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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098613
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】植物由来飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20210101AFI20230703BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230703BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230703BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20230703BHJP
   A61K 36/28 20060101ALN20230703BHJP
   A61K 36/185 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
A23L2/38 C
A23L2/00 F
A23L33/105
A61P1/16
A61K36/28
A61K36/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174151
(22)【出願日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2021213615
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519332243
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・オーガニック・イールド
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】丹藤 信平
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE05
4B018MD09
4B018MD49
4B018MD52
4B018MD53
4B018MD57
4B018MD59
4B018MD61
4B018MD67
4B018MD94
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B117LC04
4B117LG01
4B117LG02
4B117LG05
4B117LG07
4B117LG11
4B117LG12
4B117LG17
4B117LG18
4B117LG22
4B117LG24
4B117LK08
4B117LK30
4B117LP01
4B117LP20
4C088AB12
4C088AB13
4C088AB15
4C088AB19
4C088AB26
4C088AB27
4C088AB38
4C088AB43
4C088AB51
4C088AB57
4C088AB62
4C088AB73
4C088AB80
4C088AB81
4C088BA09
4C088CA05
4C088MA17
4C088NA05
4C088ZA75
(57)【要約】
【課題】
エクソソーム(細胞外小胞)と食物繊維を、主成分とする生理活性物質(エクソソーム類)を含有する植物水を主成分とすることにより、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等を向上させることを可能とした、植物由来飲料を提供する。
【解決手段】
エクソソーム類を含有する植物水を主成分とする植物由来飲料であって、前記植物水は、シマアザミ及びその他の混合植物由来の成分を含有してなる構成である。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクソソームと食物繊維を主成分とする生理活性物質(エクソソーム類)(12)を含有する植物水(10)を主成分とする植物由来飲料(1)において、
前記植物水(10)は、シマアザミ及びその他の混合植物由来の成分を含有してなることを特徴とする植物由来飲料。
【請求項2】
前記植物水(10)は、シマアザミ及びその他の混合植物を減圧下で沸騰・蒸発処理した上で、該蒸発水から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して成ることを特徴とする請求項1に記載の植物由来飲料。
【請求項3】
前記植物水(10)は、シマアザミ及びその他の混合植物を固体と液体に分離したうえで、液体から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して成ることを特徴とする請求項1に記載の植物由来飲料。
【請求項4】
エクソソーム類(12)を含有する植物水を主成分とする植物由来飲料(1)において、
前記植物由来飲料(1)は、シマアザミ(22)から抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる第一植物水(20)と、混合植物群(32)から抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる第二植物水(30)とを濃縮して混ぜ合わされた混合植物水(40)からなるとともに、前記第一植物水(20)と前記第二植物水(30)とが、重量比100:0、70:30、または51:49の何れかからなることを特徴とする植物由来飲料。
【請求項5】
前記混合植物群(32)は、サトウキビ、サシグサ(タチアワユキセンダングサ)、センネンボ、ヒュウガトウキ(日本ヤマニンジン)、ケール、陽光桜、サンニン(月桃)、クヮンソウ(ワスレグサ)、シークヮーサー、サクナ(長命草、ボタンボウフウ)、フーチバー(ヨモギ)、ニガナ(ホソバワダン)、ツルムラサキ、ハンダマ(水前寺菜、オキナワンスピナッチ)、フェンネル(ウイキョウ)、グァバ、クミスクチン(ネコノヒゲ)、ハママーチ(沖縄ヨモギ)、ベニキクイモ(フランスキクイモ)、マンジェリコン、アマランサス、ローゼル(フレンチソレル)、レモン、生姜、イネ、ムラサキ、チャノキ、シカクマメ、島ニンジン、金時ニンジン、ガック(ナンバンカラスウリ)、モリンガ(ワサビノキ)、カンカニクジュヨウ(砂漠人参)、ホワイトサポテ、トウガン、パパイヤ、紅イモ(サツマイモ)、田芋(ミズイモ)、モーウイ(赤瓜)、島オクラ、カイグア、スイバ(ソレル)、イタドリ、オゼイユ、ゴーヤ(ツルレイシ)、シマナー(カラシナ)、ヘチマ、モズク、温泉藻、ドラゴンフルーツ(果実および葉茎)から構成される一群の植物のうちの何れか一または複数を選択して成ることを特徴とする請求項4に記載の植物由来飲料。
【請求項6】
前記植物由来飲料(1)は、更にクエン酸、フィチン酸またはレモン果汁を含有する酸味料、および天然植物由来の着色料を配合したことを特徴とする請求項5に記載の植物由来飲料。
【請求項7】
前記エクソソーム類(12)は、前記植物水を限外ろ過後、単離・解析処理を施すことによって取得されるとともに、前記微小物質の粒子径は、平均径160nm+/-4.1、および、モード径132+/-10.2、からなるとともに、濃度が2.01+/-0.15(108粒子/ml)からなることを特徴とする請求項1に記載の植物由来飲料。
【請求項8】
肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能の向上のために飲用する請求項1に記載の植物由来飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の飲料に関し、特に、エクソソームと食物繊維を主成分とする生理活性物質(エクソソーム類)を含有する植物水を主成分とすることにより、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等を向上させることを可能とした植物由来飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、健康を向上させるための様々な飲料が開発されており、数多くの健康志向飲料が販売されている。そのような飲料は多くの種類が存在するが、中でも、植物由来の成分を含有する健康志向飲料が注目されている。
【0003】
植物由来の健康志向飲料に係る技術としては、例えば、特表2021-524753号公報が存在する。ここでは、低温接触発酵によって不活性化された酵母で水性抽出物を発酵させることで発酵した水性抽出物を取得し、水性抽出物または発酵した水性抽出物を、所望の成分を有するアルコールフリーまたは低アルコール飲料または飲料ベースを取得するためにジュースと混合する技術が開示されている。この技術によれば、栄養豊富であり、減量促進、解毒作用、尿路感染症の鎮静、およびコレステロール値を下げるなどの多くの健康上の効用を有する飲料を製造することが可能となる旨が開示されている。
【0004】
この技術によれば、健康志向の飲料を取得することが可能になると考えられるが、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等の向上については、効能についての検証が十分できないという問題点があった。
【0005】
健康志向が高い昨今において、健康志向飲料に拘る人が増加している。このような現状において、より健康を向上することを可能とした植物由来飲料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2021-524753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するために、植物由来の飲料であって、特に、エクソソーム類を含有する植物水を主成分とすることにより、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等を向上させることを可能とした、植物由来飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る植物由来飲料は、エクソソーム類を含有する植物水を主成分とする植物由来飲料であって、前記植物水は、シマアザミ及びその他の混合植物由来の成分を含有してなる構成である。
また、前記植物水は、シマアザミ及びその他の混合植物を減圧下で沸騰・蒸発処理した上で、該蒸発水から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して成る構成である。
また、前記植物水は、シマアザミ及びその他の混合植物を固体と液体に分離したうえで、液体から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して成る構成である。
【0009】
また、本発明に係る植物由来飲料は、エクソソーム類を含有する植物水を主成分とする植物由来飲料であって、前記植物由来飲料は、シマアザミから抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる第一植物水と、混合植物群から抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる第二植物水とを濃縮して混ぜ合わされた混合植物水からなるとともに、前記第一植物水と前記第二植物水とが、重量比100:0、70:30、または51:49の何れかからなる構成でもある。
【0010】
また、前記混合植物群は、サトウキビ、サシグサ(タチアワユキセンダングサ)、センネンボ、ヒュウガトウキ(日本ヤマニンジン)、ケール、陽光桜、サンニン(月桃)、クヮンソウ(ワスレグサ)、シークヮーサー、サクナ(長命草、ボタンボウフウ)、フーチバー(ヨモギ)、ニガナ(ホソバワダン)、ツルムラサキ、ハンダマ(水前寺菜、オキナワンスピナッチ)、フェンネル(ウイキョウ)、グァバ、クミスクチン(ネコノヒゲ)、ハママーチ(沖縄ヨモギ)、ベニキクイモ(フランスキクイモ)、マンジェリコン、アマランサス、ローゼル(フレンチソレル)、レモン、生姜、イネ、ムラサキ、チャノキ、シカクマメ、島ニンジン、金時ニンジン、ガック(ナンバンカラスウリ)、モリンガ(ワサビノキ)、カンカニクジュヨウ(砂漠人参)、ホワイトサポテ、トウガン、パパイヤ、紅イモ(サツマイモ)、田芋(ミズイモ)、モーウイ(赤瓜)、島オクラ、カイグア、スイバ(ソレル)、イタドリ、オゼイユ、ゴーヤ(ツルレイシ)、シマナー(カラシナ)、ヘチマ、モズク、温泉藻、ドラゴンフルーツ(果実および葉茎)から構成される一群の植物のうちの何れか一または複数を選択して成る構成である。
【0011】
また、前記植物由来飲料は、更にクエン酸、フィチン酸またはレモン果汁を含有する酸味料、および天然植物由来の着色料を配合した構成である。
また、前記エクソソーム類は、前記植物水を限外ろ過後、単離・解析処理を施すことによって取得されるとともに、前記微小物質の粒子径は、平均径160nm+/-4.1、および、モード径132+/-10.2、からなるとともに、濃度が2.01+/-0.15(108粒子/ml)からなる構成である。
更に、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能の向上のために飲用する構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.植物由来飲料の主成分がエクソソーム類からなる構成としたため、特に、ユーザの腸内環境を改善し、免疫機能を向上させることが可能となる。
2.シマアザミ及びその他の混合植物を減圧下で沸騰・蒸発処理したうえで、該蒸発水から抽出する構成としたため、純度の高い植物水を取得することが可能となる。
【0013】
3.シマアザミ及びその他の混合植物を固体と液体に分離したうえで、液体から抽出する構成としたため、純度の高い植物水を取得することが可能となる。
4.植物由来飲料を、シマアザミから抽出される植物水と、混合植物群から抽出される植物水とを濃縮して混ぜ合わされた混合植物水からなる構成としたため、より体内免疫・腸管免疫の向上を見込める植物由来飲料を構成することが可能となる。
【0014】
5.混合植物群として、一または複数の植物を選択して植物水を抽出する構成としたため、様々な効能を有する植物水を植物由来飲料に含有させることが可能となる。
6.植物由来飲料に、クエン酸、フィチン酸またはレモン果汁を含有する酸味料や天然植物由来の着色料を配合する構成としたため、味覚や視覚にも優れた飲みやすい植物由来飲料を提供することが可能となる。
【0015】
7.前記エクソソーム類の粒子径を平均径160nm+/-4.1、および、モード径132+/-10.2とし、濃度を2.01+/-0.15(108粒子/ml)としたため、体内免疫・腸管免疫の向上を図る最適な粒子径のエクソソーム類を含有する植物由来飲料を提供することが可能となる。
8.植物由来飲料を上記構造としたため、肝臓の機能不全や腸内環境の改善、免疫機能の向上を見込める植物由来飲料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る植物由来飲料を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る植物由来飲料が含有する植物の一覧を示す図であり、図2は、シマアザミ由来エクソソーム類の日常生活における改善度を示す図である。図3は、腸内細菌叢の分布状況を示す図であり、図4は、肝機能数値の改善を示す図である。図5は、アルコールの代謝促進機能を示す図である。
【0017】
本発明の植物由来飲料1は、植物水10または、第一植物水20と第二植物水30とを混合した構成からなり、シマアザミとその他の混合植物由来の成分を含有してなる植物由来の飲料であって、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等を向上させることを可能とした植物由来飲料である。
【0018】
植物水10は、エクソソーム類12を含有する植物由来の液体である。エクソソームとは、動物や植物の細胞から分泌される直径50~150nmの顆粒状の物質であり、細胞外小胞とも呼ばれるものである。エクソソームには様々なタンパク質や脂質、RNA(マイクロRNA、メッセンジャーRNAなど)が含まれており、これが別の細胞に運搬されることにより、機能的変化や生理的変化を引き起こすことが知られている。本実施例では、広く植物由来のエクソソームを用いることとしており、特にここでは、エクソソーム類と称す。
【0019】
本発明に係る植物由来飲料1の実施例として、植物由来飲料1は、エクソソーム類12を含有する植物水10を主成分とする構成である。また、植物水10は、シマアザミ及びその他の混合植物由来の成分を含有してなる構成である。この構成とすることにより、ユーザの腸内環境を改善し、免疫機能を向上させることが可能となる。
【0020】
植物水10は、本実施例では、シマアザミ及びその他の混合植物を減圧下で沸騰・蒸発処理した上で、該蒸発水から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して生成する構成である。この構成とすることにより、純度の高い植物水を生産することが可能となる。
【0021】
また、植物水10は、本実施例では、シマアザミ及びその他の混合植物を固体と液体に分離したうえで、液体から抽出されたエクソソーム類含有エキスを濃縮して生成する構成でもある。この構成とすることにより、純度の高い植物水を生産することが可能となる。
【0022】
本発明に係る植物由来飲料1の他の実施例である植物由来飲料1は、第一植物水20と第二植物水30とを混ぜ合わせた混合植物水40を含有する構成である。第一植物水20は、本実施例では、シマアザミ22から抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる。また、第二植物水30は、本実施例では、混合植物群32から抽出されるエクソソーム類含有エキスからなる構成である。この第一植物水20と第二植物水30とを濃縮して混ぜ合わせることにより、混合植物水40を得る。
【0023】
また、第一植物水20と第二植物水30の混合比率は、本実施例では、重量比100:0、70:30、または51:49の何れかからなる構成である。重量比100:0においては、第一植物水20のみ、すなわち、シマアザミ由来の植物水のみを利用した植物由来飲料1を構成することが出来る。また、重量比70:30は、混合植物群32から抽出されるエクソソーム類含有エキスを小量含有する植物由来飲料1を構成することが出来る。更に、重量比51:49においては、シマアザミ22から抽出されるエクソソーム類含有エキスと、混合植物群32から抽出されるエクソソーム類含有エキスとがほぼ等量であるが、シマアザミ22から抽出されるエクソソーム類含有エキスの方が多く含まれることを意味しており、このような植物由来飲料1を構成することが出来る。なお、重量比70:30や重量比51:49の混合比率については、この数値に限定するものではない。この構成とすることにより、より体内免疫・腸管免疫の向上を見込める植物由来飲料を構成することが可能となる。
【0024】
混合植物群32は、本実施例では、サトウキビ、サシグサ(タチアワユキセンダングサ)、センネンボ、ヒュウガトウキ(日本ヤマニンジン)、ケール、陽光桜、サンニン(月桃)、クヮンソウ(ワスレグサ)、シークヮーサー、サクナ(長命草、ボタンボウフウ)、フーチバー(ヨモギ)、ニガナ(ホソバワダン)、ツルムラサキ、ハンダマ(水前寺菜、オキナワンスピナッチ)、フェンネル(ウイキョウ)、グァバ、クミスクチン(ネコノヒゲ)、ハママーチ(沖縄ヨモギ)、ベニキクイモ(フランスキクイモ)、マンジェリコン、アマランサス、ローゼル(フレンチソレル)、レモン、生姜、イネ、ムラサキ、チャノキ、シカクマメ、島ニンジン、金時ニンジン、ガック(ナンバンカラスウリ)、モリンガ(ワサビノキ)、カンカニクジュヨウ(砂漠人参)、ホワイトサポテ、トウガン、パパイヤ、紅イモ(サツマイモ)、田芋(ミズイモ)、モーウイ(赤瓜)、島オクラ、カイグア、スイバ(ソレル)、イタドリ、オゼイユ、ゴーヤ(ツルレイシ)、シマナー(カラシナ)、ヘチマ、モズク、温泉藻、ドラゴンフルーツ(果実および葉茎)から構成される一群の植物のうちの何れか一または複数を選択して成る構成である。すなわち、上記列挙した植物を任意に選択して使用することが可能である。この構成とすることにより、様々な効能を有する植物水を植物由来飲料に含有させることが可能となる。
【0025】
植物由来飲料1は、本実施例では、植物水10、または第一植物水20・第二植物水30の他に、更にクエン酸、フィチン酸またはレモン果汁を含有する酸味料、および天然植物由来の着色料を配合する構成とすることが可能である。この構成とすることにより、味覚や視覚にも優れた飲みやすい植物由来飲料を提供することが可能となる。
【0026】
エクソソーム類12は、植物水10、または第一植物水20・第二植物水30を限外ろ過後、単離・解析処理を施すことによって取得される構成である。本実施例では、シマアザミ等から作成された植物水を限外ろ過した後、電子顕微鏡およびフローサイトメトリーを用いて単離し解析して取得する構成である。
【0027】
また、エクソソーム類12の粒子径は、本実施例では、平均径160nm+/-4.1、および、モード径132+/-10.2、からなるとともに、濃度が2.01+/-0.15(108粒子/ml)からなる構成である。この構成とすることにより、体内免疫・腸管免疫の向上を図るのに最適な粒子径の微小物質を含有する植物由来飲料を提供することが可能となった。
【0028】
本発明に係る植物由来飲料1を上記構成とすることで、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能の向上のために飲用することが可能となり、肝臓の機能不全、特にアルコールおよび非アルコール由来の肝障害や代謝・分解/解毒、腸内環境の改善、免疫機能等を向上させることが可能な植物由来飲料を提供することが可能となった。
【0029】
次に、植物由来飲料1を構成する各植物水の抽出方法およびエクソソーム類の分析方法について説明する。以下では、シマアザミから植物水を抽出する方法、分析方法について説明する。
【0030】
まず、シマアザミ植物水約50mlにEV-Saveを500μL添加後(植物水に対して約1/100容量)、全量を遠心分離する。これにより、Large Extracellular Vesicles(Large EVs)を除去する。その後、VIVASPIN20を用いて限外濾過し、植物水が約1mlになるまで濃縮する。その後、植物水に含まれるエクソソーム類をMagCaptureエクソソームアイソレーションキットPS*1にて精製した。溶出時50μLのExosome Elusion Bufferで2回溶出し、2回の溶出液をプールした。精製時の回収率を高めるために、吸着防止剤EV-SaveをExosome Elusion Bufferに最終濃度1×となるように添加した。
【0031】
植物水1000μlを1.5mLマイクロチューブに移し、10μLのEV-Save(×100)と2.0μLのExosome Binding Enhancer(×500)をそれぞれ添加し、ボルテックスミキサーで混合し、MagCaptureエクソソームアイソレーションキットPSを用いて作製したExoxome Capture固定化ビーズの入ったReaction tubeに移し、混合する。冷蔵で転倒混和を行い3時間反応後、Reaction Tubeを遠心機でスピンダウンし、上清を除きシマアザミ由来細胞外小胞結合ビーズをフロースルー液とした。
【0032】
シマアザミ由来細胞外小胞結合ビーズを、Exosome Binding Enhancer(×500)をWashing Bufferとして用い、遠心分離を行い、状勢を取り除き、洗浄済みシマアザミ由来細胞外小胞結合ビーズとした。
【0033】
洗浄済みシマアザミ由来細胞外小胞結合ビーズを、1.5mLのReaction Tubeに入れ、Exosome Elusion Buffer297μLに3μLのEV-Save細胞外小胞ブロッキング試薬の混合液を添加し、上清を1.5mLマイクロチューブに回収しプールした。
【0034】
ナノサイト(NanoSight LM10)により、溶媒中のブラウン運動を可視化することでシマアザミ由来細胞外小胞の粒子径や粒子濃度の解析を行った。
【0035】
次に、植物由来飲料1を構成する各植物水の効果について検証したところ、シマアザミ由来エクソソーム類は、健常な成人100名以上を対象とし10-15日間、20-30ml/日、トータル300mlを飲用させ、その結果、毎日の継続的かつ健康的な排便、目覚めの良さ、体調の良さ、睡眠の質の改善が体感され測定値にも反映されて実感を得ることができた。
【0036】
シマアザミ由来エクソソーム類の日常生活における改善度を二つの方法で確認した。一つは、健常な成人を対象として飲用前と飲用後の血液を採血し次の方法で免疫能を確認した。T細胞数、CD4/CD8細胞比、ナイーブ細胞数、ナイーブ/メモリーT細胞比、B細胞数、NK細胞数、T細胞増殖係数、CD8+CD28+T細胞数のリンパ球の各種指標を確認し、免疫能力の変化を免疫力スコア及び免疫力グレードとして確認した。結果として、免疫力スコアおよび免疫力グレードともに飲用後に改善が見られた(図2参照)。
【0037】
一つは、腸内細菌叢の分布状況を次の方法で確認した。健常な成人10名にシマアザミ由来エクソソーム類を飲用する前後で、腸内細菌叢の分布状況を確認した。腸内細菌叢の遺伝子および代謝物の内容を検査キットで確認し、シマアザミ由来エクソソーム類の腸内細菌叢への影響を確認し、腸内細菌叢の構成細菌のうち、Bacteroidetes門が増加することが確認された(図3参照)。
【0038】
これらの結果から、シマアザミ由来エクソソーム類は、免疫能向上および腸内細菌叢の分布状況の改善をもたらすことが確認された。
【0039】
また、シマアザミ由来エクソソーム類は、健常な成人100名以上を対象とし10-15日間、20-30ml/日、トータル300mlを飲用させ、アルコールおよび非アルコールに由来する肝臓の機能不全の改良に効果のあるという実体験が報告された。また重度の肝機能障害を有する成人男性を対象に30ml/日を継続的に4か月以上飲用させた結果、肝機能数値の顕著な改善が観察された(図4参照)。
【0040】
アルコールの代謝促進機能を以下の方法を用いて検証した。
アルコールの体内における毒性はLDLコレステロールの増加によってあらわさせる。すなわち摂取したアルコールがLDLコレステロールとなり肝機能に障害をもたらすと考えられる。健常な成人男性5名ににシマアザミ由来エクソソーム類を有する植物由来飲料30mlを28日間飲用させた前後で血液検査を実施した結果、LDLコレステロール値の顕著な減少を観察した(図5参照)。
【0041】
以上の結果から、シマアザミ由来エクソソーム類は肝臓の機能不全、特にアルコール由来の肝機能障害の改善や代謝・分解/解毒を促進することが確認された。
【0042】
植物由来Exosome like nanoparticles(ELNs)の腸内細菌叢への効果検証論文(“Plant-derived Exosomal MicroRNAs shape the gut microbiota” by Yun Teng, et. al/Cell Host & Microbe)によれば、生姜から抽出されたELNsは乳酸菌などの腸内細菌に働きかけて腸内環境を改善する。それ以外にも複数の論文が植物由来ELNsが多くのマイクロRNA(miRNAs)を含んでおり、腸内環境やガン、免疫などに作用すると報告している。
【0043】
作用機序をサマライズすると、(1)植物のELNsが腸内細菌に取り込まれる(2)ELNsの脂質組成が特定の細菌による取り込みを決定する(3)ELNsのRNAは細菌の遺伝子に影響を与え、特にLactobacillusのI3Aの生産に影響を与えるLNを介したI3Aの変化がIL-22の産生に影響を与え、その結果、大腸炎の改善に寄与するものと考えられる。
【0044】
植物由来のELNsが腸内細菌叢に取り込まれ、マイクロバイオームの構成や宿主の生理機能を変化させるRNAを含むことを明らかにした。ショウガ由来のELN(GELN)は、GELN脂質依存的に乳酸菌に優先的に取り込まれ、Lactobacillus rhamnosus(LGG)のさまざまな遺伝子を標的とするmiRNAを含む。その中でも、GELN mdo-miR7267-3pを介したLGGモノオキシゲナーゼycnEのターゲティングは、インドール-3-カルボキシアルデヒド(I3A)の増加をもたらす。GELN-RNAやアリル炭化水素受容体のリガンドであるI3Aは、バリア機能の改善に関係するIL-22の産生を誘導する。これらのGELN-RNAの機能は、IL-22依存的なメカニズムでマウスの大腸炎の改善に寄与することができると考えられる。
【0045】
具体的には、GELN-RNAによって誘導された腸内プロバイオティクスLGG I3Aが、AHRシグナル経路の活性化を介してIL-22の発現を促進し、抗菌免疫やバリア表面の組織修復を引き出すことが明らかにされた。治療面では、ショウガELN由来のリポソームを用いて、マウスの大腸炎を治療するために腸内細菌を標的としたmiRNAを経口投与した。これにより、腸内細菌の異常に起因した疾患における遺伝子治療のための代替アプローチを提供し、治療用miRNAのELNベースの経口摂取の可能性が確認された。遺伝子の特異性により細菌のmRNAと相互作用するmiRNAによって制御される腸内細菌の活動は、腸内環境の悪化を引き起こす化学療法剤や、耐性菌の発生を促進する抗生物質治療などの他のアプローチに比べて、多くの利点があると考えられている。
【0046】
結論として、ヒトの生理機能における腸内細菌叢の重要性を考えると、今回の発明は、食事由来のELNのmiRNAが腸内細菌叢と相互作用して腸の健康を維持するための重要な分子メカニズムを明らかにするものである。食事由来のELN miRNAと脂質の組成は食事ごとに異なり、それぞれのELN miRNAは特定の細菌のmRNAを標的としているため、この特徴を利用してマイクロバイオームを特異的に操作することで、ヒトの健康やバイオシス関連疾患の治療に役立てることができると考えられる。しかし、食品由来のELNが腸内細菌や宿主細胞に選択的に取り込まれるという概念は、腸内生理学や健康学の分野では比較的新しいものであり、このプロセスの個々のステップを定義する端緒となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明に係る植物由来飲料が含有する植物の一覧を示す図
図2】シマアザミ由来エクソソーム類の日常生活における改善度を示す図
図3】腸内細菌叢の分布状況を示す図
図4】肝機能数値の改善を示す図
図5】アルコールの代謝促進機能を示す図
【符号の説明】
【0048】
1 植物由来飲料
10 植物水
12 微小物質
20 第一植物水
22 シマアザミ
30 第二植物水
32 混合植物群
40 混合植物水
図1
図2
図3
図4
図5