(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098323
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】タイヤ用エア供給装置及びタイヤ用エア供給方法
(51)【国際特許分類】
B60C 23/00 20060101AFI20230703BHJP
G01M 17/02 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
B60C23/00 B
G01M17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215023
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000179395
【氏名又は名称】株式会社ヤマダコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】外村 裕巳
(57)【要約】
【課題】タイヤへのエア充填時間を短縮したタイヤ用エア供給装置及びタイヤ用エア供給方法を提供する。
【解決手段】コンプレッサー2、エアタンク3、電磁弁6、第1圧力センサ8、タイヤチャック4が順次ホースにより接続され、電磁弁6は制御基板11により開閉を制御されて成り、制御基板11はまず第1圧力センサ8でタイヤ9の元圧を測定し、第一次加圧が行われ、その終了時に再度第1圧力センサ8でタイヤ9の第一次加圧後の圧力を測定し、第一次加圧後の圧力から元圧を減算して差圧を求め、差圧から、予め作成されたタイヤ判別テーブルを参照してタイヤの種類を特定することで、タイヤの容量が判明し、これと使用者が入力した目標気圧から、必要な加圧量を算出して、電磁弁の開閉時間の制御によりエアタンク3からタイヤ9に空気を送って必要量だけ加圧する。加圧終了後にエアタンク3をコンプレッサー2により所定の圧力まで再充填する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサー、エアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに前記電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、前記タイヤ接続部がタイヤと接続可能であり、前記電磁弁を制御する制御基板を備えるタイヤ用エア供給装置であって、前記第1圧力センサと前記電磁弁は、それぞれが電気的に前記制御基板と接続され、前記制御基板にはタイヤ判別テーブルが格納されており、前記タイヤ判別テーブルは複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれに、タイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、前記タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものであり、
前記制御基板は、前記タイヤを目標気圧まで加圧する動作である第二次加圧の後、他の前記タイヤへ前記タイヤ接続部を接続する間及び、前記タイヤを第一次加圧する前には、前記エアタンクを所定の気圧まで加圧動作をするように前記コンプレッサーを制御するように構成され、前記第一次加圧前に前記第一圧力センサによりタイヤの気圧が測定された値である元圧と、第一次加圧を行った後所定の時間経過時に、前記第1圧力センサより測定されるタイヤの気圧の値である判断値を取得し、該判断値から前記元圧を減算した値である差圧を算出し、該差圧を、前記タイヤ判別テーブルを参照して前記予め入力された値の範囲のいずれかに分類し、前記範囲に対応した前記タイヤの種類を示すA値を出力することで、前記タイヤの種類を1つに特定可能とする機能を有することを特徴とする、タイヤ用エア供給装置。
【請求項2】
前記制御基板は、使用者が入力する値である目標気圧と、前記判断値から、必要加圧量を算出し、加圧テーブルを参照して、前記第一次加圧により特定された前記タイヤの種類と、必要加圧量に対応した加圧時間を割り出し、前記電磁弁を開放して前記加圧時間が経過することにより、前記電磁弁が閉まるよう制御することを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用エア供給装置。
【請求項3】
前記加圧テーブルは、前記エアタンクと同一の種類のエアタンクが所定の気圧まで加圧された状態において予め実施されたタイヤへの加圧実験においてとられた、タンク減少圧力についての実測データ又は前記実測データを用いて作成された前記タンク減少圧力の近似曲線から、タイヤ加圧空気量=タンク容量×前記タンク減少圧力/大気圧との数式を用い、タイヤ加圧空気量を算出し、タイヤ加圧空気量から、タイヤ容量=前記タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ上昇圧力との式を用い、タイヤ容量を判別し、複数の前記タイヤ容量を体積の範囲で示したものを前記タイヤの種類とし、前記タイヤの種類の1つごとに、タイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との式を用いて算出された、複数の任意の時間のタイヤ上昇圧力を算出することで、必要加圧量とタイヤの種類の一つから、前記必要時間を割り出し可能に作製されることを特徴とする、請求項2に記載のタイヤ用エア供給装置。
【請求項4】
前記判断値から、タイヤの種類と120秒後のタイヤ減少圧力を関連付けたデータである現圧力減算値を差し引いた値を現圧力とし、前記目標気圧から前記現圧力を引いた値を必要加圧量とすることを特徴とする、請求項2又は3に記載のタイヤ用エア供給装置。
【請求項5】
前記制御基板には、合格判断減算値テーブルが格納されており、前記第二次加圧終了後2秒経過時にタイヤ内気圧を測定し、該タイヤ内気圧から、前記合格判断減算値テーブルを参照し、合格判断減算値を差し引いた値を目標気圧と比較してタイヤの再加圧又は放気の要否を判断する機能を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタイヤ用エア供給装置。
【請求項6】
コンプレッサー、所定の圧力まで充填されたエアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに前記電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、前記電磁弁を制御する制御基板を備え、前記制御基板にはタイヤ判別テーブルを格納されているタイヤ用エアー供給装置を用い、
前記タイヤ接続部をタイヤに接続する工程と、
前記タイヤの気圧である元圧を測定する工程と、
接続された前記タイヤを第一次加圧により所定の加圧量加圧する工程と、
前記第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、前記第1圧力センサによりタイヤ内の気圧の値である判断値を測定して、該判断値を制御基板に取得させる工程と、
複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれにタイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、前記タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものである、タイヤ判別テーブルを参照して、前記元圧から前記判断値を差し引いた差圧を算出し、該差圧を予め入力された気圧の値の範囲のいずれかに分類することで、これに対応する前記タイヤの種類の値を出力することで前記タイヤの前記種類を1つに特定する工程と、
前工程において1つに特定された前記タイヤの種類と、ユーザーの入力する気圧の値である目標気圧に応じて、必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程と、次に続けてタイヤへの充填を行う場合にエアタンクを前記目標気圧まで加圧する工程を有することを特徴とする、タイヤ用エア供給方法。
【請求項7】
前記第二次加圧をする際に、前記エアタンクからエアーを供給するために閉鎖されている前記電磁弁を開放した状態とする時間を、前記制御基板において、前記必要加圧量とタイヤの種類から加圧時間を割り出すことが可能に形成されている加圧テーブルを参照して割り出して、前記電磁弁を制御することを特徴とする、請求項6に記載のタイヤ用エア供給方法。
【請求項8】
前記必要加圧量は、前記第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、前記第1圧力センサにより測定された前記タイヤ内の気圧の値から現圧力減算値を差し引いた値を算出して現圧力とし、前記目標気圧から前記現圧力を差し引いて算出することを特徴とする、請求項6又は7に記載のタイヤ用エア供給方法。
【請求項9】
前記制御基板には合格判断減算値テーブルが格納され、該合格判断減算値テーブルは、加圧時間と特定された前記タイヤの種類を対応させた合格判断減算値で構成されているタイヤ用エア供給装置を用い、前記必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程の終了後所定の時間経過時に測定されたタイヤ内気圧から、前記合格判断減算値を差し引いた値について、目標気圧に達しているかどうかを判断し、前記タイヤ内気圧が前記目標気圧に達していない場合には再加圧をし、許容範囲を超えて過剰な場合には放気動作を行うことを特徴とする、請求項7又は8に記載のタイヤ用エア供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自動二輪車、自転車等のタイヤにエアーを補充するためのタイヤ用エア供給装置及びタイヤ用エア供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の、特に自動車、自動二輪車のタイヤ用エア供給装置は、コンプレッサーとエアタンクが工場レイアウトの観点から別々の場所に設置され、ガソリンスタンド等で用いられてきた。しかし、コンプレッサー、エアタンクからエア供給装置へ空気を供給するにあたり、これらを別々に導入し、設置すると、コンプレッサーの吐出圧力、エアタンクの容量、エアタンクからエア供給装置までの配管径、長さなどにより、エア供給装置に供給される圧縮エアが不安定となるため、余計な時間がかかっていた。また、従来はエアタンクから配管、ホース等により接続された電磁弁がチャックを介してタイヤと接続されている状態でエアを供給する場合、設定タイヤ圧との差をエアの供給により埋めることになる。このとき、タイヤ内気圧が設定タイヤ圧まで達しても、測定されるタイヤ内気圧が一定の時間待たないと完全には落ち着かず、気圧が完全に落ち着いた後の気圧の値が予測困難であった。そして、この気圧が落ち着かず予測困難な場合において、一定の時間経過後において気圧が落ち着いてきたときに、設定タイヤ圧をタイヤ内気圧が超えてしまっていた場合、減圧動作などが必要となる。そのため、設定タイヤ圧までタイヤ内気圧が達した後、測定されるタイヤ内気圧が完全に落ち着くのを待たなければならない。また追加でエアを供給しても、気圧が設定タイヤ圧とズレが生じた場合、タイヤ内のエアを放出することとなる。タイヤ内のエアを放出する量が適切でない場合もあり、その場合はまた新たに加圧をすることを繰り返す必要がある。そのため余計な時間がかかっている、という問題があった。
【0003】
たとえば特許文献1においては、タイヤ囲いの中に入れたタイヤにコンプレッサから減圧弁を介してエアを充填するエア充填装置において、前記減圧弁とタイヤとの間に手動排気弁を介装したことを特徴とするタイヤのエア充填装置が開示されている。
ただ、特許文献1に開示されるタイヤへの空気充填方法では、タイヤ内が設定圧以上の過剰空圧充填状態となってしまうことがあり、そのため設備としては、設定タイヤ圧との差圧に応じた放気時間に基づく放気をする機能を備えていることが必ず必要となってくる。これによりある程度気圧が落ち着くまでの時間や、再加圧、放気など余計な時間がかかってしまうという問題があった。
【0004】
そのため、タイヤ内に供給する空気量を割り出せないか、またタイヤ内に加圧する加圧空気量が正確に割り出せないかが検討されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、タイヤの種類を予め特定することで、タイヤの必要加圧量を算出し、必要加圧量の分だけ加圧を行うことにより、追加の加圧や減圧などが必要なく、効率のよいタイヤへのエア供給を実現することで、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明のタイヤのエア供給装置は、コンプレッサー、エアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに前記電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、前記タイヤ接続部がタイヤと接続可能であり、前記電磁弁を制御する制御基板を備えるタイヤ用エア供給装置であって、前記第1圧力センサと前記電磁弁は、それぞれが電気的に前記制御基板と接続され、前記制御基板にはタイヤ判別テーブルが格納されており、前記タイヤ判別テーブルは複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれに、タイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、前記タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものであり、前記制御基板は、前記タイヤを目標気圧まで加圧する動作である第二次加圧の後、他の前記タイヤへ前記タイヤ接続部を接続する間及び、前記タイヤを第一次加圧する前には、前記エアタンクを所定の気圧まで加圧動作をするように前記コンプレッサーを制御するように構成され、前記第一次加圧前に前記第1圧力センサによりタイヤの気圧が測定された値である元圧と、第一次加圧を行った後所定の時間経過時に、前記第1圧力センサより測定されるタイヤの気圧の値である判断値を取得し、該判断値から前記元圧を減算した値である差圧を算出し、該差圧を、前記タイヤ判別テーブルを参照して前記予め入力された値の範囲のいずれかに分類し、前記範囲に対応した前記タイヤの種類を示すA値を出力することで、前記タイヤの種類を1つに特定可能とする機能を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、前記制御基板は、使用者が入力する値である目標気圧と、前記判断値から、必要加圧量を算出し、加圧テーブルを参照して、前記第一次加圧により特定された前記タイヤの種類と、必要加圧量に対応した加圧時間を割り出し、前記電磁弁を開放して前記加圧時間が経過することにより、前記電磁弁が閉まるよう制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、前記加圧テーブルは、前記エアタンクと同一の種類のエアタンクが所定の気圧まで加圧された状態において予め実施されたタイヤへの加圧実験においてとられた、タンク減少圧力についての実測データ又は前記実測データを用いて作成された前記タンク減少圧力の近似曲線から、タイヤ加圧空気量=タンク容量×前記タンク減少圧力/大気圧との数式を用い、タイヤ加圧空気量を算出し、タイヤ加圧空気量から、タイヤ容量=前記タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ上昇圧力との式を用い、タイヤ容量を判別し、複数の前記タイヤ容量を体積の範囲で示したものを前記タイヤの種類とし、前記タイヤの種類の1つごとに、タイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との式を用いて算出された、複数の任意の時間のタイヤ上昇圧力を算出することで、必要加圧量とタイヤの種類の一つから、前記必要時間を割り出し可能に作製されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のタイヤ用エア供給装置は前記判断値から、タイヤの種類と120秒後のタイヤ減少圧力を関連付けたデータである現圧力減算値を差し引いた値を現圧力とし、前記目標気圧から前記現圧力を引いた値を必要加圧量とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のタイヤ用エア供給装置は、前記制御基板には、合格判断減算値テーブルが格納されており、前記第二次加圧終了後2秒経過時にタイヤ内気圧を測定し、該タイヤ内気圧から、前記合格判断減算値テーブルを参照し、合格判断減算値を差し引いた値を目標気圧と比較してタイヤの再加圧又は放気の要否を判断する機能を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のタイヤ用エア供給方法は、コンプレッサー、所定の圧力まで充填されたエアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに前記電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、前記電磁弁を制御する制御基板を備え、前記制御基板にはタイヤ判別テーブルを格納されているタイヤ用エアー供給装置を用い、
前記タイヤ接続部をタイヤに接続する工程と、前記タイヤの気圧である元圧を測定する工程と、接続された前記タイヤを第一次加圧により所定の加圧量加圧する工程と、前記第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、前記第1圧力センサによりタイヤ内の気圧の値である判断値を測定して、該判断値を制御基板に取得させる工程と、複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれにタイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、前記タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものである、タイヤ判別テーブルを参照して、前記元圧から前記判断値を差し引いた差圧を算出し、該差圧を予め入力された気圧の値の範囲のいずれかに分類することで、これに対応する前記タイヤの種類の値を出力することで前記タイヤの前記種類を1つに特定する工程と、前工程において1つに特定された前記タイヤの種類と、ユーザーの入力する気圧の値である目標気圧に応じて、必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程と、次に続けてタイヤへの充填を行う場合にエアタンクを前記目標気圧まで加圧する工程を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のタイヤ用エア供給方法は、前記第二次加圧をする際に、前記エアタンクからエアーを供給するために閉鎖されている前記電磁弁を開放した状態とする時間を、前記制御基板において、前記必要加圧量とタイヤの種類から加圧時間を割り出すことが可能に形成されている加圧テーブルを参照して割り出して、前記電磁弁を制御することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明のタイヤ用エア供給方法は、前記必要加圧量は、前記第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、前記第1圧力センサにより測定された前記タイヤ内の気圧の値から現圧力減算値を差し引いた値を算出して現圧力とし、前記目標気圧から前記現圧力を差し引いて算出することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のタイヤ用エア供給方法は、前記制御基板には合格判断減算値テーブルが格納され、該合格判断減算値テーブルは、加圧時間と特定された前記タイヤの種類を対応させた合格判断減算値で構成されているタイヤ用エア供給装置を用い、前記必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程の終了後所定の時間経過時に測定されたタイヤ内気圧から、合格判断減算値を差し引いた値について、目標気圧に達しているかどうかを判断し、前記タイヤ内気圧が前記目標気圧に達していない場合には再加圧をし、許容範囲を超えて過剰な場合には放気動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、コンプレッサー、エアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、タイヤ接続部がタイヤと接続可能であり、電磁弁を制御する制御基板を備えるタイヤ用エア供給装置であって、第1圧力センサと電磁弁は、それぞれが電気的に制御基板と接続され、制御基板にはタイヤ判別テーブルが格納されており、タイヤ判別テーブルは複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれに、タイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものであり、制御基板は、タイヤを目標気圧まで加圧する動作である第二次加圧の後、他のタイヤへタイヤ接続部を接続する間及び、タイヤを第一次加圧する前には、エアタンクを所定の気圧まで加圧動作をするようにコンプレッサーを制御するように構成され、第一次加圧前に第1圧力センサによりタイヤの気圧が測定された値である元圧と、第一次加圧を行った後所定の時間経過時に、第1圧力センサより測定されるタイヤの気圧の値である判断値を取得し、判断値から元圧を減算した値である差圧を算出し、差圧を、タイヤ判別テーブルを参照して予め入力された値の範囲のいずれかに分類し、範囲に対応したタイヤの種類を示すA値を出力することで、タイヤの種類を1つに特定可能とする機能を有することを特徴とするので、追加の加圧などが必要なく、効率のよいタイヤへのエア供給を実現し、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明においては、制御基板は、使用者が入力する値である目標気圧と、判断値から、必要加圧量を算出し、加圧テーブルを参照して、第一次加圧により特定されたタイヤの種類と、必要加圧量に対応した加圧時間を割り出し、電磁弁を開放して加圧時間が経過することにより、電磁弁が閉まるよう制御することを特徴とするので、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明においては、加圧テーブルは、エアタンクと同一の種類のエアタンクが所定の気圧まで加圧された状態において予め実施されたタイヤへの加圧実験においてとられた、タンク減少圧力についての実測データ又は実測データを用いて作成されたタンク減少圧力の近似曲線から、タイヤ加圧空気量=タンク容量×タンク減少圧力/大気圧との数式を用い、タイヤ加圧空気量を算出し、タイヤ加圧空気量から、タイヤ容量=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ上昇圧力との式を用い、タイヤ容量を判別し、複数のタイヤ容量を体積の範囲で示したものをタイヤの種類とし、タイヤの種類の1つごとに、タイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との式を用いて算出された、複数の任意の時間のタイヤ上昇圧力を算出することで、必要加圧量とタイヤの種類の一つから、必要時間を割り出し可能に作製されることを特徴とするので、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0019】
また、本発明のタイヤ用エア供給装置は、判断値から、タイヤの種類と120秒後のタイヤ減少圧力を関連付けたデータである現圧力減算値を差し引いた値を現圧力とし、目標気圧から現圧力を引いた値を必要加圧量とすることを特徴とするので、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明のタイヤ用エア供給装置は、制御基板には、合格判断減算値テーブルが格納されており、第二次加圧終了後2秒経過時にタイヤ内気圧を測定し、タイヤ内気圧から、合格判断減算値テーブルを参照し、合格判断減算値を差し引いた値を目標気圧と比較してタイヤの再加圧又は放気の要否を判断する機能を有することを特徴とするので、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明における、タイヤ用エア供給方法は、コンプレッサー、所定の圧力まで充填されたエアタンク、電磁弁、タイヤ接続部がホースにより順次接続され、さらに電磁弁とタイヤ接続部の間には第1圧力センサが設けられ、電磁弁を制御する制御基板を備え、制御基板にはタイヤ判別テーブルを格納されているタイヤ用エアー供給装置を用い、タイヤ接続部をタイヤに接続する工程と、タイヤの気圧である元圧を測定する工程と、接続されたタイヤを第一次加圧により所定の加圧量加圧する工程と、第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、第1圧力センサによりタイヤ内の気圧の値である判断値を測定して、判断値を制御基板に取得させる工程と、複数の予め入力された気圧の値の範囲のそれぞれにタイヤの種類を1つずつ対応させたデータであり、タイヤの種類は容量の大小を基準としてタイヤを分類したものである、タイヤ判別テーブルを参照して、元圧から判断値を差し引いた差圧を算出し、差圧を予め入力された気圧の値の範囲のいずれかに分類することで、これに対応するタイヤの種類の値を出力することでタイヤの種類を1つに特定する工程と、前工程において1つに特定されたタイヤの種類と、ユーザーの入力する気圧の値である目標気圧に応じて、必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程と、次に続けてタイヤへの充填を行う場合にエアタンクを目標気圧まで加圧する工程を有することを特徴とするので、より正確に加圧を行うことができ、追加の加圧などが必要なく、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0022】
さらに、本発明のタイヤ用エア供給方法は、第二次加圧をする際に、エアタンクからエアーを供給するために閉鎖されている電磁弁を開放した状態とする時間を、制御基板において、必要加圧量とタイヤの種類から加圧時間を割り出すことが可能に形成されている加圧テーブルを参照して割り出して、電磁弁を制御することを特徴とするので、より正確に加圧を行うことができ、追加の加圧などが必要なく、より短時間で加圧を完了することのできるタイヤのエア供給装置を提供することができる。
【0023】
さらに、本発明のタイヤ用エア供給方法は、必要加圧量は、第一次加圧による加圧の終了から所定時間経過後に、第1圧力センサにより測定されたタイヤ内の気圧の値から現圧力減算値を差し引いた値を算出して現圧力とし、目標気圧から現圧力を差し引いて算出することを特徴とするので、追加の加圧などが必要なく、より短時間で加圧を完了するタイヤ用エア供給方法とすることができる。
【0024】
更に、本発明のタイヤ用エア供給方法は制御基板には合格判断減算値テーブルが格納され、合格判断減算値テーブルは、加圧時間と特定されたタイヤの種類を対応させた合格判断減算値で構成されているタイヤ用エア供給装置を用い、必要加圧量を決定し第二次加圧をする工程の終了後所定の時間経過時に測定されたタイヤ内気圧から、合格判断減算値を差し引いた値について、目標気圧に達しているかどうかを判断し、タイヤ内気圧が目標気圧に達していない場合には再加圧をし、許容範囲を超えて過剰な場合には放気動作を行うことを特徴とするので、より正確に加圧をすることができ、効率のよいタイヤへのエア供給を実現し、より短時間で加圧を完了するタイヤ用エア供給方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係るタイヤ用エア供給装置1の概略が示された構成図である。
【
図2】本実施形態に係るタイヤ用エア供給装置1の制御基板11と各部が電気的に接続され制御されていることを示した構成図である。
【
図3】本発明のタイヤ用エア供給方法の工程をStep1~Step5に分けて示したチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。まず、本実施形態に係るタイヤ用エア供給装置1について説明する。
図1は、タイヤ用エア供給装置1の構成の概略を示した構成図である。
図2は、タイヤ用エア供給装置1の制御を担う制御基板11と各部位が電気的に接続されているようすを示した概略の構成図である。
図3は、本発明のタイヤ用エア供給方法の工程をStep1~Step5に分けて示した図である。
【0027】
まず
図1を示しながら本発明に係るタイヤ用エア供給装置1について詳述する。
図1に示すタイヤ用エア供給装置1は、順にコンプレッサー2、エアタンク3、電磁弁6、第1圧力センサ8、タイヤ接続部としてタイヤチャック4が、圧縮空気を供給するためのホースにより接続されている。まずコンプレッサー2は圧縮空気を供給する供給源であり、圧縮空気を供給する。エアタンク3は圧縮空気をためておく場所である。制御基板11によりコンプレッサー2を制御し、コンプレッサー2から圧縮空気をエアタンク3に供給し、エアタンク3の内部の気圧が所定の気圧に達した後、エアタンク3からタイヤ9に圧縮空気を供給する。その際、電磁弁を開閉することでタイヤ9への圧縮空気の供給量をコントロールする。エアタンク3はタイヤ9への第二次加圧終了後所定の気圧までエアを再充填され、タイヤ9への第一次加圧開始時には常に所定の気圧になるように制御基板11によりコントロールされている。
【0028】
充填毎に所定の気圧までエアタンク3が再充填がなされることで、エアタンク3が供給する空気の圧力は、供給し始める際の圧力が常に一定となる。そのため、後述するが、第一次加圧によりタイヤの種類を判別すること、第一次加圧によりどのタイヤの種類でも同じ程度の空気量が減少することとなり、第二次加圧を秒数により制御可能とすることや、現圧力減算値、合格判断減算値を近似曲線により表し、利用することが可能となっている。
【0029】
第1圧力センサ8は圧縮空気の気圧を測定可能であり、電磁弁6が閉状態になっている際はタイヤチャック4に流出しているタイヤ9内の気圧の値を取得可能である。電磁弁6と第1圧力センサ8とタイヤチャック4はホースで連結されているため、エアタンク3の圧縮空気が、電磁弁6が開状態の場合、タイヤチャック4を通過し、タイヤ9へと供給されることとなる。なお、タイヤチャック4はタイヤ接続部として設けられており、タイヤの給気口に接続するための道具である。タイヤ接続部として、タイヤの給気口に接続するための道具としては、他の公知のものを用いても構わない。また、エアタンク3は第2圧力センサ7とも接続されているが、これはホースによる接続でなくともよく、直接エアタンクに取り付ける構成でも構わない。
【0030】
次に
図2を示しつつ制御基板11と、制御基板11に電気的に接続されている第1圧力センサ8、第2圧力センサ7、電磁弁6、コンプレッサー2の構成について詳述する。制御基板11は、電磁弁6とも電気的に接続され、電磁弁6の開閉についても制御可能である。まず、制御基板11は、第1圧力センサ8と電気的に接続されている。第1圧力センサ8は
図1に示すようにタイヤチャック4とホースを介して接続している。そのため、電磁弁6が閉状態の場合、タイヤ9の内部の気圧を測定可能であるが、ここで測定されたタイヤ9の気圧の値について、制御基板11に出力されるように構成される。制御基板11は、タイヤ9の気圧の値を、タイヤ判別テーブルを参照してタイヤ判別テーブルの気圧の値の範囲のどの分類に、測定されたタイヤ9の気圧の値が属するかを分類することで、測定中のタイヤの種類を1つに特定可能である。また、第2圧力センサ7はエアタンク内の気圧を測定し、その値を制御基板11に出力可能であり、制御基板11はこの値をもとに、コンプレッサー2を制御する。
図2に示すように、制御基板11はコンプレッサー2とも電気的に接続され、コンプレッサー2の動作も制御可能に構成されている。
【0031】
次に、タイヤ用エア供給装置1をどのように用いてタイヤ9に適切に給気するかにつき詳述していく。タイヤ用エア供給装置1を用いてタイヤ9に適切に空気を給気するには、必要加圧量が判明することが必要である。必要加圧量が分からず、従来のようにタイヤ9内の気圧を測定しながら充填を行った場合、気圧が上がりすぎて測定されてしまう問題が出てしまう。例えば、目標とする気圧に到達したため、電磁弁を閉とすることで充填を中止しても、気圧が上昇を続け、その後気圧が急激に下がる。そして、気圧が急激に下がった後、所定の時間経過後にその急激な低下が明確に緩やかとなる。これを本開示では気圧が落ち着くと表現する。そして、所定の時間経過時から起算して120秒経過後、気圧の減少が下げどまる現象が起こる。これを本開示では、気圧が完全に落ち着くと表現する。従来の充填方法では、気圧が完全に落ち着くまで時間がかかるため、気圧がある程度落ち着くのを待ってから再充填をしなければタイヤ9内の気圧を目標とする気圧に達させることができなかった。また、気圧が完全に落ち着くのを見越してエアーを多く充填したとしても、目標とする気圧以上になってしまう場合があり、タイヤから空気を放出する工程が必要となる場合がある。この充填と放出を繰り返してしまう場合もあるため、再充填は複数回必要になる場合がある。このような状況が生じることから、従来エアーの充填に時間がかかっていた。
【0032】
本開示の構成では、第一次加圧を行ったタイヤ判別テーブルを用いて、タイヤの種類を判別することで、再充填がなくとも、完全に気圧が落ち着いた後のタイヤ内気圧をちょうど目標気圧とすることができる。これを実現するため、本開示では、タイヤの種類が判明すれば必要加圧量が割り出し可能であることを利用して、その必要加圧量のみを加圧する。
【0033】
次に、本開示のタイヤ用エア供給装置の工程順序について
図3を示しながら詳述する。
まず、予めエアタンク3は制御基板11の制御で、コンプレッサー2により所定の圧力にされる。また、使用者は車のドア等に記載されるタイヤ内気圧の適正値である、設定タイヤ圧をパネル等を用いて入力させておく。入力された情報は制御基板11に出力される。その後、タイヤ9にタイヤチャック4を接続し、タイヤ圧力測定を行う(Step1)。Step1では、
図1を参照しながら説明すると、まず、電磁弁6が閉状態になるよう制御される。その後タイヤ9にタイヤチャック4が接続される。そうするとエアーがタイヤチャック4を通り、ホースを介して電磁弁6までがタイヤ内の空気圧と同等の空気圧となる。これを、タイヤチャック4と電磁弁6の間に設けられた第1圧力センサ8により測定し、測定された圧力Xを、第1圧力センサ8から
図2に示される制御基板11へ出力する。タイヤ圧力測定(Step1)ではこの一連の工程を行う。
【0034】
次に、
図3に示されるように、第一次加圧が行われる(Step2)。第一次加圧の工程では、まず第一次加圧動作を行う。第一次加圧とは、タイヤの種類の判別のために短い時間である一定時間加圧するものである。本実施形態の一例においては、0.2秒加圧を行うが、これに限定されるものではない。
【0035】
第一次加圧後、詳細については後述するが、再びタイヤ圧力測定を行う(Step3)。第一次加圧終了から所定の時間経過した後、タイヤの圧力を、Step1の際と同じ方法で測定し、圧力Yの値を得る。本実施形態の一例においては、所定の時間は2秒である。
【0036】
次にタイヤ判別を行う(Step4)。制御基板12において、Step3で測定された第一次加圧後のタイヤ圧力である判断値から、第一次加圧が行われる前にStep1において測定された第一次加圧前のタイヤ圧力である元圧を減算する。そうすると、差圧P9が算出される。差圧P9を、表9のタイヤ判別テーブルを参照して、各タイヤの種類に割り当てられた値であるA値を出力する。
【0037】
次に第2次加圧を行う(Step5)。第2次加圧の工程において、タイヤの容積が判明するので、使用者が入力するタイヤ内気圧の適正値である目標気圧と、タイヤの種類が既に判明しているため、第一次加圧後の判断値から現圧力減算値を差し引いた、タイヤの現圧力と、目標気圧の差を算出することで、必要となるタイヤ上昇圧力である必要加圧量が判明する。この必要加圧量から加圧時間は、後述するように加圧テーブルにより割り出せるので、加圧時間、つまり電磁弁6の開放時間を制御することにより、必要な量の分の加圧時間だけ加圧を行う。
【0038】
第2次加圧の工程が終了することで、タイヤのエアー充填の工程は終了する。ただ、万が一タイヤにエアを充填中にチャックを外してしまうなどにより、タイヤに充填不足や過充填が見られたなどの場合、適宜加減圧の工程を追加することができる。
【0039】
本開示においてタイヤの種類とは、タイヤ内の空気の内容量である体積の大小で分類したものを指す。例えば、タイヤの容量が大きい場合、タイヤの容量が中程度の場合、タイヤの容量が少ない場合と分ける等である。タイヤの種類は、体積の上限下限を決めて一定の範囲に収まるタイヤとするように構成される。一定の範囲のうち、容量の差が多少みられても同じタイヤの種類とすることができる。つまり、タイヤの種類の1つの中に、容量の異なる複数のタイヤの製品があっても良い。タイヤの種類の数は適宜設計される。しかしタイヤの容量が判明したとしても、必要な気圧については、自動車メーカーの車種別タイヤサイズ別にそれぞれて異なっている。例えば、スポーツタイプの車体のタイヤは通常より高い気圧を要する等の場合も考えられる。そのため、目標気圧である、設定タイヤ圧の設定はユーザーが車体に記載されている数値を読み取り、使用者がパネル等を用いて本装置に入力することで行う。
【0040】
目標気圧が判明しても、タイヤの容量がどの程度か、言い換えればタイヤの種類を特定しなければ必要加圧量はわからない。必要加圧量を算出するため、タイヤの種類の特定の方法が必要となる。タイヤの種類の特定の方法は、まず、第一次加圧後所定の時間経過時のタイヤ圧力から、第一次加圧前に測定されたタイヤの元圧を減算することで差圧を算出する。そして、差圧と、タイヤ判別テーブルとを照らし合わせて、差圧がタイヤ判別テーブルのどの分類に属するかを判定し、行う。
【0041】
第一次加圧とは、タイヤの種類を1つに特定するために行う加圧である。本実施形態の一例としては0.2秒加圧し、その後2秒経過した際にタイヤの圧力を測定する。つまり、第一次加圧による一定時間の加圧の後、所定の時間経過後にタイヤの圧力の値を測定し、判断値とする。加圧時間は一定時間であれば何秒でも構わない。ただ、10リットル以下のエアタンク3であれば、第一次加圧の秒数は1秒以下が好ましい。第一次加圧の秒数が1秒以下であれば、タイヤ9に対し、第一次加圧でエアを充填しすぎることはなくなるためである。
第一次加圧において0.2秒加圧した場合に、加圧終了時から経過する所定の時間として、1.8秒経過時あたりから気圧が落ち着き、1.8秒以降はそれ以前に比べて明らかに安定している状態となる。この所定の時間は、第一次加圧の一定時間の長さに応じて適宜決定される。この実験結果を、表1~4に示す。
【0042】
【0043】
表1~4はタイヤの種類の大小と21.1リットルの容量のタイヤ、38.5リットルの容量のタイヤ、73.3リットルの容量のタイヤの3種類のグラフを示しているが、いずれも第一次加圧終了時から所定の時間経過後に気圧が落ち着いている。これを数値化したものを表5に示す。
【0044】
【0045】
この気圧の落ち着き時は、表5に示されるように、21.1リットル、38.5リットル、73.3リットル等、タイヤの種類の容量の順番と、気圧のグラフの上から数えた並び方が同じとなり、順番が一定であり入れ替わらない現象が発生する。この現象を利用し、タイヤの種類1つずつについて、予め第一次加圧終了後所定の時間経過した時点において、タイヤの圧力の測定を行い、測定結果の圧力値付近を、幅を持たせて設定し、これを気圧の値の範囲とする。そして、タイヤの気圧の範囲をタイヤの種類ごとに設定してタイヤ判別テーブルを作成する。
【0046】
表1、2,3は、エアタンク3から、電磁弁6をそれぞれ0.5秒、1秒、1.5秒開放
した際の縦軸を変化圧力、横軸を時間(ミリセカンド、msで表記)で表したグラフである。
また、表1,表2、表3共に、21.1リットルのタイヤの種類のタイヤ、タイヤの種類が38.5リットルの容量のタイヤ、タイヤの種類が容量73.3リットルのタイヤにタイヤの種類を分けた場合のグラフである。第一次加圧とは、この表1、2,3の、0.5秒~1.5秒加圧した場合のことを指す。但し、これは例示であり、秒数は適宜設定できる。
【0047】
この表1~5からいえるのは、すべての種類のタイヤが第一次加圧後も急激に気圧が上昇し、1.8秒後以降気圧が落ち着き、気圧の減少が緩やかになるということである。この1.8秒後の各タイヤのグラフの落ち着き部分において、各タイヤのグラフの縦方向に差が生じている。ただ、タイヤの製品によっては、給気口の個体差等により、気圧が落ち着くのに2.5秒かかるものもあるため、国内のほとんどの自動車タイヤに対応したタイヤ用エア供給装置とするためには、2.5秒以上であることが好ましい。表4は初期条件がエアタンク3の内部気圧が800キロパスカル(kPa)の場合で、0.2秒間、電磁弁6を開放した場合に、表1~4と同様、縦軸をタイヤの内部の変化圧力とし、横軸を時間(ミリセカンド、msで表記)とした場合のグラフを示したものである。なお、本実施形態ではタンク内の所定の気圧は800キロパスカルであるが、これに限るものではなく、タイヤに加圧しうる気圧であれば好適に用いることができる。表4の測定点の円で囲われた印の部分を拡大したグラフを次に表6として示す。
【0048】
【0049】
表6を参照しながら各タイヤのグラフの縦方向に差が生じていることについて更に説明する。表6を見ると、1600ms以降、グラフの縦方向で比較して、タイヤの種類が21.1リットルの内容量のタイヤのグラフが一番上に、タイヤの種類が38.5リットルのタイヤのグラフが次に、タイヤの種類が73.3リットルのタイヤのグラフが一番下に位置している。そして0.2秒間の第一次加圧の終了時から起算した横軸において、1900ms以降、この差は安定的にはっきり表れている。この第一次加圧終了時から起算して1700ms以降において各タイヤの種類の測定気圧の値に差が生じており、この気圧の値の差を利用してタイヤの判別を行う。具体的には、第一次加圧を0.2秒間電磁弁6を開放し、その後電磁弁6を閉状態とすることによりタイヤに対して加圧を行い、0.2秒の第一次加圧の終了時から起算して1700ms、より好ましくは誤差等も考慮して1900ms以降にタイヤ内の気圧の値の測定を行い、この値が表5、表6のグラフの各タイヤの種類のどのタイヤのグラフに近い範囲となるかによって、タイヤの種類を特定する。
【0050】
ただ、タイヤの容量は様々であるため、単に表5,表6のグラフの各タイヤの種類のどのタイヤのグラフが示す値に近いかという判定では応用ができない。そのため、開発者らは鋭意研究の結果、第一次加圧におけるタンクの圧力の減少分が3つの種類のタイヤでほぼ一定の値となることを見出した。これを表7に示す。
【0051】
【0052】
これは第一次加圧によるタイヤへの加圧された空気量がほぼ一定であることを意味する。従って、タイヤの容量に応じてタイヤの気圧の上昇量が決まることが予想される。
【0053】
そしてさらに、エアタンク3が所定の圧力であることが同一条件である場合に、3つの種類のタイヤの差圧は、第一次加圧の前と後で、タイヤの差圧もタイヤの容量によって異なる気圧となることを見出した。これを表8に示す。
【0054】
【0055】
この差圧が、タイヤの容量が同じである場合、上昇するタイヤ内の気圧である差圧は、タイヤの元圧に関わらず、一定の値上昇することも見出した。そして、この3種類のタイヤの異なる差圧を、予め定められた気圧の値の範囲としてテーブル化した。
【0056】
所定の時間経過以降の、例えば1900ms経過時のタイヤの気圧の値から、第一次加圧前のそのタイヤの元圧を減じた差圧について、その周辺の値を、あらかじめ定められた気圧の値の範囲として、タイヤ判別テーブルを構成する。本発明は、エアタンク3を所定の圧力にしておくことで、エアタンク3からの加圧によりタイヤ9に加圧される空気量をほぼ同一にして、これにより一定の差圧を導き出すものである。
【0057】
このため、タイヤ判別テーブルは、タイヤの種類のグラフから安全のためさらにマージンを100msとり、2000msに測定点を設定した場合に、測定点における気圧の値を取得して、これから元圧を減じて差圧を算出する。ただし、安定動作の必要などから、マージンをさらにとり、2500ms~3500msに測定点を設定することが最も好適であるが、1900ms~10000ms程度まで測定点をずらしても好適に用いることができる。
【0058】
この、差圧を表8の3種類のタイヤのそれぞれの差圧のうち、第一次加圧から所定の時間経過後、本実施形態の一例おいては、2000msでの値で、どの種類のタイヤの差圧に近いかを判別することで、タイヤを判別するものである。どの差圧に近いか判別するために、差圧付近の値の範囲を予め入力された気圧の値の範囲として、テーブル化した。38種類のタイヤの例であるが、表9にこれを示す。
【0059】
【0060】
具体的には、気圧の値の範囲を表9のようなテーブルを作成し、判別する。表9の場合は38分類されているが、3分類の場合でも38分類の場合でも作成方法は同じである。タイヤの第一次加圧前の元圧は測定されている。そして、第一次加圧時から2000ms経過時のタイヤ内圧力は判断値として測定される。そして、元圧と判断値の差圧について、第一次加圧によるタイヤ上昇圧力ということができる。この差圧が判明することで、どのタイヤの種類かを判別する。具体的には、後述する表12の上側の近似曲線から算出する。表12の上側の近似曲線は、判断値を縦軸にとり、横軸にタイヤ容量をとったものである。この近似曲線により、3種類のタイヤで実測値を計測したものを利用し、他のタイヤについても、その判断値を算出できる。そして、タイヤの種類を判別するために、タイヤ容量の下限、上限を任意に設定し、タイヤ容量を表12の近似曲線であるY=198.78x^―0.936の、Xに代入し、Yにあたる差圧を算出する。タイヤ容量の下限、上限についてそれぞれ差圧を算出するため、差圧の範囲の下限、上限が算出されることになる。タイヤの上限容量、下限容量を定め、これを気圧の値の範囲として設定する。そして判断値から元圧を引いた値がどの気圧の値の範囲にあたるかで、A値を判断する。つまり、タイヤ判別テーブルは、それぞれの気圧の値の範囲のデータに、1つのタイヤの種類、つまりA値を対応させて予め作成されたものとなる。
【0061】
次に、タイヤ判別テーブルの作成方法について詳述していく。タイヤ判別テーブルを用いるには、まずタイヤの容量を算出しなければならない。タイヤ容量=タンク容量×タンク減少圧力/タイヤ上昇圧力により求まることを数式1に示す。
【0062】
【0063】
タイヤ上昇圧力は、予め測定された実測値を用いてこれを数式1に代入し、タンク減少圧力は測定し、タンク容量は判明しているため、この数式1によりタイヤ容量を確定することができる。そして、このタイヤ容量を確定したタイヤのうち、定められた気圧の値の範囲内の数種類をまとめてタイヤの種類の1つとすることができる。
【0064】
次に、タイヤ判別テーブルについてさらに詳述していく。タイヤ判別テーブルは、タイヤの種類を判別するために、気圧の値の範囲を複数設定し、それぞれの気圧の値の範囲にタイヤの種類をそれぞれ対応させて設定するテーブルである。この気圧の値の範囲は、予め入力された値の範囲として、タイヤ判別テーブルを構成し、タイヤ判別テーブルは制御基板11に予め格納される。
【0065】
タイヤ判別テーブルについて表9を示しさらに説明する。タイヤ判別テーブルは表9の内容で構成される。差圧P9が予め入力された気圧の値の範囲である、15.1キロパスカルより大きく、15.8キロパスカル以下である場合、どのタイヤの種類かを示すA値、つまりタイヤサイズ判別値Aが1と判定される。A値が1であれば、目標気圧に達するのに必要なタイヤ上昇圧力の量、つまり目標気圧と現圧力の差であるタイヤ充填必要量に応じて、タイヤの種類であるA値1の列を参照して電磁弁6の開放時間を制御基板11が制御することにより、加圧する。この開放時間をA値に応じてテーブル化した加圧テーブルの本実施形態における例を表10に示す。
【0066】
【0067】
例えばタイヤ充填必要量P5が予め入力された気圧の値の範囲である、0キロパスカルより大きく5キロパスカル以下であれば、0.1秒加圧する。他の場合も同様である。タイヤ充填必要量P5は、第一次加圧後に測定されたタイヤの圧力から、現圧力原算値を減算してその時点でのタイヤの現圧力を求め、目標圧力からタイヤの現圧力を差し引いて求めることができる。
【0068】
現圧力減算値について詳述する。表1~3を参照して説明すると、加圧終了時を0として、2経過秒前後でタイヤ圧力が急激に落ち着くように変化しているが、更に2秒から120秒経過頃まで緩やかにタイヤ圧力は下がっていきそこで下げ止まる。この120秒経過後のタイヤ内の気圧をタイヤの現圧力とみなす。この2秒経過後から120秒経過後までのタイヤ圧力の減少分をタイヤの種類ごとに予め実験として測定し、数値化したものが現圧力減算値である。A値に応じた現圧力減算値をテーブル化した本実施形態の現圧力減算値テーブルの例を表11に示す。
【0069】
【0070】
この現圧力減算値を、第一次加圧後所定の時間経過時の測定されたタイヤ圧力の値から減算することで、本発明は加圧終了後早いタイミングで正確なタイヤの現在の気圧である現圧力を算出でき、従って正確な空気の補充すべき量を算出可能に構成されている。現圧力減算値は、タイヤ容量と落ち込み圧力を軸にとった実測値から導かれる近似曲線により導くことができ、これを表11のようにテーブル化することで、本発明において好適に用いることができる。第一次加圧の秒数を0.2秒として、タイヤ容量と落ち込み圧力を軸にとった実測値から導かれる近似曲線につき表12に示す。
【0071】
【0072】
表12の下側の近似曲線は、は3つの実測値から近似曲線を作成したもので、この近似曲線により、任意のタイヤ容量につき現圧力減算値を計算することができ、表11の現圧力減算値のテーブルを作成することができる。なお、現圧力減算値テーブルを作成するにあたり、A値のふられているタイヤの種類1つごとに、タイヤ容量の上限と下限を設定し、それぞれの現圧力減算値を表12の近似曲線であるY=42,715x^-0,847を使って算出する。この場合、Yは現圧力減算値、xはタイヤ容量となる。
【0073】
また、第二次加圧終了時についても同じ現象が生じる。つまり、加圧終了時を0として、2経過秒前後でタイヤ圧力が急激に落ち着くように変化する。更に2秒から120秒経過頃まで緩やかにタイヤ圧力は下がっていきそこで下げ止まる現象が生じる。この2秒経過後から120秒経過後までのタイヤの圧力の減少分をタイヤの種類ごとに予め実験として測定し、測定値から近似曲線を作成し、これを数値化したものが合格判断減算値である。
【0074】
この合格判断減算値を数値化するために測定値から近似曲線を作成した過程を詳述する。まず、軽自動車のタイヤ(タイヤ容量21.1リットル)、普通自動車のタイヤ(タイヤ容量38.5リットル)RV車のタイヤ(タイヤ容量73.3リットル)に第二次加圧をした場合の落ち込み圧力を実測し、近似曲線を作成する。これを表13に示す。
【0075】
【0076】
次に、表13に示された近似曲線の関数を用いて、落ち込み圧力、つまり横に合格判断減算値をとり、縦に加圧秒数をとった表を作成した。これの一部を表14に示す。
【0077】
【0078】
表14は0.10s、0.20s、0.40sとの部分について実測し近似曲線を形成してデータを抽出している。表14はタイヤの種類が36種類の場合に作成されたものの一部である。そして、表14のデータから、例えば加圧秒数0.3sの場合の落ち込み圧力を求めるために、さらに近似曲線を形成する。表14の縦列であるA値が1の列、2の列、3の列とならんでいるが、この列ごとに、採用値(タイヤ容量の上限と下限の合格判断減算値の平均値)を、縦に落ち込み圧力、横に加圧秒数をとり、グラフ化する。このA値が1の場合を表15に示す。
【0079】
【0080】
表15においては、1つの近似曲線が引かれているが、この近似曲線は、うまく実測値を拾えていない。また、表15の点線で囲まれた部分が、A値が1の場合に加圧テーブルにおいて使用される加圧秒数であり、本実施形態に係るタイヤ用エア供給装置1の場合、これ以降は不要データとなる。そこで、近似曲線を2つ使用し、加圧テーブルに使用する加圧秒数に実測データを限ってグラフを作成した。これを表16に示す。
【0081】
【0082】
表16の上下のグラフは、それぞれ加圧秒数が1秒までのものと、加圧秒数が1秒以上のものでグラフが分かれている。そして、それぞれにおいて近似曲線が形成されており、この近似曲線は表15の場合よりもうまく実測値を拾うことができている。このため、近似曲線が1つの場合には実測値が離れているものがある場合であっても、近似曲線を2つ使う事で、誤差の少ないデータを作成することができることとなる。
【0083】
この表16の近似曲線から、合格判断減算値を算出し、合格判断減算値テーブルとしてテーブル化する。合格判断減算値テーブルは、A値と表10に記載の必要加圧量とを対応させて、第二次加圧終了から所定の時間、本実施形態においては2秒経過後から起算して、120秒後に、A値に応じた合格判断減算値をテーブル化したものである。これを表17に示す。
【0084】
【0085】
表17は、横にタイヤサイズの判別値Aを、縦に合格判断減算値P12として、示している。P5とは必要加圧量を指す。必要加圧量とは、言い換えると、第二次加圧においてタイヤに充填したい空気量、つまり、第二次加圧開始前と、第二次加圧終了時の120秒後に完全に気圧が落ち着いた際の気圧との差を示したものである。タイヤに充填した空気量P5が例えば0kPa<P5≦5kPaの場合、合格判断減算値P12は4.0kPaである。つまり、第二次加圧終了時から数えて120秒後に完全に気圧が落ち着いた際のタイヤ内の気圧が、第二次加圧終了後所定の時間経過時よりも4.0kPa低下する、ということを示している。本実施形態においては、所定の時間は2秒であるが、この第二次加圧終了後の所定の時間は2秒以上の時間であればよい。このようにテーブル化することで、合格判断減算値を本発明において好適に用いることができる。
また、本実施形態の一例においては、必要加圧量P5を範囲で定めて、例えば0kPa<P5≦5kPa、加圧テーブルである表10を参照すると、0.1秒加圧することとなっている。この加圧時間が0.1秒のとき、合格判断減算値は、表17を参照すると、4.0kPaということになる。つまり加圧時間が定まると、これに対応して、合格判断減算値も定まることになる。
【0086】
まず、第二次加圧終了時に、第1圧力センサによりタイヤ内気圧が測定される。そして、その第二次加圧終了時のタイヤの気圧の値を、適正なものかどうか判断する値が合格判断減算値である。第二次加圧終了時のタイヤの気圧の値から合格判断減算値を差し引いた値が、目標とするタイヤ内の気圧から一定の範囲を超えて離れている場合、タイヤの再加圧又はタイヤ内の気圧を放気することで減圧をする動作をするように構成されている。
合格判断減算値を用いて加圧終了後早いタイミングで適正な気圧と判断された場合、本発明のタイヤ用エア供給装置の加圧動作は終了となる。
【0087】
次に、第二次加圧について詳述する。第二次加圧は、タイヤを目標気圧まで加圧する動作である。目標気圧は本発明のタイヤ用エア供給装置1の使用者が、車のドア等に記載のある値をタイヤ用エア供給装置1に、既知の、たとえば操作パネル等の入力手段を用いて入力することによって、制御基板11がその目標気圧の値を得る。また、第一次加圧終了時から起算して所定の時間経過以降において測定されたタイヤ内の測定気圧である判断値から、現圧力減算値差し引いた値が、現圧力として算出される。そして、目標気圧の値から、現圧力の値を差し引いたものが、必要加圧量(P5)である。制御基板11によって、この、目標圧力-(判断値-現圧力減算値)=必要加圧量(P5)との演算を行うことで、正確な量の気圧分加圧することができる。そして、このタイヤに充填する必要空気量P5を正確な量の分加圧することで、本発明のタイヤ用エア供給装置1は第二次加圧終了後に再加圧動作及び減圧動作をする可能性を低く抑えることができ、タイヤへのエアの充填にかかる時間をおおむね少なく抑えることができることとなっている。
【0088】
このタイヤに充填するタイヤ充填必要量P5を正確な量入れるためには、加圧する空気の量を正確に制御しなければならない。このため、本発明のタイヤ用エア供給装置1では、加圧時間、つまり電磁弁6の開放時間を制御することによりタイヤ加圧空気量を制御する。
【0089】
本発明の発明者らは鋭意研究の結果、電磁弁6を開放する前のエアタンク3の気圧が一定である場合、エアタンク3からタイヤに対してエアが流出するときの、タンク減少圧力と、時間の関係を示したグラフから近似曲線を作製できることを見出した。そして、予め、実験により、表を作製した。これを表18に示す。
【0090】
【0091】
そして、この近似曲線から、任意の時間に、本実施形態でいえば0.1秒ごとに、タンク減少圧力を割り出す。そして、判明したタンク減少圧力から、タイヤ加圧空気量=タンク容量×タンク減少圧力/大気圧の数式を用い、タイヤ加圧空気量を算出する。
以下に、ボイルの法則の公式からタイヤ加圧空気量=タンク容量×タンク減少圧力/大気圧が導かれることを数式2として示す。
【0092】
【0093】
次に、任意の時間ごとに算出されたタイヤ加圧空気量から、タイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との数式で、加圧時間が任意の時間ごとのタイヤ上昇圧力の値を算出できることを、数式3に示す。
【0094】
【0095】
タイヤ加圧空気量は、エアタンク3から放出された空気量と同じである。上記のタイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との数式を用い、タイヤ内の気圧の上昇量を縦軸にとり、加圧秒数を横軸にとったグラフを作製した。エアタンク3は第一次加圧前に所定の気圧に加圧される。このため、エアタンク3は第一次加圧時、及び第二次加圧時の直前において常に一定の気圧であることになるが、このエアタンク3の容量が5リットルである場合の例を表19に示す。
【0096】
【0097】
ただ、この近似曲線1つで表すと実測値とズレる場合が出てくる。そのため、各タイヤ加圧時のタンク減少圧力の近似曲線と実測値の両方を使用すると好適である。A値が1~13である場合、第二次加圧の加圧秒数が0~2秒までのときは、軽自動車(タイヤ容量21.1リットル)時タンク減少圧力データ(実測値)を用い、加圧秒数が2秒以降の場合は、軽自動車時(タイヤ容量21.1リットル)タンク減少圧力近似曲線を用いるとよい。数式としてはY=-0.8972X^2+36.276X+29.014となる。本実施形態の他の一例として、エアタンク3の所定の気圧が800キロパスカルであり、エアタンク3の容量が7.5リットルである場合のこの近似曲線を作製したものを、表20に示す。
【0098】
【0099】
次に、A値が14~27の場合、第二次加圧の加圧秒数が0~2秒までは、普通自動車時(タイヤ容量38.5リットル)タンク減少圧力データ(実測値)を用い、加圧秒数が2秒以上の場合においては、普通自動車時タンク減少圧力近似曲線Y=-0.6518X^2+32.802X+28.831を用いる。本実施形態の他の一例として、エアタンク3の所定の気圧が800キロパスカルであり、エアタンク3の容量が7.5リットルである場合のこの近似曲線を作製したものを、表21に示す。
【0100】
【0101】
次に、A値が28~38の場合、第二次加圧の加圧秒数が0~2秒までのときには、RV車時(タイヤ容量73.3リットル)タンク減少圧力近似曲線を用いた。具体的には、Y= -0.9333X^2+40.8X+21.633となる。加圧秒数が2秒以上の場合、RV車時タンク減少圧力近似曲線Y= -0.7248X^2+35.913X+34.472を用いる。本実施形態の他の一例として、エアタンク3の所定の気圧が800キロパスカルであり、エアタンク3の容量が7.5リットルである場合のこれらの近似曲線を作製したものを、表22に示す。
【0102】
【0103】
次に、任意の時間のタイヤへ加圧するときのタンク減少圧力が判明したので、数式3で示されたタイヤ上昇圧力=タイヤ加圧空気量×大気圧/タイヤ容量との数式に、数式1で示されたタイヤ加圧空気量=タンク容量×タンク減少圧力/大気圧との数式を代入すると次のようになる。つまり、タイヤ上昇圧力=タンク容量×タンク減少圧力/大気圧×大気圧/タイヤ容量との数式となるので、これを整理すると、タイヤ上昇圧力=タンク容量×タンク減少圧力/タイヤ容量という数式となる。タンク容量を7.5リットルのものを使用した場合、タンク減少圧力は、既に述べた、軽自動車の場合は実測値か表20の軽自動車時タンク減少圧力近似曲線による値、普通自動車の場合は、実測値か表21に示される普通自動車時タンク減少圧力近似曲線、RV車の場合は、表22のRV車時タンク減少圧力近似曲線か、RV車時タンク減少圧力近似曲線を2秒経過前か2秒経過後かで使い分けて用いて求める。このようにすることで、タンク減少圧力が求まり、タンク容量、タイヤ容量は既に判明しているので、タイヤ上昇圧力=タンク容量×タンク減少圧力/タイヤ容量の式によりタイヤ上昇圧力が求まることとなる。このため、任意のタイヤ容量で、加圧秒数別にタイヤ充填圧力の正確な上昇圧力値を割り出しすることができることとなる。
【0104】
本発明のタイヤ用エア供給装置1では、タイヤに充填するのに必要な上昇圧力の値である必要空気量P5を正確に割り出せる。従って、正確なタイヤ加圧空気量を供給するように電磁弁6を制御してタイヤ9にエアーを供給することが可能となる。また、本発明では、タイヤ9が目標圧力に到達するまでに必要なタイヤ上昇圧力の値を、加圧時間に対応させて正確に求めることができる。必要なタイヤ上昇圧力が算出された際に、必要なタイヤ上昇圧力を充足する加圧秒数を、タイヤの種類ごとにテーブル化した加圧テーブルの一部を、表23、表24に示す。
【0105】
【0106】
表23,表24は、必要加圧量P5を5kPaごとに区切り単純化した値としたものを加圧量として、加圧量を充填するには加圧時間が何秒であるかを参照することができる、加圧テーブルとなっている。また、この加圧テーブルでは、タイヤの種類をグループ化し、例えばタイヤの内容量が15,0リットルのタイヤから、15.69リットルのタイヤは、A値であるテーブルナンバーを、1として、同種のタイヤとしてまとめてテーブル化している。
【0107】
この加圧テーブルも制御基板11にデータが格納されており、制御基板11は加圧テーブルを参照して加圧時間を割り出す。つまり、まず、制御基板11に入力された、第一次加圧終了後のタイヤ内の気圧である判断値から、制御基板11に格納されている対応する現圧力減算値を差し引いて現圧力を制御基板11において算出する。そして、目標気圧から現圧力を差し引くことで、必要加圧量P5を算出する。次に既に制御基板11に入力されている、第一次加圧後に判明しているタイヤの種類のA値と、必要加圧量P5に対応した部分について、制御基板11に格納されている加圧テーブルを参照する。そうして加圧時間を割り出し、割り出された加圧時間だけ電磁弁6を開放する。
エアタンク3の第一次加圧前の気圧は本発明の加圧方法では任意に設定できるが、第一次加圧によりタイヤを判別するなどのため、いったん設定された後は、タイヤの第一次加圧の動作前においては、一定に保たれている。そして、第一次加圧におけるタイヤ加圧空気量、つまりエアタンク3から放出される空気量は、タイヤの種類にかかわらず、ほとんど同じ量である。そのため、第一次加圧をする工程を経ることでも、第二次加圧前においては、エアタンク3内の気圧は、加圧するタイヤの種類にかかわらずほぼ一定となる。従って、正確な加圧量をタイヤ9に加圧することが可能となり、再加圧又は減圧動作をする可能性の低いタイヤ用エア供給装置1を提供することができることとなっている。
【0108】
また、本発明のタイヤ用エア供給装置1は、使用者が入力する目標気圧が、おおむね160kPa~300kPaであり、タイヤの容量が15.0リットル~81.28リットルのタイヤにおいて、より好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
【実施例0109】
次に、タイヤ用エア供給装置1において、実際に行われた本発明の実施例の条件の一例を示す。実施例では、本開示のような構成、すなわちコンプレッサー2、エアタンク3、電磁弁6、圧力センサ8、タイヤチャック4を備え、それらがホースを介して接続し、更に制御基板11は電磁弁6を制御可能であり、STEP1~5のような方法で各部位が制御されるなどの特徴を備えていた。
【0110】
比較例1では、М社製の製品を使用した。構成としては、制御基板、減圧弁、電磁弁2個、圧力センサ2個を備えていた。
【0111】
比較例2では、О社製の製品を使用した。また、比較例2では、充填に関して必要加圧量を求めるなどの方法はとらずに、タイヤ圧力をまず測定し、足りない分を加圧し、加圧しすぎたらタイヤから減圧動作を行うといった方法をとっていた。構成としては、制御基板、複数一体型の電磁弁、圧力センサを備えていた。
【0112】
実施例と比較例で、タイヤ9を1つ分加圧する加圧試験を行った。そして、エアーの充填完了までの時間を以下の条件で計測した。
・コンプレッサー作動準備時間除外(70秒)
・コンプレッサー コベルコ製 VS695ADIII-37 始動0.82MPa 停止0.86MPa
・タンク SMC製 AT75C-20DF 容量1立方メートル
・タンクから実験室 配管20m
【0113】
実施例及び比較例の試験結果を表25に示す。
【0114】
【0115】
表25を参照しながら説明すると、実施例では、コンプレッサーの準備動作を除き、充填開始から充填完了までの時間が6.7秒であった。比較例では、11.4秒~12.3秒かかっていた。実施例のほうが比較例に比して。2倍程度早かった。(表10参照)通常自動車であれば4つタイヤが存するので4つ充填すれば差は更に広がると思われる。
【0116】
本開示は、四輪自動車のタイヤの空気を充填する他、二輪自動車等のタイヤに空気を充填する目的で、好適に用いることができる。しかしこれに限られず、タイヤを有する車両において、そのタイヤの空気の充填に広く用いることができる。