(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098381
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】速度調整装置及びこれを備えた遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20230703BHJP
A47H 5/08 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
E06B9/322
A47H5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215102
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正
【テーマコード(参考)】
2E043
2E182
【Fターム(参考)】
2E043AA02
2E043AA04
2E043BA02
2E043BC02
2E043BE15
2E043DA01
2E043DB02
2E182AB03
2E182AC15
2E182DD01
2E182DH06
2E182EE01
2E182EF01
2E182EG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェイトとケースの間の摩擦を小さくしてケースの摩耗を抑制しつつ、速度調整装置としての制動力を維持する。
【解決手段】駆動軸の回転を許容しつつ当該駆動軸の回転を制動する速度調整装置であって、ケースと、変速手段と、制動手段とを備え、前記ケースは、前記変速手段及び前記制動手段を収容し、前記変速手段は、前記駆動軸の回転を増速して前記制動手段に伝達し、前記制動手段は、ウェイトホルダとウェイトとを備え、前記ウェイトホルダは、前記ウェイトを径方向への移動が許容された状態で収容し、前記ウェイトは、前記ウェイトホルダの回転に伴って回転するとともに、遠心力によって前記ケースの内周面に摺接して抵抗力を発生させる速度調整装置が提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の回転を許容しつつ当該駆動軸の回転を制動する速度調整装置であって、
ケースと、変速手段と、制動手段とを備え、
前記ケースは、前記変速手段及び前記制動手段を収容し、
前記変速手段は、前記駆動軸の回転を増速して前記制動手段に伝達し、
前記制動手段は、ウェイトホルダとウェイトとを備え、
前記ウェイトホルダは、前記ウェイトを径方向への移動が許容された状態で収容し、
前記ウェイトは、前記ウェイトホルダの回転に伴って回転するとともに、遠心力によって前記ケースの内周面に摺接して抵抗力を発生させるよう構成され、
下記(1)~(4)の少なくとも1つの構成をさらに備える、速度調整装置。
(1)前記ウェイトの軸方向の長さが、前記ウェイトホルダと前記ケースの間の収容空間の軸方向の長さよりも短い。
(2)前記ウェイトが、非鉄金属製又は非金属製である。
(3)前記ウェイトの前記ケースとの摺接面の摩擦係数が、前記ウェイトホルダとの当接面のうちの少なくとも1つの摩擦係数よりも小さい。
(4)前記ウェイトに、軽量化加工が施されている。
【請求項2】
請求項1に記載の速度調整装置であって、
前記構成(1)又は前記構成(3)を備え、
前記ウェイトは、引き抜き加工により製造された金属板を引き抜き方向と垂直な方向に切断することで製造され、前記引き抜き方向ではない面が前記摺接面である、速度調整装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の速度調整装置であって、
前記ウェイトは、内側ウェイトと、当該内側ウェイトとは異なる材質の外側ウェイトとを前記径方向に積層することで構成される、速度調整装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の速度調整装置であって、
前記ウェイトホルダは複数の収容空間を備え、
材質又は形状の異なる2つ以上のウェイトを前記収容空間に収容した、速度調整装置。
【請求項5】
遮蔽材と、当該遮蔽材を開閉するための開閉コードと、当該開閉コードを巻き取りあるいは巻き戻す巻取コーンと、を備えた遮蔽装置であって、
請求項1~請求項4のいずれかに記載の速度調整装置を備え、
前記駆動軸は、前記巻取コーンの回転に伴って回転するよう構成される、遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸の回転を制動する速度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽装置の昇降コードを巻き取りあるいは巻き戻すために用いられる駆動軸の回転を許容しつつその回転を制動する速度調整装置がある。例えば、特許文献1には、ブレーキドラム内でウェイト(分銅)を回転させ、その遠心力によりウェイトとブレーキドラムの間に摩擦を発生させることで、駆動軸の回転を制動する速度調整装置(減速装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の速度調整装置は、ウェイトの外側弧状面に摩擦力の大きいブレーキシューを設けることによって制動力を高めている。しかしながら、このような構成であると、ブレーキシューによりブレーキドラムの内面が摩耗するため、経年により減速装置の性能が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキドラムの摩耗を抑制して高寿命化を図ることの可能な速度調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、駆動軸の回転を許容しつつ当該駆動軸の回転を制動する速度調整装置であって、ケースと、変速手段と、制動手段とを備え、前記ケースは、前記変速手段及び前記制動手段を収容し、前記変速手段は、前記駆動軸の回転を増速して前記制動手段に伝達し、前記制動手段は、ウェイトホルダとウェイトとを備え、前記ウェイトホルダは、前記ウェイトを径方向への移動が許容された状態で収容し、前記ウェイトは、前記ウェイトホルダの回転に伴って回転するとともに、遠心力によって前記ケースの内周面に摺接して抵抗力を発生させるよう構成され、下記(1)~(4)の少なくとも1つの構成をさらに備える、速度調整装置が提供される。
(1)前記ウェイトの軸方向の長さが、前記ウェイトホルダと前記ケースの間の収容空間の軸方向の長さよりも短い。
(2)前記ウェイトが、非鉄金属製又は非金属製である。
(3)前記ウェイトの前記ケースとの摺接面の摩擦係数が、前記ウェイトホルダとの当接面のうちの少なくとも1つの摩擦係数よりも小さい。
(4)前記ウェイトに、軽量化加工が施されている。
【0007】
本発明によれば、変速手段により駆動軸の回転を増速させることによってウェイトを高速で回転させるため、上記(1)~(4)の少なくとも1つの構成によりウェイトとケースの間の摩擦を小さくしてケースの摩耗を抑制しつつ、速度調整装置としての制動力を維持することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記構成(1)又は前記構成(3)を備え、前記ウェイトは、引き抜き加工により製造された金属板を引き抜き方向と垂直な方向に切断することで製造され、前記引き抜き方向ではない面が前記摺接面である。
【0010】
好ましくは、前記ウェイトは、内側ウェイトと、当該内側ウェイトとは異なる材質の外側ウェイトとを前記径方向に積層することで構成される。
【0011】
好ましくは、前記ウェイトホルダは複数の前記収容空間を備え、材質又は形状の異なる2つ以上のウェイトを前記収容空間に収容した。
【0012】
また、本発明によれば、遮蔽材と、当該遮蔽材を開閉するための開閉コードと、当該開閉コードを巻き取りあるいは巻き戻す巻取コーンと、を備えた遮蔽装置であって、上記の速度調整装置を備え、前記駆動軸は、前記巻取コーンの回転に伴って回転するよう構成される、遮蔽装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリーツスクリーン100の概略を示す正面図である。
【
図2】
図1のプリーツスクリーン100の概略を示す側面図である。
【
図3】
図1のプリーツスクリーン100の概略を示す平面図である。
【
図4】
図1のプリーツスクリーン100の前側速度調整装置12A、後側速度調整装置12B及びこれらを保持する保持ケース11の概略を示す斜視図である。
【
図5】
図4の速度調整装置12の分解斜視図である。
【
図6】
図4の速度調整装置12の他の方向から見た分解斜視図である。
【
図7】
図4の速度調整装置12の、ケース50を除いた側面図である。
【
図8】
図4の前側速度調整装置12A(速度調整装置12)の斜視図である。
【
図12】
図4の速度調整装置12の制動手段40を示す分解斜視図である。
【
図13】
図4の速度調整装置12のウェイト42の製造過程を示す説明図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る速度調整装置12の、
図10に対応する端面図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る速度調整装置12の、
図11に対応する端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0015】
1.プリーツスクリーン100の構成
図1~
図3は、本発明の第1実施形態に係る遮蔽装置としてのプリーツスクリーン100の概略を示す正面図、側面図及び平面図である。本実施形態のプリーツスクリーン100は、
図2に示すように、遮蔽材として前側スクリーン1Aと後側スクリーン1Bの前後2つのスクリーンを備えた、ダブルプリーツスクリーンとして構成される。
【0016】
本実施形態のプリーツスクリーン100は、
図2に示すように、前側スクリーン1A及び後側スクリーン1Bと、ヘッドボックス2とを備える。また、プリーツスクリーン100は、
図1~
図3に示すように、前側スクリーン1A及び後側スクリーン1Bを開閉するための開閉手段として、開閉コードとしての複数の前側昇降コード3A及び後側昇降コード3Bと、巻取コーンとしての複数の前側巻取コーン4A及び後側巻取コーン4Bと、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bと、操作装置6と、プーリ7と、操作コード8とを備える。さらに、プリーツスクリーン100は、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bの回転を規制するための構成として、
図3に示すように、前側ストッパ装置9A及び後側ストッパ装置9Bと、前側下限リミット装置10A及び後側下限リミット装置10Bと、保持ケース11に保持された前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12B(
図4参照)と、を備える。なお、本実施形態において、前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12Bは同一の構成であり、それぞれ単に速度調整装置12とも呼ぶ。また、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bについても、それぞれ単に駆動軸5とも呼ぶ。以下、各構成について具体的に説明する。
【0017】
前側スクリーン1A及び後側スクリーン1Bは、ヘッドボックス2から吊り下げ支持される。前側スクリーン1Aは、例えば、レース生地等の半透過性の生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものであり、後側スクリーン1Bは、例えば、遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0018】
前側スクリーン1Aの後方側の各折り曲げ部分には、後方に延びる溶着部13Aが設けられ、当該溶着部にはヘッドボックス2の長手方向(
図1における左右方向)において略等間隔に複数の前側昇降コード3Aが挿通されている。また、各前側昇降コード3Aの下端には、前側ボトムレール14Aが取着されている。同様に、後側スクリーン1Bの後方側の各折り曲げ部分には、後方に延びる溶着部13Bが設けられ、当該溶着部13Bには左右方向において略等間隔に複数の後側昇降コード3Bが挿通されている。また、各後側昇降コード3Bの下端には、後側ボトムレール14Bが取着されている。
【0019】
各前側昇降コード3A及び各後側昇降コード3Bの上端部は、ヘッドボックス2の内部で支持部材15に回転可能に支持される前側巻取コーン4A及び後側巻取コーン4Bに巻着されている。すなわち、
図3に示すように、各前側昇降コード3A及び各後側昇降コード3Bは、ヘッドボックス2内において各前側昇降コード3A及び各後側昇降コード3Bの上方位置で前後方向に並列する状態で支持部材15に回転可能に支持されている。そして、前側昇降コード3A及び後側昇降コード3Bは、前側巻取コーン4A及び後側巻取コーン4Bの回転に基づいて、螺旋状に巻き取られ、或いは巻戻される。
【0020】
前側巻取コーン4Aには、ヘッドボックス2の長手方向(左右方向)に沿って配置された六角棒状の前側駆動軸5Aが相対回転不能に挿通される。また、後側巻取コーン4Bには、同じくヘッドボックス2の長手方向(左右方向)に沿って配置された六角棒状の後側駆動軸5Bが相対回転不能に挿通されている。そして、前側駆動軸5Aが前側昇降コード3Aの巻取り方向に回転されると、前側巻取コーン4Aに前側昇降コード3Aが巻き取られ、後側駆動軸5Bが後側昇降コード3Bの巻取り方向に回転されると、後側巻取コーン4Bに後側昇降コード3Bが巻き取られる。
【0021】
ヘッドボックス2の一方の端部(
図1、
図3における右側端部)には、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bを回転駆動するための操作装置6が取着されている。操作装置6の基端側にはプーリ7が回転可能に支持され、プーリ7には無端状の操作コード8(例えば、ボールチェーン)が掛装されて下方へ垂下されている。そして、操作コード8の操作によりプーリ7を回転駆動可能となっている。
【0022】
プーリ7には歯車(図示せず)が一体に形成され、その歯車に伝達歯車(図示せず)が噛み合わされている。従って、プーリ7が回転されると、この伝達歯車が回転する。この伝達歯車の回転は、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bに対応する一対のクラッチ機構(図示せず)の各入力軸に噛み合わされている。このクラッチ機構は、各入力軸の一方向の回転のみをそれぞれ対応する各出力軸に伝達する公知の機能を備え、伝達する回転方向は互いに逆方向である。そしてクラッチ機構の一方の出力軸に前側駆動軸5Aの端部が嵌着され、他方のクラッチ機構の出力軸に後側駆動軸5Bの端部が嵌着されている。
【0023】
このような構成により、操作コード8を例えば
図2に示す矢印X方向に操作すると、前側駆動軸5Aのみが回転されて、前側巻取コーン4Aが前側昇降コード3Aの巻取り方向に回転される。また、操作コード8を
図2に示す矢印Y方向に操作すると、後側駆動軸5Bのみが回転されて、後側巻取コーン4Bが後側昇降コード3Bの巻取り方向に回転される。
【0024】
また、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bは、ヘッドボックス2内に配置された前側ストッパ装置9A及び後側ストッパ装置9Bにそれぞれ挿通されている。これら前側ストッパ装置9A及び後側ストッパ装置9Bは、前側ボトムレール14A若しくは後側ボトムレール14Bの引き上げ操作の後に操作コード8を手放したとき、前側ボトムレール14A及び後側ボトムレール14Bの自重降下を防止する公知の作用をなす。
【0025】
加えて、ヘッドボックス2の他方の端部(
図1、
図3における左側端部)には、前側下限リミット装置10A及び後側下限リミット装置10Bが併設されている。前側下限リミット装置10Aは、前側巻取コーン4Aからの前側昇降コード3Aの最大戻し量を設定して、前側ボトムレール14Aの下限位置を設定する。同様に、後側下限リミット装置10Bは、後側巻取コーン4Bからの後側昇降コード3Bの最大巻戻し量を設定して、後側ボトムレール14Bの下限位置を設定する。
【0026】
さらに、ヘッドボックス2内における前側ストッパ装置9A及び後側ストッパ装置9Bの側方において、前側駆動軸5A及び後側駆動軸5Bは、前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12B(
図4及び
図5参照)にそれぞれ挿通されている。前側速度調整装置12Aは、前側駆動軸5Aの回転を許容しつつその回転を制動するガバナ装置(ダンパ)であり、後側速度調整装置12Bは、後側駆動軸5Bの回転を許容しつつその回転を制動するガバナ装置(ダンパ)である。前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12B(速度調整装置12)の構成については、後述する。前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12Bは、保持ケース11に保持される。
【0027】
保持ケース11は、
図4に示すように、前側速度調整装置12Aを収容する前側収容部20Aと、後側速度調整装置12Bを収容する後側収容部20Bとを備える。前側収容部20Aは、前側駆動軸5Aの位置に対応してヘッドボックス2内の前側に配置され、後側収容部20Bは、後側駆動軸5Bの位置に対応してヘッドボックス2内の後側に配置される。前側収容部20Aは、ヘッドボックス2の長手方向に沿った第1方向(
図4の右方向)に開口し、後側収容部20Bは、第1方向とは反対方向である第2方向(
図4の左方向)に開口している。本実施形態の前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12Bは、このような保持ケース11により、ヘッドボックス2内に保持されている。
【0028】
2.速度調整装置12の構成
以下、
図5~
図13を用いて、速度調整装置12の構成について説明する。本実施形態の速度調整装置12は、
図5及び
図6に示すように、クラッチ手段20と、変速手段30と、制動手段40と、ケース50とを備えて構成される。以下、各構成について具体的に説明する。なお、以下の説明では、
図5~
図9の各図における回転軸に沿った右側及び左側をそれぞれ速度調整装置12の右側及び左側とする。
【0029】
クラッチ手段20は、
図5及び
図10に示すように、内輪部材21と外輪部材22とを備え、内輪部材21と外輪部材22の間に複数のニードル(図示せず)が配設されて構成される。内輪部材21の内周面は六角柱状に形成され、内輪部材21には駆動軸5が相対回転不能に挿通される。また、外輪部材22は、後述する変速手段30の第1ギア部材31のクラッチ収容部31cに相対回転不能に収容される。
【0030】
クラッチ手段20は、このような構成により、駆動軸5の一方向の回転(具体的には、前側昇降コード3A又は後側昇降コード3Bの巻き戻し方向の回転)については内輪部材21の回転がニードル(図示せず)を介して外輪部材22に伝達し、第1ギア部材31に伝達される。一方、駆動軸5の他方向の回転については、内輪部材21の回転が外輪部材22に伝達しないことで、内輪部材21が空転し、駆動軸5の回転が変速手段30の第1ギア部材31に伝達しないようになっている。このようなクラッチ手段20については、従来既知の任意のものを適用することができるため、その詳細な説明を省略する。
【0031】
変速手段30は、
図5~
図7に示すように、第1ギア部材31と第2ギア部材32とを備える。第1ギア部材31は、略筒状に形成され、後述する左ケース51に軸支される被保持部31aと、その右側に形成されるギア歯部31bとを備える。また、第1ギア部材31は、その左側において、左向きに開口してクラッチ手段20を収容するクラッチ収容部31c(
図5及び
図10参照)を備える。さらに、第1ギア部材31は、その右側において、後述する中間ケース53に軸支される筒状の被保持部31d(
図6及び
図10参照)を備えている。
【0032】
第2ギア部材32は、小ギア歯部32aと、大ギア歯部32bと、シャフト32cとを備える。小ギア歯部32aは、第1ギア部材31のギア歯部31bと噛み合うよう配置され、当該ギア歯部31bよりも歯数が少なく構成されている。したがって、第1ギア部材31の回転は増速されて第2ギア部材32に伝達される。
【0033】
また、大ギア歯部32bは、小ギア歯部32aの右側に配置され、小ギア歯部32aよりも歯数が多くなっている。大ギア歯部32bは、後述する制動手段40のウェイトホルダ41のギア歯部41aに噛み合うよう配置され、当該ギア歯部41aよりも歯数が多く構成されている。したがって、第2ギア部材32の回転は増速されてウェイトホルダ41に伝達される。また、シャフト32cは、小ギア歯部32a及び大ギア歯部32bと一体回転するよう構成される。
【0034】
シャフト32cは、その左端部が後述する左ケース51に軸支され、その右端部が後述する中間ケース53に軸支される。
【0035】
なお、本実施形態において、第1ギア部材31のギア歯部31b、第2ギア部材32の小ギア歯部32a及び大ギア歯部32b、ウェイトホルダ41のギア歯部41aはそれぞれはすば歯車の歯形状とされる。ただし、これらの歯形状は、平歯車の歯形状であってもよい。
【0036】
変速手段30は、このような構成により、駆動軸5の回転を増速して制動手段40のウェイトホルダ41に伝達するようになっている。
【0037】
制動手段40は、
図5~
図7、
図10~
図12に示すように、ウェイトホルダ41と、ウェイト42とを備える。ウェイトホルダ41は、
図7及び
図12に示すように、ギア歯部41aと、左被保持筒部41bと、ホルダ部41cと、右被保持筒部41d(
図6及び
図7参照)を備える。ギア歯部41aは、変速手段30の第2ギア部材32の大ギア歯部32bと噛み合うよう配置される。左被保持筒部41bは、ギア歯部41aの右側において筒状に構成され、後述する中間ケース53に軸支される。
【0038】
ホルダ部41cは、筒状部41c1と、筒状部41c1の左端部から径方向外側に向かって延びるフランジ部41c2と、筒状部41c1の外周面から左右方向に亘って放射状に延びる複数の放射状部41c3とを備える。ホルダ部41cは、ウェイト42を保持するよう構成される。
【0039】
図11に示すように、本実施形態において放射状部41c3は、周方向に亘って等間隔に6つ設けられる。
図10及び
図11に示すように、フランジ部41c2、隣り合う放射状部41c3及び筒状部41c1の外周面、さらには、右ケース52の内周面52dにより、ウェイト42を収容する収容空間としてのウェイト収容空間S3が形成される。本実施形態において、ウェイト収容空間S3は、放射状部41c3の数と対応して、6箇所設けられている。加えて、右被保持筒部41dは、
図6及び
図7に示すように、ホルダ部41cの右側において筒状に構成され、後述する右ケース52に軸支される。
【0040】
ウェイト42は、
図5、
図6、
図11及び
図12に示すように、ホルダ部41cの筒状部41c1の外周面及び後述する右ケース52の内周面52dに沿うよう、回転軸方向(左右方向)に厚みを有する扇台形形状に形成される。ウェイト42は、
図12に示すように、内周面42aと、一対の軸方向面42bと、一対の円周方向面42cと、外周面である摺接面42dとを備える。
【0041】
図11に示すように、ウェイト42の周方向の曲線長さ(一対の円周方向面42c間の長さ)は、ホルダ部41cの隣接する放射状部41c3間の曲線長さと略同一とされ、ウェイト42は、放射状部41c3間に保持される。そして、ウェイトホルダ41の回転時には、ウェイト42の円周方向面42cがホルダ部41cの放射状部41c3と当接することで、ウェイト42がウェイトホルダ41とともに回転する。また、
図11及び
図12に示すように、ウェイト42の径方向の厚み(内周面42aと摺接面42dの間の長さ)は、ホルダ部41cの筒状部41c1と右ケース52の内周面52dの間の距離よりもわずかに薄くなっている。したがって、ウェイト42は、ウェイト収容空間S3において径方向への移動がわずかに許容された状態で保持される。
【0042】
このような形状及び配置により、本実施形態のウェイト42は、
図11及び
図12に示すように、ウェイト収容空間S3に配置されるとともに、ウェイトホルダ41のホルダ部41cに保持される。そして、ウェイト42は、ウェイトホルダ41の回転に伴って回転し、遠心力によって右ケース52の内周面52dに摺接して抵抗力を発生させるよう構成されている。
【0043】
なお、本実施形態において、ウェイト42は、合金の金属製とされ、
図13に示すように、引き抜き加工により製造された断面形状が扇台形形状の金属板60を、引き抜き方向(金属板60の長手方向)と垂直な方向に切断することで製造される。したがって、引き抜き方向の面が軸方向面42bとなり、引き抜き方向ではない面(側面)が右ケース52の内周面52dに摺接する摺接面42dとなる。
【0044】
ここで、一般に引き抜き加工においては、引き抜き方向ではない面の摩擦係数は小さくなる一方、金属板60を引き抜き方向と垂直な方向に切断する場合において、切断面の摩擦係数は大きくなる。したがって、本実施形態のウェイト42は、引き抜き方向ではない面である摺接面42dの摩擦係数が、切断面となる軸方向面42b(すなわち、摺接面42dの他の少なくとも1つの面)よりも小さくなっている。これは言い換えると、ウェイト42の摺接面42dの表面性状(粗面粗さ)は、ウェイト42の他の少なくとも1つの面よりもなめらかであると言える。なお、本実施形態では、ウェイトホルダ41との当接面のうち軸方向面42bが摩擦係数の大きい切断面となっており、ウェイトホルダ41との間で大きな摩擦力が生じることはない。
【0045】
また、本実施形態では、
図11に示すように、6箇所のウェイト収容空間S3のうちの対向する2箇所に配置されている例を示しているが、ウェイト42の数は適宜変更可能である。ウェイト42の数を変更することで、制動手段40の制動力を調整することが可能である。
【0046】
以上のような構成のウェイトホルダ41及びウェイト42により、本実施形態の制動手段40は、変速手段30を介して伝達された駆動軸5の回転を許容しつつその回転を制動することが可能となっている。
【0047】
ケース50は、
図5、
図6及び
図10に示すように、左ケース51と、右ケース52と、中間ケース53の3つの部材を備え、クラッチ手段20と、変速手段30と、制動手段40とを収容するよう構成される。
【0048】
左ケース51は、中間ケース53とともにクラッチ手段20及び変速手段30を回転可能に支持する。左ケース51は、具体的には、
図8にも示すように、側壁51a及び底壁51bを備えており、側壁51a及び底壁51bにより、右方向に開口する左側収容空間S1(
図6参照)を形成する。底壁51bには、
図8に示すように、駆動軸5を挿通する貫通孔51cと、変速手段30の第2ギア部材32のシャフト32cを軸支する支持孔51dが設けられている。また、
図10にも示すように、底壁51bの一部は、変速手段30の第1ギア部材31の被保持部31aを軸支する保持筒部51eを構成している。加えて、側壁51aの外周面には、右ケース52の係合部52eと係合する被係合部51fが形成されている。
【0049】
右ケース52は、中間ケース53とともに制動手段40のウェイトホルダ41及びウェイト42を回転可能に指示する。右ケース52は、
図6に示すように、側壁52a及び底壁52bを備えており、側壁52a及び底壁52bにより、左方向に開口する右側収容空間S2(
図5参照)を形成する。底壁52bには、
図10にも示すように、駆動軸5を挿通するとともに、ウェイトホルダ41の右被保持筒部41dを軸支する貫通孔52cが設けられている。なお、
図5及び
図12に示すように、右ケース52の内周面52dは、制動手段40の制動動作時にウェイト42が摺接するようになっている。また、側壁52aの外周面には、左方向に向かって延びて左ケース51の被係合部51fと係合する係合部52eが設けられている。そして、右ケース52の係合部52eと左ケース51の被係合部51fとにより、スナップフィット機構54が構成されている(
図8及び
図9参照)。
【0050】
中間ケース53は、
図5及び
図6に示すように、板状の壁部53aを備える。中間ケース53は、壁部53aの左側において左ケース51とともにクラッチ手段20及び変速手段30を回転可能に支持し、壁部53aの右側において右ケース52とともに制動手段40のウェイトホルダ41及びウェイト42を保持する。具体的には、壁部53aの左面には、
図5に示すように、変速手段30の第1ギア部材31の被保持部31dを軸支する左上保持筒部53b(
図10も参照)と、第2ギア部材32のシャフト32cを軸支する左下保持筒部53cが形成されている。また、壁部53aの右面には、
図6及び
図10に示すように、制動手段40のウェイトホルダ41を軸支する右保持筒部53dが形成されている。
【0051】
以上のような構成のケース50により、本実施形態の速度調整装置12は、左ケース51の左側収容空間S1内にクラッチ手段20及び変速手段30を収容し、右ケース52の右側収容空間S2内に制動手段40を収容して、中央に中間ケース53を配置した状態で左ケース51と右ケース52を近接させ、スナップフィット機構54をフィットさせることで構成される。
【0052】
3.速度調整装置12の動作
上記構成の速度調整装置12は、クラッチ手段20の内輪部材21に駆動軸5を挿通することで、駆動軸5の一方向の回転(具体的には、前側昇降コード3A又は後側昇降コード3Bの巻き戻し方向の回転)について、回転を許容しつつその回転を制動するよう機能する。
【0053】
具体的には、まず、駆動軸5が一方向に回転すると、クラッチ手段20の内輪部材21が回転し、ニードル(図示せず)を介してクラッチ手段20の外輪部材22も回転する。すると、外輪部材22をそのクラッチ収容部31cにおいて相対回転不能に収容する変速手段30の第1ギア部材31も連動して回転する。第1ギア部材31が回転すると、当該第1ギア部材31のギア歯部31bと第2ギア部材32の小ギア歯部32aとが噛み合っていることから、第2ギア部材32も連動して回転する。第2ギア部材32が回転すると、当該第2ギア部材32の大ギア歯部32bと制動手段40のウェイトホルダ41のギア歯部41aとが噛み合っていることから、ウェイトホルダ41も連動して回転する。この際、駆動軸5の回転は、変速手段30の第1ギア部材31及び第2ギア部材32を介することにより、増速されてウェイトホルダ41に伝達される。そして、ウェイトホルダ41が回転すると、そのホルダ部41cに保持されたウェイト42も回転し、当該ウェイト42が遠心力によって右ケース52の内周面52dに摺接して、抵抗力が発生する。この抵抗力により、駆動軸5の一方向の回転が制動される。
【0054】
なお、駆動軸5の他方向の回転(前側昇降コード3A又は後側昇降コード3Bの巻き取り方向の回転)については、クラッチ手段20の内輪部材21の回転が外輪部材22に伝達しないことで、内輪部材21が空転し、駆動軸5の回転が変速手段30の第1ギア部材31に伝達しない。したがって、駆動軸5は、速度調整装置12により制動力を受けることなく回転することができる。
【0055】
4.プリーツスクリーン100の動作
次に、以上のような速度調整装置12(前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12B)を備えたプリーツスクリーン100の動作を説明する。まず、操作コード8を矢印X方向に引き下げると、前側駆動軸5Aのみが回転されて前側巻取コーン4Aに前側昇降コード3Aが巻き取られ、前側ボトムレール14Aが引き上げられる。そして、前側ボトムレール14Aを所望高さまで引き上げた後、操作コード8を手放すと、前側ストッパ装置9Aの自重降下防止動作により、前側ボトムレール14Aが所望高さに保持される。
【0056】
この状態から、操作コード8を矢印X方向に引いた後に手放すと、前側ストッパ装置9Aの自重降下防止動作が解除され、前側ボトムレール14Aが自重降下する。前側ボトムレール14Aが自重降下すると、前側巻取コーン4Aが巻き戻し方向に回転し、これに伴って前側駆動軸5Aも回転する。この前側駆動軸5Aの回転が前側速度調整装置12Aに伝達され、前側速度調整装置12Aにより、前側ボトムレール14Aの降下速度が抑制(制動)される。
【0057】
一方、操作コード8を矢印Y方向に引き下げると、後側駆動軸5Bのみが回転されて後側巻取コーン4Bに後側昇降コード3Bが巻き取られ、後側ボトムレール14Bが引き上げられる。そして、後側ボトムレール14Bを所望高さまで引き上げた後、操作コード8を手放すと、後側ストッパ装置9Bの自重降下防止動作により、後側ボトムレール14Bが所望高さに保持される。
【0058】
この状態から、操作コード8を矢印Y方向に引いた後に手放すと、後側ストッパ装置9Bの自重降下防止動作が解除され、後側ボトムレール14Bが自重降下する。後側ボトムレール14Bが自重降下すると、後側巻取コーン4Bが巻き戻し方向に回転し、これに伴って後側駆動軸5Bも回転する。この後側駆動軸5Bの回転が後側速度調整装置12Bに伝達され、後側速度調整装置12Bにより、後側ボトムレール14Bの降下速度が抑制(制動)される。
【0059】
5.作用効果
以上、説明した実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。
(1)本実施形態の速度調整装置12(前側速度調整装置12A及び後側速度調整装置12B)は、駆動軸5の回転を変速手段30により増速して制動手段40に伝え、ウェイト42を高速で回転させる構成となっている。また、ウェイト42は、引き抜き加工により製造された金属板60(
図13参照)を引き抜き方向と垂直な方向に切断することで製造され、引き抜き方向ではない面を右ケース52の内周面52dと摺接する摺接面42dとすることで、摺接面42dの摩擦係数が切断面である軸方向面42bの摩擦係数より小さくなっている。これにより、ウェイト42を高速で回転させることにより制動力を維持しつつ、右ケース52の内周面52dの摩耗を抑制することが可能となっている。
(2)上記構成の速度調整装置12をプリーツスクリーン100に用いることで、速度調整装置12を長期間使用可能となり、プリーツスクリーン100の長寿命化を図ることが可能となっている。
【0060】
6.第2実施形態
次に、
図14を用いて、第2実施形態に係る速度調整装置12について説明する。本実施形態の速度調整装置12は、第1実施形態の速度調整装置12に類似しており、ウェイト42の形状のみが異なっている。以下、相違点を中心に説明する。
【0061】
本実施形態においては、
図14に示すように、ウェイト42の軸方向の長さH1が、ウェイトホルダ41のホルダ部41cと右ケース52の内周面52dの間に形成されるウェイト収容空間S3の軸方向の長さH2よりも短い。具体的には、ウェイト42の軸方向の長さH1は、ウェイト収容空間S3の軸方向の長さH2の3/4以下とするのが好ましく、図示例では、ウェイト収容空間S3の軸方向の長さH2の1/2となっている。つまり、本実施形態では、ウェイト42をウェイト収容空間S3に収容した状態においてもウェイト収容空間3Sには軸方向に隙間を有しており、ウェイト42は、ウェイト収容空間S3内を軸方向(左右方向)に移動可能となっている。このような構成により、ウェイト42の軸方向の長さH1をウェイト収容空間S3の軸方向の長さH2とほぼ一致させる場合と比較して、右ケース52の内周面52dの摩耗をさらに抑制することが可能となっている。
【0062】
加えて、軸方向の長さH1がウェイト収容空間S3の軸方向の長さH2の1/2のウェイト42を1つのウェイト収容空間S3に2つ収容することも可能である。つまり、このようなウェイト42を複数用意しておけば、ウェイト収容空間S3に収容するウェイトの数を選択でき、ウェイト42の重量のバリエーションを増やすことができ、制動力の調整範囲を広げることが可能となる。なお、引き抜き加工によりウェイト42を製造することで、金属板60(
図13参照)を切断する幅を変更するだけで、様々な軸方向の長さH2を有するウェイト42を容易に製造することが可能である。
【0063】
7.第3実施形態
次に、
図15を用いて、第3実施形態に係る速度調整装置12について説明する。本実施形態の速度調整装置12は、第1実施形態の速度調整装置12に類似しており、ウェイト42の形状及び数のみが異なっている。以下、相違点を中心に説明する。
【0064】
本実施形態においては、
図15に示すように、1つのウェイト収容空間S3に収容するウェイト42が、内側ウェイト42Xと、当該内側ウェイト42Xとは異なる材質の外側ウェイト42Yとを径方向に積層することで構成されている。そして、例えば内側ウェイト42Xの材質を金属製とし、外側ウェイト42Yの材質を樹脂製とすることで、摩耗しやすい樹脂製の外側ウェイト42Yを定期的に交換してメンテナンス性を向上させることが可能となる。また、内側ウェイト42Xに重量のある錘を用いることで、費用の高い金属の使用量を削減しつつ、制動力を高めることが可能となる。さらに、内側ウェイト42Xと外側ウェイト42Yの材質を適宜変更することで、制動力の調整範囲を広げることが可能となる。
【0065】
5.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0066】
上記実施形態において、ウェイト42は合金の金属製とされていたが、ウェイト42を非鉄金属製又は非金属製とすることも可能である。非鉄金属の例としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。また、非金属の例としては、樹脂又はセラミックが挙げられる。ウェイト42を軽量の非鉄金属や非金属で構成することによって、右ケース52の内周面52dとの間の潤滑性を向上させ、制動力を調整するとともに、内周面52dの摩耗を抑制することが可能となる。また、ウェイト42を樹脂製とすることで、コスト低減を図ることも可能である。
【0067】
さらに、上記実施形態では、金属板60を引き抜き加工した後、切断することでウェイト42を製造していたが、さらに、ウェイト42に軽量化加工を施すことも好適である。軽量化加工としては、例えば、ウェイト42に穴を開けたり、凹部を形成したりすることが考えられる。このような軽量化加工によりウェイト42を軽量化することによっても、内周面52dの摩耗を抑制することが可能となる。
【0068】
加えて、ウェイト42を、含油させた焼結金属により構成することも好適である。これにより、焼結金属の自己潤滑性により右ケース52の内周面52dの摩耗を抑制することが可能となる。一方、ウェイト42を樹脂製とすることにより、潤滑性を向上させ、制動力を抑え、あるいはコスト低減を図ることも可能である。
【0069】
さらに、ウェイト42として複数の材質のものを用意しておくことで、細かな制動力の調整を行うことが可能となる。
【0070】
上記実施形態において、遮蔽装置としてのプリーツスクリーン100は、遮蔽材として前側スクリーン1Aと後側スクリーン1Bの前後2つのスクリーンを備えたダブルプリーツスクリーンとして構成されていた。しかしながら、本発明は、遮蔽材として上部スクリーンと第下部スクリーンの上下2つのスクリーンを備えたプリーツスクリーンにも用いることが可能である。また、本発明を、遮蔽材を1つのみ備えたプリーツスクリーン100に適用することも可能である。
【0071】
さらに、本発明は、プリーツスクリーン以外の遮蔽装置、例えば、遮蔽材を自重降下させたり付勢手段によって付勢させたりする構成の横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン等に用いることが可能である。このような場合であっても、上述した速度調整装置12を用いることで、遮蔽装置の長寿命化を図ることが可能となっている。
【符号の説明】
【0072】
1A :前側スクリーン(遮蔽材)
1B :後側スクリーン(遮蔽材)
2 :ヘッドボックス
3A :前側昇降コード(開閉コード)
3B :後側昇降コード(開閉コード)
4A :前側巻取コーン(巻取コーン)
4B :後側巻取コーン(巻取コーン)
5 :駆動軸
5A :前側駆動軸
5B :後側駆動軸
6 :操作装置
7 :プーリ
8 :操作コード
9A :前側ストッパ装置
9B :後側ストッパ装置
10A :前側下限リミット装置
10B :後側下限リミット装置
11 :保持ケース
12 :速度調整装置
12A :前側速度調整装置
12B :後側速度調整装置
13A :溶着部
13B :溶着部
14A :前側ボトムレール
14B :後側ボトムレール
15 :支持部材
20 :クラッチ手段
20A :前側収容部
20B :後側収容部
21 :内輪部材
22 :外輪部材
30 :変速手段
31 :第1ギア部材
31a :被保持部
31b :ギア歯部
31c :クラッチ収容部
31d :被保持部
32 :第2ギア部材
32a :小ギア歯部
32b :大ギア歯部
32c :シャフト
40 :制動手段
41 :ウェイトホルダ
41a :ギア歯部
41b :左被保持筒部
41c :ホルダ部
41c1 :筒状部
41c2 :フランジ部
41c3 :放射状部
41d :右被保持筒部
42 :ウェイト
42X :内側ウェイト
42Y :外側ウェイト
42a :内周面
42b :軸方向面
42c :円周方向面
42d :摺接面
50 :ケース
51 :左ケース
51a :側壁
51b :底壁
51c :貫通孔
51d :支持孔
51e :保持筒部
51f :被係合部
52 :右ケース
52a :側壁
52b :底壁
52c :貫通孔
52d :内周面
52e :係合部
53 :中間ケース
53a :壁部
53b :左上保持筒部
53c :左下保持筒部
53d :右保持筒部
54 :スナップフィット機構
60 :金属板
100 :プリーツスクリーン(遮蔽装置)
S1 :左側収容空間
S2 :右側収容空間
S3 :ウェイト収容空間(収容空間)
X :矢印
Y :矢印