(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009858
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】芳香剤芯立て及び芳香剤芯立て固定方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20230113BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20230113BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113485
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】坂口 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】恩本 吉一
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068AA35
3E068AC02
3E068CC03
3E068CC16
3E068CE20
3E068DD04
3E068DD07
3E068DE03
3E068EE01
3E068EE10
4C180AA03
4C180CA06
4C180GG12
4C180GG17
(57)【要約】
【課題】芳香剤容器において、芳香剤の漏れ防止や、芯材の支持といった機能を果たし、かつ部品点数を増やす事の無い芳香剤芯立てを提供する。
【解決手段】芳香剤容器30における口部32に配置され、芯材40を挿通させる芯材挿通部16を有する芳香剤芯立10であって、可撓性部材により構成され、芯材挿通部16を有し、口部32に嵌め込まれる嵌入部12と、フランジ部22と、を有し、芯材挿通部16は、挿入部16aと、挿入部16aよりも開口部の投影面積が狭くなるように構成された挿出部16bとから成り、芯材挿通部16に芯材40を挿入することで、挿出部16bの外周の少なくとも一部が、外周側に突出する構成としたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル状に形成された芳香剤容器における口部に配置され、芳香剤を拡散させる芯材を挿通させる芯材挿通部を有する芳香剤芯立であって、
可撓性部材により構成され、
前記芯材挿通部を有し、前記口部に嵌め込まれる嵌入部と、
前記嵌入部よりも外周側に突出しているフランジ部と、を有し、
前記芯材挿通部は、ボトル外部側に配置される挿入部と、ボトル内部側に配置され、前記挿入部よりも開口部の投影面積が狭くなるように構成された挿出部とから成り、
前記芯材挿通部に芯材を挿入することで、前記挿出部の外周の少なくとも一部が、外周側に突出する構成としたことを特徴とする芳香剤芯立。
【請求項2】
前記嵌入部には、前記挿出部の開口端から前記挿入部側へ向けた1乃至複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の芳香剤芯立。
【請求項3】
前記芯材挿通部は、平面視において中心から外周側へ放射状に延びる溝により構成し、
前記挿出部は、前記溝の放射端を中心側に突出させる突出部を設けることで前記投影面積の縮小が成されていることを特徴とする請求項2に記載の芳香剤芯立。
【請求項4】
前記スリットは、前記突出部の両脇に設けることを特徴とする請求項3に記載の芳香剤芯立。
【請求項5】
ボトル状に形成された芳香剤容器の口部に配置され、芳香剤を拡散させる芯材を挿通させる芯材挿通部を有する芳香剤芯立の固定方法であって、
前記芳香剤芯立の前記芯材挿通部は、ボトル外部側に配置される挿入部と、ボトル内部側に配置される挿出部とから成る嵌入部を有し、
前記芯材挿通部に前記芯材を挿通させることで前記嵌入部における前記挿出部に対応した位置における外周の少なくとも一部を外周側へ押し広げ、
前記押し広げられた部位により、前記口部からの前記嵌入部に抜け止めを図ることを特徴とする芳香剤芯立の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体芳香剤を拡散させるために用いる芯(リード:蒸散手段)を立てるための構造に係り、特に、芳香剤容器としてガラスボトルを用いる場合に好適な芳香剤芯立て、及び芳香剤芯立て固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然由来の素材を芯材として使用する芳香剤蒸散器の人気が高い昨今、液体芳香剤を入れた容器(主にガラスボトル)の口に芯材を挿入し、この芯材の毛細管現象を利用して芳香成分を蒸散させるというものが多く提案されている。このような基本構成を有する芳香剤蒸散器では、芯材を複数配置した際、芯材の配置が偏ったり、安定しない事が多く、特許文献1に開示されているような芯材を支持する支持具を設けることが提案されている。特許文献1に開示されている支持具は、平板状の支持具に設けられた貫通孔や切欠きに芯材を通す事で芯材の配置状態を安定させるというものである。
【0003】
また、容器に液体芳香剤を入れるという構成の芳香剤蒸散器では、容器が揺れたり転倒した場合に内容物である芳香剤がこぼれやすいという問題がある。特許文献2には、こうした問題を解決すべく、容器の口に中蓋を配置し、この中蓋に貫通孔を設けることが開示されている。特許文献2に開示されている中蓋は、ネジ栓(上部開口を有し、中蓋を容器の開口上部に押し付けるもの)を容器開口部の外周に設けられた雄ネジに螺合することで固定し、貫通孔に芯材を挿通させることで、芳香剤の漏れ防止と芯材保持といった作用を担うことができる。
【0004】
確かに、特許文献2に開示されている構成の芳香剤蒸散器であれば、芳香剤の漏れ防止と、芯材の保持といった従来からの課題を解決することができると考えられる。しかし、特許文献2に開示されているような構成の芳香剤蒸散器では、中蓋と、これを押えるための上蓋であるネジ栓が必要となる。このため、芳香剤蒸散器全体としての部品点数が多くなってしまうといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-130259号公報
【特許文献2】特開2019-123554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、液体芳香剤を充填した芳香剤容器において、芳香剤の漏れ防止や、芯材の支持といった機能を果たしつつ、その部品点数を増やす事の無い、芳香剤芯立て、及びこの芯立ての固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る芳香剤芯立は、ボトル状に形成された芳香剤容器における口部に配置され、芳香剤を拡散させる芯材を挿通させる芯材挿通部を有する芳香剤芯立であって、可撓性部材により構成され、前記芯材挿通部を有し、前記口部に嵌め込まれる嵌入部と、前記嵌入部よりも外周側に突出しているフランジ部と、を有し、前記芯材挿通部は、ボトル外部側に配置される挿入部と、ボトル内部側に配置され、前記挿入部よりも開口部の投影面積が狭くなるように構成された挿出部とから成り、前記芯材挿通部に芯材を挿入することで、前記挿出部の外周の少なくとも一部が、外周側に突出する構成としたことを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する芳香剤芯立において前記嵌入部には、前記挿出部の開口端から前記挿入部側へ向けた1乃至複数のスリットが設けられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、嵌入部における挿出部に対応した外周を、外周側に突出させやすくなる。
【0009】
また、上記のような特徴を有する芳香剤芯立において前記芯材挿通部は、平面視において中心から外周側へ放射状に延びる溝により構成し、前記挿出部は、前記溝の放射端を中心側に突出させる突出部を設けることで前記投影面積の縮小が成されているようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、板状の芯材を安定保持することが可能となると共に、芳香剤芯立の抜け止め効果も奏する事ができる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する芳香剤芯立において前記スリットは、前記突出部の両脇に設けるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、嵌入部における挿出部に対応した外周の突出を効果的に実施することが可能となる。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る芳香剤芯立の固定方法は、ボトル状に形成された芳香剤容器の口部に配置され、芳香剤を拡散させる芯材を挿通させる芯材挿通部を有する芳香剤芯立の固定方法であって、前記芳香剤芯立の前記芯材挿通部は、ボトル外部側に配置される挿入部と、ボトル内部側に配置される挿出部とから成る嵌入部を有し、前記芯材挿通部に前記芯材を挿通させることで前記嵌入部における前記挿出部に対応した位置における外周の少なくとも一部を外周側へ押し広げ、前記押し広げられた部位により、前記口部からの前記嵌入部に抜け止めを図ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような特徴を有する芳香剤芯立によれば、液体芳香剤を充填した芳香剤容器において、芳香剤の漏れ防止や、芯材の支持といった機能を果たしつつ、その部品点数を増やす事の無い、芳香剤芯立てとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る芳香剤芯立の平面視形状を示す図である。
【
図3】実施形態に係る芳香剤芯立を配置する芳香剤容器の例を示す断面図である。
【
図4】芳香剤容器の口部に芳香剤芯立を配置した状態を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係る芳香剤芯立を用いて芳香剤容器に芯材を固定した状態を示す斜視図である。
【
図6】芳香剤容器に配置した芳香剤芯立の芯材挿通部に芯材を挿通させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の芳香剤芯立て及び芳香剤芯立て固定方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部に過ぎず、その効果を奏する限りにおいて、形態の一部に変更を加えたとしても、本発明に含まれるものとする。
【0015】
[構成]
まず、
図1、
図2を参照して、本実施形態に係る芳香剤芯立の構成について説明する。なお、図面において、
図1は、実施形態に係る芳香剤芯立の平面視形状を示す図であり、
図2は、
図1におけるA-A断面を示す図である。
【0016】
本実施形態に係る芳香剤芯立10は、例えばポリエチレンや、ポリプロピレンのような、香料に対する耐食性を有する可撓性部材により構成され、嵌入部12とフランジ部22を有する。嵌入部12は、詳細を後述する芳香剤容器30の口部32の内側に嵌め込まれる部位であり、平面視における外周形状は、芳香剤容器30における口部32の内側の形状(例えば円形)に合わせて形成されている。嵌入部12には、芳香剤を拡散させるための芯材40を挿通させるための芯材挿通部16が設けられている。芯材挿通部16は、嵌入部12の内部要素である内蓋部14に、その長手方向に沿って形成される貫通孔である。本実施形態では、
図1に示すように、平面視において中心から外周側へ放射状に延びる4本の溝により、十字型を成すように形成されている。
【0017】
芯材挿通部16は、挿入部16aと挿出部16bとから構成されている。挿入部16aは、芳香剤芯立10を芳香剤容器30に装着した際、ボトル外部側(上部側)に配置されることとなる部位であり、芯材40を挿入する側の開口端を有する部位である。一方、挿出部16bは、芳香剤芯立10を芳香剤容器30に装着した際、ボトル内部側に配置されることとなる部位であり、芯材挿通部16を貫通した芯材40の出口側の開口端を有する部位である。
【0018】
上述したように本実施形態では、芯材挿通部16の形状を、平面視において十字型、すなわち芳香剤芯立10の中心を基点として外周側へ放射状に延びる4本の溝が、それぞれ中心で90度に交わるように形成されている(
図1参照)。芯材挿通部16の形状をこのような形態とすることで、板状の芯材40を安定配置することが可能となる。挿出部16bは、挿入部16aに比べ、開口部の投影面積が狭くなるように構成されている。具体的には挿出部16bでは、4本の溝の外周側端部(放射端)に、中心側に突出させる突出部18を設けるようにしている。
【0019】
また、挿出部16bでは
図2に示すように、突出部18の幅方向両サイドにスリット20を設けるようにしている。スリット20は、挿出部16bの開口端から、挿入部16a側に向けて、少なくとも突出部18の高さ分(形成範囲)の長さを設けるようにしている。このような構成とすることで、芯材挿通部16に芯材40が挿通された際、突出部18が芯材40により押圧され、突出部18の配置位置に対応した挿出部16bの外周の一部が、外周側へ突出することとなる。なお、スリット20は、嵌入部12の外周の拡幅を容易化するための要素であり、その数は限定されるものではなく、少なくとも1つ設けることが望ましい。
【0020】
フランジ部22は、芳香剤容器30における口部32の天面32cに接し、口部32の内側に嵌め込まれる嵌入部12の位置決めを成す要素である。本実施形態では、嵌入部12における挿入部16aの開口端側外周を基点として、さらに外周側に向けて延設されている。また、本実施形態では、フランジ部22の下面であって、口部32の天面32cと対向する位置に、円環状を成す突起24を設けている。このような突起24を設けた場合、図示しない外蓋などによりフランジ部22を押えた際の応力を突起24に集中させることができ、搬送時などにフランジ部22と天面32cとの間から、液状の芳香剤が漏れ出すといった事態を防ぐことができるようになる。
【0021】
また、本実施形態に係る芳香剤芯立10は
図2に示すように、内蓋部14とフランジ部22との間に僅かに段差を設け、フランジ部22を基準とした場合に内蓋部14が窪んだ状態となるように構成している。このような構成とすることで、芯材40から染み出した芳香剤が芳香剤容器30の外部に漏れ出す事を防ぎ、芳香剤容器30に戻す事が可能となる。
【0022】
[作用]
上記のような構成の芳香剤芯立10は、
図3に示すようなボトル状に形成された芳香剤容器30に設置されて使用される。ここで、ボトル状に形成された芳香剤容器30とは、少なくとも口部32と、この口部32の下部に位置して液状の芳香剤を貯留する胴部34と、を有する容器である。本実施形態では、芳香剤容器30をガラスで構成することで、芳香剤の香料に対する耐食性を得るようにしている。
【0023】
また、口部32は、リップ32aと、リップ32aの下部に位置する逃げ部32b(王冠による封止が成されるボトルにおいては、かぶらとも呼ばれる)とから成り、口部32の内部構造において、逃げ部32bはリップ32aよりも平面視における投影面積が広くなるように構成されている(投影面が円形の場合には大径)。なお、リップ32aと逃げ部32bの関係は、ガラス製のボトルにおける製造工程で必然的に表れる形態である。
【0024】
本実施形態に係る芳香剤芯立10は、上記のような構成の芳香剤容器30の口部32に、嵌入部12を嵌め込むように配置される(
図4参照)。この時、挿入部16bに対応した位置にある嵌入部12の外周は、芳香剤容器30における口部32のリップ32aに対応した位置に嵌め込まれた状態となる。一方、挿出部16bに対応した位置にある嵌入部12は、芳香剤容器30における口部32の逃げ部32bに対応した位置に配置されることとなる。
【0025】
嵌入部12を口部32に嵌め込んだ後、芯材挿通部16に芯材40を挿通する。ここで芯材40とは、芳香剤容器30の胴部34に貯留された芳香剤を吸い上げ、揮発、拡散させることのできる素材、すなわち毛細管現象を生じさせることのできる素材により構成されていれば良い。本実施形態では、芯材40として木片を使用している。また、芯材40の形状は、芯材挿通部16の平面視形状(より具体的には、挿入部16aの平面視形状)に合致させることが望ましい。本実施形態では
図5に示すように、2枚の板片を交差させて組み付けることで芯材40を構成し、平面視において十字状を成す芯材挿通部16の形状に合致させている。
【0026】
このような形状の芯材40を芯材挿通部16に挿通させると、挿出部16bに設けられた突出部18が芯材40により押圧され、外周側に退避させられる(
図6参照)。これにより、口部32における逃げ部32bに位置する嵌入部12の外周(突出部18の配置位置に対応した部位)は、突出部18の押圧に伴って外周側へ突出することとなる。挿出部16bに対応する位置における嵌入部12の外周がさらに外周側へ突出することで、嵌入部12の外周の少なくとも一部は、リップ32aの内周の投影面の外側に張り出す事となる。これにより、芳香剤芯立10の抜け止めが図られる。
【0027】
[効果]
上記のような芳香剤芯立10によれば、部品点数を増やす事無く、芳香剤容器30からの抜け止めを図ることができる。これにより、芳香剤容器30が傾倒した際や、揺れた際に、芳香剤が漏れることを防ぐ事ができると共に、芯材40を確実に支持することが可能となる。
【0028】
[変形例]
上記実施形態では、芯材挿通部16における平面視形状を十字型とする旨記載した。しかしながら、芯材挿通部16の平面視形状は、これに限定するものでは無い。例えば、芳香剤芯立10の中心から放射状に延びる溝をさらに増やしても良いし(十字型では4本の溝)、溝以外の形状、すなわち、円形や多角形の平面視形状を得るようにしても良い。芯材挿通部16の平面視形状をこのようなものとした場合であっても、挿出部16bに突出部18を設ければ、同様な効果を奏することができるからである。なお、芯材40の形態は、各芯材挿通部16の平面視形状に合致させることで、芯材40を挿通させた際に、芯材挿通部16の内側から突出部18を押圧することができるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上記実施形態では、芳香剤容器30については、ガラス製のボトルである旨記載した。しかしながら、口部32にリップ32aと逃げ部32bを備える形態であれば、ガラス製のボトルに限定するものではなく、種々の素材により構成された容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10………芳香剤芯立、12………嵌入部、14………内蓋部、16………芯材挿通部、16a………挿入部、16b………挿出部、18………突出部、20………スリット、22………フランジ部、24………突起、30………芳香剤容器、32………口部、32a………リップ、32b………逃げ部、32c………天面、34………胴部、40………芯材。