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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098337
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215042
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101CA08
2B101CC02
(57)【要約】
【課題】動物の成長にかかわらず長期にわたって使用するのに適した動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ1は、本体容器10を備えている。本体容器10は、底面部12及び側面部14を有している。底面部12の有効面積は、可変である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する本体容器を備え、
前記底面部の有効面積は、可変であることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記有効面積の最大値は、当該有効面積の最小値の1.5倍以上である動物用トイレ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の動物用トイレにおいて、
前記有効面積の最大値は、当該有効面積の最小値の2倍未満である動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、第1及び第2の部材を有し、
前記第1及び第2の部材は、それぞれ、前記底面部を構成する第1及び第2の底部を有し、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して水平に変位可能である動物用トイレ。
【請求項5】
請求項4に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して一方向にのみ変位可能である動物用トイレ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1及び第2の部材は、互いに嵌合している動物用トイレ。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の底部は、平面視で、第1の線、第2の線、第3の線及び第4の線で囲まれた形状をしており、
前記第1及び第2の線は、互いに平行な線分からなり、
前記第3の線は、前記第1の線の一端と前記第2の線の一端とを結んでおり、
前記第4の線は、前記第1の線の他端と前記第2の線の他端とを結んでいる動物用トイレ。
【請求項8】
請求項7に記載の動物用トイレにおいて、
前記第3の線は、前記第1の底部の外側に膨らんだ曲線からなる動物用トイレ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材は、前記第1の底部に接続され、前記側面部を構成する第1の側部を有する動物用トイレ。
【請求項10】
請求項9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の側部は、前記第1の底部の前記第1乃至第4の線のうち、前記第1乃至第3の線側にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の底部及び第1の側部は、一体に成形されている動物用トイレ。
【請求項12】
請求項4乃至11の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の底部は、平面視で、第5の線、第6の線、第7の線及び第8の線で囲まれた形状をしており、
前記第5及び第6の線は、互いに平行な線分からなり、
前記第7の線は、前記第5の線の一端と前記第6の線の一端とを結んでおり、
前記第8の線は、前記第5の線の他端と前記第6の線の他端とを結んでいる動物用トイレ。
【請求項13】
請求項12に記載の動物用トイレにおいて、
前記第7の線は、前記第2の底部の外側に膨らんだ曲線からなる動物用トイレ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の部材は、前記第2の底部に接続され、前記側面部を構成する第2の側部を有する動物用トイレ。
【請求項15】
請求項14に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の側部は、前記第2の底部の前記第5乃至第8の線のうち、前記第5乃至第7の線側にのみ設けられている動物用トイレ。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の底部及び第2の側部は、一体に成形されている動物用トイレ。
【請求項17】
請求項4乃至16の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の部材は、当該第1の部材の外部に繋がる空洞を有し、
前記第2の部材は、前記第1の部材の前記空洞に挿入されている動物用トイレ。
【請求項18】
請求項4乃至17の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、前記第2の部材を前記第1の部材に対して一時的に固定する固定手段を有する動物用トイレ。
【請求項19】
請求項18に記載の動物用トイレにおいて、
前記固定手段は、締結具である動物用トイレ。
【請求項20】
請求項4乃至19の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在するパッキンを有する動物用トイレ。
【請求項21】
請求項20に記載の動物用トイレにおいて、
前記パッキンは、ゴム製である動物用トイレ。
【請求項22】
請求項1乃至21の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記本体容器の前記底面部上に敷設され、吸水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項23】
請求項22に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、
粒状に成形された芯部と、
接着性材料を含有し、前記芯部を覆う被覆部と、を有している動物用トイレ。
【請求項24】
請求項23に記載の動物用トイレにおいて、
前記芯部及び前記被覆部は、何れも有機物を主材料としている動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、箱状の本体容器(トイレ用容器)を備えている。本体容器には、複数の粒状体からなる排泄物処理材が敷設されている。本体容器に排泄された動物の尿は、排泄物処理材に吸収されることにより処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-226503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動物用トイレの本体容器は、様々な広さを有するものが販売されている。ユーザ(動物の飼主等)は、通常、当該動物用トイレを使用する動物の大きさに合った広さの本体容器を購入する。そのため、動物が成長するにつれて、本体容器をより広いものに買い替えていかなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動物の成長にかかわらず長期にわたって使用するのに適した動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有する本体容器を備え、上記底面部の有効面積は、可変であることを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、本体容器の底面部の有効面積が可変である。ここで、有効面積とは、底面部の有効領域(底面部の上面のうち側面部の内側にある領域)の面積である。このように底面部の有効面積が可変であれば、動物の成長に応じて底面部の有効面積を大きくすることにより、本体容器を広くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動物の成長にかかわらず長期にわたって使用するのに適した動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った端面図である。
図3図1のIII-III線に沿った端面図である。
図4】本体容器10を示す平面図である。
図5】本体容器10の動作を説明するための平面図である。
図6】本体容器10の動作を説明するための平面図である。
図7】部材20を示す斜視図である。
図8】部材20を示す側面図である。
図9】部材20を示す平面図である。
図10】部材30を示す斜視図である。
図11】部材30を示す側面図である。
図12】部材30を示す平面図である。
図13】粒状体40を示す模式図である。
図14】固定手段(締結具52)について説明するための端面図である。
図15】パッキン54について説明するための側面図である。
図16】変形例に係る部材20を示す平面図である。
図17】変形例に係る部材30を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す斜視図である。また、図2及び図3は、それぞれ、図1のII-II線及びIII-III線に沿った端面図である。動物用トイレ1は、本体容器10、部材20(第1の部材)、部材30(第2の部材)、及び複数の粒状体40を備えている。本体容器10は、箱状をしており、底面部12及び側面部14を有している。本実施形態において本体容器10の外形は、略直方体である。本体容器10の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0012】
図4は、本体容器10を示す平面図である。本体容器10の底面部12の有効面積は、可変である。有効面積は、底面部12の有効領域(底面部12の上面のうち側面部14の内側にある領域)の面積である。図4においては、底面部12の有効領域に斜線を付している。底面部12の有効面積の最大値は、当該有効面積の最小値の1.5倍以上2倍未満であることが好ましい。
【0013】
本体容器10は、部材20及び部材30を有している。部材20及び部材30は、平面視で部分的に重なり合うように互いに嵌合している。ただし、部材30は、部材20に対して水平に変位可能である。すなわち、部材30は、部材20に対して、本体容器10の底面部12の面内方向に変位できるように構成されている。部材30は、部材20に対して一方向にのみ変位可能である。図4においては、部材30の変位方向を矢印で示している。
【0014】
図5に示すように、部材30を部材20に近づく向き(図5の左向き)に変位させることにより、底面部12の有効面積を小さくすることができる。反対に、図6に示すように、部材30を部材20から遠ざかる向き(図6の右向き)に変位させることにより、底面部12の有効面積を大きくすることができる。
【0015】
図7図8及び図9は、それぞれ、部材20を示す斜視図、側面図及び平面図である。図8は、図7の右側から見た側面図である。部材20は、底部22(第1の底部)、及び側部24(第1の側部)を有している。底部22は、底面部12を構成する。底部22は、図9からわかるように、平面視で、線22a(第1の線)、線22b(第2の線)、線22c(第3の線)、及び線22d(第4の線)で囲まれた形状をしている。線22a及び線22bは、互いに平行な線分からなる。線22a及び線22bの延在方向は、部材30の変位方向に等しい。線22cは、線22aの一端と線22bの一端とを結んでいる。線22dは、線22aの他端と線22bの他端とを結んでいる。本実施形態においては、線22c及び線22dも、互いに平行な線分からなる。すなわち、底部22は、平面視で矩形状をしている。
【0016】
側部24は、底部22に接続されており、側面部14を構成する。側部24は、底部22の4つの線(線22a,22b,22c,22d)のうち、3つの線(線22a,22b,22c)側にのみ設けられている。残りの1つの線(線22d)側には、側部24が設けられていない。底部22及び側部24は、一体に成形されることが好ましい。すなわち、部材20の全体が一体に成形されることが好ましい。
【0017】
部材20は、空洞26を有している。空洞26は、底部22の内部から側部24の内部にかけて連続的に存在している。また、空洞26は、部材20の外部に繋がっている。具体的には、空洞26は、底部22の線22d側において、部材20の外部に繋がっている。空洞26と外部との境界部分は、図8からわかるように、コ字状の開口28となっている。
【0018】
底部22の内部における空洞26の厚みd21(図8の上下方向の寸法)と、側部24の内部における空洞26の厚みd22(図8の左右方向の寸法)とは、互いに等しくてもよいし、相異なっていてもよい。厚みd21及び厚みd22は、例えば5mm以上15mm以下である。空洞26の幅w21(図8の左右方向の寸法)は、例えば、20cm以上40cm以下である。空洞26の高さh21(図8の上下方向の寸法)は、例えば、10cm以上30cm以下である。また、底部22の上面(側部24の内側にある部分)の長さd23(図9の左右方向の寸法)は、例えば、20cm以上30cm以下である。
【0019】
図10図11及び図12は、それぞれ、部材30を示す斜視図、側面図及び平面図である。図11は、図10の左側から見た側面図である。部材30は、底部32(第2の底部)、及び側部34(第2の側部)を有している。底部32は、底部22と共に底面部12を構成する。底面部12の上面は、底部22の上面と、底部32の上面のうち底部22の上面に重なっていない部分(平面視で視認できる部分)とによって構成される。底部32は、図12からわかるように、平面視で、線32a(第5の線)、線32b(第6の線)、線32c(第7の線)、及び線32d(第8の線)で囲まれた形状をしている。線32a及び線32bは、互いに平行な線分からなる。線32a及び線32bの延在方向は、部材30の変位方向に等しい。線32cは、線32aの一端と線32bの一端とを結んでいる。線32dは、線32aの他端と線32bの他端とを結んでいる。本実施形態においては、線32c及び線32dも、互いに平行な線分からなる。すなわち、底部32は、平面視で矩形状をしている。
【0020】
側部34は、底部32に接続されており、側部24と共に側面部14を構成する。側部34は、底部32の4つの線(線32a,32b,32c,32d)のうち、3つの線(線32a,32b,32c)側にのみ設けられている。残りの1つの線(線32d)側には、側部34が設けられていない。底部32及び側部34は、一体に成形されることが好ましい。すなわち、部材30の全体が一体に成形されることが好ましい。
【0021】
部材30は、部材20の空洞26に挿入される。具体的には、部材30は、底部32の線32d側から、部材20の開口28を通じて空洞26に挿入される。なお、部材30は、空洞を有していてもよいし、有していなくてもよい。前者の場合、当該空洞は、部材30の外部に繋がっていないことが好ましい。
【0022】
底部32の厚みd31及び側部34の厚みd32は、それぞれ空洞26の厚みd21及び厚みd22に略等しい。部材30の幅w31及び高さh31は、それぞれ空洞26の幅w21及び高さh21に略等しい。ただし、部材30が部材20に略隙間なく接した状態で部材20内を摺動できるように、厚みd31、厚みd32、幅w31及び高さh31は、それぞれ、厚みd21、厚みd22、幅w21及び高さh21より僅かに小さく設計されている。また、底部32の上面(側部34の内側にある部分)の長さd33(図12の左右方向の寸法)は、底部22の上面の長さd23の1/2よりも大きく、長さd23以下であることが好ましい。
【0023】
図1図3に戻って、本体容器10の底面部12上には、排泄物(主に尿)を処理するための複数の粒状体40が敷設される。動物は、粒状体40に直接乗った状態で粒状体40上に排泄する。各粒状体40は、吸水性を有しており、排泄物を吸収する。
【0024】
粒状体40が吸水性を有するというには、次の試験により測定される吸水率が40%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体40(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。滴下した水量(30ml)から計測された水量を引いた値の、滴下した水量に対する割合をもって吸水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以下であれば、吸水率が40%以上となるため、粒状体40が吸水性を有するといえる。
【0025】
図13は、粒状体40を示す模式図である。各粒状体40の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体40の粒径は、粒状体40を内包しうる最小の球の直径として定義される。各粒状体40は、芯部42及び被覆部44を有している。芯部42は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。芯部42は、排泄物を吸水及び保水する機能を有する。芯部42は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、芯部42の主材料とは、芯部42を構成する1又は2以上の材料のうち、当該芯部42に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0026】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0027】
被覆部44は、芯部42を覆っている。被覆部44は、芯部42の表面の全体を覆っていてもよいし、芯部42の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆部44は、排泄物を吸収した粒状体40どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部44も、有機物を主材料とすることが好ましい。被覆部44の主材料の定義は、芯部42の主材料の定義と同様である。被覆部44は、接着性材料を含有している。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンを用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーが挙げられる。
【0028】
粒状体40は、例えば次のようにして形成することができる。まず、造粒装置を用いて芯部材料(芯部42を構成する材料)を造粒することにより、芯部42を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混練、加水等の前処理が必要に応じて行われる。次に、コーティング装置等を用いて、各芯部42の表面に粉状の被覆材料(被覆部44を構成する材料)を付着させることにより、被覆部44を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体40が形成される。
【0029】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、本体容器10の底面部12の有効面積が可変である。このように底面部12の有効面積が可変であれば、動物の成長に応じて底面部12の有効面積を大きくすることにより、本体容器10を広くすることができる。したがって、動物の成長にかかわらず長期にわたって使用するのに適した動物用トイレ1が実現されている。
【0030】
ところで、動物の成長に伴う本体容器の買替えを避ける手段としては、当該動物の成長を見越して広めの本体容器を最初から購入することも考えられる。しかし、本体容器が広くなる程、そこに敷設される粒状体の量も増えることになる。そのため、本体容器をなるべく狭くした方が、粒状体を節約できるという利点がある。また、本体容器を設置するスペースを小さく抑えられるという利点もある。この点、本実施形態によれば、動物の成長に合わせて少しずつ本体容器10を広げていくことが可能になるため、これらの利点も享受することができる。
【0031】
動物の成長に柔軟に対応するには、底面部12の有効面積の変動幅が大きい方が有利である。かかる観点から、当該有効面積の最大値は、その最小値の1.5倍以上であることが好ましい。
【0032】
底面部12の有効面積の最大値がその最小値の2倍未満である場合、底面部12の有効面積が可変な本体容器10を比較的簡易な構成で実現することができる。実際、動物用トイレ1においては、2つの部材(部材20,30)の組み合わせにより本体容器10が実現されている。
【0033】
部材20及び部材30は、それぞれ、底面部12を構成する底部22及び底部32を有している。そして、部材30は、部材20に対して水平に変位可能である。この場合、部材30の変位が底面部12の有効面積の変化に直結するため、当該有効面積を容易に変えることができる。
【0034】
部材30は、部材20に対して一方向にのみ変位可能である。このように変位可能な方向を一方向に限ることにより、部材30が部材20に対して変位可能な構成を容易に実現することができる。
【0035】
部材20及び部材30は、互いに嵌合している。これにより、部材20と部材30との相対的な位置関係を安定的に維持することができる。
【0036】
部材20及び部材30は、それぞれ、側面部14を構成する側部24及び側部34を有している。そして、側部24及び側部34は、それぞれ底部22及び底部32に接続されている。これにより、底面部12の面積の変化に連動させて側面部14の面積も適宜変化させることができる。
【0037】
側部24は、底部22の4つの線22a,22b,22c,22dのうち、3つの線22a,22b,22c側にのみ設けられている。また、側部34は、底部32の4つの線32a,32b,32c,32dのうち、3つの線32a,32b,32c側にのみ設けられている。これにより、互いに組み合わさって箱状の本体容器10を構成する部材20及び部材30を簡易な構成で実現することができる。
【0038】
底部22及び側部24が一体に成形されている場合、粒状体40が吸収しきれなかった尿が本体容器10内に溜まったとしても、当該尿が底部22と側部24との境界から漏れないようにすることができる。同様に、底部32及び側部34が一体に成形されている場合、粒状体40が吸収しきれなかった尿が本体容器10内に溜まったとしても、当該尿が底部32と側部34との境界から漏れにくいようにすることができる。
【0039】
部材30は、部材20の空洞26に挿入されている。この場合、部材20に対する部材30の挿入深さを調整するという簡単な操作で、底面部12の有効面積を変化させることができる。
【0040】
本体容器10の底面部12上に、吸水性を有する複数の粒状体40が敷設されている。この場合、粒状体40が排泄物を吸収して閉じ込めるため、排泄物の悪臭が本体容器10の周囲に漂うのを緩和することができる。
【0041】
各粒状体40は、芯部42に加えて、接着性材料を含有する被覆部44を有している。これにより、排泄物を吸収した複数の粒状体40からなる固まりが得られるため、本体容器10から使用済みの粒状体40のみを取り除く作業が容易になる。
【0042】
芯部42及び被覆部44が何れも有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体40を得ることができる。この場合、使用済みの粒状体40を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態において本体容器10は、部材30を部材20に対して一時的に固定する固定手段を有していてもよい。固定手段としては、例えば図14に示すように、締結具52を用いることができる。本例において締結具52は、ボルトである。図14においては、部材20の側部24にボルトが通る孔が設けられている。この孔の内面には、ボルトの雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。ボルトを締めてボルトの先端を部材30の側部34に押し当てることにより、部材30を部材20に対して任意の位置で固定することができる。また、ボルトを緩めてボルトの先端を側部34から離間させることにより、固定状態を解除することができる。締結具52は、その締緩作業をスパナ等の道具を用いることなく手だけで行えるものであることが好ましい。かかる固定手段を設けることにより、動物用トイレ1の使用時に部材30が不意に変位してしまう事態を回避することができる。また、固定手段として締結具52を用いることにより、固定手段を簡易な構成で実現することができる。
【0044】
上記実施形態において本体容器10は、例えば図15に示すように、部材20と部材30との間に介在するパッキン54を有していてもよい。本例においてパッキン54は、部材20の開口28の縁に沿って設けられている。パッキン54は、例えばゴム製である。かかるパッキン54を設けることにより、粒状体40が吸収しきれなかった尿が本体容器10内に溜まったとしても、当該尿が部材20と部材30との間に浸入しにくいようにすることができる。
【0045】
上記実施形態においては、部材20の底部22を構成する4つの線22a,22b,22c,22dが全て直線状をしている場合を例示した。しかし、例えば図16に示すように、線22cは、曲線状をしていてもよい。図16において線22cは、底部22の外側に膨らんだ曲線からなる。この場合、側部24の内面に角が存在しなくなるため、本体容器10の清掃が容易になるという利点がある。
【0046】
上記実施形態においては、部材30の底部32を構成する4つの線32a,32b,32c,32dが全て直線状をしている場合を例示した。しかし、例えば図17に示すように、線32cは、曲線状をしていてもよい。図17において線32cは、底部32の外側に膨らんだ曲線からなる。この場合、側部34の内面に角が存在しなくなるため、本体容器10の清掃が容易になるという利点がある。
【0047】
上記実施形態においては、各粒状体40が、芯部42及び被覆部44からなる複層構造(二層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部44を設けることは、必須でない。すなわち、各粒状体40は、被覆されていない造粒物(芯部42)のみからなる単層構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 動物用トイレ
10 本体容器
12 底面部
14 側面部
20 部材(第1の部材)
22 底部(第1の底部)
22a 線(第1の線)
22b 線(第2の線)
22c 線(第3の線)
22d 線(第4の線)
24 側部(第1の側部)
26 空洞
28 開口
30 部材(第2の部材)
32 底部(第2の底部)
32a 線(第5の線)
32b 線(第6の線)
32c 線(第7の線)
32d 線(第8の線)
34 側部(第2の側部)
40 粒状体
52 締結具
54 パッキン
図1
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