間が遮断される。これにより、冷蔵室7から蒸発器24の入側に入った高温、高圧の気体が、冷凍室6に流入するのを防ぐことができる。これにより、冷凍室6の温度上昇を抑えて、より効率的に冷凍室6の冷却を行うことができる。
【0081】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0082】
1 冷蔵庫
2 筐体
3 上扉
4 下扉
6 冷凍室
7 冷蔵室
10 冷却流路
10A 下側冷却流路
10B 上側冷却流路
11A 下側仕切板
11B 上側仕切板
12 ファン
13 冷凍室ダンパ(冷凍室開閉部)
14 冷蔵室ダンパ(冷蔵室開閉部)
15 戻り流路
15A 入口
15B 出口
16 冷凍室吸込ダンパ
17 遮蔽装置(冷凍室開閉部)
17A ファンカバー
21 圧縮機
30 冷凍室温度センサ
32 冷蔵室温度センサ
34 霜取センサ
40 機械室
100 制御部