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特開2023-98329太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098329
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20230703BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215031
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小田 幸樹
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151EA19
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA06
5F251EA19
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251JA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池モジュールの劣化を生じ難くする。
【解決手段】太陽電池モジュールは、第1保護部材1と、第2保護部材2と、複数の太陽電池セル31を含む発電部3と、第1保護部材と発電部との間にある第1封止材41と、第2保護部材と発電部との間にある第2封止材42と、第3封止材43とを有する。複数の第1紐状配線部321で電気的に接続されている第1方向に並んだ2つ以上の太陽電池セルのうちの第1方向の端の第1太陽電池セルに電気的に接続された複数の第2紐状配線部322は、第1太陽電池セルよりも第1方向の領域まで延びている。連結配線部で連結された複数の第2紐状配線部は、第1太陽電池セルと連結配線部との間に架設された複数の架設部分を含む。第3封止材のメルトマスフローレイトは、第1封止材のメルトマスフローレイトよりも小さい。第3封止材の軟化温度は、第1封止材の軟化温度以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および該第1面とは逆の第2面を有する板状または膜状の透光性を有する第1保護部材と、
前記第2面に対向している第3面および該第3面とは逆の第4面を有する板状または膜状の第2保護部材と、
前記第1保護部材と前記第2保護部材との間隙において前記第2面に沿って位置している複数の太陽電池セルを含む発電部と、
少なくとも前記第2面と前記発電部との間に位置し、前記発電部を前記第1保護部材側から封止している第1封止材と、
少なくとも前記第3面と前記発電部との間に位置し、前記発電部を前記第2保護部材側から封止している第2封止材と、
第3封止材と、を備え、
前記複数の太陽電池セルは、前記第2面に沿った第1方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル、を含み、
該2つ以上の太陽電池セルは、前記2つ以上の太陽電池セルのうちの前記第1方向の端に位置している第1太陽電池セル、を含み、
前記発電部は、前記2つ以上の太陽電池セルと、該2つ以上の太陽電池セルを電気的に接続している複数本の第1紐状配線部と、前記第1太陽電池セルに電気的に接続しており且つ前記間隙のうちの前記第1太陽電池セルよりも前記第1方向に位置している領域まで延びている複数本の第2紐状配線部と、を含む太陽電池ストリングと、前記複数本の第2紐状配線部を連結している連結配線部と、を含み、
前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルと前記連結配線部との間に架設された複数の架設部分を含み、
前記第3封止材は、前記複数の架設部分のうちの1つ以上の架設部分と前記第1封止材との間に位置しており、
前記第3封止材のメルトマスフローレイトは、前記第1封止材のメルトマスフローレイトよりも小さく、
前記第3封止材の軟化温度は、前記第1封止材の軟化温度以上である、太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記1つ以上の架設部分は、前記複数の架設部分のうちの2つ以上の架設部分を含む、太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記1つ以上の架設部分は、前記複数の架設部分を含む、太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記1つ以上の架設部分は、前記第3封止材と前記第2封止材との間において、前記複数の太陽電池セルよりも前記第1保護部材に接近している接近領域を含む、太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記複数本の第1紐状配線部および前記複数本の第2紐状配線部のそれぞれの断面形状は、多角形状または円形状を含む、太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第3封止材および前記1つ以上の架設部分を、前記第1面に垂直な方向に平面視した場合に、前記第3封止材の短手方向の長さが、前記1つ以上の架設部分のそれぞれの線幅よりも大きい、太陽電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第3封止材、前記1つ以上の架設部分および前記連結配線部を、前記第1面に垂直な方向に平面視した場合に、前記第3封止材が、少なくとも、前記第1方向において、前記1つ以上の架設部分の中央部から前記連結配線部の中央部まで重畳している、太陽電池モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記第2封止材のメルトマスフローレイトは、前記第1封止材のメルトマスフローレイトよりも小さい、太陽電池モジュール。
【請求項9】
(a)板状または膜状の透光性を有する第1保護部材と、シート状の第1樹脂材と、シート状の第2樹脂材と、複数の太陽電池セルを含む発電部と、シート状の第3樹脂材と、板状または膜状の第2保護部材と、を積層させた積層体を生成する工程と、
(b)前記積層体に対してラミネート処理を施して、太陽電池パネルを生成する工程と、を有し、
前記複数の太陽電池セルは、第1方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル、を含み、
該2つ以上の太陽電池セルは、前記2つ以上の太陽電池セルのうちの前記第1方向の端に位置している第1太陽電池セル、を含み、
前記発電部は、前記2つ以上の太陽電池セルと、該2つ以上の太陽電池セルを電気的に接続している複数本の第1紐状配線部と、前記第1太陽電池セルに電気的に接続しており且つ前記第1太陽電池セルよりも前記第1方向に位置している領域まで延びている複数本の第2紐状配線部と、を含む太陽電池ストリングと、前記複数本の第2紐状配線部を連結している連結配線部と、を含み、
前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルと前記連結配線部との間に架設された複数の架設部分を含み、
前記工程(a)において、前記第1樹脂材と前記複数の架設部分のうちの1つ以上の架設部分との間に前記第2樹脂材を配置し、
前記工程(b)において、前記第1樹脂材、前記第2樹脂材および前記第3樹脂材のそれぞれの軟化温度を超える温度まで前記積層体を加熱している際に、前記第2樹脂材のメルトマスフローレイトは、前記第1樹脂材のメルトマスフローレイトよりも小さい、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記工程(a)において、前記第2樹脂材の軟化温度は、前記第1樹脂材の軟化温度以上である、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記1つ以上の架設部分は、前記複数の架設部分のうちの2つ以上の架設部分を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記1つ以上の架設部分は、前記複数の架設部分を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記複数本の第1紐状配線部および前記複数本の第2紐状配線部のそれぞれの断面形状は、多角形状または円形状を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項14】
請求項9から請求項13の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記工程(a)において、前記第2樹脂材および前記1つ以上の架設部分を平面視した場合に、前記第2樹脂材の短手方向の長さが、前記1つ以上の架設部分のそれぞれの線幅よりも大きい、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項15】
請求項9から請求項14の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記工程(a)において、前記第2樹脂材を、少なくとも、前記第1方向において、前記1つ以上の架設部分の中央部から前記連結配線部の中央部まで重なるように配置する、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項9から請求項15の何れか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記工程(b)において、前記第1樹脂材、前記第2樹脂材および前記第3樹脂材のそれぞれの前記軟化温度を超える温度まで前記積層体を加熱している際に、前記第3樹脂材のメルトマスフローレイトは、前記第1樹脂材のメルトマスフローレイトよりも小さい、太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、受光面側の保護部材と裏面側の保護部材との間において、配線材で電気的に接続された複数の太陽電池セルが、受光面側および裏面側のそれぞれから充填材で封止された構造を有する(例えば、特許文献1の記載を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6226294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池モジュールについては、劣化を生じ難くする点で改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法が開示される。
【0006】
太陽電池モジュールの一態様は、板状または膜状の透光性を有する第1保護部材と、板状または膜状の第2保護部材と、発電部と、第1封止材と、第2封止材と、第3封止材と、を備えている。前記第1保護部材は、第1面および該第1面とは逆の第2面を有する。前記第2保護部材は、前記第2面に対向している第3面および該第3面とは逆の第4面を有する。前記発電部は、前記第1保護部材と前記第2保護部材との間隙において前記第2面に沿って位置している複数の太陽電池セルを含む。前記第1封止材は、少なくとも前記第2面と前記発電部との間に位置し、前記発電部を前記第1保護部材側から封止している。前記第2封止材は、少なくとも前記第3面と前記発電部との間に位置し、前記発電部を前記第2保護部材側から封止している。前記複数の太陽電池セルは、前記第2面に沿った第1方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル、を含む。該2つ以上の太陽電池セルは、前記2つ以上の太陽電池セルのうちの前記第1方向の端に位置している第1太陽電池セル、を含む。前記発電部は、前記2つ以上の太陽電池セルと複数本の第1紐状配線部と複数本の第2紐状配線部とを含む太陽電池ストリングと、連結配線部と、を含む。前記複数本の第1紐状配線部は、前記2つ以上の太陽電池セルを電気的に接続している。前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルに電気的に接続しており且つ前記間隙のうちの前記第1太陽電池セルよりも前記第1方向に位置している領域まで延びている。前記連結配線部は、前記複数本の第2紐状配線部を連結している。前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルと前記連結配線部との間に架設された複数の架設部分を含む。前記第3封止材は、前記複数の架設部分のうちの1つ以上の架設部分と前記第1封止材との間に位置している。前記第3封止材のメルトマスフローレイトは、前記第1封止材のメルトマスフローレイトよりも小さい。前記第3封止材の軟化温度は、前記第1封止材の軟化温度以上である。
【0007】
太陽電池モジュールの製造方法の一態様は、(a)板状または膜状の透光性を有する第1保護部材と、シート状の第1樹脂材と、シート状の第2樹脂材と、複数の太陽電池セルを含む発電部と、シート状の第3樹脂材と、板状または膜状の第2保護部材と、を積層させた積層体を生成する工程と、(b)前記積層体に対してラミネート処理を施して、太陽電池パネルを生成する工程と、を有する。前記複数の太陽電池セルは、第1方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル、を含む。該2つ以上の太陽電池セルは、前記2つ以上の太陽電池セルのうちの前記第1方向の端に位置している第1太陽電池セル、を含む。前記発電部は、前記2つ以上の太陽電池セルと複数本の第1紐状配線部と複数本の第2紐状配線部とを含む太陽電池ストリングと、連結配線部と、を含む。前記複数本の第1紐状配線部は、前記2つ以上の太陽電池セルを電気的に接続している。前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルに電気的に接続しており且つ前記第1太陽電池セルよりも前記第1方向に位置している領域まで延びている。前記連結配線部は、前記複数本の第2紐状配線部を連結している。前記複数本の第2紐状配線部は、前記第1太陽電池セルと前記連結配線部との間に架設された複数の架設部分を含む。前記工程(a)において、前記第1樹脂材と前記複数の架設部分のうちの1つ以上の架設部分との間に前記第2樹脂材を配置する。前記工程(b)において、前記第1樹脂材、前記第2樹脂材および前記第3樹脂材のそれぞれの軟化温度を超える温度まで前記積層体を加熱している際に、前記第2樹脂材のメルトマスフローレイトは、前記第1樹脂材のメルトマスフローレイトよりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
例えば、太陽電池モジュールの劣化が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの外観の一例を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る太陽電池パネルの外観の一例を示す平面図である。
図3図3は、図2の太陽電池パネルのIII-III線に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。
図4図4は、第1太陽電池セルの前面側の構造の一例を示す平面図である。
図5図5は、第1太陽電池セルの裏面側の構造の一例を示す平面図である。
図6図6は、第2太陽電池セルの前面側の構造の一例を示す平面図である。
図7図7は、第2太陽電池セルの裏面側の構造の一例を示す平面図である。
図8図8は、第3太陽電池セルの前面側の構造の一例を示す平面図である。
図9図9は、第3太陽電池セルの裏面側の構造の一例を示す平面図である。
図10図10は、図3のX部を示す拡大図である。
図11図11は、図3のXI部を示す拡大図である。
図12図12は、第1実施形態に係る太陽電池パネルの製造方法の流れの一例を示す流れ図である。
図13図13は、第1実施形態に係る太陽電池パネルの製造における積層工程前の状態の一例を模式的に示す断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る太陽電池パネルの製造における積層工程後の状態の一例を模式的に示す断面図である。
図15図15は、図14のXV部を示す拡大図である。
図16図16は、図14のXVI部を示す拡大図である。
図17図17は、太陽電池モジュールの製造途中の積層工程における第1保護部材と第1樹脂材と第2樹脂材と発電部との積層関係の一例を示す図である。
図18図18は、第1変形例に係る太陽電池パネルの外観の一例を示す平面図である。
図19図19は、第1変形例に係る太陽電池パネルの製造途中の積層工程における第1保護部材と第1樹脂材と第2樹脂材と発電部との積層関係の一例を示す図である。
図20図20は、第2変形例に係る太陽電池パネルの外観の一例を示す平面図である。
図21図21は、第2変形例に係る太陽電池パネルの製造途中の積層工程における第1保護部材と第1樹脂材と第2樹脂材と発電部との積層関係の一例を示す図である。
図22図22は、第3変形例に係る太陽電池パネルにおける図3のX部に対応する部分を示す拡大図である。
図23図23は、第4変形例に係る太陽電池パネルの外観の一例を示す平面図である。
図24図24は、第4変形例に係る太陽電池パネルにおける図3のX部に対応する部分を示す拡大図である。
図25図25は、第4変形例に係る太陽電池パネルの製造途中の積層工程における第1保護部材と第1樹脂材と第2樹脂材と発電部との積層関係の一例を示す図である。
図26図26は、第4変形例に係る太陽電池パネルの製造における積層工程後の状態の一例のうちの図14のXV部に対応する部分を示す拡大図である。
図27図27は、第4変形例に係る太陽電池パネルにおける図3のXI部に対応する部分を示す拡大図である。
図28図28は、第4変形例に係る太陽電池パネルの製造における積層工程後の状態の一例のうちの図14のXVI部に対応する部分を示す拡大図である。
図29図29は、第1から第3紐状配線部の第1例の断面を示す断面図である。
図30図30は、第1から第3紐状配線部の第2例の断面を示す断面図である。
図31図31は、第1から第3紐状配線部の第3例の断面を示す断面図である。
図32図32は、第1から第3紐状配線部の第4例の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
太陽電池モジュールは、受光面側の保護部材と裏面側の保護部材との間において、複数の太陽電池セルが配線材で電気的に接続された発電部が、受光面側および裏面側のそれぞれから充填材で封止された構造を有する。
【0011】
この太陽電池モジュールは、例えば、受光面側の保護部材と、シート状の樹脂材と、複数の太陽電池セルが電気的に接続された発電部と、シート状の樹脂材と、裏面側の保護部材とが積層された積層体を、ラミネート処理によって一体化することで製造され得る。ラミネート処理では、積層体に加熱、加圧および真空脱気が施される。
【0012】
ところで、太陽電池モジュールでは、例えば、発電性能を向上させるために、複数の太陽電池セルの間を接続している配線材における本数の増加および細線化が進んでいる。細線化された配線材は、例えば、直径が0.3ミリメートル(mm)程度の円形断面を有する紐状の形状を有する。
【0013】
しかしながら、配線材の細線化により、ラミネート処理の際に、例えば、溶融状態の樹脂中において移動しようとする配線材が溶融状態の樹脂から受ける抵抗が小さくなる。これにより、溶融状態の樹脂中において配線材が比較的長い距離を移動する場合がある。特に、例えば、発電部の外周部では、配線材で接続された2つ以上の太陽電池セルをそれぞれ含む太陽電池ストリングから延び出ている配線材において、太陽電池セルに固定された箇所から離れている部分が移動し易くなる。その結果、例えば、受光面側の保護部材と配線材との間において、受光面側の充填材が薄い部分が生じ得る。
【0014】
このような受光面側の充填材が薄い部分では、例えば、雨水または湿気などで表面上に水膜が生じた受光面側の保護部材と発電部との間で生じる高電界、ならびに表面側の保護部材からのナトリウムイオンなどのイオンの拡散に晒されることで、絶縁劣化が生じ易い。そして、例えば、受光面側の保護部材から受光面側の充填材が剥がれ易くなり、充填材による封止性能が低下し、太陽電池セルが浸水によって劣化を生じ易くなる。
【0015】
このため、太陽電池モジュールについては、劣化を生じ難くする点で改善の余地がある。
【0016】
そこで、本開示の発明者は、太陽電池モジュールの劣化を生じ難くすることができる技術を創出した。
【0017】
これについて、以下、各種実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1から図11および図13から図32には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、太陽電池ストリング3sにおいて2つ以上の太陽電池セル31が並んでいる方向が+Y方向とされ、複数の太陽電池ストリング3sが並んでいる方向が+X方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交する方向が+Z方向とされている。
【0018】
<1.第1実施形態>
<1-1.太陽電池モジュールの構成>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100について、図1から図11を参照しつつ説明する。
【0019】
図1で示されるように、太陽電池モジュール100は、例えば、太陽電池パネル101と、フレーム102とを備えている。太陽電池パネル101は、例えば、平板状の形状を有する。フレーム102は、例えば、太陽電池パネル101の外周部に沿って位置している。これにより、フレーム102は、例えば、太陽電池パネル101の外周部を保護することができる。ここで、太陽電池パネル101の外周部とフレーム102との間にブチル系の樹脂などの透湿度が低い樹脂材が充填されていてもよい。フレーム102の材料には、例えば、アルミニウムもしくはアルミニウム合金などが適用される。太陽電池モジュール100は、例えば、フレーム102を備えていなくてもよい。この場合には、例えば、太陽電池モジュール100は、少なくとも太陽電池パネル101を備えている。
【0020】
図1から図3で示されるように、太陽電池パネル101は、主に光が入射する受光面(前面ともいう)F1と、この前面F1の逆側の面(裏面ともいう)F2と、を有する。第1実施形態では、前面F1が、+Z方向を向いている。裏面F2が、-Z方向を向いている。太陽電池モジュール100を使用する際には、+Z方向は、例えば、南中している太陽に向く方向に設定される。図1から図3の例では、前面F1が、長方形状の形状を有する。太陽電池モジュール100は、例えば、端子ボックス(不図示)を備えていてもよい。端子ボックスは、例えば、太陽電池パネル101の裏面F2上などに位置し、太陽電池パネル101における発電で得られた電気を外部に出力することができる。
【0021】
図2および図3で示されるように、太陽電池パネル101は、例えば、第1保護部材1と、第2保護部材2と、発電部3と、封止材4とを備えている。ここでは、例えば、第1保護部材1と第2保護部材2とが発電部3を挟むように位置している。第1保護部材1は、例えば、太陽電池パネル101の前面F1を構成している。第2保護部材2は、例えば、太陽電池パネル101の裏面F2を構成している。
【0022】
<<第1保護部材>>
第1保護部材1は、太陽電池パネル101の前面F1側から発電部3を保護する部材である。第1保護部材1は、透光性を有する。この第1保護部材1は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。この特定範囲の波長は、例えば、発電部3が光電変換し得る光の波長を含む。これにより、例えば、前面F1に照射される光が、第1保護部材1を発電部3に向けて透過し得る。例えば、特定範囲の波長に、太陽光を構成する照射強度の高い光の波長が含まれていれば、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上し得る。第1保護部材1の材料には、例えば、ガラスなどが適用される。第1保護部材1は、第1面1fおよび第2面1sを有する。第2面1sは、第1面1fとは逆の面である。第1実施形態では、第1面1fは、太陽電池パネル101の前面F1を構成している。図1から図3の例では、第1面1fが+Z方向を向いており、第2面1sが-Z方向を向いている。
【0023】
第1保護部材1は、例えば、板状の形状を有する。具体的には、第1保護部材1には、例えば、平板状のガラス板が適用される。この場合には、第1面1fは、平坦な板面(第1板面ともいう)である。第2面1sは、第1板面とは逆向きの平坦な板面(第2板面ともいう)である。第1保護部材1は、第1面1fと第2面1sとを接続している外周面を有する。第1保護部材1の厚さは、例えば、1mmから5mm程度に設定される。図2の例では、前面F1側から平面視した場合に、第1保護部材1の外形は長方形状である。換言すれば、第1面1fおよび第2面1sのそれぞれの形状は、長方形状である。上記構成を有する第1保護部材1は、例えば、高い剛性と低い透湿度とによって発電部3を前面F1側から保護することができる。
【0024】
<<第2保護部材>>
第2保護部材2は、太陽電池パネル101の裏面F2側から発電部3を保護する部材である。第2保護部材2は、第1保護部材1と同様に透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。第2保護部材2は、第3面2tおよび第4面2fを有する。第3面2tは、第1保護部材1の第2面1sに対向している。第4面2fは、第3面2tとは逆の面である。第2実施形態では、第4面2fは、太陽電池パネル101の裏面F2を構成している。図1から図3の例では、第3面2tが+Z方向を向いており、第4面2fが-Z方向を向いている。この場合には、第3面2tは、+Z方向において第2面1sに対向している。
【0025】
第2保護部材2は、例えば、膜状(フィルム状ともいう)の形状を有する。第2保護部材2には、例えば、柔軟性を有するシート状の部材が適用される。第2保護部材2の厚さは、例えば、0.3mmから0.5mm程度とされる。図3の例では、第2保護部材2は、発電部3および封止材4を、太陽電池パネル101の裏面F2側および外周部側から包み込むように位置している。そして、例えば、第2保護部材2の外周部が、第1保護部材1の第2面1sの外周部へ接近し、後述の第1封止材41および第2封止材42を介して被着するように位置している。シート状の部材の材料には、例えば、ポリプロピレン、ポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1種あるいは2種以上の樹脂などが適用される。図1および図2の例では、前面F1側から平面透視した場合に、第2保護部材2の外形は長方形状である。換言すれば、第3面2tおよび第4面2fのそれぞれの形状は、長方形状である。上記構成を有する第2保護部材2は、例えば、耐水性および遮水性によって発電部3を裏面F2側から保護することができる。
【0026】
<<発電部>>
発電部3は、第1保護部材1と第2保護部材2との間隙101gに位置している。発電部3は、例えば、複数の太陽電池セル31と、複数の配線部32とを含む。
【0027】
複数の太陽電池セル31は、間隙101gにおいて第1保護部材1の第2面1sに沿って位置している。複数の太陽電池セル31は、例えば、第1保護部材1の第2面1sに沿った第1方向としての-Y方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル31を含む。第1実施形態では、複数の太陽電池セル31は、2次元的に並んでいる。図1から図3の例では、複数の太陽電池セル31は、XY平面に平行な仮想的な平面(仮想平面ともいう)に沿って平面的に配列された状態で位置している。複数の太陽電池セル31は、第2面1sに沿った第1方向に交差する第2方向としての+X方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル31を含む。より具体的には、例えば、複数の太陽電池セル31は、M個(Mは2以上の自然数)の太陽電池セル31をそれぞれ含むN列(Nは2以上の自然数)の太陽電池セル31を含む。換言すれば、複数の太陽電池セル31は、M行N列のマトリックス状に並んでいる。図1から図3の例では、Mは3であり、Nは6である。
【0028】
複数の太陽電池セル31のそれぞれは、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0029】
図4から図9で示されるように、複数の太陽電池セル31のそれぞれは、表(おもて)面側に位置している面(第1素子面ともいう)F3と、この第1素子面F3の逆側の面(第2素子面ともいう)F4と、を有する。図4から図9の例では、第1素子面F3が、+Z方向を向いており、第2素子面F4が、-Z方向を向いている。この場合には、例えば、第1素子面F3が主として光が入射される面(受光面とも前面ともいう)としての役割を果たし、第2素子面F4が主としては光が入射されない面(裏面ともいう)としての役割を果たす。
【0030】
第1実施形態では、図4から図9で示されるように、複数の太陽電池セル31のそれぞれは、半導体基板31aと、第1出力取出電極31bと、第1集電電極31cと、第2出力取出電極31dと、第2集電電極31eとを有する。
【0031】
半導体基板31aには、例えば、結晶シリコンなどの結晶系半導体、アモルファスシリコンなどの非晶質系の半導体、あるいは銅とインジウムとガリウムとセレンの4種類の元素またはカドミウムとテルルの2種類の元素などを用いた化合物半導体が適用される。ここで、半導体基板31aに結晶シリコンが適用される場合には、半導体基板31aは、主として第1導電型を有する領域(第1導電型領域ともいう)と、第1導電型とは逆の第2導電型を有する領域(第2導電型領域ともいう)とを有する。第1導電型領域は、例えば、半導体基板31aの第2素子面F4側に位置している。第2導電型領域は、例えば、半導体基板31aの第1素子面F3側の表層部に位置している。ここで、例えば、第1導電型がp型である場合には、第2導電型がn型となる。例えば、第1導電型がn型である場合には、第2導電型がp型となる。これにより、半導体基板31aは、第1導電型領域と第2導電型領域との界面に位置しているpn接合部を有する。
【0032】
第1出力取出電極31bおよび第1集電電極31cは、例えば、半導体基板31aのうちの第1素子面F3側の面上に位置している。第1出力取出電極31bには、例えば、バスバー電極が適用される。第1集電電極31cには、例えば、フィンガー電極が適用される。図4図6および図8の例では、第1素子面F3側に、略平行な6本の第1出力取出電極31bが位置し、略平行な多数本の第1集電電極31cが、6本の第1出力取出電極31bに略直交するように位置している。第1出力取出電極31bは、第1方向としての-Y方向に沿った長手方向を有する細長い形状を有する。第1集電電極31cは、第2方向としての+X方向に沿った長手方向を有する細長い形状を有する。太陽電池セル31における第1出力取出電極31bの本数は、例えば、6本から12本のうちの任意の本数であってもよい。半導体基板31aの第2導電型領域の上のうち、第1出力取出電極31bおよび第1集電電極31cが形成されていない領域には、例えば、窒化珪素などで構成された反射防止膜31fとしての絶縁膜が位置していてもよい。ここで、例えば、第1出力取出電極31bの主成分が銀である場合には、第1出力取出電極31bは、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。主成分とは、含有成分のうち含有される比率(含有率ともいう)が最も大きい(高い)成分のことを意味する。銀ペーストには、例えば、主成分として銀を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。例えば、第1集電電極31cの主成分が銀である場合には、第1集電電極31cは、第1出力取出電極31bと同様に、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。第1出力取出電極31bと第1集電電極31cとは、例えば、互いに別工程で形成されてもよいし、同一の工程で形成されてもよい。
【0033】
第2出力取出電極31dおよび第2集電電極31eは、例えば、半導体基板31aのうちの第2素子面F4側の面上に位置している。第2出力取出電極31dには、例えば、バスバー電極が適用される。図5図7および図9の例では、第2素子面F4側に、略平行な6つの第2出力取出電極31dが位置している。各第2出力取出電極31dは、第1方向としての-Y方向に沿った長手方向を有する。第2集電電極31eは、第2素子面F4側において、第2出力取出電極31dと第2集電電極31eとが重畳することで相互に接続されている部分を除き、第2出力取出電極31dが形成されていない領域の略全面に位置している。各第2出力取出電極31dは、例えば、第1方向としての-Y方向に沿って並んだ複数(例えば、4つ)の島状電極31d1を有する。ここで、例えば、半導体基板31aの第1導電型領域と第2出力取出電極31dおよび第2集電電極31eとの間に、所望のパターンで酸化アルミニウムなどの酸化物または窒化物の薄膜がパッシベーション膜として存在していてもよい。例えば、第2出力取出電極31dの主成分が銀である場合には、第1出力取出電極31bと同様に、第2出力取出電極31dは、銀ペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。例えば、第2集電電極31eの主成分がアルミニウムである場合には、第2集電電極31eは、アルミニウムペーストがスクリーン印刷などで所望の形状に塗布された後に焼成されることで形成され得る。アルミニウムペーストには、例えば、主成分としてアルミニウムを含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する金属ペーストが適用される。
【0034】
また、発電部3は、太陽電池ストリング3sを含む。第1実施形態では、発電部3は、複数の太陽電池ストリング3sを含む。図1および図2の例では、複数の太陽電池ストリング3sは、6つの太陽電池ストリング3sを含む。6つの太陽電池ストリング3sは、第1太陽電池ストリング3s1、第2太陽電池ストリング3s2、第3太陽電池ストリング3s3、第4太陽電池ストリング3s4、第5太陽電池ストリング3s5および第6太陽電池ストリング3s6を含む。第1太陽電池ストリング3s1、第2太陽電池ストリング3s2、第3太陽電池ストリング3s3、第4太陽電池ストリング3s4、第5太陽電池ストリング3s5および第6太陽電池ストリング3s6は、この記載の順に第2方向としての+X方向に並んでいる。複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、同様な構成を有する。図1および図2の例では、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sは、Z軸に平行な仮想的な軸を基準とした回転対称の関係の構成を有する。
【0035】
例えば、複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、第1方向としての-Y方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル31と、複数本の第1紐状配線部321と、複数本の第2紐状配線部322とを含む。また、例えば、太陽電池ストリング3sは、複数本の第3紐状配線部323を含む。換言すれば、発電部3における複数の配線部32は、複数本の第1紐状配線部321と、複数本の第2紐状配線部322と、複数本の第3紐状配線部323とを含む。
【0036】
図1から図3の例では、複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、2つ以上の太陽電池セル31として、3つの太陽電池セル31を有する。3つの太陽電池セル31は、1つ目の太陽電池セル31(第1太陽電池セルともいう)311と、2つ目の太陽電池セル31(第2太陽電池セルともいう)312と、3つ目の太陽電池セル31(第3太陽電池セルともいう)313とを含む。第1太陽電池セル311と、第2太陽電池セル312と、第3太陽電池セル313とは、+Y方向において記載された順に並んでいる。換言すれば、例えば、太陽電池ストリング3sを構成している2つ以上の太陽電池セル31は、第1方向としての-Y方向の端に位置している第1太陽電池セル311を含む。例えば、太陽電池ストリング3sを構成している2つ以上の太陽電池セル31は、第1方向とは逆の第3方向としての+Y方向の端に位置している第3太陽電池セル313を含む。
【0037】
複数本の第1紐状配線部321は、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31を電気的に接続している。ここでは、複数本の第1紐状配線部321のそれぞれは、2つ以上に太陽電池セル31のうちの相互に隣り合う2つの太陽電池セル31をそれぞれ電気的に接続している。具体的には、複数本の第1紐状配線部321のそれぞれは、例えば、1つの太陽電池セル31の第1出力取出電極31bと、この1つの太陽電池セル31の隣の他の1つの太陽電池セル31の第2出力取出電極31dとを電気的に接続している。図4から図9では、複数の太陽電池セル31のそれぞれに取り付けられる第1紐状配線部321の外縁が仮想的に2点鎖線で描かれている。ここでは、第1紐状配線部321は、例えば、第1出力取出電極31bおよび第2出力取出電極31dに接合された状態にある。第1出力取出電極31bおよび第2出力取出電極31dに対する第1紐状配線部321の接合には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合が適用され得る。
【0038】
複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31のうちの第1方向としての-Y方向の端に位置している第1太陽電池セル311に電気的に接続している。また、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、間隙101gのうちの第1太陽電池セル311よりも第1方向としての-Y方向に位置している領域(第1領域ともいう)A1まで延びている。図2および図3の例では、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、第1領域A1において第1方向としての-Y方向に延びている。図4および図5の例では、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、例えば、第1太陽電池セル311の第2出力取出電極31dに接続している。図4および図5では、第1太陽電池セル311に取り付けられる第2紐状配線部322の外縁が仮想的に2点鎖線で描かれている。図4および図5の例では、第2紐状配線部322は、例えば、第2出力取出電極31dに接合された状態にある。より具体的には、6つの第2出力取出電極31dに対して6本の第2紐状配線部322が接合された状態にある。第2出力取出電極31dに対する第2紐状配線部322の接合には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合が適用される。
【0039】
複数本の第3紐状配線部323は、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31のうちの第1方向とは逆の第3方向としての+Y方向の端に位置している第3太陽電池セル313に電気的に接続している。また、複数本の第3紐状配線部323は、間隙101gのうちの第3太陽電池セル313よりも第3方向としての+Y方向に位置している領域(第2領域ともいう)A2まで延びている。図2および図3の例では、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、第2領域A2において第3方向としての+Y方向に延びている。図8および図9の例では、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、例えば、第3太陽電池セル313の第1出力取出電極31bに接続している。図8および図9では、第3太陽電池セル313に取り付けられる第3紐状配線部323の外縁が仮想的に2点鎖線で描かれている。図8および図9の例では、第3紐状配線部323は、例えば、第1出力取出電極31bに接合された状態にある。より具体的には、6つの第1出力取出電極31bに対して6本の第3紐状配線部323が接合された状態にある。第1出力取出電極31bに対する第3紐状配線部323の接合には、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合が適用される。
【0040】
第1紐状配線部321、第2紐状配線部322および第3紐状配線部323のそれぞれには、例えば、導電性を有する金属製の線状の配線材が適用される。線状の配線材には、例えば、断面の径が0.1mmから0.5mm程度である銅線が適用される。この銅線は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属が外周面に被覆された状態で使用される。
【0041】
発電部3における複数の配線部32は、複数の連結配線部(横配線ともいう)324を含む。図1および図2の例では、複数の連結配線部324は、7本の連結配線部324を含む。
【0042】
複数の連結配線部324は、例えば、1つの第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322を連結している第1の連結配線部324(第1連結配線部3241ともいう)を含む。第1実施形態では、第1領域A1において、第1連結配線部3241は、複数本の第2紐状配線部322を連結している。また、例えば、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された部分(第1架設部分ともいう)B1を含む。換言すれば、例えば、複数本の第2紐状配線部322は、複数の第1架設部分B1を含む。
【0043】
複数の連結配線部324は、例えば、1つの第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結している第2の連結配線部324(第2連結配線部3242ともいう)を含む。第1実施形態では、第2領域A2において、第2連結配線部3242は、複数本の第3紐状配線部323を連結している。また、例えば、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された部分(第2架設部分ともいう)B2を含む。換言すれば、例えば、複数本の第3紐状配線部323は、複数の第2架設部分B2を含む。
【0044】
第1実施形態では、複数の連結配線部324は、複数の第1連結配線部3241と、複数の第2連結配線部3242とを含む。図1および図2の例では、複数の第1連結配線部3241は、3つの第1連結配線部3241を含み、複数の第2連結配線部3242は、4つの第2連結配線部3242を含む。
【0045】
図1および図2の例では、複数の第1連結配線部3241は、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sの間において、一方の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、他方の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している第1連結配線部3241を含む。より具体的には、1つ目の第1連結配線部3241は、第1太陽電池ストリング3s1の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第2太陽電池ストリング3s2の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。2つ目の第1連結配線部3241は、第3太陽電池ストリング3s3の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第4太陽電池ストリング3s4の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。3つ目の第1連結配線部3241は、第5太陽電池ストリング3s5の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第6太陽電池ストリング3s6の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。第1連結配線部3241は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合によって複数本の第2紐状配線部322に接合されている。
【0046】
また、図1および図2の例では、複数の第2連結配線部3242は、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sの間において、一方の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、他方の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している第2連結配線部3242を含む。より具体的には、1つ目の第2連結配線部3242は、第2太陽電池ストリング3s2の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、第3太陽電池ストリング3s3の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している。2つ目の第2連結配線部3242は、第4太陽電池ストリング3s4の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、第5太陽電池ストリング3s5の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している。第2連結配線部3242は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合によって複数本の第3紐状配線部323に接合されている。これにより、例えば、複数の太陽電池ストリング3sとしての第1太陽電池ストリング3s1から第6太陽電池ストリング3s6が、電気的に直列に接続されている。
【0047】
また、図1および図2の例では、複数の第2連結配線部3242は、複数の太陽電池ストリング3sのうちの一端の第1太陽電池ストリング3s1の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結し、太陽電池パネル101の外部に引き出された第1出力配線部としての第2連結配線部3242を含む。複数の第2連結配線部3242は、複数の太陽電池ストリング3sのうちの他端の第6太陽電池ストリング3s6の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結し、太陽電池パネル101の外部に引き出された第2出力配線部としての第2連結配線部3242を含む。これにより、例えば、発電部3における複数の太陽電池セル31において光エネルギーが電気エネルギーに変換されて得られる電力が、太陽電池パネル101の外部に出力され得る。第1出力配線部および第2出力配線部は、例えば、太陽電池パネル101の裏面F2上に配された端子ボックス内の端子に接続される。
【0048】
複数の連結配線部324のそれぞれには、例えば、導電性を有する金属製の帯状の配線材が適用される。帯状の配線材には、例えば、厚さが0.1mmから0.4mm程度であり、幅が1mmから8mm程度である銅箔が適用される。この銅箔は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属が外面に被覆された状態で使用される。
【0049】
<<封止材>>
封止材4は、第1保護部材1と第2保護部材2との間において発電部3を覆っている状態で位置している。換言すれば、封止材4は、第1保護部材1と第2保護部材2との間において、複数の太陽電池セル31を覆っている状態で位置している。別の観点から言えば、封止材4は、例えば、第1保護部材1と第2保護部材2との間隙101gに発電部3を覆いつつ充填されている。
【0050】
第1実施形態では、封止材4は、第1保護部材1側に位置している封止材(第1封止材ともいう)41と、第2保護部材2側に位置している封止材(第2封止材ともいう)42とを含む。例えば、第1封止材41は、少なくとも第1保護部材1の第2面1sと発電部3との間に位置し、発電部3を第1保護部材1側から封止している。換言すれば、例えば、第1封止材41は、第1保護部材1と複数の太陽電池セル31および複数の配線部32との間において、複数の太陽電池セル31および複数の配線部32を覆っている状態で位置している。例えば、第2封止材42は、少なくとも第2保護部材2の第3面2tと発電部3との間に位置し、発電部3を第2保護部材2側から封止している。換言すれば、例えば、第2封止材42は、第2保護部材2と複数の太陽電池セル31および複数の配線部32との間において、複数の太陽電池セル31および複数の配線部32を覆っている状態で位置している。このため、第1実施形態では、発電部3は、例えば、第1封止材41と第2封止材42とによって挟み込まれるように囲まれている。これにより、例えば、封止材4によって発電部3の姿勢が保たれ得る。
【0051】
また、封止材4は、第3封止材43を含む。第3封止材43は、封止材4において、第1封止材41および第2封止材42に追加された追加の封止材である。第1実施形態では、封止材4は、複数の第3封止材43を含む。複数の第3封止材43は、第3A封止材43aと、第3B封止材43bとを含む。
【0052】
例えば、第3A封止材43aは、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置している。図2では、第3A封止材43aの外縁が2点鎖線で描かれている。図2の例では、第3A封止材43aは、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1および全ての第1連結配線部3241と、第1封止材41との間に位置している。全ての第1太陽電池セル311は、6つの第1太陽電池セル311によって構成されている。第3A封止材43aは、例えば、第2方向としての+X方向に長手方向を有するシート状の形状を有する。第1実施形態では、例えば、図2で示されるように、前面F1側から平面視した場合に、第3A封止材43aは、太陽電池セル31には重なっていない。図2の例では、前面F1側から平面視した場合に、第3A封止材43aの外形は長方形状である。第3A封止材43aの厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度とされる。
【0053】
例えば、第3B封止材43bは、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置している。図2では、第3B封止材43bの外縁が2点鎖線で描かれている。図2の例では、第3B封止材43bは、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2および全ての第2連結配線部3242と、第1封止材41との間に位置している。全ての第3太陽電池セル313は、6つの第3太陽電池セル313によって構成されている。第3B封止材43bは、例えば、第2方向としての+X方向に長手方向を有するシート状の形状を有する。第1実施形態では、例えば、図2で示されるように、前面F1側から平面視した場合に、第3B封止材43bは、太陽電池セル31には重なっていない。図2の例では、前面F1側から平面視した場合に、第3B封止材43bの外形は長方形状である。第3B封止材43bの厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度とされる。
【0054】
ここで、封止材4は、例えば、第1保護部材1と同様に透光性を有する。ここでは、封止材4は、例えば、上述した特定範囲の波長の光に対する透光性を有する。ここで、例えば、封止材4を構成する第1封止材41、第2封止材42および第3封止材43のうち、少なくとも第1封止材41が透光性を有していれば、前面F1側からの入射光が、複数の太陽電池セル31まで到達し得る。
【0055】
第1封止材41、第2封止材42および第3封止材43の材料には、樹脂が適用される。例えば、第1封止材41および第3封止材43の材料には、非架橋型の樹脂が適用される。例えば、第2封止材42の材料には、架橋型の樹脂および非架橋型の樹脂の何れが適用されてもよい。非架橋型の樹脂としては、例えば、ポリオレフィンエラストマー(POE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアセタール(PVA)またはポリビニルブチラール(PVB)などの熱可塑性の樹脂が採用される。架橋型の樹脂としては、例えば、架橋剤が添加されたEVA、架橋剤が添加されたPVAまたは架橋剤が添加されたPVBなどが採用される。
【0056】
ここで、例えば、第3封止材43のメルトマスフローレイト(MFR)は、第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さい。第1封止材41および第3封止材43のそれぞれのメルトマスフローレイト(MFR)は、例えば、JIS K7210もしくはASTM D1238に準拠した方法で測定される。ここで、第1封止材41および第3封止材43のそれぞれのメルトマスフローレイト(MFR)の測定条件は、同一の測定条件に設定される。メルトマスフローレイト(MFR)の測定条件としては、例えば、温度が摂氏190度(190℃)であり、荷重が2.16kgである条件が採用される。
【0057】
また、例えば、第3封止材43の軟化温度は、第1封止材41の軟化温度以上である。第1封止材41および第3封止材43のそれぞれの軟化温度には、ビカット軟化温度(VST)が適用される。第1封止材41および第3封止材43のそれぞれのビカット軟化温度(VST)は、JIS K7206もしくはASTM D1525に準拠した方法で測定される。ここで、第1封止材41および第3封止材43のそれぞれのビカット軟化温度(VST)を測定する際の試験条件は、同一の試験条件に設定される。例えば、試験条件は、A50法、B50法、A120法およびB120法の何れが採用されてもよい。
【0058】
第1封止材41のMFRおよびVSTは、例えば、添加剤の配合量などによって適宜調整され得る。第3封止材43のMFRおよびVSTは、例えば、添加剤の配合量などによって適宜調整され得る。
【0059】
ここで、例えば、第1保護部材1と、第1封止材41となる第1樹脂材と、第3封止材43となる第2樹脂材と、発電部3と、第2封止材42となる第3樹脂材と、第2保護部材2とが積層された積層体を、加熱、加圧および真空脱気を行うラミネート処理によって一体化することで、太陽電池パネル101を製造する場合を想定する。ここで、例えば、上述したように、第3封止材43は、第1封止材41よりも低いメルトマスフローレイト(MFR)を有し、第1封止材41以上の軟化温度を有する。
【0060】
このような構成が採用されれば、例えば、ラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる樹脂材の存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。また、例えば、ラミネート処理の際に、第3B封止材43bとなる樹脂材の存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。また、例えば、第1封止材41において、メルトマスフローレイト(MFR)が高く、軟化温度が低ければ、太陽電池パネル101の製造時におけるラミネート処理の際に、太陽電池セル31が割れ難い。
【0061】
また、第1実施形態では、上述したように、第3A封止材43aが、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置している。これにより、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、ラミネート処理の前に、多数の第1架設部分B1に対して第3A封止材43aとなる樹脂材の配置が容易となり得る。その結果、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0062】
また、第1実施形態では、上述したように、第3B封止材43bが、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置している。これにより、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、ラミネート処理の前に、多数の第2架設部分B2に対して第3B封止材43bとなる樹脂材の配置が容易となり得る。その結果、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0063】
ここで、例えば、第3A封止材43aおよび複数の第1架設部分B1を、第1面1fに垂直な方向に平面視した場合に、第3A封止材43aの幅が、複数の第1架設部分B1のそれぞれの幅よりも大きい構成が考えられる。第3A封止材43aの幅には、例えば、平面視した場合における第3A封止材43aの短手方向の長さが適用される。換言すると、図2の場合、第3A封止材43aの幅として、第3A封止材43aのY方向の長さが適用される。第1架設部分B1の幅には、例えば、第2紐状配線部322の線幅が適用される。換言すると、図2の場合、第1架設部分B1の幅として、第1架設部分B1のX方向の長さが適用される。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、ラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる樹脂材の存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0064】
ここで、例えば、第3B封止材43bおよび複数の第2架設部分B2を、第1面1fに垂直な方向に平面視した場合に、第3B封止材43bの幅が、複数の第2架設部分B2のそれぞれの幅よりも大きい構成が考えられる。第3B封止材43bの幅には、例えば、平面視した場合における第3B封止材43bの短手方向の長さが適用される。換言すると、図2の場合、第3B封止材43bの幅として、第3B封止材43bのY方向の長さが適用される。第2架設部分B2の幅には、例えば、第3紐状配線部323の線幅が適用される。換言すると、図2の場合、第2架設部分B2の幅として、第2架設部分B2のX方向の長さが適用される。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、ラミネート処理の際に、第3B封止材43bとなる樹脂材の存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0065】
<1-2.太陽電池モジュールの製造>
太陽電池モジュール100の製造方法の一例について、図12から図17を参照しつつ説明する。図12で示されるように、第1実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法は、例えば、ステップS1の工程(準備工程ともいう)、ステップS2の工程(積層工程ともいう)およびステップS3の工程(ラミネート処理工程ともいう)を有する。
【0066】
<<ステップS1(準備工程)>>
ステップS1では、図13で示されるように、第1保護部材1と、シート状の第1樹脂材941と、シート状の第2樹脂材943と、シート状の第3樹脂材942と、第2保護部材2と、発電部3とを準備する。第1実施形態では、2つのシート状の第2樹脂材943を準備する。2つのシート状の第2樹脂材943は、シート状の第2A樹脂材943aおよびシート状の第2B樹脂材943bを含む。
【0067】
第1保護部材1は、例えば、上述したように、透光性を有する板状の部材である。シート状の第1樹脂材941は、ステップS3のラミネート処理によって第1封止材41となる樹脂材である。シート状の第2樹脂材943は、ステップS3のラミネート処理によって第3封止材43となる樹脂材である。シート状の第2A樹脂材943aは、ステップS3のラミネート処理によって第3A封止材43aとなる樹脂材である。シート状の第2B樹脂材943bは、ステップS3のラミネート処理によって第3B封止材43bとなる樹脂材である。シート状の第3樹脂材942は、ステップS3のラミネート処理によって第2封止材42となる樹脂材である。発電部3は、上述したように、複数の太陽電池セル31を含む。
【0068】
ここで、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942の材料には、樹脂が適用される。第1実施形態では、例えば、第1樹脂材941および第2樹脂材943の材料には、非架橋型の樹脂が適用される。例えば、第3樹脂材942の材料には、架橋型の樹脂および非架橋型の樹脂の何れが適用されてもよい。非架橋型の樹脂としては、例えば、ポリオレフィンエラストマー(POE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアセタール(PVA)またはポリビニルブチラール(PVB)などの熱可塑性の樹脂が採用される。架橋型の樹脂としては、例えば、架橋剤が添加されたEVA、架橋剤が添加されたPVAまたは架橋剤が添加されたPVBなどが採用される。
【0069】
<<ステップS2(積層工程)>>
ステップS2では、図14から図16で示されるように、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3と、第3樹脂材942と、第2保護部材2とを、記載された順に積層させて、積層体901を生成する。換言すれば、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3と、第3樹脂材942と、第2保護部材2とを記載された順に積層させた積層体901を生成する。
【0070】
図17には、積層された、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3との位置関係が模式的に示されている。図17では、第3樹脂材942および第2保護部材2の図示が便宜的に省略されている。
【0071】
図14から図17で示されるように、発電部3は、例えば、複数の太陽電池セル31と、複数の配線部32とを含む。複数の太陽電池セル31は、例えば、第1方向(例えば、-Y方向)に並んだ2つ以上の太陽電池セル31を含む。第1実施形態では、複数の太陽電池セル31は、2次元的に並んでいる。図14から図17の例では、複数の太陽電池セル31は、XY平面に平行な仮想的な平面(仮想平面ともいう)に沿って平面的に配列された状態で位置している。複数の太陽電池セル31は、第1方向に交差する第2方向としての+X方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル31を含む。より具体的には、例えば、複数の太陽電池セル31は、M個(Mは2以上の自然数)の太陽電池セル31をそれぞれ含むN列(Nは2以上の自然数)の太陽電池セル31を含む。図14から図17の例では、Mは3であり、Nは6である。換言すれば、複数の太陽電池セル31は、M行N列のマトリックス状に並んでいる。
【0072】
また、発電部3は、太陽電池ストリング3sを含む。第1実施形態では、発電部3は、複数の太陽電池ストリング3sを含む。図14から図17の例では、複数の太陽電池ストリング3sは、6つの太陽電池ストリング3sを含む。6つの太陽電池ストリング3sは、第1太陽電池ストリング3s1、第2太陽電池ストリング3s2、第3太陽電池ストリング3s3、第4太陽電池ストリング3s4、第5太陽電池ストリング3s5および第6太陽電池ストリング3s6を含む。第1太陽電池ストリング3s1、第2太陽電池ストリング3s2、第3太陽電池ストリング3s3、第4太陽電池ストリング3s4、第5太陽電池ストリング3s5および第6太陽電池ストリング3s6は、この記載の順に第2方向としての+X方向に並んでいる。複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、同様な構成を有する。図14から図17の例では、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sは、Z軸に平行な仮想的な軸を基準とした回転対称の関係の構成を有する。
【0073】
例えば、複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、第1方向としての-Y方向に並んだ2つ以上の太陽電池セル31と、複数本の第1紐状配線部321と、複数本の第2紐状配線部322とを含む。また、例えば、太陽電池ストリング3sは、複数本の第3紐状配線部323を含む。換言すれば、発電部3における複数の配線部32は、複数本の第1紐状配線部321と、複数本の第2紐状配線部322と、複数本の第3紐状配線部323とを含む。
【0074】
図14から図17の例では、複数の太陽電池ストリング3sのそれぞれは、2つ以上の太陽電池セル31として、3つの太陽電池セル31を有する。3つの太陽電池セル31は、第1太陽電池セル311と、第2太陽電池セル312と、第3太陽電池セル313とを含む。第1太陽電池セル311と、第2太陽電池セル312と、第3太陽電池セル313とは、+Y方向において記載された順に並んでいる。換言すれば、例えば、太陽電池ストリング3sを構成している2つ以上の太陽電池セル31は、第1方向としての-Y方向の端に位置している第1太陽電池セル311を含む。例えば、太陽電池ストリング3sを構成している2つ以上の太陽電池セル31は、第1方向とは逆の第3方向としての+Y方向の端に位置している第3太陽電池セル313を含む。
【0075】
複数本の第1紐状配線部321は、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31を電気的に接続している。ここでは、複数本の第1紐状配線部321のそれぞれは、2つ以上に太陽電池セル31のうちの相互に隣り合う2つの太陽電池セル31をそれぞれ電気的に接続している。
【0076】
複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31のうちの第1方向としての-Y方向の端に位置している第1太陽電池セル311に電気的に接続している。図14から図17の例では、1つの第1太陽電池セル311に6本の第2紐状配線部322が接合されている。また、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、第1太陽電池セル311よりも第1方向としての-Y方向に位置している領域(第3領域ともいう)A3まで延びている。図14から図17の例では、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、第3領域A3において第1方向としての-Y方向に延びている。
【0077】
複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、太陽電池ストリング3sにおける2つ以上の太陽電池セル31のうちの第1方向とは逆の第3方向としての+Y方向の端に位置している第3太陽電池セル313に電気的に接続している。図14から図17の例では、1つの第3太陽電池セル313に6本の第3紐状配線部323が接合されている。また、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、第3太陽電池セル313よりも第3方向としての+Y方向に位置している領域(第4領域ともいう)A4まで延びている。図14から図17の例では、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、第4領域A4において第3方向としての+Y方向に延びている。
【0078】
第1紐状配線部321、第2紐状配線部322および第3紐状配線部323のそれぞれには、例えば、導電性を有する金属製の線状の配線材が適用される。線状の配線材には、例えば、断面の径が0.1mmから0.5mm程度である銅線が適用される。この銅線は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属が外周面に被覆された状態で使用される。
【0079】
発電部3における複数の配線部32は、複数の連結配線部324を含む。図14から図17の例では、複数の連結配線部324は、7本の連結配線部324を含む。
【0080】
複数の連結配線部324は、例えば、1つの第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322を連結している第1連結配線部3241を含む。第1実施形態では、第3領域A3において、第1連結配線部3241は、複数本の第2紐状配線部322を連結している。また、例えば、複数本の第2紐状配線部322のそれぞれは、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された第1架設部分B1を含む。換言すれば、例えば、複数本の第2紐状配線部322は、複数の第1架設部分B1を含む。
【0081】
複数の連結配線部324は、例えば、1つの第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結している第2連結配線部3242を含む。第1実施形態では、第4領域A4において、第2連結配線部3242は、複数本の第3紐状配線部323を連結している。また、例えば、複数本の第3紐状配線部323のそれぞれは、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された第2架設部分B2を含む。換言すれば、例えば、複数本の第3紐状配線部323は、複数の第2架設部分B2を含む。
【0082】
第1実施形態では、複数の連結配線部324は、複数の第1連結配線部3241と、複数の第2連結配線部3242とを含む。図14および図17の例では、複数の第1連結配線部3241は、3つの第1連結配線部3241を含み、複数の第2連結配線部3242は、4つの第2連結配線部3242を含む。
【0083】
図14から図17の例では、複数の第1連結配線部3241は、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sの間において、一方の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、他方の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している第1連結配線部3241を含む。より具体的には、1つ目の第1連結配線部3241は、第1太陽電池ストリング3s1の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第2太陽電池ストリング3s2の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。2つ目の第1連結配線部3241は、第3太陽電池ストリング3s3の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第4太陽電池ストリング3s4の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。3つ目の第1連結配線部3241は、第5太陽電池ストリング3s5の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322と、第6太陽電池ストリング3s6の第1太陽電池セル311に接続された複数本の第2紐状配線部322とを連結している。第1連結配線部3241は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合によって複数本の第2紐状配線部322に接合されている。
【0084】
また、図14から図17の例では、複数の第2連結配線部3242は、隣り合う2つの太陽電池ストリング3sの間において、一方の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、他方の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している第2連結配線部3242を含む。より具体的には、1つ目の第2連結配線部3242は、第2太陽電池ストリング3s2の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、第3太陽電池ストリング3s3の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している。2つ目の第2連結配線部3242は、第4太陽電池ストリング3s4の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323と、第5太陽電池ストリング3s5の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323とを連結している。第2連結配線部3242は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属などを用いた接合によって複数本の第3紐状配線部323に接合されている。これにより、例えば、複数の太陽電池ストリング3sとしての第1太陽電池ストリング3s1から第6太陽電池ストリング3s6が、電気的に直列に接続されている。
【0085】
また、図14から図17の例では、複数の第2連結配線部3242は、複数の太陽電池ストリング3sのうちの一端の第1太陽電池ストリング3s1の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結している第1出力配線部としての第2連結配線部3242を含む。複数の第2連結配線部3242は、複数の太陽電池ストリング3sのうちの他端の第6太陽電池ストリング3s6の第3太陽電池セル313に接続された複数本の第3紐状配線部323を連結している第2出力配線部としての第2連結配線部3242を含む。
【0086】
複数の連結配線部324のそれぞれには、例えば、導電性を有する金属製の帯状の配線材が適用される。帯状の配線材には、例えば、厚さが0.1mmから0.4mm程度であり、幅が1mmから8mm程度である銅箔が適用される。この銅箔は、例えば、半田(はんだ)などの低融点の合金または低融点の単体の金属が外面に被覆された状態で使用される。
【0087】
第1実施形態では、図14図15および図17で示されるように、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、複数の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置する。図17では、第2A樹脂材943aに砂地を用いたハッチングが付されている。図14図15および図17の例では、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1および全ての第1連結配線部3241と、第1樹脂材941との間に、第2A樹脂材943aを配置する。図17の例では、全ての第1太陽電池セル311は、6つの第1太陽電池セル311によって構成されている。第1実施形態では、例えば、図17で示されるように、平面視して、第2A樹脂材943aは、太陽電池セル31には重ならないように配置される。第2A樹脂材943aは、例えば、第2方向としての+X方向に長手方向を有するシート状の形状を有する。図17の例では、平面視した場合に、第2A樹脂材943aの外形は長方形状である。第2A樹脂材943aの厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度とされる。
【0088】
また、第1実施形態では、図14図16および図17で示されるように、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、複数の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置する。図17では、第2B樹脂材943bに砂地を用いたハッチングが付されている。図14図16および図17の例では、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2および全ての第2連結配線部3242と、第1樹脂材941との間に、第2B樹脂材943bを配置する。図17の例では、全ての第3太陽電池セル313は、6つの第3太陽電池セル313によって構成されている。第1実施形態では、例えば、図17で示されるように、平面視して、第2B樹脂材943bは、太陽電池セル31には重ならないように配置される。第2B樹脂材943bは、例えば、第2方向としての+X方向に長手方向を有するシート状の形状を有する。図17の例では、平面視した場合に、第2B樹脂材943bの外形は長方形状である。第2B樹脂材943bの厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度とされる。
【0089】
<<ステップS3(ラミネート処理工程)>>
ステップS3では、積層体901に対してラミネート処理を施して、太陽電池パネル101を生成する。ここでは、例えば、ラミネート装置(ラミネータ)を用いて、積層体901を一体化させる。例えば、ラミネータでは、チャンバー内のヒーター盤上に積層体901を載置し、チャンバー内を50パスカル(Pa)から150Pa程度まで減圧させつつ、積層体901を摂氏100度(100℃)から摂氏200度(200℃)程度まで加熱する。換言すれば、例えば、積層体901を、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度を超える温度まで加熱する。第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度には、例えば、ビカット軟化温度(VST)が適用される。このとき、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942が加熱によってある程度流動可能な状態となる。この状態で、チャンバー内において、積層体901を、ダイヤフラムシートなどで押圧することで、積層体901を一体化させる。これにより、例えば、図2図3図10および図11で示された太陽電池パネル101を形成することができる。
【0090】
ここで、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度を超える温度まで積層体901を加熱している際に、第2樹脂材943のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さい構成が採用される。ラミネート処理工程における第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)および第2樹脂材943のメルトマスフローレイト(MFR)は、例えば、JIS K7210もしくはASTM D1238に準拠した方法で測定され得る。ここで、第1樹脂材941および第2樹脂材943のそれぞれのメルトマスフローレイト(MFR)の測定条件は、同一の測定条件に設定される。メルトマスフローレイト(MFR)の測定条件としては、例えば、温度がラミネート処理工程の加熱温度であり、荷重が所定値(例えば、2.16kg)である条件が採用される。
【0091】
このような構成が採用されれば、例えば、ラミネート処理の際に、第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。また、例えば、ラミネート処理の際に、第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100において、絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が絶縁劣化により剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、剥離した層間からの浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0092】
ここで、例えば、ステップS2の積層工程において、第2樹脂材943の軟化温度が、第1樹脂材941の軟化温度以上であれば、ラミネート処理の際に、第2樹脂材943のメルトマスフローレイト(MFR)が第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さいにもかかわらず、第1樹脂材941が早期に軟化および流動し易いことから、太陽電池セル31への力学的負荷を軽減することができ、太陽電池セル31が割れ難い。換言すると第2樹脂材943が、第1樹脂材941よりも硬いことに起因する歩留まり低下の影響を低減することができる。
【0093】
第1実施形態では、上述したように、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置する。これにより、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、多数の第1架設部分B1に対して第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aを容易に配置することができる。その結果、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0094】
また、第1実施形態では、上述したように、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置する。これにより、例えば、太陽電池パネル101の製造時において、多数の第2架設部分B2に対して第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bを容易に配置することができる。その結果、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0095】
ここで、ステップS2の積層工程において、例えば、第2A樹脂材943aおよび複数の第1架設部分B1を平面視した場合に、第2A樹脂材943aの幅が、複数の第1架設部分B1のそれぞれの幅よりも大きい構成が考えられる。第2A樹脂材943aの幅には、例えば、平面視した場合における第2A樹脂材943aの短手方向の長さが適用される。換言すると、図17の場合、第2A樹脂材943aの幅として、第2A樹脂材943aのY方向の長さが適用される。第1架設部分B1の幅には、例えば、第2紐状配線部322の線幅が適用される。換言すると、図17の場合、第1架設部分B1の幅として、第1架設部分B1のX方向の長さが適用される。このような構成が採用されれば、例えば、ラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0096】
ここで、ステップS2の積層工程において、例えば、第2B樹脂材943bおよび複数の第2架設部分B2を平面視した場合に、第2B樹脂材943bの幅が、複数の第2架設部分B2のそれぞれの幅よりも大きい構成が考えられる。第2B樹脂材943bの幅には、例えば、平面視した場合における第2B樹脂材943bの短手方向の長さが適用される。換言すると、図17の場合、第2B樹脂材943bの幅として、第2B樹脂材943bのY方向の長さが適用される。第2架設部分B2の幅には、例えば、第3紐状配線部323の線幅が適用される。換言すると、図17の場合、第2架設部分B2の幅として、第2架設部分B2のX方向の長さが適用される。このような構成が採用されれば、例えば、ラミネート処理の際に、第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0097】
<1-3.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、第3A封止材43aは、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置している。そして、例えば、第3A封止材43aのメルトマスフローレイト(MFR)は、第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さく、第3A封止材43aの軟化温度は、第1封止材41の軟化温度以上である。このため、例えば、太陽電池パネル101の製造時におけるラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる樹脂材の存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。また、例えば、第1封止材41において、メルトマスフローレイト(MFR)が高く、軟化温度が低いため、太陽電池パネル101の製造時におけるラミネート処理の際に、太陽電池セル31が割れ難い。
【0098】
また、第1実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法では、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3と、第3樹脂材942と、第2保護部材2とを積層させて生成した積層体901に対してラミネート処理を施して、太陽電池パネル101を生成する。ここで、例えば、積層体901を生成する際に、第1樹脂材941と、複数の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置する。そして、例えば、第1樹脂材941、第2A樹脂材943aおよび第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度を超える温度まで積層体901を加熱している際に、第2A樹脂材943aのメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さい。このため、例えば、ラミネート処理の際に、第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100において、絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0099】
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0100】
<2-1.第1変形例>
上記第1実施形態において、例えば、第3A封止材43aは、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの2つ以上の任意の数の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置していてもよい。別の観点から言えば、例えば、第3A封止材43aは、1つの第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの2つ以上の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置していてもよい。具体的には、例えば、図18で示されるように、2つの第1架設部分B1ごとに、第3A封止材43aが、2つの第1架設部分B1と第1封止材41との間に位置している態様が考えられる。図18では、複数の第3A封止材43aのそれぞれの外縁が2点鎖線で描かれている。
【0101】
この場合には、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの2つ以上の任意の数の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置してもよい。別の観点から言えば、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、1つの第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの2つ以上の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置してもよい。具体的には、例えば、図19で示されるように、2つの第1架設部分B1ごとに、第1樹脂材941と2つの第1架設部分B1との間に第2A樹脂材943aを配置する態様が考えられる。図19には、積層された、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3との位置関係が模式的に示されている。図19では、第3樹脂材942および第2保護部材2の図示が便宜的に省略されている。
【0102】
このような構成が採用されても、例えば、太陽電池パネル101の製造時に、2つ以上の第1架設部分B1に対して第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aを容易に配置することができる。これにより、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0103】
また、例えば、第3B封止材43bは、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの2つ以上の任意の数の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置していてもよい。別の観点から言えば、例えば、第3B封止材43bは、1つの第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの2つ以上の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置していてもよい。具体的には、例えば、図18で示されるように、2つの第2架設部分B2ごとに、第3B封止材43bが、2つの第2架設部分B2と第1封止材41との間に位置している態様が考えられる。図18では、複数の第3B封止材43bのそれぞれの外縁が2点鎖線で描かれている。
【0104】
この場合には、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの2つ以上の任意の数の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置してもよい。別の観点から言えば、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、1つの第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの2つ以上の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置してもよい。具体的には、例えば、図19で示されるように、2つの第2架設部分B2ごとに、第1樹脂材941と2つの第2架設部分B2との間に第2B樹脂材943bを配置する態様が考えられる。
【0105】
このような構成が採用されても、例えば、太陽電池パネル101の製造時に、2つ以上の第2架設部分B2に対して第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bを容易に配置することができる。これにより、例えば、太陽電池モジュール100が容易に製造され得る。
【0106】
<2-2.第2変形例>
上記第1実施形態において、例えば、第3A封止材43aは、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの1つ以上の任意の数の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置していてもよい。別の観点から言えば、例えば、第3A封止材43aは、1つの第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの1つ以上の第1架設部分B1と、第1封止材41との間に位置していてもよい。具体的には、例えば、図20で示されるように、1つの第1架設部分B1ごとに、第3A封止材43aが、1つの第1架設部分B1と第1封止材41との間に位置している態様が考えられる。図20では、複数の第3A封止材43aのそれぞれの外縁が2点鎖線で描かれている。
【0107】
この場合には、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、発電部3における全ての第1太陽電池セル311と複数の第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの1つ以上の任意の数の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置してもよい。別の観点から言えば、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、1つの第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された複数の第1架設部分B1のうちの1つ以上の第1架設部分B1との間に、第2A樹脂材943aを配置してもよい。具体的には、例えば、図21で示されるように、1つの第1架設部分B1ごとに、第1樹脂材941と1つの第1架設部分B1との間に第2A樹脂材943aを配置する態様が考えられる。図21には、積層された、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3との位置関係が模式的に示されている。図21では、第3樹脂材942および第2保護部材2の図示が便宜的に省略されている。
【0108】
このような構成が採用されても、例えば、ラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0109】
また、例えば、第3B封止材43bは、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの1つ以上の任意の数の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置していてもよい。別の観点から言えば、例えば、第3B封止材43bは、1つの第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの1つ以上の第2架設部分B2と、第1封止材41との間に位置していてもよい。具体的には、例えば、図20で示されるように、1つの第2架設部分B2ごとに、第3B封止材43bが、1つの第2架設部分B2と第1封止材41との間に位置している態様が考えられる。図20では、複数の第3B封止材43bのそれぞれの外縁が2点鎖線で描かれている。
【0110】
この場合には、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、発電部3における全ての第3太陽電池セル313と複数の第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの1つ以上の任意の数の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置してもよい。別の観点から言えば、例えば、ステップS2の積層工程において、第1樹脂材941と、1つの第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された複数の第2架設部分B2のうちの1つ以上の第2架設部分B2との間に、第2B樹脂材943bを配置してもよい。具体的には、例えば、図21で示されるように、1つの第2架設部分B2ごとに、第1樹脂材941と1つの第2架設部分B2との間に第2B樹脂材943bを配置する態様が考えられる。
【0111】
このような構成が採用されても、例えば、ラミネート処理の際に、第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100における絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0112】
<2-3.第3変形例>
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、図22で示されるように、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された第1架設部分B1のうち、複数の太陽電池セル31よりも第1保護部材1に接近している領域(接近領域ともいう)A11と、第1封止材41との間に、第3A封止材43aが位置していてもよい。換言すれば、例えば、第1太陽電池セル311と第1連結配線部3241との間に架設された1つ以上の第1架設部分B1は、第3A封止材43aと第2封止材42との間において、複数の太陽電池セル31よりも第1保護部材1に接近している接近領域A11を含んでいてもよい。この場合には、例えば、ラミネート処理の際に、仮に第1封止材41となる第1樹脂材941が溶融状態において流動性が高くなっても、第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。
【0113】
また、例えば、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された1つ以上の第2架設部分B2のうち、複数の太陽電池セル31よりも第1保護部材1に接近している領域と、第1封止材41との間に、第3B封止材43bが位置していてもよい。換言すれば、例えば、第3太陽電池セル313と第2連結配線部3242との間に架設された1つ以上の第2架設部分B2は、第3B封止材43bと第2封止材42との間において、複数の太陽電池セル31よりも第1保護部材1に接近している領域を含んでいてもよい。この場合には、例えば、ラミネート処理の際に、仮に第1封止材41となる第1樹脂材941が溶融状態において流動性が高くなっても、第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。
【0114】
<2-4.第4変形例>
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、図23で示されるように、第3A封止材43a、1つ以上の第1架設部分B1および第1連結配線部3241を第1面1fに垂直な方向に平面視した場合を想定する。この場合に、例えば、図23および図24で示されるように、第3A封止材43aが、第1方向としての-Y方向において、少なくとも1つ以上の第1架設部分B1の中央部から第1連結配線部3241の中央部まで重畳している構成が採用されてもよい。この構成は、例えば、図25および図26で示されるように、ステップS2の積層工程において、第2A樹脂材943aを、少なくとも第1方向としての-Y方向において、少なくとも1つ以上の第1架設部分B1の中央部から第1連結配線部3241の中央部まで重なるように配置することで実現され得る。そして、この構成が採用されれば、例えば、太陽電池パネル101の製造時におけるラミネート処理の際に、第3A封止材43aとなる第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池モジュール100において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。
【0115】
図25には、積層された、第1保護部材1と、第1樹脂材941と、第2樹脂材943と、発電部3との位置関係が模式的に示されている。図25では、第3樹脂材942および第2保護部材2の図示が便宜的に省略されている。
【0116】
また、上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、図23で示されるように、第3B封止材43b、1つ以上の第2架設部分B2および第2連結配線部3242を第1面1fに垂直な方向に平面視した場合を想定する。この場合に、例えば、図23および図27で示されるように、第3B封止材43bが、第3方向としての+Y方向において、少なくとも1つ以上の第2架設部分B2の中央部から第2連結配線部3242の中央部まで重畳している構成が採用されてもよい。この構成は、例えば、図25および図28で示されるように、ステップS2の積層工程において、第2B樹脂材943bを、第3方向としての+Y方向において、少なくとも1つ以上の第2架設部分B2の中央部から第2連結配線部3242の中央部まで重なるように配置することで実現され得る。そして、この構成が採用されれば、例えば、太陽電池パネル101の製造時におけるラミネート処理の際に、第3B封止材43bとなる第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池モジュール100において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。
【0117】
<2-5.その他>
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第2封止材42のメルトマスフローレイト(MFR)は、第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さくてもよい。第2封止材42のメルトマスフローレイト(MFR)の測定は、例えば、第1封止材41および第3封止材43のメルトマスフローレイト(MFR)の測定と同じ方法によって測定される。ここでは、例えば、第1封止材41および第2封止材42のそれぞれの材料が、非架橋型の樹脂であれば、第2封止材42となる第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)は、第1封止材41となる第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さくなり得る。
【0118】
ここで、例えば、仮想平面に沿って配列された複数の太陽電池セル31が紐状もしくは帯状の配線部32で接続された発電部3の剛性は高くない。そこで、例えば、第2封止材42のメルトマスフローレイト(MFR)が第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも低ければ、太陽電池パネル101の製造時のラミネート処理の際に、第2封止材42となるシート状の第3樹脂材942は、溶融しても仮想平面に沿った形状が維持され易い。このため、例えば、仮想平面に沿って配列された複数の太陽電池セル31が、太陽電池パネル101の厚さ方向において仮想平面からシフトし難い。これにより、例えば、ラミネート処理の際に太陽電池セル31が仮想平面からシフトし過ぎた状態で樹脂が硬化して封止材4となることで太陽電池セル31の間に架設された第1紐状配線部321に局所的な引張応力が加わった状態になる不具合が生じ難い。その結果、例えば、太陽電池セル31から第1紐状配線部321が剥離し難く、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0119】
ここで、例えば、第2保護部材2には、第1保護部材1よりも厚さが小さな板状の部材が適用されてもよい。板状の部材には、例えば、ガラス製の基板などが適用される。このような構成が採用されれば、例えば、太陽電池モジュール100の裏面F2側における遮水性が向上されつつ、太陽電池モジュール100の軽量化が図られ得る。また、例えば、ラミネート処理工程では、ラミネータのヒーター盤上に、第1保護部材1が下側に配置されるように積層体901を載置して、積層体901を加熱しながら、上方から柔軟性を有するダイヤフラムシートで積層体901を押圧する形態が想定される。この形態では、例えば、第2保護部材2がダイヤフラムシートとともに曲がり易く、溶融状態にある第3樹脂材942の端部に応力が局所的に集中し、第3樹脂材942は積層体901の端部から横方向に流動してはみ出し易い。これに対して、上述したように、例えば、第2封止材42のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さければ、第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さくなり得る。このため、例えば、ラミネート処理工程において、溶融状態にある第3樹脂材942の端部に応力が局所的に集中しても、第3樹脂材942が積層体901の端部から横方向に流動してはみ出し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2保護部材2と配線部32との間における第2封止材42の厚さが十分に確保され得る。その結果、例えば、太陽電池モジュール100の裏面F2側における絶縁耐圧が低下し難く、第2封止材42の絶縁劣化が生じ難い。
【0120】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、ステップS3のラミネート処理工程において、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度を超える温度まで積層体901を加熱している際に、第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さくてもよい。ラミネート処理工程における第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)および第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)は、例えば、JIS K7210もしくはASTM D1238に準拠した方法で測定され得る。ここで、第1樹脂材941および第3樹脂材942のそれぞれのメルトマスフローレイト(MFR)の測定条件は、同一の測定条件に設定される。メルトマスフローレイト(MFR)の測定条件としては、例えば、温度がラミネート処理工程の加熱温度であり、荷重が所定値(例えば、2.16kg)である条件が採用される。
【0121】
ここで、例えば、仮想平面に沿って配列された複数の太陽電池セル31が紐状もしくは帯状の配線部32で接続された発電部3の剛性は高くない。そこで、例えば、ラミネート処理における加熱の際に、第2封止材42となる第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)が第1封止材41となる第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも低ければ、第2封止材42となるシート状の第3樹脂材942は、溶融しても仮想平面に沿った形状が維持され易い。このため、例えば、仮想平面に沿って配列された複数の太陽電池セル31が、太陽電池パネル101の厚さ方向において仮想平面からシフトし難い。これにより、例えば、ラミネート処理の際に太陽電池セル31が仮想平面からシフトし過ぎた状態で樹脂が硬化して封止材4となることで太陽電池セル31の間に架設された第1紐状配線部321に局所的な引張応力が加わった状態になる不具合が生じ難い。その結果、例えば、太陽電池セル31から第1紐状配線部321が剥離し難く、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0122】
ここでは、例えば、第2保護部材2に、第1保護部材1よりも厚さが小さなガラス製の基板などの板状の部材が適用されれば、太陽電池モジュール100の裏面F2側における遮水性が向上されつつ、太陽電池モジュール100の軽量化が図られ得る。また、例えば、ラミネート処理工程では、ラミネータのヒーター盤上に、第1保護部材1が下側に配置されるように積層体901を載置して、積層体901を加熱しながら、上方から柔軟性を有するダイヤフラムシートで積層体901を押圧する場合を想定する。この場合には、上述したように、例えば、ステップS3のラミネート処理工程において、第3樹脂材942のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さければ、溶融状態にある第3樹脂材942の端部に応力が局所的に集中しても、第3樹脂材942が積層体901の端部から横方向に流動してはみ出し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2保護部材2と配線部32との間における第2封止材42の厚さが十分に確保され得る。その結果、例えば、太陽電池モジュール100の裏面F2側における絶縁耐圧が低下し難く、第2封止材42の絶縁劣化が生じ難い。
【0123】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第1紐状配線部321、第2紐状配線部322および第3紐状配線部323のそれぞれの断面形状は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。円形状の断面形状には、例えば、図29で示される真円状の断面形状および図30で示される楕円状の断面形状などが含まれ得る。多角形状の断面形状には、例えば、図31で示される三角形状の断面形状および図32で示される四角形状の断面形状が含まれ得る。これにより、例えば、第1紐状配線部321、第2紐状配線部322および第3紐状配線部323の細線化が図られ、太陽電池モジュール100の発電性能が向上し得る。
【0124】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第2紐状配線部322、第1連結配線部3241、第1架設部分B1、第3A封止材43aおよび第2A樹脂材943aと、第3紐状配線部323、第2連結配線部3242、第2架設部分B2、第3B封止材43bおよび第2B樹脂材943bとは、名称が入れ替えられてもよい。
【0125】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第1封止材41および第3封止材43のうちの少なくとも一方の材料に、架橋型の樹脂が適用される態様も考えられる。この場合には、例えば、ステップS3のラミネート処理工程において、第1樹脂材941、第2樹脂材943および第3樹脂材942のそれぞれの軟化温度を超える温度まで積層体901を加熱している際に、第2樹脂材943のメルトマスフローレイト(MFR)が、第1樹脂材941のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さい構成が採用され得る。ここでは、例えば、ラミネート処理工程の後において、第3封止材43のメルトマスフローレイト(MFR)は、第1封止材41のメルトマスフローレイト(MFR)よりも小さくなくてもよいし、第3封止材43の軟化温度は、第1封止材41の軟化温度以上でなくてもよい。
【0126】
このような構成が採用されても、例えば、ラミネート処理の際に、第2A樹脂材943aの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第1架設部分B1が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第2紐状配線部322と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。また、例えば、ラミネート処理の際に、第2B樹脂材943bの存在によって、溶融状態にある樹脂中で第2架設部分B2が第1保護部材1に接近し難い。これにより、例えば、太陽電池パネル101において、第3紐状配線部323と第1保護部材1との間に存在している封止材4の厚さが薄くなり難い。その結果、例えば、太陽電池モジュール100において、絶縁耐圧が低下し難く、第1封止材41の絶縁劣化が生じ難い。よって、例えば、太陽電池モジュール100において、第1保護部材1の第2面1sから第1封止材41が剥がれる不具合が生じ難く、第1封止材41による封止性能が低下し難いため、浸水などによる太陽電池セル31の劣化が生じ難い。したがって、例えば、太陽電池モジュール100の劣化が生じ難い。
【0127】
上記第1実施形態および上記各変形例では、例えば、第1保護部材1が特定範囲の波長の光に対して透光性を有していれば、第1保護部材1の材料には、アクリルなどのガラス以外の材料が適用されてもよい。
【0128】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第1保護部材1は、板状の部材でなく膜状(フィルム状ともいう)の部材であってもよい。この膜状の部材の材料には、例えば、樹脂が適用される。換言すれば、第1保護部材1として、透光性を有する樹脂製の膜状の部材が採用されてもよい。第1保護部材1に適用される樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネートなどの熱可塑性の樹脂、あるいはフッ素系の樹脂などが採用される。フッ素系の樹脂は、例えば、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)およびエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などを含む。ここで、例えば、第1保護部材1が、2層以上の樹脂で構成されてもよい。この場合には、第1保護部材1に適用される樹脂は、例えば、2種類以上の樹脂であってもよい。ここで、例えば、第1保護部材1に適用される樹脂が耐候性を有していれば、第1保護部材1の劣化が生じ難く、太陽電池モジュール100の出力が低下し難い。ここで、耐候性は、例えば、屋外で使用された場合に、変形、変色および劣化などの変質を起こしにくい性質を意味する。例えば、FEP、ETFEおよびECTFEなどのフッ素系の樹脂は、耐候性を有する。
【0129】
上記第1実施形態および上記各変形例において、例えば、第2保護部材2は、膜状の部材でなく、第1保護部材1と同様に、透光性を有する板状の部材であってもよい。この板状の部材の材料には、例えば、ガラスが適用されてもよいし、樹脂が適用されてもよい。この場合には、例えば、第2保護部材2の材料には、アクリルもしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂が適用され得る。この構成が採用されれば、例えば、太陽電池モジュール100の裏面F2側における遮水性と特定範囲の波長の光に対する透光性とが実現され得る。これにより、例えば、太陽電池モジュール100では、裏面F2に照射される光が、第2保護部材2を発電部3に向けて透過し得る。その結果、例えば、太陽電池モジュール100では、裏面F2に照射される光も発電部3における光エネルギーから電気エネルギーへの変換に利用され、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上し得る。
【0130】
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0131】
1 第1保護部材
100 太陽電池モジュール
101 太陽電池パネル
101g 間隙
102 フレーム
1f 第1面
1s 第2面
2 第2保護部材
2f 第4面
2t 第3面
3 発電部
31 太陽電池セル
311 第1太陽電池セル
312 第2太陽電池セル
313 第3太陽電池セル
32 配線部
321 第1紐状配線部
322 第2紐状配線部
323 第3紐状配線部
324 連結配線部
3241 第1連結配線部
3242 第2連結配線部
3s 太陽電池ストリング
4 封止材
41 第1封止材
42 第2封止材
43 第3封止材
43a 第3A封止材
43b 第3B封止材
901 積層体
941 第1樹脂材
942 第3樹脂材
943 第2樹脂材
943a 第2A樹脂材
943b 第2B樹脂材
A11 接近領域
B1 第1架設部分
B2 第2架設部分
F1 前面
F2 裏面
図1
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