(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098348
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】非アルコール性スパークリングワイン風飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/54 20060101AFI20230703BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230703BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20230703BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20230703BHJP
【FI】
A23L2/54 101
A23L2/00 B
A23L2/02 A
A23L2/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215059
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】599106640
【氏名又は名称】株式会社トンボ飲料
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】青木 紀子
(72)【発明者】
【氏名】翠田 彩洋子
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LC14
4B117LG05
4B117LG17
4B117LK04
4B117LP05
(57)【要約】
【課題】ワイン様の発酵感があって、風味のよい、スパークリングワイン様の非アルコール性スパークリングワイン風飲料。
【解決手段】発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で、20w/v%~140w/v%、紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で含み、炭酸ガス含有量が1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)である非アルコール性スパークリングワイン風飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で、20w/v%~140w/v%、
紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で含み、
炭酸ガス含有量が1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)
である非アルコール性スパークリングワイン風飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は非アルコール性のスパークリンクワイン風飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性のワイン風飲料に関しては従来から種々の提案が行われている。
【0003】
特許文献1には、主原料として緑茶の水出し抽出液を用い、果汁を加えて調製したノンアルコールワインが提案されている。
【0004】
特許文献2には、ブドウ果汁と、紅茶から抽出した紅茶抽出物とを原料に用いている非アルコール性のワイン風飲料が提案されている。
【0005】
特許文献3には、ルイボスティーエキスを含有するノンアルコール飲料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-147386号公報
【特許文献2】特開2012-187050号公報
【特許文献3】特許第6543017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、ワイン様の発酵感があって、風味のよい、スパークリングワイン様の非アルコール性スパークリングワイン風飲料を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
非アルコール性のワイン風飲料を調製するにあたり、原料に使用する果汁として発酵果汁を用いることでワイン様の発酵感のある飲料とすることが考えられる。
【0009】
一方、上述したように原料に発酵果汁を使用してワイン風飲料を調製すると、発酵果汁独特のムレ感、不快感を有するワイン風飲料となることが考えられる。
【0010】
本願の発明者は、発酵果汁を原料に用いることでワイン様の発酵感のある飲料とし、その一方で、原料に発酵果汁が用いられていることによる発酵果汁独特のムレ感、不快感を、原料に、紅茶エキスを用いることで改善し、炭酸ガスの含有量を調整することで、スパークリングワイン感を呈する非アルコール性スパークリングワイン風飲料を調製可能であることを見出して本願発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本願発明に係る非アルコール性スパークリングワイン風飲料は、
発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で、20w/v%~140w/v%、
紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で含み、
炭酸ガス含有量が1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)である
非アルコール性スパークリングワイン風飲料である。
【0012】
本明細書において、ワイン風飲料とは、ワインのような味、風味、香りを呈するものであって、飲用した際にワインを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料をいう。ワイン風飲料は、例えば、日本国酒税法(昭和二十八年二月二十八日法律第六号)上の果実酒、甘味果実酒、又はリキュールに分類されるものであってよい。
【0013】
本発明の非アルコール性スパークリングワイン風飲料は、実質的にアルコールを含まないアルコールテイスト飲料の概念に含まれるもので、実質的にアルコールを含まないワイン風飲料である。ノンアルコール飲料のアルコール濃度は、酒税法上は温度15度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量が1%未満とされており、本発明の非アルコール性スパークリングワイン風飲料はこの条件を満たすものである。
【0014】
本発明の非アルコール性スパークリングワイン風飲料は、発泡性を有する。本明細書において発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.01MPa以上であることをいう。
【0015】
本発明の非アルコール性スパークリングワイン風飲料は、飲料中に、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で、20w/v%~140w/v%、紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で含むように配合し、精製水で調整した上で、炭酸ガスを1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)の含有量になるように吸収させることで製造することができる。
【0016】
発酵果汁としては、ぶどう、りんご、レモン、柑橘類、ベリー類、パイナップル、洋梨、桃、キウイフルーツなどの発酵果汁を使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ワイン様の発酵感があって、風味のよい、スパークリングワイン様の非アルコール性スパークリングワイン風飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ワイン様の発酵感があって、風味のよい、スパークリングワイン様の非アルコール性スパークリングワイン風飲料を調製するにあたり以下に説明する検討を行った。
【0019】
<評価・検討試験1>
発酵ぶどう果汁と白ぶどう果汁を使用することによるワイン感について評価・検討試験を次のようにして行った。
【0020】
ワイン風飲料を調製する際の原料として非発酵の果汁を用いる場合と、発酵果汁を用いる場合とでワイン感にどのような相違が生じるか、次のようにして評価を行った。
【0021】
食品表示基準の別表第3第2条の還元果汁の表3糖用屈折計示度の基準のぶどうの値11を参考とし、100%に還元した時をBrix11とした。
【0022】
発酵ぶどう濃縮果汁と、白ぶどう濃縮果汁を上述したようにそれぞれBrix11になるまで精製水にて希釈した。これを6名のパネラーで試飲してそれぞれのワイン感についての評価を行った。
【0023】
ワイン感については「非常に強く感じる」を評価点数:5、「ほとんど感じない」を評価点数:1とし、以下のように5段階で6名のパネラーの評価を受けた。
【0024】
ワイン感 評価点数
非常に強く感じる 5
強く感じる 4
感じる 3
やや感じる 2
ほとんど感じない 1
【0025】
発酵ぶどう濃縮果汁、白ぶどう濃縮果汁を使用した場合における6名のパネラーでの試飲評価点の平均値は次の通りであった。
【0026】
評価点の平均値
発酵ぶどう果汁 4.2
(非発酵の)白ぶどう果汁 1.0
【0027】
この評価・検討試験1から、ワイン風飲料を調製する際の原料として非発酵の果汁を用いる場合に比較して、発酵果汁を用いると格段に高いワイン感を呈する飲料を調製できることが示唆された。
【0028】
<評価・検討試験2>
発酵ぶどう果汁を使用したときの発酵果汁独特のムレ感・不快感と、ムレ感・不快感の抑制に紅茶エキスを使用したときの発酵果汁独特のムレ感・不快感及び、紅茶感について評価・検討試験を次のようにして行った。
【0029】
上述した評価・検討試験1により、ワイン風飲料を調製する際の原料として発酵果汁を用いることがワイン感を呈する飲料を調製する上で望ましいと考えられたが、果汁飲料等を調製する際の原料に発酵果汁を用いた場合、調製後の果汁飲料等が、原料に使用している発酵果汁独特のムレ感、不快感を呈するものとなる可能性がある。
【0030】
そこで、ワイン風飲料を調製する際の原料として発酵果汁を使用する場合に、更に、紅茶エキスを配合することで調製後の飲料における上述した発酵果汁独特のムレ感、不快感がどのようになるかを評価した。
【0031】
また、この場合、紅茶エキスが原料に配合されていることで、調製後の飲料における紅茶感がどのようになるかを評価した。
【0032】
発酵ぶどう濃縮果汁の配合割合を10w/v%、20w/v%、50w/v%、120w/v%、140w/v%、150w/v%とする各配合割合まで評価・検討試験1で準備したときと同様に精製水を用いて還元し、このそれぞれに対して、紅茶エキスをタンニン量で0.000019w/v%、0.000038w/v%、0.00096w/v%、0.00232w/v%、0.0029w/v%の各割合で配合したものについて、評価・検討試験1で試飲評価を行った6名のパネラーで試飲し、ワイン様の発酵感、果汁のムレ感・不快感、紅茶感について試飲評価を行った。
【0033】
ワイン感については評価・検討試験1で行ったワイン感の評価方法と同様にして5段階で6名のパネラーの評価を受けた。
【0034】
果汁のムレ感・不快感については「非常に強く感じる」を評価点数:5、「ほとんど感じない」を評価点数:1とし、以下のように5段階で6名のパネラーの評価を受けた。
【0035】
果汁のムレ感・不快感 評価点数
非常に強く感じる 5
強く感じる 4
感じる 3
やや感じる 2
ほとんど感じない 1
【0036】
紅茶感については「非常に強く感じる」を評価点数:5、「ほとんど感じない」を評価点数:1とし、以下のように5段階で6名のパネラーの評価を受けた。
【0037】
紅茶感 評価点数
非常に強く感じる 5
強く感じる 4
感じる 3
やや感じる 2
ほとんど感じない 1
【0038】
上述した6通りの発酵ぶどう濃縮果汁の配合割合における各紅茶エキス(タンニン量)の配合割合で、6名のパネラーでの試飲評価点の平均値は以下の表1~表6の通りであった。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
ワイン様の発酵感については評価平均値が3.00以上であればワイン感を感じる~強く感じるであるので、ワイン様の発酵感があって、風味の良い非アルコール性ワイン風飲料を得る上では、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~150w/v%で配合することが好ましいと評価できた。
【0046】
果汁のムレ感・不快感に関しては評価平均値が3.00で「果汁のムレ感・不快感」を感じるので、評価平均値が3.00未満である場合が好ましいと考えると、上述した発酵果汁の好ましい配合割合の中で、発酵果汁の配合割合140w/v%で、紅茶エキスのタンニン換算での配合割合が0.000019w/v%であると評価平均値3.50となることから好ましくなく、発酵果汁の配合割合150w/v%では、紅茶エキスのタンニン換算での配合割合が0.0029w/v%の時に、評価平均値2.83となるだけで、その他の配合割合ではいずれも評価平均値3.00以上となり好ましくないことを確認できた。
【0047】
これらの評価から上述した好ましい発酵果汁の配合割合の範囲(発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~150w/v%で配合する)では、「果汁のムレ感・不快感」を抑制する上で、紅茶エキスのタンニン換算での配合割合は0.000038w/v%以上であることが好ましいと認められた。
【0048】
ただし、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で150w/v%で配合しているときには、紅茶エキスのタンニン換算での配合割合が0.00232w/v%以下では「果汁のムレ感・不快感」の抑制が十分ではないことが認められた。
【0049】
紅茶感については評価平均値が3.00で「紅茶感」を感じるので、評価平均値が3.00未満である場合が好ましいと考えると、上述した好ましい発酵果汁の配合割合の範囲(発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~150w/v%で配合する)及び、好ましい紅茶エキスのタンニン換算での配合割合(0.000038w/v%以上)では、発酵果汁の配合割合20w/v%、50w/v%、120w/v%のいずれにおいても紅茶エキスのタンニン換算での配合割合0.0029w/v%で「紅茶感」の評価平均値が3.00以上となった。
【0050】
発酵果汁の配合割合140w/v%、150w/v%では紅茶エキスのタンニン換算での配合割合0.0029w/v%で「紅茶感」の評価平均値が3.00未満となったが、発酵果汁の配合割合150w/v%では紅茶エキスのタンニン換算での配合割合0.00232w/v%以下であると「果汁のムレ感・不快感」の抑制が十分ではなく、発酵果汁の配合割合20w/v%、50w/v%、120w/v%のいずれにおいても紅茶エキスのタンニン換算での配合割合0.0029w/v%で「紅茶感」の評価平均値が3.00以上となっていることから市場に提供する商品として製造・販売するワイン様の発酵感があって、風味の良い非アルコール性ワイン風飲料としては、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~140w/v%で配合し、紅茶エキスのタンニン換算での配合割合を0.000038w/v%~0.00232w/v%とすることが望ましいと評価できた。
【0051】
以上の評価・検討試験2から、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~140w/v%配合し、紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で配合することが、良好なワイン様発酵感を呈し、果汁のムレ感・不快感が抑制されているワイン様飲料を調製する上で望ましいと考えられた。
【0052】
<評価・検討試験3>
発酵ぶどう果汁を使用し、スパークリングワイン調の爽快感を得るために炭酸ガスを使用したときの炭酸感、爽快感について評価・検討試験を次のようにして行った。
【0053】
引き続いて、上述の評価試験で良好な結果であった発酵果汁の配合割合の飲料で、炭酸ガス含有量による炭酸感と爽快感について次のように評価試験を行った。
【0054】
発酵ぶどう濃縮果汁の配合割合を20w/v%、50w/v%、120w/v%、140w/v%とする各配合割合まで評価・検討試験1で準備したときと同様に精製水を用いて還元し、このそれぞれに対して、炭酸ガスを0、0.1、1、3、5のガスボリューム(GV)までそれぞれ吸収させ、評価・検討試験1、2で試飲評価を行った6名のパネラーで試飲評価を行った。
【0055】
爽快感について「非常に強く感じる」を評価点数:5、「ほとんど感じない」を評価点数:1とし、以下のように5段階で6名のパネラーの評価を受けた。
【0056】
爽快感 評価点数
非常に強く感じる 5
強く感じる 4
感じる 3
やや感じる 2
ほとんど感じない 1
【0057】
上述した4通りの発酵ぶどう濃縮果汁の配合割合における各炭酸ガスの吸収量で、6名のパネラーでの試飲評価点の平均値は以下の表7~表10の通りであった。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
スパークリングワイン調の爽快感については評価平均値が3.00以上であれば爽快感を感じる~強く感じるであるので、ワイン様の発酵感があって、風味が良く、スパークリングワイン調の爽快感を呈する非アルコール性スパークリングワイン風飲料を得る上では、この評価・検討試験3から、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~140w/v%配合しているときに、炭酸ガス含有量が1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)であることが好ましいと評価できた。
【0063】
<評価・検討試験4>
上述した評価・検討試験1~3の結果、ワイン様の発酵感があって、風味が良く、スパークリングワイン調の爽快感を呈する非アルコール性スパークリングワイン風飲料を得る上で好ましいと評価できた配合である、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~140w/v%、紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で配合し、炭酸ガス含有量を1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)とする範囲で、ワイン様の発酵感があって、風味が良く、スパークリングワイン調の爽快感を呈する非アルコール性スパークリングワイン風飲料を調製できることを次のようにして確認した。
【0064】
すなわち、以下の配合割合としたときのワイン様の発酵感、果汁のムレ感・不快感、爽快感について、上述したものと同様の評価試験を行った。
【0065】
発酵ぶどう濃縮果汁を20w/v%、50w/v%、120w/v%とする各配合割合まで評価・検討試験1で準備したときと同様に精製水を用いて還元し、このそれぞれに対して、紅茶エキスを以下の表11のタンニン量配合割合で配合し、炭酸ガスを以下の表11の濃度まで吸収させ、評価・検討試験1、2、3で試飲評価を行った6名のパネラーで試飲評価を行った。
【0066】
ワイン感については評価・検討試験1で行ったワイン感の評価方法と同様にして5段階でパネラーの評価を受けた。
【0067】
果汁のムレ感・不快感、紅茶感については評価・検討試験2で行った果汁のムレ感・不快感の評価方法及び、紅茶感の評価方法と同様にして5段階でパネラーの評価を受けた。
【0068】
スパークリングワイン調の爽快感ついては評価・検討試験3で行った爽快感の評価方法と同様にして5段階でパネラーの評価を受けた。
【0069】
上述した3通りの発酵ぶどう濃縮果汁の配合割合における各紅茶エキス(タンニン量)の配合割合、各炭酸ガスの吸収量で、6名のパネラーでの試飲評価点の平均値は以下の表11の通りであった。
【0070】
【0071】
この評価・検討試験4から、発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で20w/v%~140w/v%配合し、紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.0023w/v%で配合した上で、炭酸ガス含有量を1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)とすることで、良好なワイン様発酵感を呈し、果汁のムレ感・不快感が抑制され、スパークリングワイン調の爽快感を感じる上で好ましいことを確認できた。
【0072】
上述した評価・検討試験1~評価・検討試験4により、発酵果汁を原料に用いることでワイン様の発酵感のある飲料とし、その一方で、原料に発酵果汁が用いられていることによる発酵果汁独特のムレ感、不快感を、原料に、紅茶エキスを用いることで改善し、炭酸ガスの含有量を調整することで、スパークリングワイン感を呈する非アルコール性スパークリングワイン風飲料を調製できることを確認できた。
【0073】
すなわち、
飲料中あるいは、食品組成物中に、
発酵果汁を、濃縮還元を戻した後の換算で、20w/v%~140w/v%、
紅茶エキスを、タンニン換算で0.000038w/v%~0.00232w/v%で含み、
炭酸ガス含有量が1.0ガスボリューム(GV)~5.0ガスボリューム(GV)である
非アルコール性スパークリングワイン風飲料とすることで、
ワイン様の発酵感があって、
原料に発酵果汁が用いられていることによる発酵果汁独特のムレ感、不快感が抑制されていて、
風味が改善されているスパークリングワイン様の非アルコール性ワイン飲料を提供することができる。
【0074】
飲料中あるいは、食品組成物中における上述した発酵果汁の配合量の範囲と、紅茶エキスの配合量の範囲は、
発酵果汁を原料に用いることでワイン様の発酵感のある飲料にするという機序を効果的に発揮させつつ、
紅茶エキスを含有させることで、原料に発酵果汁が用いられていることによる発酵果汁独特のムレ感・不快感を抑制し、一方で、紅茶エキスが配合されていることによる紅茶感が抑制されている、という観点から設定されている。
【0075】
また、上述した炭酸ガスの含有量は、
上述した範囲で、発酵果汁と、紅茶エキスとを配合することで、上述の効果・機序を発揮させた上で、なおかつ、スパークリングワイン感を呈する飲料にするという観点から設定されている。
【実施例0076】
白ぶどうの発酵果汁を100w/v、紅茶エキスをタンニン量で0.0015w/v%となるように配合し、精製水で調整した。これに炭酸ガスを3.5ガスボリューム(GV)となるように吸収させてこの実施例のスパークリングワイン様の非アルコール性スパークリングワイン風飲料を調製した。
【0077】
調製後の非アルコール性スパークリングワイン風飲料について、上述の評価・検討試験1~4で試飲評価を行ったパネラー6名により同様の試飲評価を受けたところ、ワイン様の発酵感があって、風味がよく、スパークリングの爽やかのある飲料であるとの評価を受けた。
【0078】
以上、本発明の実施形態、実施例を説明したが本発明は上述した実施形態、実施例に限られず、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。