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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098620
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】計時器のための熱保護ケース
(51)【国際特許分類】
   G04B 43/00 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G04B43/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181621
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】21217993.1
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ビリー・ヌスバウマー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトであり、ユーザーに不快感を与えず、外部環境と計時器の間の熱交換が可能な限り少ないような計時器を熱から保護するための熱保護ケースを提供する。
【解決手段】熱保護ケースは、ケーシング内に計時器のケース500を保持する保持手段を備え、保持手段は、可動支持体を備える第1の弾性ピストン11を備え、第1の弾性ピストンは、ケーシングとケースより熱伝導性が低い少なくとも1つのコンポーネントを備え、それらの間の熱障壁を形成し、保持手段は、反対側では、第2の支持体を備え、第2の支持体はそれぞれ、ピラー31からなり、ピラーは、ケーシングとケースより熱伝導性が低い材料によって作られたコンポーネントを備えてそれらの間に固定された当接支持体を構成する熱障壁を形成し、ケーシングとケースより熱伝導性が低くそれらの間の熱障壁を形成するコンポーネントを備える第2の可動支持体を備える第2の弾性ピストンからなる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器(1000)を熱から保護するための熱保護ケース(100)であって、
前記熱保護ケース(100)は、ケーシング内に計時器(1000)のケース(500)を保持する保持手段(10)を備え、
前記保持手段(10)は、一方では、前記ケース(500)の同じ第1の鉛直方向の側を支えるために、少なくとも2つの第1の弾性ピストン(11)を備え、
前記第1の弾性ピストン(11)はそれぞれ、前記ケース(500)の前記第1の鉛直方向の側を支えるように構成している第1の可動支持体(12)を備え、
前記第1の弾性ピストン(11)はそれぞれ、前記ケーシングと前記ケース(500)の両方よりも熱伝導性が低い少なくとも1つのコンポーネントを備え、前記ケーシングと前記ケース(500)の間の熱障壁を形成し、
前記保持手段(10)は、他方では、前記ケース(500)の前記第1の鉛直方向の側とは反対側の同じ第2の鉛直方向の側を支えるために、少なくとも3つの第2の支持体を備え、
前記第2の支持体はそれぞれ、前記ケーシングと前記ケース(500)の両方よりも熱伝導性が低い材料によって作られ固定された当接支持体を構成するピラー(31)からなり、あるいは前記第2の支持体はそれぞれ、前記ケース(500)を支えるように構成しており前記ケーシングと前記ケース(500)の両方よりも熱伝導性が低く前記ケーシングと前記第2の可動支持体の間の熱障壁を形成する少なくとも1つのコンポーネントを備える第2の可動支持体を備える第2の弾性ピストンからなる
ことを特徴とする熱保護ケース(100)。
【請求項2】
前記ケーシングは、少なくとも1つの断熱性ケーシング(1)と裏部(2)を備え、
前記断熱性ケーシング(1)と前記裏部(2)は、閉じる手段の作用の下で耐水性の閉位置において互いに連係するように構成しており、
前記断熱性ケーシング(1)及び/又は前記裏部(2)は、耐水性の形態で固定され前記熱保護ケース(100)内に収容された1つの前記計時器(1000)を観察することができるように構成している風防(3)を備える又は担持している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項3】
前記断熱性ケーシング(1)及び/又は前記裏部(2)及び/又は前記風防(3)は、2つの壁の間に内部真空空間がある二重壁のアルソンバルデュワー容器を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項4】
前記断熱性ケーシング(1)には、ハウジング(4)があり、
前記ハウジング(4)はそれぞれ、第1の弾性ピストン(11)を収容するように構成しており、
前記ハウジング(4)にはそれぞれ、前記第1の弾性ピストン(11)の一方の端を支える当接支持面(5)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1の可動支持体(12)は、ピストンのように動作し、前記第1の弾性ピストン(11)にある弾性戻し手段の作用の下で1つの前記ケース(500)を押すように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記第1の可動支持体(12)は、ピストンのように動作し、前記第1の弾性ピストン(11)にある弾性戻し手段の作用の下で1つの前記ケース(500)を押すように構成しており、
前記少なくとも1つの第1の可動支持体(12)は、プレート(21)によってハウジング内に保持され、
前記プレート(21)自体は、支持面(121)上にねじ(22)とピン(23)によって固定されて位置決めを確実にし、
1つの前記ケース(500)が前記熱保護ケース(100)内に設置されるときに、前記ピストンが収縮し、前記プレート(21)に当接しないようにする
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記第1の可動支持体(12)は、ピストンのように動作し、前記第1の弾性ピストン(11)にある弾性戻し手段の作用の下で1つの前記ケース(500)を押すように構成しており、
前記少なくとも1つの第1の可動支持体(12)は、プレート(21)によってハウジング内に保持され、前記プレート(21)自体は、ねじ(22)とピン(23)によって支持面(121)上に固定されて位置決めを確実にし、
1つの前記ケース(500)が前記熱保護ケース(100)内に設置されるときに、前記ピストンが収縮して前記プレート(21)に当接せず、
前記少なくとも1つのプレート(21)は、前記断熱性ケーシング(1)にある支持面(121)上に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項8】
前記熱保護ケース(100)は、少なくとも3つの第1の弾性ピストン(11)を備え、
そのうちの少なくとも2つの第1の弾性ピストン(11)は同じであり、1つの前記ケース(500)に対して離間しており対称的な箇所において押すように構成している対を構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項9】
前記熱保護ケース(100)は、2つの対を構成している少なくとも4つの第1の弾性ピストン(11)を備え、
前記対の第1の弾性ピストン(11)どうしは、前記計時器(1000)の両側に位置する箇所において1つの前記ケース(500)を別々に押すように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項10】
前記裏部(2)は、前記ケース(500)よりも熱伝導性が低い材料によって作られた少なくとも1つの耐衝撃性の下側当接体(18)があり、
前記下側当接体(18)は、公称のアンロック位置において、前記少なくとも3つの第2の支持体上に支えられるように取り付けられた1つの前記計時器(1000)から離間しており、
前記下側当接体(18)は、前記第2の支持体に対して前記計時器(1000)の姿勢を崩すような衝撃を受けた際に、前記計時器(1000)のトラベルを制限する当接体を構成するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項11】
前記熱保護ケース(100)は、少なくとも3つの第1の弾性ピストン(11)を備え、
そのうち少なくとも2つの第1の弾性ピストン(11)は、同じであり、1つの前記ケース(500)に対して、離間しており対称的な箇所において押すように構成している対を構成しており、
前記少なくとも1つの耐衝撃性の下側当接体(18)は、弾性体である、又は横断方向の当接体(16)を支えるクロスピース(15)とともに弾性戻し手段を収容するチャンバー(24)を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項12】
前記熱保護ケース(100)は、2つの対を構成している少なくとも4つの第1の弾性ピストン(11)を備え、
前記対の第1の弾性ピストン(11)どうしは、前記計時器(1000)の両側に位置する箇所において1つの前記ケース(500)を別々に押すように構成しており、
前記少なくとも1つの耐衝撃性の下側当接体(18)は、前記計時器(1000)の前記ホーンどうしの対称面に沿った1つの前記計時器(1000)の縦方向の位置決めのための弾性縦方向当接支持体(19)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項13】
前記ケーシングには、前記ケーシングの内部空間と外部環境の間を導通する少なくとも1つの導通ポートがあり、
前記導通ポートは、耐水性の形態で封じることができ、前記ケーシング内に含まれる気体を取り出す又は気体を前記ケーシング内へと注入するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項14】
前記ケーシングには、前記ケーシングの内部空間と外部環境の間に少なくとも1つの制御ポート(70)があり、
前記制御ポート(70)は、前記計時器(1000)にある、リュウズ、押し部品又は制御用引き部品に対してユーザーが操作するためのアクチュエータ(7)を耐水性の形態で受けるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項15】
前記ケース(500)よりも熱伝導性が低い材料によって作られた前記コンポーネントは、PTFE、又は不溶解性の結晶構造のポリイミドによって作られる
ことを特徴とする請求項1に記載の熱保護ケース(100)。
【請求項16】
請求項1に記載の熱保護ケース(100)と、少なくとも1つの計時器(1000)と、を含む計時器アセンブリーであって、
前記計時器(1000)は、前記熱保護ケース(100)にある前記第1の可動支持体(12)と前記第2の支持体に適合する形を有するケース(500)を備える
ことを特徴とする計時器アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング内にて計時器のケースを保持する手段を備える、計時器、特に携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、を熱から保護するための熱保護ケースに関する。
【0002】
本発明は、さらに、前記のような熱保護ケースと、少なくとも1つの計時器と、を含む計時器アセンブリーに関し、この計時器は、前記熱保護ケースにある保持用コンポーネントに適合する形を有するケースを備える。
【0003】
本発明は、例えば、非常に高い温度や非常に低い温度、又は日中の温度差が大きいような厳しい温度条件下において用いられる、計時器、特に携行型時計、の熱保護の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
航空や宇宙のような過酷な温度条件であることが想定される、計時器、特に携行型時計、の熱保護は困難である。
【0005】
多くの場合、容積が非常に大きいケーシング内に計時器が収容されるために、ユーザーに不快感を与え、読み取りやアクティベート操作を困難にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、計時器、特に携行型時計、を熱から保護するための熱保護ケースであって、コンパクトであり、ユーザーに不快感を与えず、外部環境と計時器の間の熱交換が可能な限り少ないもの、を製造することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況に鑑みて、本発明は、請求項1に記載の計時器を熱から保護するための熱保護ケースに関する。
【0008】
本発明は、さらに、前記のような熱保護ケースと、少なくとも1つの計時器と、を含む計時器アセンブリーに関し、この計時器は、前記熱保護ケースにある保持用コンポーネントに適合する形を有するケースを備える。
【0009】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴を明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】断熱性のケーシングを備える本発明に係る熱保護ケースを概略的に示している斜視図であり、このケーシング内に収容される携行型時計の機能を制御するためのアクチュエータが、このケーシングから突き出ている。このケーシングは、ここでは閉位置となっている。
図2図1の熱保護ケースを概略的に示している分解斜視図であり、上から下へと順に、ケーシングの3つの主要なコンポーネント、すなわち、風防、断熱性ケーシング及び裏部、があることがわかる。図1のアクチュエータは、断熱性ケーシングの隣に示している。裏部と断熱性ケーシングの間には、計時器の断熱性を維持するための、以下のような本発明に特有の様々な上側及び下側支持体がある。上部には、それぞれが携行型時計ケースなどの第1の鉛直方向の側に接触するように構成している第1の可動支持体を備える第1の弾性ピストンがあり、下部には、ケースの第1の鉛直方向の側とは反対側の同じ第2の鉛直方向の側を支えるようになる、ここでは断熱性の固定ピラーからなる、第2の支持体がある。
図3】この熱保護ケースの内側から見た裏部及び様々な支持体を概略的に示している平面図であり、これらの支持体は、動作位置に配置されて、図示していない携行型時計ケースなどを囲み、この例においては、このようなケースのホーンを支えるように構成している2つの対の第1の弾性ピストンと、等方性のために三角形を形成するように配置された3つの固定ピラーである。
図4】これら様々な支持体の特定の実施形態の詳細についての図3の方向A-Aに直交する断面を、中間プレートを固定するための上側クロスピースと、衝撃を受けた際の保護性能を向上させるための耐衝撃性の下側当接体とともに概略的に示している。
図5】同じ機構についての図3の方向A-Aに沿った断面を概略的に示している。
図6】ハウジング及び第1の弾性ピストンの支持面がある、この熱保護ケースの内側から見た断熱性ケーシングを概略的に示している平面図である。
図7】本発明に係る熱保護ケースと、ここでは携行型時計である計時器と、を含む計時器アセンブリー概略的に示している部分平面図であり、この計時器は、耐水性の形態で封じられており、この熱保護ケース内において動かないようにされている。この図は、熱保護ケースの裏部、携行型時計、及びその上側及び下側支持体のみを示しており、熱保護ケースの断熱性ケーシング及び風防は示していない。
図8】同じ機構の詳細を概略的に示している斜視図であり、第1のモバイル支持体が携行型時計ケースのホーンを押していることがわかる。
図9】いくつかの要素を半透明にして同じ機構の別の詳細を概略的に示している斜視図であり、第1の弾性ピストンがハウジング内に入っており、第1の可動支持体が携行型時計ケースのホーンを押していることがわかる。
図10】弾性ピストンの軸と、支持プレートを保持するためのねじとピンの軸を通る断面にて切断された、同じ機構の別の詳細を概略的に示している斜視図である。携行型時計ケースは示してはいないが、携行型時計を保持しているときに対応するように第1の弾性ばねが圧縮位置になっており、断熱性ケーシングの支持面と、この支持面を支持プレートが押していることがわかり、第1の弾性ピストンがそのハウジング内にあることがわかる。第1の弾性ピストンのばねは収縮しており、第1の可動支持体には肩部があり、この肩部は、ここでは支持プレートからの距離がゼロではない距離である。
図11図10と同様な図であるが、ここでは携行型時計ケースを示しており、対応する第1の可動支持体が携行型時計ケースのホーンを押していることがわかる。
図12】この熱保護ケースと携行型時計を含む計時器アセンブリーの詳細を概略的に示している斜視図であり、携行型時計が取り付けられて保持位置となっている。熱保護ケースの裏部は示していない。衝撃に備えて、携行型時計のホーンの間にて、横断方向の当接体をクロスピースが支えていることがわかる。
図13図12と同様な図であるが、携行型時計は示していない。第1の支持体が、対応する支持プレートから離れたところにあり、これらの支持プレートは、断熱性ケーシングに固定されていることがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ケーシング内にて計時器1000のケース500を保持する保持手段10を備える、計時器1000を熱から保護するための熱保護ケース100に関する。
【0012】
本発明によると、この保持手段10には、ケース500の両側に配置される支持体がある。
【0013】
一方、保持手段10は、ケース500の同じ第1の鉛直方向の側を支えるために、少なくとも2つの第1の弾性ピストン11を備え、この第1の弾性ピストン11はそれぞれ、ケース500の第1の鉛直方向の側を支えるように構成している第1の可動支持体12を備える。各第1の弾性ピストンは、ケーシングとケース500の両方よりも熱伝導性が低い少なくとも1つのコンポーネントを備え、このコンポーネントは、ケーシングとケース500の間の熱障壁を形成する。
【0014】
一方、保持手段10は、ケース500の第1の鉛直方向の側とは反対側の同じ第2の鉛直方向の側を支えるために、少なくとも3つの第2の支持体を備え、これらの第2の支持体はそれぞれ、図面に示しているように、ケーシングとケース500の両方よりも熱伝導性が低い材料によって作られており固定された当接支持体を構成しているピラー31からなり、あるいは保持手段10は、図示していない変異形態において、第2の可動支持体を備える第2の弾性ピストンを備え、この第2の可動支持体は、ケース500を支えるように構成しており、ケーシングとケース500の両方よりも熱伝導性が低くケーシングと第2の可動支持体の間の熱障壁を形成する少なくとも1つのコンポーネントを備える。
【0015】
特に、ケーシングは、少なくとも1つの断熱性ケーシング1と裏部2を備え、これらは、閉じる手段の作用の下で耐水性の閉位置にて互いに連係するように構成している。
【0016】
断熱性ケーシング1及び/又は裏部2は、耐水性の形態で固定される風防3を備え又は担持しており、この風防3は、熱保護ケース100に収容される計時器1000を観察することができるように構成している。
【0017】
特に、断熱性ケーシング1及び/又は裏部2及び/又は風防3は、熱保護ケース100が収容することができる計時器1000のケース500よりも熱伝導性が低い材料によって作られる。
【0018】
好ましい変異形態において、断熱性ケーシング1及び/又は裏部2及び/又は風防3は、2つの壁の間に内部真空空間がある二重壁のアルソンバルデュワー容器(Arsonval-Dewar vessel)を構成している。特に、これらのコンポーネントの寸法構成を考えると、このような断熱性ケーシング1は、この種の形態に最も適している。
【0019】
特に、断熱性ケーシング1には、いくつかのハウジング4が形成されており、これらのハウジングはそれぞれ、第1の弾性ピストン11を収容するように構成しており、これらのハウジングにはそれぞれ、第1の弾性ピストン11の一端、特にこの第1の弾性ピストン11にあるばね、に当接して支える当接支持面5がある。例えば、これらのハウジング4には、非貫通ボアなどがあり、その底部が当接支持面5を構成し、第1の弾性ピストンを設定された方向にガイドすることを可能にし、これによって、ケース100内への計時器1000の設置を容易にする。
【0020】
このように、可動支持体12は、以下のようにピストンのように動作する。すなわち、図11及び13に示しているように、可動支持体12は、プレート21によって、対応するハウジング内に保持され、このプレート21は、ねじ22とピン23によって断熱性ケーシング1の支持面121に固定されて、可動支持体12の位置決めを確実にする。携行型時計ケース500が保護ケース100内に設置されているときに、ピストンは収縮しており、したがって、ピストンはプレート21に当接しない。図10及び11は、支持プレート21が前記支持面121を押している様子を示している。第1の弾性ピストン11のばね110が収縮しており、対応する第1の可動支持体12が携行型時計ケース500のホーン800を押していることがわかる。第1の可動支持体12には肩部があり、ここではこの肩部と支持プレート21の距離が、ゼロではない距離Jである。
【0021】
図示していない変異形態において、これらのプレート21は、クロスピース15にねじ22とピン23によって固定されており、このクロスピース15は、下で説明する耐衝撃性の当接体18の上にて突き出ている。このクロスピース15は、好ましくは、ケーシングとケース500の両方よりも熱伝導性が低い材料によって作られている。
【0022】
特に、熱保護ケース100は、少なくとも3つの第1の弾性ピストン11を備え、そのうちの少なくとも2つは、同じであり、ケース500に対して、離間しており対称的な箇所において押すように構成している対を構成する。特に、熱保護ケース100は、2つの対を構成している少なくとも4つの第1の弾性ピストン11を備え、これらの対の第1の弾性ピストン11は、別々の領域を押すように構成しており、計時器1000の第1の鉛直方向の側における両側に位置する。特に、図面からわかるように、第1の弾性ピストン11の各対は、ケース500の縦方向の軸の方へと押すための力を与える傾向のある、収束する二面角を形成している。
【0023】
特に、裏部2は、ケース500よりも熱伝導性が低い材料によって作られた少なくとも1つの耐衝撃性の下側当接体18を備え、この下側当接体18は、公称のアンロック位置において、少なくとも3つの第2の支持体を支えるように取り付けられる計時器1000から離間した位置にある。この耐衝撃性の下側当接体18は、第2の支持体に対して計時器1000の姿勢を崩すような衝撃を受けた際に、計時器1000のトラベルを制限する当接体を構成する。
【0024】
特に、少なくとも1つの耐衝撃性の下側当接体18は、弾性体であり、又はクロスピース15とともにチャンバー24を形成しており、このクロスピース15上に少なくとも1つのプレート21を載置することができ、チャンバー24は、ばね、エラストマーガスケットのような弾性戻し手段を収容する。
【0025】
この機構は、好ましいことに、クロスピース15上及び耐衝撃性の下側当接体18上にそれぞれ、要素16及び19を備え、これらの要素16及び19はそれぞれ、衝撃を受けた際に携行型時計ケース500の運動を制限するように意図された横断方向及び縦方向の当接体である。静的な状況において、携行型時計の上部500は、接触要素12及び31のみを介して保護ケース100と接触している。
【0026】
特に、少なくとも1つのこのような耐衝撃性の下側当接体18は、弾性支持体に取り付けられた前記のような縦方向当接体19を備え、これによって、計時器1000がホーン800を備える場合、計時器1000のホーン800どうしの対称面に沿って計時器1000を縦方向にて位置決めする。
【0027】
1つの変異形態において、保持要素16は、衝撃を受けたときを除いて携行型時計から離間している、熱伝導率が低い材料によって作られた横断方向の当接体である。
【0028】
特に、ケーシングには、ケーシングの内部空間と外部環境の間を導通する導通ポートが少なくとも1つあり、この導通ポートは、耐水性の形態で封じられて、ケーシング内に含まれた気体を取り出し又は気体をケーシング内に注入するように構成している。
【0029】
特に、ケーシングには、ケーシングの内部空間と外部環境の間に少なくとも1つの制御ポート70があり、この制御ポート70は、計時器1000が備えるリュウズ、押し部品又は制御用引き部品に対するユーザーの行為によってアクチュエートするためのアクチュエータ7を耐水性の形態で受けるように構成している。
【0030】
特に、断熱性ケーシング1は、ハウジング80がある外側のホーン8を備え、これによって、ブレスレットを固定する。
【0031】
特に、ケース500よりも熱伝導性が低い材料によって作られた前記コンポーネントは、PTFE、又は不溶解性の結晶構造のポリイミドによって作られる。
【0032】
本発明は、さらに、前記のような熱保護ケース100及び少なくとも1つの計時器1000を含む計時器アセンブリーに関し、この計時器1000は、第1の弾性ピストン11と、熱保護ケース100に含まれる、第2の支持体、特にピラー31、に適合する形のケース500を備える。
【0033】
短く書くと、計時器1000、特に携行型時計、をその環境との関係で、保護するように意図された熱保護ケース100は、熱伝導を抑えるピストンを備える。計時器1000、特に携行型時計は、前記第1の弾性ピストン11を備える、ピストンのシステムによって保持され、このピストンのシステムは、携行型時計の耐久性を確実にすることと、携行型時計1000と熱保護ケース100の間の熱伝導を最小限にすること、である2つの機能を果たす。
【0034】
図示しているアプリケーションにおいて、対で配置される4つの第1の弾性ピストン11が、断熱性ケーシング1のハウジング24において、熱保護ケース100の上部に取り付けられる。なお、これに限定されない。第1の弾性ピストン11は、弾性戻し手段、特にばね、を備え、この弾性戻し手段は、携行型時計の耐久性が良好であることを確実にし、場合によっては衝撃を緩和する。これらの第1の弾性ピストン11は、ベゼルの側又は主風防の側にて、携行型時計1000のケース500、例えばケース500のホーン800、に作用する。3つの固定されたピラー31が、熱保護ケース100にある裏部2に取り付けられ、携行型時計の他方の側、特に携行型時計の裏部、に対する高剛性の支持体として機能する。第1の弾性ピストン11と固定ピラー31は、携行型時計との接触面を最小限にするように意図された形を有し、それぞれが、PTFEのような熱伝導率が低い材料、又は材料「Vespel」のような不溶解性の結晶構造のポリイミド、によって作られた少なくとも1つの要素を含む。
【0035】
携行型時計の各ホーン間に設置される当接体システムのおかげで、振動や衝撃を受けたときに携行型時計の運動を制限することが可能となる。公称の位置において、携行型時計と外側のケースの間の熱伝導を抑えるために、携行型時計は前記当接体と接触していない。これらの当接体は、ピストンやピラーと同様に、熱伝導率が低い材料で作られている。
【0036】
熱保護ケース100、特に、2つの壁の間に内部真空空間がある二重壁のアルソンバルデュワー容器を構成している断熱性ケーシング1を備えるものは、携行型時計の表盤及びディスプレーの最適な視認性を可能にする少なくとも1つの風防3を備え、この風防3は、携行型時計がケースの外側に発する放射に対してフィルタリングし、ケース外側から来る放射から携行型時計を保護する。
【0037】
裏部2は、取り外し可能であり、好ましいことに、迅速なアタッチメントを備え、この迅速なアタッチメントは、例えば偏心トグルレバーを用いて、ケースを迅速に開くことを可能にし、迅速に耐水性の形態でケースを閉じることを可能にする。携行型時計は、裏側からケース内に挿入される。裏部をケーシング1に固定することによって、携行型時計をピストンに押し付け、次にこのピストンがばねを収縮させ、これによって、ケース内の携行型時計の耐久性が良好であることを確実にして、したがって、遊びがないことを確実にすることが可能となる。
【0038】
ケースには、携行型時計のアクチュエータをアクチュエートするために、アクチュエータ7、レバー、押し部品、引き部品があることができる。
【0039】
本発明は、携行型時計の支持箇所における断熱性が良好であることのおかげで、外側ケースの体積や重量を抑えつつ、ユーザーが携行型時計を通常通りに取り扱うことを可能にする。
【符号の説明】
【0040】
1 断熱性ケーシング
2 裏部
3 風防
4 ハウジング
5 当接支持面
7 アクチュエータ
10 保持手段
11 第1の弾性ピストン
12 第1の可動支持体
15 クロスピース
16 横断方向の当接体
18 下側当接体
19 弾性縦方向当接支持体
21 プレート
22 ねじ
23 ピン
24 チャンバー
31 ピラー
70 制御ポート
100 熱保護ケース
121 支持面
500 ケース
1000 計時器
図1
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【外国語明細書】