(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098530
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】データ送受信方法およびデータ送受信装置
(51)【国際特許分類】
H04L 69/08 20220101AFI20230703BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20230703BHJP
H04N 21/4402 20110101ALI20230703BHJP
【FI】
H04L69/08
H04N21/436
H04N21/4402
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215584
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】522024713
【氏名又は名称】板垣 信孝
(72)【発明者】
【氏名】板垣 信孝
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164GA03
5C164PA31
5C164TA02S
5C164UB02P
5C164UB71P
(57)【要約】
【課題】USBポートならびに有線・無線LANが使用できない状況にあっても、比較的安価でかつ簡素な方法で、パソコンからデータやファイルを外部に送信する。
【解決手段】送信側パソコンに保存されているデータやファイルを一度、非圧縮画像へ変換し、その画像をHDMIケーブルを介して画像として外部に伝送する。その画像はHDMIケーブルに接続されたUSBアダプタを介して受信側パソコンで取り込まれ、受信用パソコン内の復元ソフトによって元のデータやファイルへと復元する。このような手順によって、送信用パソコンから受信用パソコンにデータやファイルを伝送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パソコン内部のデータまたはファイルを外部に伝送する方法であって、
HDMI(登録商標)端子を有する送信側パソコンと、
そのHDMI端子に接続されたHDMIケーブルと、
そのHDMIケーブルに接続されたUSBアダプタと、
そのUSBアダプタに接続されたUSB端子を有する受信側パソコンから成るシステムにおいて、
送信するデータやファイルを画像データに変換するステップと、
HDMI信号として、送信側パソコンから画像データを伝送するステップと、
受信側パソコンにおいて伝送された画像データをHDMIケーブルとUSBアダプタを介して受信するステップと、
受信側パソコンにおいて受信した画像データを元のデータやファイルに復元するステップとを有する送受信方法。
【請求項2】
前記画像データが非圧縮画像データを特徴とする請求項1に記載の送受信方法。
【請求項3】
複数の画像データを送受信する場合において、送受信される複数の画像データを送信側パソコンで予め変換した後に、連続的に画像を表示、HDMIケーブルとUSBアダプタを介して伝送することで、受信側パソコンへ伝送することを特徴とする請求項1ならびに請求項2に記載の送受信方法。
【請求項4】
送信側パソコンから発せられるクロックを用いることなく、受信側パソコンで連続的に画像データを取り込むことを特徴とする請求項3に記載の送受信方法。
【請求項5】
パソコン内部のデータまたはファイルを外部に伝送する方法であって、
HDMI端子を有する送信側パソコンと、
そのHDMI端子に接続されたHDMIケーブルと、
そのHDMIケーブルに接続されたUSBアダプタと、
そのUSBアダプタに接続されたUSB端子を有する受信側パソコンから成るシステムにおいて、
送信するデータやファイルを画像データに変換するステップと、
HDMI信号として、送信側パソコンから画像データを伝送するステップと、
受信側パソコンにおいて伝送された画像データをHDMIケーブルとUSBアダプタを介して受信するステップと、
受信側パソコンにおいて受信した画像データを元のデータやファイルに復元するステップとを有する送受信装置。
【請求項6】
前記画像データが非圧縮画像データを特徴とする請求項5に記載の送受信装置。
【請求項7】
複数の画像データを送受信する場合において、送受信される複数の画像データを送信側パソコンで予め変換した後に、連続的に画像を表示、HDMIケーブルとUSBアダプタを介して伝送することで、受信側パソコンへ伝送することを特徴とする請求項5ならびに請求項6に記載の送受信装置。
【請求項8】
送信側パソコンから発せられるクロックを用いることなく、受信側パソコンで連続的に画像データを取り込むことを特徴とする請求項7に記載の送受信装置。
【請求項9】
HDMIケーブルとUSBアダプタが一体となった機器によって構成される請求項8に記載の送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナル・コンピュータ(パソコン)に保存されているデータやファイルを外部に送信する方法ならびにその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンに保存されているデータやファイルを外部へ送信する方法は、USB(Universal Serial Bus)端子を介してハードディスクドライブ、DVD、BD、USBメモリーといった外部記憶装置への保存、または有線LAN(Local Area Network)、無線LANを介して外部記憶装置へ保存するのが一般的である。
【0003】
しかし、USBポートならびに有線LAN、無線LANが破損していたり、あるいはその機能が制限されている場合、ファイルを外部へ転送することは困難である。
【0004】
一方、最近の多くのパソコンにはHDMI(High Definition Multimedia Interface、登録商標)端子が搭載されており、映像・音声情報等をHDMI端子を介して外部モニタ等へ表示することが可能である。
【0005】
先行技術として、特許文献1と特許文献2があり、HDMIケーブルを介して音声や映像データに付随した補完的なファイルデータの転送方法が提案されている。この技術は映像、音声機器での応用例であり、パソコンに保存されたテータやファイルには適応できていないという課題がある。また、2つの機器にはソース機器、シンク機器との区分があり、ソース機器が発するクロックに基づき同期が取られているという特徴がある。そのため、HDMIケーブルを介して同期がとれない機器においては適応が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-130664号公報
【特許文献2】特開2011-523287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
USBポートならびに有線・無線LANが使用できない状況にあっても、パソコンからデータやファイルを外部に送信することが求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、比較的安価でかつ簡素な方法で、USBポートならびに有線・無線LANを介さずに、パソコンからデータやファイルを外部に送信することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、HDMIケーブルを介して、パソコン内に保存されているデータやファイルを外部に送信することを特徴とする送受信方法ならびにその装置に関するものである。
【0010】
送信側パソコンに保存されている送信したいファイルを、送信側パソコンに保存されている変換ソフトを用いて非圧縮画像データ、いわゆるBMP(ビットマップ)フォーマットのファイルへ変換し、送信側パソコン内の記憶装置に一時、保存する。次に、送信側パソコンでこの非圧縮画像をモニタへ表示する。
【0011】
送信側パソコンのHDMI端子にはHDMIケーブルが接続されており、そのHDMIケーブルの反対端にはUSBアダプタを介して受信側パソコンへと接続されている。
【0012】
画像の表示は、送信側パソコンのモニタに表示されるとともに、同時にHDMIケーブル、USBアダプタを介して受信側パソコンへも伝送され、受信側パソコン内に画像データとして保存される。
【0013】
次に、受信側パソコン内で復調変換ソフトを用いて、非圧縮画像データを元のデータファイルに復元する。
【0014】
送信側パソコンと受信側パソコンの変換ソフトは対になっている必要がある。表示される画像データは非圧縮画像による方法が容易であるが、必ずしも非圧縮画像でなくても良い。送信側パソコンはHDMI端子が必須である。また、受信用パソコンにはUSB端子が必須である。
このシステムの特徴の一つは送信側パソコン、受信側パソコン間でクロックなどで同期を必要としていない点である。送信側パソコンからはデータを垂れ流し状態であって良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、USBポートならびに有線・無線LANが使用できない状況にあっても、HDMIケーブルを介して、送信側パソコンの保存されているデータやファイルを外部に送信することが可能となる。昨今、HDMI信号をUSBで取り込む装置が安価に販売されているので、比較的安価でかつ簡素な方法で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施例1での送信方法の手順を示したフローチャート図。
【
図3】実施例1での画像データのイメージを示した説明図。
【
図4】実施例2での送信方法の手順を示したフローチャート図。
【
図5】実施例2での画像データのイメージを示した説明図。
【
図6】実施例3での画像データのイメージを示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明をより完全に理解するために、以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。なお、これはあくまでも、一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
【実施例0018】
図1に、本発明の一実施形態による送受信システムを示す。送信側パソコン1は、HDMI端子3に接続されたHDMIケーブル4とUSBアダプタ5を介して受信側パソコン6に接続されている。送信側パソコン1の表示出力は表示用モニタ2で表示されるとともに、HDMIケーブル4とUSBアダプタ5を介してUSB端子7を有する受信側パソコン6へも伝送される。
【0019】
図1ではHDMIケーブルとUSBアダプタは個別に記載されているが、この2つが一体となっている機器であっても良い。市場ですでに販売されている機器やケーブルを用いることも可能で、この場合は安価でかつ簡素な方法で本発明が実現可能となる。
【0020】
次に、データ送受信の手順を
図2に示す。データの送信には画像データを利用する。送信側パソコンから転送するファイルのデータを、送信側パソコンに保存されている変換ソフトを用いて画像ファイルへ変換し、送信側パソコンのハードディスクまたはソリッドステートドライブに保存する。
【0021】
一例として、フルハイビジョン(横1920ピクセル、縦1080ピクセル)の解像度で階調が8ビットの非圧縮画像ファイルの生成について以下に記載する。モデルを単純化するために、画素の出力は2値データとし、0または255(2の8乗-1)が入るものとする。
1バイトは8ビットに相当するので、各画素A(i、j)(i=1~1920、j=1~1080)を8画素毎に区切り、1バイトに割り当てる。
生成された画像ファイルの一例を
図3に示す。
たとえば、送信するデータまたはファイルのバイナリーコードの最初の1バイトが「D6」のとき、16進法で表現される「D6」は2進法では「1101 0110」となるので、表1に示すように、1を255へ、また0を0へと変換すると「255 255 0 255 0 255 255 0」となる。BMPフォーマットでの「255 255 0 255 0 255 255 0」は画素データとしては「白白黒白 黒白白黒」を意味する。
このようにファイルの最初の部分よりファイル内容を1バイトづつ順次、読み込み各バイトに相当する数値へと変換し、最終的にBMPフォーマットのファイルを生成する。表1の変換方法はあくまで一例であって、変換方法はこの方法に囚われない。
【0022】
【0023】
この方法を用いると、フルハイビジョンにおいては1画像当たり259,200バイト(1920×1080÷8)に相当するデータを変換、生成できる。また、生成された非圧縮画像のデータ容量は6,220、800バイト(1920×1080×3)となる。
【0024】
データを画像データへ変換する際には、専用に開発されたソフトを用いても良いが、多くのパソコンですでにインストールされているマイクロソフト社のエクセル・マクロ機能などを利用すると比較的容易に、かつ簡便な方法で実現できる。
中程度の能力を有するパソコンを使用した場合、1つの非圧縮画像ファイルの生成には概ね30秒を要する。
【0025】
次に、保存した非圧縮画像ファイルを送信用パソコンのモニタへ全画面で表示する。同時に、HDMI端子からHDMIケーブル、USBアダプタを介して、受信側パソコンへと伝送する。
【0026】
受信側パソコンでは伝送されてきた画像データをメモリーへ保存し、送信側パソコンで変換された手順とは逆の手順で元のデータへと復元する。
【0027】
先に説明したマイクロソフト社のエクセル・マクロ機能を利用したソフトを用いると、送信そのものの時間は1秒以内であるが、受信後のデータ復元には30秒程度を要する。
【0028】
さらなる応用例として、USBアダプタに復元のための実行ファイルを保存しておき、USBアダプタが受信側パソコンに装着されると自動的に復元ソフトが立ち上がるように設定しておくと便利である。
実施例1では、1画像データ、つまり259,200バイト以内のデータならびにファイルの送受信について記載した。259,200バイト以上の容量のデータを送受信するには、実施例1を単純に繰り返しても良いが、この場合、送受信作業中に送信側パソコンと受信側パソコンとを常に繋いでおく必要があり、かつ、その間、パソコン操作が制約されるという課題が生じる。
先にも説明したように、中程度の能力を有するパソコンを用いた変換では、画像データ1枚分の生成に概ね30秒を要し、受信後のデータ復元にさらに30秒程度を要す。送受信そのものの時間は1秒以内で完了するが、データ変換ならびに復元には合計1分ほどの時間を要することになる。したがって、たとえば100MBのデータを実施例1で送信する場合、8時間以上を要することになる。
2台のパソコンの専有時間を削減する方法として、送信側パソコンで一連の画像ファイルを予め生成しておき、一連の画像ファイルが生成完了後、その画像を順次、表示し、同時に伝送する方法もある。この方式では2台のパソコンを接続している時間は画像ファイルの表示とその画像の伝送時間のみとなり、時間が随分と短縮できる。たとえば、先に示した100MBの送受信では、2台のパソコンの接続時間は10分程度まで短縮することが可能である。
受信側パソコンでは伝送されてきた画像情報を一定間隔の時間をもってファイルとして順次、保存する。また別な方法として、受信側パソコンで受け取った画像情報に変化があったときに新たにファイルとして保存する方法でも良い。いずれにしても本発明において特筆すべき点は送信用パソコンから受信用パソコンに対して同期用の信号、クロックを必要としない点である。
上記動作を最後の画像ファイルが伝送されるまで、つまりN回、繰り返す。
一連の画像の伝送が完了したら、復元ファイルを用いて、元のデータやファイルに復元する。
注意が必要な点はHDMIからUSBアダプタを介しての画像の取り込みには遅延があり、この遅延を考慮して送信間隔を決めるのが望ましい。高性能のUSBアダプタを用いると高速での伝送が可能になる一方、装置のシステムコストが上がる。