(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098332
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ブラキシズム低減装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20230703BHJP
A61C 19/06 20060101ALI20230703BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20230703BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20230703BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61C19/00 M
A61C19/06 Z
A61N1/36
A61B5/16 130
A61B5/11 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215037
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】522002146
【氏名又は名称】加治 初彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加治 初彦
【テーマコード(参考)】
4C038
4C052
4C053
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038VA04
4C038VB06
4C038VB34
4C052LL07
4C052MM01
4C053JJ06
4C053JJ11
4C053JJ27
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、睡眠中のブラキシズムを低減可能なブラキシズム低減装置を提供する。
【解決手段】睡眠時のブラキシズム低減装置であって、使用者の咬筋に設置する単一電極からなる筋電位センサと、使用者の顎二腹筋前腹又は顎二複筋周辺の拮抗筋群に設置する単一電極からなるEMS電極と、睡眠時の前記筋電位センサからの咬筋のEMG信号を検出し、検出結果が閾値以上である場合に、使用者の拮抗筋である顎二腹筋前腹又は顎二複筋周辺の拮抗筋群へ微弱なEMS駆動信号を出力し、前記EMS電極に電気刺激を与える前記装置本体とを備え、前記装置本体(1)は、電源スイッチ(2)と、小形の二次電池(27)と、前記二次電池(27)に外部から充電を行うためのUSB充電端子(3)と、使用者への首装着用の取付部材(8)と、を具備した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時のブラキシズム低減装置であって、
使用者の咬筋に設置する単一電極からなる筋電位センサと、
使用者の顎二腹筋前腹又は顎二複筋周辺の拮抗筋群に設置する単一電極からなるEMS電極と、
睡眠時の前記筋電位センサからの咬筋のEMG信号を検出し、検出結果が閾値以上である場合に、使用者の拮抗筋である顎二腹筋前腹又は顎二複筋周辺の拮抗筋群へ微弱なEMS駆動信号を出力し、前記EMS電極に電気刺激を与える前記装置本体とを備え、
前記装置本体は、
電源スイッチと、
小形の二次電池と、
前記二次電池に外部から充電を行うためのUSB充電端子と、
使用者への首装着用の取付部材と、
を具備したブラキシズム低減装置。
【請求項2】
前記筋電位センサとEMS電極の設置は、医療用紙テープを貼り付けることにより行う請求項1記載のブラキシズム低減装置。
【請求項3】
前記取付部材は、2つの端部を有しており、一端と他端はマグネット接続の首輪型部材である請求項1又は請求項2記載のブラキシズム低減装置。
【請求項4】
前記取付部材は、伸縮自在な蛇腹状の紐である請求項1から請求項3記載のいずれか一記載のブラキシズム低減装置。
【請求項5】
前記USB充電端子は、タイプCである請求項1から請求項4のいずれか一記載のブラキシズム低減装置。
【請求項6】
前記装置本体は、首の下部で固定する請求項1から請求項5のいずれか一記載のブラキシズム低減装置。
【請求項7】
前記ブラキシズム低減装置は、所定時間使用すると、自動的に電源オフする請求項1から請求項6のいずれか一記載のブラキシズム低減装置
【請求項8】
前記所定時間は、約8時間から10時間である請求項1から請求項7のいずれか一記載のブラキシズム低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラキシズム低減装置に関し、特に咀嚼筋の筋電位を検出してEMS電気刺激信号をフィードバック制御し、睡眠時のブラキシズムを低減するのに好適なブラキシズム低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラキシズムとは、食事や会話などとは別に、無意識に上下の歯を噛み合わせたり、食いしばったり、カチカチと噛み合わせたりしてしまう癖のことをいう。ブラキシズムは、グラインディング、クレンチング、タッピングの3つに分けられる。グラインディングとは、いわゆる歯ぎしりのことで、ギリギリと音をたてて、強く歯をこすり合わせる習癖(くせ)のことをいい、睡眠中(就寝中)に発生することが多く、歯のすり減りが起こりやすい。クレンチングとは、上下の歯を強く食いしばる習癖のことをいう。タッピングは、上下の歯をカチカチと連続的に速く噛み合わせる習癖のことをいう。
【0003】
このようなブラキシズム自体は生理的な反応であるが、ストレスの長期化により、強いブラキシズムが習慣化されると、歯や顎(あご)のトラブル、肩こりや頭痛の原因となる場合がある。ブラキシズムにより引き起こされる具体的な症状としては、歯がすり減る、破折する、くさび状欠損、歯がしみる(知覚過敏)などの歯への影響がある。その他に、歯周病の悪化、歯の動揺、歯肉退縮などの歯周組織への影響や、顎関節症などの顎関節への影響だけでなく、肩こり、頭痛などの全身への影響が起こりうる。
【0004】
このようなブラキシズムは、咀嚼筋(側頭筋や咬筋)の過度な咬合力により、発生することが知られている。また、一般的な口腔インプラントでは、顎骨に埋め込んだインプラントと人工歯とを連結する構造が、インプラントに固定するアバットメントスクリューと、人工歯を固定するスクリューとからなっており、これらのスクリューには、睡眠時の歯ぎしりでは100~300Kgの応力がかかるため、継続的に睡眠時の歯ぎしりが発生すると、スクリューの破損が生じることがある。
【0005】
ブラキシズムの対処法としては、顎や首の負担を軽減する日常生活の指導を受けたり、かみ合わせの調整やマウスピースの装着、筋肉の緊張を和らげる薬を使用する場合もある。さらに、側頭筋(こめかみ)の筋電位を検出して弱い電気刺激信号をフィードバック制御し、側頭筋(こめかみ部分)を直接弛緩させ、睡眠時のブラキシズムを低減するブラキシズム低減装置も発売された。
【0006】
このブラキシズム低減装置の例としては、サンスターグループから、睡眠時の歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)を測定し、歯ぎしりを検知すると弱い電気刺激を発生させることにより、側頭筋(こめかみ部分)を直接弛緩させ、それらを低減する機器「バトラーグラインドケア(登録商標)」が歯科医院向けに発売されている。
【0007】
上記バトラーグラインドケア(登録商標)は、専用の装着用ジェルパット(導電性ジェルシート)を使用し、ある程度の期間使用すると肌粘着性が低下するので、交換しなければならず、消耗品にかかるコストも高くなる。
【0008】
上記したようなブラキシズム低減装置として、関連する特許文献としては、例えば、特表2006-521844号公報(特許文献1)、特許第4809212号公報(特許文献2)、特表2018-526051号公報(特許文献3)などが挙げられる。
【0009】
一方、口腔内に装着してブラキシズムを低減する装置としては、就寝中の歯ぎしりより歯を保護する目的で使用するマウスピースの例が挙げられる。就寝前にマウスピースを口にくわえ(銜え)、就寝することにより歯ぎしりの影響を改善するものである(特開平2-74274号公報(特許文献4))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2006-521844号公報
【特許文献2】特許第4809212号公報(特許文献1の対応登録特許)
【特許文献3】特表2018-526051号公報
【特許文献4】特開平2-74274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1、2は、フィードバック制御ループのブラキシズム低減装置で、使用者の筋活動を表す信号(EMG信号及び/又はEEG信号)を提供する手段と、歯ぎしりを検出しかつ歯ぎしり検出の基準を確立するために前記信号を処理する手段と、フィードバック信号を提供する手段と、を備え、前記装置は設定モードにおいて動作可能であり、この設定モードにおいては前記使用者の正常に起こる筋活動と実質的に最大の筋活動とを測定し、記録し、かつ正常に起こる筋活動より大きく実質的に最大の筋活動より小さい、フィードバック信号を出力するための筋活動の閾値を計算するために処理して、前記使用者へのフィードバックの判断基準を前記使用者個人に適合するように定め、そして前記装置は使用モードにおいて動作可能であり、この使用モードにおいては前記使用者の筋活動が測定され処理されて測定された筋活動の値が前記設定モードにおいて計算された閾値を超えるときフィードバック信号が出されるようにした使用者の歯ぎしりに関する筋活動を監視する装置を構成している。上記特許文献1、2では、咬筋や側頭筋を直接弛緩させてブラキシズムの低減を図っている。
【0012】
上記特許文献1、2のブラキシズム低減装置は、咀嚼筋のEMG信号や脳波のEEG信号を測定し、記録し、使用者の歯ぎしりに関する筋活動を監視する装置であるので、正確な歯ぎしりの筋活動が把握できるが、複雑なシステム構成をしており、システムコストが高くなるという課題があった。
【0013】
上記文献3は、バイオフィードバックセンサに取り外し可能な保護シート(導電性シート)を含む使い捨て粘着性基板であり、装置の維持コストがかかるという問題があった。
【0014】
上記文献4は、マウスピースを個人個人に作製すると、コストがかかるという問題があった。また、既製品を作製して使用することも考えられるが、既製品だと歯の大きさは個人差があるので、かみ合いが悪いという問題があった。
【0015】
上述したような課題を解決するため、本発明の目的は、簡単な構成で、睡眠中のブラキシズムを低減可能なブラキシズム低減装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のブラキシズム低減装置は、以下の構成である。
睡眠時のブラキシズム低減装置であって、使用者の咬筋に設置する単一電極からなる筋電位センサと、使用者の顎二腹筋前複又は顎二複筋周辺の拮抗筋群に設置する単一電極からなるEMS電極と、睡眠時の前記筋電位センサからの咬筋のEMG信号を検出し、検出結果が閾値以上である場合に、使用者の拮抗筋である顎二腹筋前腹又は顎二複筋周辺の拮抗筋群へ微弱なEMS駆動信号を出力し、前記EMS電極に電気刺激を与える前記装置本体とを備え、前記装置本体は、電源スイッチと、小形の二次電池と、前記二次電池に外部から充電を行うためのUSB充電端子と、使用者への首装着用の取付部材と、を具備したブラキシズム低減装置(請求項1対応)。
【0017】
前記構成に加え、前記筋電位センサとEMS電極の設置は、医療用紙テープを貼り付けることにより行う(請求項2対応)。
【0018】
前記構成に加え、前記取付部材は、2つの端部を有しており、一端と他端はマグネット接続の首輪型部材である(請求項3対応)。
【0019】
前記構成に加え、前記取付部材は、伸縮自在な蛇腹状の紐である(請求項4対応)。
【0020】
前記構成に加え、前記USB充電端子は、タイプCである(請求項5対応)。
【0021】
前記構成に加え、前記装置本体は、首の下部で固定する(請求項6対応)。
【0022】
前記構成に加え、前記ブラキシズム低減装置は、所定時間使用すると、自動的に電源オフする(請求項7対応)。
【0023】
前記構成に加え、前記所定時間は、約8時間から10時間である(請求項8対応)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡単な構成で、睡眠中のブラキシズムを低減可能なブラキシズム低減装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本実施形態のブラキシズム低減装置の構成図。
【
図2】本実施形態のブラキシズム低減装置を首に装着した状態を示す図。
【
図3】本実施形態のブラキシズム低減装置を首に装着し、紙テープで電極を貼り付けた状態を示す図。
【
図4】本実施形態のブラキシズム低減装置を首に装着し、紙テープで電極を貼り付けた状態を示す図。
【
図5】本実施形態のブラキシズム低減装置の首装着部材を伸縮自在の蛇腹で構成した例を示す図。
【
図6】本実施形態のブラキシズム低減装置の筋電位センサとEMS電極の設置位置を説明するための図。
【
図7】本実施形態のブラキシズム低減装置のブラキシズム低減動作を説明するための図。
【
図8】本実施形態のブラキシズム低減装置の機能ブロック図。
【
図9】本実施形態のブラキシズム低減装置における充電用変換アダプタと接続用USBケーブルの構成図。
【
図10】本実施形態のブラキシズム低減装置の充電動作フロー図。
【
図11】本実施形態のブラキシズム低減装置の動作フロー図。
【
図12】本実施形態のブラキシズム低減装置の紐調節部の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照し、本発明に係るブラキシズム低減装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。また、以下の実施形態は、本発明の欠くことのできない要件を含む他に、選択的に採用することのできる要件及び適宜に組み合わせることのできる要件を含んでいる。
【0027】
<実施形態>
本実施形態は、睡眠時のブラキシズム低減装置であって、使用者の咬筋に設置する単一電極からなる筋電位センサと、使用者の顎二腹筋前腹に設置する単一電極からなるEMS電極と、睡眠時の前記筋電位センサからの咬筋のEMG信号を検出し、検出結果が閾値以上である場合に、使用者の拮抗筋である顎二腹筋前腹へ微弱なEMS駆動信号を数秒間(例えば、1秒又は2秒間)出力し、前記EMS電極に電気刺激を与える前記装置本体とを備え、前記装置本体は、電源スイッチと、小形の二次電池と、前記二次電池に外部から充電を行うためのUSB充電端子と、使用者への首装着用の取付部材と、を具備したものである。
この構造により、睡眠時、咬筋に持続的な筋電位が現れた瞬間に拮抗筋(顎二腹筋前腹)に刺激を与えて、拮抗筋(顎二腹筋前腹)を収縮させて顎(口)を開く方向に作用させるので、ブラキシズムを低減することができるという効果を奏する。
【0028】
<構成>
本実施形態のブラキシズム低減装置は、
図1、
図6に示すように、ブラキシズム低減装置本体1と、電源スイッチ2と、USB充電端子3と、充電インジケータ4と、信号線(信号ケーブル)5と、EMS電極6と、筋電位センサ7と、取付部材8と、接続部材9と、を有する。
【0029】
<構成の説明>
使用者がブラキシズム低減装置本体1に取り付けられた取付部材8の接続部材9を、
図1に示すように、接続部材9aと接続部材9bに分離し、取付部材8により首に装着して使用する。この使用状態を
図2に示す。
図2の例では、使用者10が就寝時(睡眠時)にブラキシズム低減装置本体1を装着部材8により首に装着し、ベット16に横たわっている状態を示している。筋電位センサ7は
図6に示すような使用者の咬筋14に設置(単一の電極である)され、EMS電極6は
図6に示すような顎二腹筋前腹12に設置(単一の電極である)されている。本実施形態では、使用者の顔表面の片側の咬筋や顎二腹筋前腹に筋電位センサ7やEMS電極6を備えている。装置を簡単化した方が装置の使い勝手が良く、低コスト化が図れるからである。
【0030】
図7に本ブラキシズム低減装置の原理的な概念図を示す。上述したような装着状態において、ブラキシズム低減装置本体1は、睡眠時、筋電位センサ7からのEMG信号を受信し、咬筋に持続的な電位が現れたことを検出すると、EMS電極6に対してEMS駆動信号を出力する。EMS電極6はEMS駆動信号を受けて、使用者の睡眠時(就寝時)の眠りを妨げない程度の弱い筋肉刺激を拮抗筋である顎二腹筋前腹12に与える。すると、筋肉刺激を与えられた顎二腹筋前腹12が収縮し、舌骨15の上部にある顎舌骨筋13を引っ張り、顎(口)を開こうとする。
図3、
図4、
図5に睡眠時のブラキシズム低減装置の各部の設置方法(固定方法)を示す。
図3の例では、筋電位センサ7やEMS電極6を医療用紙テープ11を所定長さにカットし、各設置位置に接着固定した例を示す。医療用紙テープは安いので、専用のジェルパットを使用するより、消耗品が安く済むので、維持コストが安くなる。
図1、
図6の例では、ひも(紐)状の取付部材8を使用していたが、首にぴったりフィットするチョーカーでも良い。
図4の例では、ブラキシズム低減装置本体1を首の真ん中付近に医療用紙テープ11で接着固定した状態を示している。
図5の例では、首装着用の取付部材8aを伸縮自在の蛇腹状の紐とした変形例を示す。睡眠時に寝返りをしても外れないような取付方法であれば、他の構成を採用しても良い。
図12に
図1の取付部位8に紐調節部(17、18)を設けた例を示す。
【0031】
ここで、上記EMS電極の設置は、拮抗筋である顎二腹筋前腹に行っているが、顎二複筋周辺の拮抗筋群に設置しても良い。すなわち、顎二複筋周辺の拮抗筋群にEMS電極6を医療用紙テープ11で装着(貼付)しても良い。顎二複筋周辺の拮抗筋群としては、顎二複筋も含めた舌骨上筋群である。
これにより、使用者の睡眠時のブラキシズムが低減できる。
【0032】
電源スイッチ2は、ボタンを押下することにより、電源ON又はOFFすることができる。
る。
【0033】
USB充電端子3は、パワーデリバリー対応のタイプCであり、複数の電圧を使用できる。
【0034】
充電インジケータ4は、充電式電池27(小形の二次電池)に充電中はLEDランプを点滅表示させ、充電完了になったとき、LEDランプを消灯させる。LEDランプの表示形態は、適宜変更して使用しても良い。例えば、充電中は点滅表示させ、充電完了で連続表示にさせたりしても良い。充電は、
図9に示すように、ブラキシズム低減装置本体1の側面に設けられたUSB充電端子(例えば、USBタイプC)にUSBケーブル31の一端であるUSBタイプCコネクタ32を接続し、USBケーブル31の他端であるUSBコネクタ30をUSB電源変換アダプタ29に接続した状態で行う。睡眠時の装置使用は予め充電されているものを使う。
【0035】
信号線(信号ケーブル)5は、1本のケーブルで実現しているが、EMS電極6と筋電位センサ7は、内部ではそれぞれ別々に装置本体1と直接接続されている。配線の簡素化を図った。
【0036】
USB電源変換アダプタ29は、
図9に示すような形状をしており、AC電源の交流電圧を直流電圧、例えば5V電圧などに変換して、充電池への電源供給を行う。
【0037】
USBケーブル31の一端には24ピンのUSBタイプCコネクタ32を備えており、他端は通常のUSBコネクタ3を備えている。
【0038】
以下、
図10を用いて本実施形態のブラキシズム低減装置の充電動作について説明する。
【0039】
<ブラキシズム低減装置の充電動作>
まず、ブラキシズム低減装置本体1のUSBタイプCコネクタ充電端子3(
図1~
図6参照)にUSBケーブル31の一端のUSBタイプCコネクタ32を接続し、他端のUSBコネクタ30をUSB電源変換アダプタ29に接続し、USB電源変換アダプタ29を商用電源コンセント(図示省略)に差し込むと(ステップ101)、充電が開始される(ステップ102)。充電中は充電インジケータ9のLEDランプが点滅表示される。充電が完了すると、充電インジケータ7が消灯したり、常時点灯させることにより、充電完了を使用者に知らせて確認する(ステップ103)。これにより、充電が完了し、ブラキシズム低減装置本体1が使用できるようになる。
【0040】
以下、
図11を用いて本実施形態のブラキシズム低減装置の動作について説明する。
【0041】
<ブラキシズム低減装置本体の動作>
ブラキシズム低減装置本体の使用時は、予め、充電されたブラキシズム低減装置を用意しておくものとする。また、充電不足の場合は、
図10に示すような充電動作を行ってから使用する。
【0042】
まず、
図11に示すように、使用者が装置本体1の電源をオンすると(ステップ111)、筋電位センサからの筋電位(EMG)信号の検出を行う(ステップ112)。筋電位(EMG)信号が閾値以上である場合(継続して一定の出力)、EMS駆動信号を発生し(ステップ113)、EMS電極6へパルス信号を出力する。また、筋電位(EMG)信号が閾値以下である場合は、ステップ112の検出を繰り返す。EMS駆動信号としてのパルス信号は数秒間行う。例えば、1秒から2秒程度の時間行う。数秒間の刺激であれば、使用者の睡眠状態を妨げないと考えるからである。
上記ステップ112、113の動作は、所定時間行う。例えば、8時間から10時間程度である。
図13(a)(b)(c)に、一夜の複数人の健常者の睡眠経過時間(パターン)を示す。
図13(a)(b)(c)によれば、睡眠時間は約6時間から7時間を超えたぐらいの時間である。また、ロングスリーパーの方でも10時間ぐらいの睡眠時間を採っているデータもある。これらの時間を考慮して8時間から10時間の動作を行う。
図13(a)(b)(c)は、放送大学教材「三訂版 睡眠と健康(’21)」2021年3月発行 宮崎総一郎、林光雄緒編著、49頁~51頁(Dement & Kleitman.1957)より引用した。睡眠時ブラキシズムは、大半がレム睡眠時又は浅いノンレム睡眠時(睡眠段階1、2)に発生することが分かっている。したがって、このタイミングで起こる睡眠時のブラキシズムを低減することができる。
装置本体は、所定時間(約8時間~10時間)動作後、自動電源オフとなる(ステップ115)。
【0043】
図8は、本実施形態のブラキシズム低減装置の機能ブロック図である。
図8に示すように、ブラキシズム低減装置本体1は、操作部21と、制御部22と、通知部23と、電源部24と、パルス発生部25と、充電端子26と、充電式電池27(小形の二次電池)と、充電制御部28とを有する。本ブラキシズム低減装置は、ブラキシズム低減装置本体1と、EMS電極6、筋電位センサ7とから構成される。ACアダプタ29により充電を行う。
【0044】
このように、本実施形態によれば、簡単な構成で、ブラキズム低減可能なブラキシズム低減装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ブラキシズム低減装置本体
2 電源スイッチ
3 USB充電端子
4 充電インジケータ
5 信号線(信号ケーブル)
6 EMS電極
7 筋電位センサ
8 取付部材
9 接続部材
10 使用者
12 顎二腹筋前腹
13 顎舌骨筋
14 咬筋
15 舌骨