(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098422
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】農業管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230703BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215165
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 信義
(72)【発明者】
【氏名】坪江 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圃場及び圃場で収穫された農作物の処理情報を、従来よりも効率的に表示出力する農業管理システムを提供する。
【解決手段】少なくともシステムの管理手段となる管理装置10と、調製施設20と、通信端末30とが、インターネット回線などを含む通信回線によってそれぞれ接続されている農業管理システム100は、圃場の情報と該圃場で収穫した農作物の処理情報とを少なくとも管理する管理手段と、管理手段と接続されて処理情報を表示出力することが可能な表示部と、を有する。通信端末の表示部は、圃場の位置と処理情報とを一のピン表示にて地図情報とともに表示出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の情報と該圃場で収穫した農作物の処理情報とを少なくとも管理する管理手段と、
前記管理手段と接続されて前記処理情報を表示出力することが可能な表示部と、を有し、
前記表示部は、前記圃場の位置と前記処理情報とを一のピン表示にて地図情報とともに表示出力する
ことを特徴とする農業管理システム。
【請求項2】
前記ピン表示の表示態様を前記処理情報の数値範囲に基づいて可変表示可能な表示設定手段を備えている
請求項1に記載の農業管理システム。
【請求項3】
前記表示設定手段は、前記処理情報の数値範囲を任意の数値範囲に設定可能であるとともに、該任意の数値範囲に該当する前記ピン表示のみを前記地図情報とともに表示出力する
請求項2に記載の農業管理システム。
【請求項4】
前記圃場で収穫した農作物を処理した処理機械の情報を受け付ける機械情報受付手段を有し、
前記機械情報受付手段は、前記処理機械に設けられた二次元コードを読み取って前記圃場の情報に紐付けられる
請求項1~3のいずれかに記載の農業管理システム。
【請求項5】
前記処理情報は、前記圃場における収穫量及び/又は前記圃場で収穫された農作物の品質情報である
請求項1~4のいずれかに記載の農業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を含めた農作物に関する情報を管理することが可能な、農業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の処理機(光選別機など)における処理結果を、地図情報と共に簡単に確認する農業管理システムがあった。例えば特許文献1には、収穫した作物に対して処理を行う複数の処理機のうち、少なくとも1つの処理機の選択を受け付ける機械受付部と、当該機械受付部で選択受付された処理機における第1処理結果を、地図情報に重ねて表示する表示部とを備えた農業管理システムが開示されている。
【0003】
このような構成により、複数の処理機が存在する場合に、特定の処理機における処理結果を、地図情報と共に簡単に確認することができる。その一方、特定の圃場で収穫された農作物は、複数の処理機が同時に稼働して処理されることが多く、その場合に従来技術では、システムのユーザが調製工程ごとにどの処理機が稼働しているかを考えながら(把握しながら)、1つ1つの処理機を選択して確認する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の農業管理システムは、前述したように、必ずしもシステムのユーザにとって、各調製工程における処理結果を効率的に分かり易く表示できるようなものではなかった。例えば、従来の農業管理システムの機能の一部として、圃場ごとの処理結果情報を、地図上の区画ごとに塗りつぶして表示する機能がある(特許文献1の
図6等参照)。このような方法によれば、複数の区画が密集しているような大規模農家にとって不都合はないものの、複数の圃場が住宅地の中に混在しているような中・小規模農家にとっては、塗りつぶし表示された区画の識別力が弱くなるなど、従来の表示態様に問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み、圃場及び当該圃場で収穫された農作物の処理情報を、従来よりも効率的に表示出力することが可能な、農業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)圃場の情報と該圃場で収穫した農作物の処理情報とを少なくとも管理する管理手段と、前記管理手段と接続されて前記処理情報を表示出力することが可能な表示部と、を有し、前記表示部は、前記圃場の位置と前記処理情報とを一のピン表示にて地図情報とともに表示出力することを特徴とする農業管理システムである。
【0008】
(2)前記ピン表示の表示態様を前記処理情報の数値範囲に基づいて可変表示可能な表示設定手段を備えている上記(1)に記載の農業管理システムである。
【0009】
(3)前記表示設定手段は、前記処理情報の数値範囲を任意の数値範囲に設定可能であるとともに、該任意の数値範囲に該当する前記ピン表示のみを前記地図情報とともに表示出力する上記(2)に記載の農業管理システムである。
【0010】
(4)前記圃場で収穫した農作物を処理した処理機械の情報を受け付ける機械情報受付手段を有し、前記機械情報受付手段は、前記処理機械に設けられた二次元コードを読み取って前記圃場の情報に紐付けられる(1)~(3)のいずれかに記載の農業管理システムである。
【0011】
(5)前記処理情報は、前記圃場における収穫量及び/又は前記圃場で収穫された農作物の品質情報である上記(1)~(4)のいずれかに記載の農業管理システムである。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)に係る発明によれば、圃場の位置と処理情報とを一のピン表示にて地図情報とともに表示出力するように構成したので、農地と宅地とが混在した小規模な圃場であっても、ユーザが圃場の位置と処理情報とを一瞥して把握することが可能となる。
【0013】
上記(2)に係る発明によれば、さらにピン表示の表示態様を、処理情報の数値範囲に基づいて、例えば色分けするなどして可変表示可能としたので、ユーザに対する識別性を従来よりも大幅に向上させることが可能となる。
【0014】
上記(3)に係る発明によれば、処理情報の数値範囲を任意の数値範囲に設定して、当該任意の数値範囲に該当するピン表示のみを地図情報とともに表示出力できるようにしたので、ユーザが要求する情報のみを効率的に表示させて、ユーザに対する識別性を従来よりも大幅に向上させることが可能となる。
【0015】
上記(4)に係る発明によれば、処理機械に設けられた二次元コードを読み取って、圃場の情報に紐付けが行われるように構成したので、各圃場を選択することで、各処理工程における処理情報を正確にユーザが把握することが可能となる。
【0016】
上記(5)に係る発明によれば、圃場における収穫量及び/又は前記圃場で収穫された農作物の品質情報を、処理情報として表示出力できるようにしたので、各圃場ごとに農作物の育成状況の把握が可能となるとともに、圃場に対する必要な措置を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態における農業管理システムのシステム概要図である。
【
図2】「収穫支援モード」を実行した際の表示態様の一例を示す図である。
【
図3】「張込支援モード」を実行した際の表示態様の一例を示す図である。
【
図4】「調製運転支援モード」を実行した際の表示態様の一例を示す図である。
【
図5】「乾燥運転支援モード」を実行した際の表示態様の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の農業管理システムにおけるデータの送受信態様を説明する図である。
【
図7】本実施形態のデータベースに記憶・保存される圃場DBの一例である。
【
図8】本実施形態における圃場情報と調製結果の表示態様を説明する図である。
【
図9】本実施形態における圃場の表示態様の一例を説明する図である。
【
図10】本実施形態における反収量バーBDの各種設定態様を説明する図である。
【
図11】反収量バーBDの設定方法の変形例を説明する図である。
【
図12】通信端末におけるアプリケーションのインストール態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の農業管理システムにおける各実施形態について、図面と共に説明する。なお、本発明の農業管理システムは、果実類、きのこ類、野菜類、穀類等の様々な農作物を作付けする農業を管理するシステムとなるものであるが、本明細書では米を対象の農作物とした場合について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の農業管理システム100の全体構成を示すシステム概要図である。すなわち、本実施形態の農業管理システム100は、少なくともシステムの管理手段となる管理装置10と、調製施設20と、通信端末30とがインターネット回線などを含む通信回線によって、それぞれ接続されている。
【0020】
そして図示されるように、コンバインなどの収穫機40によって収穫された籾は、フレキシブルコンテナバッグ等に収容されて、軽トラックなどの運搬車両50によって、ライスセンターなどの調製施設20へ運ばれることとなる。
【0021】
本実施形態における調製施設20は、ライスセンターであり、複数の処理機を備えている。複数の処理機として、荷受機21、乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26などを含んでいる。なお、調製施設20は必ずしも図示されるよう各処理機を全て備えている必要はなく、そのいずれかを備えていればよい。また、各処理機は、必ずしも一つの施設内の設置される必要はなく、それぞれ別の場所に配置されていても構わない。また、図示しないが、荷受機21に粗選機を配置したり、計量器26の前工程に米選機(厚さ選別機)を配置したりすることとしてもよい。
【0022】
荷受機21は、運搬車両50によって搬入された籾を受け入れる装置であり、当該荷受機21は不図示の搬送装置を介して籾を乾燥機22へ張り込む。乾燥機22は、張り込まれた籾を乾燥する装置であり、籾の水分量が予め設定された目標値となるように籾を乾燥する。放冷タンク23は、乾燥機22で乾燥した籾を所定時間貯留することで放冷するためのタンクである。籾摺機24は、放冷タンク23で放冷した籾を籾摺りする装置である。光学式選別機25は、籾摺り後の玄米を色彩判定することで、良品と不良品とに選別するための装置である。当該光学式選別機25によって、病害虫粒やヤケ粒、青米粒、乳白粒、籾の混入度合いを検出することができる。計量器26は、光学式選別機25による選別が行われた玄米等の計量を行うものである。
【0023】
また
図1に示されるように、本実施形態の農業管理システム100は、管理装置10を備えており、通信回線を介して調製施設20の複数の処理機(荷受機21、乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26など)に接続が可能となっている。加えて、管理装置10には、通信端末30が通信回線を介して接続可能となっている。通信端末30は、パーソナルコンピュータ等の固定端末、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯端末とすることができる。
【0024】
管理装置10は、情報処理部11を有しており、上記した調製施設20の複数の処理機で行った処理結果を取得可能となっている。情報処理部11は、具体的には管理装置10に設けられた電気・電子部品、格納されたプログラム等で構成される。加えて管理装置10は、データベース12を有しており、情報処理部11が取得した複数の処理機で行った処理結果や、通信端末30から送信される情報を記憶可能となっている。
【0025】
通信端末30は、
図1に示されるように、液晶ディスプレイなどからなる表示部31と、管理装置10との間で情報を送受信可能な情報送受信部32と、管理装置10から取得した情報に基づいて、表示部31への出力情報を生成する出力情報生成部33と、収穫機40や調製施設20の複数の処理機(荷受機21、乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26など)の情報(後述する二次元コードなど)を受け付ける機械情報受付部34と、農業管理システム100のユーザによる入力操作を受け付ける入力部35とを少なくとも備えている。
【0026】
本実施形態の農業管理システム100は、例えば各種乾燥データや各種調製データなどを収穫した圃場に紐付けるシステムであり、主に以下に示す5つの支援モードを備えている。
「収穫支援モード」・・・コンバイン等の収穫機40の運転者などが利用可能であり、収穫する圃場の選択や、当該圃場における稲の倒伏度合い(本実施形態では5段階)などを、通信端末30によって選択入力し、管理装置10へ送信可能となっている。
「張込支援モード」・・・収穫機40で収穫した籾を運搬する運搬車両50の運転者などが利用可能であり、収穫された圃場の選択や、投入した乾燥機22に表示された二次元コードを通信端末30で読み取らせ、乾燥機22に投入した籾の圃場情報を管理装置10へ送信可能となっている。
「調製運転支援モード」・・・乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26などが管理装置10と接続され、これら各処理機の処理状況や処理結果がリアルタイムで管理装置10へと送信される。併せて、通信端末30の表示部31に、必要な処理情報を表示出力することが可能となっている。
「乾燥運転支援モード」・・・乾燥機22が複数台ある場合でも、通信端末30上で乾燥機22を選択し、乾燥機22の運転状況や、籾の水分情報を表示出力することが可能となっている。
「管理支援モード」・・・収穫予定の各圃場と、各圃場で収穫作業を担当するユーザの割り当て登録を行うことが可能となっている。ここでユーザが利用可能な機能を設定することも可能となっている。これにより、登録されたユーザは、担当する圃場のリストを閲覧することが可能となり、上記した収穫支援モードや張込支援モードなどの機能が利用可能となる。加えて各処理機における処理結果の確認が可能となっており、処理結果の一覧表示や、地図情報MPと共に処理結果を通信端末30によって確認することが可能である。
【0027】
以下に、本実施形態の上記各支援モードにおける動作態様について説明する。
【0028】
図2には、「収穫支援モード」を実行した際の表示態様の一例が図示されている。
図2(a)に示されるように、収穫作業を担当するユーザの通信端末30には、表示情報DIとして、現在位置CL周辺の地図情報MPと共に、各圃場の位置を示すピン情報PNが表示される。なお、本実施形態では、事前に管理装置10において収穫の計画が登録されている圃場を橙色のピン情報PNで表示し、未登録の圃場は青色、既に収穫を開始済みである圃場を緑色のピン情報PNで表示している。
【0029】
ユーザがピン情報PNを指でタップすると、
図2(b)に示されるように、表示情報DIとして管理装置10に登録されている各種の圃場情報が表示出力される。図示される例では、圃場名、品種、地番、稲の倒伏状況が表示出力されている。併せて、張込先情報と、収穫開始のアイコンが表示され、既に乾燥機22に籾を張り込んでいれば、張込先情報のアイコンをタップすることで、乾燥機22における処理情報が新たに表示出力される。
【0030】
一方、選択された圃場が未収穫状態で、これから収穫を開始する場合は収穫開始のアイコンをタップすることとなる。これにより、
図2(c)に示されるように倒伏レベル入力のアイコンが表示され、当該アイコンをタップすることで、不図示の倒伏レベルの入力画面が表示される。本実施形態では、稲の倒伏状態に応じて5段階の倒伏の度合いを入力することが可能となっている。なお、倒伏レベルを入力することに加えて、雑草が繁茂しているレベル、ウンカ(稲の害虫となる5mmほどの昆虫のこと)被害レベルなどを段階別に入力することとしてもよい。
【0031】
続いて、
図3には、「張込支援モード」を実行した際の表示態様の一例が図示されている。
図3(a)に示されるように、収穫した籾を運搬する運搬車両50の運転者は、調製施設20(例えば、ライスセンターなど)の荷受けに到着すると、収穫した圃場の位置を示すピン情報PNをタップする。これにより、
図3(b)に示されるように、張込先となる乾燥機22の機名を確認することができる。なお、圃場にて収穫機40(コンバイン)で収穫された籾を運搬車両50へ移動させている際に、圃場の位置を示すピン情報PNをタップしてもよい。
【0032】
張込先の乾燥機22が選択されていない場合は、二次元コード読取のアイコンをタップする。そして、張込先の乾燥機22に貼り付けられている二次元コードを通信端末30に搭載された撮像装置によって撮像し、乾燥機22の選択が行われる。このあと、図示される張込開始のアイコンがタップされることで、
図3(c)に示されるような張込情報が表示部31に表示される。
【0033】
すなわち、圃場名や張り込まれた乾燥機番号、張込日時や運搬者名などが張込情報として表示される。このとき、ユーザが修正したい箇所があれば修正のアイコンをタップして再度圃場の選択から入力を行うことができる。そして、上記した張込情報は管理装置10に送信されて記録される。
【0034】
続いて、
図4には、「調製運転支援モード」を実行した際の表示態様の一例が図示されている。前述したように、乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26などが管理装置10と接続され、これら各処理機の処理状況や処理結果が管理装置10で集約され、ユーザの求めに応じて、通信端末30の表示部31に、必要な処理情報を表示出力することが可能となっている。
【0035】
例えば、
図4(a)に示されるように、放冷タンク内の籾の重量や内部温度の測定が行われ、併せてタンクシャッターの開閉状態を通信端末30の表示部31に表示出力することができる。また、追加的機能として、計測された内部温度と重量に基づいて放冷タンクの運転終了予測時間を併せて表示してもよい。
【0036】
さらに、
図4(b)に示されるように、光学式選別機25に投入された玄米に含まれる不良粒などの混入度合いを、時系列で表示部31に表示出力することができる。具体的には、カメムシ等の害虫により被害を受けた病害虫粒や、ヤケ粒、青米粒、乳白粒、着色粒、脱ぷが不十分な籾粒の混入度合いを検出して表示部31に表示出力することができる。ロット終了を選択した際には、調製ロットごとに上記混合度合いの平均値が算出されて表示出力することもできる。
【0037】
また、
図4(c)に示されるように、計量器26で計測された現在の収量を表示部31に表示出力することが可能である。例えば、精玄米や中米、網下米、光選下米などごとに重量を表示出力することができる。ロット終了を選択した際には、調製ロットごとに上記収量を集計して表示出力することもできる。
【0038】
続いて、
図5には、「乾燥運転支援モード」を実行した際の表示態様の一例が図示されている。前述したように、乾燥機22が複数台ある場合でも、各乾燥機22の処理状況や処理結果が管理装置10で集約され、ユーザの求めに応じて、通信端末30上に必要な情報を表示出力することが可能となっている。
【0039】
例えば、
図5(a)に示されるように、通信端末30では各乾燥機22の運転状況を一覧表示して確認することが可能となっている。各乾燥機22の情報として、
図5(b)に示されるように、乾燥機22内の籾の水分量や熱風温度、予想運転終了時刻などを表示出力させることが可能である。さらに、乾燥機22の運転状況(ステータス)に応じて、水分量のばらつき度合いや、乾燥機22に張り込める余裕重量を表示出力するようにしてもよい。
【0040】
加えて、通信端末30において特定の乾燥機22を選択することにより、
図5(c)に示されるように、平均水分データや熱風温度の履歴をグラフ表示することが可能である。さらに、乾燥機22の運転状況に応じて、水分量ごとの籾の粒数を表示出力することが可能となっている。本実施形態では、これらは1分ごと(又は数分(1乃至10分)ごと)にデータの更新が行われ、管理装置10において記録されている。
【0041】
次に、「管理支援モード」について説明する。本実施形態の「管理支援モード」は、調製施設20(例えば、ライスセンター)側の管理者のみがアクセス可能となっている。そして管理者は、収穫予定日や収穫予定の圃場、収穫作業を担当するユーザ(例えば、コンバイン運転者)や運搬担当者の氏名などを通信端末30によって管理装置10に登録することが可能となっている。
【0042】
管理支援モードにおける収穫予定の圃場の登録は、新規登録に加えて修正登録も可能となっている。また、収穫予定の圃場を登録する際には、地図情報MPを表示させて地図上の圃場を示すピン表示PNをタップすることで、簡単に収穫予定の圃場の登録が可能となっている。もちろん、圃場リスト一覧を表示させて、収穫予定の圃場をタップして登録することも可能である。
【0043】
次に、本実施形態における調製結果の取得態様及び表示出力態様等について説明する。
【0044】
前述したように、本実施形態の農業管理システム100においては、通信端末30を介して種々の情報の入出力が可能となっており、ユーザや調製施設20の管理者等の要求に応じて、要求した情報を通信端末30の表示部31に表示出力することができる。
【0045】
図6に示されるように、本実施形態による農業管理システム100では、管理装置10と、調製施設20と、通信端末30とが互いに無線又は有線で接続されており、調製施設20からは前述したような各種の処理情報PIが管理装置10に送信される。管理装置10で受信した各種の処理情報PIは、管理装置10のデータベース12で記憶・保存される。なお、管理装置10は所定の施設等に設置するようにしてもよいし、クラウド化するようにしてもよい。なお、上記処理情報PIは、各処理機における品質情報を含む処理結果や各所処理機の運転状況などである。
【0046】
データベース12には、上記した処理情報PIのほか、アクセス権限の設定をされた調製施設20(例えば、ライスセンター)側の管理者や、収穫作業や運搬作業、調製施設20内の各処理機の運転操作者などのユーザ情報UI(氏名やIDなど)が記憶・保存される。加えて、前述したような、ユーザによる入力情報TI(ユーザが通信端末30で選択した情報、入力した情報、撮像した二次元コードなど)も収穫した圃場に紐づけてデータベース12に記憶・保存される。
【0047】
また、
図6に示されるように、ユーザが通信端末30を使用してリクエストした要求情報RI(例えば、圃場の情報や各処理機における処理結果など)は、情報送受信部32から管理装置10へと送信され、管理装置10の情報処理部11がデータベース12から必要な情報を抽出し、出力情報OIとして通信端末30に送信する。そして、送信された出力情報OIは情報送受信部32で受信されるとともに、出力情報生成部33によってユーザが必要とする表示情報DIを表示部31に表示出力するように構成されている。
【0048】
データベース12には、
図7に示されるような圃場DBが記憶・保存されており、これにより、通信端末30において
図2に示されるような、地図情報MPと共に、各圃場の位置を示すピン情報PNを表示することができる。また、調製施設20から送信された各種の処理情報PIに基づいて、各工程におけるロットごとの処理結果がデータベース化され、これらは各圃場に紐付けされてデータベース12に記憶・保存される。
【0049】
図8には、各処理機による調製結果の表示態様として、圃場情報と当該圃場で収穫された籾の調製結果の表示態様が示されている。図示されるように、ユーザが通信端末30の表示部31に表示された地図上の任意のピン表示PNをタップすることで、ピン表示PNされた圃場の圃場情報と調製結果が表示部31に表示されるように構成されている。
【0050】
より詳細に説明すると、圃場情報として、圃場名、品種、倒伏度、荷受水分、収穫日等が表示出力される。また、当該圃場で収穫された籾のロットが複数ある場合には、不図示の調製ロット一覧表から表示させたいロットを選択することにより、図示されるような調製ロットごとの精玄米重量、中米重量、網下(くず米)重量、光選下(光学式選別機で弾かれた米)重量が表示出力される。さらに混入度合いとして、病害虫、ヤケ、青米、乳白米の内訳が併せて表示出力される。なお、「戻る」のアイコンをタップすることで、調製ロット一覧表を再び表示させ、別のロットの調製結果を表示出力させることも可能となっている。
【0051】
次に、
図9には、本実施形態における圃場の表示態様の一例が示されている。図示されるように、地図情報MP上に点在する圃場がピン表示PNで表示されている。さらに、凡例情報ENとして反収量バーBDが表示出力されるように構成されている。反収量バーBDは反収量に応じて色分け(青、緑、黄、橙、赤など)されており、各ピン表示PNにおいても、当該圃場における反収量に応じて色分け表示されている。このような可変表示出力を行うことで、農地と宅地とが混在した小規模な圃場であっても、ユーザが反収量を一瞥して把握することができる。
【0052】
さらに、本実施形態では図示されるように反収量バーBDに表示上限スライダS1と、表示下限スライダS2とを設けており、各スライダを所定の収量範囲に移動させることで、当該収量範囲内のピン表示PNのみを地図情報MP上に表示させることも可能となっている。このような構成を採用することで、ユーザの求めに応じた圃場の絞り込みが容易となる。
【0053】
また、必ずしも上記した実施形態に限られるものではなく、
図9(b)に示されるように、1つのスライダSを設け、図示される位置にスライダSを移動させて、図示Aに示す反収量の範囲でピン表示PNを地図情報MP上に表示させるようにしてもよい。
【0054】
続いて
図10には、凡例情報ENの反収量バーBDにおける各種設定態様を説明する図が示されている。反収量バーBDは
図10(a)に示される反収量の範囲において色分けされ、さらに地図情報MP上に表示されるピン表示PNもこれに対応した色で表示が行われる。また、表示上限スライダS1と、表示下限スライダS2の上方にはスライダの位置に対応した反収量が可変表示され、ユーザによる設定作業の効率化を図っている。
【0055】
また、反収量の範囲の最大値を変更可能に構成されており、例えば、多くの圃場の反収量が、所定の範囲に集中している場合、各圃場の細かい反収量の違いが把握し難くなる。このような場合に、反収量の範囲の最大値を小さくすることで、各色の色分け範囲のオーダーを小さくすることが可能となり、ユーザに対する反収量の識別性を向上させることが可能となる。
【0056】
なお、上記したようなピン表示PNの色分け設定は、反収量を含む収穫量だけでなく、病害虫、ヤケ、青米、乳白米などの混入度合いや、精玄米、中米、網下(くず米)、光選下(光学式選別機で弾かれた米)などの品質情報を対象として設定することも可能である。
【0057】
また
図11には、前述した実施形態の変形例が図示されている。すなわち、ユーザがスライダSをタップすると図示されるようなポップアップが表示される。ここで、ポップアップに表示されたボックスをそれぞれタップして、色分け表示の対象となる項目(図示される例では、反収量)や、色分け領域、さらに当該色分け領域の数量の範囲をユーザが任意に設定・変更できるようにしてもよい。このような構成を備えることにより、所定範囲に含まれる反収量などの処理結果を詳細に絞り込んで、ユーザに対する各種処理結果の識別性を向上させることが可能となる。
【0058】
続いて、前述した「張込支援モード」では、張込先の乾燥機22の選択に際して、張込先の乾燥機22に貼り付けられている二次元コードを通信端末30に搭載された撮像装置によって撮像し、圃場名や張り込まれた乾燥機番号、張込日時や運搬者名などの張込情報を、管理装置10に送信している。これに加え、調製施設20の複数の処理機(荷受機21、乾燥機22、放冷タンク23、籾摺機24、光学式選別機25、計量器26など)に、それぞれ二次元コードを貼り付けてもよい。
【0059】
すなわち、乾燥機22に張り込まれた籾は、その後、調製施設20内の各処理機の運転操作者などが各工程作業を行うこととなるが、各処理工程において運転操作者が各処理機の二次元コードを通信端末30で取り込むことにより、収穫した圃場ごとに、出荷に至るまでの各処理結果が紐付けされ、管理装置10に記録・保存される。このような構成を採用することで、情報の入力操作を大幅に削減することが可能となる。
【0060】
(他の実施形態)
以上、本実施形態における農業管理システム100の各構成について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0061】
農業管理システム100に関連したコンピュータプログラムの具体的な態様について説明する。
【0062】
図12に示されるように、ユーザは、自らが所有するスマートフォンなどを通信端末30として利用し、前述した農業管理システム100を機能させるためのコンピュータプログラム(アプリケーション)をインストールすることが可能である。例えば、指定されたインターネット上のサイト(企業のホームページ等)にアクセスして、当該サイトから農業管理システム100を利用するためのコンピュータプログラム(アプリケーション)をインストールすることができる。そして、ユーザは、表示部31に表示されたアプリケーションのアイコンAPを選択(タップ)することにより、必要なログイン情報を入力するなどして、本発明の農業管理システム100を利用することができる。なお、本実施形態では、農業管理システム100を機能させるためのコンピュータプログラム(アプリケーション)をインストールすることを主体にして述べたが、これに限らず、インターネットを利用してWebブラウザ上から操作できるWebアプリケーション(Webアプリ)を利用することとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態の農業管理システム100は、コンピュータプログラムとしてクラウドサーバやローカルPCなどを使用して機能させることができる。前述したように、ユーザからの要求情報RIを受けるステップと、データベース12から要求情報RIに関連して処理情報PIから抽出された出力情報OIを受信するステップと、出力情報OIに含まれる圃場情報を地図情報MPに関連付けて表示情報DIを生成するステップと、当該表示情報DIを表示部31に表示するステップと、を少なくとも動作させるものとして構成される。
【0064】
以上、本発明の実施例及び一部の変形例について説明してきたが、これらの説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 管理装置
11 情報処理部
12 データベース
20 調製施設
21 荷受機
22 乾燥機
23 放冷タンク
24 籾摺機
25 光学式選別機
26 計量器
30 通信端末
31 表示部
32 情報送受信部
33 出力情報生成部
34 機械情報受付部
35 入力部
40 収穫機
50 運搬車両
100 農業管理システム
DI 表示情報
CL 現在位置
MP 地図情報
PN ピン情報
PI 処理情報
UI ユーザ情報
PN ピン情報
TI 入力情報
RI 要求情報
OI 出力情報