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  • 特開-ウレタンフォーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098331
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230703BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215036
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 淳志
(72)【発明者】
【氏名】永澤 拓也
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034BA07
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DE02
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG09
4J034DG10
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA41
4J034KA01
4J034NA03
4J034NA05
4J034QC01
4J034QD03
4J034RA01
4J034RA02
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】 優れた性能を有するウレタンフォームの提供。
【解決手段】 少なくとも一方の表面において、表面空隙率が1%以上60%未満であり、平均表面セル径が250μm以下であることを特徴とする、ウレタンフォーム。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面において、表面空隙率が1%以上60%未満であり、平均表面セル径が250μm以下であることを特徴とする、ウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ウレタンフォームは、ウレタンプレポリマーと発泡剤とを含む発泡体組成物を発泡、硬化させて得られ、
前記ウレタンプレポリマーは、前記ウレタンプレポリマー1分子に占めるエチレンオキシドの割合が20.0~55.0質量%であり、
前記ウレタンプレポリマーは、NCO%が4.0~10.0質量%である、
ことを特徴とする、請求項1記載のウレタンフォーム。
【請求項3】
以下の方法によって測定される単位ウレタンフォーム重量当たりの吸水量が12g/g以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウレタンフォーム。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォームを試験片とする。
乾燥状態の試験片の重量Aを測定する。
試験片を重量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の重量Bを測定する。
以下の式より、吸水量を求める。
吸水量=(重量B-重量A)/重量A
【請求項4】
以下の方法によって測定される保水率が60%超であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のウレタンフォーム。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォームを試験片とする。
乾燥状態の試験片の重量Aを測定する。
試験片を重量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の重量Bを測定する。
20秒間吊るした後の試験片に40mmHgとなるように荷重をかける。
荷重を付加した2分後の、試験片の重量Cを測定する。
以下の式より、保水率を求める。
保水率=(重量C-重量A)/(重量B-重量A)×100
【請求項5】
以下の方法によって測定される吸水速度が3sec以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のウレタンフォーム。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
環境温度25℃にて、ウレタンフォームに37℃の評価液を高さ1cmから0.2cc落とし、評価液が滴下されてから評価液がフォームに完全に吸収されるまでの時間を吸水速度とする。
【請求項6】
以下の方法によって測定される飽和膨潤率が300%以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のウレタンフォーム。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
乾燥時の試験片の寸法を測定し、体積Aを算出する。
試験片を、試験片の重量の40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、試験片の寸法を測定し、体積Bを算出する。
以下の式より、膨潤率を求める。
膨潤率=体積B/体積A×100
【請求項7】
前記ウレタンフォームが、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるポリウレタンを含有し、
前記ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネートを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンフォームは、樹脂成分や気泡構造等を変更することで特性を変化させることが可能であり、種々の用途に利用されている。また、ウレタンフォームは、親水性フォームとしても利用されている。具体的には、初期創傷被覆材、化粧用品、失禁製品、ワイプ材、育苗培地などの吸水性(吸水量や吸水速度)が求められる用途で、ウレタンフォームが広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、ポリウレタンフォームの原料であるポリオールとして、エチレンオキサイド含有率が50~90%のポリエーテルポリオールを用いることで得られる、吸水性に優れた親水性ウレタンフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-115256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るウレタンフォームは、親水性には優れる一方で、その他の性能については十分ではない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、優れた性能を有するウレタンフォームの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を行い、特定の構造を有するウレタンフォームによって上記課題を解決可能なことを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
本発明は、
少なくとも一方の表面において、表面空隙率が1%以上60%未満であり、平均表面セル径が250μm以下であることを特徴とする、ウレタンフォームである。
【0009】
前記ウレタンフォームが、ウレタンプレポリマーと発泡剤とを含む発泡体組成物を発泡、硬化させて得られ、
前記ウレタンプレポリマーは、前記ウレタンプレポリマー1分子に占めるエチレンオキシドの割合が20.0~55.0質量%であり、
前記ウレタンプレポリマーは、NCO%が4.0~10.0質量%である、ウレタンフォームであってもよい。
【0010】
前記ウレタンフォームは、単位ウレタンフォーム重量当たりの吸水量が12g/g以上であってもよい。
前記ウレタンフォームは、保水率が60%超であってもよい。
前記ウレタンフォームは、吸水速度が3sec以下であってもよい。
前記ウレタンフォームは、飽和膨潤率が300%以下であってもよい。
前記ウレタンフォームが、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であるポリウレタンを含有し、前記ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネートを含んでいてもよい。
【0011】
本発明によれば、優れた性能を有するウレタンフォームを提供することができる。特に、本発明によれば、親水性フォームとして好ましく使用可能な、優れた性能を有するウレタンフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1に係るウレタンフォームの、表面及び断面のSEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、上限値と下限値とが別々に記載されている場合、任意の上限値と任意の下限値とを組み合わせた数値範囲が実質的に開示されているものとする。
【0014】
以下において、ウレタンフォーム中のある成分の含有量を、原料組成物の固形分を基準とした原料組成物中の当該ある成分の含有量として読み替えることが可能である。
【0015】
以下において、各粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に準拠して測定したE型粘度である。測定は円すい-平板形回転粘度計を用いて行う。
【0016】
以下において、ある化合物が記載されている場合、その異性体も同時に記載されているものとする。
【0017】
以下において、数平均分子量乃至は重量平均分子量の測定方法は、ゲルパーエミッションクロマトグラフィー(例えば、ASTM標準試験D5296に準じたゲルパーエミッションクロマトグラフィー)を用いて測定される。
【0018】
以下において、特に断らない限り、各種測定は、環境温度を室温(25℃)として実施する。
【0019】
以下、ウレタンフォームの、成分、構造、物性、製造方法、用途等について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0020】
<<<成分>>>
ウレタンフォームは、ウレタンプレポリマーを含む発泡体組成物を、発泡、硬化させて得られる。また、ウレタンフォームは、その他の成分を含んでいてもよい。以下、ウレタンフォームの構成原料である、ウレタンプレポリマー、及び、その他の成分について説明する。
【0021】
<<ウレタンプレポリマー>>
ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることで得られる。別の表現によれば、ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物である。より具体的には、ウレタンプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートとをポリイソシアネートが過剰となるようにウレタン反応させて得られる、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーである。
【0022】
<ポリオール>
ポリオールは、特に限定されず、所望のポリウレタンフォームの特性を考慮して自由に選択することができる。
【0023】
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等を挙げることができ、所望のポリウレタンフォームの特性を考慮して自由に選択することができる。
【0024】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール等を挙げることができる。
【0025】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0026】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0027】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものを挙げることができる。
【0028】
ポリオールは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0029】
ポリオールは、ジオール及び/又はトリオールであることが好ましい。
【0030】
ポリオールは、ランダム型ポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。より具体的には、ウレタンプレポリマーを構成する全ポリオール中、ランダム型ポリエーテルポリオールを、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は、90質量%以上含むことが好ましい。
【0031】
ランダム型ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシドを含む。ここで、ランダム型ポリエーテルポリオールのランダム型とは、ランダム共重合体であることを示している。即ち、ランダム型ポリエーテルポリオールとは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドがランダム共重合しているポリエーテルポリオールを示す。なお、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドがブロック共重合しているポリエーテルポリオールはブロック型ポリエーテルポリオールと称するものとする。
【0032】
ランダム型ポリエーテルポリオールは、ランダム型ポリエーテルポリオール1分子に占めるエチレンオキシドの割合(以降、ランダム型ポリエーテルポリオールEO含有率と表現する場合がある)が、20.0質量%以上、25.0質量%以上、又は、30.0質量%以上であることが好ましい。ポリオールとしてEO含有率がこのような範囲のランダム型ポリエーテルポリオールを含むことで、ウレタンプレポリマーのEO含有率を調整し易くなり、優れた親水性のウレタンフォームを得ることができる。
【0033】
ランダム型ポリエーテルポリオールは、ジオール化合物及びトリオール化合物を含むことが好ましい。
【0034】
ランダム型ポリエーテルポリオール全体の水酸基の平均官能基数は、特に限定されないが、2.0超3.0未満、又は、2.4以上2.7以下であることが好ましい。ランダム型ポリエーテルポリオール全体の水酸基の平均官能基数がこのような範囲にある場合、優れた吸水性や低膨潤性等を有するウレタンフォームを得ることができる。
【0035】
ポリオールは、数平均分子量が、200~5000、300~4500、又は、400~4000であること好ましい。特に、ランダム型ポリエーテルポリオールの数平均分子量がかかる範囲にある場合には、ウレタンプレポリマーの数平均分子量が適度な範囲に含まれるため、優れた吸水性や低膨潤性を有するウレタンフォームを得ることができる。
【0036】
なお、ウレタンプレポリマーの原料は、発明の効果を阻害しない範囲で、ポリオール以外のモノオールをアルコール成分として含んでもよい。
【0037】
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートは、特に限定されず、所望のポリウレタンフォームの特性を考慮して自由に選択することができる。
【0038】
ポリイソシアネートは、2官能であってもよいし、3官能以上であってもよい。
【0039】
2官能のポリイソシアネートとしては、例えば、
2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの、
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、
ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のものなどが挙げられる。
【0040】
3官能以上のポリイソシアネートとしては、例えば、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等が挙げられる。
【0041】
また、ポリイソシアネートは、これらの変性体、誘導体等を含むことができる。
【0042】
ポリイソシアネートは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0043】
ポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート含むことが好ましい。より具体的には、ウレタンプレポリマーを構成する全ポリイソシアネート中、脂肪族イソシアネートを、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は、90質量%以上含むことが好ましい。
【0044】
ポリイソシアネートの配合量は、ポリオールの水酸基の平均官能基数、及び、ウレタンプレポリマーのNCO%が所望の範囲となるように配合することができる。ポリイソシアネートの配合量としては、例えば、ポリオール及びポリイソシアネートの全配合量を100質量%とした場合に、10~40質量%、又は、20~35質量%とすることができる。
【0045】
<<その他の成分>>
その他の成分としては、ウレタンプレポリマー以外の樹脂成分や公知の添加剤が挙げられる。公知の添加剤は、例えば、触媒、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0046】
その他の成分は、ウレタンフォーム全量を基準として、10質量%以下、5質量%以下、又は、2質量%以下等とすることができる。
【0047】
<<ウレタンプレポリマーの性質>>
ウレタンプレポリマーの平均官能基数(イソシアネート基数)は、通常2以上であり、2超3未満、又は、2.2以上2.7以下であることが好ましい。
【0048】
ウレタンプレポリマーのNCO%(イソシアネート含有率)は、3.0~10.0%、又は、4.0~10.0%であることが好ましい。ウレタンプレポリマーのNCO%をこのような範囲とすることで、ウレタンフォームを親水性とした際に、吸水速度、吸水量、保水率、膨潤率等のバランスに優れるウレタンフォームとすることが可能となる。
【0049】
ウレタンプレポリマーのNCO%は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定する。
【0050】
ウレタンプレポリマーの25℃における粘度は、3000~15000mPa・s、又は、5000~12000mPa・sであることが好ましい。このような範囲とすることで、優れた性能を有するウレタンフォームを容易に得ることができる。
【0051】
ウレタンプレポリマーの粘度は、例えば、ウレタンプレポリマーの分子量や平均官能基数等を調整することで変更可能である。
【0052】
ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、500~10000、750~7500、又は、1000~5000、又は、1200~2500であることが好ましい。このようは範囲とすることで、ウレタンプレポリマーを含む発泡体組成物の粘度が高くなりすぎず、成形が容易となり、また、優れた吸水性や低膨潤性を有するウレタンフォームを得ることができる。
【0053】
ウレタンプレポリマーの25℃における粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に準拠して測定したE型粘度である。測定は円すい-平板形回転粘度計を用いて行う。
【0054】
ウレタンプレポリマーの1分子に占めるエチレンオキシドの割合(以降、ウレタンプレポリマーEO含有率と表現する場合がある)は、20.0~55.0質量%、25.0~55.0質量%、又は、30.00~52.5質量%であることが好ましい。ウレタンプレポリマーEO含有率をこのような範囲とすることで、優れた吸水性や低膨潤性を有するウレタンフォームを得ることができる。
【0055】
ウレタンプレポリマーEO含有率とは、ウレタンプレポリマー1分子の質量(数平均分子量)を100質量%とした際に、ウレタンプレポリマー1分子に含まれるエチレンオキシドの質量%を示す。
【0056】
ここで、ウレタンプレポリマーEO含有率とは、ウレタンプレポリマーの全量を100質量%とした場合の、ウレタンプレポリマーに含まれるエチレンオキシドの質量%を示す。
【0057】
<<<構造>>>
ウレタンフォームは、連続気泡構造、連続気泡と独立気泡が混合した構造、又は、半連続気泡構造を有する。半連続気泡構造とは、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造である。
【0058】
<<表面空隙率/表面セル径>>
ウレタンフォームの一方の表面における空隙率を表面空隙率Aとし、当該一方の表面における平均セル径を平均表面セル径Aとする。
【0059】
表面空隙率Aは、1%以上、2%以上、3%以上であることが好ましく、また、60%未満、55%未満、50%以下、45%以下、40%以下、30%以下、又は、20%以下であることが好ましい。
【0060】
また、平均表面セル径Aは、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、75μm以下、又は、50μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば、5μm、10μm、又は、15μmである。
【0061】
別の表現によると、ウレタンフォームは、少なくとも一方の表面において、表面空隙率が1%以上60%未満であり、平均表面セル径が250μm以下であることが好ましい。
【0062】
表面空隙率Aや平均表面セル径Aをこのような範囲とすることで、吸水速度、吸水量、保水性、膨潤率等のバランスに優れるウレタンフォームとすることができる。
【0063】
表面空隙率A及び平均表面セル径Aは、発泡体組成物の粘度及び発泡剤の量を変更すると共に、発泡組成物を塗工する際の塗工面となる基材の種類(特に、基材の表面粗さ)及び発泡体組成物の加熱温度を変更することで、調整することができる。
【0064】
ウレタンフォームの表面空隙率及び平均表面セル径は、以下の方法に従って測定することができる。
(測定方法)
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHX-D510)を用いて、発泡層の表面の拡大画像(評価面積)を取り込み、表面画像とする。
セル径については、撮影した表面画像に含まれる全てのセルを付属の画像処理ソフトで画像解析することにより平均セル径(μm)を求める。ここで、各セルの最長径をセル径とする。
表面空隙率については、撮影した表面画像を付属の画像処理ソフトで色の明暗で樹脂骨格部分と空隙部分を分け、空隙部分の面積を算出し、色の明暗で明確に樹脂骨格部分と空隙部分を分けられない箇所については手動で補修し、下記式によって空隙率を算出する。
空隙率(%)=(空隙部分の面積)/評価面積×100
【0065】
平均表面セル径Aの算出に際して、各セルのセル径(最長径)の標準偏差が、150μm以下、120μm以下、75μm以下、又は、50μm以下であることが好ましい。
【0066】
なお、ウレタンフォームの一方の表面とは、例えば、親水性ウレタンフォームにおいては、水に接触し易い表面(吸水面を構成する表面)である。
【0067】
ウレタンフォームの別の表面における空隙率(表面空隙率B)及び平均セル径(平均表面セル径B)は、特に限定されない。例えば、表面空隙率Bは、好ましくは1%以上60%未満であるが、1%未満又は60%以上であってもよい。また、平均表面セル径Bは、好ましくは250μm以下であるが、250μm超であってもよい。
【0068】
<<厚み>>
ウレタンフォームの厚みは、用途に応じて変更可能であり特に限定されないが、例えば、0.5~10.0mm、又は、1.0~5.0mm等とすることができる。
【0069】
<<断面セル径>>
ウレタンフォームの厚みをTとしたときに、ウレタンフォームの表面(前記した一方の表面)から厚み0.1Tにおける断面のセル径である0.1T断面セル径が、100~500μm、又は、200~400μmであることが好ましい。
【0070】
また、ウレタンフォームの表面(前記した一方の表面)から厚み0.5Tにおける断面のセル径である0.5T断面セル径が、200~700μm、又は、300~600μmであることが好ましい。
【0071】
また、ウレタンフォームの表面(前記した一方の表面)から厚み0.9Tにおける断面のセル径である0.9T断面セル径が、100~500μm、又は、200~400μmであることが好ましい。
【0072】
0.5T断面セル径/0.1T断面セル径0.1Tは、1.1以上、1.2以上、又は、1.3以上であることが好ましく、また、2.0以下、1.9以下、又は、1.8以下であることが好ましい。
【0073】
0.5T断面セル径/0.9T断面セル径は、1.1以上、1.2以上、又は、1.3以上であることが好ましく、また、2.0以下、1.9以下、又は、1.8以下であることが好ましい。
【0074】
断面セル径をこのような範囲とすることで、吸水速度、吸水量、保水性、膨潤率等のバランスに優れるウレタンフォームを得やすい。
【0075】
0.1T断面セル径、0.5T断面セル径、0.9T断面セル径は、以下の方法に従って測定することができる。
(測定方法)
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHX-D510)を用いて、発泡層の各断面の拡大画像を取り込み、画像解析することにより各断面の平均セル径(μm)を求める。なお解析する気泡数は30個で、各セルの最長径の平均値を算出する。
【0076】
<<密度>>
ウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、例えば、70~150kg/m、又は、80~120kg/mであることが好ましく、90~100kg/mであることが特に好ましい。
【0077】
ウレタンフォームの密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従い測定することができる。具体的には、ウレタンフォームの密度は、ウレタンフォームを長さ100mm×幅100mm×厚み2mmに加工し、測定した質量を体積で除した値として得ることができる。
【0078】
<<<物性>>>
<<吸水量>>
ウレタンフォームは、以下の方法によって測定される単位ウレタンフォーム重量当たりの吸水量が、12g/g以上、15g/g以上、又は、20g/g以上であることが好ましい。
【0079】
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォームを試験片とする。
乾燥状態の試験片の重量Aを測定する。
試験片を重量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の重量Bを測定する。
以下の式より、吸水量を求める。
吸水量=(重量B-重量A)/重量A
【0080】
<<保水率>>
ウレタンフォームは、以下の方法によって測定される保水率が、60%超、70%超、又は、85%超であることが好ましい。
【0081】
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
50mm×50mmのウレタンフォームを試験片とする。
乾燥状態の試験片の重量Aを測定する。
試験片を重量Aの40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、20秒間吊るした後、試験片の重量Bを測定する。
20秒間吊るした後の試験片に40mmHgとなるように荷重をかける。
荷重を付加した2分後の、試験片の重量Cを測定する。
以下の式より、保水率を求める。
保水率=(重量C-重量A)/(重量B-重量A)×100
【0082】
<<吸水速度>>
以下の方法によって測定される吸水速度が、3sec以下、又は、1.5sec未満であることが好ましい。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
環境温度25℃にて、ウレタンフォームに37℃の評価液を高さ1cmから0.2cc落とし、評価液が滴下されてから評価液がフォームに完全に吸収されるまでの時間を吸水速度とする。
【0083】
<<飽和膨潤率>>
以下の方法によって測定される飽和膨潤率が、300%以下、250%以下、又は、200%以下であることが好ましい。
(測定方法)
塩化ナトリウム8.4g及び塩化カリウム0.4gを蒸留水で希釈し、1Lの溶液としたものを評価液とする。
乾燥時の試験片の寸法を測定し、体積Aを算出する。
試験片を、試験片の重量(前述した重量A)の40倍の評価液に37℃で30分間浸漬する。
評価液に30分間浸漬した後の試験片を評価液から取り出し、試験片の寸法を測定し、体積Bを算出する。
以下の式より、膨潤率を求める。
膨潤率=体積B/体積A×100
【0084】
<<<製造方法>>>
ウレタンフォームは、公知の方法に基づいて製造することが可能である。例えば、ウレタンフォームは、ウレタンプレポリマーと発泡剤とを含む発泡体組成物を発泡、硬化させて得られる。
【0085】
以下、ウレタンフォームの好ましい製造方法を説明する。
【0086】
<<ウレタンプレポリマーの製造>>
所定量のポリイソシアネートの入った反応容器に、所定量のポリオール及び必要に応じて触媒を滴下し、その後反応容器内を加熱、攪拌させることで、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、ウレタンプレポリマーを製造する。反応温度は、特に限定されないが、通常50~120℃、好ましくは60~100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常1~15時間である。
【0087】
ポリオール、ポリイソシアネート等については前述の通りである。
【0088】
触媒は、ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知のものを使用することができる。例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。
【0089】
アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
【0090】
有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等を挙げることができる。
【0091】
触媒は単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0092】
触媒の配合量は、ポリオール及びイソシアネートの全量を100質量部とした場合に、0.001~5.0量部であることが好ましい。
【0093】
<<原料組成物の調製>>
ウレタンプレポリマー及び発泡剤を含む発泡体組成物を準備する。発泡体組成物は、必要に応じて、整泡剤を含んでいてもよい。また、発泡体組成物は、前述したその他の成分を含んでいてもよい。
【0094】
ウレタンプレポリマー、その他の成分については前述の通りである。
【0095】
<発泡剤>
発泡剤は、特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、ペンタン、シクロペンタン、メチレンクロライド、炭酸ガス等を挙げることができる。これらは単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0096】
発泡剤は、水を含むことが好ましい。発泡剤として、水を用いた場合には、プレポリマーに含まれるイソシアネート基と水との反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによってウレタンフォームの発泡が行われる。
【0097】
発泡剤の配合量は、ウレタンプレポリマーを100質量部とした場合に、10~40質量部であることが好ましく、15~30質量部であることがより好ましい。
【0098】
<整泡剤>
整泡剤は、特に限定されない。整泡剤としては、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0099】
整泡剤の配合量は、ウレタンプレポリマーの配合量を100質量部とした場合に、0.1~10.0質量部とすることができる。
【0100】
<<発泡/硬化>>
先ず、必要に応じて発泡体組成物を攪拌する(攪拌工程)。
次いで、発泡体組成物を基材上に塗工する(塗工工程)。
その後、必要に応じて発泡体組成物を加熱し、発泡及び硬化を完了させ、ウレタンフォームを製造する(反応工程)。
【0101】
<攪拌工程>
攪拌工程は、発泡体組成物の各成分を均一に混合するために実施される。発泡体組成物中の各成分が十分に均一化されている場合には、攪拌工程を実施する必要はない。
【0102】
攪拌工程は、ミキサー等の公知の攪拌手段を用いて実施することができる。
【0103】
攪拌工程の攪拌条件は、発泡体組成物の粘度や配合する成分等に応じて適宜選択すればよい。
【0104】
<塗工工程>
塗工工程では、発泡体組成物を基材上に塗工する。
【0105】
ウレタンフォームを製造する際に、表面粗さの非常に小さいPETフィルムが使用された場合、発泡体組成物中から発生した気泡が、基材で覆われた発泡体組成物の表面に滞留し易い。一方で、所定の表面粗さを有する基材を使用することで、発泡体組成物中から発生した気泡が、適度に系外に脱気される。その結果、ウレタンフォームの表面空隙率Aや平均表面セル径Aを所定範囲とし易くなる。
【0106】
このような観点から、基材の塗工面は、算術平均高さSaが、0.015μm以上、0.020μm以上、0.030μm以上、0.050μm以上、0.100μm以上、又は、0.500μm以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、例えば、5.000μm、4.000μm、又は、3.000μmである。
換言すれば、ウレタンフォームの製造方法は、塗工面の算術平均高さSaが、0.015μm以上である基材に発泡体組成物を塗工する工程を含むことが好ましい。
【0107】
また、基材の塗工面は、展開面積比Sdrが、0.005以上、0.010以上、0.015以上、0.020以上、又は、0.050以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、例えば、0.500、0.400、又は、0.300である。
換言すれば、ウレタンフォームの製造方法は、塗工面の展開面積比Sdrが、0.005以上である基材に発泡体組成物を塗工する工程を含むことが好ましい。
【0108】
基材の算術平均高さSa及び展開面積比Sdrは、以下の方法により測定することができる。
(測定方法)
レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK-X1000)を用いて、基材の表面状態を撮影し、付属の解析ソフトにより算術平均高さSa及び展開面積比Sdrを算出する。
【0109】
基材の算術平均高さSaは、基材の製造方法や材質を変更する、基材に表面処理(ポリプロピレンラミネートやシリコーン離型処理)を実施する(乃至は表面処理の条件を変更する)、適宜の凹凸を基材に転写させる、等によって調整することができる。
【0110】
基材の材質は、特に限定されない。基材は、例えば、前述した算術平均高さSaを所定の範囲とすることができるものであればよく、公知のもの(シリコーン離型フィルム、PPラミネートフィルム等)を使用することができる。
【0111】
塗工工程においては、発泡体組成物の基材と接した面の反対側の面を、更に別の基材で被覆してもよい。
【0112】
塗工手段としては、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロールコーター、キャストコーター等、公知の塗工手段を使用することができる。塗工条件(塗工速度等)は、所望のウレタンフォームの形状等にあわせて適宜調整可能である。
【0113】
<反応工程>
反応工程は、通常、15~120℃、好ましくは15~60℃の温度で行われる。反応時間は通常1~10分である。
【0114】
このようにして得られた発泡体に対して、必要に応じて、乾燥工程を実施してもよい。乾燥工程は、例えば、加熱炉・マイクロ波オーブン、高周波誘導加熱、熱風乾燥等を用いて、発泡体を80~120℃の環境に曝す方法が挙げられる。
【0115】
<<<用途>>>
ウレタンフォームは、種々の用途に使用することが可能であるが、吸水用とすることが好ましい。より具体的には、ウレタンフォームは、ワイプ材、育苗培地、生理用品、創傷被覆材等に用いることが好ましい。
【実施例0116】
以下、実施例及び比較例により、ウレタンフォームを具体的に説明するが、本発明は以下には限定されない。
【0117】
<<<ウレタンフォーム原料>>>
ウレタンフォームの原料を以下に示す。
【0118】
<<ポリオール>>
<ポリオール1>
ランダム型ポリエーテルポリオール
トリオール化合物
EO率70%
数平均分子量1500
<ポリオール2>
ランダム型ポリエーテルポリオール
ジオール化合物
EO率50%
数平均分子量1000
【0119】
<<ポリイソシアネート>>
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
【0120】
<<触媒>>
TIB Chemical社製 KAT 716LA
【0121】
<<発泡剤>>
【0122】
<<整泡剤>>
ADEKA社製 プルロニック(登録商標)L-64
【0123】
<<<ウレタンプレポリマーの製造>>>
表に示す配合量にて、ポリオール、イソシアネート、触媒を反応槽に計量し、60℃に加熱し、8時間反応させた。
【0124】
<<NCO%>>
各ウレタンプレポリマーのNCO%を、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定した。
【0125】
<<EO含有率>>
各ウレタンプレポリマーのEO含有率を原料から算出した。各実施例及び比較例で使用したプレポリマーのEO含有率は46.4%である。
【0126】
<<粘度>>
各ウレタンプレポリマーの25℃における粘度を、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に従い、円すい-平板形回転粘度計(登記産業社製 RE-85R)を用いてE型粘度として測定した。
【0127】
<<数平均分子量>>
各ウレタンプレポリマーの数平均分子量を、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーを用いて測定した。
【0128】
<<<ウレタンフォームの製造>>>
表に示す配合量にて、ウレタンプレポリマー、発泡剤、整泡剤を混合して発泡体組成物を調製し、ロールコーターを用いて厚みが0.2mmになるようクリアランス調整をしつつ発泡体組成物を基材上にキャスティングし、更に発泡体組成物上に基材を挿入し、基材で発泡体組成物がサンドイッチされた状態で、表に示す温度環境にて発泡、硬化させ、シート状のウレタンフォームを得た。
各ウレタンフォームにおいて、水分が残留しているものについては、80℃の乾燥炉内で、完全に乾燥するまで加熱した。
【0129】
比較例1に係るウレタンフォームは、実施例1に係るウレタンフォームの厚み0.5T(フォームの厚み中心部)の箇所をスライスし、スライス後の面を新たな表面としたフォームである。
【0130】
各ウレタンフォームの製造に使用した基材(組成、塗工面の表面粗さ、展開面積比)を表に示す。
【0131】
実施例1に係るウレタンフォームの、表面及び断面のSEM写真を図1に示す。
【0132】
<<<測定>>>
各ウレタンフォームについて、密度、平均表面セル径及び表面セル径の標準偏差、表面空隙率、断面セル径、吸水速度、吸水量、保水率、飽和膨潤率を測定した。測定方法は、前述の通りである。
【0133】
吸水速度を以下のように評価した。
△:3.0sec超
○:1.5sec以上3.0sec以下
◎:1.5sec未満
【0134】
吸水量を以下のように評価した。
×:12g/g未満
△:12g/g以上
○:15g/g以上
◎:20g/g以上
【0135】
保水率を以下のように評価した。
×:60%以下
△:60%超
○:70%超
◎:85%超
【0136】
吸水速度、吸水量、保水率の評価に基づき、以下の基準により総合評価を行った。
×:×が1つ以上ある
△:×がなく、△が1つ以上ある
○:×及び△がなく、◎が1つ以上ある
◎:×及び△がなく、◎が2つ以上ある
【0137】
【表1】

図1