(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098468
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】成形金型部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B22C9/10 N
B22C9/10 P
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215253
(22)【出願日】2021-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】竹中 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】杉村 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】辻 壮人
(72)【発明者】
【氏名】永田 隆ニ
(72)【発明者】
【氏名】今岡 真堂
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093QA04
4E093QC02
4E093QC10
(57)【要約】
【課題】装置コストの低減及び製造時間の短縮が可能な成形金型部品の製造方法及び製造装置の提供。
【解決手段】拡散接合炉1の容器5内で第1の金型部品素材31と第2の金型部品素材32とを加圧密着させて昇温し、第1の金型部品素材31と第2の金型部品素材32とを拡散接合する拡散接合工程と、拡散接合工程後の高温状態の第1及び第2の金型部品素材31,32を、容器5内で急冷する焼入れ工程と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散接合炉の容器内で第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを加圧密着させて昇温し、前記第1の金型部品素材と前記第2の金型部品素材とを拡散接合する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の高温状態の前記第1及び第2の金型部品素材を、前記容器内で急冷する焼入れ工程と、を備える
ことを特徴とする成形金型部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記容器には、前記容器内の気体を吸引して排出する吸引口と、不活性ガスを冷却ガスとして前記容器内へ供給する冷却ガス供給口とが設けられ、
前記拡散接合工程では、前記冷却ガス供給口から前記容器内への不活性ガスの供給を停止した状態で、前記容器内の気体を前記吸引口から排出して前記容器内を真空化し、
前記焼入れ工程では、前記容器内の気体を前記吸引口から継続して排出しながら、前記冷却ガス供給口から不活性ガスを前記容器内へ供給することにより、前記第1及び第2の金型部品素材を急冷する
ことを特徴とする成形金型部品の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法であって、
前記吸引口と前記冷却ガス供給口とは、前記第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙する
ことを特徴とする成形金型部品の製造方法。
【請求項4】
容器と、前記容器内で第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを加圧密着させて保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記第1及び第2の金型部品素材を加熱する加熱手段と、前記容器内の気体を吸引して排出する吸引口と、を有する拡散接合炉と、
前記容器に設けられ、不活性ガスを冷却ガスとして前記容器内へ供給する冷却ガス供給口と、を備え、
前記吸引口と前記冷却ガス供給口とは、前記第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙する
ことを特徴とする成形金型部品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入子や分流子などの成形金型部品の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入子や分流子などの成形金型部品の製造において、拡散接合工程の後に焼入れ工程を行なう方法が公知である(例えば特許文献1)。拡散接合工程では、第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを、真空加熱炉内で加圧密着させた状態で昇温して拡散接合する。焼入れ工程では、拡散接合され徐冷された第1及び第2の金型部品素材を、真空加熱炉から取出して熱処理炉内に設置し、加熱後急冷して焼入れを行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の製造方法では、拡散接合工程を行なう真空加熱炉と焼入れ工程を行なう熱処理炉とが必要であるため、装置コストが増大する。また、拡散接合された第1及び第2の金型部品素材を、真空加熱炉内で徐冷した後に真空加熱炉内から取出し、熱処理炉内に設置して焼入れを行なうので、第1及び第2の金型部品素材を真空加熱炉内で徐冷する冷却時間と、焼入れのために熱処理炉内で第1及び第2の金型部品素材を加熱する加熱時間とが必要であり、製造時間が増長する。
【0005】
そこで本開示は、装置コストの低減及び製造時間の短縮が可能な成形金型部品の製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本開示の第1の態様の成形金型部品の製造方法は、拡散接合炉の容器内で第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを加圧密着させて昇温し、第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを拡散接合する拡散接合工程と、拡散接合工程後の高温状態の第1及び第2の金型部品素材を、容器内で急冷する焼入れ工程と、を備える。
【0007】
上記方法では、拡散接合炉の容器内で拡散接合工程と焼入れ工程とを行なうので、焼入れ工程を行なうための熱処理炉を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。また、拡散接合された第1及び第2の金型部品素材を拡散接合炉内で徐冷せず、高温状態の第1及び第2の金型部品素材を拡散接合炉内で急冷して焼入れを行なうので、拡散接合された第1及び第2の金型部品素材を徐冷する時間及び焼入れのために再加熱する時間を省略することができ、製造時間を短縮することができる。
【0008】
本開示の第2の態様の製造方法は、第1の態様の製造方法であって、容器には、容器内の気体を吸引して排出する吸引口と、不活性ガスを冷却ガスとして容器内へ供給する冷却ガス供給口とが設けられる。拡散接合工程では、冷却ガス供給口から容器内への不活性ガスの供給を停止した状態で、容器内の気体を吸引口から排出して容器内を真空化する。焼入れ工程では、容器内の気体を吸引口から継続して排出しながら、冷却ガス供給口から不活性ガスを容器内へ供給することにより、第1及び第2の金型部品素材を急冷する。
【0009】
上記方法では、焼入れ工程において、吸引口からの気体の吸引を継続することにより不活性ガスを容器内に流通させるので、不活性ガスを容器内に流通させるための手段を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。また、第1及び第2の金型部品素材を冷却する冷却ガスとして不活性ガスを用いるので、第1及び第2の金型部品素材の酸化を抑制することができる。
【0010】
本開示の成形金型部品の製造装置は、容器と、容器内で第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを加圧密着させて保持する保持手段と、保持手段に保持された第1及び第2の金型部品素材を加熱する加熱手段と、容器内の気体を吸引して排出する吸引口と、を有する拡散接合炉と、容器に設けられ、不活性ガスを冷却ガスとして容器内へ供給する冷却ガス供給口と、を備える。吸引口と冷却ガス供給口とは、第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙する。
【0011】
本開示の第3の態様の製造方法は、第2の態様の製造方法であって、吸引口と冷却ガス供給口とは、第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙する。
【0012】
上記装置及び方法では、吸引口と冷却ガス供給口とが第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙し、第1及び第2の金型部品素材の外面上を通過するように不活性ガスが冷却ガス供給口から吸引口へ流通するので、第1及び第2の金型部品素材を不活性ガスによって効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、装置コストの低減及び製造時間の短縮が可能な成形金型部品の製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る成形金型部品の製造装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】本実施形態の製造方法における温度と時間との関係を模式的に示す図である。
【
図5】従来の製造方法における温度と時間との関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の成形金型部品は、例えばアルミダイカスト金型を構成する入子や分流子などの部品であり、
図1~
図3に示すように、第1の金型部品素材31と第2の金型部品素材32とを拡散接合することによって製造される。なお、成形金型部品は、溶融した原料を金型内で成形した後、金型内で急速に冷却する成形金型を構成する部品であればよく、例えば、アルミダイカスト以外のダイカスト金型や樹脂成形金型や重力鋳造金型などを構成する任意の部品が本実施形態の製造方法の対象となり得る。
【0017】
第1の金型部品素材31は、例えば熱間工具鋼であり、有底のテーパ穴33を有する円柱体状に形成される。第2の金型部品素材32は、例えば無酸素銅であり、テーパ軸体状に形成され、第1の金型部品素材31のテーパ穴33に押圧挿入される。第1及び第2の金型部品素材31,32は、第1の金型部品素材31のテーパ穴33が上方に開口し、テーパ穴33に第2の金型部品素材32が挿入された状態で、後述する拡散接合炉2内に設置される。なお、第1及び第2の金型部品素材31,32の材質及び形状は、上記に限定されず、任意に設定可能である。
【0018】
成形金型部品の製造装置1は、拡散接合炉2と、真空ポンプ3と、不活性ガス供給装置4と、を備える。
【0019】
拡散接合炉2は、真空加熱炉によって構成され、容器(真空容器)5と、容器5内で第1の金型部品素材31と第2の金型部品素材32とを加圧密着させて保持する保持機構(保持手段)6と、保持機構6に保持された第1及び第2の金型部品素材31,32を加熱するヒータなどの発熱体(加熱手段)7と、容器5内の気体を吸引して排出する吸引口8と、を有する。容器5は、略水平に倒伏した円柱状空間を内側(容器5内)に区画し、容器5内を開放可能に密閉する。
【0020】
保持機構6は、第1及び第2の金型部品素材31,32の上面に載置される円板状の上支持板11と、第1の金型部品素材31の下面が載置される円板状の下支持板12と、下支持板12を下方から支持する台座13と、上支持板11の上面から容器5の上方外部へ延びる加圧ロッド14と、容器5に対して固定される雌ネジ部15と、を有する。雌ネジ部15は、加圧ロッド14の上部に形成された雄ネジ部16と螺合する。第1及び第2の金型部品素材31,32は、上支持板11と下支持板12との間に上下から挟まれた状態(加圧密着状態)で保持される。容器5の外部で加圧ロッド14の上端部を回すことにより上支持板11が昇降し、第1及び第2の金型部品素材31,32に対する押圧力が減増する。なお、保持機構6は上記構成に限定されず、他の構成であってもよい。
【0021】
発熱体7は、保持機構6に保持された第1及び第2の金型部品素材31,32の外周を囲むように容器5内に設けられる。吸引口8は、容器5の上部に設けられて容器5の内部と外部とを連通する。吸引口8には、吸引管17を介して真空ポンプ3が接続される。なお、容器5内には、容器5内の温度や第1及び第2の金型部品素材31,32の温度を検出するための温度センサ(図示省略)が設けられる。
【0022】
不活性ガス供給装置4は、不活性ガス(例えば、窒素ガス)を貯留する貯留タンク(図示省略)と、貯留タンクに接続されるガス供給管18と、ガス供給管18の下流端に接続され容器5の内部へ延びるガス供給ノズル19と、を備える。ガス供給ノズル19の下流端は、容器5内に設けられ、不活性ガスを冷却ガスとして容器5内へ供給する冷却ガス供給口20を構成する。ガス供給管18には、容器5内への不活性ガスの供給を停止可能に許容する開閉バルブ21が設けられている。
【0023】
吸引口8と冷却ガス供給口20とは、保持機構6に保持された第1及び第2の金型部品素材31,32を挟んで対峙する位置に配置されている。第1及び第2の金型部品素材31,32を挟んで対峙するとは、各々が第1及び第2の金型部品素材31,32を通り、且つ互いに直交する3つの仮想の平面であって、各平面が容器5内を2つの空間に分割する3つの分割面の何れに対しても、吸引口8と冷却ガス供給口20とが互いに異なる空間に位置することを意味する。本実施形態では、第1及び第2の金型部品素材31,32を通る水平面(第1の分割面)22に対し、吸引口8は一方の空間(
図2中の上側の空間)に、冷却ガス供給口20は他方の空間(
図2中の下側の空間)にそれぞれ位置し、第1及び第2の金型部品素材31,32を通る第1の鉛直面(第2の分割面)23に対し、吸引口8は一方の空間(
図3中の下側の空間)に、冷却ガス供給口20は他方の空間(
図3中の上側の空間)にそれぞれ位置し、第1及び第2の金型部品素材31,32を通り第1の鉛直面23に直交する第2の鉛直面(第3の分割面)24に対し、吸引口8は一方の空間(
図3中の左側の空間)に、冷却ガス供給口20は他方の空間(
図3中の右側の空間)にそれぞれ位置する。
【0024】
次に、成形金型部品の製造方法について説明する。
【0025】
本実施形態の製造方法は、素材加工工程と、拡散接合準備工程と、拡散接合工程(接合工程)と、熱処理工程と、製品加工工程とを備える。熱処理工程は、焼入れ工程と、焼戻し工程とを含む。
【0026】
素材加工工程では、切削加工等により、第1の金型部品素材31を有底のテーパ穴33を有する円柱体状に形成し、第2の金型部品素材32を、テーパ穴33に押圧挿入されるテーパ軸体状に形成する。
【0027】
拡散接合準備工程では、発熱体7による加熱を開始せず、真空ポンプ3を停止し、ガス供給管18の開閉バルブ21を閉止した状態で、拡散接合炉2の容器5を開けて、第1及び第2の金型部品素材31,32を容器5内に設置し、保持機構6によって加圧密着させて保持する。第1及び第2の金型部品素材31,32は、第1の金型部品素材31のテーパ穴33が上方に開口し、テーパ穴33に第2の金型部品素材32が挿入された状態で保持される。
【0028】
拡散接合工程では、ガス供給管18の開閉バルブ21が閉止した状態(容器5内への不活性ガスの供給を停止した状態)で、真空ポンプ3を駆動し、容器5内の気体を吸引口8から吸引して排出し、容器5内を減圧(真空化)する。本実施形態では、拡散接合工程の間、真空ポンプ3を停止せずに継続して駆動する。また、発熱体7による加熱を開始し、容器5内(及び/又は第1又は第2の金型部品素材31,32)が目標温度(例えば950℃)に達した後、圧力と温度とを所定時間(例えば2時間)維持して拡散接合を生じさせ、所定時間経過後に発熱体7による加熱を終了する(
図4中に実線で示す)。なお、容器5内の残留酸素を低減するため、真空ポンプ3の駆動後であって加熱開始前に、開閉バルブ21を一時的に開放して不活性ガスの供給を許容してもよい。また、保持機構6による第1及び第2の金型部品の押圧力を、拡散接合工程中に変化させてもよい。また、拡散接合のために必要な温度及び時間は、上記に限定されず、任意に設定可能である。
【0029】
焼入れ工程では、拡散接合工程後の第1及び第2の金型部品素材31,32を容器5内に設置し、真空ポンプ3の駆動を継続したまま、ガス供給管18の開閉バルブ21を開放する。すなわち、容器5内の気体(冷却ガス供給口20から供給された不活性ガスを含む)を吸引口8から継続して排出しながら、冷却ガス供給口20から不活性ガスを容器5内へ供給する(容器5内の負圧によって不活性ガスが冷却ガス供給口20から容器5内に吸引される)。不活性ガスの供給により、第1及び第2の金型部品素材31,32が急冷される(
図4中に破線で示す)。なお、焼入れ工程では、保持機構6による第1及び第2の金型部品素材31,32の押圧力を拡散接合工程から変化(例えば低減や解除)させてもよい。
【0030】
焼戻し工程では、焼入れ工程後の第1及び第2の金型部品素材31,32を容器5内に設置したまま、ガス供給管18の開閉バルブ21を閉止し、発熱体7による加熱を開始し、容器5内(及び/又は第1又は第2の金型部品素材31,32)が目標温度(拡散接合工程よりも低い目標温度)に達した後、圧力と温度とを所定時間(拡散接合工程とは別に設定した所定時間)維持して焼戻しを行ない、所定時間経過後に発熱体7による加熱を終了する(
図4中に一点鎖線で示す)。
【0031】
製品加工工程では、焼戻し工程後の第1及び第2の金型部品素材31,32を、切削加工等によって所望の形状に形成する。
【0032】
本実施形態によれば、拡散接合炉2の容器5内で拡散接合工程と焼入れ工程と焼戻し工程とを行なうので、焼入れ工程及び焼戻し工程を行なうための熱処理炉を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。
【0033】
拡散接合された第1及び第2の金型部品素材31,32を拡散接合炉2内で徐冷せず、高温状態の第1及び第2の金型部品素材31,32を拡散接合炉2内で急冷して焼入れを行なうので、従来のように拡散接合後の第1及び第2の金型部品素材を拡散接合炉内で徐冷し、熱処理炉内で第1及び第2の金型部品素材の焼入れ及び焼戻しを行なう場合(
図5参照)と比較して、拡散接合後の第1及び第2の金型部品素材を拡散接合炉内で徐冷する時間、拡散接合後の第1及び第2の金型部品素材を拡散接合炉から取出して熱処理炉内に設置する時間、及び焼入れのために熱処理炉内で第1及び第2の金型部品素材を再加熱する時間を省略することができ、製造時間を短縮することができる。
【0034】
焼入れ工程において、吸引口8からの気体の吸引を継続することにより、不活性ガスを容器5内に流通させるので、不活性ガスを容器5内に流通させるための手段を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。また、第1及び第2の金型部品素材31,32を冷却する冷却ガスとして不活性ガスを用いるので、第1及び第2の金型部品素材31,32の酸化を抑制することができる。
【0035】
また、吸引口8と冷却ガス供給口20とが第1及び第2の金型部品素材31,32を挟んで対峙するので、冷却ガス供給口20から吸引口8へ向かって流れる不活性ガスの少なくとも一部は、第1及び第2の金型部品素材31,32の外面上を通過する。このため、第1及び第2の金型部品素材31,32を不活性ガスによって効率良く冷却することができる。
【0036】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0037】
例えば、上記実施形態では、焼戻し工程を拡散接合炉2内で行なっているが、焼入れ工程の後に第1及び第2の金型部品素材31,32を拡散接合炉2から取出し、他の加熱炉で焼戻し工程を行なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、成形金型部品の製造方法及び製造装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:製造装置
2:拡散接合炉
3:真空ポンプ
4:不活性ガス供給装置
5:容器
6:保持機構(保持手段)
7:発熱体(加熱手段)
8:吸引口
17:吸引管
18:ガス供給管
19:ガス供給ノズル
20:冷却ガス供給口
31:第1の金型部品素材
32:第2の金型部品素材
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散接合炉の容器内で第1の金型部品素材と第2の金型部品素材とを加圧密着させて昇温し、前記第1の金型部品素材と前記第2の金型部品素材とを拡散接合する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の高温状態の前記第1及び第2の金型部品素材を、前記容器内で急冷する焼入れ工程と、を備え、
前記容器には、前記容器内の気体を吸引して排出する吸引口と、不活性ガスを冷却ガスとして前記容器内へ供給する冷却ガス供給口とが設けられ、
前記拡散接合工程では、前記冷却ガス供給口から前記容器内への不活性ガスの供給を停止した状態で、前記容器内の気体を前記吸引口から排出して前記容器内を真空化し、
前記焼入れ工程では、前記容器内の気体を前記吸引口から継続して排出しながら、前記冷却ガス供給口から不活性ガスを前記容器内へ供給することにより、前記第1及び第2の金型部品素材を急冷する
ことを特徴とする成形金型部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記吸引口と前記冷却ガス供給口とは、前記第1及び第2の金型部品素材を挟んで対峙する
ことを特徴とする成形金型部品の製造方法。