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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098593
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】締結部材
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20230703BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
F01N13/08 Z
F16B35/00 Q
F16B35/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145389
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2021214835の分割
【原出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134327
【氏名又は名称】株式会社トープラ
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛志
(72)【発明者】
【氏名】松野 真弓
(72)【発明者】
【氏名】小林 正成
(72)【発明者】
【氏名】大川 丈典
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】北原 大輔
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA01
3G004DA11
(57)【要約】
【課題】パイプ同士を連結する際の作業性を向上することができる締結部材を提供すること。
【解決手段】本発明に係る締結部材は、締結本体部にコイルばねを組み付けてなる締結部材であって、締結本体部は、結合対象と結合するねじ部と、ねじ部の一端から延びる軸部と、軸部のねじ部側と反対側に設けられ、コイルばねの内径よりも大きい最大径を有する頭部と、軸部と頭部との間に設けられる段部と、段部または頭部に設けられ、コイルばねに係止する係止部と、を備え、軸部は、段部と軸部との間、かつ少なくとも一部がコイルばねの内部に位置し、コイルばねの内径よりも小さい径で突出してなる中つば部、を有し、コイルばねは、軸部および段部に挿通されるとともに、係止部に係止する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結本体部にコイルばねを組み付けてなる締結部材であって、
前記締結本体部は、
結合対象と結合するねじ部と、
前記ねじ部の一端から延びる軸部と、
前記軸部の前記ねじ部側と反対側に設けられ、前記コイルばねの内径よりも大きい最大径を有する頭部と、
前記軸部と前記頭部との間に設けられる段部と、
前記段部または前記頭部に設けられ、前記コイルばねに係止する係止部と、
を備え、
前記軸部は、
前記段部と前記軸部との間に位置し、前記コイルばねの内径よりも小さい径で突出してなる中つば部、
を有し、
前記コイルばねは、前記軸部および前記段部に挿通されるとともに、前記係止部に係止する、
ことを特徴とする締結部材。
【請求項2】
前記中つば部は、前記コイルばねの自然状態において、少なくとも一部が前記コイルばね内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部材。
【請求項3】
前記中つば部は、外周のなす径が、前記コイルばねの内径に対して80%以上100%未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部材。
【請求項4】
前記中つば部は、前記ねじ部側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の排気系は、エンジンに直結するエキゾーストマニホールド、および、その下流に設けられるエキゾーストパイプからなる(例えば、特許文献1を参照)。エキゾーストパイプは、必要に応じて複数のパイプに分割され、シールベアリング、フランジおよびボルト等によって連結される。また、ボルトの頭部とパイプのフランジとの間にコイルばねを設けることによって、パイプ連結部分が屈曲した場合の連結部分の荷重の変化を吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6591791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のボルトおよびコイルばねは、別体で構成されていることから、2部品を事前に組み付ける工程が必要である。この際、作業者は、工具やパイプを持った状態で作業を行うため、作業し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パイプ同士を連結する際の作業性を向上することができる締結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る締結部材は、締結本体部にコイルばねを組み付けてなる締結部材であって、前記締結本体部は、結合対象と結合するねじ部と、前記ねじ部の一端から延びる軸部と、前記軸部の前記ねじ部側と反対側に設けられ、前記コイルばねの内径よりも大きい最大径を有する頭部と、前記軸部と前記頭部との間に設けられる段部と、前記段部または前記頭部に設けられ、前記コイルばねに係止する係止部と、を備え、前記コイルばねは、前記軸部および前記段部に挿通されるとともに、前記係止部に係止することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記軸部は、前記段部側と反対側の端部において、他の締結部材と螺合するねじ部と、前記段部と前記軸部との間、かつ少なくとも一部が前記コイルばねの内部に位置し、前記コイルばねの内径よりも小さい径で突出してなる中つば部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記係止部は、当該段部の周方向に延びる環状の突起であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記係止部は、当該段部の周方向に間欠的に設けられる一つまたは複数の突起であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記複数の突起は、前記段部の周方向において等間隔に位置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記係止部は、段部とは別体で設けられ、該段部の周方向に延びることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記係止部は、前記頭部に設けられ、前記コイルばねと係止する爪部を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記コイルばねは、線材を巻回してなり、前記段部の突起部は、前記締結本体部の長手方向において、前記コイルばねの前記頭部側から3巻目以下に相当する位置に設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記コイルばねは、前記締結本体部に対して回転自在であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る締結部材は、上記発明において、前記締結部材は、車両の排気管を構成する第1および第2パイプを締結する排気管球面継手構造の一部をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パイプ同士を連結する際の作業性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたエンジンとマフラーとの接続態様の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたパイプの接続部分を示す図(その1)である。
図3図3は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたパイプの接続部分を示す図(その2)である。
図4図4は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたパイプの接続部分を示す分解斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材の構成を示す平面図である。
図6図6は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図7図7は、図6に示すA-A線断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態の変形例1にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図9図9は、図8に示すB-B線断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態の変形例2にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図11図11は、図10に示すC-C線断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態の変形例3にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図13図13は、図12に示すD-D線断面図である。
図14図14は、本発明の実施の形態の変形例4にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図15図15は、本発明の実施の形態の変形例5にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図16図16は、本発明の実施の形態の変形例6にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図17図17は、本発明の実施の形態の変形例7にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
図18図18は、本発明の実施の形態の変形例8にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたエンジンとマフラーとの接続態様の一例を示す図である。図2および図3は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたパイプの接続部分を示す図である。図4は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材を用いたパイプの接続部分を示す分解斜視図である。
【0020】
マフラー2は、エキゾーストマニホールド、エキゾーストパイプを経てエンジン3に接続する(図1参照)。エキゾーストパイプは、複数のパイプ(本実施の形態では第1パイプ21および第2パイプ22)を連結してなる。第1パイプ21および第2パイプ22は、各パイプに形成されるフランジ21a、22aに締結部材1およびナット23(図3参照)を結合することによって締結される。第1パイプ21、第2パイプ22、締結部材1およびナット23によって、排気管球面継手構造が構成される。
【0021】
第1パイプ21および第2パイプ22との間には、シールベアリング24が介在する。第1パイプ21および第2パイプ22は、シールベアリング24によって、接続部分において内部が気密の状態を維持しつつ屈曲自在となる。
【0022】
続いて、締結部材1の構成について説明する。図5は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材の構成を示す平面図である。図6は、本発明の一実施の形態にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。図7は、図6に示すA-A線断面図である。
【0023】
締結部材1は、締結本体部11と、コイルばね12とを備える。なお、本実施の形態では、締結本体部11の中心軸と、コイルばね12の中心軸とが、締結部材1の長手軸である軸Nと一致しているものとして説明する。また、軸N方向を長手方向ということがある。
【0024】
締結本体部11は、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114とを有する。締結本体部11の長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114、頭部113の順に大きい。
【0025】
軸部112は、ねじ部111側の端部において、軸部112の他の部分に対して径方向に突出してなる中つば部112aを有する。なお、本実施の形態において、中つば部112aは軸部112のねじ部111側に設けられる例について説明するが、ねじ部111と段部114との間に設けることができる。また、結合態様はねじ部111およびナット23に限らず、例えば、カシメによって結合する部材として、締結部材1をアシ部、ナット23をアタマ部に代えた構成としてもよい。
【0026】
頭部113は、六角部113aと、つば部113bとを有する。つば部133bの最大径は、コイルばね12の内径よりも大きい。頭部113の六角部113aの形状は、六角形に限らない。なお、つば部133bの最大径が上記の関係を満たし、頭部113がコイルばね12に係止できれば、つば部113b(頭部113の最大径)が、コイルばね12の外径より小さくてもよい。
【0027】
段部114は、当該段部114の他の部分に対して径方向に突出してなる突起部114aを有する。突起部114aは、段部114の周方向を一周して形成され、該周方向に延びる環状の突起である。なお、段部114において、突起部114aを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。すなわち、段部114は、コイルばね12の内径よりも小さい段部本体と、該段部本体から突出する突起とを有する。本明細書において、「突起部」は、係止部に相当する。
【0028】
コイルばね12は、線材を巻回してなり、両端部が、巻回によって延びる軸方向(ここではコイルばね12の長手方向)と直交する平面を有する。
【0029】
ここで、突起部114aの径r2は、コイルばね12の内径r1よりも大きい。例えば、径r2は、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。この際、内径r1に対する径r2の比が101%未満であると、コイルばね12への圧入代が小さくなり、コイルばね12が締結本体部11から離脱するおそれがある。一方、内径r1に対する径r2の比が105%を超えると、コイルばね12への圧入代が大きくなって、コイルばね12と突起部114aとの干渉が大きくなり、締結部材1をフランジ21a、22aに取り付けた際に、コイルばね12のねじれが生じ、破損するおそれがある。
【0030】
突起部114aにおける、軸部112側からの立ち上がり角度であって、軸Nと直交する平面とのなす立ち上がり角度は、突起部形成に用いる工具の使用態様、または突起部形成時の段部の変形を抑制する点を考慮して設定される。
【0031】
また、突起部114aは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、重力以外の荷重が加わっていない自然状態のコイルばね12の、頭部113側から数えて1~3巻目(3巻目以下に相当する位置)に位置することが好ましい。例えば、突起部114aは、頭部113からの軸N方向の距離d1が、コイルばね12の巻回によって延びる方向(ここでは軸N方向)おいて、3つ目の線材を通過する位置までの距離d2以下であることが好ましい。
【0032】
中つば部112aの径は、コイルばね12の内径よりも小さく、例えばコイルばね12の内径に対して80%以上100%未満である。
また、中つば部112aは、コイルばね12の自然状態において、少なくとも一部がコイルばね12内に位置する。
【0033】
締結部材1は、締結本体部11をコイルばね12に挿入して組み付けてなる。組付け時にコイルばね12に締結本体部11を挿入した際、コイルばね12に突起部114aが圧入される。また、コイルばね12は、加わる荷重に応じて頭部113(つば部113b)の段部114側の面に当接可能である。
【0034】
締結本体部11にコイルばね12が組付けられた状態(図5参照)において、コイルばね12は、締結本体部11に対して回転可能であるとともに、突起部114aに係止することによって締結本体部11に対して抜け止めされる。また、コイルばね12は、軸部112に対して傾いた場合に、中つば部112aに当接することによって、軸部112に対する傾きが抑制される。中つば部112aによってコイルばね12の傾きが抑制されると、コイルばね12と突起部114aとの係止状態を確実に維持することができる。
【0035】
締結部材1は、軸部112をフランジ21a、22aに挿通し、ナット23と螺合させることによってフランジ21a、22aを締結する。この際、締結本体部11の頭部113と第2パイプ22のフランジ22aとの間にコイルばね12を配置することによって、パイプ連結部分が屈曲した場合であっても、コイルばね12の伸縮によってフランジへの荷重の変化を吸収し、フランジ21a、22aが圧接した状態を維持することができる。
【0036】
以上説明した本発明の実施の形態では、締結本体部11の頭部113側に、当該締結本体部11の径方向に突出する突起部114aを設け、該突起部114aと、コイルばね12とを係止させるようにした。本実施の形態によれば、締結部材1において、突起部114aとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11から離脱することを抑制しているため、締結部材1の取扱い性を向上することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、軸部112の頭部113とは反対側に、該軸部112の径方向に突出する中つば部112aを設け、コイルばね12が軸Nに対して傾斜した際に、中つば部112aがコイルばね12に当接するようにしたので、コイルばね12の傾斜によるコイルばね12と突起部114aとの係止状態が解除されることが一層確実に抑制される。
【0038】
(変形例1)
次に、本実施の形態の変形例1について、図8および図9を参照して説明する。図8は、本発明の実施の形態の変形例1にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。図9は、図8に示すB-B線断面図である。本変形例1にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Aを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0039】
締結本体部11Aは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Aとを有する。締結本体部11Aの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114A、頭部113の順に大きい。
【0040】
段部114Aには、当該段部114Aの他の部分に対して径方向に突出してなる三つの突起部114bを有する。各突起部114bは、段部114Aの周方向に対して均等な間隔で設けられる。すなわち、段部114Bにおける二つの突起部114bは、軸N方向と直交する平面を切断面とする断面において、軸Nに対して120°回転対称を与える位置に形成される。また、突起部114bの周方向の形成範囲として、軸Nに対する形成角度θ1は、例えば、θ1=75°である。なお、段部114Aにおいて、突起部114bを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0041】
ここで、突起部114bの径r3は、コイルばね12の内径r1よりも大きい。例えば、径r3は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114bの径r3は、突起部114bに外接する外接円(図9の破線の円参照)の直径とする。
締結本体部11Aにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114bに係止し、コイルばね12が締結本体部11に対して抜け止めされる。
【0042】
また、突起部114bは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0043】
以上説明した本変形例1では、締結本体部11Aの頭部113側に、当該締結本体部11Aの径方向に突出する突起部114bを設け、該突起部114bと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例1によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114bとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Aから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0044】
(変形例2)
次に、本実施の形態の変形例2について、図10および図11を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態の変形例2にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。図11は、図10に示すC-C線断面図である。本変形例2にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Bを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0045】
締結本体部11Bは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Bとを有する。締結本体部11Bの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114B、頭部113の順に大きい。
【0046】
段部114Bには、当該段部114Bの他の部分に対して径方向に突出してなる二つの突起部114cを有する。各突起部114cは、段部114Bの周方向に対して均等な間隔で設けられる。すなわち、段部114Bにおける二つの突起部114cは、軸N方向と直交する平面を切断面とする断面において、180°回転対称を与える位置に形成される。また、突起部114cの周方向の形成範囲として、軸Nに対する形成角度θ2は、例えば、θ2=90°である。なお、段部114Bにおいて、突起部114cを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0047】
ここで、突起部114cの径r4は、コイルばね12の内径r1よりも大きい。例えば、径r4は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114cの径r4は、突起部114cに外接する外接円(図11の破線の円参照)の直径とする。
締結本体部11Bにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114bに係止し、コイルばね12が締結本体部11Bに対して抜け止めされる。
【0048】
また、突起部114cは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0049】
以上説明した本変形例2では、締結本体部11Bの頭部113側に、当該締結本体部11Bの径方向に突出する突起部114cを設け、該突起部114cと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例2によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114cとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Bから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0050】
(変形例3)
次に、本実施の形態の変形例3について、図12および図13を参照して説明する。図12は、本発明の実施の形態の変形例3にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。図13は、図12に示すD-D線断面図である。本変形例3にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Cを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0051】
締結本体部11Cは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Cとを有する。締結本体部11Cの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114C、頭部113の順に大きい。
【0052】
段部114Cには、当該段部114Cの他の部分に対して径方向に突出してなる四つの突起部114dを有する。各突起部114dは、段部114Cの周方向に対して均等な間隔で設けられる。すなわち、段部114Cにおける四つの突起部114dは、軸N方向と直交する平面を切断面とする断面において、45°回転対称を与える位置に形成される。また、突起部114dの周方向の形成範囲として、軸Nに対する形成角度θ3は、例えば、θ3=45°である。なお、段部114Cにおいて、突起部114dを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0053】
ここで、突起部114dの径r5は、コイルばね12の内径r1よりも大きい。例えば、径r5は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114dの径r5は、突起部114dに外接する外接円(図13の破線の円参照)の直径とする。
締結本体部11Cにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114dに係止し、コイルばね12が締結本体部11Cに対して抜け止めされる。
【0054】
また、突起部114dは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0055】
以上説明した本変形例3では、締結本体部11Cの頭部113側に、当該締結本体部11Cの径方向に突出する突起部114dを設け、該突起部114dと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例3によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114dとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Cから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0056】
(変形例4)
次に、本実施の形態の変形例4について、図14を参照して説明する。図14は、本発明の実施の形態の変形例4にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。本変形例4にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Dを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0057】
締結本体部11Dは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Dとを有する。締結本体部11Dの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114D、頭部113の順に大きい。
【0058】
段部114Dには、当該段部114Dの他の部分に対して径方向に突出してなる一つの突起部114eを有する。突起部114eは、段部114Dの周方向の一部に設けられる。なお、段部114Dにおいて、突起部114eを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0059】
ここで、突起部114eの径は、コイルばね12の内径(内径r1)よりも大きい。例えば、突起部114eの径は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114eの径は、突起部114eに外接する外接円の直径とする。
締結本体部11Dにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114eに係止し、コイルばね12が締結本体部11に対して抜け止めされる。
【0060】
また、突起部114eは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0061】
以上説明した本変形例4では、締結本体部11Dの頭部113側に、当該締結本体部11Dの径方向に突出する突起部114eを設け、該突起部114dと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例4によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114eとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Dから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0062】
(変形例5)
次に、本実施の形態の変形例5について、図15を参照して説明する。図15は、本発明の実施の形態の変形例5にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。本変形例5にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Eを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0063】
締結本体部11Eは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113Aと、軸部112と頭部113Aとの間に設けられる段部114Eとを有する。締結本体部11Eの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114E、頭部113Aの順に大きい。
【0064】
段部114Eは、軸N方向に延びる柱状をなす。段部114Eは、コイルばね12の内径よりも小さく、軸部112の径よりも大きい径を有する。
【0065】
頭部113Aは、六角部113aと、つば部113cと、つば部113cの端部に設けられる係止部113dとを有する。つば部113cの最大径は、コイルばね12の内径よりも大きい。頭部113の六角部113aの形状は、六角形に限らない。
【0066】
係止部113dは、軸N方向に突出する爪部を有し、コイルばね12の一端に係止する。
締結本体部11Eにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が係止部113dに係止し、コイルばね12が締結本体部11に対して抜け止めされる。
【0067】
以上説明した本変形例5では、締結本体部11Dの頭部113Aに、当該締結本体部11Cの係止部113dを設け、該係止部113dと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例5によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、係止部113dとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Eから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0068】
(変形例6)
次に、本実施の形態の変形例6について、図16を参照して説明する。図16は、本発明の実施の形態の変形例6にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。本変形例6にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Fを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0069】
締結本体部11Fは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Fとを有する。締結本体部11Fの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114F、頭部113の順に大きい。
【0070】
段部114Fには、当該段部114Fの他の部分に対して径方向に突出してなる突起部114fを有する。突起部114fは、段部114Fとは別体で設けられ、該段部114Fの周方向を一周する環状をなす。なお、突起部114fを除く段部114Fの径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0071】
ここで、突起部114fの径は、コイルばね12の内径(内径r1)よりも大きい。例えば、突起部114fの径は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114fの径は、突起部114fに外接する外接円の直径とする。
締結本体部11Fにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114fに係止し、コイルばね12が締結本体部11Fに対して抜け止めされる。
【0072】
また、突起部114fは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0073】
以上説明した本変形例6では、締結本体部11Fの頭部113側に、当該締結本体部11Fの径方向に突出する突起部114fを設け、該突起部114fと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例6によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114fとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Fから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0074】
変形例6では、環状の突起部114f(Oリング)を例にして説明したが、一部が開放される弧状の突起部(Cリング)を採用することができる。
【0075】
(変形例7)
次に、本実施の形態の変形例7について、図17を参照して説明する。図17は、本発明の実施の形態の変形例7にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。本変形例7にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Gを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0076】
締結本体部11Gは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Gとを有する。締結本体部11Gの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114G、頭部113の順に大きい。
【0077】
段部114Gには、当該段部114Gの他の部分に対して径方向に突出してなる一つの突起部114gを有する。突起部114gは、段部114Gの周方向を一周して形成され、該周方向に延びる環状の突起である。突起部114gは、例えばセレーション加工によって形成される鋸歯状をなす側面の一部を押し出すことによって形成される。すなわち、突起部114gは、軸N方向に沿って順次広がる鋸歯状をなす。なお、段部114Gにおいて、突起部114gを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0078】
ここで、突起部114gの最大径は、コイルばね12の内径(内径r1)よりも大きい。例えば、突起部114gの径は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114gの径は、突起部114gに外接する外接円の直径とする。
締結本体部11Gにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114gに係止し、コイルばね12が締結本体部11Gに対して抜け止めされる。
【0079】
また、突起部114gは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0080】
以上説明した本変形例7では、締結本体部11Gの頭部113側に、当該締結本体部11Gの径方向に突出する突起部114gを設け、該突起部114gと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例7によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114gとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Gから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0081】
(変形例8)
次に、本実施の形態の変形例8について、図18を参照して説明する。図18は、本発明の実施の形態の変形例8にかかる締結部材の締結本体部の構成を示す平面図である。本変形例8にかかる締結部材は、実施の形態にかかる締結本体部11に代えて締結本体部11Hを備える。コイルばね12の構成は、実施の形態と同様である。なお、実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付している。
【0082】
締結本体部11Hは、結合対象と螺合するねじ部111と、ねじ部111に連なる円柱状の軸部112と、軸部112のねじ部111側と反対側に設けられる頭部113と、軸部112と頭部113との間に設けられる段部114Hとを有する。締結本体部11Hの長手方向と直交する方向の径(最大径)は、ねじ部111、軸部112、段部114H、頭部113の順に大きい。
【0083】
段部114Hには、当該段部114Hの他の部分に対して径方向に突出してなる一つの突起部114hを有する。突起部114hは、段部114Hの周方向を一周して形成され、該周方向に延びる環状の突起である。突起部114hは、例えばセレーション加工によって形成される鋸歯状をなす。なお、段部114Hにおいて、突起部114hを除く部分の径は、コイルばね12の内径よりも小さい。
【0084】
ここで、突起部114hの最大径は、コイルばね12の内径(内径r1)よりも大きい。例えば、突起部114hの径は、実施の形態と同様に、内径r1に対して101%以上105%以下の大きさとなるように設定される。なお、ここでの突起部114hの径は、突起部114hに外接する外接円の直径とする。
締結本体部11Hにコイルばね12が組付けられた状態では、コイルばね12が突起部114hに係止し、コイルばね12が締結本体部11Hに対して抜け止めされる。
【0085】
また、突起部114hは、脱落防止とコイルばね12の伸縮性の確保とを両立するという観点において、自然状態のコイルばね12の1~3巻目に位置することが好ましい。
【0086】
以上説明した本変形例8では、締結本体部11Hの頭部113側に、当該締結本体部11Hの径方向に突出する突起部114hを設け、該突起部114hと、コイルばね12とを係止させるようにした。本変形例8によれば、実施の形態と同様に、締結部材において、突起部114hとコイルばね12との係止によってコイルばね12が締結本体部11Hから離脱することを抑制しているため、締結部材の取扱い性を向上することができる。
【0087】
なお、実施の形態および変形例では、締結本体部が中つば部112aを有する例について説明したが、例えば、突起部114aによってコイルばね12の締結本体部11からの離脱を抑制することが可能であれば、中つば部112aを有しない構成としてもよい。
【0088】
また、実施の形態および変形例において示した突起部や係止部のほか、段部に抜け止め用のピンを設けてコイルばねを締結本体部から抜け止めするようにしてもよいし、段部に凹部を形成してコイルばねをカシメることによってコイルばねを段部に固定してもよいし、コイルばねを段部に溶接してもよい。なお、段部に対してコイルばねをカシメたり溶接したりした場合、コイルばねは締結本体部に対する回転が規制される。
【0089】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
【0090】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0091】
以上説明したように、本発明に係る締結部材は、パイプ同士を連結する際の作業性を向上するのに好適である。
【符号の説明】
【0092】
1 締結部材
2 マフラー
3 エンジン
11、11A~11H 締結本体部
12 コイルばね
21a、22a フランジ
111 ねじ部
112 軸部
112a 中つば部
113、113A 頭部
113a 六角部
113b、113c つば部
113d 係止部
114、114A~114H 段部
114a~114h 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18