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特開2023-98372情報処理装置、入力制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098372
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、入力制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230703BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215089
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高平 寛之
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】
AIエンジンへの入力段階、出力段階を通じて時系列範囲全体においても、KPIの改善に貢献できる手法を提供することにある。
【解決手段】
本発明の好ましい一側面は、AIエンジンを利用する情報処理装置であって、演算部と記憶部とを有し、前記演算部は、使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付部と、前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定部と、を実行することを特徴とする情報処理装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AIエンジンを利用する情報処理装置であって、演算部と記憶部とを有し、
前記演算部は、
使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付部と、
前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定部と、
を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記AIエンジンは、
確率変数として原因と項目を持ち、前記原因と前記項目の間に条件付き依存関係を規定したネットワークで表現される、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変数選定部は、
前記重点KPI情報に対して紐づけられた入力条件を特定し、
前記入力条件に対して紐づけられた前記項目を特定し、
前記項目に対応した入力を前記入力変数とする、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
さらに入力手順生成方法選定部を備え、
前記変数選定部は、
前記入力条件に対して紐づけられた複数の前記項目を特定し、
前記入力手順生成方法選定部は、
前記入力条件に基づいて複数の前記項目の順序付けを行う入力手順生成方法を選定する、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変数選定部は、
前記重点KPI情報に対して紐づけられた複数の前記入力条件を特定し、
前記入力手順生成方法選定部は、
複数の前記入力条件の組み合わせに基づいて複数の前記項目の順序付けを行う入力手順生成方法を選定する、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力手順生成方法選定部は、
前記項目に対応した入力が得られた場合に確率の高い原因の確率をより高くする項目に高いスコアをつける原因特定重視入力手順生成方法と、
前記項目に対応した入力が得られた場合に比較的確率の高い原因の確率をより高く、比較的確率の低い原因の確率をより低くする項目に高いスコアをつける原因切り分け重視入力手順生成方法から、
前記入力手順生成方法を選択する、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項7】
さらに入力手順生成部を備え、
前記入力手順生成部は、前記入力手順生成方法に基づいて前記入力変数の順番を示す入力手順情報を生成する、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記変数選定部は、
前記重点KPI情報に対して紐づけられた出力条件を特定し、
前記出力条件に対して紐づけられた原因を特定し、
前記原因に対応した情報を前記AIエンジンから出力する出力変数とする、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記使用者は複数あり、使用者毎に前記重点KPI情報を指定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
確率変数として原因と項目を持ち前記原因と前記項目の間に条件付き依存関係を規定したネットワークで表現されるAIエンジンへ、情報処理装置から入力を行う入力制御方法であって、
使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付処理と、
前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定処理と、
を実行する入力制御方法。
【請求項11】
前記変数選定処理は、
前記重点KPI情報に対して紐づけられた複数の前記項目を特定し、
前記項目に対応した入力を前記入力変数とする、
請求項10記載の入力制御方法。
【請求項12】
さらに入力手順生成方法選定処理を行い、
前記入力手順生成方法選定処理は、
前記重点KPI情報に基づいて複数の前記項目の順序付けを行う入力手順生成方法を選定する、
請求項11記載の入力制御方法。
【請求項13】
前記入力手順生成方法選定処理は、
前記項目に対応した入力が得られた場合に確率の高い原因の確率をより高くする項目に高いスコアをつける原因特定重視入力手順生成方法と、
前記項目に対応した入力が得られた場合に比較的確率の高い原因の確率をより高く、比較的確率の低い原因の確率をより低くする項目に高いスコアをつける原因切り分け重視入力手順生成方法から、
前記入力手順生成方法を選択する、
請求項12記載の入力制御方法。
【請求項14】
前記使用者は複数あり、使用者毎に前記重点KPI情報を指定する、
請求項10記載の入力制御方法。
【請求項15】
確率変数として原因と項目を持ち前記原因と前記項目の間に条件付き依存関係を規定したネットワークで表現されるAIエンジンへ、情報処理装置から入力を行うためのプログラムであって、
前記情報処理装置に、
使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付処理と、
前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAIエンジンへの入力を制御する技術に関する。特に、入力手順生成装置、KPIに基づいてAIエンジンへの入力手順を生成する方法、及びリペアリコメンドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AI(Artificial Intelligence)技術の発展に伴い、様々な分野での実用が広がっている。例えば、産業分野では、機器、設備、車両等のアセットに故障が発生した際に、過去のアセットに関する故障の情報とアセットに施した修理の情報との組を収集した修理履歴情報をAIエンジンに学習させ、保守員に適切な修理方法を推薦するシステム(「リペアリコメンドシステム」と呼ぶ)が実現されつつある。
【0003】
このような潮流の中、AIエンジンは、AccuracyやF-measureなどの機械学習分野で一般的な回答精度の向上にとどまらず、使用者の事業に係る各種KPI(Key Performance Indicator)やKGI(Key Goal Indicator)をどれだけ向上させることができたかが肝要となる。例えば、リペアリコメンドシステムでは、アセットに故障が発生してから、アセットの故障原因を探求、修理するまでの時間(故障修理時間と呼ぶ)やアセットの故障探求、修理にかかった費用などのKPI削減が肝要となる。
【0004】
これに対し、特許文献1では、異なる条件を持つ保守方式に対して機械学習による故障シミュレーションを行い、シミュレーション結果においてKPIが最良となる条件に決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-133412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、AIエンジンの活用は、時系列として「入力」と「出力」に分かれている。例えば、リペアリコメンドシステムのAIエンジンであれは、「故障原因探求(入力)」から「故障原因推薦(出力)」までがAIエンジンと業務とが共有する時系列範囲である。当該時系列範囲はユーザの業務のKPIについてAIエンジンが改善に貢献できる範囲でもある。
【0007】
しかしながら、従来技術がKPIの改善に貢献している範囲は、「故障原因推薦(出力)」のみであり、そのほかの時系列範囲や、時系列範囲全体を考慮したKPI改善提案になっていないため、AIエンジンによるKPI改善の機会損失を生じさせてしまっている。
【0008】
例えば、リペアリコメンドシステムにおいて、「故障修理時間」の削減が重要視するKPIである場合、AIエンジンの出力、すなわち「故障原因推薦(出力)」のみでしかKPIの改善に貢献しておらず、AIエンジンの入力、すなわち「故障原因探求(入力)」については何らKPI改善への貢献を行えていない。そればかりか、AIエンジンの入力とKPIとの関係を考慮していないことが、AIエンジンの出力結果の妥当性、ひいては顧客のKPI改善の阻害要因にもなり得る。例えば「故障修理時間」の削減を重要視して、通常よりも1時間早く作業が完了する修理方法等をAIエンジンが出力を行ったとする。その一方で、AIエンジンへの入力手順では何も当該KPIを考慮していなかったり他のKPIを重要視している等の理由により、通常よりも1時間遅く入力に時間がかかってしまった場合、出力で獲得した1時間の短縮は入力で相殺されてしまい、結果として顧客のKPIは何ら考慮されていないこととなってしまう。上記一例のように、AIエンジンが真に顧客のKPI改善に貢献しているか否かを評価するためには、AIエンジンの入力から出力まで時系列範囲全体を通じ評価する必要がある。しかし従来は出力のみ、あるいは入力のみの時系列範囲でこれらのKPIを評価するのみで、ましてや入力・出力それぞれの改善を目指すKPIが整合しているか否か等については何ら考慮されていなかった。そのため、AIエンジンが時系列範囲全体を通じて顧客のKPIの改善を実現できていない可能性があることが課題であった。従来技術ではこのような課題に着目しておらず、課題自体が新規である。
【0009】
本発明の課題は、AIエンジンへの入力段階、出力段階を通じて時系列範囲全体においても、KPIの改善に貢献できる手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい一側面は、AIエンジンを利用する情報処理装置であって、演算部と記憶部とを有し、前記演算部は、使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付部と、前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定部と、を実行することを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
本発明の好ましい他の一側面は、確率変数として原因と項目を持ち前記原因と前記項目の間に条件付き依存関係を規定したネットワークで表現されるAIエンジンへ、情報処理装置から入力を行う入力制御方法であって、使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付処理と、前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定処理と、を実行する入力制御方法である。
本発明の好ましい他の一側面は、確率変数として原因と項目を持ち前記原因と前記項目の間に条件付き依存関係を規定したネットワークで表現されるAIエンジンへ、情報処理装置から入力を行うためのプログラムであって、前記情報処理装置に、使用者の指定する重点KPI情報を受け付ける、重点KPI受付処理と、前記重点KPI情報に基づいて前記AIエンジンに入力する入力変数を選定する、変数選定処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
AIエンジンへの入力段階、出力段階を通じて時系列範囲全体においても、KPIの改善に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】AIエンジンにおける「入力」と「出力」の時系列を示すイメージ図。
図2】本実施形態におけるリペアリコメンドシステムの構成のブロック図。
図3】本実施形態におけるハードウェア構成のブロック図。
図4】本実施形態におけるAIエンジン情報をネットワークで表した構造図。
図5】本実施形態におけるAIエンジン情報における故障原因情報を示す表図。
図6】本実施形態におけるAIエンジン情報における調査項目情報を示す表図。
図7】本実施形態におけるAIエンジン情報における故障原因と調査項目の因果関係情報を示す表図。
図8A】本実施形態におけるAIエンジン情報における確率分布情報を示す表図。
図8B】本実施形態におけるAIエンジン情報における確率分布情報を示す表図。
図9】本実施形態における変数選定情報におけるKPIに対する変数条件情報を示す表図。
図10】本実施形態における変数選定情報における変数条件情報に対する変数情報を示す表図。
図11】本実施形態における入力手順生成方法選定情報を示す表図。
図12】本実施形態における推薦判定情報を示す表図。
図13】本実施形態における重点KPI情報を示す表図。
図14】本実施形態における入力手順情報を示す表図。
図15】本実施形態における調査項目回答情報を示す表図。
図16】本実施形態における推薦結果情報を示す表図。
図17】本実施形態における登録フェーズの処理フロー。
図18】本実施形態における推薦フェーズの処理フロー。
図19】本実施形態におけるAIエンジン情報登録画面イメージ図。
図20】本実施形態における変数選定情報登録画面イメージ図。
図21】本実施形態における入力手順生成方法選定情報登録画面イメージ図。
図22】本実施形態における推薦判定情報登録画面イメージ図。
図23】本実施形態における重点KPI受付画面イメージ図。
図24】本実施形態における入力受付画面イメージ図。
図25】本実施形態における推薦結果表示画面イメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0015】
以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0016】
同一または同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0017】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0018】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲等を表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。本明細書で引用した刊行物、特許および特許出願は、そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
【0019】
以下、適宜図面を参照しながら本発明を実施するための代表的な形態を説明する。本実施の形態では、上記でも挙げたアセットが不調、故障となったときに、AIエンジンに基づいて適切な故障原因クラスを推薦するリペアリコメンドシステムで用いる入力手順生成装置を詳細に説明する。故障原因クラスは、故障原因とその修理作業の内容が一意に定まる番号であり、故障の原因名称、修理の作業名称が紐づけられた故障原因情報としてまとめられていることが多い。
【0020】
実施例の一つを説明する。好ましいリペアリコメンドシステムの実施例では、入力変数群と、出力変数群と、その因果関係群と確率分布を示す情報を管理するAIエンジン管理部と、使用者の事業に係るKey Performance Indicator(KPI)に基づいて入力変数を選定する変数選定情報を管理する変数選定情報管理部と、使用者が重要視するKPIを示す重点KPI情報を入力する重点KPI受付部と、入力変数群を選定する変数選定部と、AIエンジンに入力する入力変数の順番を示す入力手順情報を生成する入力手順生成部と、使用者が入力手順情報に基づいて入力変数の値を入力する入力受付部と、受け付けた入力変数の値と選定した入力変数群とAIエンジン情報を用いて出力変数の確率を算出する推薦確率算出部と、算出した出力変数の確率を表示する推薦結果表示部とを備える。
【0021】
このシステムは、変数選定部が、重点KPI情報と変数選定情報に基づいて、入力変数群を選定し、入力手順生成部が、選定した入力変数群と重点KPI情報とAIエンジン情報に基づいて、入力変数の順番を示す入力手順情報を生成する。
【0022】
本明細書等において、KPIとはユーザが重要視する任意の価値基準を示す指標をひろく指す概念とする。ユーザが重要視するKPIに基づいてAIエンジンへの入力手順を生成することにより、入力から出力までを含めてKPIを改善できる。また、入力と出力で、それぞれ異なるKPIを改善できる。
【実施例0023】
<1.概略>
図1は、リペアリコメンドシステムのAIエンジンにおける「入力」と「出力」の時系列を示す図である。図1では、「故障原因探求(入力)」と「故障原因推薦(出力)」の時系列範囲1と、入力情報に基づいてその故障原因を出力するAIエンジン2、AIエンジンに故障したアセットの情報を入力する情報入力者3、AIエンジンからの出力結果に基づいて修理を実施する出力結果利用者4の関係性が示されている。
【0024】
ここで、AIエンジンは、時系列範囲1で情報入力者3と出力結果利用者4の業務におけるKPIの改善に貢献することができる。しかしながら、従来技術のAIエンジンでは、「故障原因推薦(出力)」において出力結果利用者4のKPIに合わせた出力結果を出すのみであるため、AIエンジンによるKPI改善の機会損失を生じさせてしまっている。
【0025】
この点、本実施の形態では、AIエンジンへの情報入力者に対して、該当入力者のKPIに合わせた入力手順を推薦することにより、時系列範囲1全体でKPIを改善できる。また、情報入力者3と出力結果利用者4で、それぞれ異なるKPIを改善できる。
【0026】
本実施の形態では、ユーザが重要視するKPIに基づいてAIエンジンへの入力手順情報を生成することにより、入力から出力まで一気通貫でKPIを改善可能なリコメンドシステムを実現する構成について説明する。
【0027】
なお、図1では、情報入力者3と出力結果利用者4を別の人物であることを例示しているが、同一の人物であることもある。
【0028】
図2を参照して、リペアリコメンドシステムの登録フェーズと推薦フェーズの処理を説明する。登録フェーズとは、AIエンジンの登録、変数選択情報管理部の登録、推薦判定情報の登録を行うまでの流れを指す。推薦フェーズとは、アセットオーナからコールセンタへの修理の依頼、コールセンタからリペアリコメンドシステムの利用開始、リペアリコメンドシステムからコールセンタへの入力手順の推薦、コールセンタによる入力手順に従った情報収集、入力情報に基づく故障原因の推薦までの流れを指す。登録フェーズと推薦フェーズに分けて、リペアリコメンドシステム10の概略を説明する。
【0029】
アセット20は、機器、設備、車両等である。アセットオーナ15はアセット20の所有者や管理者であり、アセット20の故障発生時にはコールセンタ16に修理を依頼する。コールセンタ16は、アセットオーナ15の修理依頼に対し、アセットオーナ15にアセット20の状態を繰り返し問い合わせ、故障原因を特定する。特定した故障原因がアセットオーナ15だけで修理できる故障原因なら修理方法を回答する。故障原因を特定できない、もしくはアセットオーナ15が治せない故障ならば保守実行部隊17に引き継ぐ。保守実行部隊17は、アセット20が設置されている設備、工場に訪問して故障原因の特定と修理を行う。
【0030】
<1-1.登録フェーズ>
図2では、まず、登録フェーズにおいて、管理者14はアセット20の状態を表す入力変数(以降、「調査項目」と呼ぶ)と、アセット20の故障原因情報を表す出力変数(以降、「故障原因」と呼ぶ)と、調査項目と故障原因の因果関係と、因果関係を確率で表した確率分布をAIエンジン情報とし、管理者端末11を介してリペアリコメンドシステム10に送る。
【0031】
リペアリコメンドシステム10は、AIエンジン情報登録部1041にて管理者から送られた情報を受け付け、AIエンジン情報管理部1011でAIエンジン情報として管理する。AIエンジン情報については、後に図4図8を用いて説明する。
【0032】
次に、管理者14は、使用者ごとのKPIとそのKPIを改善させるために故障原因探求の業務と、故障原因修理に掛けるべき条件を対応付けたKPIに対する変数条件情報と、各調査項目と、故障原因がどの変数条件情報を満たしているかをまとめた変数条件に対する変数情報とを、管理者端末11を介してリペアリコメンドシステム10に送る。リペアリコメンドシステム10は、変数選定情報登録部1042にて管理者から送られてきた情報を受け付け、変数選定情報管理部1012に変数選定情報としてKPIに対する変数条件情報と変数条件に対する変数情報を管理する。変数選定情報については、後に図9図10を用いて説明する。
【0033】
そして、管理者14は、入力条件に対して、どの入力手順生成方法が適しているかをまとめた入力手順生成方法選定情報を、管理者端末11を介してリペアリコメンドシステム10に送る。ここで、入力手順生成方法は、どの調査項目の回答を入力していけばよいか順位付けする方法である。リペアリコメンドシステム10は、入力手順生成方法選定情報登録部1043で入力手順生成方法選定情報を受け付け、入力手順生成方法選定情報管理部1013に入力手順生成方法選定情報を管理する。入力手順生成方法選定情報については、後に図11を用いて説明する。
【0034】
その後、管理者14は、AIエンジンがユーザの調査項目の回答に基づいて算出した故障原因の確率が幾つ以上ならユーザに故障原因として提示するかの推薦確率閾値と、各故障原因の確率が推薦確率閾値よりも低かった場合にユーザに対して何回追加の調査項目への回答を必要とするかの調査回数閾値を、管理者端末11を介してリペアリコメンドシステム10に送る。リペアリコメンドシステム10は、推薦判定情報登録部1044にて、管理者から送られてきた情報を受け付け、推薦判定情報管理部1014に推薦判定情報として推薦確率閾値と調査回数閾値を管理する。推薦判定情報については、後に図12を用いて説明する。
【0035】
<1-2.推薦フェーズ>
次に、推薦フェーズにおいて、アセット20の故障発生時にアセットオーナ15は、窓口端末13を介してアセット20の修理依頼と修理において重要視するKPI(「重点KPI」と呼ぶ)をコールセンタ16に伝達する。コールセンタ16は、利用者端末12を介して、アセットオーナ15が重要視するKPIと、コールセンタ16が重要視するKPIを、リペアリコメンドシステム10に送る。リペアリコメンドシステム10は、重点KPI受付部1021でコールセンタ16から送られてきた情報を受け付ける。
【0036】
次に、変数選定部1022は、変数選定情報管理部1012で管理しているKPIに対する変数条件情報とコールセンタ16から送られてきた重点KPIから、KPIに対応する入力変数条件群と出力変数条件群を抽出する。その後、変数選定情報管理部1012で管理している変数条件に対する変数情報から、変数条件群を満たす調査項目群と故障原因群を選定する。
【0037】
次に、入力手順生成方法選定部1023は、入力手順生成方法選定情報管理部1013で管理している入力手順生成方法選定情報と入力変数条件群から、入力手順生成方法を1つ選定する。
【0038】
次に、入力手順生成部1024は、変数選定部1022にて選定した調査項目、故障原因と、入力手順生成方法選定部1023にて選定した入力手順生成方法と、AIエンジン情報に基づいて、どの調査項目に回答していけばよいか順位付けする。
【0039】
次に、入力受付部1031は、入力手順生成部1024にて順序付けた調査項目を利用者端末12を介してコールセンタ16に提示する。コールセンタ16は、提示された調査項目に基づいて、アセット20の状態を窓口端末13を介してアセットオーナ15に問い合わせる。アセットオーナ15は、アセット20の状態を調査し、回答結果を窓口端末13を介してコールセンタ16に伝達する。コールセンタ16は、回答結果を入力受付部1031に入力する。
【0040】
そして、推薦確率算出部1032は、入力受付部1031にて受け付けた調査項目の回答に基づいて各故障原因の確率を算出する。
【0041】
その後、推薦判定部1033は、入力部にて受け付けた調査項目の回答と、算出した各故障原因の確率と、変数選定部1022にて選定した調査項目と、推薦判定情報管理部1014で管理している推薦確率閾値と調査回数閾値に基づいて、推薦するか、入力を継続するか、終了するかを判定する。
【0042】
推薦する場合は、推薦結果表示部1034にて、最も確率の高い故障原因の故障原因情報をコールセンタ16に推薦する。コールセンタ16は、推薦された故障原因情報に基づいて、アセットオーナ15に故障原因情報を伝達する。アセットオーナ15は、伝達された故障原因情報に基づいてアセット20の修理を行う。
【0043】
入力を継続する場合は、入力手順生成部1024に戻り、変数選定部1022にて選定した故障原因と、入力手順生成方法選定部1023にて選定した入力手順生成方法と、AIエンジン情報と、入力受付部1031にて受け付けた調査項目の回答に基づいて、どの調査項目に回答していけばよいか再度順位付けする。
【0044】
その後、入力受付部1031は、入力手順生成部1024にて順序付けた調査項目を利用者端末12を介してコールセンタ16に再度提示し、追加の回答を促す。終了する場合は、推薦結果表示部1034にて、保守実行部隊17へ引継ぐことをコールセンタ16に推薦する。
【0045】
コールセンタ16は、保守実行部隊17に修理を依頼する。保守実行部隊17は、アセット20が設置されている設備、工場に訪問し、アセットオーナ15が重要視するKPIと、保守実行部隊17の重点KPIをリペアリコメンドシステム10に送る。以降、保守実行部隊17は、コールセンタ16と同様にリペアリコメンドシステム10を利用し、アセット20の故障原因探求及び修理を実施する。
【0046】
<2.システム構成>
<2-1.機能ブロック>
図2を用いて本実施の形態に係るシステムの構成を説明する。本システムは、構成要素として、リペアリコメンドシステム10と、管理者が操作する管理者端末11と、コールセンタ16と保守実行部隊17が操作する利用者端末12と、アセットオーナ15が所有するアセット20と、コールセンタとアセットオーナが通話をする窓口端末13とを備える。
【0047】
これらの構成要素は、有線または無線による通信線18で相互に接続されている。通信線18自体は、電話線、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等で構成される。なお、上記構成要素は、一例であって、構成要素数は、増減してもよい。例えば、分散処理のため、リペアリコメンドシステム10が複数に分かれていてもかまわない。
【0048】
リペアリコメンドシステム10の詳細について説明する。リペアリコメンドシステム10は、管理部101と、入力手順生成装置102と、推薦部103と、登録部104とを備える。
【0049】
管理部101は、変数選定情報管理部1012と、入力手順生成方法選定情報管理部1013と、AIエンジン情報管理部1011と、推薦判定情報管理部1014とを備える。
【0050】
入力手順生成装置102は、重点KPI受付部1021と、変数選定部1022と、入力手順生成方法選定部1023と、入力手順生成部1024とを備える。
【0051】
推薦部103は、入力受付部1031と、推薦確率算出部1032と、推薦判定部1033と、推薦結果表示部1034とを備える。
【0052】
登録部104は、AIエンジン情報登録部1041と、変数選定情報登録部1042と、入力手順生成方法選定情報登録部1043と、推薦判定情報登録部1044とを備える。なお、推薦フェーズでは、例えば登録部については省略可能である。
【0053】
<2-2.機能およびハードウェア>
図3は、リペアリコメンドシステム10のハードウェア構成の一例を示している。次に、図2図3とを参照して機能とハードウェアとの対応を説明する。図2は、リペアリコメンドシステム10が備える機能構成の一例を示している。リペアリコメンドシステム10のハードウェアは、例えばサーバ装置のようなコンピュータで構成される。
【0054】
図2に示すリペアリコメンドシステム10が備える管理部101と入力手順生成装置102と推薦部103と登録部104は、図3に示すCPU(Central Processing Unit)1H101と、ROM(Read Only Memory)1H102と、RAM(Random Access Memory)1H103と、外部記憶装置1H104と、通信I/F(Interface)1H105と、マウス、キーボード等に代表される外部入力装置1H106と、ディスプレイ等に代表される外部出力装置1H107とを備える。
【0055】
CPU1H101が、ROM1H102または外部記憶装置1H104に格納されたプログラムをRAM1H103に読み込み、通信I/F1H105、外部入力装置1H106、外部出力装置1H107を制御することで、各種機能が実現される。
【0056】
本実施の形態では、コンピュータにおける計算、制御等の機能は、ROM1H102、外部記憶装置1H104等の記憶装置に格納されたプログラムがCPU1H101等のプロセッサによって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。コンピュータ等が実行するプログラム、その機能、またはその機能を実現する手段を、「機能」、「手段」、「部」、「ユニット」、「モジュール」、「モデル」等と呼ぶ場合がある。
【0057】
リペアリコメンドシステム10の構成は、単体のコンピュータで構成してもよいし、任意の部分が、ネットワークで接続された他のコンピュータで構成されてもよい。発明の思想としては等価であり、変わるところがない。また、本実施の形態中、ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路(ハードウェア)でも実現できる。
【0058】
以上のように実施例を利用したリペアリコメンドシステムでは、情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に接続されている1以上のプロセッサと含むコンピュータを備える。コンピュータの記憶装置が、ベイジアンネットワークを用いたAIエンジン情報と、使用者の事業に係るKPIに基づいて入力変数を選定する変数選定情報を記憶している。コンピュータのプロセッサは、下記(X1)乃至(X6)の処理を行う。
(X1)使用者が重要視するKPIを示す重点KPI情報を入力する第1の処理、
(X2)重点KPI情報と変数選定情報とを用いて、入力変数群を選定する第2の処理、
(X3)選定した入力変数とAIエンジン情報とを用いてAIエンジンに入力する入力変数の順番を示す入力手順情報を生成する第3の処理、
(X4)入力手順情報を用いて入力変数の値を入力する第4の処理、
(X5)第4の処理で入力された入力変数の値と、選定した入力変数群と、AIエンジン情報を用いて出力変数の確率を算出する第5の処理、
(X6)第5の処理で算出した出力変数の確率を表示する第6の処理。
【0059】
<2-3.データ構造>
<2-3-1.AIエンジン情報>
図4図8を用いて、リペアリコメンドシステム10の管理部のAIエンジン情報管理部1011が管理するAIエンジン情報について説明する。特に限定しないが、本実施の形態では、AIエンジンにベイジアンネットワークを用いるものとする。ベイジアンネットワークは、確率モデルの構造を視覚的に記述可能なグラフィカルモデルの一種である。
【0060】
図4は、本実施の形態において、リペアリコメンドシステム10のAIエンジンで用いるベイジアンネットワークの概形を示している。ベイジアンネットワークの確率変数には故障原因1B101と調査項目1B102の2つの種類があり、故障原因と調査項目の間の条件付き依存(確率的な依存関係)を矢印1B103で表している。図4のベイジアンネットワークは、図5図8のデータ構造にて定義できる。AIエンジンでは、調査項目を入力変数とし、故障原因を出力変数とする。以降、詳細を説明する。
【0061】
図5を用いて、AIエンジン情報1Tにおける故障原因情報1T1について説明する。故障原因情報は、故障原因の名称を記載する故障原因名称1T11と修理方法の名称を記載する修理方法名称1T12とを備える。なお、本実施の形態では、故障原因情報は、上記項目を備えるが、修理手順書等に紐づけられた修理種別、修理手順書等のファイルまたはURL(Uniform Resource Locator)等、修理作業に関する項目を備えていてもよいし、上記項目の一部の項目を備えてもよい。
【0062】
図6を用いて、AIエンジン情報1Tにおける調査項目情報1T2について説明する。調査項目情報は、調査項目の名称を記載する調査項目名称1T21を備える。なお、本実施の形態では、調査項目情報は、上記項目を備えるが、トラブルシュートフロー等に紐づけられた調査手順や、調査に必要な部品など、調査作業に関する項目を備えていてもよいし、上記項目の一部の項目を備えてもよい。
【0063】
図7を用いて、AIエンジン情報における故障原因と調査項目の因果関係情報1T3について説明する。因果関係情報1T3は、調査項目の親となる故障原因を記載する故障原因名称1T31と、子とする調査項目を記載する調査項目名称1T32を備える。
【0064】
図8A図8Bを用いて、AIエンジン情報における確率分布情報1T4について説明する。図8Aは、確率分布情報1T4のうち各故障原因の確率分布1T41である。図8Bは、確率分布情報1T4のうち各調査項目の確率分布1T42である。
【0065】
図8Aの故障原因の確率分布1T41は、アセットの障害発生時に故障原因が起きていない確率を記載する項目1T411と故障原因が起きている確率を記載する項目1T412とを備える。
【0066】
図8Bの項目1T422は、調査項目の親となる故障原因の状態に対する調査項目の回答の確率を記載する同時確率分布である。調査項目の確率分布は、故障原因の状態を記載する項目1T421と、調査項目の回答がYESとなる確率を記載する項目1T422と、調査項目の回答がNOとなる確率を記載する項目1T423とを備える。項目1T421は任意の数あってよく、故障原因の状態は任意の数の項目1T421が示す状態の組み合わせで表現できる。
【0067】
なお、本実施の形態では、調査項目の回答はYESとNOとの二値であるが、YESとNOと不明との3値や、緑点灯と赤点灯と点滅と消灯の4値のように2つ以上の回答であってもよい。
【0068】
本実施の形態では、AIエンジン情報1Tは、管理者が製品仕様書、保守手順書、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)、FT(Fault Tree)などのアセットに関する設計・保守情報から作成することを想定しているが、アセットの故障時に発生した調査項目の回答群とそのときの故障原因の組を収集した修理履歴から、K2アルゴリズムなどのベイジアンネットワークの構造学習アルゴリズムを用いて作成してもよい。
【0069】
また、図5図8で示したAIエンジン情報1Tの記述形式は、一般的に知られているベイジアンネットワークの記述形式であり、ベイジアンネットワークを記述する他の形式で合ってもよい。
【0070】
また、AIエンジンは、ナイーブベイズなどのベイジアンネットワークを単純化したモデルであってもよいし、Noisy-maxモデルなどのベイジアンネットワークの近似モデルであってもよい。
【0071】
<2-3-2.変数選定情報>
図9図10を用いて、リペアリコメンドシステム10の管理部の変数選定情報管理部1012が管理する変数選定情報について説明する。
【0072】
図9は、変数選定情報1DにおけるKPIに対する変数条件情報1D1を示している。KPIに対する変数条件情報1D1は、使用者の一覧1D101と、使用者ごとのKPIの一覧1D102と、入力条件の一覧1D103と、出力条件の一覧1D104と記入欄1D105を備える。
【0073】
記入欄1D105には、対応するKPIを改善できるか否かの印を記載する。例えば、入力条件が「素早く故障原因を調査する」である場合は、KPIにおけるアセットオーナの業務停止時間削減と、コールセンタの調査時間低減、保守実行部隊の調査時間低減を改善できるとして印をつける。
【0074】
なお、本実施の形態では、改善できる場合は「〇」をつけ、改善できないもしくは無関係の場合は「-」をつけているが、これらの記号以外であってもよいし、影響を及ぼす度合いを表す数値で合ってもよい。KPIに対する変数条件情報は、入力と出力を別々に管理してもよいし、入力だけであってもよい。
【0075】
図9の例では、アセットオーナ、コールセンタ、保守実行部隊ごとに条件を定義しているが、例えば複数のアセットオーナにそれぞれ異なる条件を定義してもよい。
【0076】
図10は、変数選定情報1Dにおける変数条件に対する変数情報1D2を示している。変数条件に対する変数情報1D2は、入力条件と出力条件の一覧1D201と、調査項目名称の一覧1D202と、故障原因名称の一覧1D203と、記入欄1D204を備える。記入欄1D204、対応する入力条件を満たすか否かの印を記載する。
【0077】
例えば、調査項目名称が「筐体LEDは緑点灯か」である場合は、入力条件における治具無しで故障原因を調査する、業務を停止せず故障原因を調査する、安全に故障原因を調査するという条件を満たせるとして印をつける。
【0078】
本実施の形態では、改善できる場合は「〇」をつけ、改善できないもしくは無関係の場合は「-」をつけているが、これらの記号以外であってもよいし、KPIへの影響を及ぼす度合いを表す数値で合ってもよい。変数条件に対する変数情報は、入力と出力を別々に管理してもよいし、入力だけであってもよい。入力条件の一覧と出力条件の一覧に記載する入力条件と出力条件は一部であってもよい。調査項目名称の一覧と故障原因名称の一覧に記載する調査項目と故障原因は一部であってもよい。
【0079】
本実施例では、重点KPI情報に対して変数条件を紐づけ、変数条件に対して調査項目と故障原因の変数を紐づける階層構造にしているが、重点KPI情報に対して変数を紐づける形にしてもよい。また、他の階層構造にしてもよい。
【0080】
<2-3-3.入力手順生成方法選定情報>
図11を用いて、リペアリコメンドシステム10の管理部101の入力手順生成方法選定情報管理部1013が管理する、入力手順生成方法選定情報1Sについて説明する。入力手順生成方法選定情報1Sは、入力条件に対してどの入力手順生成方法を用いて調査項目の順位付けを行うか記載する。
【0081】
入力手順生成方法選定情報1Sは、入力手順生成方法の選定に必要な入力条件を記載する入力条件1S1と、調査項目の順位付けを行う入力手順生成方法の名称を記載する入力手順生成方法名称1S2とを備える。
【0082】
本実施の形態では、入力条件の組み合わせに基づいて複数の前記項目の順序付けを行う入力手順生成方法を選定する。すなわち、「素早く故障原因を調査する」と「確実に故障原因を調査する」の2つの入力条件に基づいて入力手順生成方法を選定するが、1つの入力条件であってもよいし、3つ以上の入力条件の組み合わせであってもよい。
【0083】
<2-3-4.推薦判定情報>
図12を用いて、リペアリコメンドシステム10の管理部101の推薦判定情報管理部1014が管理する推薦判定情報1Xについて説明する。推薦判定情報は、AIエンジンがユーザの調査項目の回答に基づいて算出した故障原因の確率が幾つ以上ならユーザに故障原因として提示するかの推薦確率閾値1X1と、各故障原因の確率が推薦確率閾値よりも低かった場合にユーザに対して何回追加の調査項目への回答を必要とするかの調査回数閾値1X2とを備える。
【0084】
<2-3-5.重点KPI情報>
図13を用いて、リペアリコメンドシステム10の入力手順生成装置102の重点KPI受付部1021がコールセンタ16から利用者端末12を介して受け付ける重点KPI情報1R1について説明する。重点KPI情報1R1は、アセットの修理に関わる使用者名称1R101と、使用者の重点KPIを記載する重点KPI1R102とを備える。重点KPI情報1R1は、コールセンタ16があらかじめ各利用者から収集して記憶しておくか、あるいは推薦フェーズ開始時に各利用者から収集する。
【0085】
<2-3-6.入力手順情報>
図14を用いて、リペアリコメンドシステム10の推薦部の入力受付部1031がコールセンタ16に利用者端末12を介して提示する入力手順情報1R2について説明する。入力手順情報1R2は、どの調査項目を調査すればよいかを示す入力順位1R201と調査項目名称1R202と順位付けの元となるスコア1R203とを備える。
【0086】
<2-3-7.調査項目回答情報>
図15を用いて、コールセンタ16がリペアリコメンドシステム10の推薦部103の入力受付部1031に利用者端末12を介して入力する調査項目回答情報1R3について説明する。調査項目回答情報1R3は、アセットに対して実施した調査項目の名称を示す調査項目名称1R301と調査項目の回答を示す回答1R302とを備える。調査項目回答情報1R3はAIエンジン2に入力する入力変数となる。
【0087】
<2-3-8.推薦結果情報>
図16を用いて、リペアリコメンドシステム10の推薦部103の推薦結果表示部1034が利用者端末12を介してコールセンタ16に推薦する推薦結果情報1R4について説明する。推薦結果情報1R4は、推薦する故障原因の順位を記載する推薦順位1R401と故障原因名称1R402と修理方法名称1R403と故障原因の確率を示す推薦確率1R404とを備える。
【0088】
<3.登録フェーズの処理フロー>
図17を用いて、登録フェーズの処理フローを説明する。
まず、AIエンジン情報登録部1041は、管理者14より管理者端末11を介して入力された、AIエンジン情報1TをAIエンジン情報管理部1011に登録する(ステップ1F101)。
【0089】
次に、変数選定情報登録部1042は、管理者14より管理者端末11を介して入力された、KPIに対する変数条件情報1D1と変数条件に対する変数情報1D2を変数選定情報管理部1012に登録する(ステップ1F102)。
【0090】
その後、入力手順生成方法選定情報登録部1043は、管理者14より管理者端末11を介して入力された、入力手順生成方法選定情報1Sを入力手順生成方法選定情報管理部1013に登録する(ステップ1F103)。
【0091】
そして、推薦判定情報登録部1044は、管理者14より管理者端末11を介して入力された、推薦判定情報1Xを推薦判定情報管理部1014に登録する(ステップ1F104)。
【0092】
なお、ステップ1F101とステップ1F102とステップ1F103とステップ1F104とは、順番が前後してもよいし、AIエンジン情報1T、変数選定情報1D、入力手順生成方法選定情報1S、推薦判定情報1Xが各管理部に事前に登録されているならば、ステップを飛ばしてもよい。
【0093】
<4.推薦フェーズの処理フロー>
図18を用いて推薦フェーズの処理フローを説明する。
まず、重点KPI受付部1021は、コールセンタ16から利用者端末12を介して重点KPI情報1R1(図13)を受け付ける(ステップ1F201)。
【0094】
次に、変数選定部1022は、変数選定情報管理部1012で管理しているKPIに対する変数条件情報1D1(図9)と重点KPI情報1R1(図13)から、重点KPIに対して印づけられた入力条件群と出力条件群を抽出する。例えば、重点KPI情報が「アセットオーナの業務定時間低減」と「コールセンタの保守実行部隊訪問要請率低減」であれば、入力条件群は「素早く故障原因を調査する」「業務を停止せず原因を調査する」「治具無しで故障原因を調査する」となり、出力条件群は「業務を停止せず故障原因を修理する」「交換部品無しで故障原因を修理する」となる。
【0095】
その後、変数選定情報管理部1012で管理している変数条件に対する変数情報1D2(図10)と抽出した入力条件群と出力条件群から、入力条件群と出力条件群に対して印づけられた調査項目名称群と故障原因名称群を選定する。例えば、前述の例示で抽出した入力条件群と出力条件群であれば、調査項目名称群は「筐体LEDは緑点灯」「E11が出力されているか」などとなり、故障原因名称群は、「ケーブル接触不良」「記憶容量逼迫」などとなる(ステップ1F202)。
【0096】
次に、入力手順生成方法選定部1023は、入力手順生成方法選定情報管理部1013で管理している入力手順生成方法選定情報1S(図11)と抽出した入力条件群から、入力手順生成方法を選定する。例えば、前述の例示では、入力条件は「素早く故障原因を調査する」であるので、「故障原因特定重視入力手順生成方法」を選定する(ステップ1F203)。
【0097】
次に、AIエンジン情報管理部1011で管理しているAIエンジン情報1T(図5図8B)と、変数選定部1022にて選定した調査項目名称群と、故障原因名称群と、入力手順生成方法選定部1023にて選定した入力手順生成方法とに基づいて、どの調査項目に回答していけばよいか調査項目の順位付けをし、入力手順情報1R2(図14)を生成する(ステップ1F204)。
【0098】
本実施の形態では、入力手順情報の生成方法として、故障原因特定重視入力手順生成方と故障原因切り分け重視入力手順生成方法の2つがある。以下、各入力手順生成方法について詳細に説明する。
【0099】
故障原因特定重視入力手順生成方法は、調査項目の回答が得られた場合に起きている確率の高い故障原因の確率をより高くする調査項目に高いスコアをつけることで、調査項目の回答回数を少なくできる入力手順生成方法である。ただし、故障原因特定重視入力手順生成方法は、推薦時に起きている確率が0%でない故障原因が多く残ることがあり、確実な故障原因の特定にならないことがある。そのため、アセットの故障によりアセットオーナの業務が停止している状況などに適している。
【0100】
具体的なスコアの付け方としては、例えば、調査項目の回答が得られた場合の各推薦確率の条件付き確率の二乗和である。変数選定部1022にて選定した調査項目名称群の数をI、変数選定部1022にて選定した故障原因名称群の数をCとし、各調査項目名称を調査項目i(=1、2、…、I)、各故障原因名称を故障原因c(=1、2、…、C)とすると、調査項目iのスコアは、
調査項目iのスコア=(調査項目iの回答が得られた時に故障原因1が起きている確率)^2+(調査項目iの回答が得られた時に故障原因2が起きている確率)^2+…+(調査項目iの回答が得られた時に故障原因Cが起きている確率)^2
により算出する。これにより、確率の高い故障原因の確率をより高くする調査項目に高いスコアが割り当てられるようになる。
【0101】
一方、故障原因切り分け重視入力手順生成方法は、調査項目の回答が得られた場合に起きている確率の高い故障原因の確率をより高く、起きている確率の低い故障原因の確率をより低くする調査項目に高いスコアをつけることで、確実に故障原因を特定できる入力手順生成方法である。ただし、故障原因切り分け重視入力手順生成方法は、調査項目の回答回数が多くなることがある。そのため、アセットの故障が軽微であり、アセットオーナの業務が停止していない状況などに適している。
【0102】
具体的なスコアの付け方としては、例えば、調査項目の回答が得られた場合の各推薦確率の平均情報量の和に-1を掛けた値である。変数選定部1022にて選定した調査項目名称群の数をI、変数選定部1022にて選定した故障原因名称群の数をCとし、各調査項目名称を調査項目i(=1、2、…、I)、各故障原因名称を故障原因c(=1、2、…、C)とすると、調査項目iのスコアは、
調査項目iのスコア=-1×{(調査項目iの回答が得られた時の故障原因1の平均情報量)-(調査項目iの回答が得られた時の故障原因2の平均情報量)-…-(調査項目iの回答が得られた時に故障原因Cの平均情報量)}
により算出する。
【0103】
平均情報量は、起きている確率が100%か0%のときに最小値を取る凸関数であるため、-1を掛けている。これにより、比較的確率の高い故障原因の確率をより高く、起きている確率の比較的低い故障原因の確率をより低くする調査項目に高いスコアが割り当てられるようになる。
【0104】
本実施形態の確率計算には、ベイジアンネットワークの推論アルゴリズムとして広く知られているLoopy belief propagationやMarkov chain Monte Carlo methodsなどを用いる。なお、入力手順生成方法は、故障原因特定重視入力手順生成方法と故障原因切り分け重視入力手順生成方法のほかにあってもよい。
【0105】
入力手順生成方法により調査項目とそのスコアを算出した後は、スコアに基づいて調査項目をソート、順位付けを行い、入力手順情報1R2(図14)を生成する。
【0106】
以上のように、入力手順生成装置102は、ユーザが重要視するKPIに基づいてAIエンジンへの入力手順情報を生成することができる。
【0107】
次に、入力受付部1031は、入力手順生成方法選定部1023にて選定した入力手順生成方法名称と入力手順生成部1024にて生成した入力手順情報1R2(図14)とを、利用者端末12を介してコールセンタ16に表示し、コールセンタ16からの調査項目回答情報1R3(図15)を利用者端末12を介して受け付ける(ステップ1F205)。
【0108】
そして、推薦確率算出部1032は、入力受付部1031で受け付けた調査項目の回答が得られた時の故障原因が起きている確率を算出する(ステップ1F206)。
【0109】
その後、推薦判定部1033は、入力受付部1031にて受け付けた調査項目の回答と、推薦確率算出部1032で算出した各故障原因が起きている確率と、変数選定部1022にて選定した調査項目と、推薦判定情報管理部1014で管理している推薦確率閾値と、推薦判定情報管理部1014で管理している調査回数閾値(図12)とに基づいて、推薦、継続、終了かを判定する(ステップ1F207)。
【0110】
各故障原因が起きている確率のうち最も高い確率が推薦確率閾値以上の場合は、推薦判定とする。各故障原因が起きている確率のうち最も高い確率が推薦確率閾値未満であり、調査項目に回答した回数が調査回数閾値未満であり、変数選択部にて選定した調査項目の全てに回答していない場合は、継続判定とする。各故障原因が起きている確率のうち最も高い確率が推薦確率閾値未満であり、調査項目に回答した回数が調査回数閾値以上または変数選択部にて選定した調査項目の全てに回答している場合は、終了判定とする。
【0111】
継続判定の場合は、ステップ1F204に戻る。このとき、ステップ1F204とステップ1F205では、入力受付部1031で受け付けた調査項目回答情報1R3を事前情報として確率を計算する。
【0112】
その後、ステップ1F206で算出した各推薦確率と、故障原因情報に基づいて推薦結果情報1R4を作成し、ステップ1F207の判定結果とともにコールセンタ16に利用者端末12を介して表示する。
【0113】
以上のように、ユーザが重要視するKPIに基づいて入力変数を選択する構成を採用することにより、AIエンジンへの入力時にもKPIを改善することができる。また、ユーザが重要視するKPIに基づいて、AIエンジンへの入力変数の入力順序を規定する入力手順情報を生成することにより、入力から出力まで一気通貫でKPIを改善可能なリコメンドシステムを実現する。
【0114】
なお、本実施形態では1つの調査項目の回答を得た後に再度次の入力手順を生成することを想定しているが、あらかじめ全ての調査項目の回答のパターンに対する入力手順をまとめて計算してもよい。
【0115】
<5.ユーザインターフェース>
以下本実施例のデータ入出力時に、外部出力装置1H107である例えばディスプレイ装置に表示するGUI(Graphical User Interface)の例を説明する。
【0116】
図19を用いて、AIエンジン情報登録部1041のAIエンジン情報登録画面1G1を説明する。AIエンジン情報登録画面1G1は、AIエンジン情報ファイル送信フォーム1G101と登録ボタン1G102とを備える。AIエンジン情報ファイル送信フォーム1G101は、AIエンジン情報における故障原因情報と調査項目情報と故障原因と調査項目の因果関係情報と確率分布情報を記載したCSV(Comma Separated Value)形式のファイルをまとめたファイルが指定される。なお、空の表を表示して入力させる形式等、図4のようなAIエンジン構造を表現できる形式であればよい。管理者14は、登録ボタン1G102を押すことで、入力したデータをAIエンジン情報登録部1041に送信できる。
【0117】
図20を用いて、変数選定情報登録部1042の変数選定情報登録画面1G2を説明する。変数選定情報登録画面1G2は、KPIに対する変数条件情報ファイル送信フォーム1G201と、変数条件に対する変数情報ファイル送信フォーム1G202と、登録ボタン1G203とを備える。KPIに対する変数条件情報ファイル送信フォーム1G201は、KPIに対する変数条件情報を記載したCSV形式のファイルが指定される。変数条件に対する変数情報ファイル送信フォーム1G202は、変数条件に対する変数情報を記載したCSV形式のファイルが指定される。なお、空の表を表示して入力させる形式等、KPIに対する変数条件情報と変数条件に対する変数情報を表現できる形式であればよい。管理者は、登録ボタン1G203を押すことで、入力したデータを変数選定情報登録部1042に送信できる。
【0118】
図21を用いて、入力手順生成方法選定情報登録部1043の入力手順生成方法選定情報登録画面1G3を説明する。入力手順生成方法選定情報登録画面1G3は、入力手順生成方法選定情報ファイル送信フォーム1G301と、登録ボタン1G302とを備える。入力手順生成方法選定情報ファイル送信フォーム1G301は、入力手順生成方法選定情報を記載したCSV形式のファイルが指定される。なお、空の表を表示して入力させる形式等、入力手順生成方法選定情報を表現できる形式であればよい。管理者14は、登録ボタン1G302を押すことで、入力したデータを入力手順生成方法選定情報登録部1043に送信できる。
【0119】
図22を用いて、推薦判定情報登録部1044の推薦判定情報登録画面1G4を説明する。推薦判定情報登録画面1G4は、推薦判定情報ファイル送信フォーム1G401と、登録ボタン1G402とを備える。推薦判定情報ファイル送信フォーム1G401は、推薦判定情報を記載したCSV形式のファイルが指定される。なお、空の表を表示して入力させる形式等、推薦判定情報を表現できる形式であればよい。管理者14は、登録ボタン1G402を押すことで、入力したデータを推薦判定情報登録部1044に送信できる。
【0120】
図23を用いて、重点KPI受付部1021の重点KPI受付画面1G5を説明する。重点KPI受付画面1G5は、使用者セレクトボックス1G501と、重点KPIセレクトボックス1G502と、追加ボタン1G503と、登録ボタン1G504とを備える。使用者セレクトボックス1G501は、アセットの修理に関連する使用者の名称が入力される。この項目には、変数選定情報管理部1012で管理しているKPIに対する変数条件情報1D1の使用者の一覧1D101がプルダウン形式で表示されている。
【0121】
コールセンタ及び保守実行部隊は、プルダウン形式で表示されている使用者を選択する。重点KPIセレクトボックス1G502は、使用者セレクトボックス1G501で入力された使用者の重点KPIを入力される。この項目には、変数選定情報管理部1012で管理しているKPIに対する変数条件情報1D1のKPIの一覧1D102がプルダウン形式で表示されている。コールセンタ及び保守実行部隊は、プルダウン形式で表示されているKPIを選択する。
【0122】
追加ボタン1G503は、使用者が複数いる場合に入力欄を増やすことができる。コールセンタ及び保守実行部隊は、追加ボタン1G503を押すことで、使用者セレクトボックス1G501と重点KPIセレクトボックス1G502を増やすことができる。コールセンタ及び保守実行部隊は、登録ボタン1G504を押すことで、入力したデータを重点KPI受付部1021に送信できる。
【0123】
図24を用いて、入力受付部1031の入力受付画面1G6を説明する。入力受付画面1G6は、調査項目名称表示領域1G601と、回答ボタン1G602と、入力手順生成方法名称表示領域1G603と、入力手順情報表示領域1G604と、補足情報領域表示切替ボタン1G605とを備える。調査項目名称表示領域1G601には、入力手順情報1R2において入力順位が最も高い調査項目名称を表示する。
【0124】
コールセンタ及び保守実行部隊は、回答が掛かれた回答ボタン1G602を押すことで、調査項目回答情報1R3を入力受付部1031に送信できる。入力手順生成方法名称表示領域1G603は、入力手順生成方法選定部1023で選定した入力手順生成方法名称を表示する。入力手順情報表示領域1G604は、入力手順情報1R2表示する。
【0125】
コールセンタ及び保守実行部隊は、入力手順情報表示領域1G604の調査項目名称を選択することで、調査項目名称表示領域1G601に選択した調査項目名称と回答ボタン1G602を表示し、回答を選択できるようになる。
【0126】
なお、本実施の形態では、入力手順情報表示領域1G604は、上位3件の調査項目名称を表示しているが、全ての調査項目名称を表示してもよいし、スコアがあらかじめ決めた値を超えた調査項目名称を表示してもよい。コールセンタ及び保守実行部隊は、補足情報領域表示切替ボタン1G605を押すことで、入力手順生成方法名称表示領域1G603と入力手順情報表示領域1G604とを表示、非表示にできる。
【0127】
図25を用いて、推薦結果表示部1034の推薦結果表示画面1G7を説明する。推薦結果表示画面1G7は、推薦判定表示領域1G71と、推薦結果情報表示領域1G72と、補足情報表示領域1G73とを備える。
【0128】
推薦判定表示領域1G71は、推薦判定部1033の推薦判定である推薦または終了を表示する。推薦結果情報表示領域1G72は、推薦結果情報1R4を表示する。なお、本実施の形態では、推薦結果情報表示領域1G72は、上位3件の故障原因名称、対応する修理名称、および推薦確率を表示しているが、全ての故障原因名称を表示してもよいし、推薦確率があらかじめ決めた値を超えた調査項目名称を表示してもよい。補足情報表示領域1G73には、推薦判定表示領域1G71に表示される内容に関してあらかじめ決めた補足情報や、推薦結果情報表示領域1G72に表示される内容に関してあらかじめ決めた補足情報などを表示する。
【0129】
ここで、機械学習の分野においては、データセットがある場合、データセットにノイズを加えたり、更にデータセットを増やしたりする等、AIエンジンの精度を高めることでユーザの出力に関するKPIを向上させる手法について工夫がなされる。しかしながら、AIエンジンがユーザの入力に関するKPIを向上させるために、ユーザの重点KPIに基づいてAIエンジンへの入力手順を生成するといった観点での工夫は見当たらない。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、ユーザの重点KPIに基づいてAIエンジンへの入力手順情報を生成することができる。
【0130】
また、上記入力手順情報を使用したリペアリコメンドシステムは、入力から出力まで一気通貫でユーザの重点KPIを改善できる。また、入力と出力で、それぞれ異なる重点KPIを改善できる。
【0131】
(II)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
上述の実施の形態においては、実施例をリペアリコメンドシステムに適用するようにした場合について述べたが、実施例はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0132】
上述の実施の形態において、プログラムの一部またはすべては、プログラムソースから、コンピュータにインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、ネットワークで接続されたプログラム配布サーバまたはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、上述の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0133】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0134】
また、上述の実施の形態において、図示および説明した画面は、一例であり、受け付ける情報が同じであるならば、どのようなデザインであってもよい。
【0135】
また、上述の実施の形態において、図示および説明した画面は、一例であり、推薦する情報が同じであるならば、どのようなデザインであってもよい。
【0136】
また、上述の実施の形態において、情報の出力は、ディスプレイへの表示に限るものではない。情報の出力は、スピーカによる音声出力であってもよいし、ファイルへの出力であってもよいし、印刷装置による紙媒体等への印刷であってもよいし、プロジェクタによるスクリーン等への投影であってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0137】
以上説明した実施例は、故障修理時間や推定精度などの顧客のKPIの改善を、AIエンジンの入力時においても考慮するとい新しい課題を解決するものである。上記実施例によれば、ユーザが重要視するKPIに基づいてAIエンジンへの入力手順を生成することができ、効率の良いリコメンドシステムが実現可能となるため、消費エネルギーが少なく、炭素排出量を減らし、地球温暖化を防止、持続可能な社会の実現に寄与することができる。
【符号の説明】
【0138】
10……リペアリコメンドシステム、102……入力手順生成装置、1021……重点KPI受付部、1022……変数選定部、1023……入力手順生成方法選定部、1024……入力手順生成部
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